(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に好適な実施形態の例(実施例)を説明する。以下の実施例では、テレビジョン受像機のように放送番組や映画などの映像コンテンツを表示出力するAV機器に適用した場合を説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、映像コンテンツを視聴できる端末に広く適用できる。
【0017】
図1は、本発明による映像コンテンツ視聴端末の一実施例を示すハードウェア構成図である。ここでは映像コンテンツ視聴端末100として、テレビジョン受像機の場合を示すが、テレビ機能付きパーソナルコンピュータなども適用対象となる。
【0018】
チューナ101は、放送番組(映像コンテンツ)を受信し、デマルチプレックサ(デマックス)やデコーダなどで受信信号を復号処理する。受信した映像コンテンツは表示部111にて表示するとともに、必要に応じて大容量の記憶装置、例えばハードディスク装置(HDD)106に蓄積する。中央制御ユニット(CPU)102は装置全体の動作を制御し、後述するメタデータの運用と映像ナビゲーション機能を実行する。ROM103とRAM104は、CPU102にて映像ナビゲーション機能を実行させるプログラムを格納する。RAM104などの記憶部は、半導体メモリの他にメモリカードなどの着脱自在の記憶部であってもよく、また、HDD106などの記憶部と共用しても良い。
【0019】
ネットワークインターフェース105は、外部のインターネットに接続するもので、例えば、アナログ電話回線用のアナログモデム、ISDN回線用のモデム、ADSL用のルータ又はモデム、LAN用のアダプタ、無線電話用のアダプタ、Bluetooth(商標)などの無線通信用のアダプタなどが使用できる。
【0020】
VRAM110は映像データを保持し、グラフィックコントローラ109は映像や各種情報の表示制御を行う。表示部111は、グラフィックコントローラ109の制御で描画された映像を表示する。表示部111では、チューナ101で受信した放送番組、HDD106に蓄積した映像コンテンツ、外部(例えばビデオ再生装置)から入力した映像信号を表示する。さらに、グラフィックコントローラ109の制御により、インターネットのウェブページなどによる映像を1つの画面上に同時に表示したり、キーワードなどの文字情報を画面に重ねて表示する。表示部111としては、液晶表示パネル、プラズマディスプレイパネルなどの各種表示素子を用いたディスプレイが使用できる。ここでは、映像を表示する表示部111を内蔵する構成としたが、表示部を外部装置として接続する構成でも良い。
【0021】
操作部108は、各種操作キー、操作ボタンなどでユーザの操作を受け付け、ユーザインターフェースコントローラ107は受け付けた操作データをCPU102に供給する。
【0022】
図2は、
図1の映像コンテンツ視聴端末100を適用するメタデータ運用システムの構成図である。ここでは主にその機能的な構成を説明する。
メタデータ運用システムでは、映像ナビゲーション機能としてハイライト再生機能やシーン検索機能や関連情報検索機能などを実行するが、これらの機能を実行する上で必要になる情報を「メタデータ」と呼び、映像コンテンツの付加情報として記述するものとする。
【0023】
本実施例のメタデータ運用システムでは、映像コンテンツ視聴端末201は映像ナビゲーション機能を実現するためのメタデータを予め所有していない。各映像コンテンツに対するメタデータは、外部サーバ203などの外部機器が構築し管理している。そして、ユーザが視聴端末201に対しある映像ナビゲーション機能の実行を指示すると、ネットワーク202を介して該当する外部サーバ203から該当するメタデータが送られ、視聴端末201はこれを取得してユーザ所望の機能を実行する。このように、視聴端末ではメタデータを所有せず外部のサーバに分散して保管し、必要に応じてメタデータを取得する構成を特徴とする。
【0024】
映像コンテンツ視聴端末201は、次の構成とする。メタデータ解析部204は、取得したメタデータを解析しその完全性を検証する機能と、特定のテーマに関連するメタデータと映像コンテンツを収集して新しいメタデータを合成する機能を有する。ナビゲーション実行部205は、メタデータ解析部204の解析結果に従って映像ナビゲーション機能を実行する。記憶部207は、映像コンテンツとともに、取得又は作成したメタデータを記憶する。ユーザインターフェース206は、ユーザに操作画面を提示するとともにユーザによる操作を受け付ける。
