特許第5770309号(P5770309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770309
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】時間同期を実施する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20150806BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20150806BHJP
【FI】
   H04W56/00
   H04W16/26
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-550729(P2013-550729)
(86)(22)【出願日】2011年1月26日
(65)【公表番号】特表2014-504121(P2014-504121A)
(43)【公表日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】CN2011070671
(87)【国際公開番号】WO2011143950
(87)【国際公開日】20111124
【審査請求日】2013年9月4日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ 烈▲訓▼
(72)【発明者】
【氏名】何 勇
【審査官】 田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0238154(US,A1)
【文献】 米国特許第07493129(US,B1)
【文献】 特表2011−521503(JP,A)
【文献】 特表2005−520447(JP,A)
【文献】 特表2011−526443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインユニットと、少なくとも1つの無線ユニットと、前記メインユニットと前記少なくとも1つの無線ユニットとの間で情報を送信するように構成された伝送媒体とを有する基地局システムであって、
前記メインユニットは、前記伝送媒体を通じてクロック同期サーバから送信された第1の同期データを受信し、前記クロック同期サーバと時間同期を実施するために前記第1の同期データに従って構成処理を実行するように構成され、
前記クロック同期サーバは、前記少なくとも1つの無線ユニットと地理的に共配置されており、
前記メインユニットが前記第1の同期データを受信した後において、前記少なくとも1つの無線ユニットと前記メインユニットとの間で行われるデータ伝送を介して、前記少なくとも1つの無線ユニットは、前記メインユニットとの間で時間同期を実現するように構成されている、基地局システム。
【請求項2】
前記伝送媒体は、光ファイバを有する、請求項1に記載の基地局システム。
【請求項3】
前記基地局システムは、前記少なくとも1つの無線ユニット及び前記クロック同期サーバに結合された第1の光アダプタモジュールを更に有し、
前記第1の光アダプタモジュールは、前記光ファイバに結合された第1の光ファイバインタフェースを含み、
前記第1の光アダプタモジュールは、前記第1の同期データと前記少なくとも1つの無線ユニットからの第1のサービスデータとを集め、前記集められた第1の同期データ及び前記第1のサービスデータを、前記第1の光ファイバインタフェースを通じて送信するように構成され、
前記第1の光アダプタモジュールは、前記少なくとも1つの無線ユニットと地理的に共配置される、請求項2に記載の基地局システム。
【請求項4】
前記基地局システムは、前記メインユニットと地理的に共配置された第2の光アダプタモジュールを更に有し、
前記第2の光アダプタモジュールは、第2の光ファイバインタフェースを有し、
前記第2の光ファイバインタフェース及び前記第1の光アダプタモジュールの前記第1の光ファイバインタフェースは、前記光ファイバを通じて接続される、請求項3に記載の基地局システム。
【請求項5】
前記第2の光アダプタモジュールは、前記第2の光ファイバインタフェースを通じて前記集められた第1の同期データ及び前記第1のサービスデータを受信し、前記集められた第1の同期データ及び前記第1のサービスデータを分離し、前記分離された第1の同期データ及び前記第1のサービスデータを送信するように構成される、請求項4に記載の基地局システム。
【請求項6】
前記第2の光アダプタモジュールは、第2の同期データと前記メインユニットの第2のサービスデータとを集めるように構成され、前記第2の光ファイバインタフェースを通じて前記集められた第2の同期データ及び前記第2のサービスデータを送信するように更に構成される、請求項4又は5に記載の基地局システム。
【請求項7】
