特許第5770387号(P5770387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770387
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】紙葉類取扱装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20150806BHJP
   B65H 31/26 20060101ALI20150806BHJP
   B65H 31/06 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   G07D9/00 405F
   B65H31/26
   B65H31/06
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-539534(P2014-539534)
(86)(22)【出願日】2012年10月3日
(86)【国際出願番号】JP2012075723
(87)【国際公開番号】WO2014054146
(87)【国際公開日】20140410
【審査請求日】2014年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】安藤 敦
(72)【発明者】
【氏名】玉橋 知之
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−100963(JP,A)
【文献】 特開2003−321154(JP,A)
【文献】 特開2000−113279(JP,A)
【文献】 特開平11−25316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
B65H 31/06
B65H 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を収納する収納部と、
複数枚の前記紙葉類からなる紙葉類束を前記収納部へ押し込む押し込み部と、
前記押し込み部との間で前記紙葉類束を挟み込むセパレータと、を備え、
前記押し込み部及び前記セパレータは、前記紙葉類束を挟み込んだ状態で前記収納部へ搬送し、
前記セパレータは、前記紙葉類束を挟み込む位置であって前記収納部に搬送された前記紙葉類束と前記収納部に予め収納されている前記紙葉類とを仕切る第1の位置と、そこから退避した第2の位置とに移動する、
ことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項2】
前記収納部は、前記押し込み部と前記セパレータとにより挟み込まれた前記紙葉類束が平面状態では進入不可で湾曲して進入可能な形状の開口部が形成された壁面を有し、
前記紙葉類取扱装置は、
前記収納部内において前記押し込み部による前記紙葉類束の押し込み方向とは反対方向に該紙葉類束を付勢し前記壁面との間で前記紙葉類束を保持する付勢機構を更に備える、
ことを特徴とする請求項1記載の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
前記押し込み部は、前記収納部へ前記紙葉類束を押し込んだ後に立ち上がり位置に移動して前記紙葉類束に当接する立ち上がり部材を有することを特徴とする請求項2記載の紙葉類取扱装置。
【請求項4】
前記立ち上がり部材は、前記押し込み部の押し込み面に対して、押し込まれる前記紙葉類束の反対側を通って回動して立ち上がる、
ことを特徴とする請求項3記載の紙葉類取扱装置。
【請求項5】
前記セパレータは、前記紙葉類束の下端である搬送面よりも下方に位置する回動軸を回動中心として前記第1の位置と前記第2の位置とに回動する仕切り部分を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項記載の紙葉類取扱装置。
【請求項6】
複数の前記収納部と、
前記複数の収納部のそれぞれに配置された前記押し込み部及び前記セパレータと、を備え、
