特許第5770394号(P5770394)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5770394
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】大腿骨近位部骨折の骨接合装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/72 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   A61B17/58 315
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-559029(P2014-559029)
(86)(22)【出願日】2014年7月25日
(86)【国際出願番号】JP2014069665
【審査請求日】2014年12月9日
(31)【優先権主張番号】特願2013-243312(P2013-243312)
(32)【優先日】2013年11月7日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-77331(P2014-77331)
(32)【優先日】2014年3月17日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】312005544
【氏名又は名称】株式会社フォーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 茂俊
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−509453(JP,A)
【文献】 特開2007−090094(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0191092(US,A1)
【文献】 特表2006−522637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿骨近位部骨折部を固定するためのネイルとそのネイル軸芯に予め決められる斜めの角度で貫通して穿孔される円筒状孔に嵌合挿入されるキー付きラグスクリュウ組の組合せにおいて、
a.中空円筒形状のラグスクリュウ組を嵌合的に受入れるための一つの斜めの角度で穿孔され円筒状孔を備える円筒形状のネイル、
b.前部外周部に設けられる骨結合のための喰い込み先端の1〜3条おねじ、その先端の1〜3条おねじ部のねじ山終端部の後に続いて設けられる円筒状突起部、その突起部にキーリングと係合のための溝、および締めナットとねじ係合のためのおねじ、および後端部に回し工具用の駆動用穴を有する中空円筒形状のラグスクリュウ、
c.ラグスクリュウの外径に滑り嵌合される円筒状内周部、前部外周部に術中放射状に形成される多数の長さ5〜25mmの細い棒状から成るグリップバー、後部周部に形成される溝部、およびネイルのキー溝と滑り係合するキーを有する円筒形状のキーリング、
d.ラグスクリュウの後部分のおねじにねじ係合するために内周部に形成されるめねじ、先端外周部に設けられる内側に曲げられるカシメ部、およびキーリング組を前進させるための駆動用穴を有する円筒形状の締めナット、および
e.キーリングの後部周部の溝に締めナットの先端内周部のカシメ部を嵌め殺し係合して相互に自由に回転できるように構成されるキーリング組の内径孔に前方よりラグスクリュウをその中心軸方向前方に滑り嵌合させ、ラグスクリュウの後部のおねじと締めナットのめねじを3山程度ねじ係合させてそれらを組として滑り嵌合で組合わせた後、ラグスクリュウの後端部の駆動用穴に回し工具を差し込んでネイルに対してそれらを一体で前進させて接合骨に対する予め決められる位置で止め、そこにおいて締めナットを回してキーリングを前進させ、ラグスクリュウの円筒状突起部の溝およびねじ面にグリップバーが当たることによってグリップバーを放射状に開くと共に、ラグスクリュウの溝の両側面とキーリングのグリップバーが適合して噛合って成る、ラグスクリュウ、キーリング、および締めナットの組合せのラグスクリュウ組から構成され、
従ってラグスクリュウの後部おねじの最後部のねじ山3山程度と締めナットのめねじの最後部のねじ山3山程度が係合するシメシロによりラグスクリュウと締めナットは完全に固着しそのために回転的に緩むことがなく、しかもネイルに対してラグスクリュウ組が軸の前後方向に滑らかに動くことを特徴とする大腿骨近位部骨折の骨接合装置。
