(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
<実施の形態の概要>
本発明はモデム及びモデムによるネットワークサーチ方法を提供することで、電力消費及び処理負担を削減する。
【0008】
本発明はモデムが実行するネットワークサーチ方法を提供し、本方法は、
サービングセルの信号レベル値及び信号品質値をサンプリングするステップと、
前記信号レベル値により信号電力状態を検出し、前記信号品質値により信号安定性状態を検出するステップと、
前記信号電力状態及び前記信号安定性状態の双方が所定の状態を超えた場合、ネットワークサーチ状態をオフ状態に決定するステップと
を有する方法である。
【0009】
本発明により提供されるモデムは、
サービングセルの信号レベル値及び信号品質値をサンプリングするように形成されたサンプリング部と、
前記信号レベル値により信号電力状態を検出し、前記信号品質値により信号安定性状態を検出するように形成されたデータ保存処理部と、
前記信号電力状態及び前記信号安定性状態の双方が所定の状態を超えた場合、ネットワークサーチ状態をオフ状態に決定するように形成された決定部と
を有するモデムである。
【0010】
本発明の実施の形態では、サービングセルの信号がサンプリングされ、サンプリングされた信号レベル値により信号電力状態が検出又は取得され、信号品質値により信号安定性状態が検出又は取得され、信号電力状態及び信号安定性状態の双方が所定の状態を超えた場合、すなわちサービングセルの信号の強度及び品質が優れていた場合、ネットワークサーチの機能はオフにされ、不要なネットワークサーチが回避され、これにより電力消費及び処理負担を軽減できることが、上記の解決手段から分かる。
【0011】
<図面>
本発明の実施の形態による解決手段を説明するために、実施の形態に関する添付図面が使用され、「図面の簡単な説明」の欄で概説されている。明らかに、以下の説明において添付図面は本発明の一実施形態を示しているに過ぎず、当業者は創作的能力を発揮することなく本明細書及び添付図面から他の実施形態も把握できる。
【0012】
<実施の形態の詳細な説明>
本発明に関する課題、解決手段及び効果の理解を促すために、本発明の実施の形態による解決手段は、本発明の実施の形態に関する添付図面と共に以下において明確かつ十分に説明される。明らかに、説明される実施の形態は本発明による全ての実施の形態のうちの一部に過ぎない。本発明の実施の形態に基づいて当業者が創作的能力を発揮することなく把握できる他の全ての実施の形態は、本発明の保護範囲に属する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態によりモデムが実行するネットワークサーチ方法を概略的に示すフローチャートである。本方法は、以下のステップを含む。
【0014】
ステップ11:モデムがサービングセルの信号レベル値及び信号品質値をサンプリングする。
【0015】
本発明による本実施形態において、モデムは移動通信モデム又は移動通信モデム装置と言及される。
【0016】
信号レベル値は、受信信号の強度を示すために使用され、本発明の本実施形態ではrx
nにより表現される。信号品質値は、受信信号の品質を示すために使用され、本発明の本実施形態ではq
nにより表現される。ある受信信号の信号レベル値は大きいが多くのノイズ(雑音)を含んでいた場合、その信号の品質値は低い。
【0017】
ステップ12:モデムは、信号レベル値により信号電力状態を検出しかつ信号品質値により信号安定性状態を検出する。
【0018】
信号レベル値の平均値が信号電力状態として使用されてもよく、信号品質値の分散(variance)が信号安定性状態として使用されてもよい。
【0019】
ステップ13:信号電力状態及び信号安定性状態の双方が所定の状態を超えた場合、モデムはネットワークサーチ状態をオフ状態に決定する。
【0020】
第1の閾値及び第2の閾値が個々に設定されてもよい。信号電力状態の値が所定の第1の閾値より高く、信号安定性状態の値も所定の第2の閾値より高かった場合、ネットワークサーチ状態はオフ状態として判断され、ネットワークアルゴリズムはオフに設定され、すなわちSアルゴリズム及びRアルゴリズムがオフにされる。
【0021】