前記複数の収納部のうち1つの収納部の手前に所定枚数に達するまで前記紙葉類を搬送し、前記1つの収納部において前記押し込み部及び前記セパレータが前記紙葉類束を挟み込んだ状態で前記収納部へ搬送して装填している間は、他の前記収納部の手前に所定枚数に達するまで前記紙葉類を搬送する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項記載の紙葉類取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で論じられる実施形態は、紙葉類を収納する収納部を備える紙葉類取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ATM(Automated Teller Machine)などの紙葉類取扱装置において、紙幣、小切手、有価証券などの紙葉類を押し込み部により収納部に押し込んだり、収納される紙葉類と収納部内に収納されていた紙葉類とをセパレータを用いて分離したりすることが行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
図9A図9Cは、参考技術に係る紙葉類取扱装置の収納部102の内部構造を示す図である。
図9Aに示す搬送部101は、紙葉類の一例である紙幣100を収納部102内に搬送する。
【0004】
収納部102内には、上端の回動軸を中心に回動する押し込みレバー103と、上下一対で設けられ上端及び下端の回動軸を中心に回動するセパレータ104と、図9Aの左方向に紙幣100を付勢して収納部102との間に紙幣100を保持する付勢機構105とが配置されている。
【0005】
図9Aに示すように、紙幣100が押し込みレバー103とセパレータ104との間に搬送されてきたとき(一時収納時)には、紙幣100の上下端は、紙幣100の自重等によりある程度揃っている。
【0006】
その後、図9Bに示すように、押し込みレバー103が収納部102内で紙幣100をセパレータ104とで挟み込んで、図9Cに示すように、付勢機構105に押し付ける。このときに、セパレータ104は、紙幣100に押圧されることで、押し込みレバー103により押し込まれる紙幣100と、付勢機構105又は予め収納されていた図示しない紙幣100との間から外れた位置に移動する。その後に、紙幣100は、付勢機構105又は予め収納されていた図示しない紙幣100に全面で当接する。
【0007】
なお、付勢機構105は、収納部102の左端の壁面に紙幣100を押し付けて、壁面との間で紙幣100を保持して収納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−16499号公報
【特許文献2】特表2009−526298号公報
【特許文献3】特開平5−186126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の参考技術に係る紙葉類取扱装置では、図9Cに示すように、セパレータ104が上記の外れた位置に移動することで、紙幣100を挟んでいるものがなくなり、その衝撃等で紙幣100の上下端面がばらつく。
【0010】
ところで、紙葉類取扱装置における出金専用カセットは、カセットに紙幣をセットする際は手動装填又は自動装填で紙幣をセットする。
手動装填の場合、金種を誤セットしてしまい重大なマネートラブルになる可能性がある。
【0011】
また、自動装填の場合、紙幣を自由落下させて積層する方法や、紙幣束を押し込んでセットする方法等があるが、上述の参考技術のように、紙幣端がきれいに揃って装填されない。
【0012】
出金専用カセットなどの収納部において、収納部内の紙葉類は端部がきれいに揃っていることが重要であり、端部がバラバラであると搬出動作の繰出し及び搬送に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0013】
1つの側面では、本発明の目的は、収納された紙葉類の端部のばらつきを抑えることができる紙葉類取扱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
実施の形態に係る紙葉類取扱装置は、紙葉類を収納する収納部と、複数枚の前記紙葉類からなる紙葉類束を前記収納部へ押し込む押し込み部と、前記押し込み部との間で前記紙葉類束を挟み込むセパレータと、を備え、前記押し込み部及び前記セパレータは、前記紙葉類束を挟み込んだ状態で前記収納部へ搬送し、前記セパレータは、前記紙葉類束を挟み込む位置であって前記収納部に搬送された前記紙葉類束と前記収納部に予め収納されている前記紙葉類とを仕切る第1の位置と、そこから退避した第2の位置とに移動する。
【発明の効果】
【0015】
実施の形態に係る紙葉類取扱装置によれば、収納された紙葉類の端部のばらつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態に係る紙葉類取扱装置の内部構造を示す概略図である。
