(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770455
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】超音波映像処理を行う超音波システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/08 20060101AFI20150806BHJP
A61B 8/14 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
A61B8/08ZDM
A61B8/14ZDM
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-262728(P2010-262728)
(22)【出願日】2010年11月25日
(65)【公開番号】特開2011-110431(P2011-110431A)
(43)【公開日】2011年6月9日
【審査請求日】2013年11月18日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0114280
(32)【優先日】2009年11月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】597096909
【氏名又は名称】三星メディソン株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG MEDISON CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】シン, ドン グック
(72)【発明者】
【氏名】キム, ゾン シク
【審査官】
後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−000638(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/068103(WO,A1)
【文献】
特開2005−279013(JP,A)
【文献】
特開2007−330764(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/020821(WO,A1)
【文献】
特開2007−275457(JP,A)
【文献】
特開2006−217939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波信号を送受信する超音波プローブを備え、前記超音波プローブを用いて対象体に対する複数の超音波データを取得する超音波データ取得部と、
前記超音波データ取得部に連結されて、前記複数の超音波データを用いて複数の超音波映像を形成し、前記超音波プローブの動き(motion)程度を推定し、前記動き程度に基づいて前記複数の超音波映像に映像補正のための映像処理を行うプロセッサと
を備え、
前記プロセッサは、
前記推定された動き程度に基づいて、前記動き程度が0ではないと判断されると、前記複数の超音波映像のうち最初に形成された第1の超音波映像とN(Nは2以上の整数)番目に形成された第Nの超音波映像との間の類似度を検出し、前記検出された類似度に基づいて前記第Nの超音波映像から前記第1の超音波映像と類似した超音波映像を抽出し、前記抽出した超音波映像を前記第Nの超音波映像にし、前記動き程度が0であると判断されると、前記第Nの超音波映像に前記映像処理を遂行しないように動作することを特徴とする超音波システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記複数の超音波データを用いて前記複数の超音波映像を形成する超音波映像形成部と、
前記超音波映像形成部で最初に形成された前記第1の超音波映像とN(Nは2以上の整数)番目に形成された前記第Nの超音波映像とを比較して前記動き程度を推定する動き程度推定部と、
前記動き程度に基づいて前記第Nの超音波映像に映像処理を行う映像処理部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波システム。
【請求項3】
前記動き程度推定部は、
前記第1の超音波映像から複数の第1の特徴点を抽出し、
前記第Nの超音波映像から複数の第Nの特徴点を抽出し、
前記第1の特徴点と前記第Nの特徴点との間でモーショントラッキング(motion tracking)を行って前記動き程度を推定することを特徴とする請求項2に記載の超音波システム。
【請求項4】
前記動き程度推定部は、
前記第1の超音波映像で前記対象体から複数の第1のコンターポイントを検出し、
前記第1のコンターポイントに基づいて、前記第1の超音波映像に対して前記対象体の第1のコンターを設定し、
