特許第5770391号(P5770391)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770391
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】安全弁装置を含むポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/02 20060101AFI20150806BHJP
   F04B 43/04 20060101ALI20150806BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   F04B43/02 D
   F04B43/02 B
   F04B43/04 B
   B81B3/00
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-552557(P2014-552557)
(86)(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公表番号】特表2015-505349(P2015-505349A)
(43)【公表日】2015年2月19日
(86)【国際出願番号】EP2012076699
(87)【国際公開番号】WO2014094879
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2013年11月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591037214
【氏名又は名称】フラウンホッファー−ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】リヒター マルティーン
(72)【発明者】
【氏名】ワッカーレ マルティーン
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−317647(JP,A)
【文献】 特開2012−217684(JP,A)
【文献】 特表2010−502873(JP,A)
【文献】 米国特許第5759014(US,A)
【文献】 国際公開第2010/021988(WO,A1)
【文献】 国際公開第95/08716(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/02
B81B 3/00
F04B 43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体ポンプ(20)と、安全弁装置とを含む、ポンプ装置であって、
前記ポンプ装置は、積層されて互いの面が接続されている第1の層(10),第2の層(12)および第3の層(14)を含み、
前記マイクロ流体ポンプ(20)は、ポンプ入口(22)およびポンプ出口(24)を含み、前記マイクロ流体ポンプ(20)は、前記ポンプ入口(22)から前記ポンプ出口(24)に流体を圧送するように構成され、前記ポンプ入口(22)および前記ポンプ装置の入口(46)は、流体的に接続され、
前記安全弁装置は、第1の安全弁(40)を有し、前記第1の安全弁(40)は、前記ポンプ出口(24)と前記ポンプ装置の出口(48)との間に配置され第1の弁座(42)および第1の弁蓋(44)を含み、
前記ポンプ装置の出口(48)および第1の流体領域(50)は、流体的に接続され、且つ、前記ポンプ装置の第1の層(10)に形成され、
前記第1の弁蓋(44)は、前記ポンプ装置の第2の層(12)に形成され、
前記第1の弁座(42)と、前記ポンプ出口(24)と、前記ポンプ入口(22)は、前記ポンプ装置の第3の層(14)にパターン形成され、
前記第2の(12)は、前記第1の(10)と前記第3の(14)との間に配置され、前記第1の流体領域(50)は、前記第1の弁蓋(44)に隣接され、前記第1の流体領域(50)における圧力は、前記第1の安全弁(40)に対して閉鎖効果を有することを特徴とする、ポンプ装置。
【請求項2】
前記安全弁装置は、第2の安全弁(140)を含み、前記第2の安全弁(140)は、前記ポンプ出口(24)の下流に配置され、第2の弁座(142)および第2の弁蓋(144)を含み、
前記第2の弁座(142)は、前記第3の(14)にパターン形成され、前記第2の弁蓋(144)、前記第2の層(12)に形成され、前記ポンプ装置の入口(46)および第2の流体領域(51)は、流体的に接続され、且つ、前記第1の層(10)に形成され、
前記第2の流体領域(51)は、前記第2の弁蓋(144)に隣接され、前記第2の流体領域(51)における圧力は、前記第2の安全弁(140)に対して閉鎖効果を有する、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記第2の安全弁(140)は、前記ポンプ出口(24)と前記第1の安全弁(40)の間に配置されることを特徴とする、請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記ポンプ装置の前記第2の(12)は、フレキシブル層であり、前記フレキシブル層は、前記第1の弁蓋(44)および前記第2の弁蓋(144)を形成する、請求項2または請求項3に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記フレキシブル層は、シリコーンダイヤフラムを含む、請求項4に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記第1の流体領域(50)および前記第2の流体領域(51)は、空間的且つ、流体的に分離されている、請求項2〜請求項5のいずれかに記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記ポンプ入口(22)および前記ポンプ装置の入口(46)は、前記第2の(12)において、開口部(52)を介して流体的に接続されている、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のポンプ装置。
