(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記周辺領域に対応する位置で、前記電気粘性流体の粘度が、前記連続入力の経路に沿って増加するように制御する第1方法、前記連続入力の経路に沿って減少するように制御する第2方法、前記連続入力の経路に沿って一定に維持されるように制御する第3方法、及び前記連続入力の経路に沿って増減が反復されるように制御する第4方法のうちで選択された一つの方法または二つ以上の方法の組合せを使用して制御を行う、
請求項2に記載のタッチパネル。
前記所定のパターンは、印加される前記駆動電圧が、前記連続入力の経路に沿って増加する第1パターン、前記連続入力の経路に沿って減少する第2パターン、前記連続入力の経路に沿って一定に維持される第3パターン、及び前記連続入力の経路に沿って増減が反復される第4パターンのうちから選択された一つのパターンまたは二つ以上のパターンの組合わせである、
請求項7に記載のタッチパネル。
前記制御部は、前記最近入力位置にある駆動電極対に加えられた駆動電圧の大きさを基準に、前記周辺領域にある駆動電極対に加えられる駆動電圧の大きさを変化させて、前記駆動電圧を増加させるか、減少させる、
請求項8に記載のタッチパネル。
前記制御部は、前記最近入力位置が前記オブジェクトに近くなるほど前記駆動電圧の大きさが大きくなり、前記オブジェクトに到逹する直前に最大になるように、該駆動電圧の大きさを制御する、
請求項13に記載のタッチパネル。
前記制御部は、前記最近入力位置が前記ウィンドウ境界に近くなるほど前記駆動電圧が増加または減少し、前記ウィンドウ境界に到逹する直前に最大または最小になるように、前記駆動電圧の大きさを制御する、
請求項15に記載のタッチパネル。
前記周辺領域にある駆動電極対に印加される前記駆動電圧は、パルス波形で印加され、前記制御部は、前記タッチスクリーンで前記スクロールバーが移動することができるウィンドウ内での位置を考慮して、前記駆動電圧の大きさを制御する、
請求項17に記載のタッチパネル。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を詳しく説明する。本発明の態様を説明するに当たって、関連した公知機能または構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、後述する用語は、本発明の実施形態での機能を考慮して定義された用語であって、これは、ユーザ、運用者の意図または慣例などによって変わりうる。したがって、その定義は、本明細書全般に亘った内容に基づいて下さなければならない。
【0013】
後述するタッチパネルは、ユーザ接触面(user touch surface)を通じてユーザからの連続的な接触または加圧を感知して所定の命令を実行する電子機器のユーザ入力装置(user input device)として使用される。命令は、あらかじめ定められたものであってよい。すなわち、ユーザは、タッチパネルのユーザ接触面を連続して接触または加圧することによって、タッチパネルを備えた電子機器に所定の命令を入力することができる。このような連続入力(continuous input)またはマルチタッチ入力(multi touch input)は、入力が維持された状態で入力位置(すなわち、ユーザが接触するユーザ接触面の位置)が連続して移動することを示す。すなわち、連続入力は、所定の時間の間の入力位置が所定の経路に沿って移動することを示し、ユーザがタッチパネルの特定位置のみを反復的にタップピング(tapping)するもの、所定の時間の間の特定位置のみを接触し続けまたは加圧(pressing)しているもの、または入力位置が変わるが、不連続して接触または加圧をするものなどとは区別される。連続入力の具体的な移動経路や移動距離、及び移動速度だけではなく、連続入力が電子機器に如何なる命令に機能するかなどは、本実施形態と無関係であるということは当業者に自明である。
【0014】
そして、このようなタッチパネルは、ユーザ入力装置としてさまざまな種類の電子機器に備えられうる。例えば、タッチパネルは、ノート型パソコンやネットブックなどのタッチパッドとして使われるということはもとより、連続入力機能が具現されたさまざまな種類の家庭用電子機器や事務用電子機器などで入力装置として使われる。それだけではなく、タッチパネルは、電子機器のディスプレイの上面に装着されて使われるタッチスクリーンとして使われるが、例えば、携帯電話やPDA、PMP、電子ブック端末機(E−book terminal)、携帯用コンピュータのような携帯用電子機器や現金自動預け払い機(Automated Teller Machine、ATM)、情報検索器、無人チケット発売機のような電子機器のタッチスクリーンとして使われる。
