特許第5770480号(P5770480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770480
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】遊技機管理装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   A63F7/02 328
   A63F7/02 314
   A63F7/02 332B
   A63F7/02 333Z
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-16403(P2011-16403)
(22)【出願日】2011年1月28日
(65)【公開番号】特開2012-152501(P2012-152501A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2013年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 忍
(72)【発明者】
【氏名】谷口 俊介
【審査官】 辻野 安人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−122340(JP,A)
【文献】 特開平09−155045(JP,A)
【文献】 特開2005−211088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
始動口に玉が入賞したことに応じて図柄を変動表示する図柄表示手段を備えたパチンコ遊技機の稼動データをパチンコ遊技機別に管理する遊技機管理装置において、
単位期間中に図柄の変動表示が発生したスタート回数、又は単位期間中に前記始動口に玉が入賞したスタート入賞個数に対応したスタート情報を特定するスタート情報特定手段と、
前記単位期間と前記スタート情報との関係の分布を示す分布データを、前記スタート情報を複数の範囲に区分して区分別に特定する分布データ特定手段と、
前記分布データのうち、前記スタート情報が遊技機の機種平均値を中心とした予め定められた範囲の区分に含まれる割合、又は予め定められた範囲を下回る割合を示す割合データを特定する割合データ特定手段と、
前記分布データの分散度合を示す分散データを特定する分散データ特定手段と、
前記分布データと前記分散データと前記割合データとを比較可能に表示するデータ表示手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機のスタートスランプ特性を判断する手法を改善した遊技機管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機においては、始動口への玉の入賞を検知したことに基づいて、遊技者に有利な大当たりを発生させるか否かの抽選が実行される。遊技者は、始動口に玉が入賞する回数に注目し、始動口に玉がより多く入賞することを望んで遊技を行っている。これにより、始動口に玉が入賞しにくいパチンコ遊技機は、遊技者が遊技を行う時間が短くなり易く、稼動率が低下し易い。このため、遊技ホールにおいて始動口への玉の入賞し易さを特定するために、大当たりを発生させるか否かの抽選間隔(スタート間隔)を時間、或いは遊技者が使用した玉の数で求め、そのスタート間隔の分布情報を出力する技術も提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平04−261685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、パチンコ遊技機によっては、始動口への入賞が極端に集中・分散して発生する。始動口への玉の入賞が分散した場合、始動口に玉が入賞しにくいパチンコ遊技機であると遊技者が考え、実際には始動口への玉の入賞頻度が高いにも関わらずそのパチンコ遊技機の稼動が低下する問題がある。
また、上記スタート間隔の分布から、始動口への玉の入賞の偏りであるスタートスランプ特性を特定するためには、遊技場の管理者に慣れが必要である。従って、スタートスランプ特性を容易に判断可能な遊技機管理装置の開発が望まれている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、スタートスランプ特性を容易に判定することができるデータを出力可能な遊技機管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、始動口に玉が入賞したことに応じて図柄を変動表示する図柄表示手段を備えたパチンコ遊技機の稼動データをパチンコ遊技機別に管理する遊技機管理装置において、