【請求項8】
前記第2の(12)は、前記第1の層(10)と前記第3の層(14)との間に配置された均一な厚さの層を含み、前記均一な厚さの層には、1つ以上の開口部(52)が形成されている、請求項1〜請求項7のいずれかに記載のポンプ装置。
【請求項9】
前記第2の(12)は、前記第1の層(10)および前記第3の層(14)を分離する、請求項8に記載のポンプ装置。
【請求項10】
前記第2の(12)は、リングシール(10−1、12−1、12−2、14−1)で形成されるシーリング要素(11)を含む、請求項1〜請求項のいずれかに記載のポンプ装置。
【請求項11】
前記第2の層(12)は、前記第2の層(12)のシリコーン材に埋め込まれた安定化要素(43)を含む、請求項1〜請求項10のいずれかに記載のポンプ装置。
【請求項12】
前記第1の弁座(42)に向けて、前記第1の弁蓋(44)を付勢する付勢要素(45)、および、
前記第2の弁座(142)に向けて、前記第2の弁蓋(144)を付勢する付勢要素(45´)をさらに含む、請求項1〜請求項11のいずれかに記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ポンプ装置に関し、特に、マイクロ流体ポンプおよびマイクロ流体ポンプのポンプ出口に配置される安全弁装置を含む、ポンプ装置に関する。
安全弁装置は、(マイクロ流体ポンプの流体のポンピング方向に関して)逆方向の自由流れの防止のための第1の安全弁を含むことができ、また、必要に応じて、順方向の自由流れを防止するための付加的な第2の安全弁を備えることができる。
【背景技術】
【0002】
マイクロポンプの入口または出口に過圧または正圧が加えられ、マイクロポンプに動作電圧が印加されないときに、マイクロポンプの中を通って自由流れが起こり得るという点で、既知のマイクロポンプは問題がある。
マイクロポンプを介して制御されていない流れを防止するために、逆止弁は、マイクロポンプの入口および出口にそれぞれ配置することができる。
しかしながら、特定の用途において、これは、マイクロポンプのポンピング方向に対して特に逆方向に堅密なポンプ装置を必要とする。例えば酷使して使用されるドラッグ・デリバリー・システム(薬物送達システム)またはマイクロポンプ(移植型の)において、流体の逆方向の自由流れや漏れは、たとえば0.1μリットル/時間、非常に小さくなければならない。
しかし、これは、従来のシリコーン逆止弁の場合はほとんど達成できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さらに、先行技術によるマイクロポンプ装置は、追加の個別の部品が必要であるという点で不利であり、それは、スペースを増加させ且つコストの要求をもたらす。
また、従来のポンプ装置は、比較的大きなデッドボリュームを示し、そこではさらに流体継手が必要とされる。
【0004】
その結果、逆方向(ポンピング方向に対して)または両方の方向における不要な自由流れは、マイクロポンプの非働化状態を防止することができる信頼のおけるポンプ装置が望まれており、そしてこれは、安価な設計や設定を含み、小さなデッドボリュームを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に係るポンプ装置によって達成される。
さらに、このポンプ装置の発明の別の実装形態は、従属請求項に定義されている。
【0006】
ポンプ装置は、ポンプ入口およびポンプ出口を有するマイクロ流体ポンプを含み、ポンプ入口からポンプ出口に流体を圧送するように構成され、ポンプ入口とポンプ装置の入口とは流体的に接続される。
ポンプ装置は、さらに、第1の安全弁を有する安全弁装置を含み、第1の安全弁は、ポンプ出口とポンプ装置の出口との間に配置され、且つ、第1の弁座および第1の弁蓋を含む。
流体的に接続されたポンプ装置の出口と第1の流体領域は、ポンプ装置の第1の部分に形成され、第1の部分において、第1の弁蓋は、ポンプ装置の第2の統合部分に形成され、第1の弁座、ポンプ出口およびポンプ入口は、ポンプ装置の第3の統合部分の第2の表面にパターニングされる。
第2の統合部分は、第1の統合部分とポンプ装置の第3の部分との間に配置され、第1の流体領域は、第1の弁蓋に隣接しており、第1の流体領域内の圧力は、第1の安全弁に関して閉鎖効果を有する。
【0007】
また、安全弁装置は、第2の安全弁を含んでもよく、第2の安全弁は、ポンプ出口の下流に配置され、第2の弁座および第2の弁蓋を含む。
第2の弁座は、ポンプ装置の第3の統合部分の第2の表面にパターニング形成され、そこで、第2の弁蓋は、ポンプ装置の第2の統合部分に形成され、流体的に接続されるポンプ装置の入口および第2の流体領域は、さらに、ポンプ装置の第1の部分に形成され、第2の流体領域は、第2の弁蓋に隣接し、第2の流体領域における圧力は、第2の安全弁に関して閉鎖効果を有する。
【0008】
本発明のポンプ装置の実施形態によれば、安全弁装置は、マイクロ流体ポンプに直接、統合されている。
安全弁装置は、逆方向(マイクロ流体ポンプのポンピングまたは流体の流れ方向に対して)のための第1の安全弁と、必要に応じて、マイクロ流体ポンプの順方向のための第2の安全弁とを含む。
【0009】
小さなデッドボリュームを示す安価なポンプ装置の設計を可能にするために、逆方向のための第1の(逆向き)安全弁の弁座、ポンプ出口およびポンプ入口は、マイクロ流体ポンプ装置の統合部分の表面にパターン形成されている。
また、順方向のための第2の(順方向)安全弁の任意の実装において、第2の安全弁の弁座は、マイクロ流体ポンプ装置の統合部分の同一面にパターニングされてもよい。
マイクロ流体ポンプの出口と、第1の安全弁の弁座と、そして、必要に応じて、第2の安全弁の弁座とは、統合部分の同一面に形成されていることから、第1の安全弁および任意に配置された第2の安全弁の弁座は、マイクロ流体ポンプの出口に直接形成してもよく、それによって、小さなデッドボリュームを実現し、且つ、結果として、マイクロ流体ポンプ装置の安価な設計に帰着する。
