特許第5770435号(P5770435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5770435排気処理方法、排気処理装置、エンジンの排熱回収装置、及びコジェネレーションシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770435
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】排気処理方法、排気処理装置、エンジンの排熱回収装置、及びコジェネレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/00 20100101AFI20150806BHJP
   F01N 5/02 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   F01N13/00 B
   F01N5/02 B
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2010-145653(P2010-145653)
(22)【出願日】2010年6月25日
(65)【公開番号】特開2012-7564(P2012-7564A)
(43)【公開日】2012年1月12日
【審査請求日】2013年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】石井 直輝
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−259549(JP,A)
【文献】 特開2001−132441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/00
F01N 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源に生じた排気を熱交換する工程と、
前記熱交換によりドレンを含んだ排気を大径の第1の膨張手段で膨張させ、前記排気を第2の膨張手段と前記第1の膨張手段に設けられた小径の第1のドレン排出管とに分配するとともに、前記排気から分離されたドレンを前記第1のドレン排出管より前記排気からドレンを分離する分離室に流す工程と、
前記第2の膨張手段で、前記第1の膨張手段から送られた前記排気を膨張させ、前記排気を第3の膨張手段と前記第2の膨張手段に設けられた小径の第2のドレン排出管とに分配するとともに、前記排気から分離されたドレンを前記第2のドレン排出管より前記分離室に流す工程と、
前記分離室において、前記第3の膨張手段を経由して前記分離室に流れた前記排気と前記第1及び前記第2のドレン排出管から流れた前記排気からドレンを分離する工程と、
前記分離室で分離されたドレンと前記第1及び第2のドレン排出管からのドレンとを捕集する工程と、
を含むことを特徴とする排気処理方法。
【請求項2】
熱源に生じた排気の熱を熱交換する熱交換手段と、
前記熱交換によりドレンを含んだ排気を膨張させ、小径の第1の管路と小径の第1のドレン排出管とに前記排気を分配するとともに、前記排気からドレンを分離して該ドレンを前記第1のドレン排出管に流す大径の第1の膨張手段と、
前記第1の管路を介して前記第1の膨張手段と接続され、前記第1の膨張手段から送られた前記排気を膨張させ、小径の第2の管路で接続される第3の膨張手段と小径の第2のドレン排出管とに前記排気を分配するとともに、前記排気からドレンを分離して該ドレンを前記第2のドレン排出管に流す大径の第2の膨張手段と、
前記第1の膨張手段、前記第2の膨張手段及び前記第3の膨張手段を経由して導かれた前記排気と、前記第1のドレン排出管及び前記第2のドレン排出管を通って導かれた前記排気とからドレンを分離する分離室と、
前記分離室に設置されて、前記分離室において分離されたドレンと、前記第1のドレン排出管及び前記第2ドレン排出管から導かれたドレンと捕集するドレントラップと、
を備えることを特徴とする排気処理装置。
【請求項3】
記第2の膨張手段は、前記第1及び前記第2の膨張手段よりも小径の前記第1の管路により、前記第1の膨張手段と接続されることを特徴とする、請求項2に記載の排気処理装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3の何れか一つに記載の排気処理装置を備えることを特徴とする、エンジンの排熱回収装置。
【請求項5】
