特許第5770384号(P5770384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5770384半芳香族ポリアミドをベースとする可塑性組成物、その調製方法およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770384
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】半芳香族ポリアミドをベースとする可塑性組成物、その調製方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20150806BHJP
   C08K 5/435 20060101ALI20150806BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20150806BHJP
   C08G 59/42 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   C08L77/00
   C08K5/435
   C08L23/08
   C08G59/42
【請求項の数】25
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-535138(P2014-535138)
(86)(22)【出願日】2012年10月8日
(65)【公表番号】特表2015-501341(P2015-501341A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(86)【国際出願番号】FR2012052276
(87)【国際公開番号】WO2013054026
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2014年5月28日
(31)【優先権主張番号】1159261
(32)【優先日】2011年10月13日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】1251460
(32)【優先日】2012年2月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロンデル,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】カルミオー,クリストフ
【審査官】 繁田 えい子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−054191(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0096430(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0249238(US,A1)
【文献】 特表2008−516009(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02270096(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0031155(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02272914(EP,A1)
【文献】 特開2000−080250(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0008976(US,A1)
【文献】 特表2008−518091(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0111487(US,A1)
【文献】 特開2011−058622(JP,A)
【文献】 特開2010−071418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08G 69/00 − 69/50
C08L 1/00 − 101/14
C08K 3/00 − 13/08
B29C 49/00 − 49/46
B29C 49/58 − 49/68
B29C 49/72 − 51/28
B29C 51/42
B29C 51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の全重量に対する重量%で、
−33から40重量%の少なくとも1種の架橋ポリオレフィンであり、不飽和エポキシドを含む少なくとも1種の生成物(A)および不飽和カルボン酸無水物を含む少なくとも1種の生成物(B)から得られる架橋ポリオレフィン、
−3から10重量%の少なくとも1種の可塑剤、
−残部を構成する少なくとも1種の半芳香族ポリアミド
を含む組成物であって、
(A)および(B)の重量が、それぞれ[A]および[B]として表した比[B]/[A]において、3から14の間であることを特徴とする、組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の架橋ポリオレフィンの含有率が35から37重量%であり、少なくとも1種の可塑剤の含有率が4から8重量%であり、比[B]/[A]が4から9の間であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
架橋ポリオレフィンが、生成物(A)、(B)および不飽和カルボン酸またはα、ω−アミノカルボン酸を含む少なくとも1種の生成物(C)から得られ、(A)、(B)および(C)の重量を、それぞれ[A]、[B]および[C]として表すとき、[C]≦[A]であり、比[B]/([A]+[C])が1.5から8の間になるような量であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
比[B]/([A]+[C])が2から7の間である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
生成物(A)が、エチレン、飽和カルボン酸ビニルエステルおよび不飽和エポキシドのコポリマーまたはエチレン、アルキル(メタ)アクリレートおよび不飽和エポキシドのコポリマーであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
生成物(B)が、エチレン、飽和カルボン酸ビニルエステルおよび不飽和カルボン酸無水物のコポリマーまたはエチレン、アルキル(メタ)アクリレートおよび不飽和カルボン酸無水物のコポリマーであることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
生成物(C)が、エチレンおよび(メタ)アクリル酸のコポリマーまたはエチレン、アルキル(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸のコポリマーであることを特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
半芳香族ポリアミドが、ジアミンおよび芳香族ジカルボン酸の重縮合から得られる少なくとも1種の第1の半芳香族繰り返し単位を含むことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
半芳香族ポリアミドが、アミノカルボン酸から得られる単位、ラクタムから得られる単位および式(Caジアミン)・(Cb二官能酸)(式中、aは、ジアミン中の炭素原子の数を表し、bは、二官能酸中の炭素原子の数を表す。)に一致する単位からなる群から選択される少なくとも1種の第2の繰り返し単位を含むことを特徴とする、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
