(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に用いられる成分(a1)を構成する微粒子金属酸化物は、酸化亜鉛、酸化チタ
ン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄等が挙げられ、これらを一種又は二種以上
併用して用いることができる。これらの金属酸化物の粒径、形状等特に限定はされないが
、好ましくは紫外線防御効果の高い平均粒径1〜100nmの金属酸化物を用いることに
より、経時での安定性が優れた油中水型乳化化粧料を得ることができる。ここでの平均粒
径とは、画像解析装置(ルーゼックスIIIU,ニコレス社製)による測定により求めたものである。
【0019】
本発明に用いられる成分(a1)を構成するアルキルチタネートは、例えば、長鎖カル
ボン酸型、ピロリン酸型、亜リン酸型、アミノ酸型等のアルキルチタネート等が挙げられ
るが、分散安定化の観点より、炭素数8〜24のアルキル基を有するアルキルチタネート
が好ましく、これらは下記一般式(1)で示される化合物が例示できる。
【0022】
前記アルキルチタネートは、具体的には、長鎖カルボン酸型のアルキルチタネートとし
て、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタ
ネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステ
アロイルジアクリルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられ、
ピロリン酸型アルキルチタネートとして、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファ
イト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テト
ラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタ
ネート等が挙げられ、亜リン酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(ジオク
チルピロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテ
ートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられ
、アミノ酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノ
エチル)チタネート等が挙げられ、これらより一種又は二種以上用いることができる。
【0023】
これら有機チタネートの中でも、上記一般式(1)においてp=17で示されるイソプロ
ピルトリイソステアロイルチタネートを選択すると、のび広がりが良好であるため好まし
い。
【0024】
本発明において微粒子金属酸化物の表面にアルキルチタネートの表面処理剤を被覆する
方法は、特に限定されず、通常公知の処理方法が用いられる。具体的には、アルキルチタ
ネートと微粒子金属酸化物とを直接混合する方法、直接微粒子金属酸化物と混合し加熱し
て被覆する乾式被覆方法、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ヘキサン、塩化メ
チレン、ベンゼン、トルエン等の溶媒にアルキルチタネートを溶解又は分散し、この溶液
又は分散液に微粒子金属酸化物を添加し、混合後、前記溶媒を乾燥等により除去、加熱、
粉砕する湿式被覆方法、溶媒に溶解又は分散したアルキルチタネートを流動層中で粉体に
スプレーコートする気相被覆方法、メカノケミカル方法等が挙げられる。
【0025】
本発明に用いられる成分(a2)のポリヒドロキシステアリン酸は、成分(a1)を分
散させるために用いられ、ヒドロキシステアリン酸の水酸基は12位が好ましく、ヒドロ
キシステアリン酸の重合度は3〜12が好ましく、更に好ましくは重合度4〜8である。
市販品としては、ARLACEL P−100(ユニケマ社製)を挙げることが出来る。
【0026】
本発明に用いられる成分(a3)の非シリコーン系油剤は、成分(a1)を分散させる
媒体であり、ポリシロキサン骨格を持たない油剤であれば特に限定されず、動物油、植物
油、合成油等の起源や、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わないが、常
温(15℃〜25℃)で液状である液体油が成分(a1)の分散性の観点から好ましい。
例えば、炭化水素類、油脂類、硬化油類、エステル油類、フッ素系油剤類、ラノリン誘導
体類等が配合可能であり、より具体的には流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、ス
クワラン、植物性スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類
、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、カメリア油、ロ
ーズピップ油、アボカド油等の油脂類、ホホバ油、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノ
ナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン
酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリ
ル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソ
ステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセ
リル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチ
ル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン
酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、ラ
ノリン脂肪酸コレステリル、オレイン脂肪酸フィトステリル、N−ラウロイル−L−グル
タミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グル
タミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)等のエステル類、p−アミノ安息
香酸エチルヘキシルジメチル、サリチル酸エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸エチルヘキ
シル、オクトクリレン、ジネオペンチル−4’−メトキシベンザルマロナート等の油溶性
紫外線吸収剤類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテ
ル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリ
ンアルコール等のラノリン誘導体等を例示することができ、これらのうち1種または2種
以上を併用して用いることができる。これらのうち、炭化水素油及びエステル油が好まし
く、更には40℃における粘度が16mm
2/s以下の炭化水素油またはC27以下のエステ
ル油が特に好ましく、経時での安定性に優れ、べたつきが無くのび広がりの良好な使用性
を有する水中油型乳化化粧料を得ることができる。
【0027】
成分(a1)の微粒子金属酸化物のアルキルチタネートによる表面処理量は、質量比で
表面処理剤/微粒子金属酸化物=0.02〜0.25が好ましく、更に好ましくは、0.