前記メインユニットは、少なくとも1つのベースバンドユニットを有し、
前記少なくとも1つのベースバンドユニットは、前記第2の光アダプタモジュールに結合されたベースバンド無線周波数インタフェースと同期インタフェースとを有し、
前記ベースバンド無線周波数インタフェースは、第2のサービスデータを送信し、前記第1のサービスデータを受信するように構成され、
前記同期インタフェースは、第2の同期データを送信し、前記第1の同期データを受信するように構成される、請求項4ないし6のうちいずれか1項に記載の基地局システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのベースバンドユニットは、少なくとも2つのベースバンドユニットを有し、
前記メインユニットは、前記第2の光アダプタモジュールと前記少なくとも2つのベースバンドユニットとの間に結合された少なくとも1つの転送スイッチを更に有し、
前記少なくとも1つの転送スイッチは、前記第1の同期データを前記クロック同期サーバから前記少なくとも2つのベースバンドユニットに送信し、前記少なくとも2つのベースバンドユニットから前記第2の同期データを受信するように構成される、請求項に記載の基地局システム。
【請求項9】
前記クロック同期サーバは、衛星システムから同期基準信号を受信するように構成された受信モジュールを有する、請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の基地局システム。
【請求項10】
メインユニットと、少なくとも1つの無線ユニットとを有する基地局システムでの時間同期方法であって、
前記メインユニットにより、前記少なくとも1つの無線ユニットと地理的に共配置されたクロック同期サーバと前記メインユニットとの間の伝送媒体を通じてクロック同期サーバから送信された第1の同期データを受信するステップと、
前記メインユニットにより、前記クロック同期サーバと時間同期を実施するために前記第1の同期データに従って構成処理を実行するステップと
前記メインユニットが前記第1の同期データを受信した後において、前記少なくとも1つの無線ユニットと前記メインユニットとの間で行われるデータ伝送を介して、前記メインユニットが、前記少なくとも1つの無線ユニットとの間で時間同期を実現するステップと、
を有する方法。
【請求項11】
前記伝送媒体は、光ファイバを有し、
前記方法は、前記メインユニットにより、前記光ファイバを通じて前記少なくとも1つの無線ユニットから送信された第1のサービスデータを受信するステップを更に有し、
前記第1のサービスデータ及び前記第1の同期データは、前記少なくとも1つの無線ユニット及び前記クロック同期サーバに結合された第1の光アダプタモジュールに送信され、前記第1の光アダプタモジュールにより集められ、
前記集められた第1のサービスデータ及び前記第1の同期データは、前記光ファイバを通じて前記第1の光アダプタモジュールにより送信される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記基地局システムは、前記メインユニットと地理的に共配置された第2の光アダプタモジュールを更に有し、
前記方法は、
前記第2の光アダプタモジュールにより、前記光ファイバを通じて前記集められた第1の同期データ及び前記第1のサービスデータを受信するステップと、
前記第2の光アダプタモジュールにより、前記集められた第1の同期データ及び前記第1のサービスデータを分離し、前記分離された第1の同期データ及び前記第1のサービスデータを送信するステップと
を更に有する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信の分野に関し、特に通信システムにおいて時間同期を実施する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムにおいて、基地局は、移動通信ネットワークの重要な構成要素であり、無線信号を受信及び送信し、ユーザ装置(UE:user equipment)が無線ネットワークにアクセスすることを可能にするように適合される。
【0003】
