(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770381
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】検査ステーションにおける工作物の芯出しを伴うホーニング方法
(51)【国際特許分類】
B23F 19/05 20060101AFI20150806BHJP
B23F 23/04 20060101ALI20150806BHJP
B23F 23/12 20060101ALI20150806BHJP
B24B 33/10 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
B23F19/05
B23F23/04
B23F23/12
B24B33/10
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-530218(P2014-530218)
(86)(22)【出願日】2012年9月13日
(65)【公表番号】特表2014-530768(P2014-530768A)
(43)【公表日】2014年11月20日
(86)【国際出願番号】EP2012067955
(87)【国際公開番号】WO2013037890
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2014年5月8日
(31)【優先権主張番号】102011082868.0
(32)【優先日】2011年9月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507195508
【氏名又は名称】フェルゾマート・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100062317
【弁理士】
【氏名又は名称】中平 治
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】イェーガー・ヘルムート・エフ
【審査官】
村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第02011596(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0186886(US,A1)
【文献】
特開平04−189418(JP,A)
【文献】
特開昭58−149129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 19/05
B23F 23/00 − 23/12
B24B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物(6)のホーニング処理、つまり、積載荷卸しステーション(2)、検査ステーション(3)、および処理ステーション(4)を有するホーニング加工機(1)による歯車のホーニング処理の為の方法であって、
a)工作物(6)がまず検査ステーション(3)の中間保持部(10)に連行される
b)工作物(6)が中間保持部(10)によって所定の角度位置(α)でもって処理ステーション(4)の工作物スピンドル(13)へと引き渡される、そして
c)工作物スピンドル(13)上に保持される工作物(6)が、ツールスピンドル(20)上のホーニングツール(18)とかみ合せられ、およびホーニング処理を受ける、
というステップを有する方法において、
ステップa)の後、工作物(6)を測定するために、工作物(6)が中間保持部(10)上で、検査ステーション(3)のモデル歯車保持部(11)上のモデル歯車(12)とかみ合わされ、およびこれに押付けられること、および、
ステップb)の前または間に、工作物(6)の引き渡し角度位置(α)が、モデル歯車保持部(11)のロータリーエンコーダ(16)の読取によって決定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
モデル歯車(12)が、工作物(6)と未だかみ合っており、しかし工作物(6)が引き渡しの枠内で既に回転固定的に捕まれている間に、モデル歯車保持部(11)の角度位置(φ)が、ロータリーエンコーダ(16)によって読み取られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップb)の間に、引き渡しが中間保持部(10)から直接工作物スピンドル(13)に対し行われ、特にその際、工作物スピンドル(13)が引き渡しの際、モーターにより走行を受けることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップa)の後の工作物(6)の計測の結果に基づいて、工作物(6)が、ステップc)におけるホーニング処理に対して許可をされるか、またはえり分けられるか決断されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工作物(6)の計測の枠内で、角度に応じた工作物(6)のサイズ情報が決定され、その際、押付けの際に、モデル歯車保持部(11)のロータリーエンコーダ(16)によって、工作物(6)の角度位置(α)がトレースされることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
