特許第5770281号(P5770281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5770281c−METチロシンキナーゼ阻害薬として有用な新規な縮合複素環式誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770281
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】c−METチロシンキナーゼ阻害薬として有用な新規な縮合複素環式誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/056 20060101AFI20150806BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20150806BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20150806BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20150806BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20150806BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20150806BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150806BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20150806BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20150806BHJP
   A61K 31/4741 20060101ALI20150806BHJP
   C07D 498/04 20060101ALI20150806BHJP
   A61K 31/539 20060101ALI20150806BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   C07D491/056CSP
   A61P35/00
   A61P35/04
   A61P9/10
   A61P37/00
   A61P27/02
   A61P43/00 111
   A61P35/02
   A61K31/519
   A61K31/4741
   C07D498/04 116
   A61K31/539
   A61K31/506
【請求項の数】46
【全頁数】58
(21)【出願番号】特願2013-518943(P2013-518943)
(86)(22)【出願日】2011年7月14日
(65)【公表番号】特表2013-531016(P2013-531016A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】CN2011077169
(87)【国際公開番号】WO2012006960
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2013年3月15日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2010/001060
(32)【優先日】2010年7月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512278320
【氏名又は名称】ベータ ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】フー、シャオチン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ロン、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シェン、シャオヤン
(72)【発明者】
【氏名】タン、フェンライ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、インシェン
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−026682(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/082830(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/003313(WO,A1)
【文献】 特表2009−525263(JP,A)
【文献】 特表2007−523177(JP,A)
【文献】 特表2003−528880(JP,A)
【文献】 特表2001−519788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 491/00
A61K 31/00
C07D 498/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】


(式中、
【化2】


は、1−6個の酸素原子又は窒素原子を環構成原子とする5〜18員環であり;
は、ハロゲン、またはC1〜8アルキルであり;
mは、0、1、2または3であり;
およびAは各々、独立して、=N−または=C(H)−であり;
は、ハロゲン、トリハロメチル、または低級アルキルであり;
nは、0、1、2、3または4であり;
は、=N−、または=C(H)−であり;
Xは、NR20、OまたはSであり;ここで、R20は、HまたはC1〜8アルキルであり;
Zは、NRまたは式II
【化3】


のものであり、
ここで、RおよびR10は各々、独立して、C1〜8アルキル、ハロゲンで置換されていてもよいアリール、またはハロゲンで置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、水素、またはC1〜8アルキルであり;
は、式III、式IV、式V、式VIまたは式VII:
【化4】


のものであり、
式中、

【化5】


であり、
は、C(Rであり;ここで
は、水素、またはC1〜8アルキルであり;
は、NHQであり;
は、ハロゲンで置換されていてもよいアリール、またはハロゲンで置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、水素、ハロゲンで置換されていてもよいアリール、またはハロゲンで置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、NRであり;
、RおよびR11は各々、独立して、水素、C1〜8アルキル、ハロゲンで置換されていてもよいアリール、またはハロゲンで置換されていてもよいヘテロアリールである)
による化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物。
【請求項2】
【化6】


が置換または非置換の5〜12員環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
【化7】


が置換または非置換の5、7、9、11、12または18員の複素環である環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
該置換または非置換の複素環である


が、各々独立して酸素または窒素である1、2、3、4、5または6個のヘテロ原子を含有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
【化8】



【化9】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
がハロゲンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
がフルオリドである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
mが0、1または2である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
がフルオリドであり、mが1または2である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
【化10】



【化11】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
が=CH−であり、Aが=N−である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
が=CH−であり、Aが=CH−である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
が=N−または=C(H)−である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
XがNR20であり、R20が、HまたはC1〜3アルキルである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
XがO、SまたはNHである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
がハロゲンである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
がFである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
がC1〜4アルキルである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
が水素である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
各QがCHである、請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
がフェニルまたはハロ置換フェニルである、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
がフェニル、2−フルオロフェニル、または4−フルオロフェニルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
R4が、
【化12】


である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
Zが、
【化13】

である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
がフェニルまたはハロ置換フェニルである、請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
がフェニルまたはフルオロ置換フェニルである、請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
がNRであり、RがC1〜6アルキルである、請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
がNCHである、請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
、RおよびR11が各々、独立して、水素、またはC1〜8アルキルである、請求項1〜28のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項30】
、RおよびR11の各々が水素である、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
がC1〜6アルキル、フェニルまたはハロ置換フェニルである、請求項1〜28のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
が−CHまたはハロ置換フェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
が水素である、請求項1〜32のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項34】
が水素である、請求項1〜33のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
およびR10が各々、独立して、メチル、フェニルまたはフルオロ置換フェニルである、請求項1〜34のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項36】
・5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
・1−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
・シクロプロパン−1,1−ジカルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド(4−フルオロ−フェニル)−アミド
3−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
・2−(4−フルオロ−フェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
・2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−5−[5−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・5−[5−([1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・5−[5−(2,2−ジフルオロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[4−([1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−3−フルオロ−フェニル]−アミド
・5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
・1−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
・2−(4−フルオロ−フェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
シクロプロパン−1,1−ジカルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド(4−フルオロ−フェニル)−アミド;
・3−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド.
・5−[5−(2,2−ジフルオロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(2−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・5−[5−(2,2−ジフルオロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルアミノ)−フェニル]−アミド
・5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルスルファニル)−フェニル]−アミド
・3−メチル−2−フェニルアミノ−5−[5−(2,5,7,10−テトラオキサ−14,16−ジアザ−トリシクロ[9.8.0.013,18]ノナデカ−1(11),12,14,16,18−ペンタエン−17−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
・5−[5−(8,9−ジヒドロ−7H−6,10−ジオキサ−1,3−ジアザ−シクロヘプタ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−5−[5−(9−メチル−8,
9,10,11−テトラヒドロ−7H−6,12−ジオキサ−1,3,9−トリアザ−シ
クロノナ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジ
ン−4−オン
・2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−5−[5−(7,8,10,1
1−テトラヒドロ−6,9,12−トリオキサ−1,3−ジアザ−シクロノナ[b]ナフ
タレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
・5−[5−(8,9−ジヒドロ−7H−6,10−ジオキサ−1−アザ−シクロヘプタ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−5−[5−(9−メチル−8,9,10,11−テトラヒドロ−7H−6,12−ジオキサ−1,9−ジアザ−シクロノナ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
・2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−5−[5−(7,8,10,11−テトラヒドロ−6,9,12−トリオキサ−1−アザ−シクロノナ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
・3−メチル−2−フェニルアミノ−5−[5−(2,5,7,10−テトラオキサ−14−アザ−トリシクロ[9.8.0.013,18]ノナデカ−1(11),12,14,16,18−ペンタエン−17−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
・5−[5−(2,2−ジフルオロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(2−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・5−[5−(2,2−ジフルオロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルアミノ)−フェニル]−アミド
・5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルスルファニル)−フェニル]−アミド;または、
・5−[5−(2,5,8,11,14,17−ヘキサオキサ−21−アザ−トリシクロ[16.8.0.020,25]ヘキサコサ−1(18),19,21,23,25−ペンタエン−24−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3−メチル−2−フェニルアミノ−3H−ピリミジン−4−オン
である請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項38】
該賦形剤に対する該化合物の重量比が0.0001〜10の範囲である、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
医薬の調製のための請求項1〜36のいずれか1項に記載の化合物または請求項37もしくは38に記載の医薬組成物の使用。
【請求項40】
医薬が、がんの発症もしくは進行、がんの転移、心血管疾患、免疫障害または眼障害の処置、予防または遅延のために使用され得るものである、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
医薬が、プロテインキナーゼによって媒介される疾患の処置のために使用され得るものである、請求項39に記載の使用。
【請求項42】
プロテインキナーゼがKDR、Tie−2、Flt3、FGFR3、AbI、オーロラA、c−Src、IGF−IR、ALK、c−MET、RON、PAKl、PAK2、またはTAKlである、請求項41に記載の使用
【請求項43】
c−Metの阻害薬としての使用のための医薬の製造における請求項1〜36のいずれか1項に記載の少なくとも1種類の化合物の使用。
【請求項44】
プロテインキナーゼ活性によって媒介される疾患ががんである、請求項41または42に記載の使用。
【請求項45】
がんが、充実性腫瘍、肉腫、線維肉腫、骨腫、黒色腫、網膜芽腫、横紋筋肉腫、膠芽腫、神経芽腫、奇形癌、造血器悪性腫瘍、または悪性腹水である、請求項44に記載の使用。
【請求項46】
がんが、哺乳動物の肺がん、乳がん、結腸直腸がん、腎がん、膵がん、頭部のがん、頸部のがん、遺伝性乳頭状腎細胞癌、小児肝細胞癌または胃がんである、請求項44に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、c−Met阻害薬としての特定の新規な縮合キナゾリン誘導体、その合成およびc−Met媒介性障害の処置のためのその使用に関する。より詳しくは、本発明は、c−Metの阻害薬として有用な縮合複素環式誘導体、かかる化合物の作製方法およびc−Met媒介性障害の処置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
正常状態および病的状態におけるシグナル伝達経路の研究は、このような経路のうち疾患と関連している特定のものを標的化する新しい薬剤分子によって治療的有益性がもたらされる可能性があるため相当に重要である。
【0003】
受容体型チロシンキナーゼ(RTK)は、該タンパク質のサイトゾルC末端ドメイン内のチロシン残基の自己リン酸化を触媒するシグナル伝達経路の枢要な酵素である。これにより、下流タンパク質の動員および、その後、一連の細胞事象(例えば、成長、増殖および生存)に関与しているシグナルが伝播するためのドッキング部位が生成される。より一般的な脱調節キナーゼシグナル伝達は、一連の多様な病的状態、例えば、免疫障害炎症性障害、心血管疾患および神経変性疾患に関与しているものである。既知の受容体型チロシンキナーゼには20種類のファミリーが包含され、多くは癌遺伝子である(Blume− Jensen Pら 2001. Nature 411 355−365)。c−Metは、関連タンパク質Ron(マクロファージ刺激タンパク質受容体)およびそのニワトリオルソログSeaを含むRTKのサブファミリーの原型的構成員である。内在性リガンドは、増殖および運動因子である肝細胞増殖因子(HGF,細胞分散因子としても知られている)である。c−MetおよびHGFは一連の組織型で発現されるが、その発現は、通常、上皮起源および間葉起源の細胞に限定される。対照的に、腫瘍細胞は、多くの場合、構成的に活性化されたc−Metを発現する。
【0004】
現在、動物試験およびがん患者の両方のどちらからも、HGF−Metシグナル伝達が悪性腫瘍の発生および進行に重要な役割を果たしており、特に浸潤性表現型と関連しているという説得力のある一連の証拠が増えつつある。c−MetおよびHGFは、数多くのがんにおいて周囲組織と比べて高度に発現されており、その発現は患者の予後不良と相関している(Jiang,Wら 1999 Crit.Rev.Oncol.−hematol.,29,209−248)。c−Metのキナーゼドメインにおける点変異の活性化は、散発性および遺伝性の形態の乳頭状腎癌の原因に関与している(Danilkovitch−Miagkova,Aら 2002.1 J.Clin.Invest.109,863−867)。c−Metは、がんおよび悪性腫瘍のどちらのマーカーでもあり、c−Met−HGFシグナル伝達を阻害する薬剤により、該当するがんの疾患進行が改善されることが期待され得る。
【発明の概要】
【0005】
ここに、新規な類型の縮合ピリジンが有効なc−Metの阻害薬であることを見出した。本発明は、c−Met阻害活性を有する新規な化合物に関する。本発明は、式Iのような一般的な構造:
【化1】
(式中、
Aは、5〜18員環であり;
は、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイルからなる群より選択され;
mは、0〜3の整数であり;
およびAは各々、独立して、=N−または=C(R)−から選択され;
は、=N−、=C(H)−、または=C(CN)−から選択され;
Xは、NR20、CHR21、OまたはSからなる群より選択され;ここで、R20およびR21は各々、独立して、HまたはC1〜8アルキルであり;
は、−H、ハロゲン、トリハロメチル、−CN、−NO、−NH、−OR、−NR、−S(O)0〜2、−SONR、−CO、−C(O)NR、−N(R)SO、−N(R)C(O)R、−N(R)CO、−C(O)R、および置換もしくは非置換の低級アルキルから選択され;
nは、0〜4であり;
Zは、NRまたは式II
【化2】
を有する基から選択され、
は、水素、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイルからなる群より選択される;
【0006】
好ましい一実施形態において、Rは、式III:
【化3】
を有する基から選択され、
式中、