既存の通信ネットワークの基地局システムは、異なるネットワーキングの対策を有する。例えば、基地局が単一の位置に配置されることがあり、或いは、基地局のベースバンド部及び無線周波数部が異なる位置に配置されることもある(分散アーキテクチャを備えた基地局)。分散アーキテクチャを備えた基地局では、すなわち、基地局のベースバンド部及び無線周波数部が分離されている場合、ベースバンド回路と無線周波数回路との間の距離は比較的短くてもよい。或いは、基地局はまた、無線ユニット部がメインユニットのベースバンド部に対して遠隔に配置されるメイン・遠隔設計アーキテクチャを有してもよい。メインユニット(MU:main unit)は、ベースバンド信号処理を実行し、メインユニットは、1つ以上のベースバンド制御ユニット(BBU:baseband control unit)を含んでもよい。1つ以上の無線ユニット(RRU:remote radio unit)は、ベースバンドと無線周波数との間の変換を実行し、1つ以上のアンテナで信号を送信及び受信する。各RRUは、地理的エリア又はセルの役目を果たし、インタフェースユニットを通じてBBUと上りリンク/下りリンクベースバンド信号及びメイン制御状態情報を送信する。時分割同期(TDD:Time Division Duplex)システムでは、基地局は送信及び受信について同じ周波数帯域を使用するため、基地局は、基地局間の干渉を回避するために、時間同期を保持する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、時間同期は、従来の基地局で衛星測位システム(例えば、グローバルポジショニングシステム、GPSシステム、BeiDou衛星システム、ガリレオ(Galileo)システム等)を通じて実施されている。しかし、分散アーキテクチャを備えた基地局では、BBUとRRUとは、離れて構成されており、衛星測位システムがBBUとRRUとの双方に導入されている場合、システムアーキテクチャが複雑になり、システムコストがかなり増加する。
【0005】
本発明の実施例は、時間同期を実施可能な簡単な方法及び基地局システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例の技術的対策は、以下のように実施される。
【0007】
一態様では、本発明は、メインユニットMUと、少なくとも1つの無線ユニットと、MUと少なくとも1つの無線ユニットとの間で情報を送信するように適合された光ファイバとを含む基地局システムを提供する。基地局システムは、MUがクロック同期サーバと時間同期を実施するために同期データに従って構成処理(設定処理)を実行するように、光ファイバを通じてMUと同期データを送信するように適合されたクロック同期サーバを更に含み、クロック同期サーバは、少なくとも1つの無線ユニットの側の近くに構成される、或いは、少なくとも1つの無線ユニットと統合される。
【0008】
他の態様では、本発明は、分散アーキテクチャを備えた基地局における時間同期方法を提供する。システムは、メインユニットMUと、少なくとも1つの無線ユニットと、MUと少なくとも1つの無線ユニットとの間で情報を送信するように適合された光ファイバとを含む。時間同期サーバは、少なくとも1つの無線ユニットの側の近くに構成され、時間同期サーバは、光ファイバを通じてMUと同期データを送信し、MUは、クロック同期サーバと時間同期を実施するために同期データに従って構成処理を実行する。
【0009】
本発明の実施例で提供される対策では、クロック同期サーバは、無線ユニットの側の近くに構成される、或いは、無線ユニットに統合される。光ファイバは、クロック同期化器とMUとの間で同期データを送信するために使用され、これにより、MUとクロック同期サーバとの間で時間が同期され、その結果、システムのMUの場所を選択することが柔軟且つ便利になり、デバイスが簡単になり、コストが低くなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】異なる構成の基地局システムの構成の概略図
図1B】異なる構成の基地局システムの構成の概略図
図1C】異なる構成の基地局システムの構成の概略図
図2】本発明の実施例1による基地局システムのネットワーク構成の概略図
図3】本発明の実施例2による基地局システムのネットワーク構成の概略図
図4】本発明の実施例3による基地局システムのネットワーク構成の概略図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施例について、添付図面を参照して以下に詳細に紹介する。以下の説明では、本発明を限定する目的ではなく、例示する目的で、本発明の完全な理解のためにいくつかの特定の詳細(例えば、特定の実施例、動作処理、技術)が提供される。しかし、当業者にとって、本発明は特定の詳細なしに他の実施例を通じて実施されてもよいことが明らかである。例えば、本発明は、分散アーキテクチャを備えた基地局システムを例に挙げて記載され、無線ユニットは、メイン・遠隔設計における分散アーキテクチャを備えた基地局の遠隔無線ユニットRRUを例に挙げることにより全て記載されるが、本発明は、実施例に記載のメイン・遠隔設計における分散アーキテクチャを備えた基地局に限定されず、分散アーキテクチャ備えた如何なる基地局にも適用可能である。例えば、基地局の無線ユニットは、ローカル無線ユニットでもよい。他の例では、基地局の無線ユニットは、無線ユニットの一部がローカル無線ユニットであり、無線ユニットの一部が遠隔無線ユニットであるハイブリッド型アーキテクチャでもよい。