特許第5770351号(P5770351)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5770351-固体電解コンデンサ 図000003
  • 特許5770351-固体電解コンデンサ 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5770351
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】固体電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/012 20060101AFI20150806BHJP
   H01G 9/15 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   H01G9/05 E
   H01G9/05 F
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-198807(P2014-198807)
(22)【出願日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年1月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】NECトーキン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100082924
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】加藤 准一
(72)【発明者】
【氏名】松島 保浩
(72)【発明者】
【氏名】高田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 和明
【審査官】 柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−043175(JP,A)
【文献】 実開平01−123332(JP,U)
【文献】 特開2010−135750(JP,A)
【文献】 特開2003−197484(JP,A)
【文献】 特開2005−093819(JP,A)
【文献】 特開2002−015953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/012
H01G 9/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁作用金属からなる焼結体の表面に誘電体層、電解質層および陰極層を形成してなる陽極体と、前記陽極体から導出された陽極ワイヤを有したコンデンサ素子と、
前記陽極ワイヤに接続された陽極端子と、
前記陰極層に接続された陰極端子と、
前記コンデンサ素子と前記陽極端子の一部と前記陰極端子の一部を覆う外装樹脂を備え、
前記陽極端子は、実装部と、前記実装部から前記コンデンサ素子の前記陽極ワイヤに向かって立ち上がる起立部を有し、
前記起立部は主面と側面を有し、前記主面は台形形状であり、前記主面の前記陽極ワイヤ側の端辺の長さは前記実装部側の端辺の長さより長く、
前記主面の前記陽極ワイヤ側の端辺の長さは、接続された前記陽極ワイヤの幅よりも長いことを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項2】
前記起立部は、前記実装部の一部が前記陽極ワイヤに向かって折り曲げられて形成していることを特徴とする請求項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項3】
前記陽極ワイヤは平板であることを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項4】
前記実装部の前記外装樹脂に被覆された一部の側面に凹凸部を有していることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
【請求項5】
前記陽極端子はさらに端子拡張部を有し、前記端子拡張部は前記実装部と同一平面上に形成していることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解コンデンサに関し、特にチップ型に好適な固体電解コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
チップ型の固体電解コンデンサとして、コンデンサ素子と陽極端子および陰極端子の一部が外装樹脂で被覆された構成が一般的に知られている。
【0003】
従来の固体電解コンデンサの一例として、特許文献1に開示された構成がある。特許文献1には、陽極リード端子のうちコンデンサ素子側の先端部に上向きの折り曲げ片を設け、この折り曲げ片に、コンデンサ素子における陽極棒が嵌まる位置決め溝を設けることで、幅方向の位置決めおよび固体電解コンデンサにおける幅寸法を更に縮小する技術が開示されている。