半芳香族ポリアミドが、50モル%超の第1の繰り返し単位を含むことを特徴とする、請求項に記載の組成物。
【請求項11】
半芳香族ポリアミドが、60モル%超の第1の繰り返し単位を含むことを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
可塑剤が、n−ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)、およびN−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド(HP−BSA)から選択されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
可塑剤が、N−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド(HP−BSA)であることを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
加工助剤、充填剤、安定剤、染料、離型剤、難燃剤、界面活性剤、蛍光増白剤、酸化防止剤およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の添加剤を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ポリアミド、ポリアミド−ブロック−エーテル、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、非架橋ポリオレフィン、フルオロポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の追加的ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
組成物が、半芳香族ポリアミド、可塑剤、ならびに架橋ポリオレフィンを得るための生成物(A)および(B)ならびに(C)が存在する場合には(C)を溶融状態で混合することによって調製されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物の調製方法。
【請求項17】
単層構造または多層構造の少なくとも1つの層を作製するための、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項18】
請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物から全体的または部分的に形成された部品。
【請求項19】
押出、共押出または押出ブロー成形部品である請求項18に記載の部品。
【請求項20】
流体を保存または運搬するための請求項18または19に記載の部品の使用であって、流体が、燃料、冷媒もしくは冷凍流体、冷却液、ブレーキ流体、油、潤滑剤、油圧流体、尿素溶液をベースとする液体、気体もしくは気体状のエマネーション、化学的生成物および水から選択される、使用。
【請求項21】
冷媒または冷凍流体である流体を保存または運搬するための、請求項18または19に記載の部品の使用。
【請求項22】
冷媒または冷凍流体がCOまたはフルオロカーボン流体である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
フルオロカーボン流体が1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは2,3,3,3−テトラフルオロプロペンである、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
空気取込み装置もしくはエンジンガス換気装置、ブレーキアシスト装置、油冷装置、油圧装置、ブレーキ装置、エンジン冷却装置、選択的触媒還元装置、空調回路、または燃料の保存、運搬もしくは移動の装置における、請求項20に記載の使用。
【請求項25】
据付、自動車またはトラックの空調回路における、請求項24に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の半芳香族ポリアミド、少なくとも1種の架橋ポリオレフィン、および少なくとも1種の可塑剤を含む可塑性組成物、この組成物の調製方法およびこの組成物の使用、特に様々な対象、例えば電気、電子もしくは自動車用部品、手術装置、包装またはスポーツ用品などの現今の消費者物品の製造における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車産業において、1種以上の半芳香族ポリアミドをベースとする組成物は、その組成物から製造された部品に付与される顕著な熱力学的特性のため、利用が増加している。
【0003】
これらの部品の熱力学的特性が最適となるように、これらの部品が製造されるもとになる半芳香族ポリアミドをベースとする組成物は、1種以上の他のポリマーおよび/または添加剤を含み得る。
【0004】
文献EP1505099A2には、特に、組成物の全重量に対する重量で60から99.5重量%の少なくとも1種のコポリアミドならびに0.5から40重量%の、可塑剤、ナノ充填剤、ポリオレフィン、架橋ポリオレフィンおよび添加剤から選択される少なくとも1種の生成物を含むポリアミド組成物が記載されている。この組成物は、水分の取込みが少なく、熱力学的特性に優れ、転換し易い可塑性組成物として記載されている。
【0005】
特に、文献EP1505099A2の表を見ると、半芳香族ポリアミド組成物から作製された試験片の曲げ弾性率が、可塑剤および/または架橋ポリオレフィンの添加によって低下され得ることが認められる。
【0006】
可塑剤の半芳香族ポリアミドへの添加により、曲げ弾性率が顕著に低下する。しかしながら、半芳香族ポリアミド組成物における可塑剤の重量が増加するにつれて、曲げ弾性率が低下する一方、(−40℃でのシャルピー衝撃度の測定によって評価するときの)低温衝撃強度特性が比例的に低下することも認められる。さらに、可塑剤含量が高くなるほど、半芳香族ポリアミドおよび可塑剤を含むこの種の組成物の押出における煙霧の形成が大きくなることが見られる。
【0007】
架橋ポリオレフィンの半芳香族ポリアミドへの添加により、曲げ弾性率が低下する。しかしながら、600から700MPa程度の曲げ弾性率に達するために、半芳香族ポリアミドおよび架橋ポリオレフィンによって形成されている組成物の全重量に対して最低でも40から45重量%を添加する必要がある。このような重量比にすると、組成物の押出による転換を不可能にするノジュールのないアロイモルホロジー(相反転)となる。したがって押出チューブを得ることができなくなる。
【0008】
半芳香族ポリアミドへの架橋ポリオレフィンおよび可塑剤の添加は、曲げ弾性率の極めて顕著な低下を可能にする択一的方法である。しかしながら、この場合も低温衝撃強度特性の不足が認められる。さらに、これらの低温機械的特性を向上させるために、脂肪族ポリアミドを添加すると、その作用により材料が硬くなる。
【0009】
したがって、以下の特性を組み合わせて示す部品の製造を可能にする新たな組成物を見出すことが真に必要とされている:
−極めて良好な高温強度、特に少なくとも160℃の使用温度での高温強度、
−極めて良好な老化耐性(この特性は、特に、試料の破断伸びが半分に低下するまでにかかる時間を決定する熱酸化測定によって評価され得る。)、
−極めて良好な機械特性、特にISO基準179−1eAにしたがって測定するときの−40℃でのシャルピー衝撃値が少なくとも7kJ/m以上であることによって表される低温衝撃強度および