【0010】
本発明の実施形態では、ポンプ入口がさらに同一面内にパターニングされる。
また、ポンプ出口も、同一表面にパターニングされてもよく、第1の安全弁の閉鎖効果を支持するポンプ装置の第1の流体領域に流体的に接続されている。
【0011】
本発明の実施形態によれば、安全弁装置は、マイクロ流体ポンプの逆方向および順方向のための二重の安全弁を実現し、二重の安全弁は、マイクロ流体ポンプの出口の下流位置に配置されている。
【0012】
本発明の実施形態によれば、第1および第2の安全弁のそれぞれの弁蓋は、一例を挙げるならば(例えば、連続的した)シリコーンダイヤフラムの形をした同一のシーリング部材(封止部材)またはガスケットで形成することができる。
具体的には、同一のガスケットまたはシーリング要素は、第3の統合部分(例えば、パターニングされたシリコーン層/チップ)の内側に、第1の安全弁のUターンに加えて、別のUターンを配置することによって両方の安全弁を目的として使用することができる。
換言すれば、第1および第2の安全弁の両方にUターンが同一のシリコーンチップの周りに折り重ねることができる。
この実施に基づいて、"二重"の安全弁装置は、追加のチップサイズ、追加の生産工程および/または追加の固定部分なしに、マイクロ流体ポンプの出口の下流に実装することができる。
【0013】
第1および第2の安全弁の弁座は、シリコーンダイヤフラムの形で切れ目の無く連続するガスケットによって形成されるように、いわゆるソフト・ハードシーリング(すなわち、ハードシリコンチップに対して当接されたソフトシリコーンダイヤフラム)が逆方向の漏れにハードな仕様を達成するために流体密にすることができる。
したがって、特定の安全弁装置を有する本発明のポンプ装置は、特に、少なくとも逆方向(または両方の方向に)に流体的に固定されたポンプを必要とするすべての技術的な用途、例えば酷使して使用される「移植可能な」ドラッグ・デリバリー・システム(薬物送達システム)、マイクロポンプに適用することができる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態は、引き続いて、添付の図面を参照して詳細に説明する
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係るポンプ装置の概略断面図を示す。
図2】本発明のさらなる実施形態に係るポンプ装置の概略断面図を示す。
図3A】本発明の一実施形態に係る任意のシーリング要素と、任意の補強要素の概略断面図を示す。
図3B】本発明の一実施形態に係る任意のシーリング要素と、任意の補強要素の概略断面図を示す。
図3C】本発明の一実施形態に係る任意のシーリング要素と、任意の補強要素の概略断面図を示す。
図3D】本発明の一実施形態に係る任意のシーリング要素と、任意の補強要素の概略断面図を示す。
図3E】本発明の一実施形態に係る任意のシーリング要素と、任意の補強要素の概略断面図を示す。
図3F】本発明の一実施形態に係る任意のシーリング要素と、任意の補強要素の概略断面図を示す。
図3G】本発明の一実施形態に係る任意のシーリング要素と、任意の補強要素の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を用いてさらに詳細に本発明を説明する前に、同一要素又は同一機能や同様の効果を有する要素は、これらの要素の説明が同一符号を有するように、図において同じ参照番号が設けられていることが指摘されており、また、それらの異なる実施形態に示した機能性は相互に交換可能であるか、または異なる実施形態で互いに適用することができる。
【0017】
図1に図示されるように、マイクロ流体ポンプおよび安全弁装置を有するマイクロ流体ポンプ装置について説明する。マイクロ流体ポンプは、受動逆止弁を含むマイクロダイヤフラムポンプによって実現される。
【0018】
マイクロ流体ポンプ装置1は、互いに上下に配置され、相互に(順次)取り付けられた5つのパターン化層10、12、14、16、18を含み得る。
このパターニング化された層のスタック(積み重ね)は、以後、第1の層10、第2の層12、第3の層14、第4の層16および第5の層18と称する。
図1の投影面に関して、第1の層10は、第1(上部)および第2の(底部)の表面を有する。
第2の層12は、第1の(上部)表面および第2の(底部)の表面を有する。
第3の層14は、第1(上部)および第2の(底部)表面を有する。
第4の層16は、第1の(上部)表面および第2の(底部)表面を有する。
第5の層18は、第1(上部)および第2の(底部)表面を有する。
実施形態によれば、第1の層10の第1の表面は、機械的に第2の層12の第2の表面に接続されている。
第2の層12の第1の表面は、第3の層14の第2の表面に、機械的に接続されている。
第3の層14の第1の表面は、第4の層16の第2の表面に、機械的に接続されている。
第4の層16の第1の表面は、第5の層18の第2の表面に、機械的に接続されている。
【0019】
図1に示されるマイクロ流体ポンプ装置は、ポンプ入口22およびポンプ出口24を含むダイヤフラムポンプ20を備える。
ポンプ入口22およびポンプ出口24は、第3の層14の第2の(底部)表面においてパターン化される。
ダイヤフラムポンプ20は、ポンプ入口22において、弁座26および弁フラップ28を備える受動的な逆止弁を含む。
弁座26は、第3の層14の第1の(上部)表面においてパターン化され、そして、弁フラップ28は、第4の層16においてパターン化される。
加えて、マイクロ流体ポンプ20は、ポンプ出口24で弁座30および弁フラップ32を備える受動的な逆止弁を含む。
弁座30は、第4の層16においてパターン化され、そして、弁フラップ32は、第3の層14の第1の(上部)表面においてパターン化される。