【化4】
であり、
は、C(Rであり;
は、NHQであり;
は、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、または置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択され;
とBが一緒に5〜10員の置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリルを形成していてもよく;
およびRは各々、独立して、水素、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイル;置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、または置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリル;および、その薬学的に許容される塩からなる群より選択される;
【0007】
好ましい一実施形態において、環Aは、さらに、O、SおよびNからなる群より選択される0〜6個のヘテロ原子を含む。
【0008】
好ましい実施形態では、Rは、水素、ハロゲン、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、(ハロ)1〜3(C1〜8)アルキル、ヒドロキシ(C1〜8)アルキル、C1〜4アルコキシ(C1〜8)アルキル、シアノ(C1〜8)アルキル、アミノ(C1〜8)アルキル、アリール(C1〜8)アルキル、ヘテロアリール(C1〜8)アルキル、ヘテロシクリル(C1〜8)アルキル、(ハロ)1〜3(C2〜8)アルケニル、ヒドロキシ(C2〜8)アルケニル、(C1〜4アルコキシ(C2〜8)アルケニル、シアノ(C2〜8)アルケニル、およびアミノ(C2〜8)アルケニル、アリール(C2〜8)アルケニル、ヘテロアリール(C2〜8)アルケニル、ヘテロシクリル(C2〜8)アルケニル、(ハロ)1〜3(C2〜8)アルキニル、ヒドロキシ(C2〜8)アルキニル、Cl−4アルコキシ(C2〜8)アルキニル、シアノ(C2〜8)アルキニル、アミノ(C2〜8)アルキニル、アリール(C2〜8)アルキニル、ヘテロアリール(C2〜8)アルキニル、ヘテロシクリル(C2〜8)アルキニル、C1〜8アルカノイル、アリール(C1〜8)アルカノイル、ヘテロアリール(C1〜8)アルカノイル、ヘテロシクリル(C1〜8)アルカノイル、Ct−8アルコキシカルボニル、アリール(C1〜8)アルコキシカルボニル、ヘテロアリール(C1〜8)アルコキシカルボニル、ヘテロシクリル(C1〜8)アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリール(C1〜8)アルキルスルホニル、ヘテロアリール(C1〜8)アルキルスルホニル、ヘテロシクリル(C1〜8)アルキルスルホニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニル(alknyl)オキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ−(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルカノイル(alknoyl)アミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ−(C1〜8アルキル)スルファモイルからなる群より選択されるから選択される。
【0009】
別の好ましい実施形態では、Rの上記のアミノ、アミノ(C1〜8)アルキル、アミノ(C2〜8)アルケニルまたはアミノ(C2〜8)アルキニルは、水素、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニルからなる群より独立して選択される2つの置換基で置換されている。
【0010】
別の好ましい実施形態では、内部のアリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル基(あれば)は、任意選択で、ハロゲノ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、(C1〜8)アルキル、(C2〜8)アルケニル、(C2〜8)アルキニル、(C1〜8)アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換基を有する。
【0011】
別の好ましい実施形態では、Rは、水素、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイルからなる群より選択される;
【0012】
別の好ましい実施形態では、Rは、式IV:
【化5】
を有する基から選択され、
式中、
は、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、および置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択され;
およびRは各々、独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイル;置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択される;
【0013】
別の好ましい実施形態では、Rは、水素、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイルからなる群より選択される;
【0014】
別の好ましい実施形態では、Rは、式V:
【化6】
を有する基から選択され、
式中、
は、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、または置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択され;
は、NR、CRからなる群より選択され;
およびRは各々、独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイル;置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択される;
【0015】
別の好ましい実施形態では、Rは、水素、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、置換もしくは非置換のC1〜8アルカノイル、置換もしくは非置換のC1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイルからなる群より選択される;
【0016】
別の好ましい実施形態では、Rは、式VI:
【化7】
を有する基から選択され、
式中、
は、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、または置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択され;
およびRは各々、独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイル;置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択される;
【0017】
別の好ましい実施形態では、Rは、式VII:
【化8】
を有する基から選択され、
式中、
は、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、または置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択され;
、RおよびR11は各々、独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイル;置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、または置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択され;
およびR10は各々、独立して、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、およびアリールスルホニルからなる群より選択される。
【0018】
・ 以下の本発明の化合物は、読み手が、本発明に包含される化合物の理解を得られるように示したものである。
・5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
・1−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
シクロプロパン−1,1−ジカルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・3−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
・2−(4−フルオロ−フェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
・2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−5−[5−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・5−[5−([1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・5−[5−(2,2−ジフルオロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[4−([1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−3−フルオロ−フェニル]−アミド
・5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[4−([1,3]ジオキソロ
・[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−3−フルオロ−フェニル]−アミド
・5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
・1−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
・2−(4−フルオロ−フェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
シクロプロパン−1,1−ジカルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド(4−フルオロ−フェニル)−アミド;
・3−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド.
・5−[5−(2,2−ジフルオロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(2−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・5−[5−(2,2−ジフルオロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルアミノ)−フェニル]−アミド
・5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルスルファニル)−フェニル]−アミド
・3−メチル−2−フェニルアミノ−5−[5−(2,5,7,10−テトラオキサ−14,16−ジアザ−トリシクロ[9.8.0.013,18]ノナデカ−1(11),12,14,16,18−ペンタエン−17−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
・5−[5−(8,9−ジヒドロ−7H−6,10−ジオキサ−1,3−ジアザ−シクロヘプタ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−5−[5−(9−メチル−8,9,10,11−テトラヒドロ−7H−6,12−ジオキサ−1,3,9−トリアザ−シクロノナ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
・2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−5−[5−(7,8,10,11−テトラヒドロ−6,9,12−トリオキサ−1,3−ジアザ−シクロノナ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
・5−[5−(8,9−ジヒドロ−7H−6,10−ジオキサ−1−アザ−シクロヘプタ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−5−[5−(9−メチル−8,9,10,11−テトラヒドロ−7H−6,12−ジオキサ−1,9−ジアザ−シクロノナ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
・2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−5−[5−(7,8,10,11−テトラヒドロ−6,9,12−トリオキサ−1−アザ−シクロノナ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