【0025】
さらに各部は次の機能を含む。
メタデータ解析部204は、ユーザに映像ナビゲーション機能を選択させる映像ナビゲーション機能選択部208と、メタデータ記述ルール212を参照してメタデータの完全性を検証し欠損箇所を修正、補完、統合、交換するメタデータ完全性検証部209と、指定したテーマに関連するメタデータと映像コンテンツを収集して新しいメタデータを合成するメタデータ合成部210と、映像コンテンツ収集部211とを有する。
【0026】
ナビゲーション実行部205は、各種映像ナビゲーション機能として、映像コンテンツのハイライトシーンを再生するハイライト再生部213と、映像コンテンツに含まれるシーンを検索するシーン検索部214と、映像コンテンツに関連する情報を検索する関連情報検索部215と、映像コンテンツに含まれるシーン(連続フレームで構成し、映像の動き情報を含む映像断片)、あるいはイメージ(単独もしくは連続フレームで構成し、動き情報を含まない静止画情報)にメッセージを付与して、個人もしくは複数人の映像コンテンツ視聴端末の視聴者に提示するメッセージ管理部216と、映像コンテンツに含まれるシーンあるいはイメージに補足説明図などを付与して、個人もしくは複数人の映像コンテンツ視聴端末の視聴者に提示するコメント描画管理部217と、その他の機能部218とを有する。
【0027】
図1との対応は次の通りである。メタデータ解析部204とナビゲーション実行部205は、
図1のROM103もしくはRAM104にプログラムの形式で記憶される。記憶部207は、
図1の記憶装置(HDD)106にデータの形式で記憶される。ユーザインターフェース206は、
図1のグラフィックコントローラ109を用いて表示部111に操作画面を表示するとともに、ユーザインターフェースコントローラ107を介して、操作部108からのユーザ操作を受け付ける。
【0028】
本実施例の構成によれば、ユーザが指定した映像ナビゲーション機能をメタデータを参照して容易に実行することが可能になる。ユーザはインターネット等からメタデータをダウンロードして多様な情報を多様な映像ナビゲーション機能で楽しんだり、映像コンテンツのジャンルに応じた映像ナビゲーション機能を楽しむことができる。
【0029】
その場合、メタデータの構築と管理を外部サーバなどで分離して構成するシステムとしたので、映像コンテンツ視聴端末では最小限のハードウェア構成の変更で映像ナビゲーション機能を実行することができる。またメタデータ構築処理には、動画像処理や音声情報処理といったソフトウェア処理を伴うが、これらは外部の機器で行う。これより、映像コンテンツ視聴端末のプロセッサ能力やメモリ容量の負担が軽減し、開発コストを低減できる効果がある。
【0030】
図3は、メタデータ解析部204の詳細な構成図である。
映像ナビゲーション機能選択部208は、ユーザに映像ナビゲーション機能と映像コンテンツを選択させる視聴形態選択部301と、ユーザに特定のテーマを選択させるテーマ選択部302を含む。
【0031】
メタデータ完全性検証部209は、視聴形態選択部301からの出力情報に従ってメタデータを収集するメタデータ収集部303と、収集したメタデータの完全性をメタデータ記述ルール212を参照して検証して欠損箇所を判定する欠損箇所判定部304と、欠損箇所を修正、補完、統合、交換する欠損箇所補完部305を含む。
【0032】
メタデータ合成部210は、テーマ選択部302で指定したテーマに関連するメタデータを収集する関連メタデータ収集部306と、収集された複数のメタデータから必要な部分を抽出して、例えば放送時間のようなユーザが指定した指標でメタデータを合成する手順を決定するメタデータ合成計画部307と、メタデータを合成する手順に従ってメタデータを合成するメタデータ合成実行部308を含む。
映像コンテンツ収集部211は、合成したメタデータを参照して該当する映像コンテンツを収集する。
【0033】
図2で述べたように、記憶部207では、映像ナビゲーション機能に対応付けて記述したメタデータ219を、ネットワーク202を介して外部サーバ203などのネットワーク接続機器から取得して記憶する。また、映像コンテンツについてもネットワーク接続機器から収集することができる。なお、ネットワークからダウンロードする場合には、情報配信サーバからの要求に応じて公知の方法でユーザ認証を行うものとする。