図2A】実施の形態における紙幣の収納の流れを説明するための説明図(その1)である。
図2B】実施の形態における紙幣の収納の流れを説明するための説明図(その2)である。
図2C】実施の形態における紙幣の収納の流れを説明するための説明図(その3)である。
図2D】実施の形態における紙幣の収納の流れを説明するための説明図(その4)である。
図2E】実施の形態における紙幣の収納の流れを説明するための説明図(その5)である。
図2F】実施の形態における紙幣の収納の流れを説明するための説明図(その6)である。
図2G】実施の形態における紙幣の収納の流れを説明するための説明図(その7)である。
図2H】実施の形態における紙幣の収納の流れを説明するための説明図(その8)である。
図3】実施の形態における収納カセットを示す正面図である。
図4】実施の形態における収納カセット及び紙幣を示す正面図である。
図5】実施の形態における収納カセット、紙幣、及び羽根車を示す正面図である。
図6】実施の形態における収納カセット、セパレータ、及び羽根車を示す正面図である。
図7】実施の形態における収納カセット、押し込み部、及び羽根車を示す正面図である。
図8】実施の形態における紙幣の自動装填の流れを説明するためのフローチャートである。
図9A】参考技術に係る紙葉類取扱装置の収納部の内部構造を示す図(その1)である。
図9B】参考技術に係る紙葉類取扱装置の収納部の内部構造を示す図(その2)である。
図9C】参考技術に係る紙葉類取扱装置の収納部の内部構造を示す図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態に係る紙葉類取扱装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施の形態に係る紙葉類取扱装置1の内部構造を示す概略図である。
図1に示す紙葉類取扱装置1は、収納部の一例である例えば3つの収納カセット2−1,2−2,2−3と、各収納カセット2に配置された、押し込み部3、セパレータ4、付勢機構5、羽根車6、羽根車連結軸7、及び搬送ガイド8と、を備える。
【0018】
また、紙葉類取扱装置1は、紙幣入口9と、搬送ローラ10と、鑑別部11と、切替ゲート12と、リサイクルカセット13と、リジェクトボックス14と、を備える。
【0019】
紙葉類取扱装置1については、紙葉類の一例である紙幣100を出金するために用いられる出金専用の紙葉類取扱装置1を例として説明する。紙幣100の端部のばらつきを抑えるのは、出金されるべく自動装填されて収納されている紙幣100について特に重要となるが、入出金両方或いは入金専用の紙葉類取扱装置1の収納カセット2において収納されている紙幣100の端部のばらつきを抑えてもよい。
【0020】
紙幣入口9には、収納カセット2に自動装填するための紙幣100がセットされる。また、紙幣入口9は、紙幣100の出金口としても用いられる。
【0021】
搬送ローラ10は、紙幣100の太線で示す搬送経路Rに沿って複数配列され、紙幣100を搬送する。
【0022】
鑑別部11は、紙幣100の状態を鑑別する。この紙幣100の状態によって、図示しない制御部は、紙幣100の収納先を決定する。
【0023】
切替ゲート12は、上記制御部の制御によって、例えば、複数の収納カセット2、後述するリサイクルカセット13、後述する複数のリジェクトボックス14などに紙幣100の搬送経路Rを切り替える。そのため、切替ゲート12は、搬送経路Rを分岐させる箇所のそれぞれに配置されている。
【0024】
リサイクルカセット13は、例えば、入金され再度出金するための紙幣100を収納するのに用いられるが、紙葉類取扱装置1が完全に出金専用に使われる場合には用いられない場合もある。
【0025】
リジェクトボックス14は、偽札や汚れた紙幣100などの、出金に用いられない紙幣100を収納する。リジェクトボックス14は、例えば3つ配置され、それぞれに羽根車が配置されている。
【0026】
図2A図2Hは、実施の形態における紙幣100の収納の流れを説明するための説明図である。
図3は、実施の形態における収納カセット2を示す正面図である。
【0027】
図4は、実施の形態における収納カセット2及び紙幣100を示す正面図である。
図5は、実施の形態における収納カセット2、紙幣100、及び羽根車6を示す正面図である。
【0028】