【請求項2】
一つの斜めの角度で穿孔され、その上部にキー溝を備える円筒状孔、および治具取付け穴を備える近端部とその近端部の治具取付け穴に比べて直径の小さいネイル固定用穴を備える遠端部を設け、中心軸部にガイド穴を備えるネイル本体を有する円筒状のネイルを特徴とする請求項1に記載の大腿骨近位部骨折の骨接合装置。
【請求項3】
ラグスクリュウ後端部に設けられる六角形の駆動用穴に回し工具を差し込んで回すことにより、多条おねじで構成されるラグスクリュウの喰い込み先端おねじ部が予め決められる位置に骨頭内の海綿骨内にねじ込まれてキーリング組がラグスクリュウと一緒に前進し、その後、締めナットを回し多数の細い棒状の組合せから成るグリップバーが先端ねじ部のねじ山終端部の後に設けられる円筒状突起部に滑らかな最初の接触と適切な開き角度を構成するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の大腿骨近位部骨折の骨接合装置。
【請求項4】
ラグスクリュウに対して前進するキーリングのその先端部に形成されるグリップバーがラグスクリュウの先端おねじ部のねじ山終端部後の円筒状突起部に最初に接し、引き続きねじ山面に順次接し、適切な角度に容易に放射状に開くようにするためにグリップバーの各構成要素の外周面に放射状外方向に開く角度を設定するための開き出し設定溝を設けることを特徴とする請求項1に記載の大腿骨近位部骨折の骨接合装置。
【請求項5】
ラグスクリュウの円筒状突起部の溝の両側面とキーリングのグリップバーが適合して噛合うことにより、ラグスクリュウの回転を固定することを特徴とする請求項1に記載の大腿骨近位部骨折の骨接合装置。
【請求項6】
最終工程において締めナットの締付けの最後に、締めナットのめねじの最後部のねじ山3山程度とラグスクリュウのおねじの最後部のねじ山3山程度が係合するシメシロにより相互に固着することによりラグスクリュウと締めナットが回転的に緩まないことを特徴とする請求項1に記載の大腿骨近位部骨折の骨接合装置。
【請求項7】
ラグスクリュウ、キーリング、および締めナットの組合せによるラグスクリュウ組はネイルに対してキー結合されるのでラグスクリュウ組がネイルに対して回転することなく、しかしネイルに穿孔される孔内をその中心軸方向に前後に動くことができることを特徴とする請求項1に記載の大腿骨近位部骨折の骨接合装置。
【請求項8】
ラグスクリュウ組がネイルから抜け出ないようにするために締めナットの後端外周部に突起部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の大腿骨近位部骨折の骨接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に大腿骨近位部骨折の骨接合手術に使用するインプラント用ラグスクリュウ組の構造およびネイルとラグスクリュウの固定機構に関する。また、この発明は、大腿骨近位部骨折の骨接合装置用の案内装置本体(フレーム)に装着される駆動装置に関し、特にラグスクリュウのねじ込みをマスタースクリュウを介して行うことができる構造を有する、特に大腿骨近位部骨折の骨接合手術に使用する骨接合装置のための駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大腿骨近位部骨折の手術のために、骨頭から大腿骨骨幹部を通して垂直下方に挿入されるネイルとネイルの上部側の貫通穴に斜めに挿入されるラグスクリュウとを用いる髄内固定法は知られている。
【0003】
また、従来から、ラグスクリュウ先端部に喰いこみ用ねじを設けたラグスクリュウ、ストッパー・スクリュウのねじ込みによる押し込み力により、ネイルとラグスクリュウとを固定する固定構造は知られている。特許文献1に示されるこれらの固定構造においては、従来技術の通常の使い方であるねじの締付け方法や回り止め方法が使われている。
【0004】
一方、上記の髄内固定法は骨折した骨頭に対して骨手術用案内装置を介して直接的にラグスクリュウを回すことによりそのリードによりラグスクリュウが前進してねじ切り加工および保持するものであるが、海綿骨の密度によりねじ切り加工時のねじ形成が困難な状況が発生する場合がある。
【0005】
