特許第5770497号(P5770497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5770497外科手術器具における直線運動のパラメータを決定する方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770497
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】外科手術器具における直線運動のパラメータを決定する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   A61B17/10 310
【請求項の数】20
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2011-54753(P2011-54753)
(22)【出願日】2011年3月11日
(65)【公開番号】特開2011-189128(P2011-189128A)
(43)【公開日】2011年9月29日
【審査請求日】2013年12月24日
(31)【優先権主張番号】61/313,231
(32)【優先日】2010年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/033,621
(32)【優先日】2011年2月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507362281
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エム. マックエン
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−090113(JP,A)
【文献】 特開2006−334417(JP,A)
【文献】 特開2007−229448(JP,A)
【文献】 特開平07−299074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
該ハウジングから遠位に延び、第1の長手方向軸を規定する細長いシャフトと、
該細長いシャフト内に配置され発射ロッドと、
該ハウジング内に少なくとも部分的に配置され駆動機構であって、該駆動機構は該発射ロッドと機械的に協働する、駆動機構と、
発射ロッドと該細長いシャフトとの間の電界における変化を感知す運動センサと、
知された該電界における変化に基づいて、該発射ロッドの運動のパラメータを決定す測定ユニットと
を備えている、外科手術器具。
【請求項2】
前記運動センサは、信号発生器を備え、該信号発生器は、前記発射ロッドと前記細長いシャフトとの間の前記電界における変化と共に変動するパルス信号を発生させ、前記測定ユニットは、該パルス信号に基づいて、該発射ロッドの前記運動のパラメータを決定する、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項3】
前記測定ユニットは、カウンタとデータプロセッサとを含み、該カウンタは、前記パルス信号内のパルスをカウントし、該データプロセッサは、パルス信号周波数を計算し、該パルス信号周波数に基づいて、前記発射ロッドの前記運動のパラメータを決定する、請求項2に記載の外科手術器具。
【請求項4】
前記発射ロッドの前記運動のパラメータは、該発射ロッドの位置である、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項5】
前記発射ロッドの前記運動のパラメータは、該発射ロッドの速度である、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項6】
前記発射ロッドの前記運動のパラメータは、該発射ロッドの運動の方向である、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項7】
前記駆動機構は、駆動モータであり、前記外科手術器具は、
コントローラをさらに備え、該コントローラは前記発射ロッドの前記運動の測定されたパラメータに基づいて、該駆動モータを制御する、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項8】
電圧を前記発射ロッドに印加する電圧源をさらに備えている、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項9】
経時変化の電圧を前記発射ロッドに印加する電圧源をさらに備えている、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項10】
外科手術器具内の発射ロッドの運動のパラメータを決定する方法であって、該外科手術器具は、運動センサと測定ユニットとを含み、該方法は、
該運動センサが、外科手術器具のハウジング部分と該ハウジング部分に配置され発射ロッドとの間の電界における変化を感知することと、
該測定ユニットが、該感知された該電界における変化に基づいて、該発射ロッドの該運動のパラメータを決定することと
を包含する、方法。
【請求項11】
外科手術器具を動作させる方法であって、該外科手術器具は、運動センサと測定ユニットとコントローラとを含み、該方法は、
該運動センサが、外科手術器具のハウジング部分と該ハウジング部分に配置され発射ロッドとの間の電界における変化を感知することと、
該測定ユニットが、該感知された該電界における変化に基づいて、該発射ロッドの運動のパラメータを決定することと、
該コントローラが、該発射ロッドの該決定された該運動のパラメータに基づいて、該発射ロッドの運動を制御することと
を包含する、方法。
【請求項12】
前記運動センサが、前記電界における変化を感知することは、該電界における変化と共に変動するパラメータを有する信号を発生させることを包含し、前記測定ユニットが、前記発射ロッドの前記運動のパラメータを決定することは、該信号のパラメータに基づいて、該発射ロッドの該運動のパラメータを決定することを包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記信号の前記パラメータは、該信号の周波数であり、前記運動センサが、前記電界における変化を感知することは、前記測定ユニットが、所定の時間期間にわたり該信号のパルスをカウントすることと、該測定ユニットが、該カウントされたパルスおよび該所定の時間期間に基づいて、信号周波数を計算することとをさらに包含する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記信号のパラメータは、該信号におけるパルスの幅であり、前記運動センサが、前記電界における変化を感知することは、前記測定ユニットが、該信号の該パルスの幅を決定することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記発射ロッドの前記運動のパラメータは、該発射ロッドの位置である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記発射ロッドの前記運動のパラメータは、該発射ロッドの速度である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記発射ロッドの前記運動のパラメータは、該発射ロッドの方向である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記測定ユニットが、前記発射ロッドの方向を決定することは、該測定ユニットが、前記電界における変化と共に変動する信号の周波数の増加または減少を決定することを包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記外科手術器具は、電圧源をさらに含み、
前記方法は、該電圧源が、前記発射ロッドに電位を印加することをさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記外科手術器具は、電圧源をさらに含み、
前記方法は、該電圧源が、前記発射ロッドに経時変化の電位を印加することをさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2010年3月12日に出願された米国仮特許出願第61/313,231号の利益およびその仮特許出願に対する優先権を主張し、その内容全体が本明細書に参照によって援用される。本出願はまた、2008年8月12日に出願された米国特許出願第12/189,834号の一部継続出願であり、この特許出願は、2007年10月5日に出願された米国仮特許出願第60/997,854号の利益およびその仮出願に対する優先権を主張し、その内容全体が本明細書に参照によって援用される。
【0002】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、体組織を操作するかまたは体組織の中に外科手術ファスナを配置する方法および装置に関し、特に、発射ロッドに関係する電界に基づいて、外科手術器具における発射ロッドの運動のパラメータを決定する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の背景)
現在の外科手術器具は、体組織を締め付け、体組織に外科手術ファスナを配置するために、典型的には10〜60ポンドの手動力(manual hand force)を必要とする。これらの外科手術を繰り返し用いることは、外科医の手の疲労を引き起こし得る。理由のうちとりわけこの疲労を軽減するかまたは除去するために、動力外科手術器具が開発された。これらの動力外科手術器具は、気体動力空気ステープラを含み、この気体動力空気ステープラは、外科手術ファスナを体組織の中に埋め込む。これらの器具のある種のものは、発射機構およびトリガ機構に連結された加圧気体供給源を含む。トリガ機構は、押されたとき加圧気体を放出し、加圧気体は次に発射機構に力を加え、外科手術ファスナを体組織に配置する。
【0004】
動力外科手術器具はまた、モータ動力外科手術器具を含む。これらの外科手術器具は、ステープル発射機構を起動させるモータを有する動力外科手術ステープラを含む。典型的には、モータは、モータが親ねじの回転を引き起こし得るように親ねじに機械的に連結されるロータリモータである。親ねじは、親ねじの外側表面に親ねじの長さに沿って機械加工された(ボルトのねじ切りに類似した)連続したらせん形のねじ切りを有する。親ねじにはめ込まれるのは、対応するらせんのねじ切りを有するナットである。しかしながら、ナットは、親ねじと共に回転しない。この構成において、親ねじがモータによって回転させられる場合、ナットは直線の方向に駆動される。ナットは、次いで体組織を操作するかまたは外科手術ファスナを体組織の中に配置する機構を駆動する。代わりに、親ねじは、発射ロッドであって、その外側表面にらせんのねじ切りを有する、発射ロッドによって置き換えられ、ナットは、駆動管であって、その内側表面に対応するねじ切りを有する、駆動管によって置き換えられる(以下に説明されるように)。この構成において、モータは駆動管を回転させ、駆動管は次に直線の方向に発射ロッドを駆動する。発射ロッドは、次いで体組織を操作するかまたは外科手術ファスナを体組織の中に配置する機構を駆動する。
【0005】
いくつかの外科手術器具において、コントローラは、発射機構の直線の運動のパラメータ(例えば、速度)を感知するセンサからのフィードバックに基づいて、発射機構(例えば、ナットまたは発射ロッド)の運動を制御する。発射ロッドの運動に関連するパラメータを感知する従来の方法は、ロータリモータまたは発射ロッドを駆動する駆動管に機械的に連結される回転センサを用いることである。
【0006】