【0034】
図4は、記憶部207がメタデータと映像コンテンツを取得する形態を説明する図である。メタデータ解析部204は、記憶部207に記憶された映像コンテンツとメタデータについて、その完全性を検証する。ユーザが指定した映像ナビゲーション機能に必要なデータが記憶されていない場合には、不足している映像コンテンツやメタデータをネットワーク等から収集する。
【0035】
本実施例においては、初期状態において映像コンテンツ402に対応したメタデータ401が無い場合を前提とする。よって、該当するメタデータ401を外部サーバ203などのネットワーク接続機器からダウンロードする。また、メタデータ403に対応した映像コンテンツ404が無い場合には、該当する映像コンテンツ404をネットワーク接続機器からダウンロードする。このようにして、メタデータ405と映像コンテンツ406とを1対1に対応した形態で取得し、記憶する。
【0036】
ここで、映像コンテンツ409と対応するメタデータ408の記述内容が不完全である場合がある。そのような場合には、不完全な部分を補うために利用可能なメタデータ407をネットワーク接続機器からダウンロードする。また、例えば多視点でスポーツ中継を収録した場合のように、メタデータ410が複数の映像コンテンツ411、412と対応している場合もある。
【0037】
さらに、テーマを決めて関連するメタデータを収集する場合には、メタデータ群413をネットワーク接続機器からダウンロードして新たなメタデータ414を合成するとともに、メタデータ414に対応する映像コンテンツ群416をネットワーク接続機器からダウンロードしてプレイリスト415を生成する。
【0038】
本実施例によれば、取得したメタデータや映像コンテンツの完全性を検証して使用可能な完全なデータに修復することができるので、不完全なメタデータを取得しても気にせず映像ナビゲーション機能を楽しむことができる。
【0039】
また、複数のメタデータから必要な箇所を抽出し合成して新しいメタデータを生成することができるので、特定のテーマを指定して複数のメタデータと録画コンテンツ群の中からこのテーマに沿った情報を抽出し、プレイリストを生成して視聴して楽しむことができる。
【0040】
図5は、メタデータや映像コンテンツの所在場所の例を示す図である。以下の機器は、ネットワークに接続して使用するだけでなく、直接視聴端末に接続して使用することもできる。
【0041】
家庭内では、ビデオカメラや、映像コンテンツ視聴端末に内蔵されたハードディスク等の記憶装置や、光ディスクやビデオテープやリムーバブルディスクなどの記憶媒体、ホームネットワークに接続された機器などから取得することが可能である。家庭外では、地上波、衛星放送、ケーブルTVなどのテレビ放送や、IP放送(インターネットプロトコルを用いた放送)などから取得することが可能である。
【0042】
次に、本実施例における映像ナビゲーション機能及びそれに用いるメタデータに記述する情報について具体例を説明する。
図6は、映像ナビゲーション機能とそれに用いるメタデータ記述情報を示す図である。各機能別に説明する。
【0043】
(No.1)映像コンテンツのハイライトを再生する機能に対応するメタデータには、少なくともハイライト再生開始時刻、ハイライト再生時間長、ハイライトシーンの優先順位を示すランク情報を記述する。その他の情報として、例えば映像コンテンツの録画時刻、映像コンテンツ保管場所のアドレス、映像コンテンツのタイトル、タイトルの省略形リスト、及び映像コンテンツの再生時刻とメタデータに記述したハイライト再生開始時刻を同期させるための加算時間を付加しても良い。
【0044】
(No.2)映像コンテンツのシーンを検索する機能に対応するメタデータには、少なくともニュース番組のトピックスのような映像コンテンツを構成する要素の名称、その出現時刻、シーンに対応した字幕情報やテロップ情報や音声情報や電子番組表の情報などから抽出可能なキーワードから選出される映像コンテンツに登場する人物名称、その出現時刻を記述する。その他の情報として、映像コンテンツを構成する要素の出現時間長、映像コンテンツに登場する人物の出現時間長、映像コンテンツの録画時刻、映像コンテンツ保管場所のアドレス、映像コンテンツのタイトル、タイトルの省略形リスト、及び映像コンテンツの再生時刻とメタデータに記述した出現時刻を同期させるための加算時間を付加しても良い。