この実施の形態では、サービングセルの信号がサンプリングされ、信号レベル値により信号電力状態が検出され、信号品質値により信号安定性状態が検出される。信号電力状態の値が所定値より高かった場合、それはサービングセルの信号強度が所定の条件を満たしていることを意味し、信号安定性状態の値が所定値より高かった場合、それはサービングセルの信号強度が優れていることを意味し;及び信号電力状態の値が所定値より高かった場合、それはサービングセルの安定性が所定の条件を満たしていることを意味し、信号安定性状態の値が所定値より高かった場合、それはサービングセルの信号の安定性が優れていることを意味する。本実施の形態では、サービングセルの信号の強度及び安定性が優れていた場合、すなわち信号電力状態の値及び信号安定性状態の値の双方が所定値を超えた場合、ネットワークサーチの機能はオフにされ、不要なネットワークサーチが回避され、これにより電力消費及び処理負担を軽減できる。
【0022】
本発明の実施の形態は、推定エンジンの原理を使用することで具体的に実現されてもよい。推定(inference)とは、既知の要因から所定の規則に従って結果を導出する処理である。知識ベース推定(knowledge-based inference)は、コンピュータで実現され、推定及び制御という概して2つの要素を含み、スケジューラ21、実行部22及び整合性コーディネータ(consistency coordinator)23により形成される。具体的には、
図2を参照すると、本発明の本実施形態において、スケジューラ21は、サンプリング部211と、データ保存及び処理部212と、決定部213とを含んでよい。サンプリング部211は、サービングセルについての信号レベル値及び信号品質値をサンプリングするように形成され;データ保存及び処理部は、信号レベル値及び信号品質値により、信号電力状態及び信号安定性状態を検出するように形成されている。決定部213は、信号電力状態及び信号安定性状態の双方が所定の状態を超えた場合に、ネットワークサーチ状態をオフ状態に決定するように形成されている。実行部は、ネットワークサーチ状態がオフ状態である場合にはSアルゴリズム及びRアルゴリズムをオフにし、ネットワークサーチが開始される場合には、Sアルゴリズム及びRアルゴリズムをオフにしてネットワークサーチを実行するように形成されている。実行部は、特定のSアルゴリズム及び特定のRアルゴリズムを実行するように形成されていてもよい。整合性コーディネータは、実行部及びスケジューラの動作パラメータを修正するように形成されており、例えば、スケジューラのサンプリング部のサンプリング周期、データ保存空間のサイズ、実行部による結果のフィードバック等を調整する(これら及びその他のパラメータを調整する)。
【0023】
図3は、本発明の別の実施の形態によりモデムが実行するネットワークサーチ方法を概略的に示すフローチャートである。本方法は以下のステップを含む。
【0024】
ステップ31:サンプリング部が、信号をサンプリングし、信号レベル値及び信号品質値を取得する。
【0025】
ステップ32:データ保存及び処理部が、信号レベル値及び信号品質値を保存し、信号電力状態及び信号安定性状態を検出する。
【0026】
本実施形態において、データは、スライディングウィンドウ方式で保存及び更新されてもよい。
図4に示されているように、使用されるウィンドウ(のサイズ)はNであるとし、古いものから新しいものに至る1ないしNの番号が付されたN個のデータが、サンプリングの履歴又は時間に応じてデータバッファに保存される。(N+1)番目のデータが到着すると最も古い最初のデータが消去され、システムのデータ保存空間の中でデータが常に最新であるようにする。
【0027】
最新のN番目の信号のレベル値はrx
nであるとし(n=1,...,N)、最新のN番目の信号の品質値はq
nであるとする(n=1,...,N)。信号電力状態及び信号安定性状態は以下の数式を利用した計算により取得されてもよい:
信号電力状態はR
avgにより表現される:
【0028】
【数1】
信号品質状態はQ
varにより表現される:
【0029】
【数2】
ステップ33:決定部が、信号電力状態及び信号安定性状態に応じて、ネットワークサーチを開始するか否かを判断する。
【0030】
信号電力状態が所定の第1の閾値より高く、信号安定性状態が所定の第2の閾値より高かった場合、ネットワークサーチはオフにされる。第1の閾値及び第2の閾値の具体的な値は、実際の状況に依存して設定される。
【0031】
ネットワークサーチはオフにされることを決定部が決定した場合、ネットワークサーチの状態マーク(network search state mark)は「禁止(forbid)」に設定され、そうでない場合には、元の値が不変に維持されてもよい。
【0032】
ステップ34:実行部が、ネットワークサーチの状態マークに対応する処理を実行する。
【0033】
例えば、ネットワークサーチの状態マークが「禁止」であった場合、実行部はSアルゴリズム及びRアルゴリズムをオフに設定し、不要なネットワークサーチ、不要な測定及び不要なセル再選択を回避する。
【0034】
更に、ネットワークサーチの状態マークが「開始(start)」であった場合、Sアルゴリズム及びRアルゴリズムが実行され、ネットワークサーチが実行される。