角度に応じたサイズ情報が、ステップc)においてホーニング処理を制御する電気的制御装置(21)に引き渡され、この制御装置が、工作物(6)のホーニング処理の制御の為の角度に応じたサイズ情報をステップc)において評価することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップc)において、工作物スピンドル(12)における工作物(6)とツールスピンドル(20)におけるホーニングツール(18)の相対的回転位置及び/又は相対的軸間隔(AWH)が、工作物(6)の回転の間に、角度に応じたサイズ情報に応じて、電気制御装置(21)によって追従されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工作物(6)が中間保持部(10)上に自由に回転可能に保持されており、およびモデル歯車(12)が工作物(6)の計測の為の押付けの際に、モーターにより駆動されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップa)からc)が異なる工作物(6)に対して繰り返されること、およびホーニング処理の後、工作物(6)の少なくとも、一部において、
d)工作物(6)を測定するために、工作物(6)が中間保持部(10)に戻って連行され、再びモデル歯車(12)とかみ合せられ、およびこれに対して押し付けられる
e)ステップd)の測定の結果に応じて、別の工作物(6)がステップa)からc)に従いホーニング処理を受けるか、またはホーニングツール(18)が交換されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実施するためのホーニング加工機(1)において、
工作物(6)、つまり歯車のための工作物スピンドル(13)、
ホーニングルール(18)、特にセラミックまたはセラミックコーティングされたホーニングリングの為のホーニングスピンドル(20)、
および、工作物(6)の為の中間保持部(10)、およびモデル歯車(12)の為のモデル歯車保持部(11)が形成されており、その際、モデル歯車保持部(11)が、モデル歯車保持部(11)の角度位置(φ)の決定の為のロータリーエンコーダ(16)を備えられている検査ステーション(3)を有することを特徴とするホーニング加工機(1)。
【請求項11】
ホーニング加工機(1)が、電気制御装置(21)を備え、この電気制御装置が、ロータリーエンコーダ(16)の読取りによって、モデル歯車保持部(11)の読み取られた角度位置(φ)に付随する工作物(6)の角度位置(α)を検出するため、および工作物(6)を工作物スピンドル(13)に引き渡した後、これによって工作物(6)の角度位置(α)をホーニング処理の間追跡するために形成されていることを特徴とする請求項10に記載のホーニング加工機(1)。
【請求項12】
電気制御装置が、更に、
モデル歯車(12)での工作物(6)の押付けの間、中間保持部(10)とモデル歯車保持部(11)の相対的な摺動位置(ALW)から、およびモデル歯車保持部(11)の角度位置(φ)から、角度に応じた工作物(6)のサイズ情報が読み込まれ、および
工作物(6)のホーニング処理の際に、相対的な軸間隔(AWH)及び/又は工作物スピンドル(13)上の工作物(6)とツールスピンドル(20)上のホーニングツール(18)の相対的回転位置が、工作物(6)の回転の間、角度に応じたサイズ情報に従って追従されるよう形成されていることを特徴とする請求項11に記載のホーニング加工機(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作物、特に歯車のホーニング処理の為の方法に関する。そしてこの方法は、以下のステップを有している。
a)工作物がまず中間保持部に連行される。
b)工作物が中間保持部によって所定の角度位置でもって工作物スピンドルに引き渡される。
c)工作物スピンドル上に保持された工作物が、ツールスピンドル上でホーニングツールとかみ合せられ、およびホーニング処理を受ける。
【背景技術】
【0002】
そのような方法は、特許文献1より公知である。
【0003】
ホーニングの際には、例えば歯車、またはギアのようなかみ合せられた工作物においては、歯面がホーニングツール上に押付けられ、ホーニングツールは、通常、セラミックの材料からなる、またはセラミック材料によりコーティングされるいわゆるホーニングリングである。これによって材料が、工作物の歯面から取り去られる。ホーニングリングは、円形状の基本形状を有し、その側に放射方向で内側に向けられた歯面を有している。
【0004】
工作物とホーニングリングの押付けの間、ホーニングリングはツールスピンドルによって回転され、同様に工作物が工作物スピンドルによって回転される。工作物スピンドルは、その際、数千回転という高回転で回転される。ホーニングの際には、過剰分は、大体10−15μmだけ取り除かれるので、ホーニングリングと工作物はホーニング処理の際に極めて正確に互いに整向されかつ同期されている必要がある。
【0005】
ホーニングプロセスの制御の為に、工作物がホーニングツール内に進入するとき、歯または歯面の工作物における位置およびホーニングツールにおける位置を知ることが重要である。この進入の際、スピンドルは典型的には、既にホーニングプロセスの為に意図される回転数へと加速されている。エラー的かん合の際、例えば工作物の歯がホーニングツールにおける間隙でなく、ホーニングツールの歯に当たってしまうような時、工作物と(通常、交換するには更に高価である)ホーニングツールも、著しく損傷を受ける。
【0006】