【0045】
(No.3)映像コンテンツの関連情報を検索する機能に対応するメタデータには、少なくともシーンに対応した字幕情報やテロップ情報や音声情報や電子番組表の情報から抽出可能なキーワード、その出現時刻、「政治」「経済」「娯楽」などのジャンル情報を含むキーワード属性、キーワードの重要度を示すランク情報を記述する。その他の情報として、映像コンテンツの関連情報の保存場所(関連情報アドレス)、映像コンテンツの録画時刻、映像コンテンツ保管場所のアドレス、映像コンテンツのタイトル、タイトルの省略形リスト、及び映像コンテンツの再生時刻とメタデータに記述したキーワード出現時刻を同期させるための加算時間を付加しても良い。
【0046】
(No.4)映像コンテンツに含まれるシーンあるいはイメージにメッセージを付与して、個人もしくは複数人の映像コンテンツ視聴端末の視聴者に提示する機能に対応するメタデータには、少なくともメッセージ、それを表示する時刻を記載する。その他の情報として、映像コンテンツの録画時刻、映像コンテンツ保管場所のアドレス、映像コンテンツのタイトル、タイトルの省略形リスト、メッセージ表示時間長、及び映像コンテンツの再生時刻とメタデータに記述したメッセージ表示時刻を同期させるための加算時間を付加しても良い。
【0047】
(No.5)映像コンテンツに含まれるシーンあるいはイメージに補足説明図などを付与して、個人もしくは複数人の映像コンテンツ視聴端末の視聴者に提示する機能に対応するメタデータには、少なくとも直線や円(楕円)や矩形などの形状情報や、点線と実線の区別、塗りつぶしや透明などの区別や色情報などを含む描画オブジェクトの属性、描画オブジェクトを描画する位置、描画開始時刻、描画時間長を記載する。その他の情報として、映像コンテンツの録画時刻、映像コンテンツ保管場所のアドレス、映像コンテンツのタイトル、タイトルの省略形リスト、映像コンテンツの再生時刻とメタデータに記述した描画開始時刻を同期させるための加算時間を付加しても良い。
【0048】
(No.6)特定のテーマ(例えば「参院選」)を指定して視聴する機能に対応するメタデータには、少なくとも映像コンテンツ保管場所のアドレス、映像コンテンツの再生開始時刻、再生時間長を記載する。その他の情報として、プレイリストの時間長、テーマ名称、プレイリストの再生タイトルのランク情報を付加しても良い。
【0049】
(No.7)その他の機能として、例えば、映像コンテンツのプレゼント応募宛先を記載したテロップを解読して付属のプリンタで応募はがきを印刷する機能や、ドラマの1話目は無料で視聴できて2話目からは課金するような有料番組の課金方法を行う機能がある。これらの実行は、該当する機能の起動条件と動作を表現したルールに従った機能制御を行うことにより実現する。そこでこれらの機能に対応するメタデータには、機能の起動条件と動作を表現したルールを記載する。
【0050】
以上のメタデータに記述する情報は、視聴端末側で自動収集して保存することができる。保存する形態は、例えば、映像コンテンツの属性だけをまとめて1つのファイルにして、その他のハイライト再生機能やシーン検索機能などの映像ナビゲーション機能を実行するためのメタデータと分離して記憶しても良い。
【0051】
図7は、適応化条件別のメタデータ記述情報を示す図である。
(No.1)端末適応化条件は、例えば、仕様が異なる視聴端末がバージョンの異なるメタデータ運用機能を実装している場合において、メタデータにその端末に適応させるため条件を記述したものである。そのための情報として、映像コンテンツをダウンロードする通信プロトコルや上り下りの通信容量などに対応したインターフェース仕様、テレビ画面と携帯端末などの違いに対応した画面構成、映像コンテンツの画質や映像コンテンツ視聴端末のハードウェア構成に対応した超解像処理の有効性の有無、映像コンテンツの符号化方式に対応したエンコーダ仕様とデコーダ仕様、メタデータを記述できる映像ナビゲーション機能仕様などを記述する。
【0052】
端末適応化条件を利用することで、映像コンテンツ視聴端末の仕様やメタデータ運用機能のバージョンに適応した映像ナビゲーション機能を提供することができる。
【0053】
(No.2)ユーザ適応化条件は、視聴端末を異なるユーザが利用する場合において、メタデータにそのユーザに適応した条件を記述したものである。そのための情報として、ユーザプロファイル、個人スケジュール、個人嗜好、シチュエーションなどを記述する。