典型的な回転センサは、ロータリモータ(または駆動管)の駆動シャフトに連結されるエンコーダホイールと、光発生器と、光学読取り装置(例えば、フォトインタラプタ)とを含む。エンコーダホイールは、エンコーダホイールの外側エッジの周りに配置される複数のスリットを含み、駆動シャフトと共に回転する。エンコーダホイールの外側エッジは、光発生器がスリットを通って光学読取り装置に光ビームを放射するように、光発生器と光学読取り装置との間に配置される。換言すると、光ビームは、駆動シャフトが回転すると、エンコーダホイールによって中断される。光学読取り装置は、光ビームの中断の数および中断の速度を決定し、これらの測定値をプロセッサに送信し、プロセッサは駆動シャフトの速度を決定する。プロセッサは、次いで駆動シャフトの速度を用い、駆動シャフトに機械的に連結されるアクチュエータ(例えば、発射ロッド)の直線の速度を計算する。
【0007】
しかしながら、回転センサならびにその他の現在あるタイプのセンサは、実質的な方法で外科手術器具のサイズ、長さ、直径、重量および複雑性の一因となる。さらに、これらのセンサの多くは、外科手術器具内において機械的な摩耗を増加させる。なぜなら、センサは、外科手術器具の構成要素と機械的に相互に作用するかまたは外科手術器具の構成要素と繰り返し物理的に接触するからである。従って(信頼性の増加のために)機械的摩耗を減少させ、(製作コストの低減のために)外科手術器具の設計の複雑性を減少させ、(腹腔鏡処置および内視鏡処置中の操作性の増加のために)外科手術器具のサイズ、長さ、直径および重量を減少させるセンサを有する外科手術器具に対する継続したニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(概要)
本開示は、一局面において外科手術器具を特徴とする。外科手術器具は、ハウジングと、細長いシャフトと、発射ロッドと、駆動機構と、運動センサと、測定ユニットとを含む。細長いシャフトは、ハウジングから遠位に延び、第1の長手方向軸を規定する。発射ロッドは細長いシャフト内に配置され、駆動機構はハウジング内に少なくとも部分的に配置される。駆動機構は発射ロッドと機械的に協働する。運動センサは、発射ロッドと細長いシャフトとの間の電界における変化を感知する。測定ユニットは、感知された電界における変化に基づいて、発射ロッドの運動のパラメータを決定する。従って、いくつかの実施形態において、外科手術器具は、電界を感知する、発射ロッドに電気的に連結される運動センサを単に含む。このセンサ設計は、発射ロッドと機械的に相互に作用をしないで、従って外科手術器具の構成要素の機械的な摩耗を減少させる。さらに、このセンサ設計は、単純で、外科手術処置中の最適な操作性のために外科手術器具のサイズを最小限にする。
【0009】
いくつかの実施形態において、運動センサは、信号発生器を備え、信号発生器は、発射ロッドと細長いシャフトとの間の電界における変化と共に変動するパルス信号を発生させる。さらに、測定ユニットは、パルス信号に基づいて、発射ロッドの運動のパラメータを決定する。いくつかの実施形態において、測定ユニットは、パルス信号内のパルスをカウントするカウンタを含む。これらの実施形態において、測定ユニットはまた、パルス信号周波数を計算し、パルス信号周波数に基づいて、発射ロッドの運動のパラメータを決定するデータプロセッサを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、発射ロッドの運動のパラメータは、発射ロッドの位置、速度、および/または方向である。いくつかの実施形態において、駆動機構は、駆動モータであり、外科手術器具はコントローラをさらに含み、コントローラは発射ロッドの運動の測定されたパラメータに基づいて、駆動モータを制御する。他の実施形態において、外科手術器具はまた、経時変化の電圧などの電圧を発射ロッドに印加する電圧源を含む。
【0011】
本開示は、別の局面において、外科手術器具内の発射ロッドの運動のパラメータを決定する方法を特徴とする。方法は、外科手術器具のハウジング部分とハウジング部分に配置される発射ロッドとの間の電界における変化を感知することと、感知された電界における変化に基づいて、発射ロッドの運動のパラメータを決定することとを含む。
【0012】
本開示は、さらに別の局面において、外科手術器具を操作する方法を特徴とする。この方法は、外科手術器具のハウジング部分とハウジング部分に配置される発射ロッドとの間の電界における変化を感知することと、感知された電界における変化に基づいて、発射ロッドの運動のパラメータを決定することと、発射ロッドの決定された運動のパラメータに基づいて、発射ロッドの運動を制御することとを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、電界における変化を感知することは、電界における変化と共に変動するパラメータを有する信号を発生させることを含む。これらの実施形態において、発射ロッドの運動のパラメータを決定することは、信号のパラメータに基づいて、発射ロッドの運動のパラメータを決定することを含む。いくつかの実施形態において、信号のパラメータは、信号の周波数であり、電界における変化を感知することは、所定の時間期間にわたり信号のパルスをカウントすることと、カウントされたパルスおよび所定の時間期間に基づいて、信号周波数を計算することとをさらに含む。他の実施形態において、信号のパラメータは、信号のパルスの幅であり、電界における変化を感知することは、信号のパルスの幅を決定することをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、発射ロッドの運動のパラメータは、発射ロッドの位置、速度、および/または方向を含む。いくつかの実施形態において、発射ロッドの方向を決定することは、電界における変化と共に変動する信号の周波数の増加または減少を決定することを含む。他の実施形態において、方法は、発射ロッドに経時変化の電位などの電位を印加することを含む。
【0015】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
ハウジングと、
該ハウジングから遠位に延び、第1の長手方向軸を規定する細長いシャフトと、
該細長いシャフト内に配置される発射ロッドと、
該ハウジング内に少なくとも部分的に配置される駆動機構であって、該駆動機構は該発射ロッドと機械的に協働する、駆動機構と、
運動センサであって、該発射ロッドと該細長いシャフトとの間の電界における変化を感知する、運動センサと、
測定ユニットであって、感知された該電界における変化に基づいて、該発射ロッドの運動のパラメータを決定する、測定ユニットと
を備えている、外科手術器具。
(項目2)
上記運動センサは、信号発生器を備え、該信号発生器は、上記発射ロッドと上記細長いシャフトとの間の上記電界における変化と共に変動するパルス信号を発生させ、上記測定ユニットは、該パルス信号に基づいて、該発射ロッドの上記運動のパラメータを決定する、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目3)
上記測定ユニットは、カウンタとデータプロセッサとを含み、該カウンタは、上記パルス信号内のパルスをカウントし、該データプロセッサは、パルス信号周波数を計算し、該パルス信号周波数に基づいて、上記発射ロッドの上記運動のパラメータを決定する、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目4)
上記発射ロッドの上記運動のパラメータは、該発射ロッドの位置である、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目5)
上記発射ロッドの上記運動のパラメータは、該発射ロッドの速度である、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目6)
上記発射ロッドの上記運動のパラメータは、該発射ロッドの運動の方向である、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目7)
上記駆動機構は、駆動モータであり、上記外科手術器具は、
コントローラをさらに備え、該コントローラは上記発射ロッドの上記運動の測定されたパラメータに基づいて、該駆動モータを制御する、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目8)
電圧を上記発射ロッドに印加する電圧源をさらに備えている、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目9)
経時変化の電圧を上記発射ロッドに印加する電圧源をさらに備えている、上記項目のいずれかに記載の外科手術器具。
(項目10)
外科手術器具内の発射ロッドの運動のパラメータを決定する方法であって、
外科手術器具のハウジング部分と該ハウジング部分に配置される発射ロッドとの間の電界における変化を感知することと、
該感知された該電界における変化に基づいて、該発射ロッドの該運動のパラメータを決定することと
を包含する、方法。
(項目11)
外科手術器具を操作する方法であって、
外科手術器具のハウジング部分と該ハウジング部分に配置される発射ロッドとの間の電界における変化を感知することと、
該感知された該電界における変化に基づいて、該発射ロッドの運動のパラメータを決定することと、
該発射ロッドの該決定された該運動のパラメータに基づいて、該発射ロッドの運動を制御することと
を包含する、方法。
(項目12)
上記電界における変化を感知することは、該電界における変化と共に変動するパラメータを有する信号を発生させることを包含し、上記発射ロッドの上記運動のパラメータを決定することは、該信号のパラメータに基づいて、該発射ロッドの該運動のパラメータを決定することを包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目13)
上記信号の上記パラメータは、該信号の周波数であり、上記電界における変化を感知することは、所定の時間期間にわたり該信号のパルスをカウントすることと、該カウントされたパルスおよび該所定の時間期間に基づいて、信号周波数を計算することとをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
上記信号のパラメータは、該信号におけるパルスの幅であり、上記電界における変化を感知することは、該信号の該パルスの幅を決定することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15)
上記発射ロッドの上記運動のパラメータは、該発射ロッドの位置である、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
上記発射ロッドの上記運動のパラメータは、該発射ロッドの速度である、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
上記発射ロッドの上記運動のパラメータは、該発射ロッドの方向である、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目18)
上記発射ロッドの方向を決定することは、上記電界における変化と共に変動する信号の周波数の増加または減少を決定することを包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19)
上記発射ロッドに電位を印加することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目20)
上記発射ロッドに経時変化の電位を印加することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目21)
上記電界における変化を感知するステップは、運動センサによって行われ、
上記発射ロッドの上記運動のパラメータを決定するステップは、測定ユニットによって行われ、
該発射ロッドの該運動を制御するステップは、コントローラによって行われる、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0016】