先行技術では、典型的にはロータリーエンコーダが工作物スピンドルおよびツールスピンドルに設けらている。これらによって、回転速度のみならず、スピンドルの絶対位置も監視されることが可能である。ホーニングツールのインストールの後、一度キャリブレートされた後、ツールスピンドルにおいてホーニングツールの歯面の位置がロータリーエンコーダによって検出され、および制御の為に使用されることができる。工作物スピンドルに関して、新しい工作物が新しい工作物が捕まれた後ごとに、新たにキャリブレーションが必要となる。このため、典型的には一つの誘導型センサーが工作物スピンドルに使用される。このセンサーによって、その直接近傍を通過する歯が検出されることが可能である。これらキャリブレーションのために、工作物は所定の時間だけ、ホーニング処理の開始の前にセンサー近傍で工作物スピンドル上で回転される必要がある。
【0007】
工作物スピンドルのそのようなキャリブレーションの間、これはホーニング処理の為には使用することができない。これによって非生産的時間が発生し、これはホーニング加工機におけるサイクルタイムを引き延ばす。
【0008】
異なる種類の工作機械に対して、一つのツールが、このツールを交替に使用する二つのツールスピンドルの使用によって最大限に活用されるということが提案される。例えば特許文献2が参照される。これによって工作物交換のような、工作物スピンドルにおける非生産的プロセスが、主要プロセスに並行して、つまりツールを有する他の工作物における処理の間に行われる。二つの工作物スピンドルの使用は、しかし、工作機械を大型化させ、そして高価にする。
【0009】
特許文献1には、工作物を、まずインデクセーションスピンドル(Indexierspindel)によって、後続するホーニング処理の為に適当な角度位置へと回転し、そしてその後、二つの把持部が形成されている旋回可能なキャリアによって、工作物スピンドルへと引き渡すことが提案される。引き続いて、工作物スピンドルが、ホーニングリングにおいて調節される。工作物スピンドルへの工作物の引き渡しの際、所定の角度位置を保証するために、工作物が特別なチャッキング装置により保持される。このチャッキング装置は、放射方向内側に向けられた、軸方向の突出部を有している。
【0010】
チャッキング装置での工作物を挟み込むため、および引き続いて工作物を開放するために、しかし追加的なプロセスが設立される必要がある。インデクセーションスピンドル、旋回可能なキャリアおよび二つの把持部は、その上、著しい装置コストを意味する。その上、正確な角度位置のトレースバック(Nachverfolgung)は、この方法では全体として比較的複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許第10 2007 030 955 B4号明細書
【特許文献2】独国特許第10 2006 019 325 B3号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題。本発明の課題は、工作物のホーニング処理の為の方法を提供することである。当該方法において、工作物スピンドルの保持される工作物に関するキャリブレーション(芯出しまたは中心合せとも称される)は、簡単かつ時間節約的に行われることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の簡単な説明。この課題は、冒頭に記載した形式の一つの方法によって解決される。当該方法は、ステップa)の後に、工作物を測定するために、中間保持部上にある工作物が、モデル歯車保持部上のモデル歯車とかみ合せれ、そしてこれに対して押し付けられること、およびステップb)の前、または間に、工作物の引き渡し角度位置が、モデル歯車保持部のロータリーエンコーダの読取によって決定されることによって際立っている。
【0014】
本発明の枠内で、工作物スピンドルのキャリブレーション(芯出し、中心合せ)は、ロール検査に統合されている。このロール検査の間に、工作物がモデル歯車(マスター歯車とも称される)に押付けられる。ロール検査によって、通常、ホーニング処理の為の剰余が過大である工作物が特定される。
【0015】
モデル歯車は、典型的には可能な限りエラーの無い、通常研磨された工作物として選択される。当該工作物は、測定する工作物と同一のタイプのものである(代替としてモデル歯車が、例えば工作物と異なる歯数を有する別のタイプのものであることも可能である)。モデル歯車は、押付けの際に、検査すべき工作物の歯プロフィル内へとかみ合せられ、これによって正確に定義された角度関係が生じる。通常、角度関係は、二つの隣接する歯の半分の中央間隔分のオフセットである。
【0016】
中間保持部上での工作物の(絶対的)角度位置は、その後、モデル歯車保持部の読み取られた(絶対的)角度位置から(スリップの無いモデル歯車と工作物のかみ合せを前提として)モデル歯車保持部のロータリーエンコーダを使って、モデル歯車保持部のキャリブレーションの後に検出される。再度のキャリブレーションは、基本的にモデル歯車の交換の後(例えば他の工作物タイプへの入れ替えの場合に)のみ必要である。
【0017】
モデル歯車保持部のキャリブレーションは、その際、二段階であることが可能である(つまり、モデル歯車保持部の角度位置からまず固定的に組付けられたモデル歯車の角度位置が推定され、そしてモデル歯車の角度位置から、その後、工作物形状を介して、かみ合せられた工作物の角度位置が推定される)か、しかしまたは、一段階であることが可能である(モデル歯車保持部の角度位置から、直接、かみ合せられた工作物の角度位置が推定される)。
【0018】