単位期間中に図柄の変動表示が発生したスタート回数、又は単位期間中に前記始動口に玉が入賞したスタート入賞個数に対応したスタート情報を特定するスタート情報特定手段と、前記単位期間と前記スタート情報との関係の分布を示す分布データを、前記スタート情報を複数の範囲に区分して区分別に特定する分布データ特定手段と、前記分布データのうち、前記スタート情報が遊技機の機種平均値を中心とした予め定められた範囲の区分に含まれる割合、又は予め定められた範囲を下回る割合を示す割合データを特定する割合データ特定手段と、前記分布データの分散度合を示す分散データを特定する分散データ特定手段と、前記分布データと前記分散データと前記割合データとを比較可能に表示するデータ表示手段と、を備えたものである(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、スタート情報が予め定められた範囲に含まれる割合を示す割合データを表示する場合に、割合データを特定するための予め定められた範囲を、始動口に玉が入賞せず遊技者がストレスを感じる範囲や、安定して入賞口に玉が入賞していると遊技者が感じる範囲とすることにより、始動口への玉の入賞が分散することにより遊技者の気持ちに与える影響を数値化することができる。
また、分布データと割合データとを比較可能に表示することで、熟練していない遊技場の管理者であったとしても、各データを見比べながらスタートスランプ特性を容易に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態におけるシステムの全体構成を概略的に示す図
図2】スタートスランプの一例を示す図
図3】スタート分布の一例を示す図
図4】千円スタート分布の一例を示す図
図5】ばらつきの多い状態におけるスタート分布偏差を示すグラフ
図6】ばらつきの少ない状態を示す図5相当図
図7】スタート分布偏差及び安定度を含めたスタート分布の一例を示す図
図8】スタート分布偏差及びストレス度を含めたスタート分布の一例を示す図
図9】スタートスランプ帳票作成処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場には遊技機1に対応して貸出機2が設置され、管理室には管理装置3(遊技機管理装置に相当)が設置されている。中継装置4は、2台の遊技機1、2台の貸出機2及び管理装置3とLAN5を介して接続されている。管理装置3は、遊技機側(遊技機1、貸出機2等)から送信される遊技信号を中継装置4を介して受信することにより遊技機1の遊技データを管理すると共に、ディスプレイ3a(データ表示手段に相当)に各種データを表示可能となっている。尚、図1では省略したが、実際には数百台の遊技機1が管理装置3の管理対象となる。
【0013】
遊技機1は、第1始動口6又は第2始動口7への入賞に応じて大当たり抽選を行い、抽選結果に基づき所謂特別図柄(特図)による図柄変動を液晶表示部8(図柄表示手段に相当)にて実行し、その結果に応じて大当たりを発生させる。尚、所謂保留玉の上限は各4個ずつで、保留中に始動入賞した場合は上限まで保留し、図柄変動終了後に順次保留した図柄変動を実行する。第1始動口6は入賞率が変動しない所謂ヘソタイプの始動口である一方、第2始動口7は普図抽選によって入賞率が変動する所謂電チュータイプの始動口である。
【0014】
大当たり抽選の当選確率(大当たり確率)は1/300で、大当たりの内、大当たり後に確変状態(確変)となる大当たりの割合は66.6%(2/3)であり、大当たりが発生すると対応するラウンド数(R)に応じた分だけ大入賞口9を開放する。尚、1Rの上限入賞数(上限数)は8個で、上限開放時間は30秒であり、上限数又は上限開放時間の何れかが満たされた場合(終了条件が満たされた場合)に1Rを終了する。
確変中は大当たり確率が1/30に向上すると共に、第2始動口7への入賞率が向上する時短状態(時短)になる。尚、確変は次回大当たりまで継続するため、大当たり後に通常状態(通常)となる大当たり(通常大当たり)が発生するまで継続し、通常大当たりが発生した場合は通常状態へと戻る。
【0015】
遊技機1からは次の各遊技信号が出力される。