03〜0.18である。この範囲であれば、更に良好な使用性を与えことができ、分散性
や経時での安定性も向上する。表面処理剤/微粒子金属酸化物=0.02未満では上記効
果を充分に得ることが難しい場合があり、0.25を超えて成分(A)を調製した場合、
均一な粉末状とはならず好ましくない場合がある。
微粒子金属酸化物の表面処理はアルキルチタネートだけでも良く、更に(ジメチコン
/メチコン)コポリマーや他の表面処理剤を組み合わせても良い。
【0028】
本発明に用いられる成分(a1)は更に(ジメチコン/メチコン)コポリマーで表面処
理すると成分(a1)の吸油量が下がり、分散組成物中に成分(a1)をより多く配合す
ることができ好ましい。(ジメチコン/メチコン)コポリマーはINTERNATION
ALNOMENCLATURE of COSMETIC INGREDIENTSに(ジメチ
コン/メチコン)コポリマーとして収載されている化合物であり、ジメチルシロキサンと
メチルハイドロジェンシロキサンからなる共重合体である。通常、粉体の表面処理剤とし
て用いられ、粉体に撥水性を付与し、しかも経時的に水素を発生し難い表面処理剤として
汎用されている。具体的には、好ましい化合物として下記一般式(2)で示される化合物
が例示できる。
【0030】
(a、bはそれぞれ正の整数で、a+b=7〜50、a:b=1:0.2〜1:4)
【0031】
成分(a1)の(ジメチコン/メチコン)コポリマーによる表面処理量は、質量比で(
表面処理剤)/(アルキルチタネートで表面処理された微粒子金属酸化物)=0.01〜
0.15が好ましく、更に好ましくは、0.03〜0.08である。この範囲であれば、
更に良好な使用性を与えことができ、分散性や経時での安定性も向上する。0.01未満
では上記効果を充分に得ることが難しい場合があり、また、0.15を超えて配合しても
更なる効果の向上が得られにくく、分散性やのび広がりが悪くなり、かえって良好な使用
性を得ることが困難となる場合がある。
【0032】
本発明において、成分(a1)の含有量が微粒子金属酸化物分散組成物中、30〜70
質量%(以下「%」と略す)であることが好ましく、更に好ましくは40〜60%である。この範囲
であれば、更に良好な使用性を与えことができる。30%未満では、マスターバッチ(中
間原料)として化粧料に配合する際に、紫外線防止効果を発揮できる十分な量を配合でき
ない場合があり、70%よりも多いと、一次粒子に分散するのに多量の成分(a2)を必
要とするため、かえって良好な使用性を得ることが困難となる場合がある。
【0033】
本発明において、成分(a1)と成分(a2)の含有質量比(a2)/(a1)は0.