(摘要)
外科手術器具を制御する外科手術器具および方法が開示される。外科手術器具は、ハウジングと、ハウジングから遠位に延び、第1の長手方向軸を規定する細長いシャフトとを含む。外科手術器具はまた、細長いシャフト内に配置される発射ロッドと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置される駆動機構とを含む。駆動機構は、発射ロッドと機械的に協働し、発射ロッドを動かす。運動センサは、発射ロッドと細長いシャフトとの間の電界における変化(例えば、キャパシタンス、インピーダンス、またはアドミタンス)を感知する。測定ユニットは、感知された電界における変化に基づいて、発射ロッドの運動のパラメータ(発射ロッドの位置、速度、および方向など)を決定する。コントローラは、駆動機構を制御するために発射ロッドの運動の測定されたパラメータを用いる。
【0017】
主題の器具の様々な実施形態は、図面を参照して本明細書において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本開示の実施形態に従う、発射ロッドと細長いシャフトとの間の電界の変化を感知する運動センサを含む外科手術器具の斜視図である。
図2図2は、図1の動力外科手術器具の部分斜視図である。
図3図3は、図2の動力外科手術器具の平面図である。
図4図4は、本開示の実施形態に従う、図2の動力外科手術器具の斜視破断図である。
図5図5は、本開示の実施形態に従う、図1の動力外科手術器具の関節運動機構の斜視図である。
図6図6は、図1の動力外科手術器具の部分断面図である。
図7図7は、本開示の別の実施形態に従う、図1の動力外科手術器具のハウジングの部分断面図である。
図8図8は、図1の動力外科手術器具の部品が分離されている、取り付けアセンブリおよび装填ユニットの近位本体部分の分解組立斜視図である。
図9図9は、図1の動力外科手術器具のエンドエフェクタの側断面図である。
図10図10は、図1の動力外科手術器具のクラッチを示す部分側面図である。
図11図11は、図1の動力外科手術器具の単方向性クラッチプレートの斜視図である。
図12図12は、本開示の実施形態に従う制御システムの概略図である。
図13図13は、本開示の実施形態に従うフィードバック制御システムの概略図である。
図14図14は、本開示の実施形態に従うフィードバック制御システムのフィードバックコントローラの正面斜視図である。
図15図15は、本開示の実施形態に従うフィードバック制御システムのフィードバックコントローラの背面斜視図である。
図16図16は、本開示の実施形態に従うフィードバックコントローラの概略図である。
図17図17は、本開示の実施形態に従う、発射ロッド220の運動を制御するフィードバック制御システムのブロック図である。
図18A図18Aおよび図18Bは、本開示の実施形態に従って細長いシャフトに対する発射ロッドの運動に起因するキャパシタンスの変化に発振器からのパルス信号出力が応答する仕方を例示する図である。
図18B図18Aおよび図18Bは、本開示の実施形態に従って細長いシャフトに対する発射ロッドの運動に起因するキャパシタンスの変化に発振器からのパルス信号出力が応答する仕方を例示する図である。
図19図19は、本開示の実施形態に従って発射ロッドの動作と共に発振器の周波数が変化する仕方を例示するグラフである。
図20図20は、本開示の実施形態に従って外科手術器具における発射ロッドの運動のパラメータを決定するプロセスのフロー図である。
図21図21は、本開示の実施形態に従って外科手術器具を操作するプロセスのフロー図である。
図22図22および図23は、本開示の実施形態に従って外科手術器具における発射ロッドの運動のパラメータを決定するプロセスのフロー図である。
図23図22および図23は、本開示の実施形態に従って外科手術器具における発射ロッドの運動のパラメータを決定するプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
ここに開示される外科手術器具の実施形態は、図面を参照してここで詳細に説明され、図面において同様の参照数字は、いくつかの図の各々において同一かまたは対応する要素を示す。本明細書において用いられるように、用語「遠位」はユーザからより遠い、外科手術器具の部分または外科手術器具の構成要素をいい、一方、用語「近位」はユーザにより近い、外科手術器具の部分または外科手術器具の構成要素をいう。
【0020】
本開示に従う外科手術器具(例えば、動力外科手術ステープラ)は、図において参照数字10として参照される。最初に図1を参照すると、動力外科手術器具10は、ハウジング110と、第1の長手方向軸A−Aを規定する細長いシャフト140と、第2の長手方向軸B−Bを規定するエンドエフェクタ160とを含む。細長いシャフト140はハウジング110から遠位に延び、エンドエフェクタ160は細長いシャフト140の遠位部分に隣接して配置される。いくつかの実施形態において、細長いシャフト140は、最小侵襲性外科手術処置のために構成される。
【0021】
ハウジング110は、駆動モータ200と、駆動管210と、発射ロッド220と、運動センサ251(点線によって示される)とを含む。駆動モータ200は、放射方向に駆動管210を駆動するロータリモータであり得る。以下にさらに詳細に説明されるように、駆動管210は、駆動管210の回転が発射ロッド220を直線の方向に動かすように、発射ロッド220の外側表面上のねじ切りに一致する、駆動管210の内側表面上にねじ切りを含む。発射ロッド220は、次いでエンドエフェクタ160を作動させる。
【0022】
特定の外科手術処置において、発射ロッド220およびエンドエフェクタ160は、正確に制御されなければならない。本開示の実施形態に従って、発射ロッド220の運動は、運動センサ251によって感知される、発射ロッド220の実際の運動に基づいて、正確に制御される。運動センサ251は、発射ロッド220と細長いシャフト140との間の電界における変化を感知することによって発射ロッド220の実際の運動を感知する。運動センサ251は、発射ロッド220を介して発射ロッド220とシャフト140との間のキャパシタンスを感知することによって電界における変化を感知し得、発射ロッド220は運動センサ251に電気的に連結される(252)。
【0023】
本開示の実施形態に従って、エンドエフェクタ160は、1つ以上の外科手術ファスナを有する第1のジョー部材(例えば、カートリッジアセンブリ164)と、外科手術ファスナを配置し、形成するアンビル部分を含む第2の向かい合うジョー部材(例えば、アンビルアセンブリ162)とを含む。いくつかの実施形態において、ステープルは、同時または順次のいずれかの態様で、列になったステープルを体組織に適用するために、カートリッジアセンブリ164内に収納される。アンビルアセンブリ162およびカートリッジアセンブリ164のいずれか1つまたは両方は、アンビルアセンブリ162がカートリッジアセンブリ164から間隔を空けて置かれる開放位置とアンビルアセンブリ162がカートリッジアセンブリ164と並列して整列している接近位置または締め付け位置との間で互いに対して可動である。他の実施形態において、エンドエフェクタ160は、ファスナ、クリップ、ステープル、コイルまたは縫合糸を含む、体組織を結合するために用いられる任意の種類の外科手術構成要素を配置するように構成され得る。さらに他の実施形態において、エンドエフェクタ160は、回転するか、関節運動するか、延びるか、引っ込むか、締め付けるかまたは切るように構成され得る。
【0024】
エンドエフェクタ160は、取り付け部分166に旋回可能に取り付けられ、取り付け部分166は、次いで本体部分168に取り付けられる。本体部分168は、外科手術器具10の細長いシャフト140に一体化され得るか、または外科手術器具10に取り外し可能に取り付けられ得、取り替え可能な使い捨ての装填ユニット(DLU)または1回使用の装填ユニット(SULU)(例えば、装填ユニット169)を提供し得る。特定の実施形態において、再使用可能部分は、殺菌され、その後の外科手術処置において再使用されるように構成され得る。
【0025】
装填ユニット169は、バヨネット接続を介して細長いシャフト140と接続し得る。装填ユニット169は、発射ロッド220が第1の長手方向軸A−Aに沿って遠位−近位方向に平行移動させられると、エンドエフェクタ160が関節運動されるように、エンドエフェクタ160を発射ロッド220に接続する関節運動リンクを含み得る。可撓性チューブまたは複数の旋回可能部材を含むチューブなど、エンドエフェクタ160を細長いシャフト140に接続する他の構成要素が用いられ得る。
【0026】
装填ユニット169は、脈管閉鎖デバイス、直線ステープリングデバイス、円形ステープリングデバイス、カッタなどの様々なエンドエフェクタを組み込み得るかまたは組み込むように構成され得る。これらのエンドエフェクタは、動力外科手術器具10の細長いシャフト140に連結され得る。装填ユニット169は、関節運動しない直線のステープリングエンドエフェクタを含み得る。中間の可撓性シャフトは、ハンドル部分112と装填ユニット169との間に含められ得る。可撓性シャフトは、体の特定の部位にアクセスし、かつ/または体の特定の部位内にアクセスすることを容易にし得る。
【0027】
図1および図2に示されるように、ハウジング110は、主駆動スイッチ114が配置されるハンドル部分112を含む。スイッチ114は、第1のスイッチ114aと、第2のスイッチ114bとを含み得、第1のスイッチ114aおよび第2のスイッチ114bは、一緒になってトグルスイッチを形成する。ハンドル軸H−Hを規定するハンドル部分112は、ユーザの指によって把持されるように構成される。ハンドル部分112は十分な手のひらグリップ力を提供する人間工学的形状を有し、この人間工学的形状は操作中にハンドル部分112がユーザの手から捻り出されないように助ける。スイッチ114a、114bの各々は、ハンドル部分112の適切な位置に配置されるように示され、ユーザの1本または複数本の指による押し下げを容易にする。別の実施形態において、外科手術器具10は、リブ特徴によって分離される2つのセパレートスイッチ114a、114bを含む。
【0028】
さらにスイッチ114a、114bは、駆動モータ200の開始動作および/または停止動作のために用いられ得る(図1図4および図6)。一実施形態において、スイッチ114aは、駆動モータ200を第1の方向に起動し、発射ロッド220(図1および図6)を遠位方向に前進させ、それによって、アンビルアセンブリ162とカートリッジアセンブリ164とを締め付けるように構成される。逆に、スイッチ114bは、第1の方向とは反対の第2の方向に駆動モータ200を起動することによって、発射ロッド220を引っ込め、アンビルアセンブリ162およびカートリッジアセンブリ164を開くように構成され得る。引っ込みモードは、機械的なロックアウトを開始し、装填ユニット169によるステープリングおよび切断のさらなる進行を阻止する。トグルは、スイッチ114aを起動する第1の位置と、スイッチ114bを起動する第2の位置と、第1の位置と第2の位置との間の中立位置とを有する。
【0029】
ハウジング110、特にハンドル部分112は、スイッチシールド117a、117bを含む。スイッチシールド117a、117bは、それぞれ、スイッチ114aの下部分およびスイッチ114bの上部分を囲むリブ様の形状を有し得る。スイッチシールド117a、117bは、スイッチ114a、114bの予期しない起動を最小限にする。さらに、スイッチ114a、114bは、起動するために圧力増加を必要とする高触知可能フィードバックを有する。
【0030】