前記第Nの超音波映像で前記対象体から複数の第Nのコンターポイントを検出し、
前記第Nのコンターポイントに基づいて、
前記第Nの超音波映像に対して前記対象体の第Nのコンターを設定し、
前記第1のコンターと前記第Nのコンターとの間でモーショントラッキングを行って前記動き程度を推定することを特徴とする請求項2に記載の超音波システム。
【請求項5】
ユーザの入力情報を受信するユーザ入力部をさらに備え、
前記動き程度推定部は、
前記ユーザの前記入力情報に基づいて、前記第1の超音波映像に対して前記対象体の第1のコンターを設定し、
前記入力情報に基づいて、前記第Nの超音波映像に対して前記対象体の第Nのコンターを設定し、
前記第1のコンターと前記第Nのコンターとの間でモーショントラッキングを行って前記動き程度を推定することを特徴とする請求項2に記載の超音波システム。
【請求項6】
前記映像処理部は、
前記動き程度を分析して前記動き程度が0ではないと判断されると、前記第1の超音波映像と前記第Nの超音波映像との間で前記類似度を検出し、
前記類似度に基づいて前記第Nの超音波映像から前記第1の超音波映像と類似する超音波映像を抽出し、
前記動き程度が0であると判断されると、前記第Nの超音波映像に映像処理を行わないことを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の超音波システム。
【請求項7】
前記超音波プローブの一側面に装着され、前記超音波プローブの位置を検知し、前記位置に対応する検知信号を形成する検知部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記複数の超音波データを用いて前記複数の超音波映像を形成する超音波映像形成部と、
前記検知信号に基づいて、前記超音波映像形成部で最初に形成された前記第1の超音波映像とN(Nは2以上の整数)番目に形成された前記第Nの超音波映像との間の前記動き程度を推定する動き程度推定部と、
前記動き程度に基づいて前記第Nの超音波映像に映像処理を行う映像処理部と
を備えることを特徴とする請求項7に記載の超音波システム。
【請求項9】
前記映像処理部は、
前記動き程度を分析して前記動き程度が0ではないと判断されると、前記第1の超音波映像と前記第Nの超音波映像との間で前記類似度を検出し、
前記類似度に基づいて前記第Nの超音波映像から前記第1の超音波映像と類似する超音波映像を抽出し、
前記動き程度が0であると判断されると、前記第Nの超音波映像に映像処理を行わないことを特徴とする請求項8に記載の超音波システム。
【請求項10】
前記映像処理された複数の超音波映像を順次格納する格納部をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の超音波システム。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記格納された複数の超音波映像にフィルタリング処理をさらに行うことを特徴とする請求項10に記載の超音波システム。
【請求項12】
超音波プローブを備える超音波システムにおける超音波映像処理方法であって、
a)超音波信号を対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して複数の超音波データを取得する段階と、
b)前記複数の超音波データを用いて複数の超音波映像を形成する段階と、
c)前記複数の超音波映像を用いて前記超音波プローブの動き程度を推定する段階と、
d)前記動き程度に基づいて前記複数の超音波映像に映像補正のための映像処理を行う段階と
を備え、
前記段階d)は、前記推定された動き程度に基づいて、前記動き程度が0ではないと判断されると、前記複数の超音波映像のうち最初に形成された第1の超音波映像とN(Nは2以上の整数)番目に形成された第Nの超音波映像との間の類似度を検出し、前記検出された類似度に基づいて前記第Nの超音波映像から前記第1の超音波映像と類似した超音波映像を抽出し、前記抽出した超音波映像を前記第Nの超音波映像にし、前記動き程度が0であると判断されると、前記第Nの超音波映像に前記映像処理を遂行しないように動作する段階とを備えることを特徴とする超音波映像処理方法。
【請求項13】
前記段階c)は、
前記段階b)で最初に形成された前記第1の超音波映像から複数の第1の特徴点を抽出する段階と、
前記段階b)でN(Nは2以上の整数)番目に形成された前記第Nの超音波映像から複数の第Nの特徴点を抽出する段階と、
前記複数の第1の特徴点と前記複数の第Nの特徴点との間でモーショントラッキング(motion tracking)を行って前記動き程度を推定する段階と
を備えることを特徴とする請求項12に記載の超音波映像処理方法。
【請求項14】
前記段階c)は、
