特許第5770437号(P5770437)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770437
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】包装具および包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 67/02 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   B65D67/02 H
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-155709(P2010-155709)
(22)【出願日】2010年7月8日
(65)【公開番号】特開2012-17125(P2012-17125A)
(43)【公開日】2012年1月26日
【審査請求日】2013年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(73)【特許権者】
【識別番号】305002143
【氏名又は名称】ミードウェストベーコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 裕之
(72)【発明者】
【氏名】池田 民生
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第2851210(US,A)
【文献】 特表平10−511913(JP,A)
【文献】 特開平8−2551(JP,A)
【文献】 特表2002−508729(JP,A)
【文献】 特表2003−516910(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0094386(US,A1)
【文献】 特開昭61−047355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00−79/02
B65D 81/18−81/30
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の容器を複数個並べて包装する包装具であり、それぞれ板状材からなる天面部、側面部及び底面部とを備え、前記天面部から各側面部へ2本の切断線を設けて把持部を形成し、前記各切断線の間の前記天面部と各側面部との境界領域に、前記把持部が引き上げられた際に容器上縁部を突出させる開口部を形成してなる包装具において、
前記開口部の前記天面部と各側面部との境界の折曲線を含む領域に、前記把持部が引き上げられた際に容器上縁部に接触するフラップを設け、
前記フラップは、前記天面部から前記側面部にかけて形成されており、
前記フラップに、容器上縁部が接触した際に追従して前記フラップを外側に折り曲げる第1折曲線と、前記境界に沿って形成された第2折曲線とが設けられ、
前記第1折曲線は、前記天面部から前記側面部にかけて形成されていることを特徴とする包装具。
【請求項2】
前記フラップを形成するカット線は、少なくとも終端部を曲線状にカットして形成されたことを特徴とする請求項に記載の包装具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装具に円柱状の容器を複数個並べて包装してなることを特徴とする包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶ビールなどの円柱状の容器を複数個並べた状態で被覆する板紙製の包装具、それを用いて複数個の容器を包装した包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、缶ビールなどの円柱状の容器を複数個並べた状態で被覆する板紙製の包装具(包装用結束具、マルチパックなどとも称される)が提供されている。
商品包装状態で持ち易さを向上した従来の包装具として、把持部を設けるとともに、側面の容器接触部に開口部を設けることにより、把持部を持ち上げた際に開口部が開いて容器幅より内側に包装具が食い込むことにより、把持部の持ち上がり幅が大きく取れ、持ちやすさが向上するタイプがある。
従来、この種の包装具に関して、例えば、特許文献1〜3に開示された技術が提案されている。
【0003】