・3−メチル−2−フェニルアミノ−5−[5−(2,5,7,10−テトラオキサ−14−アザ−トリシクロ[9.8.0.013,18]ノナデカ−1(11),12,14,16,18−ペンタエン−17−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
・5−[5−(2,2−ジフルオロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(2−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・5−[5−(2,2−ジフルオロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
・5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルアミノ)−フェニル]−アミド
・5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルスルファニル)−フェニル]−アミド
・5−[5−(2,5,8,11,14,17−ヘキサオキサ−21−アザ−トリシクロ[16.8.0.020,25]ヘキサコサ−1(18),19,21,23,25−ペンタエン−24−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3−メチル−2−フェニルアミノ−3H−ピリミジン−4−オン
【0019】
別の態様において、本発明は、少なくとも1種類の上記の化合物および薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物に関する。用語「薬学的に許容され得る賦形剤」は、少なくとも1種類の本開示の化合物とともに投与される希釈剤、佐剤、賦形剤または担体の任意のものをいう。
【0020】
また、本発明は、上記の技術的解決策の技術的解決策の最適化を提供する。
【0021】
前記賦形剤に対する前記化合物の重量比が約0.0001〜約10:1の範囲内である。
【0022】
さらに、本発明は、医薬の調製のための上記の医薬組成物および式Iで示した少なくとも1種類の化合物の使用を提供する。
【0023】
また、本発明は、上記の使用の技術的解決策の最適化を提供する。
【0024】
がん、がんの転移、心血管疾患、免疫障害または眼障害の処置または予防のための医薬の調製のために使用される。
【0025】
がんの疾患進行、がんの転移、心血管疾患、免疫障害または眼障害の遅延または予防のための医薬の調製のために使用される。
【0026】
がんの進行もしくは発症、がんの転移、心血管疾患、免疫障害または眼障害の処置または遅延のための医薬の調製のために使用される。
【0027】
本発明は、がんの処置、がんの転移の予防または心血管疾患、免疫障害もしくは眼障害の処置における使用のための式Iとして示した化合物を提供する。
【0028】
好ましいものとしては、少なくとも1種類の化合物の該化合物のc−Metの阻害薬としての使用。
【0029】
本発明は、プロテインキナーゼ活性によって媒介される病状を有する患者の処置方法であって、該患者に治療有効量の式Iのような化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与することを含む方法を提供する。
【0030】
好ましいものとしては、前記プロテインキナーゼが、KDR、Tie−2、Flt3、FGFR3、AbI、オーロラA、c−Src、IGF−IR、ALK、c−MET、RON、PAKl、PAK2、またはTAKlである。
【0031】
好ましいものとしては、プロテインキナーゼ活性によって媒介される病状ががんである。
【0032】
好ましいものとしては、がんが、充実性腫瘍、肉腫、線維肉腫、骨腫、黒色腫、網膜芽腫、横紋筋肉腫、膠芽腫、神経芽腫、奇形癌、造血器悪性腫瘍、または悪性腹水である。
【0033】
好ましいものとしては、本発明は、医薬としての使用のための式Iのような化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。。
【0034】
好ましいものとしては、前記医薬は、がんの処置における使用のためのものである。
【0035】
好ましいものとしては、哺乳動物の肺がん、乳がん、結腸直腸がん、腎がん、膵がん、頭部のがん、頸部のがん、遺伝性乳頭状腎細胞癌、小児肝細胞癌および胃がんからなる群より選択されるがんは、かかる処置を必要とする哺乳動物に、有効量の請求項1〜4のいずれか1項に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与することを含む。
【0036】
別の態様において、本発明は、c−Metチロシンキナーゼ媒介性障害に苦しんでいる患者の処置方法であって、前記患者に治療有効量の上記の化合物の化合物を投与する工程を含む方法に関する。
【0037】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、本明細書で用いる場合、特に記載のない限り、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。好ましいハロ基はフルオロ、クロロおよびブロモである。
【0038】
本明細書で用いる場合、特に記載のない限り、アルキルは、直鎖、分枝鎖または環状の部分を有する一価の飽和炭化水素原子団を包含する。例えば、アルキル原子団としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロ(cyclco)プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、3−(2−メチル)ブチル、2−ペンチル、2−メチルブチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、2−メチルペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。アルコキシ原子団は、先に記載した直鎖、分枝鎖または環状のアルキル基から形成される酸素エーテルである。同様に、アルケニルおよびアルキニル基は、直鎖、分枝鎖または環状のアルケンおよびアルキンを包含する。
【0039】
用語「ヒドロキシアルキル」は、アルキル鎖がヒドロキシ原子団で終結している式HO−アルキルの原子団をいう。アミノアルキルという用語は、アミノ基で置換されているアルキル基をいう(すなわち、−アルキル−NH)。用語「アルキルアミノ」は、アルキル基で置換されているアミノ基をいう(すなわち、−NH−アルキル)。用語「ジアルキルアミノ」は、アルキル基による二置換であるアミノ基をいい、ここで、該アルキル基は同じであっても異なっていてもよい(すなわち、−N−[アルキル])。
【0040】
用語「アリール」は、本明細書で用いる場合、特に記載のない限り、非置換または置換型の芳香族基、例えば、フェニル、ナフチルおよびアントラセニルをいう。用語「アロイル」は基−C(O)−アリールをいう。
【0041】
用語「ヘテロシクリル」は、本明細書で用いる場合、特に記載のない限り、炭素原子とN、OまたはSから選択される1〜3個のヘテロ原子とからなる非置換または置換型の安定な3〜8員の単環式飽和環系を表し、ここで、窒素またはイオウヘテロ原子は任意選択で酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は任意選択で第4級化されていてもよい。ヘテロシクリル基は、安定な構造の生成がもたらされるヘテロ原子(あれば)または炭素原子で結合され得る。かかるヘテロシクリル基の例としては、限定されないが、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキソピペラジニル、オキソピペリジニル、オキソアゼピニル、アゼピニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソラニル、テトラヒドロイミダゾリル、テトラヒドロチアゾリル、テトラヒドロオキサゾリル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホンおよびオキサジアゾリルが挙げられる。
【0042】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書で用いる場合、特に記載のない限り、炭素原子とN、OまたはSから選択される1〜4個のヘテロ原子とからなる非置換もしくは置換型の安定な5員もしくは6員の単環式芳香族環系または非置換もしくは置換型の9員もしくは10員のベンゾ縮合ヘテロ芳香族環系または二環式ヘテロ芳香族環系を表し、ここで、窒素またはイオウヘテロ原子は任意選択で酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は任意選択で第4級化されていてもよい。ヘテロアリール基は、安定な構造の生成がもたらされるヘテロ原子(あれば)または炭素原子で結合され得る。ヘテロアリール基の例としては、限定されないが、チエニル、フラニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、ピロリル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、インドリル、アザインドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル アデニニル、キノリニルまたはイソキノリニルが挙げられる。
【0043】
用語「アリールアルキル」は、1つ以上のアリール基で置換されているアルキル基を意味する。
【0044】
「アリールアルケニル」または「アリールアルキニル」は、1つ以上のアリール基で置換されているアルケニルまたはアルキニル基を示す。同様に、「ヘテロアリールアルキル」、「ヘテロアリールアルケニル」または「ヘテロアリールアルキニル」は、1つ以上のヘテロアリール基で置換されているアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を意味し、ヘテロシクリルアルキル」、「ヘテロシクリルアルケニル(allcenyl)」または「ヘテロシクリルアルキニル」は、1つ以上のヘテロシクリル基で置換されているアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を意味する。
【0045】
用語「カルボニル」は、基C(O)をいう。
【0046】
用語「アルキル」もしくは「アリール」またはそのいずれかの接頭辞根が置換基名に存在している(例えば、アラルキル、ジアルキルアミノ)場合はいつでも、「アルキル」および「アリール」について上記に示した限定が包含されていると解釈されたい。炭素原子の指定数(例えば、C〜C)は、アルキル部分内炭素原子の数に対して、またはアルキルがその接頭辞根として示されたより大きな置換基内のアルキル部に対して独立して言及されるものとする。
【0047】
用語「組成物」は、本明細書で用いる場合、明示した成分を明示した量で含む生成物、ならびに明示した成分の明示した量での組み合わせにより直接または間接的にもたらされる任意の生成物を包含していることを意図する。したがって、本発明の化合物を活性成分として含む医薬組成物、ならびに本発明の化合物調製方法もまた本発明の一部である。さらに、該化合物の一部の結晶性形態は多形体として存在し得るものであり、それ自体も本発明に含まれることを意図する。また、一部の該化合物は、水(すなわち、水和物)または一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成しているものであり得、かかる溶媒和物も本発明の範囲に包含されることを意図する。
【0048】
また、本発明の化合物は薬学的に許容され得る塩の形態で存在していてもよい。薬における使用では、本発明の化合物の塩を無毒性の「薬学的に許容され得る塩」と称する。薬学的に許容され得る塩形態としては、薬学的に許容され得る酸性/アニオン性または塩基性/カチオン性の塩が挙げられる。薬学的に許容され得る酸性/アニオン性の塩は、一般的に、塩基性窒素が無機酸または有機酸でプロトン化された形態である。代表的な有機酸または無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シュウ酸、パモ酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サリチル酸、サッカリン酸またはトリフルオロ酢酸が挙げられる。薬学的に許容され得る塩基性/カチオン性の塩としては、限定されないが、アルミニウム、カルシウム、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛のものが挙げられる。
【0049】
本発明は、その範囲に本発明の化合物のプロドラッグを含む。一般に、かかるプロドラッグは、インビボで必要とされる化合物に容易に変換される該化合物の機能性誘導体である。したがって、本発明の処置方法において、用語「投与すること」は、記載の種々の障害を、具体的に開示した化合物で、または具体的に開示していないかもしれないが被検体への投与後にインビボで明示した化合物に変換される化合物で処置することを包含するものとする。好適なプロドラッグ誘導体の選択および調製のための慣用的な手順は、例えば、“Design of Prodrugs”,H.Bundgaard編,Elsevier,1985に記載されている。
【0050】
分子内の特定の位置の置換基または可変部(あれば)の定義は、該分子の別の位置における定義と独立していることを意図する。本発明の化合物における置換基および置換パターンは、当業者が、化学的に安定であり、かつ当該技術分野で知られた手法ならびに本明細書に示した方法によって容易に合成され得る化合物を得るために選択し得るものであることは理解されよう。