前記段階b)で最初に形成された前記第1の超音波映像で前記対象体から複数の第1のコンターポイントを検出する段階と、
前記複数の第1のコンターポイントに基づいて、前記第1の超音波映像に対して前記対象体の第1のコンターを設定する段階と、
前記段階b)でN(Nは2以上の整数)番目に形成された前記第Nの超音波映像で前記対象体から複数の第Nのコンターポイントを検出する段階と、
前記複数の第Nのコンターポイントに基づいて、前記第Nの超音波映像に対して前記対象体の第Nのコンターを設定する段階と、
前記第1のコンターと前記第Nのコンターとの間でモーショントラッキングを行って前記動き程度を推定する段階と
を備えることを特徴とする請求項12に記載の超音波映像処理方法。
【請求項15】
前記段階c)は、
ユーザの入力情報に基づいて、前記段階b)で最初に形成された前記第1の超音波映像に対して前記対象体の第1のコンターを設定する段階と、
前記入力情報に基づいて、前記段階b)でN(Nは2以上の整数)番目に形成された前記第Nの超音波映像に対して前記対象体の第Nのコンターを設定する段階と、
前記第1のコンターと前記第Nのコンターとの間でモーショントラッキングを行って前記動き程度を推定する段階と
を備えることを特徴とする請求項12に記載の超音波映像処理方法。
【請求項16】
前記段階d)は、
前記動き程度を分析する段階と、
前記動き程度の分析の結果、前記動き程度が0ではないと判断されると、前記第1の超音波映像と前記第Nの超音波映像との間で前記類似度を検出する段階と、
前記類似度に基づいて前記第Nの超音波映像から前記第1の超音波映像と類似する超音波映像を抽出する段階と、
前記動き程度の分析の結果、前記動き程度が0であると判断されると、前記第Nの超音波映像に前記映像処理を行わない段階と
を備えることを特徴とする請求項12ないし15のいずれかに記載の超音波映像処理方法。
【請求項17】
e)前記映像処理された複数の超音波映像を順次格納する段階と、
f)前記格納された複数の超音波映像にフィルタリング処理を行う段階と
をさらに備えることを特徴とする請求項12ないし16のいずれかに記載の超音波映像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波システムに関し、特に、超音波プローブの動き程度(動きの度合い)に基づいて超音波映像処理を行う超音波システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波システムは、無侵襲および非破壊特性を有しており、対象体内部の情報を得るために医療分野で広く用いられている。超音波システムは、対象体を直接切開して観察する外科手術の必要がなく、対象体の内部組織を高解像度の映像で医師に提供することができるため、医療分野で非常に重要なものとして用いられている。
【0003】
超音波システムは、超音波信号を対象体に送信し、対象体から反射される超音波信号(すなわち、超音波エコー信号)を受信して超音波映像を形成する。超音波システムは、超音波信号の送受信を繰り返し行って複数の超音波映像を形成する。
【0004】
一方、複数の超音波映像、特に連続的に送受信される超音波信号を用いてDモード(Doppler mode)映像または弾性映像を形成する場合、超音波プローブが対象体の同じ位置で超音波信号を送受信しなければならない。しかしながら、対象体の表面が屈曲しているのと、ユーザである検査者の手が動いてしまうため、超音波プローブを同じ位置に一定時間、固定するのは難しく、超音波映像の画質が低下する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−201049号公報
【特許文献2】国際公開WO2006/068103
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、超音波プローブの動き程度を推定し、その推定された動き程度に基づいて超音波映像に映像補正のための映像処理を行うシステムおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における超音波システムは、超音波信号を送受信する超音波プローブを備え、前記超音波プローブを用いて対象体に対する複数の超音波データを取得する超音波データ取得部と、前記超音波データ取得部に連結されて、前記複数の超音波データを用いて複数の超音波映像を形成し、前記超音波プローブの動き(motion)程度を推定し、前記動き程度に基づいて前記複数の超音波映像に映像補正のための映像処理を行うプロセッサとを備える。
【0008】