【0020】
さらにまた、ダイヤフラムポンプ20は、第5の部分(部位)18においてパターン化されるポンプダイヤフラム34を含む。
圧電セラミック素子36は、圧セラミック素子36を作動させることによって、ダイヤフラムポンプ20のポンプ室38の容積を変化させることができるように、ポンプダイヤフラム34に取り付けられている。
この目的のために、ポンプダイヤフラム34に結合された圧電セラミック素子36に電圧を印加するように、そして、図1に示される位置から、ポンプ室38の容積が減少される位置まで、それを歪ませるように、適当な手段(図示せず)が備えられている。
【0021】
さらに、図1に示されるポンプ装置は、ポンプ出口24、すなわち、ポンプ出口24の下流で、第1の安全弁40を有する安全弁装置を含む。
第1の安全弁40は、安全弁座42および安全弁フラップ44を含む。
安全弁座42は、第3の層14の底面においてパターン化される。
安全弁フラップ44は、第2の層12の一部分によって安全弁座42の反対側に形成される。
第3の層14は、その底部表面の第2の層12と弁室を定める凹部62を含む。
【0022】
図1に示されるポンプ装置は、ポンプ装置入口46およびポンプ装置出口48を含む。
ポンプ装置出口48は、第1の流体領域50に流体的に接続されている。
ポンプ装置入口46、ポンプ装置出口48および第1の流体領域50は、第1の層10においてパターン化される。
このように、第1の流体領域50は、流体領域50の圧力P50が第1の安全弁40の開閉効果を有するように、第2の層12の底部に境を接する。
ポンプ装置入口46は、第2の層12の第1の開口部52を経て、ポンプ入口22に流体的に接続されている。
第1の安全弁40は、流路56に流体的に接続されている。そして、前記流路56は、次々に第2の層12の第2の開口部54を介して、出口48に流体的に接続されている。
図に示す実施形態では、流路56は、第3の層14および第4の層16に対応するパターンによって形成される。
安全弁の出口は、第3の層14の表面においてパターン化される。
【0023】
ポンプ装置入口46およびポンプ装置出口48は、さらに、例えば接続チューブ用のいわゆるルアーコネクタなどの流体用構造体を接続することを可能にする適切な流体コネクタを備えることができる。
【0024】
要約すると、図1のポンプ装置1は、ポンプ入口22およびポンプ出口24を有するマイクロ流体ポンプ20を含み、そこにおいて、ポンプ入口22からポンプ出口24まで(順方向またはポンピング方向において)流体Fをポンピングするように、マイクロ流体ポンプ20が構成され、そこにおいて、ポンプ入口22およびポンプ装置の入口46が流体的に接続される。
第1の安全弁40を有する安全弁装置は、ポンプ出口24に下流に、すなわちポンプ出口24とポンプ装置の出口48との間に配置される。
第1の安全弁40は、第1の弁座42および第1の弁蓋44を含む。
第1の弁座42、ポンプ出口24およびポンプ入口22は、ポンプ装置1の第3の統合部分14の第2の表面においてパターン化される。
第1の弁蓋44は、ポンプ装置1の第2の統合部分12に形成される。
ポンプ装置の出口48および第1の流体領域50は、流体的に接続され、ポンプ装置1の第1の部分10に形成される。
さらに、第2の統合部分12は、第1の流体領域50が第1の弁蓋44に隣接して形成されるように、第3の統合部分14とポンプ装置の第1の部分10との間に配置される。 基本的なまたは初期状態において、即ち、第1の弁蓋が振れていないまたは閉じた状態で当該第1の弁蓋は、第1の弁座に対して当接している。
第1の流体領域が第1の弁蓋に隣接するように、圧力P50、例えば、ポンプ装置の出口48に(外側から)印加された背圧は、第1の安全弁40の閉鎖効果をサポートしている。
【0025】
図2は、本発明のさらなる実施形態に係るポンプ装置の概略断面図を示す。
【0026】
図2のマイクロ流体ポンプ装置2は、上下に配置され、(既に図1に示すように)互いに(順次)取り付けられた5つのパターン化層10、12、14、16、18を含み得る。
【0027】
図2にも示されるマイクロ流体ポンプ装置2は、ポンプ入口22およびポンプ出口24を有するダイヤフラムポンプ20を含む。
ポンプ入口22およびポンプ出口24は、第3の層14の第2の(底部)表面においてパターン化される。
ダイヤフラムポンプ20は、ポンプ入口22で、弁座26および弁フラップ28を備える受動的な逆止弁を含む。
弁座26は第3の層14の第1の(上部)表面においてパターン化され、そして、弁フラップ28は第4の層16においてパターン化される。
加えて、マイクロ流体ポンプ20は、ポンプ出口24で弁座30および弁フラップ32を備える受動的な逆止弁を含む。
弁座30は第4の層16においてパターン化され、そして、弁フラップ32は第3の層14の第1の(上部)表面においてパターン化される。
【0028】
さらにまた、ダイヤフラムポンプ20は、第5の部位18においてパターン化されるポンプダイヤフラム34を含む。
圧電セラミック素子36は、ポンプダイヤフラム34に取り付けられる。その結果、圧電セラミック素子36を作動させることによって、ダイヤフラムポンプ20のポンプ室38の容積を変化させることができる。
この目的のために、適当な手段(図示せず)は、ポンプダイヤフラム34に結合された圧電セラミック素子36に電圧を印加するため、そして、図1に示す位置から、ポンプ室38の容積が減少される位置まで、同じものを反らせるために設けられている。
【0029】
以下には、図1のマイクロポンプ装置1に任意に加えられることができる 追加の構成要素が記載されている。
【0030】
さらに、任意のシーリング要素(密封要素)11は、図1において図式的に示される。
この任意のシーリング要素11(密封要素)は、互いに隣接したマイクロポンプ装置1の内側領域、または、マイクロポンプ装置1の内側領域およびその周囲に、増大した液密性および密封を得るために、設けられている。