【0054】
ユーザ適応化条件を利用することで、ユーザの違いや状況に適応した映像ナビゲーション機能を提供することができる。例えばスポーツ番組をハイライト視聴するときに好きなチームが登場するシーンを優先的にハイライト再生したり、シーン検索を行うときに好きな人物を優先的に検索したり、関連情報検索を行うときにユーザが詳しい分野の情報は高度な(出現確率が低い)キーワードで検索し、ユーザが不案内な分野の情報は平易な(出現確率が高い)キーワードで検索したりすることができる。
【0055】
図8は、メタデータの記述方法の具体例を示す図である。
この記述例では、2007年7月10日に録画された○×サッカー世界大会中継の映像コンテンツに対応したメタデータであり、ハイライト再生機能とシーン検索機能と関連情報検索機能を実行するためのメタデータを記述している。記述形式は、開始タグ<要素名>と終了タグ</要素名>にはさまれたデータをメタデータの要素と定義し、要素の属性をタグ内に<要素名 属性名=“属性値” ・・・>と記述している。
【0056】
まず映像コンテンツの属性として、「映像コンテンツのタイトル」、「映像コンテンツの録画時刻」、「映像コンテンツ保管場所のアドレス」、「同期用加算時間」を記述する。また、タイトルの省略形を記述する。タイトルの省略形を記述することにより、ユーザが映像コンテンツのタイトルを省略形で指示した場合でもメタデータを特定することができる。
【0057】
次に、各ナビゲーション機能を実行するためのメタデータを記述する。
ハイライト再生機能では、最初にハイライト再生時間を指定するメニューの定義を記述する。次にハイライトシーンについて、ハイライト再生開始時刻、ハイライト再生時間長、ハイライトシーンのランクの順に記述する。ハイライトシーンは複数あり、ユーザが指定したハイライト再生時間に合わせて、ハイライトシーンをランクが高い順番に並べて順次再生するものとする。
【0058】
シーン検索機能では、メタデータの要素名を「シーン」とし、その属性として「出現時刻」、「出現時間長」の順に記述する。そしてメタデータの要素を、映像コンテンツを構成する要素の要素名称もしくは映像コンテンツに登場する人物の人物名称とする。シーンは複数あり、ユーザが指定した映像コンテンツを構成する要素の要素名称や、映像コンテンツに登場する人物の人物名称に対応するシーンを検索して表示するものとする。
【0059】
関連情報検索機能では、メタデータの要素名を「関連情報」とし、その属性として「出現時刻」、「キーワード属性」、「関連情報アドレス」、「キーワードのランク」の順に記述する。そしてメタデータの要素を映像コンテンツに含まれるキーワードとする。関連情報は複数あり、映像コンテンツの再生時刻と同期した関連情報を、インターネットなどから検索して表示するものとする。
【0060】
次に、ユーザが映像ナビゲーション機能を選択するための操作画面と操作方法を説明する。
ユーザが映像ナビゲーション機能を選択する手順として、(1)最初に映像コンテンツを選択してから映像ナビゲーション機能を選択する方法と、(2)最初にメタデータを選択してから映像ナビゲーション機能を選択する方法と、(3)特定のテーマを指定してこのテーマに沿った映像コンテンツを抽出し、これから選択する方法の3通りがある。
【0061】
図9は、ユーザインターフェース206により提示する操作画面のメニュー構成の一例を示す。
(a)は、最初に映像コンテンツを選択する場合で、映像コンテンツ一覧画面901と、この画面から映像ナビゲーション機能を選択する画面902を示す。
【0062】
画面901では4個の映像コンテンツについて、それぞれのサムネイル905、906、907、908と、タイトル・録画日・録画時間などの属性情報909、910、911、912とを表示している。さらに、各映像コンテンツについて実行可能な映像ナビゲーション機能をマーク群913、914、915、916で表示する。ここでは各マークの定義は、「○」はハイライト再生機能、「●」は関連情報表示機能、「□」はメッセージ入力機能、「△」はコメント描画機能、「■」はシーン検索機能を意味する。また、マーク群の右隣に表示された数字はマークの個数を表している。
【0063】