また、本発明における、超音波プローブを備える超音波システムにおける超音波映像処理方法は、a)超音波信号を対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して複数の超音波データを取得する段階と、b)前記複数の超音波データを用いて複数の超音波映像を形成する段階と、c)前記複数の超音波映像を用いて前記超音波プローブの動き程度を推定する段階と、d)前記動き程度に基づいて前記複数の超音波映像に映像補正のための映像処理を行う段階とを備える。
【0009】
また、本発明における、超音波プローブを備える超音波システムにおける超音波映像処理方法は、a)超音波信号を対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して複数の超音波データを取得する段階と、b)前記複数の超音波データを用いて複数の超音波映像を形成する段階と、c)前記超音波プローブの位置を検知して検知信号を形成する段階と、d)前記検知信号に基づいて前記超音波プローブの動き程度を推定する段階と、e)前記動き程度に基づいて前記複数の超音波映像に映像処理を行う段階とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、超音波プローブの動き程度に基づいて超音波映像に補正を行う映像処理を行うことができ、さらに正確な超音波映像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例における超音波システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施例における超音波データ取得部の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施例におけるプロセッサの構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施例によって超音波映像に映像処理を行う例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施例における超音波システムの構成を示すブロック図である。
図1を参照すると、超音波システム100は、超音波データ取得部110およびプロセッサ120を備える。また、超音波システム100は、ディスプレイ部130、ユーザ入力部140、検知部150および格納部160をさらに備える。
【0014】
超音波データ取得部110は、超音波信号を対象体に送信し、対象体から反射される超音波信号(すなわち、超音波エコー信号)を受信して超音波データを取得する。超音波データ取得部110については、
図2を参照してさらに詳細に説明する。
【0015】
図2は、本発明の実施例における超音波データ取得部の構成を示すブロック図である。
図2を参照すると、超音波データ取得部110は、送信信号形成部111、複数の電気音響変換素子(transducer element:以下単に変換素子と呼ぶ)(図示せず)を含む超音波プローブ112、ビームフォーマ113および超音波データ形成部114を備える。
【0016】
送信信号形成部111は、変換素子および集束点を考慮して、超音波映像を得るための送信信号を形成する。本実施例において、超音波映像は、Bモード(brightness mode)映像、Dモード(Dopplermode)映像、Cモード(color Doppler mode)映像、弾性映像、3次元超音波映像などを含む。送信信号形成部111は、送信信号を順次的に形成して複数の送信信号を形成する。
【0017】
超音波プローブ112は、送信信号形成部111から送信信号が提供されると、送信信号を超音波信号に変換して対象体に送信し、対象体から反射される超音波エコー信号を受信して受信信号を形成する。受信信号は、アナログ信号である。超音波プローブ112は、送信信号形成部111から順次的に提供される送信信号に基づいて、超音波信号を順次的に送受信して複数の受信信号を形成する。超音波プローブ112は、3Dメカニカルプローブ(three-dimensional mechanical probe)、2Dアレイプローブ(two-dimensional array probe)などを含む。
【0018】
ビームフォーマ113は、超音波プローブ112から受信信号が提供されると、受信信号をアナログデジタル変換して、デジタル信号を形成する。また、ビームフォーマ113は、変換素子および集束点を考慮して、デジタル信号を受信集束させて受信集束信号を形成する。ビームフォーマ113は、超音波プローブ112から順次的に提供される受信信号に基づいて、アナログデジタル変換および受信集束を順次的に行って複数の受信集束信号を形成する。
【0019】
超音波データ形成部114は、ビームフォーマ113から受信集束信号が提供されると、受信集束信号を用いて超音波データを形成する。超音波データは、RF(radio frequency)データを含む。しかし、超音波データは必ずしもこれに限定されない。超音波データ形成部114は、ビームフォーマ113から順次的に提供される受信集束信号に基づいて、超音波データを順次的に形成して複数の超音波データを形成する。