【0015】
一実施形態によるタッチパネルは、連続入力するユーザに接触面を通して触感を与える。すなわち、タッチパネルを接触または加圧した状態で入力位置を移動するユーザは、入力位置を移動するにつれて接触面からの触感の変化を感じることができる。例えば、ユーザは、入力位置を移動するにつれて接触面から受ける力、すなわち、タッチパネルの反力(reaction force)の増減を通じて触感の変化を感じることができる。本実施形態では、このような反力の増減が具現されるように、上下部基板の間の間隙に電気粘性流体(Electro−Rheological fluid、ER流体)が満たされているタッチパネルを利用する。そして、このタッチパネルでは、入力位置が移動するにつれて現在入力位置(または、感知された最も最近の入力位置)の周辺領域に位置する電気粘性流体の粘度が変化されるが、これについては後述する。
【0016】
図1は、一実施形態によるタッチパネル100の構成を示すブロック図であり、
図2は、
図1のタッチパネル100のタッチパネル本体110の構成を示す分離斜視図であり、
図3は、
図2のIII−III’ラインに沿って切った断面図である。
【0017】
図1を参照すると、タッチパネル100は、タッチパネル本体(touch panel body)110、感知部(sensing unit)120、及び制御部(controlling unit)130を含む。タッチパネル本体110は、タッチパネル100を構成する物理的構造体を示す。一方、感知部120と制御部130は、タッチパネル本体110への入力有無を感知してタッチパネル本体110に対する駆動を制御する電気回路及び/またはハードウェア/ソフトウェアであり得る。したがって、本明細書で、単純に‘タッチパネル’と称する場合に、狭い意味では、タッチパネル本体110のみを示すが、広い意味では、感知部120と制御部130も含むタッチパネル100の全体を示すこともできる。
【0018】
感知部120と制御部130は、その機能による論理的な区分であって、両者は統合されて具現されるか、または分離されて個別的に具現可能である。そして、感知部120と制御部130との論理的な機能区分も単に説明の便宜のためのものであって、統合された一つの構成要素が感知部120と制御部130とが行うあらゆる機能を行うか、またはその本質に反しない限り、何れか一つの構成要素(例えば、感知部120)で行われる一部機能が他の構成要素(例えば、制御部130)で行われることもある。
【0019】
以下、
図2及び
図3を参照して、タッチパネル本体110の構成に関して先に説明する。
【0020】
図2及び
図3を参照すると、タッチパネル本体110は、一対の基板、すなわち、下部基板111及び上部基板112とともに一対の基板111と112との間の間隙に満たされて密封されている電気粘性流体113、及びアレイ形態に配列された駆動電極対(driving electrodes pair)114を含む。
【0021】
下部基板111は、タッチパネル本体110のベース基板であって、電気粘性流体113をタッチパネル本体110に満たすための容器の一面として機能する。タッチパネル100が電子機器のタッチスクリーンとして機能する場合に、下部基板111は、電子機器の画像表示面自体になるか、または画像表示面上に付加的に付着される基板であり得る。下部基板111は、上部基板112との間に所定の引力や斥力が作用しても、変形しないことがある。つまり、下部基板111は、硬い材料で作られていることがある。例えば、透明ガラスで作られたガラス基板(glass substrate)であり得る。しかし、下部基板111が、必ずしも硬い材料で形成される必要はない。例えば、タッチパネル本体110が、硬いディスプレイの上部に付着される場合であれば、下部基板111は、透明なポリマーフィルム(polymer film)で作られてもよい。
【0022】
上部基板112の上面は、ユーザが入力する時に接触するユーザ接触面である。上部基板112は、所定の力が加えられれば、変形が生じることがある。例えば、ユーザが指やスタイラスペンなどを使ってユーザ接触面を接触または加圧する場合に、上部基板112は変形されうる。そのような変形に対して、上部基板112は、透明で変形が可能なポリマーフィルムなどで作られてもよい。ポリマーの種類には、特別な制限がない。上部基板112は、下部基板111と所定間隔で離隔して配され、上部基板112と下部基板111との間には、所定の大きさを有する間隙(gap)が形成される。間隙の厚さは、駆動電圧の大きさやタッチパネル本体110の広さ、駆動電極対114の断面積の大きさなどによって変わりうる。