ここで、例えば画面901のサムネイル908を選択すると、画面902に遷移する。画面902では、選択したサムネイル908がハイライト表示(太い枠線で表示)され、映像ナビゲーション機能選択メニュー917が表示される。この機能選択メニュー917には、マーク群916と対応した映像ナビゲーション機能の項目が表示される。そこで、例えば「○ハイライト再生」の項目を選択すると、ハイライト再生機能を実行することができる。
【0064】
次に(b)は、最初にメタデータを選択する画面903と、この画面から1つのメタデータを選択した画面904を示す。
画面903では2個の映像コンテンツについて、それぞれのメタデータ表示領域918、919を備える。メタデータ表示領域918には、映像コンテンツに対応するサムネイル920と、映像コンテンツのタイトル・録画日・録画時間などの属性情報921と、メタデータアイコン922、923、924と、実行可能な映像ナビゲーション機能を示すマーク925、926、927を表示する。各マークの定義は前述した通りである。各メタデータアイコン922、923、924は、それぞれ各映像ナビゲーション機能925、926、927に対応している。メタデータ表示領域919についても同様に表示する。メタデータ表示領域919では、メタデータアイコン930と、映像ナビゲーション機能を表したマーク931を、1組だけ表示している。
【0065】
ここで、例えば画面903のメタデータアイコン924を選択すると、画面904に遷移する。画面904では、選択したアイコン924がアイコン932のようにハイライト表示(太い枠線で表示)され、ここではお父さん宛の「メッセージ入力」機能927を実行することができる。
【0066】
図9のメニュー構成は、画面の大きさに合わせて上位階層のみを表示した例である。個々のメニューは、必要に応じてさらに詳細な下位階層のメニューを表示することができる。以下、それを説明する。
【0067】
図10は、映像コンテンツの所在場所を選択する場合のメニュー構成の例を示す。
映像コンテンツが、視聴端末に内蔵された記憶装置(ハードディスク等)に記憶されている場合には、録画タイトル一覧から映像コンテンツを選択する。
映像コンテンツが、レコーダやパーソナルコンピュータやその他のストレージ機器などのホームネットに接続された機器に記憶されている場合には、該当機器を選択すると表示される録画タイトル一覧から映像コンテンツを選択する。
映像コンテンツが、ビデオカメラや、光ディスク、ビデオテープ、リムーバブルディスクなどの記憶媒体に記憶されている場合には、該当機器を選択すると表示される収納場所一覧と録画タイトル一覧から映像コンテンツを選択してダウンロードする。
【0068】
映像コンテンツを放送コンテンツから取得する場合には、地上波放送や衛星放送やケーブルテレビなどの放送方式を選択すると表示される電子番組表から映像コンテンツを録画予約する。
映像コンテンツをIP放送から取得する場合には、IP放送の方式を選択すると表示される放送サイトアドレスと電子番組表等から映像コンテンツを録画予約する。
さらに、映像コンテンツのタイトルを入力して映像コンテンツを検索するなどの方法により選択することも図示していないが可能である。
【0069】
図11は、各映像ナビゲーション機能における詳細な選択メニューの例を示す。ユーザが所望の映像ナビゲーション機能を選択すると、次のような選択メニューを表示する。
基本機能では、テレビ番組、及びその録画番組を視聴するものであり、チャンネル選択や早送り、巻き戻し再生などの選択メニューを有する。
【0070】
映像コンテンツのハイライトを再生する場合には、ハイライト再生時間を5分、10分などと指定して視聴する。その際、メタデータが対応可能な再生時間(例えば1分、10分、30分)と異なる場合には、選択画面にはメタデータがサポート可能な再生時間に切り替えてメニュー表示を行ってもよい。
【0071】
映像コンテンツのシーンを検索する場合には、シーンを検索するための画面を表示する。この画面には、シーンに対応した字幕情報やテロップ情報や音声情報や電子番組表の情報から抽出可能なキーワードや、ニュース番組のトピックスのような映像コンテンツを構成する要素の名前を一覧リスト形式で表示し、これから所望のシーンを選択する。
【0072】
映像コンテンツの関連情報を検索する場合には、関連情報を検索するための画面を表示する。この画面には、シーンに対応した字幕情報やテロップ情報や音声情報や電子番組表の情報から抽出可能なキーワードを一覧リスト形式で表示し、これから所望の関連情報を選択する。
【0073】
