特許第5770299号(P5770299)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770299
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   D06B 11/00 20060101AFI20150806BHJP
   D06C 23/00 20060101ALI20150806BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20150806BHJP
   B41J 2/155 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   D06B11/00 A
   D06C23/00
   B41J2/01 121
   B41J2/155
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-536171(P2013-536171)
(86)(22)【出願日】2012年9月14日
(86)【国際出願番号】JP2012073603
(87)【国際公開番号】WO2013047234
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年3月5日
(31)【優先権主張番号】特願2011-217823(P2011-217823)
(32)【優先日】2011年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135448
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 義彦
(72)【発明者】
【氏名】川口 和穂
(72)【発明者】
【氏名】村上 博一
【審査官】 松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−239968(JP,A)
【文献】 特開2000−079696(JP,A)
【文献】 特開2000−255053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06B 11/00
B41J 2/01
B41J 2/155
D06C 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布帛を搬送し、搬送される布帛にインクを吐出して、布帛に画像を記録するインクジェット記録装置であって、
布帛を第一方向に搬送する搬送部と、
ドロップオンデマンド型で、且つ、前記搬送部にて搬送される布帛にインクを吐出するノズルが、前記第一方向に交差する第二方向において、布帛の幅以上の範囲に配列して形成されたライン型のインクジェットヘッドが、前記第一方向に複数個配列されて形成された記録部と、
前記記録部にて画像が記録された布帛を乾燥させる乾燥部と、
加湿エアを吹き出すための吹出口から、前記インクジェットヘッドに対して加湿エアを供給する加湿部と、
前記インクジェットヘッドを加熱する加熱部と、を備え
前記加湿部は、前記吹出口が複数個形成された供給部が前記第一方向に複数個配列された前記インクジェットヘッドの間に設けられ、
前記複数個の吹出口のうちの第一吹出口は、加湿エアの吹き出し方向が、前記供給部に対して前記第一方向の上流側となる前記インクジェットヘッドの側となる状態で、前記供給部に形成され、
前記複数個の吹出口のうちの第二吹出口は、加湿エアの吹き出し方向が、前記供給部に対して前記第一方向の下流側となる前記インクジェットヘッドの側となる状態で、前記供給部に形成され、
前記加熱部は、前記インクジェットヘッドに内蔵されている、インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記乾燥部から前記記録部の側への空気の流れを遮蔽する遮蔽部を備える、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記遮蔽部は、前記記録部を覆い、収容する、請求項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記記録部を覆い、収容する遮蔽部を備え、
前記加湿部は、前記記録部が収容された前記遮蔽部の内部空間に加湿エアを供給する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記記録部が収容された前記遮蔽部の内部空間を空調する空調部を備える、請求項又は請求項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
布帛は、長尺状であって、