【0020】
再び
図1を参照すると、プロセッサ120は、超音波データ取得部110から提供される複数の超音波データを用いて複数の超音波映像を形成し、超音波プローブ112の動き程度を推定して複数の超音波映像に対して動き補正の映像処理を行う。プロセッサ120については、
図3を参照して、さらに詳細に説明する。
【0021】
図3は、本発明の実施例におけるプロセッサの構成を示すブロック図である。プロセッサ120は、超音波映像形成部121、動き程度推定部122および映像処理部123を備える。
【0022】
超音波映像形成部121は、超音波データ取得部110から超音波データが提供されると、超音波データを用いて超音波映像を形成する。超音波映像形成部121は、超音波データ取得部110から順次的に提供される超音波データに基づいて、超音波映像を順次的に形成して複数の超音波映像を形成する。超音波映像形成部121で形成された複数の超音波映像は、格納部160に順次格納される。
【0023】
動き程度推定部122は、超音波プローブ112の動き程度を推定する。本発明の一実施例において、動き程度推定部122は、超音波映像形成部121で最初に形成された超音波映像(以下、第1の超音波映像という)と、超音波映像形成部121でN番目(Nは2以上の整数)に形成された超音波映像(以下、第Nの超音波映像という)とを比較して超音波プローブ112の動き程度を推定する。
【0024】
一例として、動き程度推定部122は、
図4に示すように、第1の超音波映像210から複数の第1の特徴点211〜214を抽出し、抽出された第1の特徴点211〜214を基準特徴点として設定する。動き程度推定部122は、
図4に示すように、第2の超音波映像220から複数の第2の特徴点221〜224を抽出する。
図4において、第2の超音波映像220の点線部分は、第1の超音波映像と共通しない部分を示す。動き程度推定部122は、第1の特徴点211〜214と第2の特徴点221〜224との間にモーショントラッキング(motion tracking)を行って動き程度(以下、第1の動き程度という)を推定する。
【0025】
ここで、モーショントラッキングは、MSE(mean squared error)、SAD(sum of absolute differences)、MAD(mean absolute difference)、SSE(sum of squared errors)およびSATD(sum of absolute transformed difference)を含む評価マトリクス(evaluation matrix)と、BMA(block matching algorithm)、位相相関および周波数ドメイン方法(phase correlation and frequency domain methods)、ピクセル反復法(pixel recursive algorithm)、オプティカルフロー(optical flow)などを含む直接方法(direct methods)等を用いて行うことができる。
【0026】
動き程度推定部122は、
図4に示すように、第3の超音波映像230から複数の第3の特徴点231〜234を抽出する。動き程度推定部122は、第1の特徴点211〜214と第3の特徴点231〜234との間にモーショントラッキングを行って動き程度(以下、第2の動き程度という)を推定する。
【0027】
本発明の他の実施例において、動き程度推定部122は、第1の超音波映像で対象体に対応する複数のコンターポイント(contour point:輪郭点)を検出し、検出されたコンターポイントに基づいて、第1の超音波映像に対して対象体の第1のコンター(輪郭)を設定する。動き程度推定部122は、第1のコンターを基準コンターとして設定する。コンターポイントは、公知の様々な方法を用いて検出することができる。動き程度推定部122は、第Nの超音波映像(Nは2以上の整数)で対象体に対応する複数のコンターポイントを検出し、検出されたコンターポイントに基づいて、第Nの超音波映像に対して対象体の第Nのコンターを設定する。動き程度推定部122は、第1のコンターと第Nのコンターとの間にモーショントラッキングを行って超音波プローブ112の動き程度を推定する。
【0028】
本発明のさらに他の実施例において、動き程度推定部122は、ユーザ入力部140から提供される入力情報に基づいて、第1の超音波映像に対して対象体に対応する第1のコンターを設定し、第Nの超音波映像(Nは2以上の整数)に対して対象体に対応する第Nのコンターを設定する。動き程度推定部122は、第1のコンターと第Nのコンターとの間にモーショントラッキングを行って超音波プローブ122の動き程度を推定する。