図6は、実施の形態における収納カセット2、セパレータ4、及び羽根車6を示す正面図である。
図7は、実施の形態における収納カセット2、押し込み部3、及び羽根車6を示す正面図である。
【0029】
図2A図3、及び図4に示すように、収納カセット2は、押し込み部3とセパレータ4とにより挟み込まれた紙幣束(複数枚の紙幣100からなるが、区別せずに符号100で図示)が平面状態では進入不可で湾曲して進入可能な形状の開口部2aが形成された壁面2bを有する。これは、収納カセット2の内部側の壁面2bにおいて付勢機構5との間で紙幣100を保持するためである。
【0030】
図7に示す押し込み部3は、押し込み部本体3aと、回動軸3bと、立ち上がり部材3cとを有し、紙幣束100を収納カセット2へ押し込む。
押し込み部本体3aは、立ち上がり部材3cを挟み込むように位置し、図2Aに示すように立ち上がり部材3cとともに押し込み面3dを構成する。しかし、立ち上がり部材3cが立ち上がっていない状態において、立ち上がり部材3cが押し込み面3dを構成せず、押し込み部本体3aが単独で押し込み面3dを構成するようにしてもよい。
【0031】
立ち上がり部材3cは、後述するが図2C及び図2Dに示すように収納カセット2へ紙幣束100を押し込んだ後に、押し込み部本体3aに設けられた回動軸3bを中心に、押し込み面3dに対して、押し込まれる紙幣束100の反対側を通って回動して立ち上がることで、図2Eに示すように立ち上がり位置に移動する。これにより、立ち上がり部材3cは、紙幣束100に当接する。
【0032】
なお、立ち上がり部材3cは、例えば、スライドして立ち上がり位置に移動することや、紙幣100と平行な面上を回転して立ち上がるようにすることも可能であるが、紙幣束100との摩擦を考慮すると、押し込み面3dに対して、押し込まれる紙幣束100の反対側を通って回動して立ち上がることがより望ましい。
【0033】
セパレータ4は、押し込み部3との間で紙幣束100を挟み込み、押し込み部3とともに紙幣束100を挟み込んだ状態で収納カセット2へ搬送する。
【0034】
図6に示すように、セパレータ4は、鉛直方向に配置された板状の仕切り部分4aと、水平方向に配置された板状の水平部分4bと、この水平部分4bに支持され仕切り部分4aの回動中心となる回動軸4cと、を有する。
【0035】
図6及び図2Fに示すように、セパレータ4の仕切り部分4aは、紙幣束100を挟み込む位置であって収納カセット2に搬送された紙幣束100と、収納カセット2に予め収納されている紙幣100とを仕切る第1の位置(P1)と、そこから退避した第2の位置(P2)とに移動する。
【0036】
なお、仕切り部分4aは、紙幣束100の下端である搬送面(開口部2aの下端)よりも下方に位置する回動軸4cを回動中心として第1の位置(P1)と第2の位置(P2)とに回動する。なお、第2の位置(P2)における仕切り部分4aも、紙幣束100の下端である搬送面(開口部2aの下端)よりも下方に位置する。
【0037】
図2Fに示すように、付勢機構5は、収納カセット2内において押し込み部3による紙幣束100の押し込み方向(図2Fの右方向)とは反対方向(図2Fの左方向)に紙幣束100を付勢し、壁面2bとの間で紙幣束100を保持する。なお、付勢機構5は、例えばスプリングなどの図示しない弾性部材によって、紙幣束100を上記のように押し込み方向とは反対方向に付勢する。
【0038】
図2A及び図5に示すように、羽根車6は、羽根車本体6aと、この羽根車本体6aの外周に設けられた複数の羽根6bとを有する。複数の羽根6bは、羽根車本体6aの外周面の周方向に等間隔に配置され、全体として渦巻き状をなすようにそれぞれが湾曲して形成されている。
【0039】
羽根車6は、互いに隣接する羽根6bの間に紙幣100を1枚ずつ収容して回転搬送する。なお、羽根車6は、紙幣100の先端側の一部分において、紙幣100を収容する。
【0040】
図5に示すように、羽根車6は、例えば複数個配置される。複数の羽根車6は、駆動軸となる羽根車連結軸7により連結され、互いに同一の羽根車連結軸7(回転軸)を回転中心とする。
【0041】
搬送ガイド8は、羽根車6と収納カセット2との間に配置され、羽根車6によって回転搬送される紙幣100の例えば底面や側面をガイドする。また、搬送ガイド8上では、羽根車6によって回転搬送された紙幣100が、所定の装填枚数の紙幣束100となるまでセパレータ4の仕切り部分4aに羽根6bにより押し付けられるように載置されていく。このとき、紙幣100は、羽根車6による回転搬送で仕切り部分4aに押し付けられることと、紙幣100の自重とによって、上下の端部が揃っている。