一実施形態において、スイッチ114a、114bは、非直線の態様で駆動モータ200および発射ロッド220の速度を制御する、多速度(例えば、2つ以上の速度)スイッチ、速度増加スイッチまたは可変速度スイッチとして構成される。例えば、スイッチ114a、114bは、感圧性であり得る。この種類の制御インタフェースは、より遅くより正確なモードからより速い動作に駆動構成要素の速度率の徐々の増加を可能にする。引っ込みの予期しない起動を最小限にするために、スイッチ114bは、フェールセーフスイッチが押されるまで電子的に切断され得る。さらに、第3のスイッチ114cもまたこの目的のために用いられ得る。さらにまたは代わりに、フェールセーフは、約100ms〜約2秒の所定の時間期間にスイッチ114bを押し、スイッチ114bを保持することによって、無力にされ得る。発射ロッド220は、次いで、引っ込みを停止するために引っ込みモード中にスイッチ114cが起動され(例えば、押され、解放され)ない限り、発射ロッド220の最初の位置に自動的に引っ込む。その後スイッチ114bを押すことによって、発射ロッド220の引っ込みが再開される。
【0031】
代わりに他の実施形態において、発射ロッド220の引っ込みは、スイッチ114bが解放されたとしても十分に引っ込むまで継続し得る。他の実施形態は、スイッチ114bが解放されたとしても発射ロッド220を十分に引っ込める、発射ロッド220の自動引っ込みモードを含む。引っ込みモードは、スイッチ114a、114bが作動されるといつでも中断され得る。スイッチ114a、114bは、非直線速度制御回路115に連結され、非直線速度制御回路115は、電圧調節回路、可変抵抗回路、またはマイクロエレクトロニックパルス幅変調回路として実装され得る。スイッチ114a、114bは、加減抵抗デバイス、多位置スイッチ回路、直線可変変位トランスデューサおよび/またはロータリ可変変位トランスデューサ、直線ポテンシオメータおよび/またはロータリポテンシオメータ、光学エンコーダ、強磁性センサ、ならびにホール効果センサなどの可変制御デバイスを変位させるかまたは作動させることによって、制御回路115(図4)とインタフェースし得る。このことによって、スイッチ114a、114bは、スイッチ114a、114bの押し下げに基づいて、用いられている制御回路115の種類に従って、一定数増加かまたは徐々にかのいずれかで駆動モータ200の速度を徐々に増加させるなど、多速度モードで駆動モータ200を動作させることが可能になる。
【0032】
特定の実施形態において、スイッチ114cは、クランピングから発射に動作モードを機械的かつ/または電気的に変化させるように作動され得る。スイッチ114cは、ハウジング110内に引っ込められ、誤った作動を阻止するために高触知可能フィードバックを有する。発射モードを開始するために別個の制御スイッチを提供することによって、ステープリングおよび/または切断を起動するためにスイッチ114cが押されるまで外科手術器具10がグラスパとして用いられるように、エンドエフェクタのジョーが繰り返し開かれることを可能にする。スイッチ114は、1つ以上のマイクロエレクトロニック膜スイッチを含み得る。そのようなマイクロエレクトロニック膜スイッチは、比較的低い作動力と、小さいパッケージサイズと、人間工学的サイズおよび形状と、低い輪郭と、スイッチ上に成形される文字、記号、描写および/または表示を含む能力と、低材料費とを含む。さらに、スイッチ114a、114b(マイクロエレクトロニック膜スイッチなど)は、外科手術器具10の殺菌を容易にすることを助け、粒子および/または流体の汚染を阻止することを助けるために、密閉され得る。
【0033】
スイッチ114a、114bの代案として、またはスイッチ114a、114bに加えて、他の入力デバイスは、制御システム(図示されていない)に組み込まれるハードウェアおよび/またはソフトウェアを含み得る音声入力技術、または別個のデジタルモジュールを含み得る。音声入力技術は、音声認識、音声起動、音声整流および/または埋め込み音声を含み得る。ユーザは、音声コマンドによって全体にまたは部分的に器具の操作を制御し得、従って、他の器具の操作のためにユーザの片手または両手を自由にし得る。音声または他の可聴出力はまた、ユーザにフィードバックを提供するために用いられ得る。
【0034】
図3を参照すると、ハウジング110の近位領域118はユーザインタフェース120を含む。ユーザインタフェース120は、画面122と複数のスイッチ124とを含む。ユーザインタフェース120は、「モード」など、外科手術器具10の様々な種類の操作パラメータ(例えば、回転、関節運動または作動)を表示し得る。操作パラメータは、センサを経由してユーザインタフェース120に通信され得る。操作パラメータは、「状態」(例えば、回転の速度、関節運動の角度または作動の種類)と、外科手術器具10に配置されたセンサによって報告される情報に基づいて、ステープルが発射されたかどうかなどの「フィードバック」とを含み得る。エラーコードおよびその他のコード(例えば、誤った装填、バッテリの交換、バッテリレベル、および残りの発射の推定数)もまた、ユーザインタフェース120に通信され得る。
【0035】
画面122は、LCD画面、プラズマ画面、エレクトロルミネセンス画面などであり得る。一実施形態において画面122は、タッチ画面であり得、スイッチ124を不要にする。タッチ画面は、抵抗タッチ画面技術、表面波タッチ画面技術、容量タッチ画面技術、赤外線タッチ画面技術、ひずみゲージタッチ画面技術、光学タッチ画面技術、分散信号タッチ画面技術または音響パルス認識タッチ画面技術を組み込み得る。タッチ画面は、ユーザが入力を提供し、一方、操作フィードバックを見ることを可能にし得る。このアプローチは、外科手術器具10の殺菌を助けるために画面構成要素を密閉することを容易にし、粒子汚染および/または流体汚染を阻止することを可能にし得る。特定の実施形態において、画面122は、使用中または準備中に画面122を見るときに可撓性があるように旋回可能かまたは回転可能に外科手術器具10に取り付けられる(例えば、ヒンジまたはボールアンドソケットマウントを介して)。スイッチ124は、外科手術器具10の開始動作および/または停止動作、ならびに旋回方向、速度および/またはトルクを選択するために用いられ得る。また少なくとも1つのスイッチ124は、様々な設定に優先する緊急モードを選択するために用いられ得る。スイッチ124はまた、プロンプトに応答することなど画面122上の様々なオプションを選択し、一方、ユーザインタフェースメニューをナビゲートし、様々な設定を選択するために用いられ得、種々の体組織の種類および様々なサイズおよび長さのステープルカートリッジをユーザが入力することを可能にし得る。
【0036】
スイッチ124は、マイクロエレクトロニックの触知可能膜または触知不能膜、ポリエステル膜、様々な形状およびサイズのエラストマー、プラスチックまたは金属のキーから形成され得る。さらに、スイッチは、互いに異なる高さに位置を決められ得、かつ/または隆起したインディシアまたは他の組織上の特徴(例えば、凹面または凸面)含み得、ユーザがユーザインタフェース120を見る必要なく適切なスイッチを押すことを可能にし得る。
【0037】
画面122の他に、ユーザインタフェース120は、ユーザにフィードバックを提供する1つ以上のカラーの目に見える照明または発光ダイオード(「LED」)を含み得る1つ以上の目に見える出力123を含み得る。目に見える出力123は、目に見える出力123を識別する数および/またはテキストを有する様々な形状、サイズおよび色の対応するインジケータを含み得る。目に見える出力123は、出力123がハウジング110に対して隆起させられ、突き出るようにハウジング110の上部に配置され、目に見える出力123のより良い可視性を提供する。
【0038】
目に見える出力123は、特定の動作モードをユーザに示すために特定の組み合わせで表示され得る。一実施形態において、目に見える出力123は、第1の照明(例えば、黄)123aと、第2の照明(例えば、緑)123bと、第3の照明(例えば、赤)123cとを含む。照明は、特定の動作モードに関連する特定の組み合わせで動作させられる。例えば、点灯された第1の照明ならびに消灯された第2および第3の照明は、装填ユニット169およびステープルカートリッジが装填され、電力が起動され、エンドエフェクタ160がグラスパとして締め付け関節運動することを可能にすることを示し得る。別の実施形態において、目に見える出力123は、特定の動作モードに関連する特定の色を表示する1つの多色LEDを含み得る。
【0039】
ユーザインタフェース120はまた、様々な状態変化(例えば、低バッテリおよび空カートリッジ)をユーザに伝える音声出力125(例えば、トーン、ベル、ブザーおよび一体形スピーカ)を含む。可聴フィードバックは、目に見える出力123と共にまたは目に見える出力の代わりに用いられ得る。可聴フィードバックは、単一のパルスまたは複数のパルス連続でのクリック音、スナップ音、ビー音、リング音、およびブザー音の形態で提供され得る。一実施形態において、機械的なロックアウトおよび従来の非動力の器具の機構によって生成されるクリック音および/またはスナップ音を再生するまねた機械音が、事前に録音され得る。これは、外科手術器具10の実際の構成要素によってこれらの機械音を生成することを不要にし、またビー音および他の手術室の装置に通常関連する他の電子音を用いることを避け、それによって、異質の可聴フィードバックからの混乱を最小限にするかまたは除去する。
【0040】
外科手術器具10はまた、ハウジング110内の触覚機構(明白には図示されていない)によって触覚フィードバックまたは振動フィードバックを提供し得る。触覚フィードバックは、聴覚フィードバックおよび視角フィードバックに頼る手術室の装置との混乱を避けるために、聴覚フィードバックおよび視角フィードバックと共にまたは聴覚フィードバックおよび視角フィードバックの代わりに用いられ得る。触覚機構は、脈動の態様で振動する非同期モータであり得る。一実施形態において、振動は、約30Hz以上の周波数であり得、1.5mm以下の振幅を有し、装填ユニット169に達しないように振動影響を制限する変位を提供し得る。ユーザインタフェース120はまた、表示される項目間におけるさらなる区別のために、画面122および/またはスイッチ124上にテキストの種々の色および/または強度を含み得る。視角、聴覚または触覚のフィードバックの強度は、増加させられ得るかまたは減少させられ得る。例えば、フィードバックの強度は、器具に対する力が過剰になりつつあることを示すために用いられ得る。
【0041】
図1図5は、関節運動機構170を例示し、関節運動機構170は、関節運動ハウジング172と、動力関節運動スイッチ174と、関節運動モータ132と、手動関節運動ノブ176とを含む。関節運動スイッチ174は、ハウジング110の各側にアーム174aおよび174bを有するロッカ(rocker)および/またはスライドスイッチであり得、右手または左手のいずれかによる関節運動スイッチ174の使用を可能にする。動力関節運動スイッチ174の平行移動または手動関節運動ノブ176の旋回は、関節運動モータ132を起動し、関節運動モータ132は次いで、図5に示されるように、関節運動機構170の関節運動歯車233を作動させる。関節運動機構170の作動は、エンドエフェクタ160をその最初の位置(長手方向軸B−Bが実質的に長手方向軸A−Aに整列している位置)からある位置(長手方向軸B−Bが長手方向軸A−Aに対して傾いて配置される位置)の方に動かす。好ましくは複数の関節運動の位置が達成される。動力関節運動スイッチ174はまた、スイッチ114a、114bによって制御されるクランピング機構に類似した非直線の速度制御器を組み込む。
【0042】
さらに、ハウジング110は、翼様の形状を有し、ハウジング110の上部表面からスイッチ174の上に延びるスイッチシールド167を含む。スイッチシールド167は、使用中に外科手術器具10が物理的な障害物の下にまたは物理的障害物から離れて配置される場合、スイッチ174の予期しない起動を最小限にし、関節運動機構170を起動するためにユーザがシールド167の下に到達することを必要とする。
【0043】