【0004】
また、他の例として特許文献2に開示された構成がある。特許文献2には、陰極端子部と同一平面上にあって、所定距離隔てて向い合う板状体の端子板とこれから一方向に立ち上るリード板とを備えた陽極端子部の、リード板の立上り側にコンデンサ素子が搭載され、反対側の面が外部との接続部になる構造について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−068576号公報
【特許文献2】特開2003−100556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、板状の陽極リード端子をコンデンサ素子側に直角に折り曲げて、折り曲げ片を設けているため、折り曲げ片以外の陽極リード端子部分が基板と直接接続する実装部となる。そのため、実装部が陽極棒の引き出し軸方向に張り出された構成となり、固体電解コンデンサに対するコンデンサ素子の体積効率が低いという課題がある。
【0007】
特許文献2では、陽極端子部の一部を垂直方向に切り起すことによって、陽極リードと接続する部分である立ち上がり部を形成しているため、コンデンサ素子を大きくする方向に立ち上がり位置を調整でき、体積効率を向上できる。
【0008】
しかし、陽極端子部の一部を切り起すことにより立ち上がり部を形成しているため、基板に対する実装面積が小さくなり、基板実装時のセルフアライメント性が低下するという課題がある。
【0009】
そこで本発明は、基板実装時のセルフアライメント性と、陽極ワイヤと陽極端子との十分な溶接強度を有した固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の固体電解コンデンサは、陽極端子の起立部の主面における、陽極ワイヤ側の端辺の長さが実装部側の端辺の長さより長いことにより、基板との実装面積を充分に確保でき、基板実装時のセルフアライメント性を得られる。
【0011】
また、陽極ワイヤ側の端辺の長さを長くできるため、多様な陽極ワイヤの形状に対応できる。
【0012】
また、主面の陽極ワイヤ側の端辺の長さが、接続された陽極ワイヤの幅よりも長いことにより、陽極端子と陽極ワイヤとの溶接強度が得られ、さらに、幅の広い平板状の陽極ワイヤを用いた場合においても、充分な溶接強度が得られる。
【0013】
よって、本発明の固体電解コンデンサは、弁作用金属からなる焼結体の表面に誘電体層、電解質層および陰極層を形成してなる陽極体と、前記陽極体から導出された陽極ワイヤを有したコンデンサ素子と、前記陽極ワイヤに接続された陽極端子と、前記陰極層に接続された陰極端子と、前記コンデンサ素子と前記陽極端子の一部と前記陰極端子の一部を覆う外装樹脂を備え、前記陽極端子は、実装部と、前記実装部から前記コンデンサ素子の前記陽極ワイヤに向かって立ち上がる起立部を有し、前記起立部は主面と側面を有し、前記主面は台形形状であり、前記主面の前記陽極ワイヤ側の端辺の長さは前記実装部側の端辺の長さより長く、前記主面の前記陽極ワイヤ側の端辺の長さは、接続された前記陽極ワイヤの幅よりも長いことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の固体電解コンデンサにおける前記起立部は、前記実装部の一部が前記陽極ワイヤに向かって折り曲げられて形成していることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の固体電解コンデンサにおける前記陽極ワイヤは平板であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の固体電解コンデンサは、前記実装部の前記外装樹脂に被覆された一部の側面に凹凸部を有していることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の固体電解コンデンサの前記陽極端子はさらに端子拡張部を有し、前記端子拡張部は前記実装部と同一平面上に形成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、陽極端子の起立部の主面における、陽極ワイヤ側の端辺の長さが実装部側の端辺の長さより長いことにより、基板との実装面積を充分に確保でき、基板実装時のセルフアライメント性を得られる。
【0020】
また、起立部の主面における陽極ワイヤ側の端辺の長さが接続された陽極ワイヤの幅よりも長いことにより、陽極端子と陽極ワイヤとの溶接強度が得られ、さらに、平板状の陽極ワイヤにおいても充分な溶接強度が得られる。
【0021】