本発明における無線ユニットとメインユニットとの間のデータ送信は、光ファイバを例に挙げることにより示されるが、本発明はこれに限定されない。無線ユニット及びメインユニットはまた、データ送信のためのケーブルのような他の伝送媒体を通じて接続されてもよい。基地局システムの構成は、少なくとも1つのRRUを光ファイバループに結合し得るいずれかのネットワークトポロジで構成されてもよいいずれかの数の遠隔ユニットを有する。本発明はまた、ハイブリッド型基地局を使用する如何なるシステムにおいても適用されてもよい。以下の例のいくつかは単一の光ファイバループを使用するが、本発明は、複数の光ファイバが結合された構成において適用されてもよい。
【0012】
いくつかの実施例では、周知の方法、インタフェース及びデバイスのシグナリング技術は詳細に記載されない。その結果、不要な詳細による本発明の不明瞭性が回避される。更に、独立した機能モジュールがいくつかの図面に示されている。当業者は、これらの機能が単一のハードウェア回路、適切にプログラムされたデジタルマイクロプロセッサ若しくは汎用コンピュータと協力して実行するソフトウェア、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)及び/又は1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP:digital signal processor)を使用することにより実施されてもよいことを認識する。
【0013】
図1A〜1Cは、異なる構成の基地局システムの構成を示している。基地局は、メインユニットMUと、少なくとも1つの遠隔無線ユニットRRUとを含んでもよい。メインユニットMUは、少なくとも1つのベースバンドユニットBBUを含む。例えば、図1Aは、メインユニットが光ファイバを通じてそれぞれ複数の遠隔無線ユニットRRUに接続されるスター接続の構成を示している。更に図1Bに示すように、MUは、チェーン状の形式で複数のRRUに接続され、隣接するRRUは直列に接続される。更に図1Cに示すように、MUは、リング状の形式で複数のRRUに接続される。基地局システムのMU及びRRUは、更に他の構成の様式を有することを当業者は認識し得る。例えば、MU及びRRUは、ケーブルのような伝送媒体を通じて接続される。これらはここでは1つずつ列挙しない。基地局システムのMUは、1つ以上のBBUを含んでもよい。BBUは、様々な形式のネットワークトポロジ構成を形成するように、ケーブル又は光ファイバを通じて相互に直接的に接続される。或いは、複数のBBUはまた、様々な形式のネットワークトポロジ構成(例えば、スター形式、チェーン形式、リング形式等)を形成するように、更に配置されたスイッチBBボックスを通じて相互に接続されてもよい。ネットワーキングの形式は柔軟且つ多様性があり、ここでは詳細に説明しない。
【0014】
本発明の実施例1は、基地局システムと、時間同期方法とを提供する。図2に示すように、基地局システムは、メインユニットMU21と、少なくとも1つの遠隔無線ユニットRRU22と、MU21と少なくとも1つのRRU22との間で情報を送信するように適合された光ファイバとを含む。基地局システムは、MU21がクロック同期サーバ23と時間同期を実施するために同期データに従って構成処理(設定処理)を実行するように、光ファイバを通じてMU21と同期データを送信するように適合されたクロック同期サーバ23を更に含む。クロック同期サーバ23は、少なくとも1つのRRU22の側の近くに構成される、或いは、少なくとも1つのRRUと統合される。
【0015】
この実施例では、MU21は、MU21がクロック同期サーバ23と時間同期を実施するために同期データに従って構成処理を実行するように、クロック同期サーバ23と同期データを送信する。基地局システムのMUの側にGPSシステムを導入又は提供することは必要なく、これにより、コストが低くなり、MUの場所を選択することが柔軟且つ便利になる。全てのRRUがGPS接続機能をサポートする必要がなくなり、これにより、RRUのコストが低減される。また、MUとRRUとの間に同期伝送線を構成する必要もなくなり、これにより、ネットワーキングのコストを低減する。更に、広範囲のクロック同期サーバが選択されてもよい。例えば、IEEE1588プロトコルをサポートするサーバが使用されてもよく、クロック受信モジュールも使用されてもよい。これにより、デバイスが簡単になり、低コストになり、デバイスのサイズが適切になるため容易に導入可能になる。
【0016】
この実施例では、MU21は、1つ以上のBBU211を含んでもよい。前述のように、BBU211の接続方法は、当業者に周知の様々な方法でもよく、ここでは再び説明しない。MU21とクロック同期サーバ23との間の同期データの送信は、単一の光ファイバ又は伝送媒体を通じて実施されてもよく、MUとRRUとの間で光ファイバを共有することにより実施されてもよい。