さらに、関節運動ハウジング172および動力関節運動スイッチ174は、回転ハウジングアセンブリ180に取り付けられる。第1の長手方向軸A−Aの周りの回転ノブ182の回転は、ハウジングアセンブリ180および関節運動ハウジング172ならびに動力関節運動スイッチ174を第1の長手方向軸A−Aの周りに回転させ、従って、発射ロッド220(図6)の遠位部分224およびエンドエフェクタ160を第1の長手方向軸A−Aの周りに対応して回転させる。図4に示されるように、関節運動機構170は第1の伝導リング157および第2の伝導リング159に電子機械的に連結され、第1の伝導リング157および第2の伝導リング159はハウジングノーズアセンブリ155に配置される。伝導リング157および159は、ノーズアセンブリ155にはんだ付けされかつ/または圧着され、電源400に電気的に接触しており、それによって、関節運動機構170に電力を提供する。ノーズアセンブリ155は、(例えば、ハウジング110から分離された)モジュラであり得、組み立て中にハウジング110に取り付けられ得、リングのはんだ付けおよび/または圧着をより容易にすることを可能にし得る。関節運動機構170は、伝導リング157および159に接触している1つ以上のブラシ接触子および/またはばね負荷の接触子を含み、その結果、ハウジングアセンブリ180(図3)が関節運動ハウジング172に沿って回転させられると、関節運動機構170は、伝導リング157および159に連続して接触しており、それによって、電源400から電力を受ける。
【0044】
関節運動ハウジング172、動力関節運動スイッチ174、手動関節運動ノブ176、およびエンドエフェクタ160に関節運動を提供することのさらなる詳細は、2007年3月15日に出願された同一人所有の米国特許出願第11/724,733号に詳細に説明され、その特許出願の内容は、その全体が本明細書に参照によって援用される。
【0045】
図4および図6に例示されるように、外科手術器具10の実施形態は、発射ロッド220に電気的に連結される(252)運動センサ251を含む。運動センサ251は、発射ロッド220と細長いシャフト140との間のキャパシタンスを感知し得る。運動センサ251は、単独でか、またはリミットスイッチ、近接センサ(例えば、光学センサおよび/または強磁性センサ)、直線可変変位トランスデューサおよびシャフトエンコーダを含む他のセンサと組み合せて用いられ得、これらのセンサは、ハウジング110内に配置され、エンドエフェクタ160の関節運動角度および/または発射ロッド220の位置を制御しかつ/または測定し得る。
【0046】
図4図8は、駆動モータ200と、駆動管210と、近位部分222および遠位部分224を有する発射ロッド220とを含む外科手術器具10の様々な内部構成要素を例示する。駆動管210は、駆動管軸C−Cの周りに回転可能である。駆動モータ200は駆動管210と機械的に協働するように配置され、駆動歯車軸C−Cの周りに駆動管210を回転させるように構成される。一実施形態において、駆動モータ200は、電気モータまたは歯車モータであり得、電気モータまたは歯車モータは、そのハウジング内に歯車がかみ合うように組み込まれることを含み得る。
【0047】
発射ロッド結合190は、発射ロッド220の近位部分222と遠位部分224との間のリンクを提供する。具体的には、発射ロッド結合190は、発射ロッド220の近位部分222に対する発射ロッド220の遠位部分224の回転を可能にする。従って、発射ロッド結合190は、整列プレート350を参照して以下に考察されるように、発射ロッド220の遠位部分224の回転を可能にしながら(例えば、回転ノブ182が回転すると)、発射ロッド220の近位部分222が非回転のままであることを可能にする。
【0048】
図6および図7を参照すると、発射ロッド220の近位部分222は、ねじ切り部分226を含み、ねじ切り部分226は、駆動管210の内部ねじ切り部分212を介して延びる。発射ロッド220と駆動管210との間のこの関係は、駆動モータ200の回転に応答して駆動管210が回転すると、駆動管210のねじ切り部分212に沿って、矢印DおよびEの方向に遠位にかつ/または近位に発射ロッド220を動かす。駆動管210が第1の方向(例えば、時計回り)に回転すると、発射ロッド220は、近位(すなわち、矢印Eの方向)に動く。図6に例示されるように、発射ロッド220は駆動管210の最近位の位置に配置される。駆動管210が第2の方向(例えば、反時計回り)に回転すると、発射ロッドは遠位(すなわち、矢印Dの方向)に動く。図7に例示されるように、発射ロッド220は、駆動管210の最遠位の位置に配置される。
【0049】
発射ロッド220は、特定の限度内において遠位および近位に平行移動可能である。具体的には、発射ロッド220の近位部分222の第1の端部222aは、整列プレート350を組み合せて機械的な止めとして働く。すなわち、引っ込み時、発射ロッド220が近位に平行移動する場合、第1の端部222aは、整列プレート350の遠位表面351と接触し、従って、図6に示されるように発射ロッド220が近位に平行移動し続けることを阻止する。さらに、近位部分222のねじ切り部分226は、整列プレート350と組み合せて機械的な止めとして働く。すなわち、発射ロッド220が遠位に平行移動する場合、ねじ切り部分226は、整列プレート350の近位表面353と接触し、従って、図7に示されるように発射ロッド220が遠位にさらに平行移動することを阻止する。
【0050】
整列プレート350はアパーチャを含み、アパーチャは非円形の断面を有する。アパーチャの非円形断面は、発射ロッド220の近位部分222の回転を阻止し、従って、アパーチャを通る軸方向の平行移動に発射ロッド220の近位部分222を限定する。さらに、近位ベアリング354および遠位ベアリング356は、少なくとも部分的に駆動管部210の周りに配置され、駆動管210の回転を容易にし、一方、ハウジング110内に駆動管210を整列させることを助ける。駆動管210は、駆動管210の各端部に遠位放射状フランジ210aと近位放射状フランジ210bとを含み、これらのフランジ210a、210bは、それぞれ、遠位ベアリング356と近位ベアリング354との間に駆動管210を保持する。
【0051】
第1の方向(例えば、反時計回り)への駆動管210の回転は、発射ロッド220の遠位の平行移動に対応し、この発射ロッド220の遠位の平行移動は、組織を把持するか締め付けるように、エンドエフェクタ160のジョー部材162、164を作動させる。発射ロッド220のさらなる遠位の平行移動は、カムバーおよび/または作動スレッド74(図9)を作動させることによってエンドエフェクタ160から外科手術ファスナを排出させ、組織を固定する。さらに、発射ロッド220はまた、組織を切断するためにナイフ(明白には図示されていない)を作動させるように構成され得る。第2の方向(例えば、時計回り)への駆動管210の回転に対応する発射ロッド220の近位の平行移動は、対応する発射前の位置に引っ込めるかまたは戻るように、アンビルアセンブリ162およびカートリッジアセンブリ164(図9)を作動させる。エンドエフェクタ160を発射させ、さもなければエンドエフェクタ160を作動させることの詳細は、Millimanらへの同一人所有の米国特許第6,953,139号(‘139特許)に詳細に説明され、その特許の全開示は本明細書に参照によって援用される。
【0052】
図8は、装填ユニット169の分解組立図を示す。エンドエフェクタ160は、駆動ビームまたは駆動部材266を有する軸方向駆動アセンブリ213によって作動され得る。駆動ビーム213の遠位端は、ナイフブレードを含み得る。さらに、駆動ビーム213は、一対のカム部材40aを有する保持フランジ40を含み、一対のカム部材40aは、駆動ビーム213が長手方向に前進中にアンビルアセンブリ162とカートリッジアセンブリ164とを係合させる。駆動ビーム213は、ステープルカートリッジ164を通って長手方向に作動スレッド74を前進させる。図9に示されるように、スレッド74は、スレッド74が前進させられるとカートリッジアセンブリ164のスロットに配置される複数のプッシャ68を係合するカムウェッジを有する。スロットに配置されるステープル66は、プッシャ66によって、組織を貫いて、アンビルアセンブリ162に対して駆動される。
【0053】
図10を参照すると、駆動モータシャフト202は、駆動モータ200に取り付けられる遊星歯車204から延びるように示される。駆動モータシャフト202は、クラッチ300と共に機械的に協働する。駆動モータシャフト202は、駆動モータ200によって回転させられ、従って、結果としてクラッチ300の回転をもたらす。クラッチ300は、クラッチプレート700とバネ304とを含み、クラッチプレート700に配置されるウェッジ形部分702を有するように示され、クラッチプレート700は、駆動管210の近位面216に配置されるインタフェース(例えば、ウェッジ214)と結合するように構成される。
【0054】
バネ304は、遊星歯車204と駆動管210との間に例示される。具体的には、そして図10に例示される実施形態に従って、ばね304は、クラッチプレート700とクラッチワッシャ308との間に例示される。さらに駆動モータ200および遊星歯車204はモータマウント310に取り付けられる。図10に例示されるように、モータマウント310は、モータマウント310に配置されるスロット312およびハウジング110に配置される突出部314を介してハウジング110に対して近位および遠位に調整可能である。
【0055】
開示の実施形態において、クラッチ300は、すべり単方向性クラッチとして実装され、駆動構成要素におけるトルクおよび高い慣性負荷を制限する。クラッチ300のウェッジ形部分702は、クラッチばね304を介してクラッチプレート700に閾値力が加えられない限り、駆動管210の近位面216のウェッジ214に対してすべるように構成され、配置される。さらに、ウェッジ部分702およびウェッジ214がすべることなく係合するのに必要な閾値力をばね304が加えた場合、駆動管210は、駆動モータ200が回転すると回転する。ウェッジ形部分702および/またはウェッジ214は、発射力が発射ロッド220に得られると、互いに対して一方向および/または両方向(すなわち時計方向および/または反時計方向)にすべるように構成され得る。
【0056】
図10および図11に例示されるように、クラッチ300は、単方向性クラッチプレート700を有するように示される。クラッチプレート700は、すべり面704とグリップ面706とを有する複数のウェッジ形部分702を含む。すべり面704は、所定の負荷まで駆動管210のウェッジ214を係合する湾曲したエッジを有する。グリップ面706は、駆動管210を十分に係合し、すべりを阻止する平らなエッジを有する。
【0057】
クラッチプレート700が第1の方向(例えば、時計回り)に回転させられると、ウェッジ形部分702のグリップ面706は、すべることなくウェッジ214を係合し、駆動モータ200からの全トルクを提供する。クラッチプレート700が逆の方向(例えば、反時計回り)に回転させられると、ウェッジ形部分702のすべり面704は、ウェッジ214を係合し、駆動管210に伝えられるトルクを制限する。従って、すべり面704に加えられる負荷が限度を超えた場合、クラッチ300はすべり、駆動管210は回転させられない。これは、駆動構成要素の運動量および力学的摩擦により起こり得るエンドエフェクタ160または組織に対する高負荷損傷を阻止する。より具体的には、外科手術器具10の駆動機構は、前方方向に後退方向より少ないトルクで発射ロッド220を駆動し得る。単方向性クラッチを用いることは、この問題を除去する。さらに電子クラッチはまた、以下にさらに詳細に考察されるように、引っ込み中に(例えば、駆動モータ200、駆動管210、クラッチアセンブリ300、整列プレート350、および発射ロッド220の任意の部分と共に後退に発射ロッド220を駆動するとき)おけるモータ能力を増加させるために用いられ得る。