以上のことより、実装時のセルフアライメント性と、陽極ワイヤと陽極端子との十分な溶接強度を有した固体電解コンデンサが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施の形態による固体電解コンデンサを示す斜視図である。
図2】本発明の第2の実施の形態による固体電解コンデンサを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態による固体電解コンデンサを示す斜視図である。図1に示すように、本発明の固体電解コンデンサ100は、陽極体1と陽極体1から導出された平板状の陽極ワイヤ2を有したコンデンサ素子3と、陽極端子4と、陰極端子7と、外装樹脂8とを備えている。
【0025】
陽極体1は図示しない弁作用金属粉末を成型して高温焼結した焼結体の表面に図示しない酸化被膜等からなる誘電体層、図示しない導電性高分子層等の電解質層およびグラファイト層や銀層からなる陰極層が順次形成されている。
【0026】
陽極端子4は実装部5と、実装部5からコンデンサ素子3の陽極ワイヤ2に向かって立ち上がる起立部6を有している。起立部6は主面と側面を有し、主面の陽極ワイヤ2側の端辺の長さが実装部5側の端辺の長さより長く、起立部6の主面は台形形状をしている。つまり、陽極ワイヤ2の引き出し軸方向に略垂直な方向において、起立部6の陽極ワイヤ2側の端辺である溶接面9の長さは、起立部6の実装部5側の端辺の長さよりも長くなるよう形成している。
【0027】
また、起立部6の主面における陽極ワイヤ2側の端辺の長さ、すなわち、起立部6の溶接面9における引き出し軸方向に略垂直な方向の長さは、溶接面9と接続する陽極ワイヤ2の幅よりも長くなるよう形成している。
【0028】
陰極端子7は、導電性接着剤等の公知の技術を用いて陽極体1の陰極層と接続し、陽極端子4は、起立部6の溶接面9において、抵抗溶接やレーザ溶接等の公知の技術を用いて陽極ワイヤ2と接続する。
【0029】
コンデンサ素子3、起立部6、実装部5の一部および陰極端子7の一部を一体となるよう外装樹脂8で被覆し、固体電解コンデンサ100を得る。本実施の形態における実装部5の一部とは実装部5における基板に実装する面以外で、陰極端子7の一部とは陰極端子7における基板に実装する面以外のことである。つまり、陽極端子4および陰極端子7の基板に実装する面が露出するように外装樹脂で密封し、固体電解コンデンサを得る。
【0030】
陽極端子の起立部の主面において、陽極ワイヤ側の端辺の長さを実装部側の端辺の長さより長くすることにより、実装部の面積も充分にとることが可能で、基板実装時のセルフアライメント性が向上する。また、多様な陽極ワイヤの形状にも対応できる。
【0031】
陽極端子と陽極ワイヤの溶接では、溶接の熱または圧力等によって陽極端子が一時溶解する。そのため、起立部の主面における陽極ワイヤ側の端辺の長さを、接続する陽極ワイヤの幅よりも長くすることで、陽極端子の一部が陽極ワイヤの外周に沿って回り込む。つまり、溶接後は溶接前の陽極端子と陽極ワイヤとの接触面以外に、陽極ワイヤに陽極端子の一部が接触することとなり、陽極端子と陽極ワイヤとの溶接強度が得られ、溶接不良を抑制できる。さらに、幅の広い平板状の陽極ワイヤを用いた場合においては、より大きな溶接強度が得られる。
【0032】
ここで、陽極端子4の起立部6は、実装部の一部を陽極ワイヤ側に立ち上げることによって形成してもよく、別の部材を溶接するなどによって形成してもよい。つまり、板状の陽極端子の一部に切り込みをいれ、切り込みをいれた部分を折り曲げることによって、実装部と起立部を形成してもよいし、それぞれ異なる部材を溶接するなどして実装部と起立部を形成してもよい。
【0033】
実装部の一部から起立部を形成する場合、実装部から折り曲げる部分である折り曲げ辺、すなわち起立部の実装部側の端辺の寸法が小さいため、折り曲げ易く、製造が容易である。さらに、折り曲げによるばらつきも抑制できる。
【0034】
(第2の実施の形態)
図2は本発明の第2の実施の形態による固体電解コンデンサを示す斜視図である。図2に示すように、本発明の固体電解コンデンサ200は、陽極体11と陽極体11から導出された平板状の陽極ワイヤ12を有したコンデンサ素子13と、陽極端子14と、陰極端子17と、外装樹脂18とを備えている。
【0035】
陽極端子14は実装部15と、実装部15からコンデンサ素子13の陽極ワイヤ12に向かって立ち上がる起立部16を有している。起立部16は主面と側面を有し、主面の陽極ワイヤ12側の端辺の長さが実装部15側の端辺の長さより長く、起立部16の主面は台形形状をしている。つまり、陽極ワイヤ12の引き出し軸方向に略垂直な方向において、起立部16の陽極ワイヤ12側の端辺である溶接面19の長さは、起立部16の実装部15側の端辺の長さよりも長くなるよう形成している。
【0036】