・アウト信号=使用玉を回収するアウトBOXから出力される使用媒体数(アウト)を特定可能な信号。回収(使用、打込)玉10玉に対して1パルスが出力されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。尚、遊技機1から出力される信号でも良い。
・セーフ信号=遊技機1から出力される払出媒体数(セーフ)を特定可能な信号。払出10玉に対して1パルスが出力されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。尚、補給装置から出力される補給信号をセーフ信号としても良い。
・スタート入賞信号=遊技機1から出力される始動口6,7への入賞数を特定可能な信号。第1始動口6又は第2始動口7への入賞1回につき1パルスが出力されるので、「スタート入賞信号数×1」をスタート入賞個数(S1)として特定する。
・大当たり信号=遊技機1から出力される大当たり期間を特定可能な信号。大当たり中にレベル出力される状態信号なので大当たり信号受信中を大当たり中として特定する。
・確変信号=遊技機1から出力される特別状態(甘中)を特定可能な信号。大当たり確率が向上する確変中等の大当たりを通常状態よりも発生させ易い状態である特別状態中にレベル出力される状態信号(確変信号)なので、特別状態信号受信中を特別状態中として特定する。尚、第2始動口7の入賞率が向上する時短中にレベル出力される状態信号(時短信号)であっても良い。また、大当たり信号と確変信号のいずれも受信していない期間を通常状態として特定する。
・図柄変動信号=図柄が変動したことを特定可能な信号。図柄の変動開始時、或いは変動終了時に1パルス出力されるので、「図柄変動信号数×1」をスタート回数として特定する。
【0016】
貸出機2は、硬貨投入口10に硬貨が投入された状態で、特定された有価価値に基づき貸玉を払出口11から遊技機1の受皿12に払い出し、その払い出しに伴って売上信号を中継装置4に送信する。貸出機2のタッチパネル式の情報表示部13では貸出情報や対応する遊技機1に関する各種の遊技情報等も表示可能である。
管理装置3は図示しないCPU(スタート情報特定手段、間隔情報特定手段、分布データ特定手段、分散データ特定手段、割合データ特定手段に相当)を主体として構成されており、本発明に関連して後述するようにスタートスランプ帳票を作成する。
【0017】
次に上記構成の作用について説明する。
管理装置3は、各遊技機1の遊技情報を管理する通常の処理に加えて、スタートスランプ帳票を作成するためのスタートスランプ帳票作成処理を実行する。このスタートスランプ帳票作成処理は、スタートスランプ特性を数値化して示すための処理である。
図9は管理装置3によるスタートスランプ帳票作成処理を示すフローチャートである。尚、このフローチャートは1台の遊技機1に対する動作を示しているが、実際には全ての遊技機1に対して同様の処理を行っている。また、大当たり信号または確変信号が入力していない通常状態における処理を示している。つまり、確変信号の入力中は時短状態を含み、その時短状態では第2始動口7が開閉を繰り返すことによりスタート入賞頻度が通常状態に比較して格段に高まることから、そのような状態を除外するためである。遊技機1から時短信号が出力される場合は、大当たり信号または時短信号を入力していない状態を通常状態としてもよい。
【0018】
管理装置3は、アウト信号を入力したか(S1)、セーフ信号を入力したか(S3)、スタート入賞信号を入力したか(S5)、累計アウトが1000増加(単位期間に相当)したか(S9)、客交代以降の差玉の対価が千円増加(単位期間に相当)したか(S12)を判定している。
遊技客が遊技機1で遊技を開始すると、盤面に打込まれた玉の全て(一般入賞口、始動口6,7に入賞した玉も含まれる)はアウト玉となって遊技機1の背面側に設けられている図示しないアウトボックスを通じて排出される。すると、アウトボックスからはアウト玉が10個排出される毎にアウト信号が出力されるので、管理装置3は、アウト信号を入力する毎に(S1:YES)、累計アウトを10加算することにより更新する(S2)。
【0019】
盤面に打込まれた玉が一般入賞口或いは始動口6,7に入賞すると、遊技機1からはセーフ玉が10個払出される毎にセーフ信号が出力されるので、貸出装置2は、セーフ信号を入力したときは(S3:YES)、累計セーフを10加算することにより更新する(S4)。尚、累計アウト及び累計セーフは客交代でリセットされる。