【0029】
本発明のさらに他の実施例において、動き程度推定部122は、検知部150から検知信号が提供されると、検知信号に基づいて、第1の超音波映像と第Nの超音波映像との間に対して、超音波プローブ112の動き程度を推定する。一例として、動き程度推定部122は、検知部150から最初に提供される検知信号を基準検知信号として設定する。動き程度推定部122は、検知部150から新たな検知信号が提供されると、基準検知信号と新たな検知信号とを比較して、第1の超音波映像と第Nの超音波映像との間に対して超音波プローブ112の動き程度を推定する。
【0030】
映像処理部123は、動き程度推定部122で推定された動き程度に基づいて、複数の超音波映像に対して映像処理を行う。映像処理された超音波映像は、格納部160に格納される。
【0031】
一例として、映像処理部123は、
図4に示すように、第1の超音波映像210と第2の超音波映像220との間の第1の動き程度を分析して、第1の動き程度が0ではないと判断されると、すなわち、超音波プローブ112が最初の位置から他の位置に動いたものと判断されると、第1の超音波映像210と第2の超音波映像220との間に類似度を検出する。映像処理部123は、検出された類似度に基づいて、第2の超音波映像220から第1の超音波映像210と類似する超音波映像220’のみを抽出する。
【0032】
映像処理部123は、
図4に示すように、第1の超音波映像210と第3の超音波映像230との間の第2の動き程度を分析して、第2の動き程度が0であると判断されると、すなわち、超音波プローブ112が最初の位置にあり、動きがないと判断されると、第3の超音波映像230に対して映像処理を行わない。
【0033】
なお、第2の特徴点221〜224および第3の特徴点231〜234を含む第Nの特徴点は、第Nの超音波映像において、第1の超音波映像210の第1の特徴点211〜214と同じ位置から抽出される。
【0034】
他の例として、映像処理部123は、格納部160に順次格納された複数の超音波映像、すなわち、動き程度の映像処理を行った複数の超音波映像にさらにフィルタリング処理(例えば、平均フィルタリング(average filtering)等)を行うことができる。したがって、画質が改善された超音波映像を提供することができる。
【0035】
前述した例では、推定された動き程度に基づいて、第1の超音波映像と類似する超音波映像を抽出することについて説明したが、他の例では抽出された超音波映像に補間処理を行うこともできる。
【0036】
再び
図1を参照すると、ディスプレイ部130は、プロセッサ120で形成された超音波映像を表示する。ディスプレイ部130は、プロセッサ120で映像処理された超音波映像を表示する。
【0037】
ユーザ入力部140は、ユーザの入力情報を受信する。本実施例において、入力情報は、超音波映像に対象体のコンターを設定するコンター設定情報を含む。ユーザ入力部140は、コントロールパネル(control panel)、マウス(mouse)、キーボード(keyboard)などを含む。
【0038】
検知部150は、超音波プローブ112の一側面に装着される。検知部150は、超音波プローブ112の位置(例えば、3次元位置)を検知し、検知された位置に対応する検知信号を形成する。検知部150は、超音波プローブ112の位置を検知することができる装置であれば、どのような装置でも良い。一例として、検知部150は、フォトインタラプタ(photo interrupter)、ホールセンサ(hole sensor)、マグネチックセンサ(magnetic sensor)、エンコーダ(encoder)などを含む。
【0039】
格納部160は、プロセッサ120で形成された複数の超音波映像を格納する。また、格納部160は、プロセッサ120で映像処理された複数の超音波映像を順次格納する。
【0040】
本発明は、望ましい実施例によって説明および例示をしたが、当業者であれば添付した特許請求の範囲の事項および範疇を逸脱することなく、様々な変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
100 超音波システム
110 超音波データ取得部
111 送信信号形成部
112 超音波プローブ
113 ビームフォーマ
114 超音波データ形成部
120 プロセッサ
121 超音波映像形成部
122 動き程度推定部
123 映像処理部
130 ディスプレイ部
140 ユーザ入力部
150 検知部
160 格納部
210〜230 第1ないし第3の超音波映像
211〜214 第1の特徴点
221〜224 第2の特徴点
231〜234 第3の特徴点