【0051】
本発明は、1つ以上の不斉中心を含んでいてもよく、したがってジアステレオマーおよび光学異性体が生じるものであり得る記載の化合物を含む。本発明は、かかる考えられ得るすべてのジアステレオマーならびにそのラセミ混合物、その実質的に純粋な分割されたエナンチオマー、考えられ得るすべての幾何異性体、およびその薬学的に許容され得る塩を含む。
【0052】
上記の式Iは、特定の位置において立体化学を明確にせずに示している。本発明は、式Iのあらゆる立体異性体およびその薬学的に許容され得る塩
を含む。さらに、立体異性体の混合物ならびに単離した特定の立体異性体もまた包含する。かかる化合物を調製するために使用される合成手順の過程中、または当業者に知られたラセミ化もしくはエピマー化手順の使用時、かかる手順の生成物は立体異性体の混合物であってもよい。
【0053】
式(I)の化合物の互変異性体が存在する場合、本発明は、そうでないことを明確に記載している場合を除き、考えられ得る任意の互変異性体およびその薬学的に許容され得る塩、ならびにその混合物を含む。
【0054】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容され得る塩が溶媒和物の形態または多形形態で存在している場合、本発明は、考えられ得る任意の溶媒和物および多形形態を含む。溶媒和物を形成する溶媒の型は、溶媒が薬理的に許容され得るものである限り特に限定されない。例えば、水、エタノール、プロパノール、アセトンなどが使用され得る。
【0055】
用語「薬学的に許容され得る塩」は、薬学的に許容され得る無毒性の塩基または酸から調製される塩をいう。本発明の化合物が酸性である場合、その対応する塩は、薬学的に許容され得る無毒性の塩基、例えば、無機塩基および有機塩基から簡便に調製され得る。かかる無機塩基から得られる塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第二および第一)、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(第二および第一)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩が挙げられる。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムの塩である。薬学的に許容され得る無毒性の有機塩基から得られる塩としては、第1級、第2級および第3級アミン、ならびに環状アミンおよび置換アミン(天然および合成の置換アミンなど)の塩が挙げられる。塩を形成し得る他の薬学的に許容され得る無毒性の有機塩基としては、イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N’,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが挙げられる。
【0056】
本発明の化合物が塩基性である場合、その対応する塩は、薬学的に許容され得る無毒性の酸、例えば、無機酸および有機酸から簡便に調製され得る。かかる酸としては、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンフルスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。好ましいのは、クエン酸、臭化水素酸、ギ酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸である。特に好ましいのはギ酸と塩酸である。式(I)の化合物は医薬用途が意図されるため、該化合物は、好ましくは実質的に純粋な形態で、例えば少なくとも60%純粋な、より好適には少なくとも75%純粋な、特に少なくとも98%純粋な形態で提供される(%は、重量基準である)。
【0057】
本発明の医薬組成物は、活性成分として式Iで表される化合物(またはその薬学的に許容され得る塩)、薬学的に許容され得る担体、および任意選択で他の治療用成分または佐剤を含むものである。該組成物としては、経口、経直腸、経表面ならびに非経口(例えば、皮下、筋肉内および静脈内)投与に適した組成物が挙げられるが、任意の所与の場合に最も適した経路は、活性成分の投与対象である具体的な宿主ならびに病状の性質および重症度に依存する。医薬組成物は、単位投薬形態にて簡便に提示され得、製薬技術分野でよく知られた任意の方法によって調製され得る。
【0058】
実際に、本発明の式Iで表される化合物またはそのプロドラッグもしくは代謝産物もしくは薬学的に許容され得る塩は活性成分として、医薬用担体と慣用的な製薬配合手法に従って充分に混合された状態に合わされ得る。担体は、投与に所望される調製物の形態、例えば経口または非経口(例えば静脈内)に応じて、多種多様な形態のものであり得る。したがって、本発明の医薬組成物は、各々に所定量の活性成分が含有された経口投与に適した個別単位、例えば、カプセル剤、カシェ剤または錠剤として提示され得る。さらに、該組成物を、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤(水性液中、非水性液として)、水中油型乳剤、または油中水型液状乳剤として提示してもよい。上記に示した一般的な投薬形態に加え、式Iで表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩はまた、制御放出手段および/または送達デバイスによって投与されるものであってもよい。該組成物は任意の製薬法によって調製され得る。一般に、かかる方法は、活性成分を、1種類以上の必要成分を構成している担体と合わせる工程を含むものである。一般に、該組成物は、活性成分を、液状担体または微粉化された固形担体または両方と均一に充分に混合することにより調製される。次いで、生成物は所望の提示物に簡便に成形され得る。
【0059】
したがって、本発明の医薬組成物は、薬学的に許容され得る担体と式Iの化合物または薬学的に許容され得る塩を含むものであり得る。また、式Iの化合物またはその薬学的に許容され得る塩を医薬組成物に、1種類以上の他の治療活性化合物との組合せで含めてもよい。
【0060】
使用される医薬用担体は、例えば、固形物、液状物またはガス状物であり得る。固形担体の例としては、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が挙げられる。液状担体の例は、液糖、ピーナッツ油、オリーブ油、および水である。ガス状担体の例としては、二酸化炭素および窒素が挙げられる。経口投薬形態のための該組成物の調製では、任意の簡便な医薬用媒体が使用され得る。例えば、経口液状調製物(懸濁剤、エリキシル剤および液剤など)の形成には、水、グリコール、油類、アルコール、フレーバー剤、保存料、着色剤などが使用され得;一方、経口固形調製物(散剤、カプセル剤および錠剤など)の形成には、例えば、デンプン、糖、微晶質セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などの担体が使用され得る。投与の容易性のため、錠剤およびカプセル剤が好ましい経口投薬単位であり、この場合、固形の医薬用担体が使用される。任意選択で、錠剤を標準的な水性または非水性手法によってコーティングしてもよい。
【0061】
本発明の組成物を含む錠剤は、任意選択で1種類以上の補助成分または佐剤とともに圧縮または成型することによって調製され得る。圧縮錠剤は、適当な機械で、自由流動形態(粉末または顆粒など)の活性成分を、任意選択で結合剤、滑沢剤、不活性な希釈剤、表面活性剤または分散化剤との混合状態で圧縮することにより調製され得る。成型錠剤は、適当な機械で、不活性な液状希釈剤で湿潤させた粉末化した該化合物の混合物を成型することにより作製され得る。各錠剤には、好ましくは約0.05mg〜約5gの活性成分が含有され、各カシェ剤またはカプセル剤には、好ましくは約0.05mg〜約5gの活性成分が含有される。例えば、ヒトへの経口投与が意図される製剤には約0.5mg〜約5gの活性薬剤が含有され得、適切かつ都合のよい量の担体物質(これは、組成物全体の約5から約95パーセントまでで異なり得る)が配合され得る。単位投薬形態には、一般的には約lmg〜約2g、典型的には25mg、50mg、lOOmg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mgまたはlOOOmgの活性成分が含有される。
【0062】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、活性化合物の水中の液剤または懸濁剤として調製され得る。好適な界面活性剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられ得る。また、グリセロール、液状ポリエチレングリコールおよびその混合物と油類で分散剤が調製され得る。さらに、微生物の有害な増殖を抑制するために保存料を含めてもよい。
【0063】
注射用途に適した本発明の医薬組成物としては、滅菌された水性の液剤または分散剤が挙げられる。さらに、該組成物は、かかる滅菌された注射用の液剤または分散剤の即時調製のための滅菌された粉末剤の形態であってもよい。すべての場合において、最終の注射用形態は滅菌されていなければならず、易注射針通過性のために有効に流動性でなければならない。医薬組成物は、製造条件および保存条件下で安定でなければならない;したがって、好ましくは、微生物(細菌および真菌など)の汚染作用から保存されているのがよい。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液状ポリエチレングリコール)、植物油、ならびにその適当な混合物を含む溶媒または分散媒体であり得る。
【0064】
本発明の医薬組成物は、経表面使用に適した形態、例えば、エーロゾル剤、クリーム剤、軟膏、ローション剤、粉剤などであってもよい。さらに、該組成物は、経皮デバイスにおける使用に適した形態であってもよい。このような製剤は、本発明の式Iで表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩を用いて、慣用的な処理方法によって調製され得る。一例として、クリーム剤または軟膏は、親水性物質と水を約5wt%〜約10wt%の該化合物と一緒に混合し、所望の粘稠度を有するクリーム剤または軟膏を作製することにより調製される。
【0065】
本発明の医薬組成物は経直腸投与に適した形態であってもよく、この場合、担体は固形物である。混合物は、単位用量の坐剤に形成されることが好ましい。好適な担体としては、ココアバターおよび当該技術分野で一般的に使用されている他の物質が挙げられる。坐剤は、まず該組成物を軟化または溶融させた担体(1種類または複数種)と混合した後、冷却して型で成形することにより簡便に形成され得る。
【0066】
前述の担体成分に加え、上記の医薬製剤に、適宜、1種類以上のさらなる担体成分、例えば、希釈剤、緩衝剤、フレーバー剤、結合剤、表面活性剤、増粘剤、滑沢剤、保存料(例えば、酸化防止剤)などを含めてもよい。さらに、製剤を意図されるレシピエントの血液と等張性にするために他の佐剤を含めてもよい。また、式Iで示される化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む組成物を粉末または液状濃縮物形態に調製してもよい。
【0067】
一般に、約0.01mg/kg〜約150mg/kg体重/日、あるいはまた約0.5mg〜約7g/患者/日程度の投薬量レベルが上記の病状の処置に有用である。例えば、炎症、がん、乾癬、アレルギー/喘息、免疫機構の疾患および病状、中枢神経系(CNS)の疾患および病状が、約0.01〜50mgの化合物/キログラム体重/日、あるいはまた約0.5mg〜約3.5g/患者/日の投与によって有効に処置され得る。
【0068】
しかしながら、任意の特定の患者に対する具体的な用量レベルは、さまざまな要素、例えば、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与期間、投与経路、排出速度、薬物併用および治療を施す具体的な疾患の重症度に依存することは理解されよう。
【0069】
これらおよび他の態様は、以下の本発明の記載説明から自明となろう。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本発明は、c−Met阻害活性を有する新規な化合物に関する。
本発明は、式Iのような一般的な構造:
【化9】
を有し、
式中、
Aは、5〜18員環であり;
は、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイルからなる群より選択され;
mは、0〜3の整数であり;
およびAは各々、独立して、=N−または=C(R)−から選択され;
は、=N−、=C(H)−、または=C(CN)−から選択され;
Xは、NR20、CHR21、OまたはSからなる群より選択され;ここで、R20およびR21は各々、独立して、HまたはC1〜8アルキルであり;
は、−H、ハロゲン、トリハロメチル、−CN、−NO、−NH、−OR、−NR、−S(O)0〜2、−SONR、−CO、−C(O)NR、−N(R)SO、−N(R)C(O)R、−N(R)CO、−C(O)R、および置換もしくは非置換の低級アルキルから選択され;
nは、0〜4であり;
Zは、NRまたは式II
【化10】
を有する基から選択され、
は、水素、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイルからなる群より選択され;
は、式III:
【化11】
を有する基から選択され、
式中、