遊技機1に打ち込まれた玉が始動口6,7に入賞すると、遊技機1からスタート入賞信号が出力されるので、管理装置3は、スタート入賞信号を入力したときは(S5:YES)、累計スタート入賞個数を更新する(S6)。このとき、累計アウトを記憶し(S7)、その累計アウトから前回スタート入賞時に記憶した累計アウトを減算することにより前回スタート入賞から今回スタート入賞するまでの間(スタート間隔に相当)のアウト、つまりスタート入賞間アウト(間隔情報に相当)を演算して記憶する(S8)。
【0020】
管理装置3は、第1累計アウトが1000(10分経過)増加したときは(S9:YES)、第1スタート入賞個数を記憶し(S10)、その第1スタート入賞個数から前回記憶した第1スタート入賞個数を減算することにより10分間スタート(スタート情報に相当)を演算して記憶する(S11)。
管理装置3は、客交代後の差玉(累計アウト−累計セーフ)の対価が千円増加したときは(S12:YES)、第2スタート入賞個数を記憶すると共に(S13)、今回の第2スタート入賞個数から前回記憶した第2スタート入賞個数を減算することにより、千円消費する間の千円スタート(スタート情報に相当)を演算して記憶する(S14)。
上述の動作により、管理装置3は、各遊技機1におけるスタート入賞間アウト、10分間スタート、千円スタートを順に記憶する。これらのデータはスタートの発生し易さを示しているので、スタートスランプ特性を判定するためのデータとして利用することができる。
【0021】
さて、スタートスランプ特性を判定するには、スタートスランプ帳票を作成する。このスタートスランプ帳票は、上述のようにして順に記憶したスタート入賞間アウト、10分間スタート入賞、千円スタートに基づいて作成するもので、順に記憶した各記憶値を対応する区分(単位期間、に応じて集計することにより作成することができる。
スタートスランプ帳票としては、スタート入賞間アウト、10分間スタート入賞(1分間100玉発射で10分間(1000玉)毎のスタート入賞回数)、千円スタートに対応してスタートスランプ、スタート分布、千円スタート分布がある。
【0022】
(1)スタートスランプとは、図2に示すようにスタート間アウトのばらつき具合を示す分布データで、前回のスタート入賞から次のスタート入賞の各区分の割合(各区分のパーセンテージを表示)を示している。図2に示す例では、1番台及び2番台ともスタート入賞数が62回であり、例えば「20」区分は、前回のスタート入賞から次のスタート入賞までの玉数が11〜20であった割合を意味しており、1番台は28%、2番台は30%であることを示している。このスタートスランプ分布では、前回のスタート入賞から次のスタート入賞までの間に時間が長いほど、分布が右に広がる。つまり、スタートスランプは1番台の方が悪いことが分る。
尚、図2において各台の分布データを加算するにしても100%になっていないのは、分布データの小数点以下を切り捨てているからである。従って、例えば「20」区分の割合データは、実際には1番台は28.0〜28.9%、2番台は30.0〜30.9%である。以下のスタート分布、千円スタート分布も同様である。
【0023】
(2)スタート分布とは、図3に示すように10分(通常アウト1000玉)スタート入賞のばらつき具合を示す分布データで、通常アウト1000玉間のスタート入賞の各区分の割合を示している。図3に示す例では、例えば「55」区分は、通常アウト1000玉間のスタート入賞個数が51〜55個であった割合(各区分のパーセンテージを表示)を意味しており、1番台では4.0〜4.9%、2番台では0〜0.9%であることを示している。このスタート分布では、通常アウト1000玉間のスタート分布が中央に寄ってるほど、ばらつきが少ないことになる。つまり、スタート分布は2番台の方がまとまっているといえる。
【0024】
(3)千円スタート分布とは、図4に示すように千円スタート(千円を消費する間のスタートで、通常時の差玉が250玉に相当)のばらつき具合を示す分布データで、千円スタートの各区分の割合を示している。図4に示す例では、1番台及び2番台とも千円スタート平均が18.3回であり、例えば「14」区分は、千円のスタート入賞個数が13〜14個であった割合を意味しており、1番台は7.0〜7.9%、2番台は6.0〜6.9%であることを示している。この千円スタート分布が中央に寄ってるほど、ばらつきが少ないことになる。つまり、スタート分布は2番台の方がまとまっているといえる。