【0023】
下部基板111と上部基板112との間の間隙には、電気粘性流体113が満たされている。電気粘性流体113は、外部から密封され、そのために、上下部基板112及び111の端部には、密閉剤(sealant)116が塗られる。電気粘性流体113は、一般的に電気絶縁性流体113aに非常に微細な粒子113bが分散されている懸濁液(suspension)を示す。電気粘性流体113bは、電場が印加されれば、流体の粘度(viscosity)が最大100,000倍に増加する。そして、電気粘性流体113bのこのような粘度の変化は可逆的であって、電場が解除されれば、元の状態に復元される。
【0024】
電気粘性流体113は、透明な液体であるが、これを構成する流体113aとしては、例えば、シリコン油、ケロシン鉱油、ポリ塩化ビフェニールなどが使われる。しかし、これに限定されるものではない。温度の変化による粘性の変化が小さく、引火点が高く、氷点が低いだけではなく、印加される電場の関数として粘性が変化される特性を有する流体は、電気粘性流体113として使われる。そして、電気粘性流体113に含まれる粒子113bの大きさは、最大50μm程度であって、非常に微細で透明な粒子である。このような粒子113bとしては、例えば、アルミノケイ酸塩(aluminosilicate)、ポリアニリン(polyaniline)、ポリピロール(polypyrrole)、フラーレン(fullerene)のような高分子物質、セラミックのような絶縁性物質などが使われる。アプリケーションによっては、透明ではない流体が電気粘性流体として使われることもある。
【0025】
そして、上下部基板112と111との間の間隙には、弾性体スぺーサ115が分散されている。弾性体スぺーサ115は、数十μm以下の小さくて透明な粒子であって、電気粘性流体113内にランダムにまたは規則的に分散されている(
図2に示されている弾性体スぺーサ115は、その大きさが多少誇張されただけではなく、その配置も電気粘性流体113に一定の間隔で分散されているように示されているが、これは、単に説明及び図面作成の便宜のためのものであり、実際には、多様な微細な弾性体粒子がランダムに配列される)。弾性体スぺーサ115を構成する物質としては、特別な制限がなく、例えば、エラストマー(elastomer)が使われる。弾性体スぺーサ115は、上部基板112が変形された場合に、復元力を提供し、また上部基板112を構造的に支持する役割も行うことができる。すなわち、スぺーサは、上部基板と下部基板との間で弾性要素として機能し、上部基板がクリック動作(これに関しては後述する)後に非常に短い時間内に元のフィルム形態に復元させる。スぺーサは、タッチパネルの全体にかけて分布されている。しかし、スぺーサの分布は、これに限定されず、基板に対する復元力と構造的な支持力とを提供する限り、スぺーサは他の形態に配置されてもよい。前述したように、スぺーサの分布は、またランダムである。例えば、タッチパネルの縁部は、中央部分よりフィルムの張力がさらに大きい。したがって、縁部にはより小さなスぺーサが使われてもよい。すなわち、スぺーサの分布は、タッチパネル内での位置によって変化し得る。
【0026】
図4は、電場の強さ、すなわち、駆動電極対114に印加される駆動電圧の大きさと電気粘性流体113の粘度との関係を示すグラフである。タッチパネル100が作動する時に発生するせん断速度(shear rate)は、例えば、約5〜3000(1/s)の間(
図4では、この範囲が、‘流体流動領域’と表示されている)であり得る。
図4では、駆動電極対114に1kV/mm(すなわち、1mm間隔で離隔している駆動電極対に1kVの駆動電圧を印加)の駆動電圧を印加した場合と駆動電極対114に印加される駆動電圧を除去した場合(0kV/mm)において、二つの種類の電気粘性流体(最初の電気粘性流体(ER(1))は、現在常用されているものであり、二番目の電気粘性流体(ER(2))は、Pani−Clay15%と呼ばれるものであるが、このような電気粘性流体の種類は、単に例示的なものである)に対する粘度(viscosity)の変化が比較されている。
図4を参照すると、駆動電極対114に駆動電圧が印加されれば、駆動電圧が印加されていない場合に比べて電気粘性流体113の粘度が増加するということが分かる。特に、せん断速度が100(1/s)である場合に、電気粘性流体113の粘度を比べると、駆動電圧が印加された場合が駆動電圧が印加されていない場合に比べて、約24倍(第1ERである場合)または24倍(第2ERである場合)の粘度差が生じるということが分かる。
【0027】