布帛を、前記搬送部の側に繰り出す導入部を備え、
前記搬送部は、前記導入部から繰り出された布帛を前記第一方向に搬送する、請求項1から請求項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
布帛は、長尺状であって、
前記乾燥部にて乾燥された布帛を回収する回収部を備える、請求項1から請求項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
基準画像に対応した基準画像データを記憶する記憶部と、
前記記録部にて布帛に記録された画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部にて撮像された画像に対応する撮像画像データと、前記基準画像データと、を比較する画像解析部と、
前記撮像画像データが、前記基準画像データに対して予め定めた基準範囲内の画像データではない場合、前記インクジェットヘッドからのインクの吐出を停止するように制御する記録制御部と、を備える、請求項1から請求項の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドロップオンデマンド型で、且つ、ライン型のインクジェットヘッドを含む記録部にて、布帛に画像を記録し、画像が記録された布帛を、乾燥部にて乾燥させる、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録に関する技術が提案されている。特許文献1には、プリント装置が開示されている。このプリント装置は、導入部、搬送部、プリント部、予備乾燥部、乾燥部及び振り落とし部等を備えている。導入部は、ロール状あるいは箱に収容された布帛を、しわ伸ばし等を行いながら搬送部の所定位置に導入する部分である。搬送部は、導入部に隣接配置され、導入された布帛を搬送ベルトによってプリント部側へと搬送する部分である。プリント部は、コンティニュアス型インクジェット方式によって布帛に絵柄や文字等を描画する部分である。プリント部は、布帛の幅以上に搬送方向に直交させて対向配置され、使用するインクの色数に対応した複数列のラインヘッドを有している。プリント部は、オンデマンド型のインクジェット方式であってもよい。予備乾燥部は、プリント処理が施された布帛からインク中の蒸発成分をヒータ等によって、少なくとも20%以上乾燥させる部分である。乾燥部は、予備乾燥部で乾燥された布帛からインク中の蒸発成分を更に、例えば85%以上乾燥させる部分である。プリント装置では、インク滴が適正位置に付着するように自動調整が行われる。自動調整は、フィルム上にテストパターンを描画し、このテストパターンをCCDカメラで読み取って画像処理し、この画像処理した情報を各種制御情報として各ラインヘッドの作動をフィードバック制御して行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−240022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
布帛を対象として、画像の記録を行うインクジェット記録装置では、紙等を対象とした画像の記録の場合とは異なる点に留意する必要がある。その一つが、画像を記録した後の品質の低下である。そのため、布帛を対象としたインクジェット記録装置では、布帛に画像を記録する記録部に連続して、布帛(布帛上インク)を乾燥させる乾燥部が設けられる。
【0005】
記録部の近くに乾燥部が設けられると、記録部に含まれるインクジェットヘッドに形成されたノズルの乾燥が、問題となることがある。即ち、布帛を乾燥させるための要素(熱、除湿等)の影響を受けて、ノズルが乾燥し易くなる。ドロップオンデマンド型で、且つ、ライン型のインクジェットヘッドを含む記録部を備えるインクジェット記録装置によれば、高速に好適な画像を記録することができる。しかし、ノズルが乾燥してしまうと、ノズルにインクが詰まってしまい、安定したインクの吐出が阻害され、このような機能を発揮することができなくなる場合もある。従って、ノズルの乾燥は、前述したようなインクジェット記録装置では、布帛に対して、高速に画像を記録し、且つ、記録された画像の品質を維持する上で、解決すべき一つの課題となる。
【0006】