このような直接的にラグスクリュウを回すことによるねじ切りにおける骨手術用案内装置は、通称的にターゲットデバイスと呼ばれ、ネイルの基部にねじ結合される弓形状の案内装置本体(フレーム)とこのフレームに接続固定される案内スリーブを有し、さらにフレームがネイルに接続固定される接続部とその接続部に固定されるネイルとの間に予め決められる一定の間隔を介在させて、ネイルとほぼ平行に延びる案内部を有し、さらにその案内スリーブがフレームのその案内部に接続固定されて、フレームを介してネイルの横断孔に向けられる姿勢に保持されて、その内部に各種の工具や骨接合具などの骨手術器具を挿通させて、これらを案内するように構成されている。この種の案内装置の典型的な事例としては、大腿骨の髄内に導入されるネイルとこのネイルに交差して大腿骨の骨頭部に挿入されるラグスクリュウとを備えて骨接合装置を取付けるための例えば特許文献2に記載のような案内装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−236568号公報
【特許文献2】特開2011−115408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の従来の固定構造は、主にラグスクリュウの端部からの押し込み力だけによる構造のために締結構造に緩みが出て安定性に欠ける、また、ねじの把持力のみでは高度な骨粗鬆症に対しては充分な骨把持力が得られないといった問題がある。
【0008】
第一の発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、容易にネイルに対してキー溝ガイドされるラグスクリュウとキーリングと締めナットを組として前進軸方向にねじ込むことにより短時間でかつ高い安定性を有して海綿骨に刺し込まれて組付けられ、同時にグリップバーがラグスクリュウの外周方向へ放射状に刺し込まれるので、それによる高い骨把持力、ラグスクリュウと締めナットの強制的固着による回り止め、およびラグスクリュウ組の抜け止め機構を提供することを目的とする。
【0009】
また、上記の従来の骨手術用案内装置は骨肉部の密度によりねじ切り加工においてねじ形成が困難な状況が発生する場合があり、しかもラグスクリュウのねじ切り先端部が骨頭部に安定的に保持されない、または一旦ねじ切り固定されたラグスクリュウを抜き戻す必要がある場合に抜き戻せないという問題点、および各種の手術器具を代わる代わる案内装置に挿入する煩雑さと手術の邪魔になるという問題点がある。
【0010】
第二の発明はこのような問題を解決するために、具体的には骨頭部の骨密度に関係なくねじ切り加工できること、ラグスクリュウを骨髄内の設定位置に確実に保持すること、必要な場合にラグスクリュウを引き抜きできること、および簡単に、短時間に、正確に手術器具を出し入れできることのための大腿骨近位部骨折の骨接合装置のためのねじ込み装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。なお、第一の発明が本発明の範囲に包含される発明であり、第二の発明は本発明に関連する発明である。
【0012】
<第一の発明:大腿骨近位部骨折の骨接合装置>
この発明に係るネイルとラグスクリュウの組付け構造は、最初にキーリングの後部内周部の嵌め殺し用溝に締めナットの先端外周部を嵌め殺し係合して相互に自由に回転できるようにした後、このキーリングと締めナットの組の内周穴の前方から予めラグスクリュウにグリップバーのガイドリングを圧入し、カシメをしたラグスクリュウの後端を軸方向前方に滑り嵌合させてラグスクリュウの後端が締めナットのめねじと接する所で止め、その後さらにラグスクリュウの後部のおねじと締めナットのめねじを所定の位置まで係合させてラグスクリュウとキーリングと締めナットを一体の組としてラグスクリュウ組を完成させ、そのラグスクリュウ組をネイルのキー溝に合わせて挿入しそれらをキー係合させ、その後さらにラグスクリュウの後端部のスプラインなどの駆動用穴に回し工具を差し込んでラグスクリュウ組を前進させて予め決められる位置で止め、締めナットの後部のめす形スプラインなどの駆動用穴に回し工具を差し込んで締めナットを回すと、キーリングが前進して、キーリングの先端のグリップバーの先端部がラグスクリュウの1〜3条ねじのねじ山終端部の後に形成される軸方向溝の予め決められる溝底部の角度に沿って接触して外周方向に拡がり、さらに締めナットを回し続けるとグリップバーの先端部が1〜3条おねじの側面に螺旋状に順次接触してグリップバーの開き角度が予め設定される角度に維持されたまま刺し込まれ、ラグスクリュウの円筒形状の突起部に設けた溝の両側面とキーリングのグリップバーの側面根元部が適合して噛合い、さらに締めナットを強制的に回して締めナットのめねじの最後部のねじ山とラグスクリュウのおねじの最後部のねじ山のシメシロを強制的にねじ込み固着させることによってラグスクリュウの組を固定する固定構造であって、その構造がネイルと、ラグスクリュウとキーリングと締めナットの一体の組との組合せから構成されることを特徴とする。