【0035】
本実施形態では、履歴データ(すなわち、信号品質値及び信号レベル値)に従って、サービングセルのネットワーク状態が推定され、突発的な要因に起因してネットワークサーチを開始してしまうことを防止し、不要なセル再選択を減らす。
【0036】
更に、大きな変動がネットワーク内で生じた場合、或いはユーザが移動している状態であり現在のサービングセルから立ち去ろうとしていた場合、ネットワークサーチアルゴリズムが速やかに開始される必要がある。
【0037】
図5は、本発明の別の実施の形態によりモデムが実行するネットワークサーチ方法を概略的に示すフローチャートである。本方法は以下のステップを含む。
【0038】
ステップ51:データ保存及び処理部が、サンプリングにより取得された信号レベル値に応じて信号レベル変動状態を検出する。
【0039】
信号レベル変動状態はRx
n’により表現され、計算式は次のとおりである:
【0040】
【数3】
ステップ52:サービングセルの信号強度は単調に減少していることを、信号レベル変動状態に応じて決定部が判断した場合、決定部はネットワークサーチ状態を開始状態として決定する。
【0041】
保存空間又はメモリ空間にはN個の信号レベル値が存在しているので、上記の計算式に従って、(N-1)個の信号レベル変動状態が検出(又は取得又は算出)される。大部分(例えば、これら(N-1)個の信号レベル変動状態のうちの70%)が0より小さかった場合、すなわちサービングセルの信号品質は単調に減少していることが示されていた場合、ネットワークサーチ状態マスクは「開始(start)」に設定される。
【0042】
ステップ53:ネットワークサーチ状態マスクが「開始」に設定されていた場合、実行部はネットワークサーチアルゴリズムを開始する。
【0043】
ネットワークサーチ状態マスクは「開始」であると判断された場合、実行部は、Sアルゴリズム及びRアルゴリズムを速やかに開始し、Sアルゴリズムを用いることでネットワークサーチ及び測定を実行し、Rアルゴリズムを用いることで再選択を実行する。
【0044】
具体的には、S判断基準は開始ポリシを制御するために使用され、そのアルゴリズムは以下のとおりである:
Squal=Qaualmeas-Qualmin(1)
Srelev=Qrxlevmeas-Qrxlevmin-Pcompensation (2)
ただし、各パラメータは以下のとおりである。
【0045】
Squal:信号品質ファクタ;
Srelev:信号電力ファクタ;
Qaualmeas:測定された信号品質値;
Qrxlevmeas:測定された信号受信電力消費値;
Qualmin:受信可能な最小信号品質;
Qrxlevmin:受信可能な最小電力値;
Pcompensation:max(UE_TXPWR_MAX_RACH-P_MAX,0)。
【0046】
UE_TXPWR_MAX_RACHは、モデム又はmodem装置がランダムアクセスを実行する場合に許容される最大送信電力であり、システム報知メッセージにより送信され、一般的には0に設定される。P_MAXは、モデム又はモデム装置の最大公称送信電力であり、2つの間の差分と0とのうち大きい方が選択される。
【0047】
信号品質ファクタSqualは数式(1)に従う計算により取得され、信号電力ファクタSrelevは数式(2)に従う計算により取得され、2つの値のうち何れかが、同一周波数(イントラ周波数)閾値、異周波数(インター周波数)閾値、システム間(イントラシステム)測定閾値に到達した場合、モデム又はモデム装置は関連する範囲内でネットワークサーチ測定を開始し、R判断基準を採用することで測定結果を選別する。R判断基準のアルゴリズムは以下のとおりである:
Rs=Qmeas_s+Qhysts (3)
Rn=Qmeas_n-Qoffsets_n (4)
ただし、各パラメータは以下のとおりである。
【0048】
Rs:現在のサービングセルについての信号品質ファクタ;
Rn:n番目の隣接セルについての信号品質ファクタ;
Qmeas_s:サービングセルについて測定された信号品質値;
Qmeas_n:n番目の隣接セルについて測定された信号品質値;
Qhysts:サービングセルについての再選択ヒステリシス;
Qoffsets_n:n番目の隣接セルについての信号品質オフセット。
【0049】
モデム又はモデム装置は数式(3)及び(4)に従ってRs及びRnの値を計算し、或る時間期間にわたってRs<Rnであった場合、セル再選択を開始し、サービングセルsから或る隣接セルに再選択する。
【0050】
本実施形態において、サービングセルの強度は減少していることが確認された場合、ネットワークサーチアルゴリズムがやがて(又は適切な時点で)開始され、セル再選択がやがて(又は適切な時点で)実行される。