本発明は、布帛に、高速で且つ高品質の画像を記録することができる、ドロップオンデマンド型で、且つ、ライン型のインクジェットヘッドを含む記録部を備えるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面のインクジェット記録装置は、布帛を搬送し、搬送される布帛にインクを吐出して、布帛に画像を記録するインクジェット記録装置であって、布帛を第一方向に搬送する搬送部と、ドロップオンデマンド型で、且つ、前記搬送部にて搬送される布帛にインクを吐出するノズルが、前記第一方向に交差する第二方向において、布帛の幅以上の範囲に配列して形成されたライン型のインクジェットヘッドが、前記第一方向に複数個配列されて形成された記録部と、前記記録部にて画像が記録された布帛を乾燥させる乾燥部と、加湿エアを吹き出すための吹出口から、前記インクジェットヘッドに対して加湿エアを供給する加湿部と、前記インクジェットヘッドを加熱する加熱部と、を備え、前記加湿部は、前記吹出口が複数個形成された供給部が前記第一方向に複数個配列された前記インクジェットヘッドの間に設けられ、前記複数個の吹出口のうちの第一吹出口は、加湿エアの吹き出し方向が、前記供給部に対して前記第一方向の上流側となる前記インクジェットヘッドの側となる状態で、前記供給部に形成され、前記複数個の吹出口のうちの第二吹出口は、加湿エアの吹き出し方向が、前記供給部に対して前記第一方向の下流側となる前記インクジェットヘッドの側となる状態で、前記供給部に形成され、前記加熱部は、前記インクジェットヘッドに内蔵されている。このインクジェット記録装置では、好適にノズルを加湿することが可能で、ノズルの乾燥に伴う、インク詰まりを抑制することができる。効率よくノズルを加湿することができる。インクジェットヘッドを好適に加熱することができる。加湿に伴い、インクジェットヘッドが結露するといった状態の発生を抑制することができる。従って、布帛に、高速で且つ高品質の画像を記録することができる、ドロップオンデマンド型で、且つ、ライン型のインクジェットヘッドを含む記録部を備えるインクジェット記録装置とすることができる。
【0008】
このインクジェット記録装置は、次のようにすることもできる。前記乾燥部から前記記録部の側への空気の流れを遮蔽する遮蔽部を備える、ようにしてもよい。これによれば、記録部に対する乾燥部の影響を抑制することができる。この場合、前記遮蔽部は、前記記録部を覆い、収容する、ようにしてもよい。これによれば、記録部に対する乾燥部の影響をさらに抑制することができる。また、前記記録部を覆い、収容する遮蔽部を備え、前記加湿部は、前記記録部が収容された前記遮蔽部の内部空間に加湿エアを供給する、ようにしてもよい。これによれば、内部空間を加湿エアで満たされた状態とすることで、インクジェットヘッドに対して加湿エアを供給すると共に、記録部に対する乾燥部の影響をさらに抑制することができる。さらに、前記記録部が収容された前記遮蔽部の内部空間を空調する空調部を備える、ようにしてもよい。これによれば、記録部が収容された遮蔽部の内部空間を、加湿に好適な環境とすることができる。加湿に伴い、インクジェットヘッドが結露し易くなるが、この結露の発生を抑制することができる。
【0009】
布帛は、長尺状であって、布帛を、前記搬送部の側に繰り出す導入部を備え、前記搬送部は、前記導入部から繰り出された布帛を前記第一方向に搬送する、ようにしてもよい。これによれば、長尺状の布帛に対して連続して画像を記録するようなインクジェット記録装置において、上述したような好適な機能を得ることができる。
【0010】
布帛は、長尺状であって、前記乾燥部にて乾燥された布帛を回収する回収部を備える、ようにしてもよい。これによれば、長尺状の布帛に対して連続して画像を記録するようなインクジェット記録装置において、好適な画像が記録された長尺状の布帛を、回収することができる。
【0011】
上述した何れかのインクジェット記録装置は、基準画像に対応した基準画像データを記憶する記憶部と、前記記録部にて布帛に記録された画像を撮像する撮像部と、前記撮像部にて撮像された画像に対応する撮像画像データと、前記基準画像データと、を比較する画像解析部と、前記撮像画像データが、前記基準画像データに対して予め定めた基準範囲内の画像データではない場合、前記インクジェットヘッドからのインクの吐出を停止するように制御する記録制御部と、を備える、ようにしてもよい。これによれば、ノズルの乾燥に伴うインク詰まりを好適に発見し、対応することができる。例えば、加湿部による加湿エアの供給を、好適な状態に設定し直すといった対応を取ることができる。この他、空調部を備えるインクジェット記録装置においては、空調部による内部空間の温度及び湿度が、好適な状態となるよう、空調部を設定し直すといった対応を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す図である。
図2】記録部及び加湿部の概略構成の一例を示す図である。
図3】加湿部に含まれる供給部の概略構成の一例であって、図2のZ方向矢視図である。
図4図3に示すM−M線断面図である。
図5】吐出判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。図1及び図4に示すハッチングは、断面を示すものである。