請求項2又は請求項3の何れか一つに記載の排気処理装置を備えることを特徴とするコジェネレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン等の熱源に生じた排気の処理及び装置に関し、例えば、排熱回収後の排気処理を行う排気処理方法、排気処理装置、エンジンの排熱回収装置、及びコジェネレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスを燃料とするエンジンを用いて発電するとともに発熱するエンジンを熱源に用いるコジェネレーション装置が知られている。このコジェネレーション装置では、エンジンからの熱回収として、エンジンの排気を熱媒体や上水に熱交換し、熱媒体から上水に熱交換する等の処理が行われている。
【0003】
エンジンの排気から潜熱を熱交換するとドレンが発生し、このドレンは排気中に混入している。このため、ドレンを排出する場合、ドレン排出口から排気ガスの流出や、排気口からドレンの飛散等を伴う。
【0004】
エンジンの排気熱を回収する際に生じたドレンの回収及び排出に関し、ドレンと排気とを分離させる装置が知られている(特許文献1)。
【0005】
また、燃焼排気から排気とドレンとを分離することが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−132441号公報
【特許文献2】特開2002−054434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、排気とドレンの混合気を膨張室まで高速搬送し、その後に降下させて分離室で気液を分離した後に再度、上昇させて排気を排出している構成では(特許文献1)、気液を分離するための管路の太さ調整や、膨張室の設置条件等に制約がある。従来では、経路径を変化させて膨張、収縮により気液を分離し、経路は直列経路が採用されている。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、通路の形態等に制約を受けることがない排気処理を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の排気処理方法は、熱源に生じた排気を熱交換する工程と、前記熱交換によりドレンを含んだ排気を大径の第1の膨張手段で膨張させ、前記排気を第2の膨張手段と前記第1の膨張手段に設けられた小径の第1のドレン排出管とに分配するとともに、前記排気から分離されたドレンを前記第1のドレン排出管より前記排気からドレンを分離する分離室に流す工程と、前記第2の膨張手段で、前記第1の膨張手段から送られた前記排気を膨張させ、前記排気を第3の膨張手段と前記第2の膨張手段に設けられた小径の第2のドレン排出管とに分配するとともに、前記排気から分離されたドレンを前記第2のドレン排出管より前記分離室に流す工程と、前記分離室において、前記第3の膨張手段を経由して前記分離室に流れた前記排気と前記第1及び前記第2のドレン排出管から流れた前記排気からドレンを分離する工程と、前記分離室で分離されたドレンと前記第1及び第2のドレン排出管からのドレンとを捕集する工程とを含む構成である。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の排気処理装置は、熱源に生じた排気の熱を熱交換する熱交換手段と、前記熱交換によりドレンを含んだ排気を膨張させ、小径の第1の管路と小径の第1のドレン排出管とに前記排気を分配するとともに、前記排気からドレンを分離して該ドレンを前記第1のドレン排出管に流す大径の第1の膨張手段と、前記第1の管路を介して前記第1の膨張手段と接続され、前記第1の膨張手段から送られた前記排気を膨張させ、小径の第2の管路で接続される第3の膨張手段と小径の第2のドレン排出管とに前記排気を分配するとともに、前記排気からドレンを分離して該ドレンを前記第2のドレン排出管に流す大径の第2の膨張手段と、前記第1の膨張手段、前記第2の膨張手段及び前記第3の膨張手段を経由して導かれた前記排気と、前記第1のドレン排出管及び前記第2のドレン排出管を通って導かれた前記排気とからドレンを分離する分離室と、前記分離室に設置されて、前記分離室において分離されたドレンと、前記第1のドレン排出管及び前記第2ドレン排出管から導かれたドレンと捕集するドレントラップとを備える構成である。
【0011】
上記課題を解決するためには、上記排気処理装置において、好ましくは、前記第2の膨張手段は、前記第1及び前記第2の膨張手段よりも小径の前記第1の管路により、前記第1の膨張手段と接続される構成としてもよい。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明のエンジンの排熱回収装置は、既述の排気処理装置を備える構成である。
【0014】
上記課題を解決するため、本発明のコジェネレーションシステムは、既述の排気処理装置を備える構成である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、次の何れかの効果が得られる。