それだけではなく、駆動電極対114に印加される駆動電圧の大きさを異ならせれば、電気粘性流体113の粘度の差も変わる。なぜならば、電気粘性流体113の粘度の変化は、駆動電圧の大きさに比例するためである。そして、電気粘性流体113の粘度が増加すれば、せん断応力(shear stress)も増加する。したがって、粘度が増加した電気粘性流体113をユーザが接触するか、加圧すれば、ユーザは、電気粘性流体113からより大きな反力(reaction force)を感知することができる。このようなタッチパネル100の特性を利用すれば、ユーザは、タッチパネル100に所定の力を加える場合に多様な触感を感知することができる。
【0028】
駆動電極対114は、それぞれ下部基板111と上部基板112とに備えられている一対の電極である。
図3の領域Iでのように、駆動電極対114にバイアス電圧(すなわち、駆動電圧)が印加されれば、当該駆動電極対114の位置に対応する上下部基板112と111との間に介在する間隙には、局部的に電場が誘導されて電気粘性流体113の粘度は増加する。一方、
図3の領域IIのように、駆動電極対114にバイアス電圧が印加されなければ、当該駆動電極対114の位置に対応する上下部基板112、111の間に介在する間隙には、電場が誘導されなく電気粘性流体113の粘度に変化はない。
図3は、
図2のタッチパネルに対する側面図であって、一つの上部電極114bと複数の下部電極114aとを含むものとして示されている。しかし、このような配置は、単に例示的なものである。
図10に示されたように、上部基板と下部基板のいずれもにMxN電極アレイが提供され、またそれぞれの上下部の電極対は互いに独立的にアドレスも可能であり、制御も可能である。
【0029】
このような駆動電極対114は、タッチパネル本体110の全体にアレイ(array)に配列されるか、またはマトリックス状(matrix type)に配列されうる。アレイに配列された駆動電極対114には、所定の組合せで(すなわち、一部の駆動電極対114にのみ)駆動電圧が供給されうる。そして、駆動電極対114のアレイで駆動電圧が加えられる駆動電極対114の位置や駆動電圧の大きさなどを変化させることによって、連続入力するユーザに多様な触感を与えることができるが、これに関しては後述する。
【0030】
図2には、マトリックス状に配列された駆動電極の一例が示されているが、下部基板111の上面と上部基板112の下面には、それぞれラインタイプの下部電極パターン114aまたは上部電極パターン114bが多数平行に配置されている。ここで、下部電極パターン114aは第1方向に伸張され、上部電極パターン114bは第1方向に垂直である第2方向に伸張されている。したがって、多数の下部電極パターン114aと多数の上部電極パターン114bとの交差点で、タッチパネル本体110の全面(entire area)にアレイ形態に配列された駆動電極対114が定義される。これと異なって、互いに対向する下部電極と上部電極とがそれぞれドット状に上下部基板112、111の全面にアレイ形態に配置されていることもある。この場合に、駆動電極対114は、それぞれスイッチングが可能なアクティブ素子(active device)であり得る。
【0031】
駆動電圧は、タッチパネル100を駆動して電気粘性流体113の粘度を変化させるためのソース電源である。駆動電圧は、タッチパネル100が設けられる電子機器の電源装置から供給されうる。駆動電圧が加えられる駆動電極対114の位置及び/または駆動電圧の大きさなどは、タッチパネル100の制御部130によって制御される(
図3では、領域Iに位置した駆動電極対114にのみ駆動電圧が印加され、領域IIに位置した駆動電極対114には、駆動電圧が印加されない)。タッチパネル100で特定の駆動電極対114にのみ駆動電圧を印加し、また駆動電極対114に印加される駆動電圧の大きさを調整する具体的な具現方法は、本実施形態の技術思想とは直接的な関連がないので、ここでは、これに関する説明は省略する。
【0032】
このようなタッチパネル100は、ユーザ接触面の表面に所定の入力ボタン領域を限定し、また連続入力ではない、特定位置に対する入力である場合には、機械的なボタンを押すようなクリック感をユーザに提供するのに活用されうる。例えば、駆動電圧が印加される領域(または、駆動電極対114の組合わせ)を適切に選択することによって、高い粘度を有する電気粘性流体113の領域(
図3の領域Iのように、駆動電圧が印加される駆動電極対114が位置した領域)と低い粘度を有する電気粘性流体113の領域(