−800MPa以下、有利には700MPa以下、好ましくは600MPa以下の曲げ弾性率(この弾性率は、ISO基準178−93にしたがって測定される。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1505099号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
さらにこの列挙した特性の全ては、押出、共押出または押出ブロー成形による転換プロセスを損なわずに達成されなければならない。別言すると、目的とするところは、内表面および外表面が均一で平滑な外観を有する押出(共押出または押出ブロー成形)部品、より詳細にはチューブを得ることにある。この理由は、これらの押出チューブの外表面の不規則な外観が、チューブの機械的特性に有害な結果を及ぼし得るためである。
【0012】
さらなる目的は、この転換工程の間の煙霧の形成を防ぐことである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
驚いたことに、本出願人は、特性と転換に関する上記二重の必要性が、上述の種類の組成物、即ち、少なくとも1種の半芳香族ポリアミド、少なくとも1種の可塑剤、および少なくとも1種の架橋ポリオレフィンを含む組成物であって、架橋ポリオレフィンが、不飽和エポキシドを含む少なくとも1種の生成物(A)および不飽和カルボン酸無水物を含む少なくとも1種の生成物(B)から得られる組成物により、達成されることを見出した。
【0014】
本発明によれば、組成物は、これらの前述した化合物を、それぞれ組成物の全重量に対する重量%である以下の重量比で含み、つまり
−33から40重量%の少なくとも1種の上記架橋ポリオレフィン、
−3から10重量%の少なくとも1種の可塑剤および
−残部を構成する少なくとも1種の半芳香族ポリアミド
を含み、
(A)および(B)の重量を、それぞれ[A]および[B]として表した比[B]/[A]において、3から14の間になるような量で含む。
【0015】
架橋ポリオレフィン、可塑剤および半芳香族ポリアミドのそれぞれの重量比を一方で特異的に選択し、(A)および(B)の重量を他方で選択することにより、本発明による組成物は、顕著な熱力学的特性および可塑性を示す部品を製造する。そのような部品は、押出によって得られるとき、さらに、平滑な外表面を有するという利点を有する。この転換工程の間に、「ダイドロール(die drool)」とも呼ばれるスクリューおよび/または押出ダイ上の堆積物がほとんどまたは全くなく、このことは、チューブの製造と押出設備の維持に有利であることを示す。
【0016】
また本発明は、この組成物の調製方法および使用、特に単層または多層であり得る構造の1つの構成層としての使用に関する。
【0017】
本発明は、最後に、本発明の組成物から全体的または部分的に形成されている部品に関し、またそのような部品の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のさらなる特徴、態様、目的および利点は、下記の詳細な説明および実施例を読むことでさらに明らかとなる。
【0019】
ポリアミドの定義に使用されている命名法は、ISO基準1874−1:1992「Plastics−Polyamide(PA) molding and extrusion materials−Part1:Designation」、特に第3頁(表1および2)に記載されており、当業者にとって周知である。
【0020】
また、本明細書で用いられている「...から...の間」および「...から...」という表現は、それぞれ示された範囲の終点を含むものとして理解されるべきであることに留意されたい。
【0021】
半芳香族ポリアミド
本発明の組成物は、少なくとも1種の半芳香族ポリアミドを含む。
【0022】
この半芳香族ポリアミドは、ジアミンおよび芳香族ジカルボン酸の重縮合から得られる、少なくとも1種の第1の半芳香族繰り返し単位を含む。
【0023】
ジアミンは、有利には、4から36個の間の炭素原子を含む。
【0024】
ジアミンは、脂肪族ジアミン、環状脂肪族ジアミンおよびアルキル芳香族ジアミンから選択してもよい。これらのジアミンは、直鎖状であってもよい。それらは分岐状であってもよく、少なくとも1種のアルキル分岐を主鎖に含んでもよく、このアルキル分岐自体は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0025】
ジアミンが脂肪族で直鎖状であるとき、式HN−(CH−NHにしたがう。それゆえ、このジアミンは、ブタンジアミン(x=4)、ペンタンジアミン(x=5)、ヘキサンジアミン(ヘキサメチレンジアミンとも呼ばれる。)(x=6)、ヘプタンジアミン(x=7)、オクタンジアミン(x=8)、ノナンジアミン(x=9)、デカンジアミン(x=10)、ウンデカンジアミン(x=11)、ドデカンジアミン(x=12)、トリデカンジアミン(x=13)、テトラデカンジアミン(x=14)、ヘキサデカンジアミン(x=16)、オクタデカンジアミン(x=18)、オクタデセンジアミン(x=18)、エイコサンジアミン(x=20)、ドコサンジアミン(x=22)および脂肪酸から得られるジアミンから選択され得る。これらの種類のジアミンは、全て、生物由来のものとすることができ、ASTM基準D6866によって測定され得るように、バイオマス由来の有機炭素を含み得るという利点がある。
【0026】
ジアミンが、環状脂肪族であるとき、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノ−シクロヘキシル)ブタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACMまたはMACM)、p−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)およびイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACP)から選択され得る。環状脂肪族ジアミンは、以下の炭素骨格も含み得る:ノルボルニルメタン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)、ジ(メチルシクロヘキシル)プロパン。これらの環状脂肪族ジアミンの非網羅的リストは、刊行物「Cycloaliphatic Amines」(Encyclopaedia of Chemical Technology、Kirk−Othmer、4th Edition(1992)、pp.386−405)に示されている。
【0027】
ジアミンがアルキル芳香族であるとき、1,3−キシリレンジアミンおよび1,4−キシリレンジアミンから選択してもよい。
【0028】
有利には、ジアミンは、脂肪族ジアミンである。
【0029】
好ましくは、ジアミンは、直鎖状脂肪族ジアミンである。
【0030】
この芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸(Tで表される。)、イソフタル酸(Iで表される。)、フタル酸およびナフタレン酸から選択することができる。この言及した芳香族ジカルボン酸は、1つ以上のアルキル分岐を有してもよく、これらのアルキル分岐自体は直鎖状でも分岐状であってもよい。したがって、2−メチルテレフタル酸が挙げられる。
【0031】
有利には、半芳香族ポリアミドは、230℃超、有利には230℃から310℃の間、特に240℃から280℃の間の融点を有する。
【0032】