【化12】
であり、
は、C(Rであり;
は、NHQであり;
は、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、または置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択され;
とBが一緒に5〜10員の置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリルを形成していてもよく;
およびRは各々、独立して、水素、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイル;置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリル;および、その薬学的に許容される塩からなる群より選択される;
好ましい一実施形態において、環Aは、さらに、O、SおよびNからなる群より選択される0〜6個のヘテロ原子を含む。
【0071】
好ましい実施形態では、Rは、水素、ハロゲン、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、(ハロ)1〜3(C1〜8)アルキル、ヒドロキシ(C1〜8)アルキル、C1〜4アルコキシ(C1〜8)アルキル、シアノ(C1〜8)アルキル、アミノ(C1〜8)アルキル、アリール(C1〜8)アルキル、ヘテロアリール(C1〜8)アルキル、ヘテロシクリル(C1〜8)アルキル、(ハロ)1〜3(C2〜8)アルケニル、ヒドロキシ(C2〜8)アルケニル、(C1〜4アルコキシ(C2〜8)アルケニル、シアノ(C2〜8)アルケニル、およびアミノ(C2〜8)アルケニル、アリール(C2〜8)アルケニル、ヘテロアリール(C2〜8)アルケニル、ヘテロシクリル(C2〜8)アルケニル、(ハロ)1〜3(C2〜8)アルキニル、ヒドロキシ(C2〜8)アルキニル、Cl−4アルコキシ(C2〜8)アルキニル、シアノ(C2〜8)アルキニル、アミノ(C2〜8)アルキニル、アリール(C2〜8)アルキニル、ヘテロアリール(C2〜8)アルキニル、ヘテロシクリル(C2〜8)アルキニル、C1〜8アルカノイル、アリール(C1〜8)アルカノイル、ヘテロアリール(C1〜8)アルカノイル、ヘテロシクリル(C1〜8)アルカノイル、Ct−8アルコキシカルボニル、アリール(C1〜8)アルコキシカルボニル、ヘテロアリール(C1〜8)アルコキシカルボニル、ヘテロシクリル(C1〜8)アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリール(C1〜8)アルキルスルホニル、ヘテロアリール(C1〜8)アルキルスルホニル、ヘテロシクリル(C1〜8)アルキルスルホニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニル(alknyl)オキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ−(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルカノイル(alknoyl)アミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ−(C1〜8アルキル)スルファモイルからなる群より選択されるから選択される。
【0072】
別の好ましい実施形態では、Rの上記のアミノ、アミノ(C1〜8)アルキル、アミノ(C2〜8)アルケニルまたはアミノ(C2〜8)アルキニルは、水素、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニルからなる群より独立して選択される2つの置換基で置換されている。
【0073】
別の好ましい実施形態では、内部のアリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル基(あれば)は、任意選択で、ハロゲノ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、(C1〜8)アルキル、(C2〜8)アルケニル、(C2〜8)アルキニル、(C1〜8)アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換基を有する。
【0074】
別の好ましい実施形態では、Rは、水素、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイルからなる群より選択される。
【0075】
別の好ましい実施形態では、Rは、式IV:
【化13】
を有する基から選択され、
式中、
は、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、および置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択され;
およびRは各々、独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイル;置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、および置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択される;
【0076】
別の好ましい実施形態では、Rは、水素、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイルからなる群より選択される。
【0077】
別の好ましい実施形態では、Rは、式V:
【化14】
を有する基から選択され、
式中、
は、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、および置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択され;
は、NR、CRからなる群より選択され;
およびRは各々、独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイル;置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、または置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択される;
【0078】
別の好ましい実施形態では、Rは、水素、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイルからなる群より選択される;
【0079】
別の好ましい実施形態では、Rは、式VI:
【化15】
を有する基から選択され、
式中、
は、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、または置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択され;
およびRは各々、独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイル;置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択される;
【0080】
別の好ましい実施形態では、Rは、式VII:
【化16】
を有する基から選択され、
式中、
は、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、または置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択され;
、RおよびR11は各々、独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、C1〜8アルコキシ、C2〜8アルケニルオキシ、C2〜8アルキニルオキシ、C1〜8アルキルチオ、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C1〜8アルキル)カルバモイル、C1〜8アルカノイルオキシ、C1〜8アルカノイルアミノ、C3〜8アルキノイルアミノ、N−(C1〜8アルキル)スルファモイル、およびN,N−ジ(C1〜8アルキル)スルファモイル;置換もしくは非置換のC1〜8アルキルアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロアリール、置換もしくは非置換のC1〜8アルキルヘテロシクリルからなる群より選択され;
およびR10は各々、独立して、置換もしくは非置換のC1〜8アルキル、置換もしくは非置換のC2〜8アルケニル、置換もしくは非置換のC2〜8アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、C1〜8アルカノイル、C1〜8アルコキシカルボニル、C1〜8アルキルスルフィニル、C1〜8アルキルスルホニル、およびアリールスルホニルからなる群より選択される;
【0081】
式Iの化合物は、動物(例えば、ヒト)においてチロシンキナーゼ酵素の活性を阻害するものであり、種々の疾患および病状の処置および/または予防に有用である。特に、本明細書に開示した化合物は、キナーゼ、特に、限定されないがc−MET、KDR、Tie−2、Flt3、FGFR3、AbI、オーロラA、c−Src、IGF−IR、ALK、c−MET、RON、PAKl、PAK2、およびTAKlの阻害薬であり、限定されないが、がんなどの増殖性疾患の処置に使用され得る。METおよびRONキナーゼは、EMTプロセスに役割を果たしていることが示されているため、式Iの化合物は、EMTが関与している種々の疾患および病状の処置および/または予防、例えば、EMTの調節不全を特徴とする病状の処置に有用である。
【0082】
具体的には、本発明の式Iの化合物は、さまざまながん、例えば限定されないが、充実性腫瘍、肉腫、線維肉腫、骨腫、黒色腫、網膜芽腫、横紋筋肉腫、膠芽腫、神経芽腫、奇形癌、造血器悪性腫瘍、および悪性腹水の処置に有用である。より具体的には、がんとしては、限定されないが、肺がん、膀胱がん、膵がん、腎臓がん、胃がん、乳がん、結腸がん、前立腺がん(骨への転移を含む)、肝細胞癌、卵巣がん、食道扁平上皮細胞癌、黒色腫、未分化大細胞リンパ腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、および膠芽腫が挙げられる。
【0083】
別の実施形態において、本発明は、治療有効量の式Iの化合物またはその薬学的に許容され得る塩と薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物に関する。また、本発明は、プロテインキナーゼ活性によって媒介される病状を有する患者を、該患者に治療有効量の上記の医薬組成物を投与することによって処置する方法に関する。
【0084】
以下の本発明の化合物は、読み手が、本発明に包含される化合物の理解を得られるよう
に示したものである。
(1)5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
(2)1−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド
(3)シクロプロパン−1,1−ジカルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド(4−フルオロ−フェニル)−アミド
(4)3−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
(5)2−(4−フルオロ−フェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
(6)2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−5−[5−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
(7)5−[5−([1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
(8)5−[5−(2,2−ジフルオロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
(9)5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[4−([1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−3−フルオロ−フェニル]−アミド
(10)5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
(11)1−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
(12)2−(4−フルオロ−フェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド;
(13)シクロプロパン−1,1−ジカルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド(4−フルオロ−フェニル)−アミド;
(14)3−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド.
(15)5−[5−(2,2−ジフルオロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(2−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
(16)5−[5−(2,2−ジフルオロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
(17)5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルアミノ)−フェニル]−アミド
(18)5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルスルファニル)−フェニル]−アミド
(19)3−メチル−2−フェニルアミノ−5−[5−(2,5,7,10−テトラオキサ−14,16−ジアザ−トリシクロ[9.8.0.013,18]ノナデカ−1(11),12,14,16,18−ペンタエン−17−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
(20)5−[5−(8,9−ジヒドロ−7H−6,10−ジオキサ−1,3−ジアザ−シクロヘプタ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
(21)2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−5−[5−(9−メチル−8,9,10,11−テトラヒドロ−7H−6,12−ジオキサ−1,3,9−トリアザ−シクロノナ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
(22)2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−5−[5−(7,8,10,11−テトラヒドロ−6,9,12−トリオキサ−1,3−ジアザ−シクロノナ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
(23)5−[5−(8,9−ジヒドロ−7H−6,10−ジオキサ−1−アザ−シクロヘプタ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
(24)2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−5−[5−(9−メチル−8,9,10,11−テトラヒドロ−7H−6,12−ジオキサ−1,9−ジアザ−シクロノナ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
(25)2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−5−[5−(7,8,10,11−テトラヒドロ−6,9,12−トリオキサ−1−アザ−シクロノナ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
(26)3−メチル−2−フェニルアミノ−5−[5−(2,5,7,10−テトラオキサ−14−アザ−トリシクロ[9.8.0.013,18]ノナデカ−1(11),12,14,16,18−ペンタエン−17−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3H−ピリミジン−4−オン
(27)5−[5−(2,2−ジフルオロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(2−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
(28)5−[5−(2,2−ジフルオロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
(29)5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルアミノ)−フェニル]−アミド
(30)5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルスルファニル)−フェニル]−アミド
(31)5−[5−(2,5,8,11,14,17−ヘキサオキサ−21−アザ−トリシクロ[16.8.0.020,25]ヘキサコサ−1(18),19,21,23,25−ペンタエン−24−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3−メチル−2−フェニルアミノ−3H−ピリミジン−4−オン
【0085】
本明細書で定義する場合、用語「被検体」は、処置、観察または実験の対象である動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトをいう。「治療有効量」という用語は、本明細書で用いる場合、組織系、動物またはヒトにおいて研究者、獣医、医師または他の臨床家が得ようとしている生物学的または医学的応答(処置対象の疾患または障害の症状の緩和が挙げられる)が誘発される活性化合物または医薬用薬剤の量を意味する。
【0086】
用語「置換されている」は、本明細書で定義する場合、列挙した置換基から独立して選択される多数の置換基(例えば、Phe、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール)、好ましくは1〜5個の置換基、より好ましくは1〜3個の置換基、最も好ましくは1〜2個の置換基を含むことである。