【0013】
上記のような構成による大腿骨近位部骨折の骨接合装置は、構成要素が少なく単純で、ラグスクリュウが容易に短時間で比較的軽い力で通常の回し工具をラグスクリュウの駆動用スプラインなどに差し込んで回すことにより、ラグスクリュウが一体の組でネイルにキーガイドされてねじ込まれ、最終的にラグスクリュウを回し工具で固定し、締めナットの回し工具で締めナットを回すことにより、締めナットのめねじの一部分がラグスクリュウのおねじの一部分のシメシロ部分に強制的に回されて噛合って固着されるので、ラグスクリュウ組の回転止めが緩まず、従ってラグスクリュウが回転的にロックされてぐらつきがなく、恒久的に緩まない高い静止安定性を保持し、さらにラグスクリュウ組とネイルは締めナットの後端部に設けられる突起部によりラグスクリュウが動いて前方に抜け出ることが防止されるので、安全性を高め、長期安定性を保持することを特徴とする。
【0014】
<第二の発明:マスタースクリュウ式ねじ込み装置>
この発明によるねじ込み装置は、従来技術のフレームに加えて、ラグスクリュウによるねじ切りのための送り機構として直接的にラグスクリュウを回して送るのではなく、マスタースクリュウ機構に基づいてフレームの操作端部側に固定される中空ボス部の内径部にマスタースクリュウ雌ねじを形成させて、そのマスタースクリュウ雌ねじに対して噛合うマスタースクリュウ雄ねじを備えるマスタースクリュウ駆動ノブを回転させて相互に噛合わせて送り込むことにより、そのマスタースクリュウ駆動ノブにスプラインなどで結合されるラグスクリュウ組がマスタースクリュウねじと同じリードでガイドされて送り込まれるので軽い操作力による正確なねじ切り送りが可能になるとういう特徴を備えている。
【0015】
この発明によるラグスクリュウのねじ込み装置は次のような操作手順によって実行される、すなわち、最初に前段階としてネイル16に対して従来技術のフレーム11を従来の方法と同様に結合ボルト18で予め決められる方向に方向を定めて固定し、その次にフレーム11の操作端部側に他の工具に支障のないような大きな寸法のマスタースクリュウ雌ねじを形成した静止受入れボス12をねじ締結などで固定し、その後に静止受入れボス12のマスタースクリュウ雌ねじに対して、ラグスクリュウ組17にスプラインなどで結合されるマスタースクリュウ雄ねじを備えるマスタースクリュウ駆動ノブ3を噛合わせてラグスクリュウ組17を所定の位置までねじ込むことによりねじ込み作業が終了し、最後に従来の手順通りに結合ボルト18を緩めて外しフレーム11をネイル16から取外して操作は終了する。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明に係るネイルとラグスクリュウ組との組付け構造は、ネイルとラグスクリュウ組とが容易に、短時間に、かつ、高度な安定性を有してねじ込み軸方向の一方向だけで組付けできて恒久的に緩まなく、かつまたラグスクリュウの抜け止め防止も具備しているので、熟練した技術を必要とせずに大腿骨近位部骨折の骨接合部を安定して固定することができる利点がある。
【0017】
また、弓形状のフレーム11のネイル端部側に相対する操作端部側の静止受入れボス12にマスタースクリュウ雌ねじを形成し、これに対して噛合うマスタースクリュウ雄ねじを備えるマスタースクリュウ駆動ノブ13をこれにスプラインなどで結合される先端にドリル刃を付けたラグスクリュウ組17を介して手動により回転させることによってラグスクリュウ組17が同じリードで進み正確なねじ立てが可能になる。同時に、骨頭部の海綿骨にラグスクリュウのねじ部下穴を開ける作業をすることなく直接的に確実なねじ立てができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第一の発明の一実施形態に係るラグスクリュウ組のネイルへの「挿入時状態」を示す全体の断面図である。