01〜0.5が好ましく、更に好ましくは、0.02〜0.3である。この範囲であれば
、更に良好な使用性を与えことができ、分散性や経時での安定性も向上する。0.01未
満では、一次粒子まで分散できない場合があり、0.5を超えて配合しても更なる効果の
向上が得られにくく、かえって良好な使用性を得ることが困難となる場合がある。
【0034】
本発明の微粒子金属酸化物分散組成物には、シリコーン油を含有しないことが好ましい。シリコーン油を含有する場合にはできるだけ少量であることが好ましく、シリコーン油の含有量は、シリコーン油と微粒子金属酸化物分散組成物中の全ての油剤の含有質量比(シリコーン油)/(全ての油剤)=0.2以下が好ましく、更に好ましくは0.1以下であり、最も好ましくはシリコーン油を配合しないことである。全ての油剤中のシリコーン油の含有比率が高くなると、微粒子金属酸化物分散組成物の粘度が高くなり、成分(a)の分散性が低下する。
【0035】
本発明の微粒子金属酸化物分散組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、
例えば、成分(a2)と成分(a3)を混合し、これに成分(a1)を添加し、均一分散
することにより得ることができる。この際に、均一分散する機器としては、ディスパーミ
キサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル等が挙げれるが、より好ましくは媒体を
用いたボールミルやビーズミル等の湿式粉砕処理機器である。上記分散組成物は、水中油
型乳化化粧料の調製過程では製造することはできない。
【0036】
本発明の成分(A)には、上記成分に加え、目的に応じて本発明の効果を損なわない量
的、質的範囲において、上述した以外の粉体や界面活性剤、ゲル化剤、酸化防止剤、防腐
剤、着色剤、香料、化粧料用成分等を配合可能である。
【0037】
成分(A)の微粒子金属酸化物分散組成物の配合量は1〜75%が好ましく、5〜50
%がより好ましい。この範囲であると、べたつきが無くのび広がりに優れる水中油型乳化
化粧料を得ることができる。また成分(A)は一種または二種以上を用いることができる
。
【0038】
本発明で用いる微粒子金属酸化物分散組成物はあらかじめ成分(a3)中に成分(
a1)を成分(a2)で分散させることにより、効率的に微粒子金属酸化物を分散するこ
とができる。そしてこの組成物と成分(B)と成分(C)を配合した油性成分を水性成分
中に乳化させることにより、分散性や経時での安定性に優れ、べたつきが無くのび広がり
の良好な使用性を有する水中油型乳化化粧料を得られる。
【0039】
本発明に用いられる成分(B)のアルキルメチルタウリン塩及び/又はリン脂質は、水
中油型乳化化粧料の乳化剤であり、微粒子金属酸化物分散組成物の分散安定性向上に寄与し、
水中油型乳化化粧料の経時安定性を著しく向上させる。更に、使用時のべたつきの無さなどの
使用性向上にも寄与する。本発明に用いられる(B)のアルキルメチルタウリン塩は通常
化粧料で使用されているものであれば特に限定されないが、これらの中でも、経時安定性
及び使用感向上効果の観点から、Nアシルメチルタウリン塩が好ましい。また、成分(B
)のリン脂質は、通常化粧料で使用されているものであれば特に限定されないが、具体的
に例示するのであれば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホス
ファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィ
ンゴリン脂質、大豆レシチン、卵黄レシチン、あるいはそれらの水素添加物等のリン脂質
及びリン脂質・コレステロール複合体、リン脂質・フィトステロール複合体等のリン脂質
複合体を挙げることができる。これらの成分(B)のアルキルメチルタウリン塩及び/又
はリン脂質は、必要に応じて一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
【0040】
成分(B)の含有量は0.01〜10%が好ましく、より好ましくは0.1〜5%であ
る。この範囲内であれば乳化状態も良好であり、使用性が良好で、充分な経時安定性を有
するものが得られる。0.01%未満では充分な経時安定性も得られない場合があり、ま
た5%を超えて配合しても乳化状態や経時安定性の更なる向上は得られず、かえって良好
な使用感を得るのが困難な場合がある。
【0041】
本発明に用いられる成分(C)の油性成分は、皮膚に油分を与え、しっとりとした良好
な感触を与える目的で配合される。この油性成分としては、通常化粧料等に使用される油
性成分であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源や、固形油、半固形油
、液体油、揮発性油等の性状を問わない。例えば、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油
類、エステル油類、脂肪酸類、有機シリコーン類、フッ素系油剤類、ラノリン誘導体類等
が使用可能であり、より具体的には流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラ
ン、植物性スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス
、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレン
プロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシュトロプスワックス等の炭化水素類
、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、カメリア油、ロ
ーズピップ油、アボカド油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワ
ックス、ゲイロウ等のロウ類、ホホバ油、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イ
ソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチ
ルドデシル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル
、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ヘキサ(ヒドロキシス
テアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、リンゴ酸ジイソステアリ
ル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシ
ステアリン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、
オレイン脂肪酸フィトステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・
ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル
・2−オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、
ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、低重合度ジメチルポリシロキ
サン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシ
クロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、架橋型オルガノポリシロ
キサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等の有
機シリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテ
ル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリ
ンアルコール等のラノリン誘導体等を例示することができ、これらのうち1種または2種
以上を併用して用いることができる。これらのうち、低重合度ジメチルポリシロキサン、
メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、流動パラフィンが
、べたつきの無い良好な使用感を与えるため特に好ましい。
【0042】
成分(C)の含有量は、0.01〜60%が好ましく、より好ましくは0.5〜30%
である。この範囲であれば、良好な感触を与えることができ、更にその効果が持続するた
めに好ましい。0.01%未満では上記効果を充分に得ることが難しい場合があり、また、
60%を超えて配合しても更なる効果の向上が得られにくく、かえって油っぽさを与えて
しまう場合がある。
【0043】
本発明の水中油型乳化化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、
成分(A)、(B)、(C)の他に、通常化粧料に配合される成分として、成分(A)、
(B)、(C)以外の界面活性剤や多価アルコール、低級アルコール、水溶性高分子、保
湿剤等の水性成分、糖類、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、防腐剤、薬効成分、
安定化剤、色素、香料等を各種の効果の付与のために適宜配合することができる。
【0044】
本発明の水中油型乳化化粧料には、成分(A)、(B)、(C)の他に界面活性剤を配
合することができ、化粧料に配合される界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、ア
ニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が挙げられる。例えば、非イオン性界面活
性剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソル
ビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル
、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、N
−アルキルジメチルアミンオキシドポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリ
オキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステリルエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル
エーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどを挙げられる。例えば、ア
ニオン性界面活性剤としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
イソステアリン酸などの脂肪酸のナトリウム塩またはトリエタノールアミン塩、ポリオキ
シエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸、ポリオ
キシエチレンオレイルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン
酸などのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。例えば
、カチオン性界面活性剤としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステア
リルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリ
メチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモ
ニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化ジステアリルジメチルアンモニウ
ム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウム、臭化ジベヘニルジメチルアンモニウム、塩化
ジセチルジメチルアンモニウム、臭化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジ
メチルベンジルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシ
エチレン(15E.O.)ヤシ油アルキルメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレン
(4E.O.)ラウリルエーテルジメチルアンモニウム、塩化ステアリン酸アミドプロピル
トリメチルアンモニウム、ジココイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム・メチ
ル硫酸塩等を挙がられる。これらの中でも、経時安定性及び使用感向上効果の観点から、
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を成分(A)、(B)、(C)と併用させることが好ま
しい。
【0045】
本発明の水中油型乳化化粧料には、成分(A)、(B)、(C)の他に水性成分を配合
することができ、化粧料に配合される水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れで
もよく、例えば、エチアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブ
チレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類
、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッ
チヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げ
られる。
【0046】
本発明の水中油型乳化化粧料には、成分(A)、(B)、(C)の他に水溶性高分子を
配合することができ、化粧料に配合される水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロ
イチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム
、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付
加カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアク
リル酸ナトリウム等の合成系のもの、他にタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチ
ン、ケラチン等が挙げられる。
【0047】
本発明の水中油型乳化化粧料には、成分(A)、(B)、(C)の他に添加剤を配合す
ることができ、化粧料に配合される添加剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコ
ルビン酸等の酸化防止剤、ビタミン類、消炎剤、生薬等の美容成分、パラオキシ安息香酸
エステル、フェノキシエタノール等の防腐剤が挙げられる。
【0048】
本発明の水中油型乳化化粧料の製造方法は、特に限定されるものではないが、成分(A
)、(C)を混合したものを、成分(B)と任意の水系成分、活性剤を混合分散したもの
に添加、その後水を添加し乳化させ、これを容器または型に充填して得ることができる。
【0049】
本発明の化粧料は、特に限定されないが、形状として液状、半固形状、固形状のものが
挙げられる。また、製品形態としては、洗顔フォーム・クリーム、クレンジング、マッサ
ージクリーム、パック、化粧水、乳液、クリーム、美容液、化粧下地、日焼け止めなどの
皮膚用化粧料、ファンデーション、白粉、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、アイ
ブロウ、コンシーラー、口紅、リップクリーム等の仕上げ用化粧料、ヘアミスト、シャン
プー、リンス、トリートメント、ヘアトニック、ヘアクリーム、ポマード、チック、液体
整髪料、セットローション、ヘアスプレー、等の頭髪用化粧料などを例示することができ
る。この中でも、日焼け止め、ファンデーション、化粧下地等が本発明の効果が発揮され
やすい化粧料である。
【実施例】
【0050】
以下に製造例及び実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら
限定するものではない。
【0051】
製造例1〜7
表1に示す組成の表面処理微粒子金属酸化物を下記の製造方法により調製した。
【0052】
【表1】
【0053】
(製造方法)
イソプロピルアルコール100部と成分3〜5を混合し、ヘンシェルミキサー(三井鉱
山社製)中で成分1、2と混合する。その後、減圧下、60℃でイソプロピルアルコール
を回収し、表面処理微粒子金属酸化物を得た。
【0054】
製造例8〜17
表2に示す組成の微粒子金属酸化物分散組成物を下記の製造方法により調製した。
【0055】
【表2】
【0056】
(製造方法)
成分(1)〜(11)を均一に混合し、アシザワ(株)製のビーズミル(LMZ−0.
6)にてジルコニアビーズ3mmを用い、ビーズ゛充填率60%、アジテーター回転数2
000rpmにて5時間分散させ、微粒子金属酸化物分散組成物を得た。
【0057】
実施例1〜13及び比較例1〜
7:水中油型乳化化粧料
表3〜5に示す組成の水中油型乳化化粧料を下記の製造方法により調製し、各試料について、「経時での安定性」、「べたつきのなさ」、「のびの良さ」について評価を行い、その結果も併せて表3〜5に示した。
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
<製造方法>
A. 成分(1)〜(8)を70℃にて均一に混合分散する。
B. 成分(9)〜(16)を70℃にて均一に混合溶解する。
C. 成分(17)、(18)を70℃にて均一に混合溶解する。
D. AにBを均一に混合し70℃にてゲル化する。
E. DにCを均一に混合分散し70℃にて乳化する。
F. Eを冷却する。
G. Fに成分(19)〜(22)を加え、均一に混合分散し水中油型乳化化粧料を得た
。
【0062】
(評価方法)経時での安定性
水中油型乳化化粧料の安定性が良好であれば次に示す加速試験前後の化粧料の粘度変化
は小さく、安定性が悪い場合は加速試験前後の粘度変化が大きくなる。ここでの加速試験
とは50℃恒温槽に4週間保管することである。水中油型乳化化粧料を製造後、30℃恒
温槽にて1日保管した後にB型粘度計で測定した粘度値と、50℃恒温槽に4週間保管し