図3の領域IIのように、駆動電圧が印加されない駆動電極対114が位置した領域)とを区分することができ、これを用いてユーザ接触面に所定の形態を有する入力ボタン領域を限定することができる。そして、限定された入力ボタン領域においてユーザからの入力が感知される場合に、一定レベル以上の入力がなされる時点で印加された駆動電圧を解除することによって、クリック感をユーザに提供することもできる。このように、入力ボタン領域を限定し、また機械的なキーパッドのようなクリック感を提供する方法は、本出願の出願人が2009年6月19日に出願した韓国特許出願第2009−0055034、“タッチパネル及びそれを備える電子機器”に詳しく記述されているので、ここで、これについての詳細な説明は省略する。前記韓国特許出願は参照によって本明細書に完全に結合される。
【0033】
次いで、
図1を参照すると、感知部(sensing unit)120は、タッチパネル100にユーザからの入力があるかどうかを判定し、入力があると判定する場合には、入力位置(input location)も計算することができる。感知部120で入力有無を判定する方法や入力位置を計算する方法などには、特別な制限がない。例えば、感知部120は、上部基板112のユーザ接触面にユーザからの入力(接触または加圧)があれば、当該位置での静電容量の変化を感知して入力有無及び入力位置を感知することができる。感知部120で計算された入力位置に関する情報は、制御部130に出力される。
【0034】
制御部(controlling unit)130は、感知部120で計算された入力位置情報を用いて、少なくとも現在入力位置の周辺領域にある電気粘性流体113の粘度(viscosity)が局部的に変化するように制御する。勿論、現在入力位置の周辺領域以外の他の領域でも、電気粘性流体113の粘度が変化することがあるが、極端な場合には、現在入力位置を除いた他のあらゆる領域での電気粘性流体113の粘度が変わることもある。
【0035】
電気粘性流体113の粘度は、加えられる電場の強さによって変わりうるので(
図4参照)、制御部130は、駆動電極対114に印加される駆動電圧を制御して電気粘性流体113の粘度を変化させることができる。この際、駆動電極対114のアレイで駆動電圧が印加される駆動電極対114の位置(例えば、
図3で領域I)を選択することによって、粘度が変化する電気粘性流体113の位置も制御することができる。そして、印加される駆動電圧の大きさを適切に調節すれば、粘度が変化する程度も制御することができる。印加される駆動電圧の大きさは、絶対的な基準によって制御されてもよく、あるいは直前に印加された駆動電圧の大きさなどに基づいて相対的に制御されてもよい。
【0036】
タッチパネル100は、ユーザ接触面に対するスライディング動作(sliding motion)またはトレーシング動作(tracing motion)のような連続入力(continuous input)するユーザに多様な接触感をユーザに提供する。そのために、制御部130は、感知部120で計算された入力位置に基づいて現在入力が連続入力であるか否かを判定することができる。例えば、感知部120から出力される入力座標が所定の時間範囲内で連続して変わる場合に、制御部130は、当該入力を連続入力と見なす。本実施形態は、これに限定されるのではなく、感知部120でユーザからの入力が連続入力であるか否かを判定し、連続入力と判定される場合には、入力位置情報とともに連続入力有無に対する判定結果を制御部130で伝達することもできる。
【0037】
連続入力とは、所定の時間の間に入力位置が連続して変わる入力であって、連続入力の経路または連続入力を通じて行われる命令の種類などには何らの制限もない。例えば、連続入力の経路は、水平方向、垂直方向、対角方向、ジグザグ方向、往復方向などになりうる。そして、ピンチ(pinch)のように、一回に二つの指を使って入力がなされるか、またはタップピングのような他の入力動作と結合される場合にも、入力位置が経時的に連続して変化される動作が結合されていれば、連続入力になりうる。また、連続入力は、単純にジェスチャーのみで所定の命令と認識される場合だけではなく、表示される画面と連関して所定の命令と認識される場合になることもある。例えば、表示される所定のオブジェクト(例えば、ファイル)をドラッグ&ドロップ(drag&drop)させるか、またはスクロールバー(scroll bar)を上下及び/または左右に移動する場合、再生時間調節バー(playing time adjusting bar)やボリューム調節バー(volume adjusting bar)などを前後または上下に移動する場合なども連続入力の例になりうる。
【0038】