このため、任意のシーリング要素11は、例えば、チャンバ形成内壁領域あるいはポンプ装置1の外壁領域に提供される。
【0031】
任意のシーリング要素(密封要素)11およびそれらの機能性の実現のより詳細な説明については、図3A〜3Fおよび関連する記述が以下に言及される。
【0032】
さらに、図1に示す第2の層12のための安定化要素43は、例えば、シリコーン膜44として実施される。
したがって、(構造化された)金属膜または金属層は、シリコーン膜12のシリコーン材料に、挿入することができるか、または埋め込むことができる(成形加工)。そこにおいて、第2の層12または少なくとも当該第2の層12の部分に補強効果を提供するために、金属膜43は、シリコーン膜またはシリコーン材料よりも高い剛性と安定性を有する。
【0033】
また、図1は、例えば、弁座42の方向において、第1の流体領域50のエリアでは、実施される任意の付勢要素45が、第2の層12の一部を付勢することを示している。
【0034】
追加の任意の付勢要素45は、流体経路において、相対的に高い圧力(例えば、0.5〜2バール以上)で、また、比較的低い圧力(例えば、0.1〜20ミリバール)でも、第1の安全弁40の気密性を高めるために設けられている。
すなわち、層12は、任意の付勢手段45によって、弁座42の方向に若干上向きに付勢され得る。
図1において、層12の上方への付勢の例示が、破線によって示されている。
任意の付勢要素45は、例えば、第1の層10に柱状に実施することができる。
このため、付勢要素45は、第1の層10と一体的に実施することができる。
また、任意の付勢要素45は、弁蓋44のシリコーン材料で、点形、線形あるいは面接触を確立し、且つ、弁座42の方向に弁蓋を付勢するために、ばね、固定式のラグ等として実現することができる。
【0035】
さらに、図2に示されるポンプ装置2は、ポンプ出口24に対して下流に、第1の安全弁40および第2の安全弁140を有する安全弁装置を含む。
第1の安全弁40は、第1の安全弁座42および第1の安全弁フラップ44を含む。
安全弁座42は、第3の層14の底部においてパターン化される。
第1の安全弁フラップ44は、第2の層12の一部によって、第1の安全弁座42の反対側に形成される。
第3の層14は、その底部に第2の層12を有する弁室を規定する凹部62を含む。
図2に示すように、第2の安全弁140は、ポンプ出口24に対して下流、例えばポンプ出口24および第1の安全弁40の間に配置される。
第2の安全弁140は、第2の弁座142と、第3の層14の底面においてパターン化される第2の弁蓋144とを含む。
【0036】
図2に示されるポンプ装置は、ポンプ装置入口46およびポンプ装置出口48をさらに含む。
ポンプ装置出口48は、第1の流体領域50に、流体的に接続される。
ポンプ装置入口46は、第2の流体領域51に、流体的に接続される。
ポンプ装置入口46、ポンプ装置出口48および第1の流体領域50は、第1の層10においてパターン化される。
【0037】
特に、下記では、図1の安全弁装置およびそれらの機能性と比較した場合、図2の安全弁装置の追加の要素は、詳細に説明される。
さらに具体的には、第2の安全弁140は、ポンプ装置の第3の統合部分14の第2の表面においてパターン化される 第2の弁座142を含む。そこにおいて、第2の弁蓋144は、ポンプ装置2の第2の統合部分12において形成される。
流体的に接続されるポンプ装置2の入口46および第2の流体領域51は、さらに、ポンプ装置2の第1の部分10において形成される。
第2の流体領域51は、第2の弁蓋144と隣接されていて、そこでは、第2の圧力P51、例えば順方向(前方)の流体圧が、流体領域51において、第2の安全弁140に対する閉鎖効果をサポートする。
ポンプ装置2の第2の統合部分12は、第1の弁蓋44および第2の弁蓋144を形成する、フレキシブル層またはガスケット(例えば接触している)である。
フレキシブル層12は、各第1の弁座42および/または第2の弁座142に対して軟質の密封処理を提供するためのシリコーンダイヤフラムを含み得る。
さらにまた、第1の流体領域50および第2の流体領域51は、ポンプ装置2において、空間的に且つ流体的に切り離されて、例えば、耐圧仕切りは、第1および第2の流体領域/チャンバ間に配設されている点に、留意する必要がある。
【0038】
このように、流体領域50では、圧力P50(例えば背圧)が第1の安全弁40に対して閉鎖効果を有するように、第1の流体領域50は、第1の安全弁40において第2の層12の底部に境を接する。
流体領域51では、圧力P51(例えば前進圧力・前方向圧)が第2の安全弁140に対して閉鎖効果を及ぼすように、第2の流体領域51は、第2の安全弁140において第2の層12の底部に境を接する。
ポンプ装置入口46は、第2の層12の第1の開口部52を介して、ポンプ入口22に流体的に接続されている。
第2の安全弁140は、Uターン形の流路57を介して、第1の安全弁40に流体的に接続されている。
【0039】
図示の実施形態では、流路57が、第3の層14および第4の層16において対応するパターンによって形成される。
第1の安全弁40は、流路56に流体的に接続されていて、前記流路56は、順次、第2の層12において、第2の開口部54を経て出口48に流体的に接続されている。
図の実施形態では、流路56が、第3の層14および第4の層16において対応するパターンによって形成される。
安全弁の出口は、第3の層14の表面においてパターン化される。
【0040】
ポンプ装置が運転中の状態では、図1および図2に示されるように、ポンプダイヤフラム34は、ポンプ室38の容量が減少するように、図1および図2に示される状態から出発して作動される。
これはポンプ室38内に正圧を生成し、一方ではポンプ出口24の逆止弁を開放し、他方では安全弁フラップ44に圧力をかける。
同時に、ポンプ室38内の正圧は、ポンプ室の入口の逆止弁に対する閉鎖効果を有する。
