特許第5770407号(P5770407)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770407
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】永久磁石を固定するシステム
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/28 20060101AFI20150806BHJP
   H02K 1/27 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   H02K1/28 A
   H02K1/27 503
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2006-119782(P2006-119782)
(22)【出願日】2006年4月24日
(65)【公開番号】特開2006-304592(P2006-304592A)
(43)【公開日】2006年11月2日
【審査請求日】2009年4月22日
【審判番号】不服2014-696(P2014-696/J1)
【審判請求日】2014年1月15日
(31)【優先権主張番号】05008828.5
(32)【優先日】2005年4月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509324584
【氏名又は名称】アンフラノール ホールディング ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100141254
【弁理士】
【氏名又は名称】榎原 正巳
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ クルエラス アルバレス
(72)【発明者】
【氏名】イバン フロタッツ ジラルト
【合議体】
【審判長】 新海 岳
【審判官】 堀川 一郎
【審判官】 矢島 伸一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第4629920(US,A)
【文献】 特開昭50−49602(JP,A)
【文献】 特開平2−119545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、回転子を支持するシャフト(9)用のベアリング(6、15)が提供されており、それぞれ、複数の半径方向の溝(29)と前記半径方向の溝内に挿入されたリードを有する電気コイル(30)とを具備する磁鉄部(28)を備える2つの固定子半体(2、3)間に配置されたディスクの形状の回転子(1)を有する交流同期サーボモータであって、
前記回転子(1)は、前記シャフト(9)に対して平行に延長する磁力線を具備した偶数個の平らな永久磁石片(34)を備え、
前記永久磁石片(34)は、前記シャフトを形成するハブ(31)の周りを延長する隙間(35)を含む環状連続体を形成しており、かつ、磁気的に非伝導性の材料から構成されており、かつ、前記シャフト(9)の前記軸がそれに対して垂直に延長している平行な平面内において延長し連続的にN極およびS極を交互に変化させる磁極表面(N、S)として機能する平らな側部を有しており、
この結果、隣接する永久磁石片(34)間の前記隙間は、外に向かって半径方向に広がっており、
前記ハブ(31)の外側周辺部は、正多角形の側部に沿って延長するハブ周辺プレーン(31A)と、これらの間に配置されたエッジ(31B)と、を備え、
前記永久磁石片(34)は、半径方向内側に配置された限定表面(34A)を有し、これらは、それぞれ、前記ハブ(31)の前記ハブ周辺プレーン(31A)の1つの面で支持されており、
前記ハブ周辺プレーン(31A)および前記限定表面(34A)は、前記ハブ周辺プレーンに対して垂直な平面上に延長し前記ハブ(31)上において前記永久磁石片(34)を固定する協働手段、を備え、
前記協動手段は、前記ハブ周辺プレーンに対して垂直な平面において前記ハブに対して前記永久磁石片をかみ合わせ固定することを特徴とする、サーボモータ。
【請求項2】
前記協働手段は、協働手段プレーン(47)と、対応する溝(46)と、を備える、請求項1に記載のサーボモータ。
【請求項3】
前記協働手段プレーン(47)は、前記ハブ(48)上に位置しており、前記溝は、前記永久磁石片(45)上に位置している、請求項2に記載のサーボモータ。
【請求項4】
前記協働手段プレーン(47)は、前記永久磁石片(50)上に位置しており、前記溝は、前記ハブ(51)上に位置している、請求項2に記載のサーボモータ。
【請求項5】