また、起立部16の主面における陽極ワイヤ12側の端辺の長さ、すなわち、起立部16の溶接面19における引き出し軸方向に略垂直な方向の長さは、溶接面19と接続する陽極ワイヤ12の幅よりも長くなるよう形成している。
【0037】
また、陽極端子14は実装部15の一部を拡張した端子拡張部21を有している。つまり、端子拡張部21は実装部15と同一平面上に形成している。
【0038】
陰極端子17も同様に、陰極端子17における基板に実装する面と同一平面上に陰極端子17の一部を拡張した端子拡張部22を有している。
【0039】
また、陰極端子の側面の一部と、陽極端子の実装部の側面の一部に凹凸部を有している。それ以外の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0040】
基板に実装する面と同一平面上に形成する端子拡張部21を有することにより、実装面積が増加し、基板実装時のセルフアライメント性が向上する。また、外装樹脂18によりコンデンサ素子13、陽極端子14の一部および陰極端子17の一部を一体となるように被覆する工程、すなわち外装樹脂の形成の際、外装樹脂の薄いバリが基板に実装する面側に発生するのを抑制できる。
【0041】
本実施の形態の端子拡張部21、22は、陽極ワイヤ12の引き出し軸方向に略垂直な方向に実装部15の一部および陰極端子の一部を拡張した形状をしているが、端子拡張部が形成される方向および形状はこれに限らない。つまり、陽極体との絶縁が確保されているならば、陽極ワイヤの引き出し軸方向に端子拡張部が引き出されても良いし、形状が角のない半円や円形等であっても良い。
【0042】
さらに、外装樹脂18で被覆された実装部15の一部の側面には凹凸部23を有し、陰極端子17の一部の側面には凹凸部24を有している。陽極端子および陰極端子の外装樹脂で被覆された側面の一部に凹凸部を形成することにより、アンカー効果が得られ、外装樹脂と陽極端子および外装樹脂と陰極端子との密着性が向上する。
【0043】
また、本実施の形態では、陽極端子および陰極端子の両方に端子拡張部および凹凸部を形成しているが、これに限らない。つまり、陽極端子または陰極端子のいずれかにのみ形成されていても良いし、端子拡張部または凹凸部のみを形成しても良い。つまり、陽極端子に端子拡張部を形成し、陰極端子に凹凸部を形成する等、仕様に合わせて適宜形成すればよい。
【0044】
本発明における実施の形態では平板状の陽極ワイヤを用いたが、これに限らず、断面が円形や楕円形であっても良い。この場合、陽極端子と陽極ワイヤとの位置決めが容易となるため、溶接面にV字やU字等の切り込みを設けることが好ましい。また、平板状の陽極ワイヤの場合においても、溶接面に切り込みを設けて位置決めを行っても構わない。
【0045】
さらに、陽極ワイヤの本数に制限はなく、細い陽極ワイヤを複数本束ねた形状であっても良いし、複数本に分かれて形成され、陽極端子と接続された構成であっても構わない。
【0046】
ここで、陽極端子と陽極ワイヤとの溶接不良の発生を抑制できるため、陽極端子と陽極ワイヤとの溶接強度は1N以上であることが望ましい。
【0047】
また、本発明における実施の形態では起立部の主面の形状を等脚台形としたが、これに限らない。つまり、陽極端子と陽極ワイヤの溶接時にかかる溶接熱や圧力等によって、起立部の形状が大きく変形し、溶接強度が低下することを防止できる形状であれば、どのような形状であってもよく、T字形状や、一部に主面を貫通する孔などが空いた形状であってもよい。
【0048】
このように、起立部の形状に制限はないが、溶接時による変形を抑制でき、溶接強度が得られるため、台形形状が好ましい。ここで、台形形状とは等脚台形に限らず、台形の脚の形状に制限はない。つまり、台形の内側に湾曲した形状であっても良いし、台形の脚の角度が2段階以上に変化する形状であっても良い。
【実施例】
【0049】
(実施例1)
タンタルからなる幅約1.36mm陽極ワイヤを挿入したタンタル粉末を加圧成型した後、高温焼結して陽極体を得た。得た陽極体に、公知の方法によりタンタル酸化被膜からなる誘電体層、導電性高分子層からなる固体電解質層、グラファイト層および銀層からなる陰極層を形成し、コンデンサ素子を得た。
【0050】
続いて、厚さ約0.21mmの銅板を用いて陽極端子および陰極端子を形成した。陽極端子は切り込みを入れて起立部を形成した。陽極端子の起立部の主面における、陽極ワイヤ側の端辺の長さは約1.55mm、実装部側の端辺の長さは約0.80mmとし、主面は等脚台形の形状とした。実装部からの等脚台形の脚の角度は約28度であり、脚と脚の間の角度は約124度であった。
【0051】
次に、陽極ワイヤと起立部の溶接面とを抵抗溶接した。この時、陽極ワイヤの幅方向の中心と起立部の陽極ワイヤ側の端辺の中心とが合うように溶接位置を調節した。陰極端子は導電性接着剤を介して陰極層と接続した。
【0052】
コンデンサ素子に陽極端子および陰極端子を接続した状態の物を2つ作製した。