【0017】
一例として、クロック同期サーバは、時間較正を実施するために衛星システムの同期基準信号を受信可能な受信モジュールを含む。これにより、基地局システムの時間同期を実施し、時間同期の精度を改善する。衛星システムは、GPSシステム、BeiDou衛星システム、ガリレオシステム、GLNASS(Global Navigation Satellite System)等を含む。
【0018】
一例として、クロック同期サーバは、IEEE1588プロトコルのサーバでもよく、他の同期プロトコルのサーバでもよく、他のクロック同期サーバでもよい。
【0019】
一例として、クロック同期サーバは、IEEE1588V2プロトコルのサーバでもよい。IEEE1588V2プロトコルのサーバは、衛星システムの同期基準信号を受信可能な衛星受信モジュールを含む。IEEE1588V2プロトコルのサーバは、衛星システムから受信した同期基準信号で同期処理を実行し、Ethernet(登録商標)ポートを通じて同期データを出力するように適合されたIEEE1588V2プロトコル処理及び通信回路を更に含む。
【0020】
本発明の実施例の対策では、クロック同期サーバの数は1つ以上でもよい。例えば、MUユニットの全てのBBUが1つのクロック同期サーバを共有してもよい。これにより、システムは、簡単なデバイスを有し、低コストになる。或いは、クロック同期サーバはまた、全ての異なるRRUの場所の近く又は全ての異なるRRUの中に構成されてもよい。或いは、クロック同期サーバはまた、同期データのバックアップ機能を実施するために、RRUの場所又はRRUの一部に構成されてもよい。
【0021】
一例として、1つ以上の転送スイッチが、MU21の側又はMU21の中に配置されてもよい。転送スイッチは、同期データをクロック同期サーバ23から複数のBBUに送信するように適合される。転送スイッチは、スイッチ(例えば、LANスイッチ)でもよい。例えば、MU21が2つ以上のBBU11を含む場合、複数のBBUとクロック同期サーバとの間の同期データの送信は、転送スイッチを通じて実施されてもよい。
【0022】
本発明の実施例2は、図3に示すように、基地局システムと、時間同期方法とを提供する。基地局システムは、メイン・遠隔設計における分散アーキテクチャを有してもよく、無線ユニットがローカル側に設計されたアーキテクチャを有してもよく、無線ユニットの一部がローカル側にあり無線ユニットの一部が遠隔側にあるハイブリッド型アーキテクチャを有してもよい。この実施例は、メイン・遠隔アーキテクチャを例に挙げることによってのみ示される。基地局システムは、メインユニットMU31と、少なくとも1つの遠隔無線ユニットRRU32と、MU31と少なくとも1つのRRU32との間で情報を送信するように適合された光ファイバとを含む。各遠隔ユニットRRU32とメインユニットMU31とのネットワーク構成は、前述のような異なる構成でもよく、この分野において周知の他の構成でもよい。明瞭にするために、図3は、1つのRRU32とMU31との間の接続関係のみを示している。
【0023】
MU31は、集中方式で機械室に導入されてもよい1つ以上のベースバンドユニットBBU311を含んでもよい。BBU311は、メイン制御及びクロック同期ユニット、ベースバンド信号処理ユニット、送信ユニット、インタフェースユニット等を含んでもよい。BBUの特定の構成及び機能はこの分野において周知であり、ここでは詳細に説明しない。
【0024】
RRU32は、アンテナの近くの室外に導入される。BBUは、信号を送信するためにベースバンド無線周波数インタフェースを通じて複数のRRUに接続される。例えば、ベースバンド無線周波数インタフェースは、共通無線インタフェースCPRI又は他の標準のインタフェース若しくはカスタムのインタフェースでもよい。本発明での接続は、物理接続に限定されず、論理接続でもよい。
【0025】
基地局システムは、RRUが導入された場所の側の近くに構成されたクロック同期サーバ33又はRRUと統合されたクロック同期サーバ33を更に含む。例えば、クロック同期サーバの機能モジュールは、RRUに統合されてもよい。クロック同期サーバ33は、グローバルポジショニングシステムGPSから同期基準信号を受信し、光ファイバを通じてMU31と同期データを送信するように適合される。クロック同期サーバ33は、GPS受信モジュール、同期プロトコル処理及び通信回路等を含んでもよい。クロック同期サーバ33は、GPS受信モジュールを通じてGPSから同期基準信号を受信し、同期処理を実行し、Ethernetポート(FEポート)を通じて同期データを出力する。
【0026】