モデル歯車保持部およびモデル歯車のキャリブレーションが行われた後、(基本的に一つの軸を回転部材として有している)モデル歯車保持部の角度位置が、典型的には、モデル歯車の角度位置として、明快さを有しつつ、キャリブレーションの詳細にわたる言及を行うことなく表現されるという点に注意されたい。
【0019】
中間保持部から工作物スピンドルへの工作物の引き渡しの際に、発明に従い、角度位置が(好ましくは)まったく変更されないか、または単に定義された既知の方式で変更されるのみであるので、その結果、工作物スピンドル上での工作物の歯面の角度位置は、引き渡しの後に(好ましくは)既知であるか、または簡単に計算可能である。
【0020】
ロール検査の終わりの、モデル歯車保持部のロータリーエンコーダによる工作物の引き渡し角度位置の決定によって、工作物の芯出しまたは中心合せが、主要プロセスに並行して(つまりホーニングツールにおいて他の工作物が処理されている間に)行われることが可能である。その結果ホーニング加工機のサイクルタイムは、工作物スピンドル上でセンサーによって(例えば誘導センサーによって)独立して行われる芯出しに比較して短縮される。本来のホーニング処理を遅らせる可能性のある、センサー(例えば誘導センサー)による工作物スピンドル上での工作物の芯出しまたは中心合せは、本発明の枠内では必要ではない。
【0021】
特にホーニング処理の間の、スピンドルの更なる回転の間の角度位置の追従の為の、工作物スピンドルとツールスピンドルが、夫々ロータリーエンコーダを有している。その信号(または情報)は、電気制御装置によって評価され、ホーニング処理の際のスピンドルの正確な同期の為に評価される。
【0022】
モデル歯車(またはモデル歯車保持部)および工作物(または中間保持部)が、互いに平行に向けられている。工作物の計測の為に、典型的には、モデル歯車保持部(代替として中間保持部)が、放射方向で可動に支承されており、その際、モデル歯車保持部の走行位置は押付け動作の間トレースされる。これによって、軸間隔または工作物の剰余が決定されることが可能である。モデル歯車は、押付けの際に好ましくは、工作物の各歯の二つの歯面と当接する(互いに反対方向のスリップの無いかみ合せにおける、ニ面押付け検査)。これによって特に正確な芯出しが行われることが可能である。
【0023】
本発明の有利なバリエーション。発明に係る方法の特に有利なバリエーションにおいて、モデル歯車が工作物と未だかみ合せられているが、工作物が引き渡しの枠内ですでに回転固定的にかみ合せられている間に、モデル歯車保持部の角度位置がロータリーエンコーダによって読み取られる。これによって、(例えばピックアップ工程中の工作物スピンドル自身による)工作物への介入によって生じてしまうおそれのある工作物の角度位置変更が、芯出しを歪曲してしまうことが排除される。代替として、引き渡しを阻害しないように、ステップb)における引き渡しの前に、モデル歯車および工作物がかみ合せ状態から外されることも可能である。この場合、方法は、引き渡しの間に工作物のはっきりとしない角度位置変更が行われることがないよう実施される必要がある。このため、例えば工作物の中間固定が行われることが可能である。
【0024】
ステップb)において、引き渡しが中間保持部から工作物スピンドルに直接行われ、特にその際、工作物スピンドルが引き渡しの際にモーターによって走行を受けるという一つの方法バリエーションは、特に有利である。この処置は、「ピックアップ」方法とも称され、それは特に迅速でかつ、中間引き渡しによる角度位置エラーが排除される。代替として、例えば、中間接続される把持部による間接的な引き渡しも行われることが可能である。この把持部は、工作物を中間保持部から取り上げ、そして工作物スピンドルへと順送りされ、ここで工作物の角度位置に関する情報が得られたままである必要がある。
【0025】
ステップa)の後、工作物の計測の結果に基づいて、工作物がステップc)のホーニング処理に対して許可をされるか、またはえり分けられるか決断されるという一つのバリエーションは有利である。これによって、劣悪な工作物の過剰処理が防止される。決定基準として、特に、工作物の最大の剰余が限界値(例えば50μm)を越えているかどうかが使用されることができる。
【0026】
本発明に係る方法の特に有利なバリエーションにおいて、工作物の計測の枠内で、角度に応じた工作物のサイズ情報が決定され、その際、押付けの際に、モデル歯車保持部のロータリーエンコーダによって工作物の角度位置がトレースされる。特に、(軸間隔に相当する)剰余が、(工作物回転軸に対して垂直な平面内の、任意に選択可能なゼロ角度方向に関する)角度の関数としてホールドされる。角度解像度は、その際、少なくとも歯の数量に相当し、および好ましくは少なくとも歯面(歯ごとに二つの歯面)の数量に相当する。これによって、後の特別な処理の為(特に、特別な、引き続くホーニング処理の為)の工作物の特別性(エラー)が特定されることが可能である。更に、合計の分割(Summenteilung)と真円度も角度に応じて検出されることが可能である。
【0027】
同様に特に有利であるのは、上述したバリエーションの再改良形である。この再改良形は、角度に応じたサイズ情報が、ステップc)でホーニング処理を制御する電気制御装置に引き渡されること、および、電気制御装置が、角度に応じたサイズ情報を、ステップc)における工作物のホーニング処理の制御の為に評価することを意図する。これによってホーニング処理が、個々の工作物の特別性に適合されることが可能である。
【0028】