【0053】
続いて、2つの内の一方は、エポキシ樹脂からなる外装樹脂でコンデンサ素子、起立部、実装部の一部および陰極端子の一部を被覆した後、加熱硬化して本発明の固体電解コンデンサを得た。
【0054】
(比較例1)
比較例1として、厚さ約0.21mmの銅板を用いて陽極端子および陰極端子を形成した。陽極端子は切り込みを入れ、幅約1.55mmの長方形の起立部を形成した。つまり、陽極端子の起立部の主面における陽極ワイヤ側の端辺の長さと実装部側の端辺の長さは同一とした。
【0055】
他は実施例1と同様に作製し、コンデンサ素子に陽極端子および陰極端子を接続した状態の物を1つ、さらに外装樹脂で被覆した固体電解コンデンサを1つ得た。
【0056】
(比較例2)
比較例2として、厚さ約0.21mmの銅板を用いて陽極端子および陰極端子を形成した。陽極端子は切り込みを入れ、幅約0.70mmの長方形の起立部を形成した。つまり、陽極端子の起立部の主面における陽極ワイヤ側の端辺の長さと実装部側の端辺の長さは同一とした。
【0057】
他は実施例1と同様に作製し、コンデンサ素子に陽極端子および陰極端子を接続した状態の物を1つ、さらに外装樹脂で被覆した固体電解コンデンサを1つ得た。
【0058】
実施例および比較例での外装樹脂で被覆する直前の状態の物を用い、コンデンサ素子を押さえながら、陽極ワイヤから起立部を引き剥がす方向に1Nの荷重を陽極端子にかけ、陽極端子と陽極ワイヤの溶接強度の確認を行った。
【0059】
また、実施例および比較例の固体電解コンデンサを、3.64mmの面積を有するランド上に配置した。この時、陽極ワイヤの幅方向における固体電解コンデンサの中心軸を、同一方向におけるランドの中心軸から0.5mmずらした位置に配置した。
【0060】
その後、リフローを行い、固体電解コンデンサのセルフアライメント性の確認を行った。また、リフロー後のランドと対向して接触している実装部の面積Sを算出し、基板のランド面積Lに対する、ランドと対向して接触している実装部の面積の割合S/Lを求めた。
【0061】
結果を表1に示す。溶接強度については、陽極端子と陽極ワイヤの溶接が外れなかった場合を○とし、外れた場合を×とした。また、セルフアライメント性については、リフロー後に位置ずれが修正された場合を○とし、傾くなどにより位置ずれが修正されなかった場合を×とした。
【0062】
【表1】
【0063】
比較例1は起立部の主面における、陽極ワイヤ側の端辺の長さが陽極ワイヤの幅よりも長く形成してあるため、溶接強度は充分に得られている。しかし、切り込みが垂直に入っており、主面の陽極ワイヤ側の端辺の長さと実装部側の端辺の長さが同一のため、陽極端子の実装部とランドが接続される実装面積が小さくなり、基板実装時のセルフアライメント性が低下している。
【0064】
また、比較例2は起立部の幅が狭く設定しているため、実装面積は充分に確保でき、セルフアライメント性は得られたが、主面の陽極ワイヤ側の端辺の長さが陽極ワイヤの幅よりも短いため、溶接強度が得られなかった。
【0065】
一方、本発明の固体電解コンデンサは、陽極端子の起立部の主面における、陽極ワイヤ側の端辺の長さが実装部側の端辺の長さより長く、主面の陽極ワイヤ側の端辺の長さが、接続された陽極ワイヤの幅よりも長いことにより、セルフアライメント性と溶接強度の両方を有することができた。
【0066】
以上より、実装時のセルフアライメント性と、陽極ワイヤと陽極端子との十分な溶接強度を有した固体電解コンデンサが得られる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の変更や修正が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1、11 陽極体
2、12 陽極ワイヤ
3、13 コンデンサ素子
4、14 陽極端子
5、15 実装部
6、16 起立部
7、17 陰極端子
8、18 外装樹脂
9、19 溶接面
21、22 端子拡張部
23、24 凹凸部
100、200 固体電解コンデンサ
【要約】

【課題】実装時のセルフアライメント性と、陽極ワイヤと陽極端子との十分な溶接強度を有した固体電解コンデンサを提供すること。
【解決手段】本発明の固体電解コンデンサ100は、弁作用金属からなる焼結体の表面に誘電体層、電解質層および陰極層を形成してなる陽極体1と、陽極体1から導出された陽極ワイヤ2を有したコンデンサ素子3と、陽極ワイヤ3に接続された陽極端子4と、陰極層に接続された陰極端子7と、外装樹脂8を備えている。陽極端子4は、実装部5と、実装部5からコンデンサ素子3の陽極ワイヤ2に向かって立ち上がる起立部6を有し、起立部6は、陽極ワイヤ2側の端辺である溶接面9の長さが実装部5側の長さより長く、さらに、接続された陽極ワイヤ2の幅よりも長くなるよう形成する。
【選択図】図1
図1
図2