図2】第一の発明の一実施形態に係る図1のA部部分詳細図およびラグスクリュウのグリップバーガイド溝およびグリップバーの開く前の状態詳細図である。
図3】第一の発明の一実施形態に係るラグスクリュウ組を決められた位置迄ねじ込んだ状態図である。
図4】第一の発明の一実施形態に係るラグスクリュウのロック前進端でグリップバーが開いた最終状態図である。
図5】第一の発明の一実施形態に係る図4のB部詳細図−1およびラグスクリュウのグリップバーガイド溝とグリップバーの最終開き状態詳細図である。
図6】第一の発明の一実施形態に係る図5のC矢視図およびラグスクリュウのグリップバーガイド溝とグリップバーの係合状態図である。
図7】第一の発明の一実施形態に係る図4のB部詳細図−2およびラグスクリュウのグリップバーガイド溝a,b,c,dの各断面図である。
図8】第一の発明の一実施形態に係るラグスクリュウとキーリングと締めナットの結合断面図である。
図9】第一の発明の一実施形態に係る既知技術によるネイルの断面図である。
図10】第一の発明の一実施形態に係るラグスクリュウの断面図である。
図11】第一の発明の一実施形態に係る図10のラグスクリュウのE部詳細図−1およびラグスクリュウのおねじ後部とガイドリング圧入部のグリップバーガイド溝詳細図である。
図12】第一の発明の一実施形態に係る図10のラグスクリュウのE部詳細図−2およびラグスクリュウのおねじ後部とガイドリング圧入部のグリップバーガイド溝a,b,c,dの各断面詳細図である。
図13】第一の発明の一実施形態に係る図10のラグスクリュウのF部詳細図である。
図14】第一の発明の一実施形態に係るキーリングと締めナットの組合せ断面図である。
図15】第一の発明の一実施形態に係るキーリングの断面図である。
図16】第一の発明の一実施形態に係る締めナットの断面図である。
図17】第一の発明の一実施形態に係るガイドリングの全体図である。
図18】第二の発明の一実施形態に係るマスタースクリュウ駆動方式によるねじ込み装置の構成全体図である。
図19】第二の発明の一実施形態に係る案内装置本体(フレーム)の全体図である。
図20】第二の発明の一実施形態に係る静止受入れボスの全体図である。
図21】第二の発明の一実施形態に係るマスタースクリュウ駆動ノブの全体図である。
図22】第二の発明の一実施形態に係る連結ピンの全体図である。
図23】第二の発明の一実施形態に係るラグスクリュウ駆動スリーブの全体図である。
図24】第二の発明の一実施形態に係るネイルの全体図である。
図25】第二の発明の一実施形態に係るラグスクリュウ組の全体図である。
図26】第二の発明の一実施形態に係る結合ボルトの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第一の発明:大腿骨近位部骨折の骨接合装置>
この発明に係る一実施形態について、図1図2図3図4図5図6図7図8図9図10図11図12図13図14図15図16図17を参照して説明する。
【0020】
図1はこの実施例に係るラグスクリュウ2とキーリング3と締めナット4とガイドリング5の組合せによるラグスクリュウ組をネイル1に挿入する挿入時状態を示す全体の断面図であり、図2図1のA部部分詳細図であり、図3はラグスクリュウ組がネイル1にキー係合されて骨頭部に予め設定される位置までねじ込まれた状態を示す全体の断面図であり、図4はラグスクリュウ2とキーリング3が滑り係合されて締めナット4の回転によりキーリング3のグリップバー3−1が開いて海綿骨に食込んだ前進端の最終状態を示す全体の断面図であり、図5はキーリング3のグリップバー3−1がラグスクリュウ2のガイドリング圧入部2−2のグリップバーガイド溝2−3に適合して噛合っている、最終状態でのラグスクリュウ2とグリップバー3−1の状態の詳細を示す図4のB部詳細図−1であり、図6はグリップバー3−1がグリップバーガイド溝2−3に適合して噛合っている状態の詳細を示す、図5のC矢視図であり、図7はキーリング3のグリップバー3−1がラグスクリュウ2のガイドリング圧入部2−2、グリップバーガイド溝2−3およびおねじ2−1に円周螺旋状に適合して噛合っている、グリップバー3−1の円周上に分割された細い棒状部分のグリップバーガイド溝a,b,c,dの各断面の詳細を示す図4のB部詳細図−2であり、図8はラグスクリュウ2と締めナット4がねじ係合しながらキーリング3と係合する結合状態を示すラグスクリュウ組の後部分の結合断面図であり、図9はネイルの既知技術にラグスクリュウ取付穴にキーリングとの滑り結合用キー溝を設けたネイルの全体を示す断面図であり、図10はラグスクリュウ2の全体を示す断面図であり、図11はラグスクリュウ2の先端の1〜3条おねじ2−1の後部とガイドリング圧入部2−2の詳細を示す、図10のラグスクリュウ2のE部詳細図−1であり、図12はラグスクリュウ2の先端の1〜3条おねじ2−1の後部とガイドリング圧入部2−2の詳細断面を示す図10のラグスクリュウ2のE部詳細図−2であり、図13図10のラグスクリュウ2のF部詳細図であり、図14はキーリング3と締めナット4とが回転自由に嵌め殺し係合されるキーリング3と締めナット4の組の全体を示す組合せ断面図であり、図15はキーリング3の全体を示す断面図であり、図16は締めナット4全体を示す断面図であり、図17はガイドリング5の全体を示す図である。
【0021】
この実施例に係るラグスクリュウ2はラグスクリュウ2の先端に骨頭部への喰い込みのための1〜3条おねじ2−1を有し、そしてラグスクリュウ2の後端にあるスプラインなどの駆動用穴2−5に差し込まれる押し込み回し工具(図示せず)の捩じりによる押し込み力により、ネイル1のキー付き円筒状孔を通してラグスクリュウ2、キーリング3、締めナット4、およびガイドリング5の組合せのラグスクリュウ組を一体で前進させて固定する構造のものである。
【0022】
ラグスクリュウ2は、図10でその全体が、図11,12,13で部分詳細が示されるように、1〜3条おねじ2−1、キーリング3のグリップバー3−1の先端が最初に接触するガイドリング圧入部2−2、キーリング3のグリップバーの両側の側面根元係合部3−7と係合するグリップバーガイド溝2−3、ガイドリング5、締めナット4の係合用めねじ4−1とねじ係合するおねじ2−4、回し工具用のスプラインなどの駆動用穴2−5、およびガイド穴2−6の組合せで構成される。
【0023】
ラグスクリュウ2の先端部材はそのねじ推進部が1〜3条おねじ2−1で構成され、例えば二条ねじの場合ラグスクリュウ2が一回転するとピッチの二倍進む構造であるので、これにより素早いねじの押し込みが可能となり、さらに、1〜3条おねじ2−1の最先端に相対するねじ山の終端部の後のガイドリング圧入部2−2にはガイドリング5が圧入されてそれからカシメられて取付けられており、グリップバー3−1のラグスクリュウ2への最初の挿入時にはグリップバー先端外径テーパー部3−5がガイドリング5の内周角部5−1に接触しながら絞られてガイドされて進み、さらにキーリング3が前進するとグリップバー3−1が1〜3条おねじ2−1の同様に形状規定される最終部のねじ山の後のグリップバーガイド溝2−3の底面に螺旋状に順次接触してグリップバー3−1の開き角度が予め設定される角度に維持される。
【0024】
ガイドリング5はラグスクリュウ2のガイドリング圧入部2−2に圧入された後にカシメられて取付けられ、グリップバー3−1のラグスクリュウへの挿入時にはグリップバー先端外周テーパー部3−5がガイドリング5の内径角部5−1に最初に接触して絞られてガイドされて進み、一方、グリップバー3−1が設定位置に固定された後で、手術手直しなどのためにラグスクリュウ2とキーリング3を閉じ戻す必要がある場合のキーリング3の閉じ戻し処理においては、一旦開いたグリップバー3−1の外径はガイドリング5の内径角部5−2に接触してガイドされて元の開く前の外周形状に戻されて閉じ戻される両方の機能を有する。
【0025】
ラグスクリュウ2の後端部材は先端部材と一体構造で作られ、最後端面には回し工具が差し込まれる、スプラインなどの駆動用穴2−5が備えられる。
【0026】
キーリング3は円筒状部材で、先端部には円筒状先端を間隔配置されて切欠き形成される多数の、先端部が比較的細く根元部が先端部よりやや大きい寸法でラグスクリュウ2のグリップバーガイド溝2−3と係合する細い棒状の、ここでは8枚の細い棒で形成されるグリップバー3−1、ネイル1と回り止めのためにキー係合される一体成形のキー3−2、締めナット4の嵌め殺し用凸部4−2を回転自由に嵌め殺し受入れる嵌め殺し用溝3−3、ラグスクリュウ2のガイドリング圧入部2−2に設けたグリップバーガイド溝2−3の両側面に滑り的に係合するためのグリップバー3−1の両側の側面根元係合部3−7、およびグリップバー3−1の放射状外周方向への容易な刺し込みのための滑らかな滑り接触を補助するためのグリップバー先端外径テーパー部3−5を備えて構成される。