【0016】
(1) ガスエンジン等の熱源で生じた排気熱を回収する気体−液体熱交換器によって生じたドレンを含む排気からドレンを分離するので、ドレンを含まない排気を外気に排出できるとともに、排気とは別個にドレンを排出させることができる。
【0017】
(2) 排気を上方に導く押上通路や、排気を下方に導く降下通路で排気通路を形成する必要がないので、排気通路を設置する際の上下方向の制約や、膨張室の形状や排気方向に制約を受けることがなく、排気処理をコンパクト化することができる。
【0018】
(3) サイレンサ等の吐出圧の高い部分からドレンを伴う排気から排出側の内圧が低い部分で排気とドレンとを分離するので、ドレン分離を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施の形態に係るコジェネレーションシステムの一例を示す図である。
図2図1の貯湯ユニットの一例を示す図である。
図3】排気処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4】排気処理部の一例を示す図である。
図5】第2の実施の形態に係るコジェネレーションシステムの排気処理部のマフラの一例を示す図である。
図6】マフラの他の例を示す図である。
図7】マフラの他の例を示す図である。
図8】第3の実施の形態に係るコジェネレーションシステムの排気処理部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1の実施の形態〕
【0021】
第1の実施の形態について、図1及び図2を参照する。図1及び図2は第1の実施の形態に係るコジェネレーションシステムの一例を示し、図1はその発電ユニット、図2は貯湯ユニットを示している。
【0022】
このコジェネレーションシステム2は、本発明の排気処理方法、排気処理装置、エンジンの排熱回収装置、及びコジェネレーションシステムの一例である。
【0023】
このコジェネレーションシステム2には発電ユニット4及び貯湯ユニット6を備えている。発電ユニット4では、駆動源であるエンジン8の回転によって発電するとともに、熱源であるエンジン8に熱媒体10を接触させてエンジン8の冷却とともに、エンジン8の熱を回収する手段である。この場合、エンジン8の発熱は熱媒体10に熱交換され、熱媒体10及び排気12の双方の熱は熱媒体14に熱交換される。熱媒体10は熱源であるエンジン8の冷却水であり、熱媒体14は蓄熱媒体である。発電ユニット4には、図1に示すように、発電機能部16と、排気処理部18と、エンジン冷却回路20と、排熱回収部22の一部とを備えている。
【0024】
貯湯ユニット6は蓄熱手段であって、エンジン8側から熱を回収し、その熱を熱交換して蓄熱し、その熱を給湯に利用する手段であって、図2に示すように、排熱回収部22と、給湯側熱交換部24とを備える。排熱回収部22は、発電ユニット4及び貯湯ユニット6に跨がって設置されている。
【0025】
(1) 発電機能部16
【0026】
発電機能部16は、エンジン8と、発電機26と、パワーコンディショナ28と、発電ユニットコントローラ30とを備えている。エンジン8は、発電機26の駆動手段であって、都市ガス、LPG、ガソリン、灯油、軽油等の燃料を燃焼させて回転力を生成するが、その燃料の燃焼で発熱し、排気12を生じる。従って、エンジン8は発熱源、排熱源であり、エンジン8が発生する排気12も熱源である。
【0027】
発電機26はエンジン8を駆動手段とする発電手段であって、エンジン8の回転力を受けて発電する。この発電出力は、交流であってもよいし、直流であってもよい。
【0028】
パワーコンディショナ28は電力変換手段である例えば、インバータで構成され、発電機26の出力が所定の電圧例えば、商用交流と同等の電圧出力(100〔V〕)に変換される。このパワーコンディショナ28の出力は負荷32に供給されるとともに、余剰電力として活用される。負荷32は例えば、家庭向け電力の消費である。余剰電力Psは、発電電力Poに対し、家庭向け電力としての消費電力PLが少ない場合に生じ(Po>PL,Ps=Po−PL)、この余剰電力はエンジン冷却回路20にある余剰電力ヒータ34に供給され、熱に変換される。
【0029】
発電ユニットコントローラ30はエンジン冷却回路20等の制御手段であって、パワーコンディショナ28の出力によって給電され、各種センサからの検出出力を受け、排熱回収のための制御出力を機能部に付与する。この発電ユニットコントローラ30は貯湯ユニット6側の貯湯ユニットコントローラ62(図2)に接続され、この実施の形態では、貯湯ユニットコントローラ62に接続されているリモートコントローラ36により、貯湯ユニットコントローラ62を通して操作される。リモートコントローラ36は、遠隔制御手段の一例であって、発電ユニットコントローラ30や貯湯ユニット6の遠隔操作に用いられる。