連続入力があると判定されれば、制御部130は、電気粘性流体113の粘度を局部的に制御する。より具体的に、制御部130は、連続入力を構成する入力位置のうちから、最も最近の入力位置(latest input location)、すなわち、現在入力位置の周辺領域にある電気粘性流体の粘度が局部的に変化されるように制御を行う。ここで、‘最近入力位置の周辺領域’は、連続入力の移動予測方向(例えば、最近入力位置に到逹するまでの移動方向と同じ方向)の周辺領域にのみ限定される必要はない。なぜならば、連続入力の移動経路は、ユーザによって任意に変化され得るからである。
【0039】
したがって、‘最近入力位置の周辺領域’とは、
図5Aに示されたように、最近入力位置を取り囲むあらゆる方向に隣接した周辺領域になりうる。または、連続入力の経路が一直線上に限定される場合(例えば、スクロールバーや再生時間調節バー、ボリューム調節バーなどのようにディスプレイ画面と結付されて連続入力の経路が一直線上に限定される場合)には、
図5Bに示されたように、‘最近入力位置の周辺領域’は、最近入力位置の前後方向に隣接した周辺領域のみになることもある。すなわち、‘最近入力位置の周辺領域’は、スクロールバー、再生時間調整バー、ボリューム調整バーなどによって現在入力位置に隣接した領域であり得る。例えば、
図5Bで、内部に小さな円があるボックスに隣接した領域は、図面から水平方向に変わりうる。最近入力位置に隣接した周辺領域に位置した電気粘性流体113の粘度を局部的に変化させるために、制御部130は、駆動電極対114のアレイで駆動電圧が印加される駆動電極対114の位置や印加される駆動電圧の大きさなどを制御することができるということは前述した通りである。
【0040】
最近入力位置または現在入力位置に加えられている駆動電圧と他の駆動電圧とが周辺領域の駆動電極対114に印加されれば、連続入力するユーザは、経時的に他の触感(例えば、他の大きさの反発力)を感じることができる。そのために、最近入力位置に印加される駆動電圧を基にして、これとは比較可能な大きさの駆動電圧を周辺領域に印加することもできる。この場合に、駆動電圧は、ユーザからの入力が連続入力であると判断可能な時間の間にのみ加えられるか、または入力位置が変わることが感知される時間の間に印加されることがある。勿論、連続入力が続く間には、最近入力位置に印加される電圧と同程度の大きさの電圧が新たな最近入力位置の周辺領域に印加される。
【0041】
図6Aないし
図6Dは、最近入力位置の周辺領域に印加される駆動電圧のパターンを例示したグラフである。
図6Aないし
図6Dで、縦軸は連続入力の移動距離によって最近入力位置の周辺領域に加えられる駆動電圧の大きさを表わす。電気粘性流体の粘度は、駆動電圧に比例するので、駆動電圧が増加または減少するにつれて、電気粘性流体の粘度も増加または減少する。そして、電気粘性流体の粘度が増加または減少するにつれてユーザが感知することができる反力も増加または減少する。連続入力は、経時的に入力位置が変わることを意味するので、例示されたグラフで周辺領域の位置も経時的に変わる。すなわち、現在入力位置が変わるにつれて、周辺領域の位置も連続入力の経路に沿って移動する。
【0042】
図6Aに示されたパターンによれば、移動距離が増加するにつれて駆動電圧もこれに比例して増加する。この際、駆動電圧は、連続して増加(実線)するか、または階段型に増加(点線)し得る。初期に印加される駆動電圧の大きさだけではなく、増加する傾きも特別な制限がない。そして、増加する傾きが常に一定する必要はなく、移動距離や表示画面の内容(例えば、オブジェクトの存在やウィンドウ境界など)によって変わることもある。このような駆動電圧の増加につれて周辺領域に位置する電気粘性流体の粘度も増加するので、ユーザが感知する反力も持続的に増加する。
【0043】
そして、
図6Bに示されたパターンによれば、移動距離が増加するにつれて駆動電圧は、これに反比例して減少する。この際、駆動電圧は、連続して減少(実線)するか、または階段型に減少(点線)し得る。初期に印加される駆動電圧の大きさはもとより、減少する傾きは特別な制限がない。そして、増加または減少する傾きが常に一定する必要はなく、移動距離や表示画面の内容(例えば、オブジェクトの存在やウィンドウ境界など)によって変わることもある。このような駆動電圧の増加または減少につれて周辺領域に位置する電気粘性流体の粘度も増加または減少するので、ユーザが感知する反力も持続的に増加するか、または減少する。
【0044】
一方、