【0027】
キーリング3のキー3−2はネイルのキー溝1−2に滑り係合するので、キーリング3がラグスクリュウ2と締めナット4と一体のラグスクリュウ組に組合わされる時にラグスクリュウ組はネイル1に対して滑動でき、同時に回り止めとして働き、さらにキーリング3の先端に備えられる多数の長さ5〜25mmの細い棒状のグリップバー3−1はキーリング3が軸方向に前進する時、グリップバー先端外径テーパー部3−5が最初にガイドリング5の内径に接触してグリップバーガイド溝2−3に押込まれるので、グリップバー3−1の適切な予め設定される角度に容易に開き海綿骨に刺し込むことにより強固な把持力を発揮する。
【0028】
締めナット4は同様に円筒状部材で、内筒中央部にラグスクリュウ2の、ここでは2条おねじ2−4とねじ係合のための、ここでは2条めねじ4−1、キーリング3の嵌め殺し用溝3−3に回転自由に嵌め殺し係合される嵌め殺し用凸部4−2、ラグスクリュウ組においてキーリング3を前進させるための回し工具が差し込まれるめす形スプラインなどの駆動用穴4−3、および抜け止め突起部4−4を備えて構成される。
【0029】
なお、この発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0030】
<第二の発明:マスタースクリュウ式ねじ込み装置>
この発明に係る一実施形態について、図18図19図20図21図22図23図24図25を参照して説明する。
なお、第二の発明は、ラグスクリュウをネイルの穴を通して大腿骨近位部骨折の骨頭海綿骨にねじ込むマスタースクリュウ式ねじ込み装置であって、ネイルにねじ締結される弓形状の案内装置本体(フレーム)のネイル端部側に相対する操作端部側にねじ止めなどで固定される中空の静止受入れボスを備えて、その中空の静止受入れボス内径部にマスタースクリュウ雌ねじ部を形成させ、そのマスタースクリュウ雌ねじ部に対して噛合わされるマスタースクリュウ雄ねじ部を備えるマスタースクリュウ駆動ノブを手動で回転させることにより、それに追従し共にスプライン結合などされるラグスクリュウ組が同時に同じリードで進みねじ立てできるマスタースクリュウ式ねじ込み装置である。
さらに、このマスタースクリュウ式ねじ込み装置を使用してマスタースクリュウ雄ねじ構成要素であるマスタースクリュウ駆動ノブに先端にドリル刃を備えたラグスクリュウをスプライン結合などさせて回転させることによりマスタースクリュウのねじのリード通りにラグスクリュウを正確にかつ強力に前進させることができるために、ガイドワイヤ穴のみの加工でラグスクリュウ用の下穴を開けることを必要とせずに直接的に骨頭海綿骨にねじ込みできる構成とすることもできる。
【0031】
図18は第一の発明に関わるラグスクリュウ組17に関連するマスタースクリュウ駆動方式によるねじ込み装置の構成全体図を示し、そこにおいて従来技術であるフレーム11とネイル16とを組み合わせたこの発明によるねじ込み装置が示され、図19はフレーム11の全体図を示し、図20はマスタースクリュウ雌ねじを備える静止受入れボス12の全体図を示し、図21はマスタースクリュウ雄ねじを備えるマスタースクリュウ駆動ノブ13の全体図を示し、図22はマスタースクリュウ駆動ノブ13とラグスクリュウ駆動スリーブ15の連結を断続する連結ピン14の全体図を示し、図23はラグスクリュウ駆動スリーブ15の全体図を示し、図24は従来技術であるネイル16の全体図を示し、図25は従来技術によるラグスクリュウ組17の全体図を示す。
【0032】
従来技術であるフレーム11にマスタースクリュウ雌ねじを形成した静止受入れボス12をねじ締結による方法などで固定した後でその組を予め別の方法で大腿骨基部に挿入されるネイル16に対して結合ボルト18により方向を定めて締結される。
【0033】
次に、大腿骨と骨頭部の海綿骨にラグスクリュウ組17用のガイドワイヤ穴が加工された状態において、ラグスクリュウ組17とラグスクリュウ駆動スリーブ15がスプラインなどで結合された組をネイルに対して挿入しセットする。
【0034】
次に前のラグスクリュウ駆動スリーブ15の組とマスタースクリュウ駆動ノブ13を連結ピン14により連結した状態でマスタースクリュウ駆動ノブ13のマスタースクリュウ雄ねじ先端を静止受入れボス12のマスタースクリュウ雌ねじに対して当てて噛合わせ、マスタースクリュウ駆動ノブ13を回すとこれに追従するラグスクリュウ組17が同じリードで進み正確で確実なねじ立てが行われる。
