【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項1に記載の特徴を示す手術器具、請求項17に記載の特徴を示す多孔質体の局所的機械抵抗を計測する方法、および、請求項20に記載の海綿骨の質を評価する手術器具の使用とともに、該提起された課題を解決する。
【0006】
本発明の利点は、本質的には:
− 骨内部への開孔および該骨の質の計測が単独の器具のおかげで容易であり、
− 該プローブと公知プローブのガイドワイヤとの間で摩擦を回避することであり、
− 器具を小型化することの可能性であり;または
− 将来のインプラントの構造と大きさの互換性を有し、該プローブの再設計と閾値評価を実質的に不要することである。
【0007】
好ましくは、骨の皮質は、別個の穴あけビットを用いてあけられている。従って、該手術器具を用いることで海綿骨によって引き起こされる抵抗のみが計測されるように、トルク計測は該手術器具と該皮質との間の摩擦による影響を受けない。
【0008】
本発明による手術器具は、特に、骨のような、多孔質構造体の密度および構造が変化し、とりわけ、非常に硬い表層を有する、多孔質体の局所的機械抵抗の計測に適している。
【0009】
該局所的機械抵抗の計測は、与えられた角度方向(例えば、切削工具用に世界で使用される基準の時計回り方向)にシャフトをその長手方向軸周りで回転させることにより行われるので、シャフト先端の先端部は骨を切ることができ、また、一旦該シャフトがその反対の角度方向(例えば、反時計回り方向)にその長手方向軸周りで回転すれば、該先端部は分離したトルクの計測を行うことができる。該トルク計測は、シャフトをトルクセンサに堅く接続することにより行われる。
【0010】
該二重の特徴は、先端部の構造について、カッティング・エッジを切る方向に、または平面を計測方向に向けるように変更することにより可能となる。切断と計測との違いは、該先端部と該骨との間の相互作用にあり:計測表面が骨組織を変形させる間、該カッティング・エッジはできなくなるまで骨組織を鋭角な部分に切り分ける。平面から取り戻せる該トルク信号は、全ての材料において、カッティング・エッジから取り戻せる信号より著しく高いものと当然予想できる。
【0011】
更に、該平面はワイヤの切断特性に影響を与えないであろうし、また、該カッティング・エッジはトルク計測に影響を与えないであろう。
【0012】
海綿骨において局所的機械抵抗を計測するため、外科医は最初に皮質骨組織を貫く穴をあけ、また必要であれば第一の角度方向にシャフトを回転させることにより海綿骨内部のある深さまで穴をあけ、該先端部の位置を確認するためにX線写真を撮り、また、適切な場合には、該先端部の計測位置に到達するまでそっと更に該シャフトを骨組織に打ち込む。次に、外科医は第二の反対の角度方向に該シャフトを回転させて、計測を行う。
【0013】
計測の間、該計測に関係しないシャフトの部分は骨組織のみによって囲まれている。理論上、該シャフトと海綿骨に作られた穴との間の摩擦は、局所的機械抵抗の計測によって記録されたトルクのマグニチュードよりも低いマグニチュードの少なくとも一種類のトルクを生じさせるものと推測できる。該骨組織と金属シャフトとの間の摩擦は、金属間の摩擦よりも非常に小さい。更に、完全な円筒状の穴をあけることは極めて難しいので、接触面は減少する。
【0014】
該手術器具のシャフトの好適な材料は、316Lステンレス医療スチールである。
【0015】
該手術器具のある特別な実施態様において、該シャフトはK‐ワイヤまたはロッドの形式である。
【0016】
該手術器具の更なる実施態様において、第一および/または第二の手段は、該シャフトの先端部分に位置する。
【0017】
該手術器具の他の実施態様において、第一の手段は、一または二の鋭利なカッティング・エッジから成る。これは海綿骨組織の内部へ穴をあけることを可能にする。
【0018】