【0058】
駆動モータシャフト202はD形状の断面708を含み得、D形状の断面708は実質的に平らな部分710と丸くなった部分712とを含む。従って、駆動モータシャフト202は、クラッチプレート700に対して平行移動可能であるが、駆動モータシャフト202は、駆動モータシャフト202の回転時にクラッチプレート700に対して「すべらない」。すなわち、駆動モータシャフト202の回転は、結果としてクラッチプレート700のすべりなし回転をもたらす。
【0059】
装填ユニットは、本開示に従う特定の実施形態において、軸方向駆動アセンブリを含み、この軸方向駆動アセンブリは、エンドエフェクタ160のアンビルアセンブリ162とカートリッジアセンブリ164とを接近させるように発射ロッド220と協働し、ステープルカートリッジからステープルを発射する。上記に考察され、‘139 Milliman特許の特定の実施形態において開示されるように、軸方向駆動アセンブリは、ステープルカートリッジを通って遠位に走行するビームを含み得、ステープルが発射された後、引っ込められ得る、
図4を参照すると、外科手術器具10は、蓄電池(例えば、鉛ベース、ニッケルベース、またはリチウムイオンベースの電池)であり得る電源400を含む。電源400は、少なくとも1つの使い捨て電池を含み得る。使い捨て電池は、約9ボルト〜約30ボルトであり得る。
【0060】
電源400は、外科手術器具10の電流負荷要求に従って1つ以上のバッテリセル401を含む。さらに電源400は1つ以上のウルトラキャパシタ402を含み、ウルトラキャパシタ402は従来のキャパシタよりはるかに高いエネルギー密度により補足電池として働く。ウルトラキャパシタ402は、高エネルギーの引き込み中、セル401と接続して用いられ得る。セル401は典型的には電流が速やかに引き出されないスロードレインデバイスであるので、セル401のみによって提供され得るよりも速くエネルギーが所望され/必要とされる場合(例えば、厚い組織を締め付け、急な発射、クランピングする場合など)、ウルトラキャパシタ402は、電力のバーストのために用いられ得る。この構成は、セルに対する電流負荷を減少させ得、それによって、セル401の数を減少させ、かつ/またはセル401の寿命を伸ばし得る。セル401は、ウルトラキャパシタ402に接続され得、キャパシタを充電し得る。電源400は、駆動モータ200と共に取り外し可能であり得、これらの構成要素のリサイクルおよび外科手術器具10の再使用を提供し得る。別の実施形態において、電源400は、外部バッテリパックであり得、その外部バッテリパックは、ユーザによってベルトおよび/またはハーネスに着用され、使用中、外科手術器具10に電線で結ばれる。
【0061】
電源400は、吸着性、難燃性および遅延反応性の材料から形成され得る絶縁シールド404内に囲まれる。シールド404は、電源400から外科手術器具10の構成要素を電気的かつ熱的に隔離する。より具体的には、シールド400は、電源400によって生成される熱が外科手術器具10の他の構成要素を加熱することを阻止する。さらにシールド404はまた、厳しい使用および/または損傷中、セル402から漏れ得るどの薬品または流体も吸収するように構成され得る。
【0062】
電源400は、外部電源(例えば、DCトランスフォーマ)に接続するように構成されるパワーアダプタに連結される。外部電源は、電源400を再充電するかまたは追加の電力要求を提供するために用いられ得る。パワーアダプタ406はまた、電気外科手術発電機とインタフェースするように構成され得、それらの電気外科手術発電機は、次いで外科手術器具10に電力を供給し得る。この構成において、外科手術器具10はまた、電気外科手術発電機からのRFエネルギーを変換し、外科手術器具10に電力を送るACからDCへの電源を含む。
【0063】
別の実施形態において、電源400は、誘電充電インタフェースを用いて再充電される。電源400は、ハウジング110の近位部分内に配置される誘電コイル(明白には図示されていない)に連結される。電磁界内に配置されると、誘電コイルは、エネルギーを電流に変換し、電流は、次いで電源400を充電するために用いられる。電磁界は、ハウジング110の近位部分とインタフェースするように構成される基地局(明白には図示されていない)によって生成され得、その結果、誘電コイルは電磁界によって包まれる。この構成は、外部の接触子を不要にし、流体および汚染に露出することを阻止する防水環境内に電源400および誘電コイルをハウジング110の近位部分が密封することを可能にする。
【0064】
図6を参照すると、外科手術器具10はまた、例えば放電回路410のような1つ以上の安全回路と、モータおよびバッテリ動作モジュール412とを含む。明瞭さのために、外科手術器具10の様々な電子構成素子を相互接続するワイヤおよび他の回路要素は示されていないが、かかるワイヤおよび他の回路要素は本開示によって企図されている。外科手術器具10の特定の構成要素は、無線で通信する。
【0065】
放電回路410は、スイッチ414および抵抗負荷417に結合され、該スイッチ414および該抵抗負荷417は、電源400に結合される。スイッチ414は、ユーザによって起動されるスイッチまたは自動(例えば、タイマ、カウンタ)スイッチであり得、電源400が、(例えば、外科処置の最後での)安全処理および低温処理のために完全に放電される必要があるとき、起動させられる。一旦スイッチ414が起動させられると、負荷417は電源400に電気的に接続され、それによって電源400の電位が負荷417に向けられる。自動スイッチは、タイマまたはカウンタであり得、所定の動作時間または使用回数のあと、電源400を放電するために自動的に起動させられる。負荷417は、セル401のすべてを完全かつ安全に放電するために十分である所定の抵抗を有する。
【0066】
モータおよびバッテリ動作モジュール412は、1つ以上の温度センサ413に結合され、該1つ以上の温度センサ413は、駆動モータ200および電源400内部の温度を決定して、外科手術器具10の安全な操作を確実にする。センサは、電源400内の電流の引込みを決定するための電流計、サーミスタ、サーモパイル、熱電対、熱赤外センサ、などであり得る。これらの構成要素の温度をモニタすることにより、これらの構成要素にかけられる負荷を決定することが可能となる。これらのコンポーンネントを流れる電流の増加は、これらの構成要素の温度の増加を引き起こす。温度および/または電流の引込みのデータは、電流消費を効率的な態様で制御するために、または操作の安全なレベルを保証するために使用され得る。
【0067】
外科手術器具10の安全で信頼性のある操作を確実にするために、電源400が真正かつ/または有効であり(例えば、厳格な品質および安全基準に従っている)、所定の温度範囲内で動作していることを確実にすることが望ましい。電源400が有効であるとの確認は、低品質により患者および/またはユーザが負傷する危険を最小にする。
【0068】
再び図4および図6を参照すると、外科手術器具の一部の実施形態は、運動センサ251に加えて、外科手術器具10の機能に関するフィードバック情報を提供するための複数のセンサを含み得る。センサの任意の組み合わせが、外科手術器具10内に配置されて、例えばステープルカートリッジ装填の検出のようなその動作ステージ、ならびにその状態、関節運動、締め付け、回転、ステープリング、切断、および引き込みなどを決定し得る。センサは、外科手術器具10の様々な内部構成要素(例えば、発射ロッド220および駆動モータ200)の接近、変位、または接触によって起動させられることができる。
【0069】
例示の実施形態において、センサは、レオスタット(例えば、可変抵抗デバイス)、電流モニタ、導電性センサ、容量性センサ、誘導性センサ、熱ベースのセンサ、リミット作動スイッチ(limit actuated switches)、多位置スイッチ回路、圧力トランスデューサ、直線可変変位トランスデューサおよび/またはロータリ可変変位トランスデューサ、直線ポテンシオメータおよび/またはロータリポテンシオメータ、光学エンコーダ、強磁性センサ、ホール効果センサ、および近接スイッチであることができる。センサは、回転、速度、加速度、減速度、直線変位および/または角変位、機械的制限(例えば、停止)の検出、その他を測定する。これは、外科手術器具10の機械的駆動構成要素に直線状または輪状いずれかのアレイで配列された複数のインジケータを実装することによって達成される。センサは次に、測定値をマイクロコントローラ500に伝達し、該マイクロコントローラは、外科手術器具10の動作状態を決定する。さらに、マイクロコントローラ500はまた、測定されたフィードバックに基づいて、外科手術器具10のモータの速度またはトルクを調節する。
【0070】
クラッチ300が、図11および12に示されるようにスリップクラッチとして実装される実施形態において、直線変位センサ(例えば、図4および図6における運動センサ251)は、クラッチ300の遠位方向に配置され、正確な測定値を提供する。この構成において、クラッチ300のすべりは、センサによって記録される位置、速度、および加速度の測定値に影響を及ぼさない。
【0071】
図4を参照すると、負荷スイッチ230は、関節運動ハウジング172内に配置される。スイッチ230は、スイッチ114と直列で接続され、装填ユニット169(図1)が外科手術器具10の中に正しく装填されていない場合は、外科手術器具10の起動を阻止する。装填ユニット169が外科手術器具10の中に装填されていない場合、主電源スイッチ(例えば、スイッチ114)は開となり、それによって、外科手術器具10の電子または電気構成素子の使用を阻止する。これはまた、電源400からの可能性としての電流の引き込みを阻止し、電源400が、その指定された貯蔵寿命に対して最大の可能性を維持することを可能にする。
【0072】
したがって、スイッチ230は、外科手術器具10の擬似起動を阻止する、いわゆる「ロックアウト」スイッチとして作用する。なぜならば、該スイッチは、外部からの操作でアクセスすることはできず、装填ユニット169の挿入によってのみ起動されることができるからである。スイッチ230は、装填ユニット169が、細長いシャフト140の中に挿入されるときのプランジャまたはセンサチューブの変位によって起動させられる。一旦スイッチ230が起動させられると、電源400からの電力は、外科手術器具10の電子構成素子(例えば、センサ、マイクロコントローラ500、その他)に供給され、ユーザインタフェース120および他の入力/出力へのアクセスをユーザに提供する。これはまた、ビジュアル出力123を起動させて、正しく装填された装填ユニット169を示す光の組み合わせに従って、点灯させる。
【0073】
一旦装填ユニット169が細長いシャフトの中に挿入されると、スイッチ230はまた、装填ユニット169がその位置に基づいて正しく装填されたかどうかを決定する。装填ユニット169が不適切に装填された場合、スイッチ114は、起動させられず、エラーコードが、ユーザインタフェース120を介してユーザに伝えられる。装填ユニット169がすでに発射された場合、任意の機械的ロックアウトがすでに起動させられた場合、またはステープルカートリッジが使用されてしまった場合、外科手術器具10は、例えば、第1の光123aが閃光を発して、ユーザインタフェース120を介してエラーを伝える。
【0074】
一実施形態において、メインスイッチ114に結合された第2のロックアウトスイッチ259(図4)は、ハンドル部112の上面に配置されたバイオインピーダンス、キャパシタンスまたは圧力センサとして外科用器具10に実装され得、該バイオインピーダンス、キャパシタンスまたは圧力センサは、ユーザが外科手術器具10を把持したとき起動させられるように構成される。したがって、外科手術器具10が正しく把持されなければ、スイッチ114の動作は不能となる。
【0075】