【0087】
本発明の化合物は不斉炭素原子を有するものであってもよい。かかるジアステレオマー(diasteromeric)混合物は個々のジアステレオマーに、その物理的化学的違いに基づいて、当業者に知られた方法によって、例えばクロマトグラフィーまたは分別結晶によって分離され得る。エナンチオマーは、エナンチオマー混合物を適切な光学活性化合物(例えば、アルコール)との反応によってジアステレオマー(diastereornric)混合物に変換し、ジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換(例えば、加水分解)することによって分離され得る。かかる異性体はすべて(例えば、ジアステレオマー混合物および純粋なエナンチオマー)、本発明の一部とみなす。
【0088】
一般に、本発明の化合物は、本発明の化合物の一般合成経路を示すスキーム1に従って調製され得るが、限定を意図しない。より具体的には、スキーム1は、キナゾリン化合物およびキノリン化合物の合成を示す。この一般合成の記載の後に、当業者が本発明のキナゾリンまたはキノリンのいずれかを作製および使用することが可能となるように具体的な実施例を示す。
【0089】
スキーム1に、例えば式IにおいてZがNRである本発明の化合物を得るために使用され得る一般手順の概要を示す。
【化17】
【0090】
4−クロロ−6,7−ジメトキシ−キナゾリン(1a)または4−クロロ−6,7−ジメトキシ−キノリン(1b)は、市販のもの、または当業者に知られた慣用的な方法によって調製されたものである。スキーム1の工程1では、アニリン2a、フェノール2bまたはチオフェノール2cによる1aまたは1bの求核置換が、トリアルキルアミンまたはアルカリ炭酸塩化(例えば、トリエチルアミン、炭酸カリウム)の存在下で容易に行なわれ得る。
【0091】
スキーム1の工程2では、工程1の中間体を適切な試薬と手順によって処理することにより、中間体3の6位と7位の両方のメチル保護基が除去される。例えば、三臭化ホウ素で0℃にて1時間、続いて室温にて4時間。
【0092】
スキーム1の工程3では、ジフェノール中間体4を適切な試薬、例えば、5(脱離基Rは、トシラート、ブロミドまたはヨージデート(iodidate)である)で、トリアルキルアミンまたはアルカリ炭酸塩化(例えば、トリエチルアミン、炭酸カリウム)の存在を伴って処理することにより、複素環式の縮合環が調製される。溶媒と反応温度の選択は高収率に重要である。この反応のための溶媒としては、DMFまたはDMSOが良い選択であろう。
【0093】
スキーム1の工程4では、パラジウム担持炭素を触媒として水素化することにより、ニトロ基の還元が行なわれる。あるいはまた、亜鉛粉末または鉄粉末でのニトロ基の還元も利用可能な選択肢である。
【0094】
スキーム1の最後の工程、最終のアミド9が、アニリン7を適切な酸8または対応する酸塩化物と、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下でカップリングさせることにより調製され得る。アニリンと酸8とのカップリングには、カップリング試薬、例えば、HOBt、DCCの使用が必要とされる。
【化18】
【0095】
枢要な中間体7のための択一的な経路をスキーム2に示す。10をアニリン11a、フェノール11bまたはチオフェノール11cとカップリングさせると、対応する枢要な中間体7が得られる。縮合環4−クロロ−キナゾリン(10a)、4−クロロ−キノリン(10b)またはアニリン11a、フェノール11bまたはチオフェノール11cは市販のもの、文献において知られたものであるか、または当業者が熟知しているさまざまな方法によって簡便に調製され得るものである。
【化19】
【0096】
式Iの最終生成物のための択一的な経路をスキーム3に示す。10をアニリン12a、フェノール12bまたはチオフェノール12cとカップリングさせると、対応する式Iの化合物が得られる。縮合環4−クロロ−キナゾリン(10a)、4−クロロ−キノリン(10b)もしくはアニリン12a、フェノール12bもしくはチオフェノール12cは市販のもの、文献において知られたものであるか、または当業者が熟知しているさまざまな方法によって簡便に調製され得るものである。
【0097】
本発明の医薬組成物を調製するためには、活性成分としての1種類以上の式(I)の化合物またはその塩を、医薬用担体と、慣用的な製薬配合手法に従って充分に混合する。該担体は、投与(例えば、経口または非経口)に所望される調製物の形態に応じて多種多様な形態が採用され得る。好適な薬学的に許容され得る担体は当該技術分野でよく知られている。このような薬学的に許容され得る担体の一例の記載は、The Handbook of Pharmaceutical Excipients(American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Society of Great Britain出版)をみるとよい。本発明の化合物の調製のためのプロセスのいずれかにおいて、関与する分子の感受性基反応性基(あれば)を保護することが必要な、および/または望ましい場合があり得る。これは、慣用的な保護基(Protective Groups in Organic Chemistry, J.F.W.McOmie編,Plenum Press,1973;およびT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991に記載のものなど)によって行なわれ得る。保護基は、後続の都合のよい段階で当該技術分野で知られた方法を用いて除去され得る。
【0098】
活性化合物の投与は、作用部位(例えば、がん細胞)への該化合物の送達を可能にする任意の方法によって行なわれ得る。このような方法としては、経口経路、経直腸経路、十二指腸内経路、非経口注射(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、血管内または輸注)、経表面投与などが挙げられる。投与される活性化合物の量は、もちろん、処置対象の被検体、罹患の重症度、投与様式および処方する医師の判断に依存する。しかしながら、有効用量は、およそ0.001mg〜約300mg(好ましくは約0.01mg〜約100mg;より好ましくは約0.1mg〜約30mg)の範囲内であり、約0.001mg/kg/日〜約300mg/kg/日(好ましくは約0.01mg/kg/日〜約100mg/kg/日;より好ましくは約0.1mg/kg/日〜約30mg/kg/日)の投薬量で施与され得る。
【0099】
該組成物は、例えば、経口投与に適した形態(錠剤、カプセル剤、丸剤、散在、徐放製剤、液剤、もしくは懸濁剤など);非経口注射に適した形態(滅菌された液剤、懸濁剤もしくは乳剤など);または経表面投与に適した形態(軟膏もしくはクリーム剤など)あるいは座剤として経直腸投与に適した形態の形態であり得る。医薬組成物は、厳密な投薬量の単回投与に適した単位投薬形態であってもよい。医薬組成物は、慣用的な医薬用担体または賦形剤と、活性成分として本発明による化合物とを含むものである。また、医薬組成物は、他の薬効薬剤または医薬用薬剤、担体、佐剤などを含むものであってもよい。
【0100】
例示的な非経口投与形態としては、滅菌水溶液(例えば、水性プロピレングリコールまたはデキストロース液)中の活性化合物の液剤または懸濁剤が挙げられる。かかる投薬形態は、所望により適切に緩衝状態にしてもよい。
【0101】
好適な医薬用担体としては、不活性な希釈剤または充填剤、水および種々の有機溶媒が挙げられる。医薬組成物には、所望により、例えば、プレーバー、結合剤、賦形剤などのさらなる成分を含有させてもよい。したがって、経口投与には、種々の賦形剤(クエン酸など)を含む錠剤が、種々の崩壊剤(デンプン、アルギン酸および特定の複合シリケートなど)ならびに結合剤(スクロース、ゼラチンおよびアカシアなど)と一緒に使用され得る。さらに、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなど)も多くの場合、打錠目的に有用である。
【0102】
また、同様の型の固形組成物を、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤で使用してもよい。したがって、好ましい材料としては、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁剤またはエリキシル剤が経口投与に所望される場合、内部の活性化合物は、種々の甘味剤またはフレーバー剤、着色物質または色素および、所望により、乳化剤または懸濁化剤と、希釈剤(水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンなど、またはその組合せ)と一緒に合わされ得る。
【0103】
また、該治療用化合物はヒト以外の哺乳動物に投与してもよい。哺乳動物に投与される投薬量は、動物の種および処置対象の疾患または障害に依存する。治療用化合物は動物に、カプセル剤、ボーラス、錠剤または液状剤ドレンチ(liquid drench)の形態で投与され得る。また、治療用化合物を動物に、注射によって、または埋入物として投与してもよい。かかる製剤は、慣用的な様式で、標準的な獣医学診療に従って調製される。択一例として、治療用化合物を動物用飼料とともに投与してもよく、この目的のために、通常の動物用飼料と混合するための濃縮型飼料添加物またはプレミックスを調製してもよい。
【0104】
本発明の使用の一例は、被検体に治療有効量の上記の任意の化合物または医薬組成物を投与することを含む、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ媒介性または血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)チロシンキナーゼ媒介性の障害の処置を、それを必要とする被検体において行なう方法である。好ましい実施形態では、該方法は、脳、肺、扁平上皮細胞、膀胱、胃、膵臓、乳房、頭部、頸部、食道、前立腺、結腸直腸、婦人科系または甲状腺のがんなどのがんの処置に関するものである。
【0105】
実施例
以下の実施例は、本発明をよりよく説明するために示す。特に記載のない限り、部およびパーセンテージはすべて重量基準であり、温度はすべて摂氏温度である。以下の略号を実施例で使用している:ATP,アデノシン三リン酸;DMF,N,N−ジメチルホルムアミド;DMSO,ジメチルスルホキシド;EtOAc,酢酸エチル;GSR,グルタチオン−S−トランスフェラーゼ;Crk,CT10(Chicken Tumor Retrovirus(ニワトリ腫瘍レトロウイルス)10);min,分;h,時間;rt,室温;SDS,ドデシル硫酸ナトリウム;SDS−PAGE,ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミド電気泳動ゲル;TLC,薄層クロマトグラフィー.
【実施例】
【0106】
実施例1
5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド(9a)
【化20】
工程1.
4−(4−アミノ−2−メチル−フェノキシ)−7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン
4−アミノ−2−フルオロ−フェノール(1.53g,12.0mmol)を乾燥DMF(30ml)に溶解させ、これに60%NaH(774mg,19.3mmol)を添加した。混合物を室温で数分間撹拌した後、4−クロロ−7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン(2.08g,6.7mmol)の乾燥DMF(40ml)懸濁液を添加した。反応混合物を室温で1〜2時間撹拌し、次いでEtOAcで希釈し、飽和NaHCO(3回)、HO(1回)、飽和NaCl(1回)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空濃縮して粗製の標題化合物(2.68g,約100%)を得、これを、さらに精製せずに次の反応に使用した。H−NMR(400MHz,DMSO):8.58(s,1H),7.80(s,1H),7.50(s,1H),7.04(t,1H),6.50(dd,2H),5.40(br s,2H),4.35(s,4H),3.87(d,4H),3.62(s,4H)。LC/MS(M+H)での計算値401.4,実測値402.5.
【0107】
工程2.
5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド
5−(4−フルオロフェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸8d(J. Med. Chem. 2008, 51, 5330-5341 )(8.0g,34.3mmol)の無水DMF(56mL)の懸濁液に、HATU(15.65g,41.2mmol)とi−PrNEt(18mL,104mmol)を氷浴温度にて窒素下で添加した。混合物は、5分間撹拌すると透明な溶液になった。この溶液に、4−(4−アミノ−2−メチル−フェノキシ)−7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン7a(7.9g,32.5mmol)をゆっくり添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、1N HCl水溶液に注入した。形成された固形物を濾過し、蒸留水で洗浄し、乾燥させた。粗製生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(1から5%までのMeOHを含むCHClで溶出)、9aを淡黄色固形物として得た(5.9g,40%),mp 188〜190℃.HPLC純度97%;H NMR (400MHz, DMSO) δ 13.13 (s, 1H), 12.68 (br s, 1H), 8.62 (m, 2H), 7.97−8.12 (m, 2H), 8.04−7.99 (m, 2H), 7.78 (m, 1H), 7.69 (m, 2H), 7.42 (d, 2H), 7.21 (m, 2H); 4.35 (s, 4H), 3.87 (d, 4H), 3.62 (s, 4H). LC/MS Calcd for (M+H) 617.6, found 617.5.
【0108】
実施例2
1−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド
【化21】
所望の標題化合物は、実施例1に記載のものと同じシーケンスと条件、および5−(4−フルオロフェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸の代わりに使用される1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(J. Med. Chem. 2008, 51, 5330-5341 )を使用することにより合成される。LC/MS(M+H)での計算値617.6,実測値617.5.
【0109】
実施例3
シクロプロパン−1,1−ジカルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド(4−フルオロ−フェニル)−アミド
【化22】
所望の標題化合物は、実施例1に記載のものと同じシーケンスと条件、および5−(4−フルオロフェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸の代わりに使用される1−(4−フルオロ−フェニルカルバモイル)−シクロプロパンカルボン酸(J. Med. Chem. 2008, 51, 5330-5341 )を使用することにより合成される。H NMR (400MHz, DMSO) δ 10.33 (s, 1H), 10.08 (s, 1H), 8.56 (m, 1H), 7.82 (m, 2H), 7.69 (m, 2H), 7.28−7.51 (m, 3H), 7.19 (m, 2H), 4.35 (s, 4H), 3.87 (d, 4H), 3.62 (s, 4H), 1.47 (s, 4H). LC/MS Calcd for (M+H) 607.6, found 607.7.
【0110】
実施例4
3−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド
【化23】
所望の標題化合物は、実施例1に記載のものと同じシーケンスと条件、および5−(4−フルオロフェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸の代わりに使用される3−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボン酸(J.Med.Chem.2008,51,5330−5341)を使用することにより合成される。LC/MS(M+H)での計算値608.6,実測値608.8.
【0111】
実施例5
2−(4−フルオロ−フェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド
【化24】
所望の標題化合物は、実施例1に記載のものと同じシーケンスと条件、および5−(4−フルオロフェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸の代わりに使用される2−(4−フルオロ−フェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(J. Med. Chem. 2008, 51, 5330-5341 )を使用することにより合成される。H NMR (400MHz, DMSO) δ 10.93 (s, 1H), 8.59 (s, 1H), 7.96 (d, 1H), 7.82 (s, 1H), 7.69 (m, 2H), 7.28−7.51 (m, 4H), 7.19 (m, 1H), 4.35 (s, 4H), 3.87 (d, 4H), 3.62 (s, 4H), 3.47 (s, 3H), 2.71 (s, 3H). LC/MS Calcd for (M+H) 634.6, found 634.8.
【0112】
実施例6
2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−5−[5−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
【化25】