特に好ましくは、芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸(T)である。
【0033】
本発明の1つの特別な態様によれば、半芳香族ポリアミドは、第1の繰り返し単位を50モル%超、有利には60モル%超、含むことができる。
【0034】
特に1種以上の第1の繰り返し単位で100モル%構成されている半芳香族ポリアミドの使用を考慮することも可能である。
【0035】
特に、本発明の第1の態様によれば、この半芳香族ポリアミドは、ジアミンおよび芳香族ジカルボン酸の重縮合反応から得られる第1の繰り返し単位のみで構成されているホモポリマーであってもよい。
【0036】
したがって、半芳香族ポリアミドは、ホモポリアミド6.T、9.T、10.T、11.T、12.T、14.T、18.T、6.I、9.I、10.I、11.I、12.I、14.Iおよび18.Iから選択することができる。
【0037】
本発明の第2の態様によれば、この半芳香族ポリアミドは、ジアミンおよび2つの芳香族ジカルボン酸の重縮合反応から得られる第1の繰り返し単位または2つのジアミンおよび芳香族ジカルボン酸の重縮合反応から得られる第1の繰り返し単位で構成されているコポリマーであってもよい。
【0038】
したがって、第1の例において、半芳香族ポリアミドは、コポリアミド6.T/6.I、9.T/9.I、10.T/10.I、11.T/11.Iおよび12.T/12.Iから選択され得る。第2の例において、半芳香族ポリアミドは、コポリアミド6.T/9.T、6.T/10.T、6.T/11.T、6.T/12.T、9.T/10.T、9.T/11.T、9.T/12.T、10.T/11.T、10.T/12.Tおよび11.T/12.Tから選択され得る。同様のリストが、テレフタル酸(T)を、イソフタル酸(I)に置き換えることによって、作成され得る。
【0039】
本発明の第3の態様によれば、この半芳香族ポリアミドは、少なくとも2種のジアミンおよび少なくとも2種の芳香族ジカルボン酸の重縮合反応から得られる第1の繰り返し単位を含むコポリマーであってもよい。
【0040】
このジアミンおよび芳香族ジカルボン酸の重縮合から得られる前述した少なくとも1種の第1の半芳香族繰り返し単位に加えて、本発明の組成物における半芳香族ポリアミドは、第1の繰り返し単位以外の必要な繰り返し単位である少なくとも1種の第2の繰り返し単位を含んでもよい。
【0041】
この第2の繰り返し単位は、アミノカルボン酸から得られる単位、ラクタムから得られる単位および式(Caジアミン)・(Cb二官能酸)(式中、「a」は、ジアミン中の炭素原子の数を表し、「b」は、二官能酸中の炭素原子の数を表す。)に一致する単位からなる群から選択され得る。
【0042】
有利には、aおよびbは、それぞれ4から36の間である。
【0043】
この第2の繰り返し単位がアミノカルボン酸から得られるとき、このアミノカルボン酸は、9−アミノノナン酸(9)、10−アミノデカン酸(10)、10−アミノウンデカン酸(11)、12−アミノドデカン酸(12)および11−アミノウンデカン酸(11)から選択することができる。アミノカルボン酸は、分岐状であってもよい。考えられる例は、N−へプチル−11−アミノウンデカン酸である。
【0044】
この第2の繰り返し単位がラクタムから得られるとき、このラクタムは、ピロリジノン、2−ピペリジノン、エナントラクタム、カプリロラクタム、ペラルゴラクタム、デカノラクタム(10)、ウンデカノラクタム(11)およびラウリルラクタム(12)から選択され得る。
【0045】
この第2の繰り返し単位が、式(Caジアミン)・(Cb二官能酸)に一致する単位であるとき、この単位は、ジアミン、Caジアミンおよびジカルボン酸、Cb二官能酸の重縮合から得られるが、このジカルボン酸が、芳香族ジカルボン酸でないことを条件とする。
【0046】
このCaジアミンは、脂肪族ジアミン、環状脂肪族ジアミンおよびアルキル芳香族ジアミンから選択され得る。これらのCaジアミンは、直鎖状であり得る。それらは分岐状であってもよく、少なくとも1種のアルキル分岐を主鎖に含んでもよく、このアルキル分岐自体は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0047】
上述の第1の繰り返し単位を調製するためのジアミンは、第2の繰り返し単位を得るためのCaジアミンとして使用してもよい。したがって、第2の繰り返し単位を得るために使用され得るCaジアミンの例として、第1の繰り返し単位を得るために使用され得るジアミンに関する段落が言及される。
【0048】
第2の繰り返し単位を得るために用いられるジカルボン酸(Cb二官能酸)は、脂肪族ジカルボン酸および環状脂肪族ジカルボン酸から選択することができる。これらのジカルボン酸は、直鎖状であってもよい。それらは分岐状であってもよく、少なくとも1種のアルキル分岐を主鎖に含んでもよく、このアルキル分岐自体は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0049】
ジカルボン酸(Cb二官能酸)が、脂肪族および直鎖状であるとき、コハク酸(4)、ペンタン二酸(5)、アジピン酸(6)、ヘプタン二酸(7)、オクタン二酸(8)、アゼライン酸(9)、セバシン酸(10)、ウンデカン二酸(11)、ドデカンニ酸(12)、ブラシル酸(13)、テトラデカン二酸(14)、ヘキサデカン二酸(hexadecanedioic)(16)、オクタデカン二酸(18)、オクタデセン二酸(18)、エイコサン二酸(20)、ドコサン二酸(22)および36個の炭素を含む脂肪酸二量体から選択され得る。
【0050】
上記で言及した脂肪酸二量体は、特に文献EP0471566に記載されているような、不飽和一塩基脂肪酸および長鎖炭化水素(例えばリノール酸およびオレイン酸)のオリゴマー化または重合化により得られる二量体化脂肪酸である。
【0051】
ジカルボン酸(Cb二官能酸)が、環状脂肪族であるとき、以下の炭素骨格:ノルボルニルメタン、シクロヘキサン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)、ジ(メチルシクロヘキシル)プロパンを含み得る。
【0052】
したがって、半芳香族ポリアミドの第2の繰り返し単位は、特に、以下の単位:6、11、12、6.10、6.12、6.14、6.18、10.10、10.12、10.14、10.18および12.12を示し得る。
【0053】
本発明の第4の態様によれば、この半芳香族ポリアミドは、ジアミンおよび芳香族ジカルボン酸の重縮合反応から得られる第1の繰り返し単位ならびにアミノカルボン酸もしくはラクタムから択一的に得られるまたは上述のCaジアミンおよびCb二官能酸の重縮合から得られる第2の繰り返し単位で構成されているコポリマーであってもよい。
【0054】
考えられ得る組合せの中でも、以下のコポリアミドが、特に着目され、これらは、11/6.T、12/6.T、6.10/6.T、6.12/6.T、10.10/6.T、10.12/6.T、12.12/6.T、11/9.T、12/9.T、6.10/9.T、6.12/9.T、10.10/9.T、10.12/9.T、12.12/9.T、11/10.T、12/10.T、6.10/10.T、6.12/10.T、10.10/10.T、10.12/10.Tおよび12.12/10.Tから選択される式の1つに一致するコポリアミドである。
【0055】
本発明の第5の態様によれば、この半芳香族ポリアミドは、少なくとも1種のジアミンおよび少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸の重縮合反応から得られる第1の繰り返し単位ならびに少なくとも1種のアミノカルボン酸、少なくとも1種のラクタムおよび/または上述のCaジアミンおよびCb二官能酸の重縮合から得られる第2の繰り返し単位を含むコポリマーであってもよい。