このように、ポンプ行程と呼ばれるポンプダイヤフラム34の作動中に、流体は、ポンプ出口24の逆止弁および安全弁40を通してポンプ装置出口48に送られる。
【0041】
ポンプダイヤフラム34が図1および図2に示される位置に戻される次の吸込行程において、ポンプ出口24の逆止弁に対する閉鎖効果およびポンプ入口22の逆止弁に対する開放効果を有する負圧が、ポンプ室38内に形成される。
このように、この吸込行程の間、流体は、ポンプ装置入口46を通して吸い込まれる。
【0042】
ポンプ装置入口からポンプ装置出口に体積流量をもたらすために、圧電セラミック36には、典型的にパルス矩形波電圧によって、周期的に電圧を供給することができる。
印加される作動電圧の回数およびポンプダイヤフラム34の行程容積に応じて、所望の送出量を達成することができる。
【0043】
図1および図2の実施例を参照して、安全弁装置の第1の安全弁40は、以下のように機能する。
ポンプ22が運転中でない場合、ポンプ出口48からポンプ入口46(逆方向において)へのポンプ装置による流れは防止される。その理由は、ポンプ装置の出口48に(外側から作用している)背圧P50が、第1の流体領域50を介して安全弁フラップ44の底部に作用し、それと同時に、流路56を介して安全弁フラップ44の上にも作用しているからである。
この背圧は、また、ポンプ出口24およびポンプ入口22の両方で逆止弁に閉鎖効果を及ぼす。
したがって、非作動状態では、後方(逆方向)における望ましくない自由な流れは、ポンプ装置の出口48において、背圧により確実に防止することができる。
【0044】
図2の付加的な実施例を参照して、安全バルブ装置の追加の安全弁140は、以下の通りに機能する。
ポンプ22が作動中でないときに、ポンプ入口46からポンプ出口48(前方向・順方向に)にポンプ装置を通しての流れが防止され、その理由は、ポンプ装置入口46での正圧P51が、流体領域51を介して安全弁フラップ44の底部に働くからであり、同時にポンプ20を介して安全弁フラップ44の上部に働き、その理由は、この正圧がポンプ入口22およびポンプ出口24の両方の逆止弁に対して開放効果を有するからである。
入口での正圧P51によって下方から安全弁フラップ44に働く力は、上方からそれに働く力より大きく、その結果、入口46での正圧は、安全弁フラップ44に対する閉鎖効果を有する。
下から働く力はより大きく、その理由は、下からの圧力は上からの圧力より大きなエリアに働くからである。
より正確に言うと、下からの圧力は可動フラップエリア全体に働くが、上からの圧力は弁座42によってカバーされる領域に働かないからである。
このように、非作動状態において、前進方向(順方向)の自由流れは、ポンプ装置入口での正圧によって確実に防止することができる。
【0045】
下記では、図2のマイクロポンプ装置2に任意に加えることができる付加的な構成要素が記述されている。
【0046】
さらに、任意のシーリング要素(密封要素)11は、図2において図式的に示されている。
この任意のシーリング要素11は、互いに隣接しているマイクロポンプ装置2の内側領域間に、あるいは、マイクロポンプ装置2の内側領域およびその周囲間に、流体密性および密封を得るために設けられている。
これのために、任意のシーリング要素11は、例えば、チャンバ形成の内壁領域またはポンプ装置1の外壁領域に設けられている。
【0047】
任意のシーリング要素11およびそれらの機能の実現の詳細な説明については、図3A図3Fおよび関連した説明が以下に言及される。
【0048】
さらに、図2は、例えば、シリコーン膜144として実施される第2の層12のための安定化要素43を示す。
したがって、(構造化された)金属膜または金属層は、層12のシリコーン材料に挿入するか埋め込むことができる(モールドされた)。そこにおいて、金属膜43は、第2の層12あるいは少なくとも第2の層12の部分に補強効果を提供するために、シリコーン膜のシリコーン材料または層12よりも高い剛性と安定性を有する。
【0049】
さらに、図2は、例えば、第1の流体領域51において、弁座142の方向に第2の層12の一部を付勢するために実施された任意の付勢要素45´を示す。
【0050】
付加的な任意のバイアス用要素45´は、流路中において、比較的高い圧力(例えば、0.5〜2バール以上)で、また、比較的低い圧力(例えば0.1〜20ミリバールで)で第2の安全弁140(図2の)の気密性を高めるために設けられている。
任意の付勢要素45´によって、 すなわち、弁座142に向かう方向において、若干上向きに、層12が付勢し得る。
図1では、層12の上方への典型的な付勢が、破線によって示されている。
付加的な付勢要素は、第1の層10において、例えば、柱状体に実施することができる。
このため、付勢要素45´は、第1の層10によって一体的に実現され得る。
あるいは、任意の付勢要素45´は、また、弁蓋144のシリコーン材料との点接触、線接触または面接触を成立させ、そして、弁座142の方向に弁蓋を付勢するために、例えば、ばね、固定式のラグとして実現することができる。
【0051】
さらに、図2のポンプ装置2は、第1の安全弁40の気密性を高めるために、第1の安全弁40用の付加的な付勢要素(図2では図示せず)を含む。
付加的な付勢要素は、第1の流体領域50に配置することができ、また、図1の第1の安全弁40用の付勢要素45として、同一構造および機能を有し得る。
【0052】
図1または図2に示されるポンプ装置は、蠕動マイクロポンプを含む。
発明のポンプ装置は、複数の応用(用途)に適している。
続いて、最適の代表的な応用(用途)では、ポンプ入口での正圧の自由流れを防止することが重要であると言及される。
本発明のポンプ装置のこのような応用(用途)の実施例は、代表的に、燃料電池システムにおけるメタノール供給ポンプ、輸液ポンプ、移植可能なドラッグ・デリバリー・システム(薬物送達システム)、携帯型ドラッグ・デリバリー・システム(薬物送達システム)、呼吸空気を加湿するためのシステム、麻酔薬を投与するためのシステム、およびタイヤのマイクロポンプ等を含む代表的なものに使用されてふさわしいものである。