基地局システムは、第1の光アダプタモジュール34と、第2の光アダプタモジュール312とを更に含む。第1の光アダプタモジュール34及び第2の光アダプタモジュール312は、それぞれRRU32の側及びMU31の側の近くに構成され、又は、それぞれRRU32及びMU31の中に構成され、光ファイバを通じて接続される。第1の光アダプタモジュール34は、クロック同期サーバ33により出力された同期データと、RRU32により出力されたサービスデータとでアッド・ドロップ多重(add-drop multiplexing)を実行するように適合される。第1の光アダプタモジュールは、第1の光ファイバインタフェース(図示せず)を備える。第1の光アダプタモジュール33は、クロック同期サーバ33からの同期データ及びRRU32からのサービスデータを、共有の第1の光ファイバインタフェースを通じて同じ光ファイバに集め、集められた同期データ及びサービスデータを、光ファイバを通じてMUの側の第2の光アダプタモジュール312に送信する。第2の光アダプタモジュール312は、集められた同期データ及びサービスデータを分離し、分離された同期データ及びサービスデータをMU31に送信する。
【0027】
MU31は、同期データ及びサービスデータを受信し、MUとクロック同期サーバ33との間で時間同期を実施するために、同期データに従って対応する構成処理を実行する。MUが同期データ及びサービスデータを取得した後に、MUとRRUとの間で時間同期を実施するために構成処理を実行する特定の方法は、例えば、遅延処理、周期的な補償等があることを、当業者は認識しており、ここでは再び説明しない。
【0028】
前述の処理の説明は、RRUからMUへの経路についてのみ与えられており、処理は反対の経路でも同様である。MU31は、サービスデータ及び同期データを出力し、同期データとサービスデータとを、第2の光アダプタモジュール312を通じて同じ光ファイバに集め、集められた同期データ及びサービスデータをRRUの側の第1の光アダプタモジュール34に送信する。第1の光アダプタモジュールは、集められた同期データ及びサービスデータを分離し、分離された同期データ及びサービスデータをそれぞれクロック同期サーバ33及びRRU32に送信する。MU31により出力された同期データは、クロック同期サーバの同期データに基づく同期応答データでもよい。
【0029】
一例として、第2の光アダプタモジュール312がクロック同期サーバ33のクロック同期データ及びRRU32のサービスデータを分離した後に、第2の光アダプタモジュール312は、分離された同期データ及びサービスデータをそれぞれMU31のBBU311の同期インタフェース及びベースバンド無線周波数インタフェースに送信する。ベースバンド無線周波数インタフェースは、共通無線インタフェースCPRI又は他の標準インタフェース若しくはカスタムのインタフェースでもよい。BBU311は、受信したクロック同期データに従って構成処理を実行し、同期応答信号及びサービスデータを出力する。BBU311により出力された同期応答信号及びサービスデータは、それぞれBBU311の同期インタフェース及びベースバンド無線周波数インタフェースを通じて第2の光アダプタモジュールに送信され、光ファイバを通じて第1の光アダプタモジュール34に送信され、第1の光アダプタモジュールによるアッド・ドロップ多重の後にクロック同期サーバ33及びRRU32に送信される。BBU311とRRU32との間の時間同期は、ベースバンド無線周波数インタフェースを通じたBBU311とRRU32との間のデータ送信により実施される。MU31の少なくとも1つのBBU311は、クロック同期サーバと同期プロトコル通信を実行し、これにより、少なくとも1つのBBU311とクロック同期サーバとの間で時間が同期されるため、時間がBBU311の間で同期される。
【0030】
一例として、クロック同期サーバは、IEEE1588プロトコルのサーバでもよく、他の同期プロトコルのサーバでもよく、他のクロック同期サーバでもよい。同期プロトコルのサーバ(例えば、IEEE1588V2プロトコルのサーバ)を使用することにより、MUは、クロック同期化器との同期プロトコル通信を容易に実行可能になるため、伝送ネットワークが同期プロトコルをサポートする必要がなくなる。これにより、ネットワーク構成の要件及びコストが低減される。
【0031】
一例として、MUとRRUとの間の上りリンク及び下りリンク伝送パスは、1つの共有光ファイバにより実施されてもよく、異なる光ファイバにより実施されてもよい。
【0032】
一例として、第1及び第2の光アダプタモジュール34及び312は、光アッド・ドロップ・マルチプレクサ(OADM:Optical Add-Drop Multiplexer)でもよく、他の光・電気モジュールでもよい。
【0033】