2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−5−(5−ヒドロキシ−ピリジン−2−イル)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン(2.18g,7mmol)を乾燥DMF(30ml)に溶解させ、これに60%NaH(774mg,19.3mmol)を添加した。混合物を室温で数分間撹拌した後、4−クロロ−7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]−ナフタレン(2.08g,6.7mmol)の乾燥DMF(40ml)懸濁液を添加した。反応混合物を室温で1〜2時間撹拌し、次いでEtOAcで希釈し、飽和NaHCO(3回)、HO(1回)、飽和NaCl(1回)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空濃縮して粗製の標題化合物を得、さらに精製して生成物を得た(3.68g,90%)。H−NMR (400MHz, DMSO): 9.18 (s, 1H), 8.60 (m, 3H), 8.45 (d, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.82 (m, 1H), 7.55 (m, 3H), 7.21 (m, 2H), 4.35 (s, 4H), 3.87 (d, 4H), 3.62 (s, 4H). LC/MS Calcd for (M+H) 587.6, found 587.9.
【0113】
実施例7
5−[5−([1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
【化26】
2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−5−(5−ヒドロキシ−ピリジン−2−イル)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン(2.18g,7mmol)を乾燥DMF(30ml)に溶解させ、これに60%NaH(774mg,19.3mmol)を添加した。混合物を室温で数分間撹拌した後、8−クロロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン(2.08g,6.7mmol)の乾燥DMF(40ml)懸濁液を添加した。反応混合物を室温で1〜2時間撹拌し、次いでEtOAcで希釈し、飽和NaHCO(3回)、HO(1回)、飽和NaCl(1回)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空濃縮して粗製の標題化合物を得、さらに精製して生成物を得た(3.68g,90%)。H−NMR (400MHz, DMSO): 9.18 (s, 1H), 8.60 (m, 3H), 8.45 (d, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.82 (m, 1H), 7.55 (m, 3H), 7.21 (m, 2H), 4.15 (s, 2H). LC/MS Calcd for (M+H) 485.4, found 485.9.
【0114】
実施例8
5−[5−(2,2−ジフルオロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−ピリジン−2−イル]−2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン
【化27】
2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−5−(5−ヒドロキシ−ピリジン−2−イル)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン(2.18g,7mmol)を乾燥DMF(30ml)に溶解させ、これに60%NaH(774mg,19.3mmol)を添加した。混合物を室温で数分間撹拌した後、4−クロロ−7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]−ナフタレン(2.08g,6.7mmol)の乾燥DMF(40ml)懸濁液を添加した。反応混合物を室温で1〜2時間撹拌し、次いでEtOAcで希釈し、飽和NaHCO(3回)、HO(1回)、飽和NaCl(1回)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空濃縮して粗製の標題化合物を得、さらに精製して生成物を得た(3.68g,90%)。H−NMR (400MHz, DMSO): 9.18 (s, 1H), 8.70 (m, 3H), 8.55 (d, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.82 (m, 1H), 7.55 (m, 3H), 7.21 (m, 2H). LC/MS Calcd for (M+H) 521.4, found 521.6.
【0115】
実施例9
5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[4−([1,3]ジオキソロ[4,5−g]キナゾリン−8−イルオキシ)−3−フルオロ−フェニル]−アミド
【化28】
2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−5−(5−ヒドロキシ−ピリジン−2−イル)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン(2.18g,7mmol)を乾燥DMF(30ml)に溶解させ、これに60%NaH(774mg,19.3mmol)を添加した。混合物を室温で数分間撹拌した後、4−クロロ−7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1,3−ジアザ−シクロドデカ[b]−ナフタレン(2.08g,6.7mmol)の乾燥DMF(40ml)懸濁液を添加した。反応混合物を室温で1〜2時間撹拌し、次いでEtOAcで希釈し、飽和NaHCO(3回)、HO(1回)、飽和NaCl(1回)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空濃縮して粗製の標題化合物を得、さらに精製して生成物を得た(3.68g,90%)。H NMR (400MHz, DMSO) δ 13.43 (s, 1H), 12.98 (br s, 1H), 8.82 (m, 2H), 7.97−8.12 (m, 2H), 8.04−7.99 (m, 2H), 7.78 (m, 1H), 7.69 (m, 2H), 7.42 (d, 2H), 7.21 (m, 2H); 4.65 (s, 4H), . LC/MS Calcd for (M+H) 515.4, found 515.5.
【0116】
実施例10
5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド
【化29】
工程1
1−(3−ニトロ−6,7,9,10,12,13−ヘキサヒドロ−5,8,11,14−テトラオキサ−ベンゾシクロドデセン−2−イル)−エタノン
1−(6,7,9,10,12,13−ヘキサヒドロ−5,8,11,14−テトラオキサ−ベンゾシクロドデセン−2−イル)−エタノン(200mmol,51.3g)をDCM(750ml)に溶解させ、混合物を0℃まで冷却した。この冷却溶液に、硝酸(90%,300mmol,14ml)を20分間にわたって滴下した。次いで、硫酸(96.2%,300mmol,8.75 ml)を0℃で40分間にわたって滴下した。さらなる硝酸(200mmol,9.4ml)を20分間にわたって滴下した。反応混合物を水(300ml)で希釈し、水(3×200ml)、飽和NaHCO(4×200ml、または中性になるまで)で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濃縮した。粗製混合物をDMFで再結晶させ、22.5gのニトロ生成物を得た。DMF層を濃縮し、酢酸エチルで再結晶させ、さらに8.75gの生成物を得た。酢酸エチル層を濃縮し、シリカカラムで精製し(20%EtOAc/ヘキサンを使用)、さらに4.75gの生成物を得た。総収量は36g(約60%)である。H NMR (400MHz, DMSO) δ 7.82 (s, 1H), 7.61 (s, 1H), 4.35 (s, 4H), 3.87 (d, 4H), 3.62 (s, 4H), 2.71 (s, 3H). LC/MS Calcd for (M+H) 312.3, found 312.5.
【0117】
工程2
1−(3−アミノ−6,7,9,10,12,13−ヘキサヒドロ−5,8,11,14−テトラオキサ−ベンゾシクロドデセン−2−イル)−エタノン
鉄粉末(477mmol,27g)、酢酸アンモニウム(500mmol,31g)、1−(3−ニトロ−6,7,9,10,12,13−ヘキサヒドロ−5,8,11,14−テトラオキサ−ベンゾシクロドデセン−2−イル)−エタノン(120mmol,36g)、トルエン(500ml)および水(500ml)の混合物を一晩、または終了時まで還流した。混合物をセライトに通して濾過し、EtOAcで洗浄した。有機層を水と飽和NaClで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮し、生成物を得た(90%)。H NMR (400MHz, DMSO) δ 7.82 (s, 1H), 7.61 (s, 1H), 5.45 (s, 2H), 4.35 (s, 4H), 3.87 (d, 4H), 3.62 (s, 4H), 2.71 (s, 3H). LC/MS Calcd for (M+H) 282.3, found 282.5.
【0118】
工程3
7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−1H−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−オン
1−(3−アミノ−6,7,9,10,12,13−ヘキサヒドロ−5,8,11,14−テトラオキサ−ベンゾシクロ−ドデセン−2−イル)−エタノン(108mmol,29.3g)のDME(700ml)溶液に、ナトリウムメトキシド(432mmol,23.35g)を添加した。混合物を30分間撹拌した。ギ酸エチル(540mmol,44ml)を添加し、混合物を一晩撹拌した(LC/MSによってモニタリングしたとき、反応が終了していない場合は、さらなるナトリウムメトキシドが必要とされ得る)。反応が終了した後、、混合物を水(40ml)で希釈し、1M HClで酸性化して中性にした。析出物を濾過し、水で洗浄し、真空乾燥させ、22g(72%)の7,8,10,11,13,14ヘキサヒドロ−1H−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−オンを得た。H NMR (400MHz, DMSO) δ 8.58 (s, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.22 (s, 1H), 7.12 (m, 1H), 4.35 (s, 4H), 3.87 (d, 4H), 3.62 (s, 4H). LC/MS Calcd for (M+H) 292.3, found 292.5.
【0119】
工程4
4−(2−フルオロ−4−ニトロ−フェノキシ)−7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン
磁気攪拌バーを備えた丸底フラスコに、7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−1H−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−オン(12.2g,43.3mmol,1.0当量)、アセトニトリル(150ml)、DMF(150ml)および炭酸セシウム(28.2g,86.5mmol,2.0当量)を添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、この時点で、1,2−ジフルオロ−4−ニトロ−ベンゼン(7.57g,47.6mmoL、1.1当量)を10分間の期間にわたって添加した。2時間後に反応が終了し、この時点で、MeCNとDMFの75%が除去され、得られた溶液を氷水に注入した。固形物を濾過し、乾燥させ、バイオタージ(biotage)システムを用いてさらにカラム処理した。溶離剤は1:3の酢酸エチル/ヘキサンとした。溶媒を除去し、4−(2−フルオロ−4−ニトロ−フェノキシ)−7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロド−デカ[b]ナフタレンを薄緑色固形物として得た(7.4g,41%収率)。H−NMR (400MHz, DMSO): 8.58 (s, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.50 (s, 1H), 7.04 (t, 1H), 6.88 (m, 1H), 6.50 (m, 2H), 4.35 (s, 4H), 3.87 (d, 4H), 3.62 (s, 4H). LC/MS Calcd for (M+H) 431.4, found 431.5.
【0120】
工程5
4−(4−アミノ−2−フルオロ−フェノキシ)−7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン
par製水素化反応槽に、4−(2−フルオロ−4−ニトロ−フェノキシ)−7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン(0.800g,1.6mmol,1.0当量)、DMF(50ml)、EtoAc(50ml)、MeOH(50ml)、TEA(5ml)および10%Pd/C(200mg)を添加した(was)。この槽をpar製水素化装置に、35psiで一晩入れた。Pdを濾過し、溶媒を除去し、4−(4−アミノ−2−フルオロ−フェノキシ)−7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレンをオフイエロー色固形物として得た(0.78g,99%収率)。H−NMR (400MHz, DMSO): 8.58 (s, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.50 (s, 1H), 7.04 (t, 1H), 6.88 (m, 1H), 6.50 (m, 2H), 5.40 (br s, 2H), 4.35 (s, 4H), 3.87 (d, 4H), 3.62 (s, 4H). LC/MS Calcd for (M+H) 401.4, found 401.5.
【0121】
工程6
5−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド
5−(4−フルオロフェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸8d(J.Med.Chem.2008,51,5330−5341)(8.0g,34.3mmol)の無水DMF(56mL)の懸濁液に、HATU(15.65g,41.2mmol)とi−PrNEt(18mL、104mmol)を、氷浴温度にて窒素下で添加した。混合物は、5分間撹拌すると透明な溶液になった。この溶液に、4−(4−アミノ−2−フルオロ−フェノキシ)−7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン7a(7.9g,32.5mmol)をゆっくり添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、1N HCl水溶液に注入した。形成された固形物を濾過し、蒸留水で洗浄し、乾燥させた。粗製生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(1から5%までのMeOHを含むCHClで溶出)、9aを淡黄色固形物として得た(5.9g,40%),mp 188〜190℃.HPLC純度97%;H NMR (400MHz, DMSO) δ 13.13 (s, 1H), 12.68 (br s, 1H), 8.62 (m, 2H), 7.97−8.12 (m, 2H), 8.04−7.99 (m, 2H), 7.78 (m, 1H), 7.69 (m, 2H), 7.42 (d, 2H), 7.21 (m, 2H); 6.89 (m, 1H), 4.35 (s, 4H), 3.87 (d, 4H), 3.62 (s, 4H). LC/MS Calcd for (M+H) 616.6, found 616.5.
【0122】
実施例11
1−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド
【化30】
所望の標題化合物は、実施例6に記載のものと同じシーケンスと条件、および5−(4−フルオロフェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸の代わりに使用される1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸を使用することにより合成される。LC/MS(M+H)での計算値616.6,実測値616.5.
【0123】
実施例12
2−(4−フルオロ−フェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド
【化31】
所望の標題化合物は、実施例6に記載のものと同じシーケンスと条件、および5−(4−フルオロフェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸の代わりに使用される2−(4−フルオロ−フェニル)−1,5−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸を使用することにより合成される。H NMR (400MHz, DMSO) δ 10.93 (s, 1H), 8.59 (s, 1H), 7.96 (d, 1H), 7.82 (s, 1H), 7.69 (m, 2H), 7.28−7.51 (m, 4H), 7.19 (m, 1H), 6.46 (m, 1H), 4.35 (s, 4H), 3.87 (d, 4H), 3.62 (s, 4H), 3.47 (s, 3H), 2.71 (s, 3H). LC/MS Calcd for (M+H) 633.6, found 633.8.
【0124】
シクロプロパン−1,1−ジカルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド(4−フルオロ−フェニル)−アミド
【化32】