前記回転子(1)の周りに配置された帯を更に備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のサーボモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ、回転子を支持するシャフト用のベアリングが提供されており、それぞれ、複数の半径方向の溝を有する磁鉄部とこれらの半径方向の溝内に挿入されたリードを有する電気コイルを有する2つの固定子半体間にディスクの形状の回転子が配置されている種類の交流同期サーボモータに関するものであって、回転子は、シャフトに対して平行に延長する磁力線を有する偶数個の平らな永久磁石部を備え、この永久磁石部は、シャフト上に支持されたハブの周りを延長する隙間を含む環状の連続体を形成し、かつ、磁気的に非伝導性の材料からなり、かつ、シャフトの軸がそれに対して垂直に延長する平行なプレーン内において延長し、連続してN極とS極に交互に変化する磁極表面として機能する側部を有しており、この結果、隣接する永久磁石部間の隙間が、外部に向かって半径方向に広がっている。
【背景技術】
【0002】
このような設計の回転子を有するモータについては、例えば、特許文献1に開示されている。しかしながら、これは、明らかに、例えば、携帯型のカセットテープレコーダ装置のキャプスタンシャフトを駆動するものなどの相対的に低出力のモータを含んでいる。
【0003】
このようなモータの更なる代表的な例は、特許文献2に記述されており、このモータの設計と機能の原理は、本引用により、本出願に包含される。
【0004】
特許文献2などの回転子に永久磁石が固定されたフラット形またはディスクモータにおいては、ディスクの形状に起因して磁石と回転子の接触表面が非常に小さいため、磁石を固定することが困難である。モータの速度が相対的に低い場合には(すなわち、磁石の慣性(容積)が相対的に小さい場合には)、これは問題とはならない(このような場合には、磁石の接着剤中のエポキシ樹脂により、磁石の遠心力に対して対抗可能である)。しかしながら、高速が要求される場合には、回転子の回転によって生じる遠心力によって磁石が移動しないようにするという問題点が生じることになる。
【0005】
これを防止するべく、従来技術による解決策においては、磁石と同一の直径を有する帯(band)の使用を提案している。この帯を相対的に弾力のある材料から製造することにより、磁石を損傷し得る機械的な張力の使用を伴うことなしに、作動状態における磁石の膨張および収縮を処理できるようにしなければならないことは、明らかである。同時に、帯は、磁石の半径方向の遠心力に負けてはならない(この力は、モータ内における磁石の役割に不可欠である)。
【0006】
【特許文献1】特開昭53−116410号公報
【特許文献2】米国特許第4,629,920号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、(モータの速度または相対的に大きな作業直径へのモータのシフトに起因し、あるいは、容積の増大によって)遠心力が増大すると、帯が破断点に向かって伸長し、回転子の底部における固定状態から磁石が解放される現象が現れる。モータがその回転を継続し、遠心力が継続するに伴い、(その固定部品を失った)磁石は、回転子から離れることになる。帯が半径方向の出口を遮断しているため、磁石は、通常、軸方向に出てくることになる(換言すれば、磁石が帯から上方に旋回する)。この状態が、図1に概略的に示されている。
【0008】
この軸方向の移動を回避するべく、エポキシ樹脂を有する薄いグラスファイバディスクなどのいくつかの既存の解決策が存在している。これらの解決策は、有効ではあるものの、磁石と金属シート間の空隙を増大させることになる。これは、磁石の磁力の減少を意味しており、この結果、モータから得られるトルクが減少することになる。この減少を補償するべく、相対的に大きな磁石が必要となり、これは、その慣性と遠心力を増大させ、従って、その軸方向の力を増大させることになる。このように、最終的には、これらの変数のすべてを含む妥協の産物である解決策しかもたらさない悪循環が始まることになるのである。
【0009】
本発明の目的は、既知のシステムを改善することにある。
【0010】
更に詳しくは、改善された特性を有するモータを提供することが、本発明の目的である。
【0011】
本発明の更なる目的は、所定のトルクに必要な容積および原材料の量の低減に関するこれらのモータタイプの効率の最適化にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明は、フラット形ブラシレス電気モータ(軸方向磁束)内の回転子に対して永久磁石を固定するシステムに関係しているが、本発明の原理は、半径方向磁束のモータに拡張することも可能である。
【0013】
本発明による交流同期サーボモータは、請求項1の特徴によって定義されている。従属請求項には、様々な実施例が定義されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下のいくつかの実施例に関する説明と添付の図面を参照することにより、本発明について十分に理解することができよう。
【0015】