【0030】
(2) 排気処理部18
【0031】
排気処理部18は、本発明の排気処理方法及び排気処理装置の一例であって、エンジン8で生じた排気12から主としてドレンを分離する気液分離機能等を備える。この排気処理部18には、エンジン8から排気ガス回路38を通して排気12が流れる。排気ガス回路38はエンジン8の排気12を通過させる排気手段である。
【0032】
この排気ガス回路38には、濾過器40、熱交換器42、サイレンサ44、マフラ46が設置されている。この実施の形態では、排気処理部18にサイレンサ44、マフラ46を備えているが、排気処理部18に濾過器40及び熱交換器42を備えてもよい。濾過器40は、例えば、触媒を備え、排気12中に含まれる有害物質を除去する。熱交換器42は、排気12の熱を熱媒体14に熱交換する手段の一例であり、熱交換によりドレンを生じる。サイレンサ44及びマフラ46は、排ガス系統の排気に伴う騒音を抑制する消音機能と、熱交換器42の熱交換後の排気12からドレンを分離する機能とを備える排気装置である。
【0033】
(3) エンジン冷却回路20
【0034】
エンジン冷却回路20は、エンジン8を熱媒体10により冷却するとともに、エンジン8の熱(排熱)を熱媒体10に熱交換して回収する手段であって、熱媒体10を循環させる第1の循環路を構成する。このエンジン冷却回路20には、リザーブタンク48と、ポンプ50と、熱交換部52と、温度センサ54、56と、熱交換器58と、余剰電力ヒータ34とを備える。
【0035】
リザーブタンク48は、熱媒体10を蓄積する手段であって、このリザーブタンク48には、排熱回収部22から分岐した補水回路60が接続されているとともに、補水弁62及びレベルセンサ63が設置されている。レベルセンサ63が補水の必要レベルを検出したとき、補水弁62が開かれ、熱媒体10が排熱回収部22からリザーブタンク48に補給される。
【0036】
ポンプ50は、エンジン冷却回路20に熱媒体10を強制的に循環させる手段であって、これにより熱媒体10は、熱交換部52、温度センサ54、56、熱交換器58及び余剰電力ヒータ34に循環する。
【0037】
熱交換部52は、エンジン8に設置された熱交換手段であって、エンジン8の排熱を熱媒体10に熱交換する。温度センサ54、56は熱媒体10の温度検出手段であって、例えば、サーミスタ温度センサで構成される。そこで、温度センサ54は、エンジン8の入側の熱媒体10の温度を検出する。また、温度センサ56は、熱交換部52の出側の熱媒体10の温度を検出し、この実施の形態では余剰電力ヒータ34の出側に設置され、熱交換部52及び余剰電力ヒータ34で加熱された熱媒体10の温度を検出する。
【0038】
熱交換器58は、熱媒体10の熱を蓄熱側の熱媒体14に熱交換する手段であって、エンジン冷却回路20と排熱回収部22との間に設置されている。
【0039】
(4) 排熱回収部22
【0040】
排熱回収部22は、熱媒体10の熱及びエンジン8の排気熱を回収する排熱回収手段の一例であって、熱媒体14を循環させる第2の循環路を構成する。この排熱回収部22は、既述の発電ユニット4と貯湯ユニット6とに跨がって設置されており、既述の熱交換器42と、熱交換器58と、貯湯ユニット6側にある蓄熱タンク64と、ポンプ66と、温度センサ68と、三方弁70と、バイパス路72とを備える。
【0041】
蓄熱タンク64は、熱媒体14によって蓄熱する蓄熱手段の一例であって、熱媒体14には一例として上水Wが用いられている。
【0042】
ポンプ66は、熱媒体14を排熱回収部22に強制的に循環させる手段であり、温度センサ68は、蓄熱タンク64又はバイパス路72に流れる熱媒体14の温度を検出する手段であって、例えば、サーミスタ温度センサで構成される。
【0043】
三方弁70は、蓄熱タンク64に併設されたバイパス路72と蓄熱タンク64側の排熱回収部22との熱媒流路を切り替える手段としての切替弁であって、蓄熱タンク64に対して熱媒体14を流し込む場合にポートA−Cが開かれ、蓄熱タンク64に対して熱媒体14をバイパスする際にポートA−Bが開かれる。
【0044】
(5) 給湯側熱交換部24
【0045】
給湯側熱交換部24は、熱媒体14の熱を上水Wに熱交換し、温水HWを得て給湯する手段であるとともに、上水Wを熱媒体14として補給する手段である。この給湯側熱交換部24には、熱交換器74と、ポンプ76と、リザーブタンク78とを備えている。
【0046】
熱交換器74は、熱媒体14の熱を上水Wに熱交換する手段であり、ポンプ76は、熱媒体14を熱交換器74に強制的に循環させる手段である。熱交換器74で得られた温水HWは家庭内給湯等に供される。
【0047】
リザーブタンク78は、熱媒体14を蓄積するとともに、熱媒体14を大気に開放する手段であって、このリザーブタンク78には上水管路79から分岐された補水管路80が接続され、補水管路80を開閉する手段として補水弁82と、リザーブタン78内の熱媒体14のレベルを検出する手段としてレベルセンサ84とが設置されている。レベルセンサ84の検出レベルが基準レベル未満であれば、補水弁82が開かれ、上水Wがリザーブタンク78に補水される。このリザーブタンク78は蓄熱タンク64の底部側に補水管路86を介して接続され、蓄熱タンク64の熱媒体14が補水管路86及びリザーブタンク78を通して大気に開放されるとともに、リザーブタンク78から蓄熱タンク64の底部側に熱媒体14が補給される。
【0048】
また、貯湯ユニットコントローラ62は、貯湯ユニット6等の制御手段であって、温度センサ68の検出温度や、リザーブタンク78にあるレベルセンサ84の検出出力等を制御情報とし、ポンプ66、76の駆動や停止、補水弁82の開閉等、機能部の制御を行う。
【0049】
貯湯ユニットコントローラ62にはリモートコントローラ36が接続されている。リモートコントローラ36は、貯湯ユニットコントローラ62の遠隔操作手段であって、既述の制御に必要な操作に用いられる。
【0050】
このコジェネレーションシステム2の排気処理について、図3を参照する。図3は排気処理の手順の一例を示している。
【0051】
この排気の処理手順は、本発明の排気処理方法の一例であって、図3に示すように、熱源に生じた排気を熱交換する工程(ステップS11)と、熱交換によりドレンを含んだ排気を大径通路と小径通路に分流させ、排気からドレンを分離する工程(ステップS12)とを含んでいる。
【0052】
ステップS11では、エンジン8に生じた排気12を熱交換器42により熱媒体14に熱交換する。熱交換器42による熱交換によってドレン90(図4)を含んだ排気12を生じる。そこで、ステップS12では、排気12からサイレンサ44及びマフラ46によりドレン90を分離し、排出する。この場合、ドレン90を分離した排気12はマフラ46より排出される。
【0053】
次に、排気処理部18について、図4を参照する。図4は排気処理部の一例を示している。
【0054】
排気処理部18は、排ガス系統の排気に伴う騒音を抑制する消音手段であるとともに、熱交換器42で発生したドレンを排気12から分離させ、排出する機能を備えた排気装置である。
【0055】
エンジン8から排出された排気12は、濾過器40の触媒で有害物質が除去されるが、排気ガス回路38の熱交換器42で熱媒体14への熱交換により温度が低下する。熱交換後の排気12は、温度低下によりドレン(凝縮水)90を生じる。このドレン90は、圧力が高い排気12中でミスト状となり、排気12とともに移動する。この排気12及びドレン90は、熱交換器42の下流側からサイレンサ44に導かれる。熱交換器42とサイレンサ44との間にはU字形の排気路92が設置され、この排気路92を通してドレン90を含む排気12が流れる。
【0056】
サイレンサ44は、ドレン90を含む排気12の圧力を変化させてドレン90を析出させるための手段である大径管路として、第1の膨張室94、第2の膨張室96、第3の膨張室98を備える。膨張室94、96、98は、排気12を膨張させる手段である。膨張室94及び膨張室96の上部は管路100で連結され、膨張室96と膨張室98とは上部側及び底部側を並列化された一対の管路102、104で連結されている。管路100、102、104の直径は膨張室94、96、98の断面より狭く、圧縮手段を構成する。また、膨張室94及び膨張室96の底面側には小径管路としてドレン排出管106、108が形成され、これらドレン排出管106、108の終端部がドレントラップ部110側に接続されている。
【0057】
斯かる構成では、サイレンサ44の膨張室94の断面(直径)が導入路である排気路92の直径より大径であるため、また、膨張室96の断面(直径)が導入路である排気路92の直径より大径であるので、排気12の流速を低下させ、排気音を低下させることができる。
【0058】
排気路92からの排気12は、サイレンサ44の膨張室94の中途部に導かれ、膨張室94の上部側の管路100と、下部側にあるドレン排出管106とに分配される。排気12の大部分は、高圧状態が維持されて管路100を通り、次の膨張室96の上部側に入る。下部のドレン排出管106に入った排気12からドレン90が析出され、そのドレン90はドレントラップ部110に導かれ、ドレントラップ部110に滴下する。