図6を参照すると、外科手術器具10は、発射ロッド220の現在の直線位置を決定、出力するための位置計算器416を含む。位置計算器416は、運動センサ251に電気的に結合され、運動センサ251は、一部の実施形態においては、発射ロッド220と細長いシャフト140との間のキャパシタンスを感知する。位置計算器416は、運送センサ251からのセンサ信号出力に基づいて発射ロッド220の現在の直線位置を計算する。
【0076】
一部の実施形態において、位置計算器416は他の補足的なセンサに電気的に結合され、該他の補足的なセンサは、直線変位センサ237と、駆動モータ200に結合される回転速度検出装置418とを含む。回転速度検出装置418はエンコーダ420を含み、エンコーダ420はモータに結合されて、駆動モータ200の回転に応答して2つ以上のエンコーダパルス信号を生み出す。エンコーダ420は、パルス信号を装置418に伝達し、装置418は、駆動モータ200の回転速度を決定する。位置計算器416はその後、駆動モータ200の回転速度に基づいて、発射ロッドの直線速度および位置を決定する。なぜならば、回転速度は、発射ロッド220の直線速度に直接的に比例するからである。位置計算器416および速度計算器422はマイクロコントローラ500と通信しており、マイクロコントローラ500は、位置計算器416および速度計算器422からの感知されたフィードバックに応答して駆動モータ200を制御する。
【0077】
外科手術器具10は、発射ロッド220に配置された第1のインジケータ320aと第2のインジケータ320bとを含み得、第1のインジケータ320aおよび第2のインジケータ320bは、発射ロッド220の速度および駆動管210および/またはハウジング110に対する発射ロッド220の位置を決定する。例えば、リミットスイッチは、そのそばを通過する第1のインジケータ320aおよび/または第2のインジケータ320b(例えば、バンプ、溝、湾入、その他)を感知することによって起動させられ得(例えば、シャフト開始位置センサ231および締め付け位置センサ232)、発射ロッド220の位置、発射ロッド220の速度、および外科手術器具10のモード(例えば、締め付け、把持、発射、シーリング、切断、引き込み)を決定する。さらに、第1のインジケータ320aおよび第2のインジケータ320bから受取ったフィードバックは、それに取り付けられた特定の装填ユニットの大きさに依存して、発射ロッド220がいつその軸動作を停止するべきか(例えば、駆動モータ200はいつ停止するべきか)を決定するために使用され得る。
【0078】
さらに詳細には、発射ロッド220がその静止(例えば、最初の)位置から遠位方向に動かされたとき、位置センサ231の第1の動作が、第1のインジケータ320aによって起動させられ、これによって、外科手術器具10の動作が開始されたことが示される。動作が継続するにつれて、発射ロッド220がさらに遠位方向に動かされて締め付けを開始し、これによって、第1のインジケータ320aが動かされて締め付け位置センサ232とインタフェースする。発射ロッド220のさらなる前進は、第2のインジケータ320bを動かして位置センサ232とインタフェースさせ、これによって、外科手術器具10が発射されたことが示される。
【0079】
上で論議されたように、位置計算器416は、発射ロッド220の近くに配置された直線変位センサ237に結合される。一実施形態において、直線変位センサ237は、磁気センサであり得る。発射ロッド220は、磁化され得るか、または磁性材料をその中に含み得る。磁気センサは、磁場における変化を検出するように構成された強磁性センサまたはホール効果センサであり得る。発射ロッド220が、駆動モータ200の回転により直線的に移動するとき、移動の動きに応答する磁場における変化が磁気センサによって登録される。磁気センサは、磁場における変化に関するデータを位置計算器416に伝達し、位置計算器416は、発射ロッド220の位置を磁場データの関数として決定する。
【0080】
一実施形態において、発射ロッド220の一部分は、磁化され得る。例えば、発射ロッド220に配置されためねじ付の部分212のねじまたは他のノッチ(例えば、インジケータ320aおよび/または320b)は、磁性材料を含み得るか、または磁性材料から作られ得る。これによって、発射ロッド220の磁化部分が直線的に移動させられるとき、磁場における周期的変動とねじの各離散的移動との相関関係が可能となる。位置計算器416はその後、磁場における周期的変化の数を合計し、ねじ(例えば、ねじピッチ)間および/またはノッチ間の所定の距離にこの合計をかけることによって発射ロッド220の距離および位置を決定する。
【0081】
一実施形態において、位置計算器416は、1つ以上のスイッチ421に結合され、1つ以上のスイッチ421は、発射ロッド220および発射ロッド結合190が、遠位方向に動かされるとき、めねじ付の部分212のねじまたはインジケータ320aおよび/もしくはインジケータ320bによって作動させられる。位置計算器416は、スイッチ421を起動させたねじの数を数え、次ぎにその数にねじ間(例えば、ねじピッチ)またはインジケータ320aおよび/もしくは320bの間の所定の距離を掛ける。
【0082】
外科手術器具10はまた、速度計算器422を含み、速度計算器422は、直線的に動く発射ロッド220の現在の速度および/または駆動モータ200によって提供されるトルクを決定する。速度計算器422は、運動センサ251に結合され、運動センサ251は、速度計算器422が、発射ロッド220の変位の変化率に基づいて発射ロッド220の速度を決定することを可能にする。
【0083】
一実施形態において、速度計算器422はさらに、回転速度検出装置424に結合され、回転速度検出装置424はエンコーダ426を含む。エンコーダ426は、駆動モータ200の回転と相関関係にあるパルスを伝達し、該パルスを速度計算器422が次に使用して発射ロッド220の直線速度を計算する。別の実施形態において、速度計算器422は、回転センサ239に結合され、回転センサ239は、駆動管210の回転を検出し、このようにして、駆動管210の回転速度を測定し、これによって、発射ロッド220の直線速度の決定が可能となる。
【0084】
速度計算器422はまた、電圧センサ428に結合され、電圧センサ428は、駆動モータ200に誘起された逆起電力(「EMF」)を測定する。駆動モータ200の逆EMF電圧は、駆動モータ200の回転速度に直接的に比例し、上で論議されたように、駆動モータ200の回転速度は、発射ロッド220の直線速度を決定するために使用される。
【0085】
駆動モータ200の速度のモニタリングはまた、一定の電流条件のもとで、その端子にまたがる電圧を測定することによって達成されることができる。駆動モータ200の負荷の増加は、モータ端子に印加される電圧の低下を生じ、これはモータの速度の低下に直接的に関係する。このように、駆動モータ200にまたがる電圧を測定することは、それにかかっている負荷の決定を提供する。さらに、時間で割った電圧の変化(dV/dt)をモニタすることによって、マイクロコントローラ500は、電圧の急な低下を検出することができ、電圧の急な低下は、駆動モータ200および/または電源400の負荷の大きな変化もしくは温度変化と相関関係にある。
【0086】
さらなる実施形態において、速度計算器422は、電流センサ430(例えば電流計)に結合される。電流センサ430は、分路抵抗器432と電気的に通信しており、分路抵抗器432は、駆動モータ200に結合されている。電流センサ430は、抵抗器432にまたがる電圧低下を測定することによって、駆動モータ200によって引き込まれる電流を測定する。駆動モータ200に電力を供給するために使用される電流は、駆動モータ200の回転速度、したがって発射ロッド220の直線速度に比例するので、速度計算器422は、駆動モータ200の電流引き込みに基づいて発射ロッド220の速度を決定する。
【0087】
電流センサ430はまた、電源400に結合されて、その電流引き込みを決定し得、それによって、エンドエフェクタ160における負荷の分析が可能となる。これは、ステープルされる組織のタイプを示し得る。なぜならば、様々な組織は、様々な引張り特性を有し、これは、外科手術器具10ならびに電源400および/もしくはモータ200にかかる負荷に影響を及ぼすからである。
【0088】
速度計算器422はまた、電源400内の電圧を決定するための第2の電圧センサ(明瞭には示されず)に結合され得、それによって、電源からの直接的な電力引き込みを計算する。さらに、時間で割った電流の変化(dI/dt)は、駆動モータ200によって及ぼされたトルクの大きな増加に対応する測定値の急なスパイクを検出するためにモニタされることができる。したがって、電流センサ430は、駆動モータ200の速度および負荷を決定するために使用される。
【0089】
さらに、速度計算器422によって測定されるとおりの発射ロッド220の速度は次に、駆動モータ200の電流引き込みと比較されて、駆動モータ200が正しく動作しているかどうかを決定し得る。すなわち、電流引き込みが発射ロッド220の速度(例えば、低い)に比例していない場合(例えば、大きい)、モータ200は誤作動している(例えば、ロックされている、機能停止している、その他)。機能停止状態が検出された場合、または電流引き込みが所定の制限を超過した場合、位置計算器416は、発射ロッド220が機械的に停止しているかどうかを決定する。このような場合、マイクロコントローラ500は、外科手術器具10をロック解除して発射ロッド220を引き込めるため、駆動モータ200を停止させることができるか、またはパルスおよび/もしくはポーズモードに入る(例えば、駆動モータ200への電力供給の中断)。
【0090】
一実施形態において、速度計算器422は、回転速度検出装置424からの測定値に基づいて、回転センサ239によって検出されたとおりの駆動管210の回転速度と駆動モータ200の回転速度とを比較する。クラッチ300の回転と駆動管210の回転との間に食い違いがある場合、この比較は、速度計算器422が、クラッチ起動に問題があるかどうか(例えば、すべり)を決定することを可能にする。すべりが検出された場合、位置計算器416は、発射ロッド220が機械的に停止しているかどうかを決定する。このような場合、マイクロコンピュータ500は、外科手術器具10を停止させるか、またはパルスおよび/もしくはポーズモードに入るか(例えば、駆動モータ200への電力供給の中断)または発射ロッド220を引き込めることができる。
【0091】
発射ロッド220ならびに他の駆動構成要素の直線変位および/または回転変位に加えて、外科手術器具10はまた、エンドエフェクタ160の関節運動を検出するように適合されたセンサを含む。図4を参照すると、外科手術器具10は、シャフトスタート位置センサ231によって検出されたとおりの、処置の開始における回転ハウジングアセンブリ180の開始位置、回転方向、および角変位を示すように適合された回転センサ241を含む。回転センサ241は、回転ノブ182の内面に配置されたインジケータの数を数えることにより動作し、回転ノブ182はその数だけ回転している。
【0092】
図1を参照すると、本開示は、装填ユニット識別システム440を提供し、装填ユニット識別システム440は、外科手術器具10が、装填ユニット169を識別し、その動作状態を決定することを可能にする。識別システム440は、ステープルサイズ、カートリッジの長さ、装填ユニット169のタイプ、カートリッジの状態、正しい係合などに関する情報を外科手術器具10に提供する。この情報は、器具が、様々な長さのステープルカートリッジに対して、締め付ける力、締め付けおよび発射の速度、ならびにストロークの終了を調節することを可能にする。
【0093】