特許文献1(特開平8−2551号公報)には、左右に並ぶ複数個の商品を被覆する板紙製の包装用結束具において、前壁の上部から頂壁を通り後壁の上部に至る二条の切目線を設け、この二条の切目線の間に位置し、商品と当接する頂壁の前後端の稜線部に切目線を設けたことを特徴とする包装用結束具が開示されている。
【0004】
特許文献2(特開2005−153913号公報)には、天板に一対の側板及び底板を順次連設して、集積した飲料容器等の包装物を包み込む板紙製マルチパックにおいて、天板から両側板上部への切込により取手を設け、この取手の中央部分を把持部とし、側板寄りの部分を二股状に脚部が分かれた形状としたことを特徴とするマルチパックが開示されている。
【0005】
特許文献3(特開2005−335804号公報)には、円筒状の容器を複数個まとめて包装する包装具であって、それぞれ板状材からなる上面部、側面部及び底面部とを備え、前記上面部から各側面部へ2本の切断線を設けて把持部を形成し、前記各切断線の間であって前記上面部と各側面部との境界領域に所定の幅及び高さを有する開口部を設け、前記開口部を、前記把持部が引き上げられて前記開口部が容器上端部側に近接した場合に、前記開口部の幅方向両端が前記容器上端部に接触するよりも先に開口部の下縁が容器の外周面に接触するように形成したことを特徴とする包装具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−2551号公報
【特許文献2】特開2005−153913号公報
【特許文献3】特開2005−335804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の包装具にあっては、複数の容器を並べて包装具で被覆した包装体の把持部を持ち上げて搬送する際、開口部の角部分に容器上縁部が接触し、包装体の重量がこの角部分に集中して加わり、この角部分を起点として包装具が裂けやすくなるという問題があった。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、複数の容器を並べて包装した包装体の把持部を持ち上げた際、開口部の角部分に容器上縁部が接触しても該角部分の重量負荷集中を緩和でき、裂け難い包装具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、円柱状の容器を複数個並べて包装する包装具であり、それぞれ板状材からなる天面部、側面部及び底面部とを備え、前記天面部から各側面部へ2本の切断線を設けて把持部を形成し、前記各切断線の間の前記天面部と各側面部との境界領域に、前記把持部が引き上げられた際に容器上縁部を突出させる開口部を形成してなる包装具において、前記開口部の前記天面部と各側面部との境界の折曲線を含む領域に、前記把持部が引き上げられた際に容器上縁部に接触するフラップを設け、前記フラップは、前記天面部から前記側面部にかけて形成されており、前記フラップに、容器上縁部が接触した際に追従して前記フラップを外側に折り曲げる第1折曲線と、前記境界に沿って形成された第2折曲線とが設けられ、前記第1折曲線は、前記天面部から前記側面部にかけて形成されている包装具を提供する。
【0012】
本発明の包装具において、前記フラップを形成するカット線は、少なくとも終端部を曲線状にカットして形成されたことが好ましい。
【0013】
また本発明は、前記包装具に円柱状の容器を複数個並べて包装してなることを特徴とする包装体を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の包装具は、前記開口部の前記天面部と各側面部との境界の折曲線を含む領域に、前記把持部が引き上げられた際に容器上縁部に接触するフラップを設けたことによって、複数の容器を並べて包装した包装体の把持部を持ち上げた際、容器上縁部が開口部から突出してその上縁部が当たる部分がフラップと開口部の角部分との2箇所になることで、強度を上げることができ、裂け難くすることができる。
また、フラップが容器上縁部に接触した際に追従して外側に折れ曲がりながら容器上縁部を支持することで、包装体の重量負荷集中が緩和され、裂け難くすることができる。
また、フラップを形成するカット線の少なくとも終端部を曲線状にカットすることで、把持部を持ち上げ、容器上縁部が開口部から突出し、容器上縁部がフラップに接触した際に、カット線の終端から破れるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の包装具の実施形態を示す平面図である。
図2図1中の要部拡大図である。
図3図1の包装具を用いた本発明の包装体の実施形態を示す斜視図である。