【0053】
常開型弁を含む蠕動マイクロポンプは、逐次、気泡トレラントな(気泡に抵抗力のある)動作のために有利である高い圧縮比を有するポンプを実現することができる。
あるいは、本発明のポンプ装置は、ポンプ入口および/またはポンプ出口に常閉型作動弁を備えた蠕動マイクロポンプを含んでもよい。
【0054】
例えば、第2の層12および第3の層14のように、本発明のポンプ装置の構成要素または層10、12、14、16、18は、例えば、接着、クランプまたは接合層を有していない接続方法などによって、任意の公知の結合技術または接合技術などを使用して相互に接続することができる。
【0055】
本発明の実施形態では、ポンプ装置の第2の統合部分は、第1の統合部分および第3の部分間に配設され、且つ、それらの部分を隔てる基本的に均一な厚さの層である。
この第2の統合部分は、ポンプ入口がポンプ装置の入口の流体領域を示す流体領域に流体的に接続され、これを介して少なくとも1つの開口部を含み得る。
また、実施形態において、ポンプ装置の出口の流体領域は、第3の部分に形成され、第2の統合部分は、安全弁の出口がポンプ装置の出口に流体的に接続され、それによって別の開口部を含んでもよい。
説明したように、開口部を設けてもよいし、基本的に均一な厚さの第2の統合部分は、減少された要素の数を含む本発明のポンプ装置を容易に製造することができる。
代替の実施形態において、第2の統合部分は、安全弁だけの領域に形成してもよい。
【0056】
本発明のポンプ装置の実施形態は、例えば、ポンプ入り口およびポンプ出口で、受動逆止弁を含むダイヤフラムポンプ、または蠕動ポンプのように、異なるポンプを用いて実現するようにしてもよい。
本発明の実施例は、特に、1つのポンプサイクル中のポンプ・ボリューム(ポンプ圧送量)がマイクロリットルおよびそれ以下の範囲であってもよいマイクロポンプを実施するために特に適している。
さらに、例えばポンプダイヤフラムのポンプ・ストロークまたはポンプダイヤフラムの厚みなど、この種のマイクロポンプの関連する寸法は、マイクロメートの範囲であってもよい。
【0057】
本発明は、ポンプおよび安全弁が少ない部品点数を使用して実現することが可能な1つの要素に統合されているポンプ配置を提供する。
このようにして、本発明の実施形態は、各圧電セラミックおよび対応する取付け具または接続部を一部として含むポンプダイヤフラム部を考慮して、5ないし6つの部品または層で形成されるポンプ構成要素を実施することができる。
【0058】
本発明の実施形態は、ポンプ出口でポンプおよび統合された安全弁を形成する互いに上下に配設された複数のパターン層で形成されたポンプ装置チップを提供する。
したがって、本発明の実施形態は、ポンプおよび弁間の別個の流体接続を必要としない。
デッドボリュームと所要空間の両方は、本発明の実施形態において最小限に抑えることができる。
本発明の実施形態は、簡単な実施とは別に、サイズ、重量およびコスト削減を可能にする。
【0059】
本発明のポンプ装置の実施形態によれば、出口から入口方向への流れが非作動状態において効果的に回避することができるように、ポンプ装置出口における背圧は、安全弁に対して閉鎖効果を有する。
【0060】
さらに、発明のポンプ装置の実施例によれば、非作動状態において、入口から出口への方向の流れが効果的に回避することができるように、ポンプ装置入口での正圧は、安全弁に対して開閉効果を有する。
【0061】
以下には、任意のシーリング要素11の典型的な実施例が、図3A図3Fの断面図に基づいて例示される。
【0062】
本発明の実施形態によれば、第1および第2の安全弁の少なくとも一つの各弁蓋を形成する層または部分12は、いわゆるソフト/ハードシーリング(軟固密封)を提供するためのシリコーンダイヤフラム、すなわち、第1の層10および/または第2の層14のハードシリコンチップに対して当接する柔らかいシリコーンダイヤフラムを含んでもよい。
【0063】
図3Aにおいて図示したように、壁領域の改良されたシーリングが必要とされる位置で、1つまたは複数の(細長い)隆起または肥厚部12−1,12−2(すなわち、リングシールまたはラインシール、例えば隆起、円周リッジ部またはリング状の形態で、)を含むことができ、例えば、シリコーン膜として実装される層または部分12は、層10および層14間に層12を接合する場合、このようにして、層12と強化されたシールに増加した接触圧力をもたらすことができる。
【0064】
図3Aにおいて図示したように、付加的なシーリング要素11は、少なくとも1つの(伸長された)隆起12−1および任意の1つあるいは幾つかのさらなる隆起12−2を含む。
この任意のシール要素11は、例えば、高い圧力差が発生する可能性がある位置、すなわち、マイクロポンプ装置1の内容積(チャンバ)またはマイクロポンプ装置1の内側領域および周囲間に隣接する位置に配設される。
【0065】
層12における付加的な隆起12−11(およびさらなる任意の付加的な隆起12−2)は、隣接する層14の方向に実施することができる。
同様に、圧縮シールを形成するための付加的な隆起または肥厚は、第1の層10(図3B参照)の方向あるいは任意に隣接する層10および14(図3C参照)の両方の方向に、実施することができる。
【0066】
あるいは、また、図3D図3Fにおいて図示されるように、付加的な隆起あるいは肥厚は、隣接した層10または14で形成することができる。
図3Dにおいて図示したように、少なくとも1つの隆起10−1は、隣接している第1の層10の表面部分に形成され、そして、シリコーン膜12に接している。
あるいは、また、少なくとも一つの付加的な隆起14−1は、シリコーン膜12と接触するように隣接する第3の層14(図3E参照)の表面部分に形成することができる。
あるいは、さらに、付加的なシーリング要素11は、第1の層10において、少なくとも1つの付加的な隆起10−1と、第3の層14において、少なくとも1つの付加的な隆起14−1とを含み得る。