【0025】
以上のような各スタートスランプ帳票により各遊技機1のスタートスランプ特性を分析することは可能であるが、スタートスランプ帳票に基づいてスタートスランプ特性を分析するには遊技ホールの管理者の慣れが必要となることから、不慣れな管理者でもスタートスランプ特性を分析可能とするためにスタートスランプ特性を数値化するのが望ましい。そこで、本実施形態では、スタートスランプ特性を数値する手法として、スタートのばらつきを分布データに対応した標準偏差値(所謂、標準偏差)によって表すようにした。
【0026】
以下、スタート分布に対応した標準偏差値であるスタート分布偏差について説明し、スタートスランプの分布データに対応した標準偏差値であるスタートスランプ偏差、千円スタートの分布データに対応した標準偏差値である千円スタート分布偏差についての説明は省略する。
図5及び図6はばらつきの大小の違いによるスタート分布偏差をグラフで示している。つまり、スタートのばらつきは分布の広さに表れ、図5に示すようにスタートのばらつきが多い台は分布が広く浅く(山がなだらかに)なっているのに対して、図6に示すようにスタートのばらつきが少ない台は分布が狭く高く(山が急峻に)なっている。このようなスタート分布偏差の広がりを数値することで、スタートのばらつきを求めることができる。
そこで、本実施形態では、標準偏差値によりスタート分布偏差の広がりを数値化した。つまり、標準偏差値は平均値を中心として全分布の約70%となる範囲を示すことから、標準偏差値の大小に基づいて分布の広がりを判断することができる。標準偏差値は次の式により求めることができる。
【0027】
【数1】
【0028】
具体的に、図7に示したスタート分布から標準偏差値を求める。尚、図7に示す数値は、図3に示した数値と異なっている。スタート分布では区分に対応した割合を百分率で示していることから、「50.0」区分の割合である4.5はサンプル数が4.5と見なすことができる。従って、1番台の「50.0」区分の平均スタートが例えば49.8とすると、49.8の10分間スタートが4.5回発生したことになる。同様に、「55.0」区分の平均スタートが53.4とすると、53.4の10分間スタートが5.3回発生し、「60.0」区分の平均スタートが57.3とすると、57.3の10分間スタートが20.2回発生したことになる。この場合、全体の10分間平均スタートは64.0、サンプル数は100であるから、図7に示す1番台の標準偏差値は次のように求めることができる。尚、図7に示す1番台の標準偏差値は、「65.0」区分、「70.0」区分、「80.0」区分、「85.0」区分、及び「90.0」区分の平均スタートをそれぞれ、62.1回、67.4回、71.3回、76.5回、81.0回、及び86.2回として求めている。
【0029】
【数2】
【0030】
さて、本実施形態では標準偏差値をスタート分布偏差(分散データに相当)と定義し、上述した計算式により求めたスタート分布偏差(標準偏差値)が図7に示す1番台では7.52、2番台では5.98となった(図5及び図6参照)。このスタート分布偏差の大小により、スタート分布偏差が小さい2番台の方がスタートのばらつきは小さいことを把握することができる。尚、説明の簡略化のために、図5及び図6に示す山の形状は左右対称とし、山の中央(平均値)を中心としたスタート分布の左右範囲を同一としたが、実際は山の形状によってスタート分布の左右範囲は異なる。
【0031】
上述のようにして求めたスタート分布偏差はスタート分布に反映させることで、スタートスランプ特性の判定が容易となる。
図7は、上述したように求めたスタート分布偏差をスタート分布と比較可能に表示した例である。尚、図中に示す分布データのうち20%以上となる分布データ(図中に左斜線で示す)、10〜19%となる分布データ(図中に右斜線で示す)を識別表示することにより分布データが集中する区分を認識可能とした。このような分布データの識別表示とスタート分布偏差とを合わせることにより、分布データの広がり(山の形状)を容易にイメージすることができる。
【0032】
ところで、図7に示したスタート分布において、設定したスタート入賞個数範囲内にある分布データの割合を示す割合データを求めることによって安定度を把握することができる。また、設定したスタート入賞個数を下回る割合を示す割合データを求めることによってストレス度を把握することができる。