図4図1の包装具を用いた本発明の包装体の実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(包装具)
図1は、本発明の包装具の実施形態を示す平面図であり、図2図1中の符号Aの部分の拡大図である。
本実施形態の包装具1は、缶ビールや缶ジュースなどの円柱状の容器を複数個並べて包装する包装具であり、耐水性の紙などの板状材からなる天面部2、側面部3,4及び底面部5,6とを備え、天面部2から各側面部3,4へ2本の切断線7,8を設けて把持部9を形成し、各切断線7,8の間の天面部2と各側面部3,4との境界領域に、把持部9が引き上げられた際に容器上縁部を突出させる開口部10,11を形成した構成になっている。
【0017】
本実施形態の包装具1は、各開口部10,11の天面部2と各側面部3,4との境界の折曲線12,13を含む領域に、把持部9が引き上げられた際に容器上縁部に接触するフラップ14a,14b,15a,15bを設けたことを特徴としている。
【0018】
前記把持部9は、天面部2から各側面部3,4に伸びる2本の切断線7,8によって形成されている。本例示では、中央部16,16が凹んだ円弧状をなす切断線7,8を設けている。これら切断線7,8の中央部16は、把持部9を持ち上げた際に下方に折り曲げられ、把持部9を持ち上げる際の隙間となり、また折り曲げられた中央部16が把持部9を補強するようになっている。これらの切断線7,8の終端部は、曲線状にカットして切断線7,8の方向を変えておき、把持部9を持ち上げて切断線7,8の終端部に負荷が加わった際に、切断線7,8に沿う方向に包装具1が破断し難くしておくことが好ましい。なお、これら切断線7,8のカット形状は本例示に限定されない。
【0019】
前記天面部2には、この包装具1によって複数の容器が包装された包装体を開封するためのミシン目17が設けられている。なお、包装体開封用のミシン目の形成位置、開封時に除去する部分の形状や大きさ等は、本例示に限定されない。例えば、各側面部3,4に帯状の除去部分を切り取り可能なミシン目を設けてもよい。
【0020】
本実施形態において、前記開口部10,11は、各切断線7,8の間であり、天面部2と各側面部3,4との境界領域を太い円弧状をなすように切欠いて形成され、それぞれの開口部10,11の両端に耳状をなすフラップ14a,14b,15a,15bを設けた構成になっている。なお、開口部10,11の形状は本例示に限定されるものではなく、例えば、略三日月状、略半円形状などとしてもよい。
【0021】
前記フラップ14a,14b,15a,15bは、開口部10,11形成用の切断線を延長したカット線18…によって形成されている。各フラップ14a,14b,15a,15bを形成している対をなすカット線18,18の終端間は、各フラップ14a,14b,15a,15bの折れ曲がりをスムーズに行わせるための折曲線19になっている。フラップ14a,14b,15a,15bの寸法は、包装具1の大きさ、容器の形状、重量、包装本数などに応じて適宜設定することが好ましい。例えば、缶ビールなど350〜500mLの缶容器を2×3の6缶詰めに包装する場合には、長さ5〜30mmの範囲、幅3〜10mmの範囲とすることが好ましい。この範囲より小さいと、把持部9を持ち上げてフラップ14a,14b,15a,15bが容器上縁部に接触した際に十分な強度上昇、負荷緩和効果が得られない恐れが生じる。この範囲より大きいとフラップ14a,14b,15a,15bが折れ曲がった際に包装体外側に突き出る部分が大きすぎ、運搬の際に運搬者の服に引っかかったり、収納時に不便となる恐れが生じる。
【0022】
前記フラップ14a,14b,15a,15bを形成するカット線18…は、終端部を曲線状にカットして、開口部10,11形成用の切断線の方向を変えている。カット線18…の終端部を曲線状にカットすることにより、把持部9を持ち上げ、容器上部が開口部10,11から突出し、容器上縁部がフラップ14a,14b,15a,15bに接触した際に、カット線18…の終端から破れるのを防ぐことができる。
【0023】
一方の底面部5には、複数の第1の係止部20…が設けられ、他方の底面部6には、前記第1の係止部20が挿入されることでこれを係止するための複数の第2の係止部21…が設けられている。これらの係止部20,21は、包装具1の前記折曲線12,13および各側面部3,4と各底面部5,6との境界の折曲線22,23をそれぞれ折り曲げて、底面部5,6の一部を重ね合わせて複数の容器を包んだ状態で、前記第1の係止部20を第2の係止部21に強制挿入することで、各底面部5,6同士が繋がって包装状態を維持するためのものである。なお、これらの係止部20,21の形状や形成個数、形成位置などは本例示に限定されず、包装具1の形状や大きさなどに応じて適宜変更できる。