【0056】
考えられ得る複数の組合せの中でも、特に、以下から選択される式の1つに一致するコポリアミドが言及され得る:
−6/11/10.T、6/12/10.T、11/12/10.T、11/6.10/10.T、12/6.10/10.T、11/10.6/10.T、12/10.6/10.T(これらのコポリアミドは、全て、第1の繰り返し単位10.Tおよび2つの第2の繰り返し単位を含む。)、
−6/6.T/10.T、11/6.T/10.T、12/6.T/10.T(これらのコポリアミドは、全て、2つの第1の繰り返し単位6.Tおよび10.Tならびに1つの第2の繰り返し単位を含む。)、
−11/9.T/9.I、12/9.T/9.I、11/10.T/10.I、12/10.T/10.I(これらのコポリアミドは、全て、2つの第1の繰り返し単位および1つの第2の繰り返し単位を含む。)、
−6/11/6.T/10.T、11/12/6.T/10.T(これらのコポリアミドは、両方とも、第1の繰り返し単位6.Tおよび10.Tならびに2つの第2の繰り返し単位を含む)。
【0057】
本発明の内容において、有利には、生物由来のジアミン、ジカルボン酸、アミノカルボン酸および/またはラクタムから全体的にまたは部分的に得られるまたは得られ得る、別言すると、ASTM基準D6866にしたがって測定され得るようなバイオマスに由来する有機炭素を含有する第1および適切な場合に第2の繰り返し単位を使用することが可能である。
【0058】
架橋ポリオレフィン
本発明による組成物は、少なくとも1種の架橋ポリオレフィンを含み、架橋ポリオレフィンは、半芳香族ポリアミドによって形成されているマトリックスに分散した相として存在している。
【0059】
この架橋ポリオレフィンは、互いに反応性の基を有する2種のまたは少なくとも2種の生成物から生じる。
【0060】
特に、架橋ポリオレフィンは、不飽和エポキシドを含む少なくとも1種の生成物(A)および不飽和カルボン酸無水物を含む少なくとも1種の生成物(B)から得られる。
【0061】
生成物(A)は、有利には、不飽和エポキシドを含むポリマーであり、この不飽和エポキシドは、グラフトまたは共重合のいずれかによりポリマーに導入されたものである。
【0062】
不飽和エポキシドは、特に、以下のエポキシドから選択され得る:
−脂肪族グリシジルエーテルおよびエステル、例えばアリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、グリシジルマレエートおよびイタコネート、グリシジルアクリレートおよびメタクリレートならびに
−脂環式グリシジルエーテルおよびエステル、例えば2−シクロヘキセン−1−イルグリシジルエーテル、ジグリシジルシクロヘキセン−4,5−ジカルボキシレート、グリシジルシクロヘキセン−4−カルボキシレート、グリシジル5−ノルボルネン−2−メチル−2−カルボキシレートおよびジグリシジルエンド−cis−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシレート。
【0063】
第1の形態によれば、生成物(A)は、不飽和エポキシドでグラフトされたポリオレフィンである。ポリオレフィンにより、1種以上のオレフィン単位、例えばエチレン、プロピレン、ブタ−1−エンまたは任意の他のα−オレフィン単位を含むホモポリマーまたはコポリマーが意味される。ポリオレフィンの例としては、以下が挙げられる:
−ポリエチレン、特に、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)および超低密度ポリエチレン(VLDPE)、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エラストマーポリオレフィン(例えばエチレン−プロピレン(EPRもしくはEPM)もしくはエチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM))またはシングルサイト触媒を用いて得られるメタロセンポリエチレン、
−スチレン/エチレン−ブテン/スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレンブロックコポリマー(SIS)またはスチレン/エチレン−プロピレン/スチレンブロックコポリマー、
−エチレンならびに不飽和カルボン酸の塩、不飽和カルボン酸のエステルおよび飽和カルボン酸のビニルエステルから選択される少なくとも1種の生成物のコポリマー(このポリオレフィンは、特に、エチレンおよびアルキル(メタ)アクリレートのコポリマーまたはエチレンおよび酢酸ビニルのコポリマーであり得る)。
【0064】
第2の形態によれば、生成物(A)は、α−オレフィンおよび不飽和エポキシドのコポリマー、有利には、エチレンおよび不飽和エポキシドのコポリマーである。有利には、不飽和エポキシドの量は、コポリマー(A)の15重量%までであり、エチレンの量については、コポリマー(A)の少なくとも50重量%であり得る。
【0065】
特に、エチレン、飽和カルボン酸ビニルエステルおよび不飽和エポキシドのコポリマーならびにエチレン、アルキル(メタ)アクリレートおよび不飽和エポキシドのコポリマーが言及され得る。好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートは、2から10個の炭素原子を含む。使用し得るアルキルアクリレートまたはメタクリレートの例としては、特に、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートである。
【0066】
本発明の1つの有利な態様によれば、生成物(A)は、エチレン、メチルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートのコポリマーまたはエチレン、n−ブチルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートのコポリマーである。特に、Arkemaにより、名称Lotader(登録商標)AX8900で販売されている生成物が使用可能である。
【0067】
本発明の別の形態によれば、生成物(A)は、2つのエポキシド官能基を有する生成物、例えばビスフェノールAのジグリシジル−エーテル(DGEBA)である。
【0068】
生成物(B)は、有利には、不飽和カルボン酸無水物を含むポリマーであり、この不飽和カルボン酸無水物は、グラフトまたは共重合のいずれかによりポリマーに導入されたものである。
【0069】
生成物(B)の構成成分として使用し得る不飽和ジカルボン酸無水物の例としては、特に、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物およびテトラヒドロフタル酸無水物である。
【0070】
第1の形態によれば、生成物(B)は、不飽和カルボン酸無水物でグラフトされたポリオレフィンである。上記に見られるように、ポリオレフィンは、1種以上のオレフィン単位、例えばエチレン、プロピレン、ブタ−1−エンまたは他のα−オレフィン単位を含むホモポリマーまたはコポリマーである。このポリオレフィンは、後者が不飽和エポキシドでグラフトされたポリオレフィンであるとき、特に、生成物(A)について上記に列挙したポリオレフィンの例から選択され得る。
【0071】