該手術器具の他の実施態様において、第二の手段は、長手方向軸周りで一方向に延在する一つ以上の粉砕あごから成り、好ましくは第一の手段と一体となり、また、前記カッティング・エッジの反対側に配置される。該一つ以上の粉砕あごは、予備開孔の前に海綿骨内部に押し込まれた時に、該反対方向へのシャフトの回転によって生じたトルクを計測することを可能にする。
【0019】
該手術器具の他の実施態様において、前記先端部分は、シャフトの内部を通り、且つ長手方向軸周りで一方向に延在する一つ以上の溝から成り、各溝は、前記先端部分の少なくとも先端面に延在するカッティング・エッジを形成する。あるいは、該先端部分は、鋭利または平らな穴あけビットとして構成され得るものであり、そこでのカッティング・エッジの反対側に位置するそのブレードの部分は、粉砕あごを形成する。
【0020】
該手術器具の再度他の実施態様において、前記先端部分は二つの溝から成り、各溝は、前記長手方向軸と直交した断面において互いの関係で180°の角度で配置される。
【0021】
該手術器具の更なる実施態様において、一つ以上の粉砕あごは、カッティング・エッジの反対側の一つの溝に位置する粉砕面をそれぞれ有する。
【0022】
該手術器具の更なる実施態様において、前記先端部分は周囲面から成り、そこでの各粉砕面は、前記周囲面に対して90°と同等かそれ以上の角度で取り囲む。該粉砕面および該周囲面の交線で形成されるエッジは、丸くまたは斜めにすることができる。
【0023】
該手術器具の再度他の実施態様において、各溝は、前記シャフトの前記長手方向軸と平行して延在する側面のカッティング・エッジを形成する。
【0024】
該手術器具のもう更なる実施態様において、前記先端部分は前記周囲面から成り、そこでの各溝は、前記周囲面に対して鋭い切り角で取り囲むすくい面を定める。
【0025】
該手術器具の他の実施態様において、前記先端部分は、前記すくい面に対して鋭い角度で取り囲む先端面から成る。
【0026】
他の実施態様において、該手術器具は、更に、骨組織を粉砕するための第二の方向に該シャフトを回転することができる弾性装置から成る。粉砕処置のためには、約120度の該シャフトの回転で十分である。これは、該弾性装置または代わりに手動によって行われる。関心領域により計測されたトルクは、直接法で大腿骨では総計1‐4Nm、また、上腕骨では総計0.5‐1.2Nmになる。
【0027】
他の実施態様において、トルクセンサは、該シャフトに取り付けられた歪ゲージから成る。
【0028】
該手術器具のもう他の実施態様において、該トルクセンサにより計測されたトルクに関連する信号は、無線テレメトリによりインジケータに伝わる。
【0029】
該手術器具のもっと他の実施態様において、前記トルクセンサは、骨組織を粉砕するための第二の手段により該シャフト上に及ぶトルクを計測する。
【0030】
ある特別な実施態様において、該方法は、ステップb)の前に、X線装置を用いることにより該シャフトの先端部分の位置を制御するサブ‐ステップから成る。
【0031】
該方法の更なる実施態様において、前記多孔質体は、骨または骨片、好ましくは大腿骨近位部であり、該方法は、ステップc)の後に、ステップc)の下で計測された該トルクの計測値に基づいて決定するステップから更に成り、それは:
i. 股関節スクリューまたは股関節ブレードを埋め込むのに足りる骨密度および/または多孔率を示すように、計測された該トルクの数値が十分高い場合、または、
ii. 計測された該トルクの数値が、骨セメントが股関節スクリューまたは股関節ブレードのシャフト周辺の骨組織を増大させるのに適用する範囲にある場合、または、
iii. 計測された該トルクの数値がとても低いために、股関節プロテーゼを埋め込まなければならない場合、
に行われる。
【0032】
本発明のある特別な実施態様を、以下の添付の図面を参照し、以下の実施例において詳細に記載する。