米国特許第4,629,920号および図1を参照すれば、この従来技術による提案形状は、回転子の形状の変更を示唆している。この特許においては、磁石は、遠心力から保護するための外部帯32によって保持されており、かつ、軸方向の力用の非磁性材料のプレート33を有している。この構成は効率的ではあるが、近年実験されている機械化された磁石の発展により、軸方向の力用の新しい固定システムの概念が可能となっている。
【0016】
具体的には、この図1に示されている交流同期サーボモータは、ディスクの形状の回転子1と、この回転子1がその間に配置されている2つの固定子半体2および3と、を備える。回転子1に対向する1つの固定子半体2の反対側の端部は、ケーシング部4によって支持されており、ボルト5を介して取り付けられている(図には、これらのボルトの中の1つのみが示されている)。ボールベアリング6の外側条溝は、ケーシング部4のボア7内に位置しており、このボールベアリングの内側条溝は、回転子1を支持するシャフト9の小直径端部部分8上に位置し、このシャフトのショルダー部10に対して配置されている。環状ディスク11が、ボルト12により、ケーシング部4の外側部に取り付けられている。環状ディスクスプリング13が、この環状ディスク11とボールベアリング13の外側条溝との間に配置されている。
【0017】
回転子1に対向するもう1つの固定子半体3の反対側の軸方向端部は、ケーシング部14上において支持されており、ボルト(図示されてはいない)によってケーシング部14に取り付けられている。第2ボールベアリング15の外側条溝は、ケーシング部14のボア16内に位置している。このボールベアリング15の内側条溝は、回転子を支持するシャフト9の小直径端部セクション17上に位置している。環状ディスク18が、ボルト19により、ケーシング部に取り付けられている。ボールベアリング15の外側条溝は、この環状ディスク18により、ケーシング部14上のショルダー部20に対して押圧されており、この結果、軸方向における移動が制止されている。推力伝達リング21が、ボールベアリングの内側条溝とシャフト9のショルダー部22との間に挿入されている。更なる推力伝達リング23が、ボールベアリング15の反対側に配置されており、これは、ナット24により、ボールベアリング15の内側条溝に対して押圧されている。ナット24は、シャフト9のネジ部25に螺嵌されている。
【0018】
回転子1と2つの固定子半体2および3とを1つに封入している2つのケーシング部4および14は、ボルト26およびナット27によって相互結合されている(これらは、図1には、それぞれ1つのみが示されている)。
【0019】
固定子半体2および3のそれぞれは、ウェブ材料によって適切に巻かれたリング形状の磁鉄部28を備える。回転子1に対して開いている複数の半径方向の溝29が、それぞれの磁鉄部28内に配置されており、これらは、いずれも、磁鉄部の内側円周端から外側円周端に向かって延長している。それぞれの磁鉄部28の半径方向の溝29内には、電気コイル30のリードが挿入されている。2つの固定子半体2および3のコイル30は、電気的に相互接続されている。
【0020】
回転子1は、シャフト9上に堅固に取り付けられ、かつ、環状の形状と、その外部直径に比べて小さな軸方向の寸法と、を有しているハブ31を備える。ハブ31は、例えば、Cr−Ni−Steelまたはチタニウムなどの磁気的に非伝導性の材料から製造されている。
【0021】
図2によれば、ハブ31の外側周辺部は、偶数個のコーナーを具備する正多角形の側部に沿って延長する平らなプレーン31Aによって形成されている。図示の実施例においては、ハブ31の外側周辺部は、8つの平らなプレーン31Aと、これと同数の中間のコーナー31Bと、を備える。ハブ31の平らな周辺プレーン31Aのそれぞれの上には、永久磁石部34の平らな限定プレーン31Aが、支持されており、例えば、2成分接着手段などの接着剤によって取り付けられている。永久磁石片34は、図2において明瞭に観察可能なものなどの略台形の形状を具備する平らなプレーンである。それぞれの永久磁石片の半径方向外側の限定プレーン34Bは、図2に示されているものなどのように、屋根のように折れ曲がっているか、または回転子1の軸の周りを延長する円形のラインに沿って膨らんでいる。
【0022】
環状の連続配列として相互に連続した永久磁石片34の間には、隙間35がそのまま残されている。好ましくは、永久磁石片34は、希土類の材料から製造されており、横方向に磁化されることにより、磁力線が、NおよびSの極表面として機能するそれぞれの永久磁石片の略台形の平らな側部に対して垂直に延長している(すなわち、シャフト9の軸に対して平行に延長している)。隣接する永久磁石片34は、回転子1のそれぞれの側部において、NおよびSの磁極が相互に連続するように、反対に磁化されている。好ましくは、すべての永久磁石片34は、同一の形状およびサイズを有するように製造されており、かつ、単一方向に磁化した後に、ハブ31上において、交互に180°異なる向きに取り付けられている。
【0023】