た後30度の恒温槽に1日保管した後に測定した粘度値を比較し、下記の基準に従って判
断した。
(評価) :(判定)
粘度変化が0mPa・s以上、±10000mPa・s未満 ;◎
粘度変化が±10000mPa・s以上、±20000mPa・s未満 ;○
粘度変化が±20000mPa・s以上、±40000mPa・s未満 ;△
粘度変化が±40000mPa・s以上 ;×
【0063】
(評価方法)べたつきのなさ、のびの良さ
水中油型乳化化粧料について化粧品評価専門パネル20名による使用テストを行った。
パネル各人に各試料を使用してもらい、下記絶対評価基準にて6段階に評価し評点を付け
、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により
判定した。
【0064】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6点:非常に良好
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:5点を超える
○:3.5点を超える5点以下
△:2点を超える3.5点以下
×:2点以下
【0065】
表3〜5に示したように、実施例1〜13は「経時での安定性」、「べたつきのなさ」、「のびの良さ」の全項目において優れていた。一方、ポリヒドロキシステアリン酸を配合しない製造例14の微粒子金属酸化物分散組成物を用いた比較例1および2は、製造例1のイソプロピルトリイソステアロイルチタネート10%表面処理微粒子金属酸化物が均一に分散せず、全項目で劣っていた。また、アルキルメチルタウリン塩及びリン脂質に替えて、カチオン性界面活性剤である塩化ジステアリルジメチルアンモニウムを配合した比較例3、両性界面活性剤である2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインを配合した比較例4、アニオン性界面活性剤であるステアリン酸を配合した比較例5、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油を配合した比較例6も製造例1のイソプロピルトリイソステアロイルチタネート10%表面処理微粒子金属酸化物が均一に分散せず、経時での安定性が特に悪く、全項目で劣っていた
。ポリヒドロキシステアリン酸の替わりに(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマーを配合した製造例15の微粒子金属酸化物分散組成物を用いた比較例
7は、経時での安定性が特に悪く、全項目で劣っていた。
【0066】
実施例14:水中油型乳化化粧料
(成分) (%)
1.ステアロイルメチルタウリンNa 2
2.グリセリン 20
3.1,3−ブチレングリコール 5
4.ソルビタン脂肪酸エステル 0.1
5.製造例8の微粒子金属酸化物分散組成物 10
6.モノステアリン酸グリセリン 0.5
7.セトステアリルアルコール 1
8. メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 3
9.トリエチルヘキサン酸グリセリル 2
10.キサンタンガム 0.2
11.精製水 19.8
12.アルコール 2
13.メチルパラベン 0.2
14.精製水 残量
(製造方法)
A.成分(1)〜(4)を70℃にて均一に混合分散する。
B.(5)〜(9)を70℃にて均一に混合溶解する。
C.成分(10)〜(11)を70℃にて溶解する。
D.AにBを均一に混合し70℃にてゲル化する。
E.DにCを均一に混合分散し70℃にて乳化する。
F.Eを冷却する。
G.Fに成分(12)〜(14)を加え、均一に混合分散し水中油型乳化化粧料を得た。
【0067】
実施例14は、経時での安定性に優れ、べたつきがなく、のびの良い使用性の水中油型
乳化物であった。
【0068】
実施例15:水中油型乳化化粧料
(成分) (%)
1.水素添加リン脂質 2
2.グリセリン 20
3.1,3−ブチレングリコール 5
4.ソルビタン脂肪酸エステル 0.1
5.製造例8の微粒子金属酸化物分散組成物 10
6.モノステアリン酸グリセリン 0.5
7.セトステアリルアルコール 1
8. メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 3
9.トリエチルヘキサン酸グリセリル 2
10.キサンタンガム 0.2
11.精製水 19.8
12.エタノール 2
13.メチルパラベン 0.2
14.精製水 残量
(製造方法)
A.成分(1)〜(4)を70℃にて均一に混合分散する。
B.(5)〜(9)を70℃にて均一に混合溶解する。
C.成分(10)〜(11)を70℃にて溶解する。
D.AにBを均一に混合し70℃にてゲル化する。
E.DにCを均一に混合分散し70℃にて乳化する。
F.Eを冷却する。
G.Fに成分(12)〜(14)を加え、均一に混合分散し水中油型乳化化粧料を得た。
【0069】
実施例15は、経時での安定性に優れ、べたつきがなく、のびの良い使用性の水中油型
乳化物であった。
【0070】
実施例16:水中油型乳化化粧料
(成分) (%)
1.ステアロイルメチルタウリンNa 2
2.ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 2
3.精製水 残量
4.1,3−ブチレングリコール 5
5.ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸 0.1
6.トリエタノールアミン 0.1
7.製造例8の微粒子金属酸化物分散組成物 10
8.モノステアリン酸グリセリン 0.5
9.セトステアリルアルコール 1
10.メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 3
11.トリエチルヘキサン酸グリセリル 2
12.エタノール 2
13.メチルパラベン 0.2
(製造方法)
A.成分(1)〜(6)を70℃にて均一に混合分散する。
B.成分(7)〜(11)を70℃にて均一に混合溶解する。
C.AにBを均一に混合分散し70℃にて乳化する。
D.Cを冷却する。
E.Dに成分(12)、(13)を加え、均一に混合分散し水中油型乳化化粧料を得た。
【0071】
実施例16は、経時での安定性に優れ、べたつきがなく、のびの良い使用性の水中油型
乳化物であった。