【0014】
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置1について、図1図4を参照して説明する。インクジェット記録装置1は、導入部10と、搬送部20と、記録部40と、加湿部50と、遮蔽部60と、空調部70と、乾燥部80と、回収部90とを備える。インクジェット記録装置1は、画像(柄模様)が記録される各種の記録媒体のうち、布帛3を対象としたインクジェット記録装置である。即ち、インクジェット記録装置1では、インクジェット記録装置1に接続されたパーソナルコンピュータのような外部装置から入力された画像データに従い、布帛3にインクが吐出され、布帛3に、入力された画像データに対応した画像が、記録される。布帛3としては、各種材質による繊維織物が含まれる。図1に示す例では、布帛3は、所定の幅の長尺状である。長尺状の布帛3は、導入部10の側から回収部90の側に、順次送られる。布帛3の送りは、インクジェット記録装置1が備える、複数の送りローラ5と、搬送部20とにて実現される。
【0015】
導入部10は、長尺状の布帛3を、繰り出し、複数の送りローラ5を介して、搬送部20に供給する。長尺状の布帛3は、導入用の台車13に収容された状態で、導入部10にセットされる。台車13に収容された布帛3は、例えば、左右交互に折り畳まれた状態とされる。導入部10では、布帛3に生じたしわが伸ばされる等、布帛3の状態が是正される。導入部10には、センタリングローラと、位置検知センサとを含ませることもできる。センタリングローラは、台車13から繰り出された供給途中の布帛3の幅方向の位置を、調整する。位置検知センサは、センタリングローラを通過している布帛3の少なくとも一方の側辺部を検知する。インクジェット記録装置1では、位置検知センサからの検知信号に従い、センタリングローラを通過し、幅方向の位置が調整された布帛3の側辺部が、所定の位置にあるかが監視される。センタリングローラを通過した布帛3は、さらに、送りローラ5を介して、搬送部20の側に供給される。導入部10における布帛3の経路は、諸条件を考慮して適宜設定される。
【0016】
搬送部20は、導入部10から供給された布帛3を、記録部40を通過させ、乾燥部80の側に搬送する。搬送部20は、一対の第一ローラ21及び第二ローラ23と、搬送ベルト25とを含む。第一ローラ21は、記録部40より第一方向の上流側に設けられている。第一方向は、搬送部20にて布帛3が搬送される搬送方向に一致する方向である。第二ローラ23は、記録部40より第一方向の下流側に設けられている。搬送ベルト25は、環状とされた無端ベルトであって、第一ローラ21及び第二ローラ23に張架されている。例えば、第一方向の下流側の第二ローラ23が、不図示の駆動部の駆動力によって、第一方向に対応した方向に回転することで、搬送ベルト25が、これと同一方向に回転する。図1に基づけば、第二ローラ23は、反時計回り(第二ローラ23内の矢印参照)に回転する。このとき、第一方向の上流側の第一ローラ21は、従動して回転する。
【0017】
搬送ベルト25の表面である搬送面27には、全周に亘って粘着部が形成されている。搬送部20の第一方向の上流側の端部には、押圧ローラ30が、搬送面27(粘着部)に対向するようにして設けられている。押圧ローラ30は、導入部10から供給された布帛3を、粘着部が形成された搬送面27に対して、押圧する。布帛3は、粘着部にて搬送面27に固定され、固定された状態で、第一方向に搬送される。搬送部20の第一方向の下流側の端部の上方には、剥離ローラ32が設けられている。剥離ローラ32は、不図示の駆動部の駆動力によって、第一方向に対応した方向に回転する。図1に基づけば、剥離ローラ32は、反時計回り(剥離ローラ32の外周に示す矢印参照)に回転する。剥離ローラ32は、搬送ベルト25(第二ローラ23)の回転に同期して回転する。布帛3に接する剥離ローラ32の外周面は、布帛3との間で所定の摩擦力が発生するような状態をなしている。剥離ローラ32が回転すると、搬送部20にて搬送されている布帛3は、剥離ローラ32の側に引っ張られる。これによって、画像が記録された状態で搬送されている布帛3は、後述する撮像部100を通過した所定の位置で、粘着部から剥離される。
【0018】