【0035】
大腿骨接合作業の終了後においては、連結ピン14を外すことにより、マスタースクリュウ駆動ノブ13とラグスクリュウ駆動スリーブ15が回転自由になり、ラグスクリュウ組17に影響を与えることなくラグスクリュウ駆動スリーブ15を抜き戻すことができる。
【0036】
最後に、結合ボルト18を外すことによってフレーム11の組を大腿骨接合手術装置から取り外すことができる。
【0037】
なお、この発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
第一の発明によるラグスクリュウの利用により、特殊な専門技術を必要とせずに、ねじ込み方向の一軸方向だけで短時間に組付けでき、骨折部の固定を確実に行い緩みなく、しかも抜け止め防止を備えることができる。また、第二の発明によるラグスクリュウを駆動するためのマスタースクリュウ駆動方式によるねじ込み装置の利用により、特殊な専門技術を必要とせずに、ねじ込み方向の一軸方向だけで短時間に正確に軽い力でねじ込みでき、骨折部の固定を確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0039】
1 ネイル
1−1 ラグスクリュウ組取付け穴
1−2 キーリングとの滑り結合用キー溝
1−3 治具取付け穴
1−4 ネイル固定ねじ用穴
1−5 ガイド穴
2 ラグスクリュウ
2−1 先端の1〜3条おねじ
2−2 ガイドリング圧入部
2−3 グリップバーガイド溝
2−4 締めナットとの係合おねじ
2−5 スプラインなどの駆動用穴
2−6 ガイド穴
2−7 駆動工具結合ねじ
3 キーリング
3−1 グリップバー
3−2 キー
3−3 嵌め殺し用溝
3−4 嵌め殺し抜け止め穴
3−5 グリップバー先端外径テーパー部
3−6 グリップバー先端内径テーパー部
3−7 グリップバー側面根元係合部
4 締めナット
4−1 ラグスクリュウとの係合用めねじ
4−2 嵌め殺し用凸部
4−3 めす形スプラインなどの駆動用穴
4−4 抜け止め突起部
4−5 嵌め殺し部スリ割り
4−6 締めナットロック部スリ割り
4−7 締めナットロック用テーパー部
5 ガイドリング
5−1 ガイドリング内径角部(1)
5−2 ガイドリング内径角部(2)
A部:ラグスクリュウグリップバーガイド溝およびグリップバーが開く前の状態詳細図
B部詳細図−1:ラグスクリュウグリップバーガイド溝とグリップバーの最終開き状態詳細図
B部詳細図−2:ラグスクリュウのグリップバーガイド溝a,b,c,dの各断面図
C矢視図:ラグスクリュウのグリップバーガイド溝とグリップバーの係合状態図
D矢視図:図5のD部断面矢視図
E部詳細図−1:ラグスクリュウのおねじ後部とガイドリング圧入部のグリップバーガイド溝詳細図
E部詳細図−2:ラグスクリュウおねじ後部とガイドリング圧入部のグリップバーガイド溝a,b,c,dの各断面詳細図
F部詳細図:ラグスクリュウ後部断面詳細図
a:ラグスクリュウの先端1〜3条おねじの後部ねじ山上部角部とグリップバーの内周面との接触角度αa部
b:ラグスクリュウの先端1〜3条おねじの後部ねじ山上部角部とグリップバーの内周面との接触角度αb部
c:ラグスクリュウの先端1〜3条おねじの後部ねじ山上部角部とグリップバーの内周面との接触角度αc部
d:ラグスクリュウの先端1〜3条おねじの後部ねじ山上部角部とグリップバーの内周面との接触角度αd部
11 案内装置本体(フレーム)
12 静止受入れボス
13 マスタースクリュウ駆動ノブ
14 連結ピン
15 ラグスクリュウ駆動スリーブ
16 ネイル
17 ラグスクリュウ組
18 結合ボルト
【要約】
本発明の一実施形態は、ねじ込みによりネイルとラグスクリュウ組とを組付ける構造にあって、ラグスクリュウを予めキーリングと締めナットと共に組付けた後、このラグスクリュウ組を骨への挿入の際グリップバーが予め決められる角度と方向に放射状に刺し込まれるため、強い骨把持力が得られ、さらに最終工程においてラグスクリュウと締めナットのねじ山のシメシロにより強制的にねじ込まれ噛合わせられて高い固着結合が得られるので、緩まず安定し高い骨把持力を持った大腿骨近位部骨折の骨接合装置である。
図1
図2
図3
図4
図5
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