【0033】
(1)安定度とは、設定範囲内に収まっているスタート入賞個数に対応する分布データが全体の何割あるのかを示す指標で、機種平均値を中心に分布がどれだけ中心に集まっているかを示している。図7に示す例では、機種平均値の区分を中心とした±2区分(全部で5区分で図中に枠線で囲った範囲)となる分布データの割合を安定度として設定した場合を示しており、1番台は85.9、2番台は92.4であることを示している。これにより、2番台の方の安定度が大きい、つまりスタート入賞がまとまっていることを把握することができる。
【0034】
(2)ストレス度とは、設定したスタート入賞個数を下回る分布データが全体の何割あるのかを示す指標で、遊技者がストレスを感じる下ブレの頻度割合を示している。図8に示す例では、「55」区分以下(図中に示す矢印範囲)となる分布データの割合をストレス度として設定した場合を示しており、1番台は9.8、2番台は2.2であることを示している。これにより、1番台の方のストレス度が大きい、つまりスタート入賞が入らない状況を多く体験している、或いはストレスを感じている状況が多いことを把握することができる。
【0035】
同様にして、図4に示した千円スタート分布に対して安定度範囲、或いはストレス度範囲を設定することにより、安定度或いはストレス度を数値化して求めることができる。
尚、図2に示すスタートスランプの分布データの分布は山形でははく、山の右側に広がる裾野形状となり、ばらつきが大きいほど裾野が広がる特性を示すことから、スタート間アウトが例えば40以下の割合を安定度範囲、41以上の割合をストレス度範囲として設定すればよい。また、スタート分布偏差に対応するスタートスランプ偏差としては、図2のスタートスランプの表から標準偏差値を求めるようにすればよい。
【0036】
このような実施形態によれば、スタート入賞間のアウト分布を示すスタートスランプ、或いは10分間のスタート入賞分布を示すスタート分布、或いは千円を消費する間のスタート入賞分布を示す千円スタート分布において、分布データが予め定められた範囲に含まれる割合である安定度、或いはストレス度を分布データと比較可能に表示するようにしたので、安定度、或いはストレス度を特定するための予め定められた範囲を、始動口6,7に玉が入賞しやすいと遊技者が感じたり、逆に入賞しづらいと感じる範囲とすることにより、始動口6,7への玉の入賞が分散することにより遊技者の気持ちに与える安定度、或いはストレス度を数値化することができ、熟練していない遊技場の管理者であったとしても、各データを見比べながらスタートスランプ特性を容易に判定できる。
また、スタートスランプ、或いはスタート分布、或いは千円スタート分布において、分布データに対応したスタート分布偏差(スタートスランプではスタートスランプ偏差)を分布データと比較可能に表示するようにしたので、スタート入賞の分散度合を遊技場にて容易に特定することができる。
【0037】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
上記実施形態では、スタート入賞信号の入力に基づいてスタートしたことを判定したが、図柄変動信号の入力に基づいてスタートしたことを判定するようにしてもよい。
分布データ及び分散データと割合データとを比較可能に表示するのに代えて、分布データ及び分散データの何れか一方と割合データとを比較可能に表示するようにしてもよい。
単位期間として通常アウト1000玉間のスタート入賞に基づいてスタートスランプを作成するのに代えて、時間やに基づいて作成してもよい。
間隔情報としてスタート間のアウトに基づいてスタート分布を作成するのに代えて、間隔情報をスタート間の時間に基づいて作成してもよい。
図5及び図6で示したグラフそのものを表示するようにしてもよい。
上記実施形態中に記載した数値は一例であり、任意に設定可能である。
管理対象のパチンコ遊技機としては、内部で玉が循環する構成の所謂封入式パチンコ遊技機を対象としてもよい。
【符号の説明】
【0038】
図面中、1はパチンコ遊技機、2は貸出装置、3は管理装置(遊技機管理装置、スタート情報特定手段、間隔情報特定手段、分布データ特定手段、分散データ特定手段、割合データ特定手段)、3aはディスプレイ(表示手段)、6,7は始動口、8は液晶表示部(図柄表示手段に相当)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9