記録部40は、図2に示すように、インクジェットヘッド41C,41M,41Y,41Kを含む。インクジェットヘッド41C,41M,41Y,41Kには、インクを吐出するノズルが形成されている。インクジェットヘッド41Cは、シアンインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド41Mは、マゼンタインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド41Yは、イエローインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド41Kは、ブラックインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド41C,41M,41Y,41Kを含む記録部40によれば、フルカラーの画像を、布帛3に記録することができる(図2で、第一方向の下流側に示す布帛3に付された網目模様参照)。
【0019】
画像の記録に、シアン、マゼンタ、イエローの各色の淡色系の、ライトシアン、ライトマゼンタ、ライトイエロー、及び/又は、クリアを用いる場合、記録部40は、これら各色のインクを吐出するインクジェットヘッドを、それぞれ含む。インクジェットヘッド41C,41M,41Y,41Kは、何れも、同一の構成を有する(他の色が用いられる場合、他の色のインクを吐出するインクジェットヘッドについても同じ)。本実施形態では、インクジェットヘッド41C,41M,41Y,41Kを、区別しない場合又はこれらを総称する場合、単に、「インクジェットヘッド41」という。
【0020】
画像の記録には、各種のインクが用いられる。例えば、着色料及び添加剤を含有し、水を媒体とする水系インクが用いられる。インクに用いる着色料としては、例えば、反応染料、酸性染料、直接染料、分散染料等の染料が例示される。着色料として、顔料を用いることもできる。インクには、必要に応じて分散剤、消泡剤、浸透剤、濃染剤、pH調整剤等を、添加してもよい。インクジェット記録装置1において、各色のインクは、対応した色のインクのためのインクタンク(不図示)に貯留され、各色のインク供給ラインにて、各色のインクジェットヘッド41に、それぞれ供給される。
【0021】
インクジェットヘッド41C,41M,41Y,41Kは、図2に示すように、第一方向に配列される。配列順序は、適宜設定される。例えば、図2に示す記録部40では、第一方向の上流側から、インクジェットヘッド41K、インクジェットヘッド41C、インクジェットヘッド41M、インクジェットヘッド41Yの順で配列される。インクジェットヘッド41は、布帛3の幅方向に、布帛3を横断するように設けられる。インクジェットヘッド41は、ドロップオンデマンド型のインクジェットヘッドである。ドロップオンデマンド型のインクジェットヘッド41では、搬送部20にて布帛3が搬送され、画像を記録するタイミングで、インクジェットヘッド41に形成されたノズルからインクが吐出される。ドロップオンデマンド型のインクジェットヘッド41におけるインクの吐出方式には、ピエゾ方式と、サーマル方式とがある。インクジェットヘッド41は、搬送部20にて搬送される布帛3にインクを吐出するノズルが、第二方向において、布帛3の幅以上の範囲に配列して形成されたライン型のインクジェットヘッドでもある。第二方向は、布帛3の搬送方向に一致する第一方向に交差、具体的には直交する方向であって、布帛3の幅方向に一致する方向である。
【0022】
加湿部50は、インクジェットヘッド41に対して加湿エアを供給する。加湿部50から供給される加湿エアによれば、インクジェットヘッド41に形成されたノズルの乾燥を抑制することができる。加湿部50は、図2に示すように、加湿本体51と、複数の供給部55とを含む。加湿本体51と複数の供給部55とは、供給流路53にて接続されている。加湿本体51は、加湿エアを発生させる発生源である。加湿本体51としては、超音波式、スチーム式、又は、気化式等、各種方式の加湿装置を採用することができる。供給流路53は、加湿本体51で発生された加湿エアを、複数の供給部55のそれぞれに流すための流路である。供給部55は、供給流路53を流れて到達した加湿エアを、インクジェットヘッド41に供給するための構成である。複数の供給部55は、第一方向において、インクジェットヘッド41それぞれの間と、インクジェットヘッド41Kの第一方向の上流側と、インクジェットヘッド41Yの第一方向の下流側とに設けられている。複数の供給部55は、同一の構成を有する。
【0023】
供給部55には、図3及び図4に示すように、供給部55の外周を貫通する吹出口57が複数個形成されている。供給流路53を通過して供給部55の内部空間59(図4参照)に到達した加湿エアは、複数の吹出口57から吹き出される。吹出口57は、供給部55が図2に示すように設けられた状態において、鉛直方向の下側となる、供給部55の外周に形成されている。このような領域において、複数の吹出口57は、第二方向に、例えば、千鳥状となるように形成される(図3参照)。本実施形態では、第一方向の上流側の位置で、第二方向に並んで形成された吹出口57(図3に示す一点鎖線「L1」上の「吹出口57」参照)を、「上流側の吹出口57」という。第一方向の下流側の位置で、第二方向に並んで形成された吹出口57(図3に示す一点鎖線「L2」上の「吹出口57」参照)を、「下流側の吹出口57」という。上流側の吹出口57と下流側の吹出口57とは、鉛直方向(Z方向は、鉛直方向の上側となる方向)の中心線「L3」に対して、それぞれ反対方向に、同一の角度θだけ、傾斜して開口している。