隣接する永久磁石片34は、互いに対向する限定表面34Cおよび34Dを備えており、この間には、前述の隙間35の個々のものが存在している。隣接する永久磁石片34の個々の対向する限定表面34Cおよび34Dは、ハブ31のエッジ31Bが配置されている場所において互いに接触している。対向する限定表面34Cおよび34Dは、この接触点から回転子1の外側円周に向かって広がっており、この結果、隣接する永久磁石片34の間の隙間35のそれぞれは、図2において明瞭に見て取れるように、楔形の形状を有している。
【0024】
2つの平行プレーン内において延長するすべての永久磁石片34の平らな側部は、例えば、Cr−Ni−Steelまたはチタニウムなどの磁気的に非伝導性の材料から構成された2つの平行な環状のカバーディスク33によってコーティングされており、例えば、2成分接着剤などの接着剤により、これらのカバープレートに接着されている。それぞれのカバープレートの内側の円周端部36は、ハブ31の周りを把持しており、スポット溶接37により、これに取り付けられている。カバープレート33の外側の円周に近接した状態で、軸方向の距離片38が、2つのカバープレート間のそれぞれの隙間35内に配置されており、スポット溶接39によって2つのカバープレートに接続されている。それぞれのカバープレート33の外側の円周端部は、永久磁石片34の外側の限定表面34Bを超えて半径方向に延長しており、この結果、そこに周辺チャネル40が形成されている。周辺チャネル40内には、磁気的に非伝導性の材料(好ましくは、グラスファイバ材料)からなる弾力性を有する帯32が配置されており、永久磁石片34を包んでいる。帯33の目的は、永久磁石片からハブに対して機械的なトルクを安全に伝達するべく、高回転速度において、永久磁石片34の半径方向内側の限定表面34Aをハブ31の平面的な周辺側部31Aに当接した状態で堅固に有し、これにより、堅固にロックされた状態で回転可能に永久磁石片34をハブ31に堅固にロックすることにある。
【0025】
2つのカバープレート33には、永久磁石片34間の隙間35に並んだ複数の開口部41が提供されている。これらの開口部41および隙間35は、回転子1のウィンドウを形成しており、必要に応じて、回転子1をバランスさせるための材料片をこの中に挿入または接着剤で接着可能である。カバープレート33が、前述のように、金属材料から構成されている場合には、カバープレート内の渦電流を減衰させると共に回転子1の質量の低減に有用な更なる(例えば、スロットなどの)開口部42が、適宜、これらに提供される。
【0026】
回転子1の回転軸の方向において計測した場合に、カバープレート33の厚さは、この同一の方向において計測した永久磁石片34の厚さに比べて小さく、そして、この永久磁石の厚さは、回転子1の外部直径と比べた場合に小さい。回転子の外部直径が、例えば、役130mmである場合には、永久磁石片34の厚さは、軸方向において計測した場合に、例えば、3.2〜4.0mmとなり、この結果、それぞれのカバープレート33の厚さは、例えば、0.2〜0.3mmとなろう。このような回転子(これは、更に、特定の相対的に重い強磁性材量をまったく含んでいない)は、相対的に小さな質量を有しており、この結果、対応する質量の慣性によってかかる負荷が相対的に小さいことは明らかである。この結果、回転子は、コイル30によって固定子半体2および3内に生成される移動磁場に起因し、相対的に迅速に加速および減速可能であり、この結果、一方における固定子半体2および3の瞬間的な磁場と回転子1の個々の対応する回転位置との間に存在する時間的な遅延は、小さい。換言すれば、前述の回転子1は、固定子コイル34に供給する交流の周波数の変化に対して、その回転運動を特に迅速に調節する位置にある。
【0027】
2つのカバープレート33と帯32は、回転子1の機械的な剛性を増大させるのみならず、回転子1と固定子半体2および3の磁鉄部28との間の空隙内に進入可能な異物によって相対的に容易に損傷可能な希土類の永久磁石片34を保護するべく更に機能している。
【0028】
回転子1のハブ31は、シャフト9の非円形セクション上に適切に配置されており、シャフトセクションの断面に対応した形状である中央開口部43が、このために提供されている。ただし、シャフトセクションと開口部43を円形に設計し、圧入によってハブ31をシャフトセクションに取り付けることも可能である。
【0029】
この図1〜3に概略的に示されている従来技術の軸方向磁束モータの形状においては、磁石34は、回転子1を形成するハブ31と共に小さく平らな接触表面34Aを有している。この小さな磁石表面34Aをハブ31に接着するだけでは、高速で稼働する際に磁石34に作用し得る遠心力に対して十分なものとはならないであろう。このため、軸方向の固定剤と同時に帯32を回転子1に装着することにより、固定子への磁石34の吸引を回避することが必要である。
【0030】