【0059】
更に、膨張室94を通過した排気12は、膨張室94の上部側から膨張室94より小径の管路100を通して膨張室96の上部に導かれ、膨張室96に入る。膨張室96で膨張した排気12は、膨張室96より小径の管路102、104に分配された後、膨張室98に入るとともに、ドレン排出管108にも分配される。下部のドレン排出管108に入った排気12からドレン90が析出され、そのドレン90はドレントラップ部110に導かれ、ドレントラップ部110に滴下する。
【0060】
次に、マフラ46は、サイレンサ44を経た排気12を通過させて外部に放出させるとともに、消音及びドレン90の捕集機能を備える。このマフラ46には第1及び第2の膨張室112、114とともに、分離室116が備えられている。膨張室112にはサイレンサ44側の膨張室98が管路118で接続され、膨張室112、114は管路120で接続され、膨張室114及び分離室116が管路122で接続されている。管路118、120、122は、膨張室112、114及び分離室116より小径である。
【0061】
分離室116の下部には、排気12から分離されたドレン90を捕集するドレントラップ部110が設置され、このドレントラップ部110には所定レベルを超えたドレン90を排出させる排出口124及び排出管126が設置されている。ドレントラップ部110には、捕集したドレン90を捕集側と排出側とを分離する分離壁128が設置されている。
【0062】
また、分離室116の上部には、ドレン90を分離した排気12を外気に放出させる排気部130が設置されている。この場合、ドレン排出管106、108側に分配されて流れる排気12もドレントラップ部110を備える分離室116に導かれ、ドレン90と分離されて排気部130から外気に放出される。
【0063】
斯かる構成では、排気12は膨張室98の上部側から膨張室98よりも小径な管路118を通ってマフラ46の膨張室112の上部側に入り、管路120で接続された同形状の膨張室112、114を経て、管路122を通って分離室116に至る。分離室11 6は大径であるため、その背圧は例えば、その上流の排気路92の1/10程度(約10〔mAq〕)となっているため、ドレン90が大量に分離される。
【0064】
分離室116の最下部にはドレン90を貯留するドレントラップ部110が設置され ており、所定レベルを超えたドレン90が排出口124、ドレン排出管126を経て外部に排出される。
【0065】
分離室116は、大径で縦長構造になっているため、ドレン90が分離し易くなっており、上部には排気部130が設置され、排気12が機外に排出されるようになっている。また、排気部130は大径であるため、内圧は充分に低下している。
【0066】
サイレンサ44の膨張室94、96、98、マフラ46の膨張室112、114、分離室116は、中空構造になっていてドレン90が滴り落ち易くなっている。また、これらの接続通路である管路100、102、104、118、120、122、ドレン排出管106、108等の材質は、コンパクト化、低コスト化を図るため、樹脂でも良く、また、ユニット化しても良い。
【0067】
そして、膨張室94、96、98と分離室116とを結ぶ細い管路であるドレン排出管106、108は、熱交換で発生したドレンの回収機能と、排気音の抑制機能とを有する。排気音に関し、排気12にドレン90が混入していると、排気12及びドレン90の移動方向が同じでも、両者の質量差により水を噴くような音(排気音)を生じさせる。上記実施の形態では、膨張室94、96、98が備えられ、膨張室94で排気12からドレン90を分離させる第1段目の分離を行い、膨張室96でドレン90を含む排気12からドレン90を分離させる第2段目の分離を行う。このため、管路100では、大部分が排気12であって、少量のドレン90を含み、ドレン排出管106、108では、排気12から析出したドレン90と、少量の排気12とを含んでいる。従って、ドレン90の回収とともに、排気12が通過する膨張室94、96、98から分離室116に至る通路で発生させる排気音を低減することができる。
【0068】
上記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0069】
(1) エンジン8等の熱源で生じた排気熱を回収する気体−液体熱交換器によって生じたドレンを含む排気12からドレン90を分離するので、ドレンを含まない排気を外気に排出できるとともに、排気12とは別個にドレン90を排出させることができる。
【0070】
(2) 排気12を上方に導く押上通路や、排気を下方に導く降下通路で排気通路を形成する必要がないので、排気通路を設置する際の上下方向の制約や、膨張室の形状や排気方向に制約を受けることがなく、排気処理をコンパクト化することができる。