その際、好ましくは、ステップc)において、ツールスピンドルにおけるホーニングツールと、工作物スピンドルにおける工作物の相対的回転位置相及び/又は対的軸間隔が工作物の回転の間に、角度に応じたサイズ情報に応じて電気制御装置を使ってトラックされる。これによって工作物の周囲に関して変化するエラーまたは工作物の寸法が、特にわずかに真円でない形状が、意図的に補正される、または変更されることが可能である。例えば、ツールスピンドルと工作物スピンドルの軸間隔は、工作物のある角度領域が特に高い剰余を、ホーニングツールとの接触領域内へと旋回されるときに、常に減少され、まずこの特別な剰余が、工作物の他の角度領域中の剰余に相当するまでこれを除去し、引き続いてホーニング処理が工作物の全角度領域(つまり全周囲)へと拡大される。電気制御装置は、このバリエーションの枠内でホーニングツールと工作物の回転位置及び/又は軸間隔を、典型的には工作物の回転周波数でもって周期的に変更する。
【0029】
さらに、工作物が中間保持部に自由に回転可能に保持され、モデル歯車が工作物の計測の為の押付けの際にモーターにより駆動される一つの方法バリエーションは有利である。この処置は、実践で選択された。中間保持部の工作物をモーターで駆動することも、代替として可能である。
【0030】
ステップa)からc)が、異なる工作物に対して繰り返されること、および、ホーニング処理の後に工作物の一部において少なくとも、
d)工作物を測定するために、工作物が中間保持部に戻って連行され、再びモデル歯車とかみ合せられ、およびこれに対して押しつけられ、
e)ステップd)での計測の結果に応じて、工作物がステップa)からc)に従いホーニング処理を受けるか、またはホーニングツールが交換される、
ということを意図している一つの方法バリエーションも同様に有利である。典型的には、新たなホーニングツールのインストールの後、まず、ステップd)に従って管理計測なしの大きな数量の工作物(例えば200)の処理が行われ、そして引き続いて、小さな数量の工作物(例えば20)の管理計測がステップd)における管理計測が、臨界的処理品質を生じるまで行われ、その後、ホーニングツールが交換される。このバリエーションによって、ホーニングツールの寿命を最適に利用し尽くしての良好な処理品質が、保証されることが可能である。
【0031】
本発明の枠内には、ホーニング加工機もある。特に上述した、発明に係る方法を実施するためのものがある。これは、工作物、特に歯車の為の工作物スピンドルを有し、ホーニングツール、特にセラミックのホーニングツールまたはセラミックコーティングされたホーニングツールの為のツールスピンドルを有し、そして、工作物の為の中間保持部と、モデル歯車の為のモデル歯車保持部が形成されており、その際、モデル歯車保持部がモデル歯車保持部の角度位置決定の為のロータリーエンコーダを設けられている検査ステーションを有している。ロータリーエンコーダによって、各任意の時点に対してモデル歯車保持部又はモデル歯車の(絶対)角度位置が決定されることができる。これによって、モデル歯車とかみ合せられた工作物の角度位置が推定されることが可能であり、この情報は工作物スピンドル上での工作物の芯出しに対する時間省略の為に使用されることが可能である。ロータリーエンコーダの読取時点に対しては、かみ合せはもはや存在する必要がないという点、注意を要する。検査ステーションは、発明に従い、処理ステーションから(つまり工作物スピンドルとツールスピンドルから)独立している。
【0032】
発明に係るホーニング加工機の有利な実施形において、ホーニング加工機は、電気制御装置を有している。この制御装置は、ロータリーエンコーダの読取りによってモデル歯車保持部の読み取られた角度位置に付随する工作物の角度位置を検出し、および工作物を工作物スピンドルに引き渡した後に、これによって、ホーニング処理の間の工作物の角度位置を追跡する為に形成されている。工作物スピンドルは、典型的には、工作物の角度位置を追跡するための一つの適当なロータリーエンコーダを有している。キャリブレーションは、モデル歯車保持部のロータリーエンコーダを介して間接的に行われる。同様にツールスピンドルも、典型的には、ホーニングツールの角度位置を追跡するための一つの適当なロータリーエンコーダを有している。キャリブレーションは、ホーニングツールの交換の後にのみ行われる。この実施形では工作物の芯出しは、工作物のロール検査の枠内で、時間省略的に、主要プロセスに並行して検査ステーションで行われることが可能である。
【0033】
この実施形の再改良形であって、ここで、電気制御装置が更に、中間保持部とモデル歯車保持部の相対的スライド位置と、工作物のモデル歯車に対する押付けの間のモデル歯車保持部の角度位置から、工作物に関する各度に応じたサイズ情報を読み込み、および、
工作物のホーニング処理の際に、ツールスピンドル上のホーニングツールと工作物スピンドル上の工作物の相対的回転位置及び/又は相対的軸間隔を、工作物の回転の間、角度に応じたサイズ情報に応じて追従する為に形成されているという再改良形は、特に有利である。これによって、工作物の周囲わたって変化する工作物のエラーまたは寸法、特にわずかに真円でない形状が、意図的に補正されることができ、変更されることができる。
【0034】
本発明の他の利点は、明細書および図面から生じる。同様に、上述した特徴および更に説明される特徴は、発明に従いそれ自体個々で使用されることが可能であるし、または任意の組合せで使用されることが可能である。示された実施形および記載された実施形は、最終的列挙と理解されず、むしろ本発明の描写に対する例示的特徴を有している。