ここでは、隆起部10−1および14−1は、互いにオフセットすることができるか、互いに反対側にも配置することができる。
【0067】
少なくとも一つの(細長いまたはトーリック)隆起10−1,12−1,12−2または14−1は、スペースまたは空洞(キャビティ)が周囲に対して密閉されるように包囲するか取り囲むための層10,12または14に対して、縦方向に伸びる。
【0068】
図3A〜3Fにおいて、隆起部10−1,12−1,12−2,14−1は、(それらの断面に関して)円形のまたは半円形の方法で例示される。
所望のシーリング機能を得るために、たとえば三角形、矩形などの断面の実施も選択され得る。
したがって、隆起は、それぞれ、例えば、膨隆、円周隆起または環状の形態で形成され、密封された容積にするために付加的な壁領域で円周方向に延びている。
層12は、50〜300μmまたは100〜200μmの範囲内において、その2つの対向する主表面領域間の厚さd12を有することができる。
【0069】
図3A図3Cにおいて示すように、隆起(単数または複数)12−1,12−2は、50〜300μmまたは100〜200μmの高さd1(層12の主表面領域に垂直)を有し、50〜300μmまたは100〜200μmの幅d2(層12の主表面領域に平行)を有することができる
【0070】
図3D〜3Fに示すように、部分10は、それらの表面領域に隆起10−1,10−2を有し、それらの表面領域は、シリコーン膜12に接触し且つ隣接している。
隆起(単数または複数)10−1,10−2は、50〜300μmまたは100〜200μmの高さd10(部分10の表面領域に垂直)を有し、50〜300μmまたは100〜200μmの幅d11(部分10の表面領域に平行)を有することができる。
【0071】
図3E〜3Fに示すように、部分14は、それらの表面領域に隆起14−1,14−2を有し、それらの表面領域は、シリコーン膜12に接触し且つ隣接している。
隆起(単数または複数)14−1,14−2は、50〜300μmまたは100〜200μmの高さd14(部分14の表面領域に垂直)を有し、50〜300μmまたは100〜200μmの幅d15(部分14の表面領域に平行)を有することができる。
【0072】
図3Gに示される装置において、例えば、シリコーン膜として実施される第2の層12は、そこに配設される金属膜または金属層43を含む。
金属層43は、例えば、層12に完全に埋め込まれている。すなわち、層12に取り囲まれている。そして、そこにおいて、金属層43は、シリコーン膜3によって形成された流路を開放するままにしておく。
追加の金属層43は、例えば、第2の層12のクランプ位置で、第1および第3の層10および層14との間に固定される。
埋め込まれた金属層43は、例えば、高い圧力が第2の層12に印加される場合に、シリコーン膜12の望ましくない横方向の変形または横方向のずれを防止するために設けられている。
このようにして、追加の第1の安全弁40または第2の安全弁140(図1または図2の)は、気密性および信頼性のさらなる向上が得られる。
【0073】
上述したように、埋め込まれた金属層43を備えた層12は、50〜300μmまたは100〜200μmの範囲において、2つの対向する主表面領域12a,12bの間に厚さd12を有していてもよい。
さらに、金属膜または金属層43は、10〜100μmまたは30〜60μmの範囲において、厚みd43を有することができる(d12≒3d43を備えた)。
金属層43は、ステンレス鋼(例えば、ばね鋼)で形成することができる。
【0074】
上に概説したように、マイクロ流体ポンプ装置1,2は、互いに上下に配置され、相互に(順次に)配設される、5つのパターン層10,12,14,16,18を含むことができる。
また、異なる層または部分10,12,14,16,18は、副層またはサブ部分に細分化することができる(図には示されていない)。
従って、層または部分10,12,14,16,18の少なくとも一つは、複数の副層またはサブ部分を含んでもよく、層または部分10,12,14,16,18の少なくとも一つは、例えば、その主表面領域に対して、長手方向および/または垂直方向に、副層またはサブ部分に分割されていてもよい。
【0075】
安全弁構造を有する発明のポンプ装置は、特に、マイクロポンプに基づいて(空気入りの)タイヤの内部の圧力のモニタリング(監視)および調節に適用できる。
さらに具体的には、特定の安全弁構造を有する上記したポンプ装置は、タイヤ圧力測定に組み込まれることができて、装置を制御することができる。
したがって、本発明のマイクロポンプ装置は、タイヤ空気圧の監視および動作規制(調整)を提供することができる。そこでは、特に、空気圧膨張可能な構造体の内部から雰囲気または環境への方向に向けての望まれないか避けられない漏出を防ぐか、あるいは大幅に縮小することができる。
【0076】
要約すると、逆方向(マイクロ流体ポンプによるポンピング方向に関して)の自由な流れを保護するための安全バルブ構造およびマイクロ流体ポンプの順方向の自由な流れを保護するための任意の付加的な第2の安全弁を有するポンプ装置は、したがって、特に、マイクロ流体(蠕動)ポンプを使用して流体またはガスの圧力監視(モニタリング)および制御(調整)に適しており、また、空気加圧器、空気振動吸収器、あるいは、任意の空気圧インフレータブル構造体、例えば自動車用の空気タイヤ、トラック、自転車などにも適用可能である。
【0077】
本発明は、いくつかの実施形態に関して記載されていますが、本発明の範囲内にある変更、置換および等価物が存在する。
本発明の方法および構成を実現する多くの代替的方法があることにも留意すべきである。
それゆえ、以下の添付の特許請求の範囲には、そのような全ての変更、置換および本発明の真の精神および範囲内に等価物が含まれるものとして解釈されることが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G