【0071】
(3) サイレンサ等の吐出圧の高い部分にドレン90を含む排気12を導いて排気12からドレン90を分離するとともに、排気12を排出側の内圧が低い部分に導いて排気12からドレン90を分離するので、ドレン分離を効率的に行うことができる。具体的には、サイレンサ等の吐出圧の高い部分からドレン90を伴う排気12を内圧が低いマフラ46に導き、気液分離を行うので、液体であるドレン90の自重落下を利用でき、容易且つ効率的な気液分離を実現できる。
【0072】
(4) 排気音を抑制することができる。
【0073】
〔第2の実施の形態〕
【0074】
第2の実施の形態について、図5図6及び図7を参照する。図5図7は第2の実施の形態に係るコジェネレーションシステムの排気処理部の一例を示している。
【0075】
上記実施の形態では、ドレン90を未処理で機外に排出する構成になっているが、図5に示すように、ドレン90の中和手段として機外部に中和器132を設置し、この中和器132にドレン排出管126を接続してもよい。中和器132にはドレン90を中和する中和剤134を装填し、この中和剤134でドレン90を中和した後、排出する構成としてもよい。
【0076】
中和器132は、図6に示すように、機内に設置する構成とし、ドレン排出管126の中途部に設置してもよい。
【0077】
また、ドレントラップ部110は、中和器132の機能を備えてもよく、図7に示すように、ドレントラップ部110の分離壁128の前後に中和剤134を設置してもよい。斯かる構成とすれば、ドレントラップ部110にある中和剤134でドレン90を中和し、中和後のドレン90をドレン排出管126から機外に排出することができる。
【0078】
ドレントラップ部110に中和剤134を充填すれば、中和機能を兼ねることが可能であり、設備のコンパクト化を図ることができる。
【0079】
〔第3の実施の形態〕
【0080】
第3の実施の形態について、図8を参照する。図8は第3の実施の形態に係るコジェネレーションシステムの排気処理部の一例を示している。
【0081】
第1の実施の形態では、排気処理部18のサイレンサ44に膨張室94、96、98を備えたが、図8に示すように、第1及び第2の膨張室136、138を備える構成としてもよい。
【0082】
膨張室136の上部には排気路92からドレン90を含む排気12が供給され、膨張室136、138は、下部側で管路140で連結されている。この場合、管路118は膨張室138の上部側に接続されている。
【0083】
斯かる構成では、ドレン90を含む排気12が膨張室136に流れ、排気路92より径大な膨張室136で膨張するとともに、膨張室136の下部側にある小径のドレン排出管106に分配される。膨張室136及びドレン排出管106で析出したドレン90がドレン排出管106を通してドレントラップ部110に流れる。
【0084】
膨張室136から小径の管路140を介して膨張室138に流れた排気12からドレン90が凝固し、膨張室138の底部側にあるドレン排出管108からドレントラップ部110に流れる。
【0085】
膨張室138を通過した排気12は、管路118を通してマフラ46側に流れる。マフラ46側の機能は既述の通りであるので、その説明を省略する。
【0086】
ドレン排出管106、108側に分配されて流れる排気12は、ドレントラップ部110を備える分離室116に導かれ、ドレン90と分離されて排気部130から外気に放出される。
【0087】
〔他の実施の形態〕
【0088】
(1) 上記実施の形態では、2つのドレン排出管106、108を設置しているが、これに限定されることなく、2ヶ所以上にドレン排出管を増加させ、分離室116にドレン90を導く構成としてもよい。
【0089】
(2) 上記実施の形態では、排熱源及び排気源としてエンジン8を例示しているが、エンジン8以外の熱源又は排気源であってもよい。
【0090】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、エンジン等の熱源を用いたコジェネレーションシステム等に広く利用され、排気熱の熱交換で生じたドレンを排気から分離して効率よく排出できる。
【符号の説明】
【0092】
2 コジェネレーションシステム
4 発電ユニット
6 貯湯ユニット
8 エンジン
10、14 熱媒体
12 排気
18 排気処理部
38 排気ガス回路
40 濾過器
42 熱交換器
44 サイレンサ
46 マフラ
94、96、98 膨張室
106、108 ドレン排出管
112、114 膨張室
116 分離室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8