一例として、GPS受信モジュール又はGLONASS受信モジュールを含むクロック同期サーバは、時間較正を実施するために衛星測位システム又はGLONASSの同期基準信号を受信可能であり、これにより、基地局システムの時間同期を実施する。衛星測位システムは、GPSシステム、BeiDou衛星システム、ガリレオシステム等でもよい。
【0034】
一例として、クロック同期サーバ33の数は1つ以上でもよい。例えば、MU31ユニットの全てのBBU311が1つのクロック同期サーバを共有してもよい。これにより、システムは、簡単なデバイスを有し、低コストになる。或いは、クロック同期サーバはまた、全ての異なるRRUの場所の近く又は全ての異なるRRUの中に構成されてもよい。或いは、クロック同期サーバはまた、同期データのバックアップ機能を実施するために、RRUの場所又はRRUの一部に構成されてもよい。
【0035】
本発明の実施例で提供される基地局システムでは、基地局システムの時間同期は、MU機械室がGPS信号を提供することを必要とせずに実施され得る。これにより、MUの場所の選択の要件が低減され、MUの機械室が柔軟に配置され得る。RRUはまた、GPS接続機能をサポートする必要がなく、これにより、RRUのコストが低減される。本発明の実施例では、光アダプタモジュールは、同期データを送信するために光ファイバのみを構成する必要なく、同期データ及びサービスデータが1つの光ファイバを共有するように配置される。これにより、ネットワーキングのコストを低減する。更に、クロックサーバ及び光アダプタモジュールは、BBU及びRRUの元のインタフェース構成を変更せずに基地局システムの時間同期を実施するように配置される。これにより、基地局システムが簡単なデバイスを有し、低コストになる。
【0036】
本発明の実施例3は、図4に示すように、基地局システムと時間同期方法とを提供する。基地局システムは、メインユニットMU41と、少なくとも1つの遠隔無線ユニット42と、クロック同期サーバ43と、それぞれRRUの側及びMUの側に配置された第1の光アダプタモジュール44及び第2の光アダプタモジュール412とを含む。この実施例で提供される基地局システムは、実施例2の基地局システムに類似する。同じ部分は実施例2の説明で分かるため、ここでは再び説明しない。違いは主に以下に説明する。
【0037】
1つ以上の転送スイッチ413が、MU41の側又はMU41の中に配置される。転送スイッチ413は、第2の光アダプタモジュール412に接続される。第2の光アダプタモジュールが受信したクロック同期サーバ43の同期データ及びRRU42のサービスデータを分離した後に、第2の光アダプタモジュールは、クロック同期サーバ43の同期データを転送スイッチ413に送信する(例えば、Ethernetインタフェースを通じて送信してもよい)。転送スイッチは、受信した同期データをBBU211に転送及び出力する。転送スイッチは、スイッチ(例えば、LANスイッチ)でもよい。転送スイッチをMU41の側に配置することにより、MUが柔軟に配置され得る。特にMU41が2つ以上のBBU411を含む場合、複数のBBUとクロック同期サーバとの間の同期データの送信は、転送スイッチ413を通じて実施されてもよい。これは、基地局システムのキャパシティの拡張を容易にする。例えば、基地局システムのキャパシティが複数のBBUを追加するために拡張されたとしても、同期データは、BBUの間の時間同期を実施するために、BBUとクロック同期サーバとの間で都合良く送信され得る。
【0038】
実施例による方法の処理の全て又は一部は、関係するハードウェアに命令するコンピュータプログラムにより実施されてもよいことを、当業者は認識する。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に格納されてもよい。プログラムが実行された場合、実施例による方法の処理が実行される。記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、読み取り専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)又はランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)でもよい。
【0039】
本発明の目的、技術的対策及び利点について、前述の特定の実施例を通じて更に詳細に説明した。前述の説明は、本発明の単なる特定の実施例であり、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではないことが分かる。創造的取り組みを行わずに当業者により行われるいずれかの変更、等価置換又は改善は、本発明の保護範囲に入るものとする。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4