所望の標題化合物は、実施例6に記載のものと同じシーケンスと条件、および5−(4−フルオロフェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸の代わりに使用される1−(4−フルオロ−フェニルカルバモイル)−シクロプロパンカルボン酸を使用することにより合成される。1H NMR (400MHz, DMSO) δ 10.33 (s, 1H), 10.08 (s, 1H), 8.56 (m, 1H), 7.82 (m, 2H), 7.69 (m, 2H), 7.28−7.51 (m, 3H), 7.19 (m, 2H), 6.88 (m, 1H), 4.35 (s, 4H), 3.87 (d, 4H), 3.62 (s, 4H), 1.47 (s, 4H). LC/MS Calcd for (M+H)+ 606.6, found 606.7.
【0125】
実施例14
3−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボン酸[3−フルオロ−4−(7,8,10,11,13,14−ヘキサヒドロ−6,9,12,15−テトラオキサ−1−アザ−シクロドデカ[b]ナフタレン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド
【化33】
所望の標題化合物は、実施例6に記載のものと同じシーケンスと条件、および5−(4−フルオロフェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸(カルボキシlic))の代わりに使用される3−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボン酸を使用することにより合成される。LC/MS(M+H)での計算値607.6,実測値607.7.
【表1】
【0126】
薬理学的試験
以下のアッセイは、本発明の一部の特定の化合物が、細胞内でc−Metリン酸化を強力に阻害すること、インビボでc−Metを強力に阻害すること、および特定の異種移植モデルにおいて用量依存性の抗腫瘍活性を示すことことを示す。
【0127】
生物学的アッセイ
ヒトc−Metのキナーゼドメイン(KD)(GIy966からSer1390まで,NCBI NM_000245)を、pFastBac123456789 HTベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA)内でクローニングする。His−c−Met KD構築物をバキュロウイルスDNA内に、Bac−to−Bac123456789 系(Invitrogen)を用いて輸送させる。SF9細胞を組換えバキュロウイルスに感染させる。感染細胞を遠心分離によって収集し、細胞ペレットを収集し、−80℃で保存する。細胞をバッファーA(40mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris),pH7.5、500mM NaCl、20%グリセロールおよび10mMイミダゾール)中で溶解させる。細胞ライセートをホモジナイズし、遠心分離する。上清みをニッケル−ニトリロ三酢酸(Ni−NTA)樹脂とともにインキュベートし、カラム上に負荷する。タンパク質をバッファーB(バッファーA+0.3Mイミダゾール)で溶出させ、c−Met含有画分を一緒にプールし、Superdex123456789 200カラム(Amershan Bioscience,Piscataway,NJ)上に負荷し、バッファーC(40mM Tris,pH7.5、250mM NaCl、および10%グリセロール)で溶出させる。
【0128】
HGF刺激Met(pY1349)NCI−H460 Cell系ELISA NCI−H460細胞(ATCCから購入)を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を補給したRPMI 1640培地(Invitrogen)中で培養し、96ウェル平底プレート内に20,000細胞/ウェルの密度で80μL容量にてプレーティングする(70%コンフルエントになる前まで)。次いで、細胞を一晩、細胞培養インキュベータ内(5%CO,95%相対湿度(RH)および37℃)でインキュベートし、プレートに付着させる。翌朝、細胞を2容量の血清使用量低減培地(RSM)(0.5%FBSを補給したRPMI 1640培地)で洗浄する。最後の洗浄液の除去後、80μLのRSMを細胞プレートの各ウェルに添加する。細胞プレートを細胞培養インキュベータ内で2.5時間インキュベートし、次いで化合物を施与する。化合物阻害薬は、まず、100%DMSO中10mMで可溶化させ、次いで、100μMまで2%DMSO RSMで希釈する。続いて、化合物の連続希釈物(1:3)を100μMから0.005μMまでの範囲にわたって調製する。細胞に20μLの化合物ストック液の添加を行ない、最終DMSO濃度を0.4%に、および最終化合物濃度用量範囲を20〜0.001μMにする。化合物の施与後、細胞プレートを静かに攪拌して混合し、次いで、細胞培養インキュベータ内で30分間インキュベートする。施与終了後、RSM中100ng/mLの終濃度で20μL/ウェルの肝細胞増殖因子(HGF)の添加により細胞を刺激する(MINウェル以外すべてのウェルを刺激し、MINウェルには20μLのRSMを施与する)。細胞培養インキュベータ内で10分間のインキュベーション後、液状物を細胞プレートウェルから除去し、細胞を、ホスファターゼIおよびIIならびにプロテアーゼ阻害薬(Sigma,St.Louis,MO)を補給した50μLの氷冷Meso Scale Discovery123456789 (MSD,Gaithersburg,Maryland)1×Lysis Buffer(150mM NaCl、20mM Tris,pH7.5、1mM EDTA、1mMエチレングリコール四酢酸、および1%TRITON123456789 X−100)の添加によって溶解させる。室温で30分間溶解させた後、ライセートをMSD123456789 Multi−Spot 96ウェルに移して捕捉させる。
【表2】
【0129】
4スポットPhosphoMetプレートをBSAブロックし(1×Tris洗浄バッファー中30mg/mLのブロックAで)、次いで、Tris洗浄バッファーで1回洗浄する。2時間の捕捉(室温)後、ライセートをMSD123456789プレートから取り出し、プレートを1×Tris洗浄バッファーで洗浄する。ブロッティング後、25μLの5nM Sulfo−Tag Anti−Total Met抗体(検出抗体,MSD123456789,10mg/mL BSAと0.1%Blocker D−R(MSD123456789)を補給した1×Tris洗浄バッファー中で調製)をMSD123456789プレートのウェルに添加する。1時間の捕捉(室温で)後、MSD123456789プレートウェルを1×Tris洗浄バッファーで洗浄し、次いで、150μLの1×読出しバッファーT(界面活性剤を含む,MSD123456789)を添加する。読出しバッファーの添加直後、プレートをSECTOR 6000 MSD123456789Imagerプレートリーダーで解析する。MSD活性単位を使用し、プレート上の“MIN”および“MAX”対照に対する阻害パーセントを計算し、次いで、阻害パーセント値および10点用量応答データを4パラメータロジスティック方程式にフィットさせることによって、相対IC50値を求める。このアッセイの最小有意性比(Minimum Significant Ratio)(MSR)は2.06である。例示したすべての化合物で、IC50値は0.2μM未満である(表2)。例えば、このアッセイでの実施例1の平均(n=6)IC50値(50%阻害濃度)は0.0352μMであり、細胞内でc−Metリン酸化を強力に阻害することを示す。
【0130】
c−Metインビボ標的阻害アッセイ
Sl 14細胞(PHSから使用許諾,ヒトHGFおよびヒトc−Metの両方を過剰発現する)を、10%ウシ胎仔血清を補給した増殖培地(ダルベッコ改変イーグル培地)中で培養し、拡大培養する。細胞を収集し、リン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄し、2×10細胞を等容量のBD MatrigelTMマトリックス(BD Bioscience,Franklin,NJ)と混合し、ヌードマウス(胸腺欠損ヌード,Harlan(Indianapolis,IN)製)の側腹部に皮下注射する。移植の8日後、化合物(10%アカシアまたは1%カルボキシメチルセルロース/0.5%ラウリル硫酸ナトリウム/0.05%消泡剤中で懸濁剤として製剤化)を動物に、経口強制投与によって50mg/kgで投与する。投与の2時間後に動物を致死させ、腫瘍を収集して必要時まで凍結保存する。
【0131】
凍結腫瘍を、乳鉢(motar)/乳棒(pastel)を用いて粉砕する。粉砕組織を、Lysing Matrix Dビーズ(MP Biomedicals,Solon,OH)と600μLの溶解バッファー(RIPAバッファー,50mM Tris−HCl(pH7.4),150mM NaCl,1%NP−40,0.5%デオキシコール酸ナトリウム,0.1%SDS含有(Boston Bioproducts製))を入れたチューブに移す。FastPrep123456789 Cell Disrupter(MP Biomedicals)を用いて組織を破壊し、細胞を溶解させる。ライセートを20ゲージ針に通し、清浄にしたチューブに移す。タンパク質濃度をブラッドフォード法によって測定する。腫瘍ライセートをMSD123456789 リン光体−Met ELISAプレート上に負荷し、リン光体−c−Metレベルを、H460細胞系ELISAと同じプロトコルを用いて測定する。例示したすべての化合物で、Sl 14インビボ阻害値は50mg/kgの用量での50%以上である。例えば、実施例1は、2.9mg/kgのED50値(腫瘍の50%において阻害をもたらす用量)を有するc−Metリン酸化の強力なインヒビターであり、インビボで強力なc−Metインヒビターであることを示す。
【0132】
異種移植腫瘍モデル
ヒト膠芽腫細胞U87MG、ヒト胃がん細胞MKN45、ヒト非小細胞肺がん細胞H441、およびヒト腎癌細胞Caki−1を拡大培養し、収集し、胸腺欠損ヌードマウスの後側腹部に皮下注射する。試験化合物を適切なビヒクルにて調製し、腫瘍が確立されたら(移植の7〜21日後)経口強制投与によって投与する。腫瘍の応答を、腫瘍体積の測定(処置過程において週2回行なう)によって調べる。腫瘍体積阻害(成長阻害%)を、処置群をビヒクル対照群と比較することにより計算する。体重を毒性の一般的尺度とみなす。実施例1の化合物は、このモデルにおいて用量依存性の優れた抗腫瘍活性を示す。また、例えば、30mg/kg(経口(PO),1日2回(BID)×35)で投与した場合、実施例1によりU87MG腫瘍の59%の成長阻害が引き起こされ得る。60mg/kg用量(PO,BID×35)では82%の成長阻害が達成され、120mg/kg用量(PO,BID×35)では92%の成長阻害に達する。
【0133】
c−Met関連腫瘍および異種移植モデルのc−Met過剰発現は、多くのヒト腫瘍、例えば、肺、乳房、結腸直腸、胃、腎臓、膵臓、頭頸部のものによく見られる特徴である(1,2)。キナーゼドメインにおけるc−Met活性化変異は、いくつかの腫瘍、例えば、遺伝性乳頭状腎細胞癌、小児肝細胞癌および胃がんの原因であることが示唆されている(3〜7)。Pfizer製のc−Met阻害薬では、多くのヒト異種移植腫瘍、例えば、U87MG、GTL16、H441、Caki−1およびPC3において抗腫瘍有効性が示された(8)。
1. Christinsen, JG, Burrows, J., and Salgia, R. Cancer Letters 225: 1−26, 2005.
2. Birchmeier, C, Birchmeier, W., Gherardi, E., and Vande Woude, GF. Nat Rev Mol Cell Biol 4: 915−925, 2003.
3. Di Renzo, ME, Olivero, M., Martone, T. Et al. Oncogene 19: 1547−1555, 2000.
4. Lee, JH., Han, SU, Cho, H. et al. Oncogene 19: 4947−4953, 2000.
5. Ma, PC, Kijima, T., Maulik, G. et al. Cancer Res 63 : 6272−6281, 2003. 6. Park, WS., Dong, SM., Kim, SY. et al. Cancer Res 59 : 307−310, 1999.
7. Schmidt, L., Duh, FM., Chen, E, et al. Nat Genet 16: 68−73, 1997.
8. Zou, HY., Li, Qiuhua., Lee, JH., et al. Cancer Res 67: 4408−4417, 2007.
【0134】
本発明の化合物は、さまざまな経路によって投与される医薬組成物として好ましく製剤化される。最も好ましくは、かかる組成物は経口投与のためのものである。かかる医薬組成物およびその調製方法は当該技術分野でよく知られている。例えば、REMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY (A. Gennaro, et al, eds., 19th ed., Mack Publishing Co., 1995)を参照のこと。式Iの化合物は広範な投薬量範囲にわたって広く有効である。
【0135】
例えば、1日あたりの投薬量は、通常、約1mg〜約200mgの総日用量、好ましくは1mg〜150mgの総日用量、より好ましくは1mg〜50mgの総日用量の範囲である。一部の場合では、前述の範囲の下限より少ない投薬量レベルでも充分以上であり得るが、他の場合では、さらに多くの用量が使用され得る。上記の投薬量範囲は、なんら本発明の範囲を限定することを意図しない。実際に投与される化合物の量は医師により、関連する状況、例えば、処置対象の病状、選択される投与経路、実際の化合物または投与される化合物、個々の患者の年齢、体重および応答、ならびに患者の症状の重症度に鑑みて決定されることは理解されよう。