【0024】
従って、上流側の吹出口57からは、第一方向の上流側に、加湿エアが吹き出す。上流側の吹出口57からの加湿エアは、各供給部55の上流側に並んで設けられたインクジェットヘッド41に、供給される。下流側の吹出口57からは、第一方向の下流側に、加湿エアが吹き出す。下流側の吹出口57からの加湿エアは、各供給部55の下流側に並んで設けられたインクジェットヘッド41に、供給される。インクジェットヘッド41Kの第一方向の上流側に供給部55を設けた場合、その供給部55に形成された上流側の吹出口57は、省略してもよい。インクジェットヘッド41Yの第一方向の下流側に供給部55を設けた場合、その供給部55に形成された下流側の吹出口57は、省略してもよい。
【0025】
遮蔽部60は、記録部40を覆い、収容するための内部空間61を有するボックスである。遮蔽部60の第一方向に交差(直交)する側壁63,65のうち、第一方向の上流側の側壁63には、導入部10から供給される布帛3が通過できる開口67が形成されている。第一方向の下流側の側壁65には、剥離ローラ32によって、搬送ベルト25の粘着部から剥離された布帛3が通過できる開口69が形成されている。側壁65に形成される開口69は、乾燥部80からの空気の流れを遮蔽できる位置に、この空気の流入を抑制できる大きさ(面積)で形成される。
【0026】
空調部70は、記録部40が収容された遮蔽部60の内部空間61を空調する。空調部70は、例えば、エアコンディショナによって構成される。空調部70によれば、遮蔽部60の内部空間61の温度及び湿度を、所定の状態に管理することができる。空調部70は、例えば、図1に示すように、遮蔽部60の上面に取り付けられる。空調部70は、遮蔽部60の側壁外面の何れに取り付けられてもよい。
【0027】
乾燥部80は、熱源となるヒータ及びブロア等を含み、画像が記録され、搬送ベルト25の粘着部から剥離された布帛3(布帛3上のインク)を乾燥させる。布帛3は、乾燥部80の内部を、回収部90の側に送られる。乾燥部80は、例えば、仮乾燥部と、本乾燥部といった、乾燥機構によって構成され、布帛3を二段階に分けて乾燥するようにしてもよい。乾燥部80による乾燥は、熱による乾燥の他、除湿によってもよい。この場合、乾燥部80は、除湿装置を含む。
【0028】
回収部90は、乾燥部80にて乾燥された布帛3を、回収する。回収部90は、振り落とし部91を含む。振り落とし部91は、不図示の駆動部にて、鉛直方向の上側の部分を支点として第一方向及びその反対方向に揺動し(図1で振り落とし部91に近接して記載の両矢の矢印参照)、乾燥部80の側から送られてくる布帛3を、回収用の台車93に回収する。長尺状の布帛3は、供給前と同様、左右交互に折り畳まれた状態で、台車93に収容される。回収部90にて回収され、台車93に収容された布帛3は、次の工程、例えば、発色工程に移動される。
【0029】
この他、インクジェット記録装置1は、撮像部100と、制御部110と、記憶部112とを備える。撮像部100は、記録部40より第一方向の下流側の位置で、搬送部20の上方から搬送面27の側を撮像できるように、設けられている。撮像部100は、記録部40にて布帛3に記録された画像を撮像する。制御部110は、ハードウェア的には、例えば、CPUと、ROMと、RAMとを含む。制御部110は、インクジェット記録装置1で実行される各種の動作及び処理を制御する。その際、CPUは、ROMに記憶された、各種の動作及び処理のためのコンピュータプログラムを、適宜、RAM上で実行する。例えば、制御部110は、外部装置から入力された画像データに従い、インクジェットヘッド41C,41M,41Y,41Kの各ノズルから、各色のインクが吐出されるように制御する。これによって、搬送部20にて搬送されている布帛3には、所定の画像が記録される。制御部110は、図5に示す吐出判定処理を制御する。記憶部112は、各種のデータを記憶する。例えば、吐出判定処理で利用される、基準画像に対応した基準画像データを記憶する。基準画像(基準画像データ)は、布帛3に記録された画像が、所定の品質が維持された状態であるか否かを判定するための判定基準となる。
【0030】
<吐出判定処理>