【0035】
本発明の詳細な説明および図面について。本発明は、図に表されている。そして、実施例に基づき詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】発明に係るホーニング加工機の簡略的上面図。このホーニング加工機において発明に係るホーニング処理の為の方法が実施される。
【
図2】
図1の検査ステーションの
図1の平面IIにおける簡略的断面図。工作物にモデル歯車はかみ合わさっていない。
【
図3】
図1の検査ステーションの簡略上面図。工作物にモデル歯車がかみ合わさっている。
【
図4a】モデル歯車の回転にわたって相互にかみ合わされた際のモデル歯車と工作物の間の軸間隔の計測の為の例。
【
図4b】
図4aで測定された工作物に対する工作物スピンドルとホーニングリングの制御すべき軸間隔に対する例。
【
図5】ホーニング処理の為に工作物スピンドルによって調節された工作物の、
図1のツールスピンドルの
図1における平面Vを通しての簡略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、発明に係るホーニング加工機1の一つの実施形の概要を示す。ホーニング加工機1は、ここでは、積載荷卸しステーション2、検査ステーション3、および処理ステーション4を有する。
【0038】
積載荷卸しステーション2では、示された実施形においては、フレーム2a内に四つの保管スペース5が各工作物6に対して設けられている。典型的には一つのフレーム2aは、四つの処理されていない工作物6が提供され、そして全ての工作物6の作業完了の後にフレーム2aは取換えられる。しめされた状況では、三つの工作物6がフレーム2a内にある。この内の一つがちょうど把持部7によって把持されている。把持部7は、十字式可動台8およびポータルシステム9によって垂直方向(図平面に対して垂直、z方向)および水平方向(x方向)に、積載荷卸しステーション2と検査ステーション3の間を走行可能である。把持部7は、捕えられた工作物6を検査ステーション3へと連行する。
【0039】
検査ステーション3は、工作物6の為の中間保持部10(この中間保持部に把持部7が工作物6を連行する)と、モデル歯車12(マスター歯車とも称される)の為のモデル歯車保持部11を有している。モデル歯車12は、中間保持部10に向かって水平に(y方向に)走行を受けることが可能である。モデル歯車保持部11の軸22の為のy方向に延在する開口部22aを参照せよ。中間保持部10上での工作物6との接触中、モデル歯車12の位置は、モデル歯車12の回転(これは工作物6の回転にも相当する)によって測定されることが可能である(「ロール検査」後述参照)。これによって工作物6の品質を推定することが可能である。モデル歯車12は、タイプとしては、完全にホーニング処理による工作物6に相当する。モデル歯車12が重大な不良を有さないということを前提とする。
【0040】
(例えば過剰すぎる最大剰余によって)意図されるホーニング処理に対してあまりに粗悪な工作物6は、把持部7によって検査ステーションから直接積載荷卸しステーション2へと戻るよう連行される。十分良好な工作物6は、工作物スピンドル13によってピックアップ工程中に把持され、そして処理ステーション4へと連行される。このため工作物スピンドル13は、垂直方向(z方向)および水平方向(x方向、およびここでは制限されているが、処理ステーション4内での工作物調整の為にy方向にも)、二重の十字式可動台14およびポータルシステム15によって全てのステーション2,3,4の間を走行可能である。
【0041】
モデル歯車保持部11は、このため発明に従い、ロータリーエンコーダ16を有している。このロータリーエンコーダによって、モデル歯車保持部11またはモデル歯車12の絶対回転角度(絶対角度位置とも称する)が常時確認可能であり、モデル歯車12に関するキャリブレーションはモデル歯車12のインストールの際に一度実施される。回転角度情報は、工作物6を中間保持部10の中央に置くために使用される(以下参照、特に
図3に関し)。
【0042】
工作物スピンドル13によって処理ステーション4に連行された工作物6(工作物スピンドル13に隠れているので
図1では点線で表されている)は、処理ステーション4でホーニング処理にさらされる。このため工作物6は、工作物スピンドル13上で高回転に加速される。その際、工作物6の絶対角度位置αは、ロータリーエンコーダ17によって追跡され、このため検査ステーション3の芯出し情報が使用される。同様にホーニングツール18(ここではセラミックのまたはセラミックコーティングされたホーニングリング)が、ツールスピンドル20内で高回転に加速される。ここでもまた、ホーニングツール18の絶対角度位置8が、ロータリーエンコーダ19によって追跡され、キャリブレーションは、ホーニングリングのインストールの際に一度行われる。
【0043】
高速で回転する工作物スピンドル13と、わずかに低速で回転するツールスピンドル20によって、工作物6とホーニングツール18が互いに同期してかみ合った状態にもたらされる。このため工作物スピンドル13は、ホーニングツール18上へと向かって走行する(ここでは負のy方向に向かって、
図1では下に向かう)。工作物スピンドル13およびツールスピンドル20による走行、把持および回転モーターは、その際、一つの電気的な制御装置21により管理される。この制御装置は、すべてのロータリーエンコーダ情報も読み取る。電気的制御装置21は、その上、把持部7および検査ステーション3の走行、把持および回転モーターをも管理する。かみ合い中に工作物6から材料が切り取られ、このことは本来のホーニング処理を意味する。