【0051】
図6は、本発明の実施の形態によるモデムの概略的な構造を示し、モデムはサンプリング部61と、データ保存及び処理部62と、決定部63とを含む。サンプリング部61は、サービングセルについての信号レベル値及び信号品質値をサンプリングするように形成されている。データ保存及び処理部62は、信号レベル値により信号電力状態を検出し、信号品質値により信号安定性状態を検出するように形成されている。決定部63は、信号電力状態及び信号品質状態の双方が所定の状態を超えていた場合に、ネットワークサーチ状態をオフセット状態として決定するように形成されている。
【0052】
選択的に、データ保存及び処理部は、信号レベル値により信号レベル変動状態を検出するように更に形成されていてもよい。決定部は、信号レベル変動状態に応じて、サービングセルの信号強度が単調に減少しているか否かを判断するように更に形成されていてもよく、サービングセルの信号強度は単調に減少していることが信号レベル変動状態に応じて判断された場合に、ネットワークサーチ状態を開始状態として決定してもよい。
【0053】
或いは、データ保存及び処理部は、以下の数式に従う計算により信号電力状態を検出するように具体的に形成されていてもよい。
【0054】
【数4】
ただし、R
avgは信号電力状態の値であり、rx
nは信号レベル値であり(n=1,...,N)、Nは信号レベル値の数である。
【0055】
或いは、データ保存及び処理部は、以下の数式に従う計算により信号安定性状態を検出するように具体的に形成されていてもよい。
【0056】
【数5】
ただし、Q
varは信号安定性状態の値であり、q
nは信号品質値であり(n=1,...,N)、Nは信号品質値の数である。
【0057】
或いは、データ保存及び処理部は、以下の数式に従う計算により信号レベル変動状態を検出するように具体的に形成されていてもよい。
【0058】
【数6】
ただし、Rx
n’は信号レベル変動状態の値であり、rx
n及びrx
n+1は連続的に2回サンプリングが行われた後に取得された信号レベル値であり、Δtはサンプリング時間間隔である。
【0059】
選択的に、決定部は、信号レベル変動状態の値の中で0より小さな値の数が所定の閾値を超えた場合に、サービングセルの信号強度単調に減少している、と判断するように具体的に形成されている。
【0060】
この実施の形態では、サービングセルの信号がサンプリングされ、サンプリングされた信号レベル値により信号電力状態が検出され、信号品質値により信号安定性状態が検出され、信号電力状態及び信号安定性状態の双方が所定値より高かった場合、すなわちサービングセルの信号強度及び安定性が優れていた場合、ネットワークサーチの機能はオフにされ、不要なネットワークサーチが回避され、これにより電力消費及び処理負担を軽減できる。
【0061】
上記の実施形態によれば、本発明において、待ち受け状態(スタンバイ状態)での電力消費が削減され、具体的なシミュレーションが
図7に示されている。
図7の「最適化前」は従来技術による電力消費状態を示し、「最適化後」は本発明の実施形態による電力消費状態を示す。最適化後の手段による電流の最大値は最適化前の手段によるものより小さいこと、パルス数は明らかに減少していること、及び電力消費が最適化後の手段ではかなり削減されていること等が、
図7から分かる。
【0062】
上記の実施形態による方法のステップのうち全部又は一部が適切なハードウェアを指図するプログラムにより実現されてもよいことが理解されるであろう。プログラムはコンピュータにより読み取られることが可能な記憶媒体に保存されてもよい。プログラムが実行されると、上記の実施形態による方法のステップが実行される。記憶媒体は、プログラムコードを保存することが可能な任意の媒体であり、例えばROM、RAM、磁気ディスク又は光ディスク等である。
【0063】
上記の実施形態は本発明を限定するものではなく本発明による解決手段を説明するために意図されているに過ぎないことに留意を要する。本発明は上記の実施形態を参照しながら詳細に説明されてきたが、修正や置換が、関連する解決手段の本質を、本発明の実施形態による解決手段の範囲から逸脱させない限りにおいて、上記の実施形態において説明された解決手段に修正が施されてよいこと、或いは解決手段の或る特徴に均等な置換が施されてもよいことを、当業者は認めるであろう。
【0064】
<関連出願>
本願は「MODEM AND NETWORK SEARCH METHOD OF MODEM」と題する2012年1月21日付けで中国特許庁に出願された中国特許出願第201210019865.3による優先的利益を享受し、その中国特許出願の内容全体は本願のリファレンスに組み入れられる。