図6Cに示されたパターンによれば、移動距離が増加するにつれて駆動電圧は増減を反復する。この際、駆動電圧は、正弦波(sine wave)のように連続して増減を反復するか、またはパルス波(pulse wave)のように不連続して増減を反復する。正弦波やパルス波の振幅や周期は一定することもあり、移動距離によって変わることもある。このような駆動電圧の増減が反復されることによって周辺領域に位置する電気粘性流体の粘度も増減を反復するので、ユーザが感知する反力も増減を反復する。
【0045】
一方、
図6Dに示されたパターンによれば、移動距離が増加しても駆動電圧は一定の値を維持する。駆動電圧は、タッチパネルの正常な動作のために許容される最小駆動電圧(MIN)になるか、または最大駆動電圧(MAX)になるか、または最小駆動電圧(MIN)と最大駆動電圧(MAX)との間の任意の値になることもある。このように、駆動電圧が一定のパターンでは、周辺領域に位置する電気粘性流体の粘度も一定に維持され、移動時にユーザが感じることができる反発力も一定に維持される。
【0046】
周辺領域に印加される駆動電圧に対する
図6Aないし
図6Dに示されたパターンは、連続入力に対して個別的に適用されることもあり、二つ以上のパターンが結合されて適用されることもある。そして、一つのパターンがその大きさ、傾き、周期、及び/または振幅を異ならせて適用されることもある。また、印加される駆動電圧のパターンは、タッチパネルを備えた電子機器にあらかじめ設定されていることもあり、ユーザが特定連続入力に対して適用される駆動電圧のパターンを任意に選択することもできる。後者の場合に、ユーザは、連続入力のパターン及び/または同じ連続入力であるとしても、連続入力を通じて行うとする命令の種類によって他のパターンを選択することができるということは当業者に自明である。
【0047】
以上で詳しく説明したタッチパネル100を利用すれば、連続入力の種類によって多様な触感または反力の変化をユーザに伝達することができる。特に、タッチパネル100がタッチスクリーンとして機能する場合に、タッチスクリーン画像表示面に表示されるオブジェクト(object)の種類やウィンドウの境界有無、連続入力を通じて実行しようとする命令の種類などを考慮して、多様なハプティック感をユーザに伝達することができる。そして、このような多様なハプティック感を利用すれば、ユーザは、表示される画面を見なくても触感のみを通して、連続入力が正確にされているかどうかが分かる。以下、連続入力の種類を考慮し、多様な触感を提供する具体的な例に関して詳しく説明する。
【0048】
図7Aは、連続入力の一例として特定オブジェクトをドラッグ&ドロップ(drag&drop)する命令を行うことを示す図面であり、
図7Bは、
図7Aの連続入力に対して印加される駆動電圧の変化の一例を示すグラフである。
図7Aを参照すると、ユーザは、画像表示面に表示されているアイコン(例えば、ファイル)を最初の位置210から目標位置220までドラッグ&ドロップする命令を入力する。
図7Bを参照すると、アイコンをドラッグする間230には、現在入力位置(最近入力位置)の周辺領域に印加される駆動電圧は、パルス型に変化する。駆動電圧がパルス型で印加されると、現在入力位置の周辺領域にある電気粘性流体の粘度も入力位置の移動によって交互に大きくなったり小さくなったりして増減を反復する。その結果、ユーザ接触面をスライドするユーザの指に作用する反力も交互に増減を反復する。
【0049】
このようなパルス型の駆動電圧の印加は、目標位置220に到逹するまで繰り返してもよい。または、
図7A及び
図7Bに示されたように、目標位置220にある程度近くなった第1位置240に到逹するまでに駆動電圧が増減を繰り返すパルスの形で印加することも可能であり、第1位置240以後240aからは、印加される駆動電圧は徐々に増加し続ける。印加される駆動電圧が増加し続ければ、ユーザは、第1位置240以後には反力がずっと大きくなるということを感知することができ、ユーザは、これを通して入力位置が目標地点220に近くなるということを、触感を通して認識する。そして、ドラッグ動作が行われてから現在入力地点が目標位置220に到逹すれば、ドロップ動作を実行する時に最も高い駆動電圧を印加して、ユーザが行おうとするあらゆる入力(ドラッグ&ドロップ)が実行されたことをユーザに知らせることもできる。
【0050】
図8Aは、連続入力の他の例として特定オブジェクトをドラッグ&ドロップ(drag&drop)する命令を行うが、ウィンドウの境界線を越えることを示す図面であり、
図8Bは、
図8Aの連続入力に対して印加される駆動電圧の変化の一例を示すグラフである。
図8Aを参照すると、ユーザは、画像表示面に表示されているアイコン(例えば、ファイル)を最初の位置310からドラッグして目標位置320であるウィンドウ内でドロップする命令を入力するが、画像表示面に表示されている他のウィンドウの境界350を越してアイコンをドロップする。