映像コンテンツに含まれるシーンあるいはイメージにメッセージを付与して、個人もしくは複数人の視聴端末のユーザに提示する場合には、メッセージの入力画面を表示する。その画面では、宛先の指定、メッセージ挿入位置の指定、テキスト、音声、映像などを組み合わせて記述したメッセージの入力を行う。
【0074】
映像コンテンツに含まれるシーンあるいはイメージに補足説明図などのコメント描画を付与して、個人もしくは複数人の視聴端末のユーザに提示する場合には、コメント描画の入力画面を表示する。その画面では、宛先の指定、補足説明図の挿入位置の指定、自由描画や説明テキストの挿入を行う。
【0075】
テーマを選択して関連する映像コンテンツを視聴する場合には、特定のテーマを指定するとそのプレイリストが生成されて提示される。この場合の表示画面では、まず、テーマ名称の指定、プレイリスト合成手順(映像コンテンツを録画時刻の順番で合成するか、映像コンテンツの重要度(ランク)順に合成するか)の指定を行う。続いて合成されたプレイリストが表示され、ユーザはこれを選択して視聴する。
【0076】
図11において、選択の個数は機能的な矛盾が生じない限り複数であってもよい。また、選択した映像ナビゲーション機能によりリモコンボタンの意味が変わる場合には、リモコンボタンの意味を画面に表示するのがよい。
【0077】
上記
図9〜
図11において、メニュー項目の表現方法については上記した具体例に限らない。メニュー項目の意味を容易に連想できるものであれば、他の文字列であっても良いし、アイコンやサムネイル等による表示であっても良い。アイコンやサムネイル等による表示の場合、例えば映像コンテンツに対応したメタデータが存在する場合としない場合でメニュー(領域)の色を変えるなどの方法により、一覧性を高めることができる。また、選択したメタデータで実行可能な映像ナビゲーション機能をハイライトするなどの表示方法で区別することにより、機能選択の効率を高めることができる。
【0078】
次に、上記各操作画面で選択されたメニューに対応して映像ナビゲーション機能を実行する処理手順を説明する。すなわち本実施例では、メタデータが完全でない場合にそれを修復する処理と、テーマ指定視聴機能ではメタデータの合成を行う処理を有する。
【0079】
図12は、選択された映像ナビゲーション機能についてメタデータの収集とその完全性の検証を行う処理フローを示す。この処理には、
図3の視聴形態選択部301とメタデータ完全性検証部209とメタデータ記述ルール212を用いる。
【0080】
ステップ1201では、視聴形態選択部301は、映像コンテンツを
図9や
図10に示すメニューから選択して、
図10で示した所在場所から取得する。
ステップ1202では、視聴形態選択部301は、映像ナビゲーション機能を
図9や
図11に示すメニューから選択する。
【0081】
ステップ1208では、メタデータ完全性検証部209によりメタデータの完全性の検証を行う。これには次の処理(ステップ1203〜1206)が含まれる。
ステップ1203では、ステップ1202で選択した映像ナビゲーション機能に関連付けられたメタデータが記憶部207に記憶されているか否かを判断する。すなわち、選択した映像ナビゲーション機能に対する、
図6と
図7に示された記述情報のいずれかが記憶されていればよい。
【0082】
判断ステップ1203にて記憶されていないと判断した場合には、ステップ1204にて、取得している映像コンテンツに関連する1つあるいは複数個のメタデータの収集を行う。映像コンテンツとメタデータの関連性は、例えば映像コンテンツに付与されたタイトル情報で知ることができる。
【0083】
ステップ1205では、取得したメタデータの完全性をメタデータ記述ルール212を参照して検証する。メタデータ記述ルール212には、少なくともメタデータ属性を識別するタグ情報の階層関係や係り受け関係と、タグ情報に付与可能なデータ型とデータの選択肢とを記述したタグ情報リストとが、映像ナビゲーション機能毎に分類して記述されている。
【0084】