【0044】
ホーニング処理の終了後、工作物6は工作物スピンドル13から、積載荷卸しステーション2の自由な保管スペース5へと連行される。代替として、処理された工作物6が検査ステーション3の中間保持部10に向かって戻り運ばれることも可能であり、これによって処理結果を再度のロール検査の枠内で検査する。
【0045】
図2には、
図1の検査ステーション3がy方向に沿った断面図として表されている。その際、工作物6(ここでは歯車)が、中間保持部10に配置されている点すでに異なっている。工作物6は、垂直な工作物軸WAを中心として自由に回転可能であるが、しかし放射方向では遊び無く保持されている。
【0046】
モデル歯車保持部11には、モデル歯車12が配置されている。モデル歯車12は、詳細に表されていない方式でモデル歯車保持部11の軸22に固定されており、よって軸22と共にのみ回転可能である。回転は、その際、同様に垂直なモデル歯車軸LAを中心として行われる。軸22は、可動台23内に支承されている。この可動台は、検査ステーション3内を水平方向にy方向へと中間保持部10に向かって、およびこれから離れて走行可能である。軸22は、延伸された開口部22aを通って検査ステーション3のハウジングから外に突き出している。可動台23内には、モーター駆動部24が形成されている。この駆動部によって軸22の回転が駆動されることが可能である。軸22またはモデル歯車保持部11の絶対回転位置は、ロータリーエンコーダ16により追跡される。
【0047】
可動台23は、摺動装置25によって走行されることが可能である。この摺動装置と、可動台23がばね(ここではコイルばね)を介して接続されている。摺動装置25は、内側ねじ山を有している。この内側ねじ山が、ねじロッド27と相互作用する。モーター駆動部28によるねじロッド27の回転によって、摺動装置25はy方向へと走行される。その際、検査ステーション3内にスムースに案内された可動台23は、(中間保持部10の方へ右に向かって)前方へも、(左に向かって)後方へも、コイルばね26を介して基本的に連行される。可動台23の絶対走行位置は、ストローク検出器29を介してトレースされる。モーター駆動部27と反対側に位置する支承部27aを使用することができるように、ねじロッド27が、可動台23の領域中で自由に案内されるという点に注意すべきである。
【0048】
代替として、可動台23の駆動はリニアモーターによって行われることも可能である。ここで、機械的ばねは、電気制御により置換されることが可能である。軸LAの剛性または軟性が、電気的に調整されることが可能である。
【0049】
ロール検査のために、可動台23はモーター駆動部28、ねじロッド27および摺動装置25によって右に向かって走行可能である。その結果モデル歯車12は、工作物6とかみ合うにいたる。引き続いて、摺動装置25は更にもう少し右に向かって走行する。その結果、コイルばね26は圧縮応力下に置かれる。その後、摺動装置25は位置固定的に保持される。他方でモデル歯車12は、モーター駆動部24および軸22によって少なくとも一度フル角度(360度)分、回転される。この処置によって、モデル歯車12は(コイルばね26の作用のもと)左右にわずかな自由度を有する。工作物6が、回転に関して剰余バリエーションを示したとしても、この自由度を介してモデル歯車12は、押付けの間、摩擦結合的に工作物6へと当接することが可能である。
【0050】
図3は、ロール検査の間、かみ合った状態にあるモデル歯車12および工作物6の上面図を示す。モデル歯車12は、示された例においては、反時計回りに回転し、工作物はこれに対応し時計回りに回転する。
【0051】
モデル歯車保持部11のロータリーエンコーダ(
図1および2の符号16参照)は、モデル歯車12のモデル歯車保持部11に対する固定的組付けの際に、ここではモデル歯車12のキャリブレート歯30の中央に位置するキャリブレート点KPが、ロータリーエンコーダ16の角度位置φ=0において、y方向の正の方向に向かって平行に、正確に、軸LAとWAの接続線VB上に位置するようキャリブレートされる。ロータリーエンコーダが、本来は、モデル歯車保持部11の角度位置を決定するとしても、簡単のために、ロータリーエンコーダの角度位置φが、以下では、モデル歯車12のこのキャリブレート点KPの絶対角度位置を直接参照する。
【0052】
図3に示された状況は、ちょうど角度位置約φ=30°にある。つまり、キャリブレート点KPは(数学上の正の意味で、反時計回りに)30°分接続線VBから離れるよう旋回している。
【0053】
ロール検査の間、本発明のここで紹介したバリエーションにおいては、モデル歯車軸LAと工作物軸WA(後者は位置固定的である)の間隔ALWは、モデル歯車12の回転(および工作物6の相応して連結された回転)の間、角度位置φの関数として決定される。その際、少なくとも、工作物において存在する歯の数量程度の数の保護点が使用され、好ましくは、工作物6におえる歯の2倍の数量の保護点が使用される。簡単なロール検査の為には、最大の間隔ALWをモデル歯車12の回転を介して決定することが十分であるということに注意されたい。
【0054】
発明に従い、今、工作物6に関する簡単な芯出し情報が検出される。工作物6における指向点OPが、y方向の正の方向に対向して角度α=180°−φ分だけ旋回される。この指向点は、モデル歯車12の角度状態φ=0において、キャリブレート点KPに直接対向して接続線VB上に位置する。この指向点OPは、(工作物形状に対応して、工作物6とモデル歯車12の二側面当接の際に)工作物6指向歯間部31の中央に位置する。