【0042】
以下、図8に示すフローチャートの自動装填の流れについて、図2A図2Hの収納カセット2への紙幣100の収納の流れを詳述しながら説明する。但し、上述の説明と重複する事項については適宜説明を省略する。
【0043】
まず、図8に示すように、図1に示す搬送ローラ10は、紙幣入口9にセットされた自動装填用の紙幣100を繰り出して鑑別部11に搬送する(ステップS1)。
【0044】
そして、鑑別部11は、紙幣100の状態を確認(鑑別)する。この紙幣状態によって、図示しない制御部は、紙幣100の収納先を、例えば、収納カセット2−1,2−2,2−3、リサイクルカセット13、複数のリジェクトボックス14の中から決定する(ステップS2)。
【0045】
収納カセット2に収納される紙幣100については、まず、第1の収納カセット2−1が受け入れ可能か判断される(ステップS3)。第1の収納カセット2−1が受け入れ可能であれば(ステップS3がYES)、複数の切替ゲート12が搬送経路Rを切り替え、紙幣100は、第1の収納カセット2−1へ搬送される(ステップS4)。
【0046】
図2Aに示すように、搬送ガイド8上において、羽根車6によって回転搬送された紙幣100が、セパレータ4の仕切り部分4aに対し羽根6bにより押し付けられるように載置されていく(ステップS5がNO)。この紙幣100の数が所定の装填枚数の紙幣束100となると(ステップS5がYES)、収納カセット2−1における装填が開始される(ステップS6)。
【0047】
すなわち、図2Bに示すように、押し込み部3は、紙幣100を収納カセット2へ向けて押し込み、セパレータ4とともに紙幣束100を挟んだ状態で収納カセット2へ搬送する。
【0048】
このとき、図2C図4、及び図5に示すように、紙幣束100は、平面状態では開口部2aに進入不可であるため、上部が押し込み方向の後方に湾曲しながら進入可能となる。
【0049】
そして、図2Dに示すように、押し込み部3及びセパレータ4は、紙幣束100を挟み込んだ状態のまま、収納カセット2に予め収納されている紙幣100に押し付ける。
【0050】
この状態で、図2Eに示すように、立ち上がり部材3cが立ち上がる。この点、押し込み部3は、開口部2aに紙幣100を進入させるために高さが低く設定されているが、収納カセット2へ紙幣束100を押し込んだ後は立ち上がり部材3cを立ち上がらせることができる。
【0051】
これにより、立ち上がり部材3cは、紙幣束100を、押し込み方向の後方に垂れ下がった上部においてもセパレータ4との間で挟み込むことができる。
【0052】
次に、図2Fに示すように、押し込み部3の押し込み力を弱めた状態で、図2F及び図6に示すように、セパレータ4の仕切り部分4aは、紙幣束100を押し込み部3との間で挟み込む位置であって搬送された紙幣束100と収納カセット2に予め収納されている紙幣束100とを仕切る第1の位置(P1)から、第2の位置(P2)へ退避移動する。これにより、搬送されてきた紙幣束100が、押し込み部3に押し込まれて、予め収納されている紙幣100に合流する。
【0053】
その後、図2F図2Hに示すように、押し込み部3及びセパレータ4が初期位置に移動する。この移動中に、付勢機構5は、搬送されてきた紙幣束100及び予め収納されている紙幣100を収納カセット2の壁面2bに押し付けて保持する。このように、紙幣100は、収納カセット2内において壁面2bと付勢機構5との間で収納される。
【0054】
以上の収納カセット2−1における装填中(ステップS6)は、第1の収納カセット2−1に紙幣100を搬送できないため、他の収納カセット2である第2の収納カセット2−2や第3の収納カセット2−3が紙幣100を受け入れ可能か判断される(ステップS7)。他の収納カセット2が受け入れ可能であれば(ステップS7がYES)、切替ゲート12が搬送経路Rを切り替え、紙幣100は、他の収納カセット2へ搬送される(ステップS8)。
【0055】
他の収納カセット2に紙幣が搬送されていき(ステップS9がNO)、この紙幣100の数が所定の装填枚数の紙幣束100となると(ステップS9がYES)、他の収納カセット2における装填が開始される(ステップS10)。
【0056】
例えば、第1の収納カセット2−1、第2の収納カセット2−2、第3の収納カセット2−3、再び第1〜第3の収納カセット2といった順に、装填を繰り返すことで、自動装填が行われるとよい。