第2の形態によれば、生成物(B)は、α−オレフィンおよび不飽和カルボン酸無水物のコポリマー、有利には、エチレンおよび不飽和カルボン酸無水物のコポリマーである。有利には、不飽和カルボン酸無水物の量は、コポリマー(B)の15重量%までであり、エチレン自体の量については、コポリマー(B)の少なくとも50重量%であり得る。
【0072】
特に、エチレン、飽和カルボン酸ビニルエステルおよび不飽和カルボン酸無水物のコポリマーならびにエチレン、アルキル(メタ)アクリレートおよび不飽和カルボン酸無水物のコポリマーが言及され得る。好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートは、2から10個の炭素原子を含む。アルキルアクリレートまたはメタクリレートは、生成物(A)に関して、上記に引用したものから選択し得る。
【0073】
本発明の1つの有利な態様によれば、生成物(B)は、エチレン、アルキル(メタ)アクリレートおよび不飽和カルボン酸無水物のコポリマーである。好ましくは、生成物(B)は、エチレン、エチルアクリレートおよび無水マレイン酸のコポリマーまたはエチレン、ブチルアクリレートおよび無水マレイン酸のコポリマーである。特に、Arkemaにより、名称Lotader(登録商標)4700およびLotader(登録商標)3410の名称で販売されている生成物を使用することが可能である。
【0074】
上記第1および第2の形態によれば、生成物(B)の無水マレイン酸の一部が部分的に加水分解されていても、本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0075】
本発明によれば、生成物(A)および生成物(B)の重量は、それぞれ[A]および[B]として表すとき、比[B]/[A]が、3から14の間、有利には4から9の間になるような量である。
【0076】
本発明による組成物において、架橋ポリオレフィンは、上記の生成物(A)、(B)および不飽和カルボン酸またはα、ω−アミノカルボン酸を含む少なくとも1種の生成物(C)から得られてもよい。
【0077】
生成物(C)は、有利には、不飽和カルボン酸またはα,ω−アミノカルボン酸を含むポリマーであり、共重合によりポリマーに導入されたこれらの酸の一方または他方を有するポリマーである。
【0078】
生成物(C)の構成成分として使用され得る不飽和カルボン酸の例は、特に、アクリル酸、メタクリル酸および生成物(B)の構成成分として引用した上記カルボン酸無水物であり、これらの無水物は完全に加水分解されている。
【0079】
生成物(C)の構成成分として使用され得るα、ω−アミノカルボン酸の例は、特に、6−アミノヘキサン酸、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸である。
【0080】
生成物(C)は、α−オレフィンおよび不飽和カルボン酸のコポリマー、有利には、エチレンおよび不飽和カルボン酸のコポリマーである。特に、生成物(B)の完全に加水分解されたコポリマーが挙げられる。
【0081】
本発明の1つの有利な態様によれば、生成物(C)は、エチレンおよび(メタ)アクリル酸のコポリマーまたはエチレン、アルキル(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸のコポリマーである。(メタ)アクリル酸の量は、コポリマー(C)の10重量%まで、好ましくは、0.5から5重量%であり得る。アルキル(メタ)アクリレートの量は、一般に、コポリマー(C)の5から40重量%の間である。
【0082】
好ましくは、生成物(C)は、エチレン、ブチルアクリレートおよびアクリル酸のコポリマーである。特に、BASFにより、名称Lucalene(登録商標)3110で販売されている生成物が使用可能である。
【0083】
本発明によれば、生成物(A)、生成物(B)および生成物(C)の重量は、それぞれ[A]、[B]および[C]として表すとき、比[B]/([A]+[C])が1.5から8の間であり、生成物(A)および(B)の重量が[C]≦[A]となるような量である。
【0084】
有利には、比[B]/([A]+[C])は、2から7の間である。
【0085】
分散した架橋ポリオレフィン相は、1種以上の生成物(A)、1種以上の生成物(B)および適切な場合によって1種以上の生成物(C)の反応から、当然生じ得る。
【0086】
生成物(A)および(B)の反応性官能基の間の反応を加速させる触媒を使用することも可能である。具体的には、触媒の例に関して文献WO2011/015790の教示が言及され得、触媒は、生成物(A)、(B)および適切な場合によって(C)の合計重量に関して、0.1から3%の間、有利には、0.5から1%の間の量で使用し得る。
【0087】
可塑剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の可塑剤を含む。
【0088】
この可塑剤は、ポリアミドをベースとする組成物で一般に使用されている可塑剤であり得る。
【0089】
有利には、種々のポリマーの混合工程および得られた組成物の転換工程の間に煙霧を形成しないように、高温安定性を示す可塑剤が使用される。
【0090】
より詳細には、この可塑剤は、
−ベンゼンスルホンアミド誘導体、例えば、n−ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)、エチルトルエンスルホンアミド(ETSA)のオルトおよびパラ異性体、N−シクロヘキシルトルエンスルホンアミドおよびN−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド(HP−BSA)、
−ヒドロキシ安息香酸のエステル、例えば、2−エチルヘキシルパラ−ヒドロキシベンゾエート(EHPB)および2−デシルヘキシルパラ−ヒドロキシベンゾエート(HDPB)、
−テトラヒドロフルフリルアルコールのエステルまたはエーテル、例えば、オリゴエチレンオキシテトラヒドロフルフリルアルコールおよび
−クエン酸またはヒドロキシマロン酸のエステル、例えば、オリゴエチレンオキシマロネート
から選択され得る。
【0091】
一般的な使用の観点から好ましい可塑剤は、n−ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)である。
【0092】
別の特に好ましい可塑剤は、N−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド(HP−BSA)である。この理由は、後者の可塑剤は、押出による転換工程の間のスクリューおよび/または押出ダイにおける堆積物(「ダイドロール」)の形成を防ぐ利点を有するためである。
【0093】
当然のことながら、可塑剤の混合物を使用することも可能である。
【0094】
本発明による組成物は、組成物の全重量に対して、
−33から40重量%、有利には35から37重量%の少なくとも1種の上記架橋ポリオレフィン、
−3から10重量%、有利には4から8重量%の少なくとも1種の可塑剤および
−残部を構成する少なくとも1種の半芳香族ポリアミド
を含む。
【0095】
この組成物は、これらの3種の化合物、即ち、少なくとも1つの架橋ポリオレフィン、少なくとも1種の可塑剤および少なくとも1種の半芳香族ポリアミドのみから構成されてもよい。
【0096】
しかし、組成物は、これらの前述した化合物に加えて、他の化合物を含んでもよい。本発明の組成物は、特に、少なくとも1種の添加剤および/または少なくとも1種のさらなるポリマーを含み得る。
【0097】
添加剤
本発明の組成物は、同様に少なくとも1種の添加剤をさらに含み得る。
【0098】
この添加剤は、特に、加工助剤、充填剤、安定剤(UVおよび/または熱)、染料、離型剤、難燃剤、界面活性剤、蛍光増白剤、酸化防止剤およびそれらの混合物から選択され得る。