判断ステップ1205にてメタデータが不完全だと判断した場合には、ステップ1206にて不完全な部分を修正、総合、交換することにより完成する。不完全な部分がタグ情報を表す文字列のタイプミスの場合には、正しい文字列に修正する。また、階層関係や係り受け関係が誤っている場合には、誤りを検出した階層及びその下位階層にあるタグ情報を全て削除した後、ステップ1204で収集した別のメタデータから対応する部分を抽出して削除した位置に添付する。また、必要なタグ情報が欠落している場合には、ステップ1104で収集した別のメタデータと交換するか、別のメタデータから対応する部分を抽出して補完する。さらに、ステップ1204で収集した複数個のメタデータがともに完全であり、かつ重複する部分が所定の閾値よりも少ない場合には、これらのメタデータを統合することも可能である。
ステップ1207では、完成したメタデータにより映像ナビゲーション機能を実行する。
【0085】
図13は、テーマを指定して関連するメタデータとプレイリストを作成する処理フローを示す。このメタデータは、
図6のNo.6のテーマ指定視聴に含まれる情報で構成する。この処理には、
図3に示すテーマ選択部302とメタデータ合成部210と映像コンテンツ収集部211とメタデータ記述ルール212を用いる。
【0086】
ステップ1301では、テーマを選択する。テーマはその属性情報としてテーマ名称とプレイリスト合成手順情報を持つものとする。テーマ名称はジャンルとそれに関連したキーワードのリストから選択するか、もしくはキーワード文字列を入力して事前に登録されたキーワードリストから公知の検索方法を用いて検索する。プレイリスト合成手順情報とは、映像コンテンツを録画時刻の順番で合成するか、映像コンテンツをその重要度(ランク)順に合成するかという選択情報と、プレイリストの再生時間長の上限値とその他の限定事項を含んで構成するものとする。
【0087】
ステップ1313では、メタデータ合成部210によりメタデータの合成を行う。これには次の処理(ステップ1302〜1307)が含まれる。
ステップ1302では、ステップ1301で選択したテーマに関連付けられたメタデータが記憶部207に記憶されているか否かを判断する。この場合、
図6と
図7に示す情報の内、少なくとも
図6のNo.2のシーン検索かNo.3の関連情報検索に対応する記述情報のいずれかが記憶されていればよい。
【0088】
判断ステップ1302にてメタデータが記憶されていないと判断した場合には、ステップ1303にて、
図5に示す場所から所定量のメタデータを収集して記憶部207に記憶する。メタデータの収集量を所定量に限定することにより、膨大な数のメタデータが見つかるような場合でもメタデータの収集量と探索時間を適量化することができる。
【0089】
ステップ1304では、メタデータの合成計画を立てる。合成計画とは、記憶部207に記憶されている選択したテーマに関連付けられたメタデータから、
図6のNo.6のテーマ指定視聴に含まれる情報を抽出してプレイリスト合成手順情報に従って合成することである。
【0090】
ステップ1305では、ステップ1304で合成したメタデータの完全性をメタデータ記述ルール212を参照して検証する。
判断ステップ1305にてメタデータが不完全だと判断した場合には、ステップ1306にて不完全な部分を修正、総合、交換することにより完成する。このステップ1306で行う処理は、前記ステップ1206で行う処理と同様である。
【0091】
ステップ1307では、メタデータの合成が完了したか否かを判断する。この判断はプレイリスト合成手順情報を参照して行う。判断ステップ1307の結果、メタデータが未完成であると判断した場合にはステップ1302に戻る。
【0092】
ステップ1314では、映像コンテンツ収集部211により関連する映像コンテンツを収集する。これには次の処理(ステップ1308〜1310)が含まれる。
ステップ1308では、ステップ1313で合成したメタデータに対応した映像コンテンツが記憶部207に記憶されているか否かを判断する。
判断ステップ1308にて映像コンテンツが記憶されていないと判断した場合には、ステップ1309にて、
図5に示す場所から映像コンテンツを収集する。
【0093】
ステップ1310では、ステップ1313で合成したメタデータとステップ1309で収集した映像コンテンツにより、プレイリストを作成する。
ステップ1311では、完成したプレイリストにより、映像ナビゲーション機能(テーマ指定視聴)を実行する。
【0094】
以上述べたように本実施例によれば、ユーザが指定した映像ナビゲーション機能をメタデータを参照して容易に実行することが可能になる。そしてこれに対応する映像コンテンツ視聴端末を、最小限のハードウェア構成でプロセッサ能力やメモリ容量に負担をかけることなく実現できる。