【0055】
好ましくは、(ロール検査の終了後)まず工作物6が把持ブラケット32を有する工作物スピンドルによって把持される(
図2も参照されたい)、そしてその後、未だかみ合った状態にあるモデル歯車12の角度位置φが読み取られる。その後、モデル歯車12は引き戻されることが可能である。そして工作物6は工作物スピンドル13と共に処理ステーション4へと連行されることが可能である。工作物スピンドル13の並進的動作の際、工作物6の角度位置αの変更は生じない(よって工作物スピンドル13はすでにこの時点に対して回転状態へと移され、これは工作物スピンドル13のロータリーエンコーダ17によって追跡されることが可能である)。工作物6は、工作物スピンドル13によって、
図3または
図5に表されているように外側からという代わりに、穴の中で内側からも把持されることが可能である(
図2参照)。この場合、検査ステーション3の中間保持部10の収容軸が下に向かってばね負荷される。
【0056】
後続するホーニング処理の為に、よって、指向点OPの角度位置αが、y方向の正の方向に対して相対的に知られ、その結果、ツールスピンドル20またはホーニングリングとの同期が、工作物6の特別な芯出しを行わずとも可能となる。特に、工作物6のすべての(目標)歯プロフィル位置が、指向点OPの位置から導出されることが可能である。
【0057】
モデル歯車12と工作物6の軸距離ALWの変更は、ロール検査の間、ストローク検出器29によって、モデル歯車12の回転角度φの関数として、(キャリブレートされた)ロータリーエンコーダ16によって決定可能であるように、検出されることが可能である。
図4aは、そのような計測の結果を例示的に示す。
【0058】
示されている例においては、φ=0°(=360°)とφ=330°において軸距離ALWが確認される。これは、予め設定された限界値GWの上にある。後続するホーニング処理中に、工作物6の該当する領域は、意図的に事前に処理される必要がある。モデル歯車12の位置φ=0°およびφ=330°は、工作物の角度位置α=180°およびα=−150°(=210°)に相当する。
【0059】
もっとも簡単な場合、工作物6は(検査ステーション3における工作物6のように)、モデル歯車12に対して相対的にy方向の負の方向でホーニングツール18と接触せしめられる(
図5参照)。これによって、工作物6においてαとして計測された、特定された角度位置が、更なる換算無しに処理に割り当てられる。というのは、その後、計測箇所および処理箇所が(工作物6に関して)一致するからである(例えば、工作物位置が、工作物スピンドル13によってx方向のみで可能であり、しかしy方向で可能でないとき、他の処理箇所の場合には、相当する換算角度がαに対して加算されるか、または減算される必要がある)。
【0060】
α=180°およびα=210°におけるあまりに大きな剰余を意図的に除去するために、この発明バリエーションでは、工作物6が角度位置α=180°とα=210°の間にあるとき、工作物スピンドル軸(または工作物軸)WAとツールスピンドル軸(又はホーニングツール軸)HAの軸間隔AWHが段階を正確に減少され、これによってこの角度位置において特に強度の材料除去が工作物6から行われる。他の全ての角度位置において、軸間隔AWHは拡大するので、その結果これら角度位置では材料除去はほとんど行われないか、わずかにのみ行われる。換言すると、軸間隔AWHは、工作物スピンドル13の回転の間(中)に電気制御装置によって、角度に応じた工作物6に関する計測情報に応じて追従される(変化する)。軸間隔AWHの為の付随する制御機能は
図4bに表されている。
【0061】
限界値GWの上にある余剰が、工作物6から除去された後、(例えば所定の回数の工作物回転が行われた後)、表された例においては、従来式のホーニング処理への移行が行われる。このホーニング処理においては、工作物スピンドル13の回転の間、一定の軸間隔AWHが適用される。
【0062】
軸間隔AWHと同様に、周囲方向においてもホーニングツール18と工作物スピンドル13のオフセットが行われる。換言すると、工作物6の1つの歯が、中央位置からわずかにずれてホーニングツール18の歯間部内へと埋没する。オフセットの調節の為に、つまり工作物6とホーニングツール18の相対的回転位置の調節の為に、工作物スピンドル13及び/又はツールスピンドル20の回転速度が変更される。典型的には、その際、短期間の加速パルスおよびブレーキパルスが適用される。
【0063】
図5は、工作物6を示す。この工作物は、工作物スピンドル13に保持されており、これによって工作物スピンドル軸(工作物軸)WAを中心として回転され(その際工作物の角度位置αが変更される)、ホーニングツール18によるかみ合い中に、液圧的延伸要素50によってツールスピンドル20内に挟み込まれ、およびこれによってツールスピンドル軸(またはホーニングツール軸)AHを中心として回転され(これによってホーニングツール18の角度位置βが変更される)。工作物スピンドル13の水平方向でy方向への走行によって、軸WAとHAの間の軸間隔AWHが調節される。特に工作物6の回転の間(中)に工作物6の高い回転数(例えば5000回転/分およびそれ以上)においても、軸間隔AWHを極めて迅速に変更するため、特にピエゾ電気式の位置決め要素が使用されることが可能である(詳細には表されない)。