原則的に、直径において、モータの性能には関係しない利用可能な空間が存在しておれば、帯32の厚さは、なんらの問題点も提示しない。しかしながら、磁石と固定子との間に存在する距離は、大きな影響を有している。可能な最小の値を有していない場合には、磁気空隙が増大し、固定子を形成するコイルに向かって同一の磁束線を伝達するために、より大きな磁気容量が必要となるため、この厚さは、磁気的な観点において興味深い。この結果、帯32によって実行される磁石の固定により、磁気空隙が増大し、システムの効率が低下することになる。
【0031】
本発明の焦点は、軸方向の補強を低減または回避することにあり、かつ、磁石自体が、その軸方向において適用される強度を許容するということにある。
【0032】
本発明によるシステムの第1実施例は、図4に示されているものである。それぞれの磁石45(これは、図1〜3と関連して説明した磁石34に対応している)は、ハブ48(これは、前述のハブ31に対応している)の外側周辺部上に平らなプレーン47によって形成された正多角形(この場合には、八角形)とアライメントするスロットの形態の小さくまっすぐな溝46を有している。これらの平らなプレーン47は、磁石45が円筒形の表面に配置された場合に、溝46内に挿入されることにより、発生し得るスリップに対して(キーに類似した方式で)磁石を固定する。この実施例においては、プレーン47と協働する溝46は、磁石45を軸方向において維持している。
【0033】
この実施例においては、遠心力から磁石45を制止するべく、帯32(図1〜3を参照されたい)と同一のバンドが必要である。
【0034】
目的は、同一の磁石容積を維持し、これにより、費用は同一であるが、軸方向の固定(即ち、図1〜3のプレート33)を不要とすることにより、磁気空隙を低減し、この結果、モータのトルクを増大させることにあった。
【0035】
類似のシステムをこれと反対の形態にすることも可能であり、これが、図5に示されている変形である。この場合には、平らなプレーン49は、ハブ51からではなく、磁石50から突出している。この結果、磁石50の底部の突出した平らなプレーン49は、磁石50に対する軸方向の力を相殺するべく、ガイドとして溝52内に導入されることになろう。この実施例においても、回転の遠心力によって離れる磁石50のスリップを回避するべく、(図1〜3に示されている)バンド32が必要となろう。
【0036】
なお、この第1実施例およびその変形においては、当然のことながら、磁石をハブ上に取り付ける際に接着材料を追加することも可能である。
【0037】
第2実施例においては、ハブに磁石を固定する手段を、軸方向の力の閉じ込めのみならず、遠心力用のものとして設計することが可能である。図6に示されているこの実施例においては、提案の形状は、ハブ内の対応する溝またはスロット内に挿入される磁石54上の蟻継ぎ部53の形状を有している。ただし、当業者であれば、このような磁石54の取り付けには、ハブを好ましくは2つの部分から形成することが必要となることを理解しよう。
【0038】
本実施例の主要な利点は、この結果、回転子の周りの帯が不要となり、従って、回転子の製造時間が減少し、結果的に、コストも同様に低減されるという点にある。
【0039】
当然のことながら、前述の第1実施例と同様に、この第2実施例も、磁石片上ではなく、ハブ上に蟻継ぎ部分を配置した変形を有することができ、この場合には、磁石片が、前記蟻継ぎ部分を挿入するための対応する溝またはスロットを備えることになる。
【0040】
図7に示されている第3実施例の概念は、ハブ55内に、孔58を、そして、磁石56内に、対応する孔57を、少なくとも穿孔した後に、ボルト59を追加することにより、ハブ55に対して磁石56を固定するというものである。ボルト59を使用すれば、接着剤を使用する必要はなく、従って、組立作業の時間が節約される。
【0041】
ボルト59に加え、ボルト59の隣に平行に位置する少なくとも1つのピン60または別のボルトを追加することにより、ボルト59を中心とした磁石56の回転を防止することも可能であろう。
【0042】
ボルト59またはピン60の代わりに、止めネジを使用することも好ましい。止めネジは、ヘッドを具備していないネジであり、本体の対象箇所内に嵌め込む特殊なキー(アレンキー)を使用して堅く締結する。
【0043】
ピンまたは止めネジは、機械的な干渉によって固定するものであるため、孔を穿孔し、ボルトと同様にネジ山を切る必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】米国特許第4,629,920号に開示されている従来技術によるサーボモータの軸方向の断面図である。
図2】軸方向において観察した図1のサーボモータの回転子の一部を観察者に面したカバープレートを部分的に除去して開示する図である。
図3】従来技術による解決策の別の図を概略的に示す図である。
図4】本発明の第1実施例の概略図である。
図5】本発明の第1実施例の変形の概略図である。
図6】本発明の第2実施例を示す図である。
図7】本発明の第3実施例を示す図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7