【0099】
加工助剤の中では、例えばステアリン酸カルシウムもしくは亜鉛のようなステアリン酸塩、天然ワックスおよびテトラフルオロエチレン(TFE)を含むポリマーなどが挙げられる。
【0100】
加工助剤の重量割合は、組成物の全重量に対して、通常0.01から0.3重量%の間、有利には0.02から0.1重量%の間である。
【0101】
充填剤としては、シリカ、黒鉛、膨張黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、ガラスビーズ、カオリン、マグネシア、スラグ、タルク、ナノ充填剤(カーボンナノチューブ)、顔料、金属酸化物(酸化チタン)、金属およびファイバ(アラミド、ガラス、炭素)が挙げられる。
【0102】
充填剤の性質に基づいて、充填剤の量は、組成物の全重量に対して、50重量%まで、有利には30重量%までの量であり得る。
【0103】
さらなるポリマー
本発明による組成物は、1種以上のさらなるポリマー、特に少なくとも1種の第3のポリマー、例えば上記で参照した半芳香族ポリアミドおよび架橋ポリオレフィンとは異なるポリマーを含み得る。
【0104】
有利には、このさらなるポリマーは、特に、ポリアミド、ポリアミド−ブロック−エーテル、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、(上記で検討した架橋ポリオレフィンと対照的に)非架橋ポリオレフィン、フルオロポリマーおよびその混合物から選択され得る。非架橋ポリオレフィンに関して、「架橋ポリオレフィン」の項目に記載したポリオレフィン、別言すると、架橋しないように単独で使用される場合の生成物(A)、(B)または(C)を言及することができ、これらの非架橋ポリオレフィンは知られており、さらに耐衝撃性改良剤として知られていることに留意されたい。
【0105】
さらなるポリマーは、同様に、デンプン(改変および/または配合されたものであり得る。)、セルロースまたはその誘導体(例えば酢酸セルロースもしくはセルロースエーテル)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびポリヒドロキシアルカノエートから選択されたものであり得る。
【0106】
好ましくは、さらなるポリマーは、脂肪族ポリアミドおよびポリアミド−ブロック−エーテルから選択される。脂肪族ポリアミドとしては、特に、長鎖ポリアミド、例えばPA11、PA12、PA6.10、PA6.12、PA6.14、PA10.10、PA10.12およびPA12.12が挙げられる。
【0107】
したがって、組成物は、組成物の全重量に対して、20重量%までの少なくとも1種のさらなるポリマーを含み得る。
【0108】
また本発明は、上記組成物を調製するための方法に関する。この方法によれば、組成物は、溶融状態での押出、圧縮またはロールミル粉砕(roll milling)などの均一な混合物を得ることを可能にする任意の方法によって調製し得る。
【0109】
特に、本発明の組成物は、半芳香族ポリアミド、可塑剤、ならびに生成物(A)、(B)および場合によって(C)を溶融状態で混合して架橋ポリオレフィンを製造することによって調製することができる。
【0110】
場合によって用いられる添加剤および/またはさらなるポリマーは、半芳香族ポリアミド、可塑剤、ならびに生成物(A)、(B)および適切には(C)と同時に導入してもよく、または後の工程で導入してもよい。
【0111】
有利には、組成物は、圧縮により、特に、2軸押出機、混練り装置または密閉式混合機により、ペレットの形態で得ることができる。上述の調製方法によって得られる本発明による組成物のペレットは、その後、当業者に知られる手段(例えば射出成形機または押出機)を用いて、フィラメント、チューブ、フィルムおよび/または成形物などの形に転換することができる。
【0112】
また本発明の組成物の調製方法は、中間ペレット化を経ずに射出成形機への供給を行う二軸押出機またはフィラメント、チューブ、フィルムおよび/もしくは成形物を製造するための押出機を使用してもよい。
【0113】
それゆえ、本発明は、射出成形、押出、押出ブロー成形、共押出または多重射出(multiple injection)などの公知の転換プロセスによって上記の組成物から得られる材料または物品にも関するものである。
【0114】
本発明は、同様に、構造を形成するための、上述の組成物の使用に関する。
【0115】
この構造は、本発明の組成物のみから形成されるとき、単層構造であり得る。
【0116】
この構造は、少なくとも2つの層を含み、これらの異なる層の少なくとも1つが本発明の組成物で構成されるとき、多層であり得る。1つの有利な変形例によれば、この多層構造は、強化されてもよく、組み紐または繊維で構成されている少なくとも1つの層を含んでもよい。
【0117】
同様に、本発明は、本発明の組成物で全部または一部が形成されている部品に関する。この部品は、すぐ上に記載した単層または多層構造を含み得る。そのような部品は、特に射出成形部品、特に、押出、共押出または押出ブロー成形部品であり得る。チューブ、パイプ、リザーバ、ファイバ、フィルム、シートまたはプレートの形態をとり得る。
【0118】
本発明は、最後に、流体を保存または運搬するためのそのような部品の使用に関する。この種の流体は、特に、燃料(例えば、アルコールを含むもしくは含まないガソリンまたはディーゼルもしくはバイオディーゼル)、冷媒または冷凍流体(例えば、COまたはフルオロカーボン流体{例えば、空調回路、調和空気回路または冷凍回路で特に使用され、商業的に名称R−134aもしくはR−1234yfとそれぞれ称される1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは2,3,3,3−テトラフルオロプロペン})、冷却液(例えば、エンジン冷却回路に使用され得るアルコールおよび/または水をベースとする溶液)、ブレーキ流体、油、潤滑剤、油圧流体、尿素溶液をベースとする液体、化学的生成物、水または超過圧もしくは減圧下であり得るその他の気体(例えば空気、アルカン、水素または二酸化炭素)もしくは(例えばエンジンから生じる)気体状のエマネーションもしくは蒸気から選択され得る。
【0119】
本発明の組成物から全部または一部が形成されている部品は、特に、手術用機器、包装、スポーツまたはレジャー用品の部品の全部または一部を製造するために使用され得る。この部品は、電気および電子部品、例えばソーラーパネル、封入ソレノイド、ロールケージ、ポンプ、マルチメディアシステム、ケーブルおよびワイヤの構成要素の全てまたは一部を製造するためにも使用することができる。特にケーブルおよびワイヤは、本発明の組成物から形成され、このように熱保護外装を構成している層で被覆されていてもよい。
【0120】
本発明の組成物を含む部品は、上記に列挙した流体(特に熱流体、例えば、空気、油、潤滑剤、油圧流体または石油およびそれらの化合物)の保存、運搬または移動のための工業用設備の一部または全部を製造するために有利に使用することができる。そのような設備は、一般的産業分野(例えば、気圧ラインまたは水圧ライン)および海底(沖合領域(offshore field))の石油およびガス鉱床の採掘分野における使用を意図したものであってもよい。
【0121】
本発明による組成物を含むこの部品は、自動車またはトラック設備品の全てまたは一部を作製するために非常に有利に使用することができる。そのような設備品は、特に、チューブ、チューブコネコタ、ポンプまたはアンダーフード射出成形品であり得る。
【0122】
より詳細には、これらの自動車またはトラック設備品は、特にチューブおよび/またはコネクタの形態で存在するとき、特に、