【0057】
以上説明した本実施の形態では、紙葉類取扱装置1は、紙葉類の一例である紙幣100を収納する収納カセット2(収納部の一例)と、複数枚の紙幣100からなる紙幣束100を収納カセット2へ押し込む押し込み部3と、この押し込み部3との間で紙幣束100を挟み込むセパレータ4と、を備える。また、押し込み部3及びセパレータ4は、紙幣束100を挟み込んだ状態で収納カセット2へ搬送し、セパレータ4は、紙幣束100を挟み込む位置であって収納カセット2に搬送された紙幣束100と収納カセット2に予め収納されている紙幣100とを仕切る第1の位置(P1)と、そこから退避した第2の位置(P2)とに移動する。
【0058】
そのため、紙幣束100を押し込み部3とセパレータ4とで挟み込んだ状態で端部のばらつきを抑えたまま収納カセット2へ搬送し、そのままセパレータ4を第2の位置(P2)へ退避させることで、紙幣100の端部のばらつきが抑えられる。よって、本実施の形態によれば、収納された紙幣100の端部のばらつきを抑えることができる。
【0059】
また、本実施の形態では、収納カセット2は、押し込み部3とセパレータ4とにより挟み込まれた紙幣束100が平面状態では進入不可で湾曲して進入可能な形状の開口部2aが形成された壁面2bを有し、付勢機構5は、収納カセット2内において押し込み部3による紙幣束100の押し込み方向とは反対方向に紙幣束100を付勢し壁面2bとの間で紙幣束100を保持する。そのため、簡素な構成で、端部のばらつきを抑えたまま紙幣100を収納することができる。
【0060】
また、本実施の形態では、押し込み部3は、収納カセット2へ紙幣束100を押し込んだ後に立ち上がり位置に移動して紙幣束100に当接する立ち上がり部材3cを有する。そのため、押し込み部3は、開口部2aに紙幣100を進入させるために高さが低く設定されているが、収納カセット2へ紙幣束100を押し込んだ後は立ち上がり部材3cを立ち上がらせて、紙幣束100を、押し込み方向の後方に垂れ下がった上部においてもセパレータ4との間で挟み込むことができる。そのため、端部のばらつきをより確実に抑えたまま紙幣100を収納することができる。
【0061】
また、本実施の形態では、立ち上がり部材3cは、押し込み部3の押し込み面3dに対して、押し込まれる紙幣束100の反対側を通って回動して立ち上がる。そのため、押し込み部3と紙幣束100との間で摩擦が発生するのを防ぎ、端部のばらつきをより確実に抑えたまま紙幣100を収納することができる。
【0062】
また、本実施の形態では、仕切り部分4aは、紙幣束100の下端である搬送面(開口部2aの下端)よりも下方に位置する回動軸4cを回動中心として第1の位置(P1)と第2の位置(P2)とに回動する。そのため、セパレータ4が、搬送されてきた紙幣束100と予め収納されている紙幣100とが合流するのを妨げず、端部のばらつきをより確実に抑えたまま紙幣100を収納することができる。
【0063】
また、本実施の形態では、紙葉類取扱装置1は、複数の収納カセット2−1,2−2,2−3と、これらの収納カセット2のそれぞれに配置された押し込み部3及びセパレータ4と、を備え、複数の収納カセット2のうち1つの収納カセット2の手前に所定枚数に達するまで紙幣100を搬送し、この1つの収納カセット2において押し込み部3及びセパレータ4が紙幣束100を挟み込んだ状態で収納カセット2へ搬送して装填している間は、他の収納カセットの手前に所定枚数に達するまで紙幣100を搬送する。そのため、短時間で、端部のばらつきを抑えたまま紙幣100を収納することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 :紙葉類取扱装置
2 :収納カセット
2a :開口部
2b :壁面
3 :押し込み部
3a :押し込み部本体
3b :回動軸
3c :立ち上がり部材
3d :押し込み面
4 :セパレータ
4a :仕切り部分
4b :水平部分
4c :回動軸
5 :付勢機構
6 :羽根車
6a :羽根車本体
6b :羽根
7 :羽根車連結軸
8 :搬送ガイド
9 :紙幣入口
10 :搬送ローラ
11 :鑑別部
12 :切替ゲート
13 :リサイクルカセット
14 :リジェクトボックス
100 :紙幣
R :搬送経路
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C