吐出判定処理について、図5を参照して説明する。吐出判定処理は、インクジェット記録装置1で、布帛3への画像の記録がなされる、所定のタイミングで実行される。例えば、画像の記録の開始と共に開始され、画像の記録がなされている間、連続的に実行される。この他、画像の記録開始前の調整時に、インクジェット記録装置1の操作者が外部装置に入力したこの処理の開始を指示する指令が、インクジェット記録装置1に入力された場合に、開始される。この処理を開始した制御部110は、記録部40にて布帛3に記録された画像を撮像した撮像画像データを取得する(S10)。このとき、制御部110は、撮像部100を制御する。撮像部100は、搬送部20にて搬送されている布帛3に記録された画像を撮像する。続けて、制御部110は、記憶部112から基準画像データを読み出し、基準画像データを取得する(S12)。撮像画像データ及び基準画像データは、共に、制御部110内のRAMに記憶される。
【0031】
次に、制御部110は、RAMに記憶された撮像画像データ及び基準画像データを画像解析し、両画像データを比較する(S14)。S14では、既に提案された画像解析手法が用いられる。続けて、制御部110は、撮像画像データが基準画像データに対して予め定めた基準範囲内の画像データであるかを判定する(S16)。例えば、インクジェットヘッド41に形成されたノズルが乾燥し、乾燥したノズルからインクが吐出されていないとする。このような場合、撮像画像データは、基準画像データに対して基準範囲内の画像データではない、と判定される(S16:No)。この場合、制御部110は、インクジェットヘッド41からのインクの吐出を停止するように制御する(S18)。その後、記録部40に対して、メンテナンス動作が実行される。メンテナンス動作では、インクジェットヘッド41に形成されたノズルから、強制的にインクが吐出される等して、インクの詰まりが解消される。
【0032】
ノズルの乾燥が発生しておらず、好適にインクが吐出されているような場合、撮像画像データは、基準画像データに対して基準範囲内の画像データである、と判定される(S16:Yes)。S16の判定が肯定された場合(S16:Yes)、又は、S18が実行された場合、制御部110は、吐出判定処理を終了する。
【0033】
<本実施形態の効果>
本実施形態によれば、記録部40にて画像が記録された布帛3を乾燥させるため、記録部40に連続して乾燥部80が設けられたインクジェット記録装置1において、インクジェットヘッド41に形成されたノズルの乾燥を抑制することが可能となり、インク詰まりの発生を抑制することができる。そのため、ドロップオンデマンド型で且つライン型のインクジェットヘッド41からのインク吐出を安定させ、長尺状の布帛3に対して、好適な品質の画像を、記録することができる。
【0034】
<変形例>
本実施形態は、次のようにすることもできる。下記に示す変形例の構成は、他の変形例に、適宜適用することもできる。
【0035】
(1)上記では、長尺状の布帛3に、画像を記録する場合を例として説明した。記録媒体としての布帛3は、長尺状ではなく、搬送部20の第一方向の上流側に、その全体を載せ置くことができる程度の大きさに裁断等されたものであってもよい。このような形状の布帛に画像を記録する場合、インクジェット記録装置1では、導入部10及び回収部90は、省略されてもよい。画像の記録に際し、布帛は、搬送部20の第一方向の上流側に載せ置かれ、搬送部20にて記録部40の側に搬送される。記録部40では、搬送部20にて搬送されている布帛に対して、画像が記録される。画像が記録された布帛は、記録部40を通過し、乾燥部80に導入される。画像が記録された布帛は、乾燥部80を通過した後、作業者等にて、インクジェット記録装置1から取り除かれる。布帛は、搬送部20による搬送中に、画像が記録される面に、しわ等が生じないようにするため、所定の枠等によって、外周部が固定された状態で搬送される。枠等によって固定された布帛が、記録部40を通過して搬送部20の下流側に到達したとき、この布帛が、乾燥部80にスムーズに導入されるようにするため、搬送部20及び乾燥部80の高さは、調整された状態とされる。例えば、搬送部20の搬送面27の高さと、乾燥部80内の搬送面の高さは、同様の高さに設定される。
【0036】
(2)上記では、左右交互に折り畳まれた状態とされた長尺状の布帛3を、導入部10で繰り出すような構成を例として説明した。長尺状の布帛3は、コイル状に巻き取られたものであってもよい。この場合、導入部は、コイル状に巻き取られた布帛3を繰り出すための供給ローラを含む。乾燥部80にて乾燥された布帛3の回収についても、振り落とし部91を含む回収部90にて、布帛3を左右交互に折り畳まれた状態とすることとした。この場合についても、乾燥部80にて乾燥された布帛3を、ロール状に巻き取り、回収するようにしてもよい。この場合、回収部は、振り落とし部91を含まず、長尺状の布帛3を巻き取るための巻取部を含む。