【0024】
本実施形態の包装具1は、開口部10,11の天面部2と各側面部3,4との境界の折曲線12,13を含む領域に、把持部9が引き上げられた際に容器上縁部に接触するフラップ14a,14b,15a,15bを設けたことによって、複数の容器を並べて包装した包装体の把持部9を持ち上げた際、容器上縁部が開口部10,11から突出してその上縁部が当たる部分がフラップ14a,14b,15a,15bと開口部10,11の角部分との2箇所になることで、強度を上げることができ、裂け難くすることができる。
また、フラップ14a,14b,15a,15bが容器上縁部に接触した際に追従して外側に折れ曲がりながら容器上縁部を支持することで、包装体の重量負荷集中が緩和され、裂け難くすることができる。
また、フラップ14a,14b,15a,15bは、包装具1が成型された段階で天面部2、側面部3,4と同一の折曲線12,13に基づいて曲がった状態で、容器上縁部に接触した際に追従して外側に折れ曲がりながら容器上縁部を支持することで、折曲線のない状態のフラップよりも包装体の重量負荷に抵抗力を増し、衝撃を吸収することができる。
また、フラップ14a,14b,15a,15bを形成するカット線18…の少なくとも終端部を曲線状にカットすることで、把持部9を持ち上げ、容器上縁部が開口部10,11から突出し、容器上縁部がフラップに接触した際に、カット線18にかかる負荷が分散され、カット線18…の終端から破れるのを防ぐことができる。
【0025】
(包装体)
図3は、図1に示す前記包装具を用いた包装体の実施形態を示す斜視図であり、図4は同じ包装体の正面図である。
本実施形態の包装体30は、缶ビールや缶ジュースのような容器31を複数本並べ、図1に示す包装具1を用いて包装してなる構成になっている。
なお、本例示では、2×3に並べた6つの容器31を包装具1で包装しているが、包装体の構成は本例示に限定されるものではなく、容器31の包装本数に応じて適宜変更できる。
【0026】
この包装体30は、切断線7,8の中央部16を把持部9の下側に折り畳み、把持部9を掴んで持ち上げ、搬送する。この搬送時、把持部9に隣接する中央の容器31の上縁部は、開口部10から突出し、フラップ14a,14bに当たり、これらのフラップ14a,14bを外側に押し曲げる。さらに、容器31の上縁部は、開口部10の角部分に接触し、この角部分とフラップ14a,14bとの両方で支持される。これによって、把持部9を手で持って包装体30を搬送する場合に、容器上縁部が開口部10から突出してその上縁部が当たる部分がフラップ14a,14bと開口部10の角部分との2箇所になることで、強度を上げることができ、包装具1が裂け難くなる。
また、フラップ14a,14bが容器上縁部に接触した際に追従して外側に折れ曲がりながら容器上縁部を支持することで、包装体30の重量負荷集中が緩和され、包装具1が裂け難くなる。
また、フラップ14a,14b,15a,15bは、包装具1が成型された段階で天面部2、側面部3,4と同一の折曲線12,13に基づいて曲がった状態で、容器上縁部に接触した際に追従して外側に折れ曲がりながら容器上縁部を支持することで、折曲線のない状態のフラップよりも包装体30の重量負荷に抵抗力を増し、衝撃を吸収することができる。
また、フラップ14a,14bを形成するカット線18の少なくとも終端部を曲線状にカットすることで、把持部9を持ち上げ、容器上縁部が開口部10から突出し、容器上縁部がフラップに接触した際に、カット線18にかかる負荷が分散され、カット線の終端から包装具1が破れるのを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、缶ビールなどの円柱状の容器を複数個並べた状態で被覆する板紙製の包装具、それを用いて複数個の容器を包装した包装体に関する。
【符号の説明】
【0028】
1 包装具
2 天面部
3,4 側面部
5,6 底面部
7,8 切断線
9 把持部
10,11 開口部
12,13,22,23 折曲線
14a,14b,15a,15b フラップ
16 中央部
17 ミシン目
18 カット線
19 折曲線
20 第1の係止部
21 第2の係止部
30 包装体
31 容器
図1
図2
図3
図4