図8Bを参照すると、ウィンドウの境界350を越す前にアイコン310をライン330に沿ってドラッグする間には、現在入力位置(最近入力位置)の周辺領域には駆動電圧が印加されないか、または低いレベルの駆動電圧が印加される。そして、現在入力位置がウィンドウの境界350を越える瞬間及びその後340には、現在入力位置の周辺領域に相対的に大きな駆動電圧を印加する。この場合に、ユーザは、連続入力をし始めるとき(ウィンドウの境界を通る前)には反発力をほとんど感じることができないか、非常に小さな大きさの反発力を感じる一方、ウィンドウの境界を越える瞬間からは非常に大きな大きさの反発力を感じる。その結果、ウィンドウの境界を越える前と後にユーザの感じる反発力には、大きな差があり、ユーザは、これによって触感を通して現在入力位置がウィンドウの境界移転であるか、それ以後であるかが分かる。
図8Bに示された階段型の駆動電圧の変化は、例示的なものであり、他のパターンの駆動電圧(例えば、パルス関数やサイン関数など)が印加されることがあるということは自明である。また、
図8Bに示されたものとは反対の電圧パターンが加えられてユーザはアイコン310が目標位置320の“中に落ちる”感じを感知することもできる。
【0051】
図9Aは、連続入力のまた他の例としてスクロールバーを動く命令を行うことを示す図である。スクロールバーは示されたように、上下410、420に移動するか、または左右にも移動する。そして、スクロールバーを移動させて実行される命令の種類には、特別な制限がない。例えば、スクロールバーを移動させて動画などが再生される時刻を変更するか、またはボリュームなどの大きさを変更するか、またはファイルリストなどで選択するべきファイルを探索することもできる。
【0052】
図9Bと
図9Cは、それぞれ
図9Aの連続入力に対して印加される駆動電圧の変化の例を示すグラフである。
図9Bを参照すると、スクロールバーを移動させる間には、現在入力位置(最近入力位置)の周辺領域に印加される駆動電圧はパルス型に変化するが、印加される駆動電圧の大きさはスクロールバーの位置を基準に既定されている。駆動電圧がパルス型で印加されれば、現在入力位置の周辺領域にある電気粘性流体の粘度も入力位置の移動によって交互に大きくなったり、小さくなったりして増減を反復する。その結果、スクロールバーをスライドするユーザの指に作用する反発力も増減を反復し、ユーザは、マウスのスクロールホイールと類似した触感を感じることができる。この場合に、ユーザは、感知されるパルスの個数によって移動距離を把握することができるために、触感のみでもスクロールする量を正確に調整することもできる。
【0053】
図9Cを参照すると、スクロールバーを移動させる間には、現在入力位置(最近入力位置)の周辺領域に印加される駆動電圧は連続して増加するが、印加される駆動電圧の大きさはスクロールバーの開始位置を基準に既定されている。例えば、
図9Cに示されたように、スクロールバーの開始位置で近ければ、低い駆動電圧を印加し、遠くなれば、高い駆動電圧を印加することができる。この場合に、ユーザがスクロールバーを開始位置で近い地点にスクロールすれば、低い反発力が加えられながら遅い速度でスクロールされ、また開始位置で遠い地点にスクロールすれば、高い反発力が加えられながら早い速度でスクロールさせれば、ユーザは触感のみでスクロールの速度を調節することができる。
【0054】
このようなさまざまな類型の実施形態をそのまま適用するか、または適切に応用すれば、タッチパネル100を用いてさまざまな効果を得ることができる。例えば、前述したように、タッチパネル100は、連続入力時に多様な触感をユーザに与えることによって、ユーザは連続入力の終了時点を認知することができ、また誤入力を防止することができる。そして、スクロール時には、現在使われているマウスのスクロールホイールのようなパルス感をユーザに与え、ユーザは触感を通してスクロールされる位置を認知することができるだけでなく、スクロール量を正確に調節することができる。それだけではなく、電子ブック端末機などで表示される本のページをめくるために連続入力(例えば、ユーザ接触面上をスライディングすること)する場合に、反発力を調節することで、ユーザに実際にページをめくるような抵抗感を伝達することもできる。
【0055】
以上の説明は、本発明の実施形態に過ぎず、この実施形態によって本発明の技術思想が限定されると解析されてはならない。本発明の技術思想は、特許請求の範囲に記載の発明によってのみ特定されなければならない。したがって、本発明の技術思想を外れない範囲で前述した実施形態は多様な形態に変形されて具現可能であるということは当業者に自明である。