【0037】
(3)上記では、インクジェットヘッド41の間と、インクジェットヘッド41Kの第一方向の上流側と、インクジェットヘッド41Yの第一方向の下流側とに供給部55を設け(図2参照)、加湿本体51からの加湿エアを、供給部55に形成された吹出口57から吹き出させることで、インクジェットヘッド41に加湿エアを供給する加湿部50を例として説明した。このような各位置に設けられた複数の供給部55のうち、何れかの供給部55は、省略してもよい。例えば、インクジェットヘッド41Kの第一方向の上流側に設けられた供給部55、及び/又は、インクジェットヘッド41Yの第一方向の下流側に設けられた供給部55は、省略してもよい。インクジェットヘッド41Kの第一方向の上流側と、インクジェットヘッド41Yの第一方向の下流側との、少なくとも何れかに供給部55が設けられる場合、インクジェットヘッド41の間に設けられた供給部55は、省略してもよい。
【0038】
この他、第二方向において、加湿エアを、インクジェットヘッド41の側に吹き出し、インクジェットヘッド41に加湿エアを供給するようにしてもよい。この場合、図2図4に示すような形状をした供給部は、第一方向に平行となるように設けられる。その際、吹出口は、第二方向において、インクジェットヘッド41の側に向けられる。
【0039】
さらに、空調部70と同様、加湿本体51を、遮蔽部60の外面に取り付けると共に、遮蔽部60に形成された開口部に吹出口を設けた構成の加湿部としてもよい。この場合、加湿エアは、遮蔽部60の内部空間61に供給され、内部空間61は、加湿エアで満たされた状態となる。インクジェットヘッド41に対する加湿エアの供給は、加湿エアの流れによって、インクジェットヘッド41に形成されたノズルから吐出されたインクの飛翔が阻害されないようにして行われる。例えば、加湿エアの供給方向及び/又は供給タイミングが、適宜設定される。加湿エアの供給タイミングに関し、インクの吐出が実行されているタイミングでは、制御部110は、加湿エアの供給が過度とならないよう、加湿部50を制御する。図2に示すように、複数の供給部55を含む加湿部50であれば、供給流路53の途中に電磁弁のようなバルブ機構を設け、加湿エアが供給される供給部55を切り替えられるようにし、加湿エアの供給が過度とならないようにしてもよい。
【0040】
(4)上記では、遮蔽部60で、記録部40を覆い、収容する、換言すれば、遮蔽部60をボックス状とし、遮蔽部60の内部空間61に、記録部40を収容する構成を例として説明した。遮蔽部は、カーテン状としてもよい。カーテン状の遮蔽部(遮蔽幕)は、第一方向において、記録部40と乾燥部80との間の位置、例えば、側壁65が設けられた位置に設けられる。カーテン状の遮蔽部によっても、乾燥部80から記録部40の側への空気の流れを遮蔽することができる。
【0041】
(5)インクジェットヘッド41に、加熱部を取り付けた構成としてもよい。加熱部は、例えば、電気ヒータで構成される。加熱部は、インクジェットヘッド41に内蔵される。この他、インクジェットヘッド41の外周側面に、加熱部としての電気ヒータを貼り付けてもよい。インクジェットヘッド41を加熱することで、インクジェットヘッド41への結露の発生を、より好適に抑制することができる。
【0042】
(6)上記では、加湿部50及び空調部70を備えるインクジェット記録装置1を例として説明した。空調部70は、省略してもよい。この場合、加湿部50から供給される加湿エアの量、及び/又は、加湿エアに含まれる水分量を調整することで、インクジェットヘッド41に生じる結露対策が行われる。なお、インクジェットヘッド41が、加熱部を含む場合、加熱部によっても、結露対策を行うことができる。この他、加湿部50を省略することもできる。この場合、インクジェットヘッド41に形成されたノズルの乾燥は、空調部70による、温度及び湿度の管理によって行われる。
【符号の説明】
【0043】
1 インクジェット記録装置
3 布帛
5 送りローラ
10 導入部
20 搬送部
21 第一ローラ
23 第二ローラ
25 搬送ベルト
27 搬送面
30 押圧ローラ
32 剥離ローラ
40 記録部
41,41C,41M,41Y,41K インクジェットヘッド
50 加湿部
51 加湿本体
53 供給流路
55 供給部
57 吹出口
60 遮蔽部
61 内部空間
63,65 側壁
67,69 開口
70 空調部
80 乾燥部
90 回収部
91 振り落とし部
100 撮像部
110 制御部
112 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5