−超過圧または減圧下でガスを循環させるための装置、例えば、空気取込み装置、エンジンガス換気装置またはブレーキアシスト装置、
−油または潤滑剤を循環させるための装置、例えば、油冷装置、油圧装置またはブレーキ装置、
−水溶性または非水溶性液体を循環するための装置、例えば、エンジン冷却装置または選択的触媒還元装置、
−冷媒または冷凍流体を循環させるための装置、例えば、空調回路、
−流体、特に燃料を保存、運搬または移動(もしくは循環)させるための装置
で使用し得る。
【0123】
そのような設備品は、適当な量の導電性充填剤(例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなど)を本発明の組成物に予め添加することにより、当然のことながら帯電防止性または伝導性を付与することができる。
【0124】
本発明の組成物を含むこれらの部品は、上述の流体を保存または運搬するために使用されてもよく、典型的には据付の空調回路で使用され得る。
【0125】
本発明の他の目的および利点は、下記の実施例を読むことでより明白となる。この実施例は、例示として提供されるものであって、何ら限定的なものではない。
【実施例】
【0126】
組成物の処方
試験した組成物は、以下の生成物から調製した:
11/10.T:半芳香族ポリアミド[11/10.Tのモル比が0.7であり、11−アミノカルボン酸、1,10−デカンジアミンおよびテレフタル酸の重縮合から得られ、ガラス転移温度Tgが88℃であり、融解温度Tfが260℃であり、固有粘度が1.22であり(ISO基準307にしたがって測定)、融解エンタルピーが47J/gである。]
PA11:ホモポリアミド[11−アミノウンデカン二酸の重縮合から得られ、生物由来の炭素を100%含み、融解温度が185℃であり、固有粘度が1.0から1.6dl/g(ISO基準307にしたがって測定)であり、融解エンタルピーが60J/gである。]
Lotader AX8900:生成物(A)に対応する、エチレン、メチルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートのコポリマー[Et/MA/GMA−68/24/8(重量比)]
Lotader 4700:生成物(B)に対応する、エチレン、エチルアクリレートおよび無水マレイン酸のコポリマー[Et/EA/MAH−69/30/1(重量比)]
Lucalene 3110:生成物(C)に対応する、エチレン、ブチルアクリレートおよびアクリル酸のコポリマー[Et/BA/AA−88/8/4(重量比)]
BBSA:n−ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)
HP−BSA N−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド(HP−BSA)(Provironより販売)
Iodine 201:KIおよびCuIをベースとする酸化防止添加剤
Naugard 445:4,4’−ビス(α、α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(酸化防止添加剤)
組成物1から12は、全て、下記表1に詳細に設定されている処方にしたがって二軸押出機で調製した。
【0127】
組成物1、2および4から12は、本発明による組成物であり、一方、組成物3は、本発明の範囲外の組成物である。
【0128】
実施した試験
溶融状態の流動性についての指数[流動性指数またはメルト・フロー・インデックス(MFI)とも呼ばれる。]を、ASTM基準D1238にしたがって、300℃で5kg重量下に測定し、値を表1に示した。
【0129】
組成物1から12を押出し、直径8mmおよび厚さ1mm(81mm)のチューブを形成した。このような押出チューブに以下の試験を行った。
【0130】
−チューブに、ISO基準527にしたがって引張試験を行い、破断伸びを決定した。
【0131】
−チューブに、TL基準524 35にしたがい、フォルクスワーゲンで作成されたVWプロトコルにしたがって−40℃で衝撃試験を行った。破断%を表1に示す;
−チューブを空気中170℃で老化させ、次いで、DIN基準74324にしたがって−40℃で衝撃を与えた。試験チューブの50%の破断後の時間に相当する半減期(単位:時間)をそれに応じて記録した(表1参照)。
【0132】
組成物1から12を、ISO基準179にしたがって、バーの形に射出成形した。次いで、得られたバーを調整し、50%湿度下で2週間、維持した。次いで、バーに以下の試験を行った。
【0133】
−これらのバーの曲げ弾性率を、ISO基準178にしたがって測定し、得られた値を表1に示した。
【0134】
−バーに刻み目をつけ、ISO基準179−1eAにしたがって、シャルピー振子式(Charpy pendula)衝撃法で試験した。バーによって吸収されたエネルギー(単位:kJ/m)を23℃および−40℃で測定し、それぞれ対応する値を下記表1に示した。
【0135】
【表1】
組成物1から12で押出されたチューブの内表面および外表面の外観を解析し、押出チューブの全てで表面が平滑で光沢があることが観察された。さらに、押出工程の間に、煙霧の形成は観察されなかった。さらに押出ダイの解析により、組成物1から4、7および8(BBSAを含む。)から得られるチューブは、押出中にダイドロールの形成がほとんどなく、組成物5、6および9から12(HP−BSAを含む。)から得られるチューブの押出については、全くダイドロールの形成がないことが示された。
【0136】
またHP−BSAの選択により、押出による転換のための、本発明の組成物のレオロジー特性の改善も可能となる。
【0137】
さらに、全てのバーが800MPa未満の曲げ弾性率を有することが観察され、材料の可塑性が高いことを特徴付ける。
【0138】
特に、本発明による組成物4から12は、
−600MPA未満の曲げ弾性率(これらの材料の部分の可塑性が非常に大きいことを示す。)、
−−40℃での非常に高いシャルピー衝撃値およびVW衝撃値(これらの材料の低温衝撃強度が非常に高いことを示す。)、
−850時間を上回る熱老化酸化値(これらの材料の部分の老化耐性が優れていることを示す。)
を組み合わせて示す材料を与える。
【0139】
組成物3(組成物の全重量に対して32重量%しか架橋ポリオレフィンを含まない。)は、低温衝撃強度(−40℃でのVW衝撃試験における20%破断およびシャルピー衝撃試験における6kJ/m)の観点で本発明の組成物と同様の性能を示さない。
【0140】
実施例5および6の比較から示されることに、対応する材料の曲げ弾性率の低下を明らかに可能にする可塑剤の割合をほんの少し大きくすることは、低温衝撃強度特性に有意な影響を与えず、したがって−40℃でのVW衝撃試験における破断%は3から13になり、−40℃でのシャルピー衝撃は9から7.5kJ/mになる。
【0141】
本発明の組成物におけるPA11の存在は、組成物から得られる材料の可塑性および低温衝撃強度特性の改善を可能にする(一方の事例として組成物4および8、他方の事例として組成物5および12を参照)。
【0142】
本発明の組成物から全体的または部分的に形成された部品は、より詳細には、冷媒または冷凍流体、例えば、COまたはフルオロカーボン流体、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは2,3,3,3−テトラフルオロプロペンである流体を保存または運搬するために使用することができる。より詳細には、空調回路、特に、自動車もしくはトラックの空調回路または据付空調回路で使用し得る。