装填ユニット識別システム440はまた、特定のエンドエフェクタ160を操作するための速度、電力、トルク、締め付け、移動長さおよび力の制限を含む様々な情報を決定し、そして外科手術器具10(例えば、図12に示される制御システム501)に通信するように適合され得る。制御システム501はまた、構成要素の移動に対して、動作モードを決定し、そして、電圧、クラッチばね装填および停止点を調節し得る。より詳細には、識別システムは、構成要素(例えば、マイクロチップ、エミッタまたは送信器)を含み得、該構成要素は、制御システム501またはその中の受信器と(例えば、無線で、赤外線信号を介して、その他で)通信するエンドエフェクタ160に配置される。信号は、発射ロッド220を介して送信され得、それによって発射ロッド220は、制御システム501とエンドエフェクタ160との間の通信のための導管として機能する。別の実施形態において、信号は、例えばフィードバックコントローラ603のような中間インタフェースによって送信されることができる(図14図16)。
【0094】
例として、運動センサ251を含む上で論じられたセンサは、ステープルがステープルカートリッジから発射されたかどうか、それらは完全に発射されたかどうか、ビームはステープルカートリッジを通って近位方向に引き込まれたかどうか、およびその程度、ならびに装填ユニットの動作に関する他の情報を決定するために使用され得る。本開示の特定の実施形態においては、装填ユニットは、赤外線、セルラー式、または無線周波数識別チップを含む、外科手術器具10に装填された装填ユニットおよび/またはステープルカートリッジのタイプを識別するための構成要素を組み込む。装填ユニットおよび/またはステープルカートリッジのタイプは、フィードバック、制御および/または在庫分析を提供するため、制御システム501内の関連する受信器または手術室内の外部のデバイスによって受信され得る。情報は、装填ユニット169と外科手術器具10との間の様々な通信プロトコル(例えば、有線または無線)を介して、外科手術器具10に伝達されることができる。情報は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、不揮発性メモリ、無線周波数識別タグ、ならびに、例えば光、色、変位、磁気、電気、2値、およびグレーコーディング(例えば、コンダクタンス、抵抗、キャパシタンス、インピーダンス)のような様々なタイプの識別子で、装填ユニット169内に格納されることができる。
【0095】
一実施形態において、装填ユニット169および外科手術器具10はそれぞれ、対応する無線送受信器、識別子442、および呼びかけ器444を含む(図1)。識別子442はメモリを含むか、または装填ユニット169に関する様々な識別および状態情報を格納するためのマイクロコントローラ(例えば、マイクロコントローラ500)に結合され得る。一旦装填ユニット169が外科手術器具10に結合されると、外科手術器具10は、識別コードを求めて、呼びかけ器444を介して識別子442に問い合わせる。問合せに応答して、識別子442は、装填ユニット169に対応する識別コードで返答する。動作の間、一旦識別が生じると、識別子442は、装填ユニット169の状態に関する最新情報を外科手術器具10に提供するように構成される(例えば、機械的および/または電気的誤作動、位置、関節運動、その他)。
【0096】
識別子442および呼びかけ器444は、次の通信プロトコル、例えば、Bluetooth(登録商標)、ANT3(登録商標)、KNX(登録商標)、ZWave(登録商標),X10(登録商標)Wireless USB(登録商標)、IrDA(登録商標)、Nanonet(登録商標)、Tiny OS(登録商標)、ZigBee(登録商標)、802.11 IEEE、のうちの1つ以上、および他の無線、赤外線、UHF、VHF通信などを使用して互いに通信するように構成されている。一実施形態において、送受信器400は、送受信器402の呼びかけ器の能力に依存して、能動的または受動的な無線周波数識別(RFID)タグであり得る。
【0097】
図12は、マイクロコントローラ500を含む制御システム501を示し、マイクロコントローラ500は、位置計算器416および速度計算器422、装填ユニット識別システム440、ユーザインタフェース120、駆動モータ200、ならびにデータ格納モジュール502に結合される。さらに、マイクロコントローラ500は、運動センサ251および様々な他のセンサ(例えば、第1の組織センサ177および第2の組織センサ179、負荷スイッチ230、シャフト開始位置センサ231、締め付け位置センサ232、関節運動センサ235、直線変位センサ237、回転センサ239、発射ロッド回転センサ241、モータおよびバッテリ動作モジュール412、回転速度検出装置418、スイッチ421、電圧センサ428、電流センサ430、ならびに呼びかけ器444)に直接的に結合され得る。
【0098】
マイクロコントローラ500は、内部メモリを含み、該内部メモリは、外科手術器具10の動作および機能性を制御するための1つ以上のソフトウェアアプリケーション(例えばファームウェア)を格納する。マイクロコントローラ500は、ユーザインタフェース120からの入力データを処理し、入力に応答して外科手術器具10の動作を調節する。外科手術器具10に対する調節は、外科手術器具10への電力供給のオンもしくはオフ、電圧調整もしくは電圧パルス幅変調による速度制御、デューティサイクルを低減することによるトルク制限、または所定の時間の平均的電流送達を制限するために電圧をオンもしくはオフにパルシング(pulsing)することを含み得る。
【0099】
マイクロコントローラ500は、ユーザフィードバックモジュール504を介してユーザインタフェース120に結合され、ユーザフィードバックモジュール504は、ユーザに外科手術器具10の動作パラメータについて知らせるように構成される。ユーザフィードバックモジュール504は、ユーザインタフェース120に、画面122に動作データを出力するように指示する。特に、センサからの出力は、マイクロコントローラ500に伝達され、マイクロコントローラ500は、フィードバックをユーザに送り、ユーザがそれに応答して外科手術器具10に対する特定のモード、速度または機能を選択するように指示する。
【0100】
装填ユニット識別システム440は、どのエンドエフェクタが装填ユニット上にあるかをマイクロコントローラ500に示す。一実施形態において、制御システム501は、発射ロッド220および/またはエンドエフェクタ160に及ぼされる力に関する情報を格納する能力があり、それによって、装填ユニット169が識別されたとき、マイクロコントローラ500は、外科手術器具10に対する動作パラメータを自動的に選択する。これによって、発射ロッド220が、そのとき使用されている装填ユニット上にある特定のエンドエフェクタ160を駆動することができるように発射ロッド220に及ぼされる力を制御することが可能となる。
【0101】
マイクロコントローラ500はまた、位置計算器416および速度計算器422、ならびに他のセンサからの計算を分析して、発射ロッド220の実際の位置、運動の方向および/または速度、ならびに外科手術器具10の構成要素の動作状態を決定する。分析は、計算器416および422からの感知フィードバック信号の解釈を含み得、感知信号に応答して発射ロッド220の動作および外科手術器具10の他の構成要素を制御し得る。マイクロコントローラ500は、位置計算器416によって報告されたとおり発射ロッド220が所定の点を越えると、発射ロッド220の移動を制限するように構成される。外科手術器具10を制御するためにマイクロコントローラ500によって使用され得るさらなるパラメータは、モータおよび/またはバッテリ温度、残りのサイクルの数および使用されたサイクルの数、残りのバッテリ寿命、組織の厚さ、エンドエフェクタの電流の状態、送信および受信、ならびに外部のデバイスとの接続状態を含む。
【0102】
一実施形態において、外科手術器具10は、様々なセンサを含み、該センサは、電流(例えば、電流計)、電圧(例えば、電圧計)、近接(例えば、光学センサ)、温度(例えば、熱伝対およびサーミスタ)、ならびに力(例えば、ひずみゲージおよびロードセル)を測定して、装填ユニット169の装填状態を決定するように構成される。外科手術器具10の動作の間、接近プロセスおよび発射プロセスの間に標的組織に対して、外科手術器具10によって及ぼされる力を知ることが望ましい。(例えば、所定の負荷範囲外にある)異常な負荷の検出は、外科手術器具10および/または締め付けられた組織に対する問題を示し、ユーザに通信される。
【0103】
負荷状態のモニタリングは、以下の方法、すなわち、駆動モータ200の速度をモニタすること、駆動モータ200によって及ぼされるトルクをモニタすること、顎部材162、164の接近、外科手術器具10の構成要素の温度をモニタすること、ひずみセンサ185(図4)および/または外科手術器具10の他の耐力構成要素を介して発射ロッド220にかかる負荷を測定すること、のうちの1つ以上によって実行され得る。速度およびトルクのモニタリングは、図6および速度計算器422と関連して上記されている。
【0104】
別の実施形態において、発射ロッド220または他の耐力構成要素は、1つ以上のひずみゲージおよび/またはその上に配置された負荷センサを含む。大きなひずみの条件のもとでは、外科手術器具10および/またはエンドエフェクタ160に対して及ぼされる圧力は、発射ロッド220に移され、発射ロッド220を撓ませ、それにかかるひずみが増加することになる。ひずみゲージは、応力測定値をマイクロコントローラ500に通知する。別の実施形態においては、位置センサ、ひずみセンサまたは力センサは、クラッチプレート700に配置され得る。接近プロセスの間、エンドエフェクタ160が組織の周りで締め付けられるとき、外科手術器具10および/またはエンドエフェクタ160に配置されたセンサは、エンドエフェクタ160が異常な組織の周りに配備されている(例えば、低いまたは高い負荷状態)ことをマイクロコントローラ500に示す。低い負荷状態は、少量の組織がエンドエフェクタ160によって把持されていることを示し、高い負荷状態は、あまりにも多くの量の組織よび/または異物(例えば、チューブ、ステープルライン、クリップ、その他)が把持されていることを示す。マイクロコントローラ500はその後、より適切な装填ユニット169および/または器具が選択されるべきであることを、ユーザインタフェース120を介してユーザに示す。
【0105】
発射プロセスの間、センサは、様々なエラーについてユーザに警告する。センサは、ステープルカートリッジまたは外科手術器具10の一部分に欠陥があることをマイクロコントローラ500に通信し得る。さらに、センサは、ナイフに及ぼされる力の突然のスパイクを検出することができ、これは、異物に遭遇していることを示す。力のスパイクのモニタリングは、例えば、発射ロッド220がステープリングカートリッジの終端に遭遇し、そしてハードストップにぶつかるときのような、発射ストロークの終了を検出するためにも使用され得る。このハードストップは、外科手術器具10の通常の動作間に観察される力のスパイクよりも比較的大きな力のスパイクを作成し、発射ロッド220が装填ユニット169の終端に到達したことをマイクロコントローラに示すために使用され得る。力のスパイクの測定は、位置計算器416および速度計算器422との関連で論じられるように、(例えば、運動センサ251からの)位置フィードバック測定値と組み合わされることができる。これによって、エンドエフェクタ160を変更することなく、様々なタイプのステープルカートリッジ(例えば、複数の長さ)を外科手術器具10に対して使用することが可能となる。
【0106】
力のスパイクに遭遇するとき、外科手術器具10は、状態についてユーザに知らせ、いわゆる「パルス」または電子クラッチングモードに入る。このモードの間、駆動モータ200は、短いバーストでのみ稼動し、把持された組織とエンドエフェクタ160との間の圧力が等しくことを可能にするように制御される。電子クラッチングは、駆動モータ200によって及ぼされるトルクを制限し、大量の電流が電源400から引き込まれるような状況を避ける。これは、過負荷および大電流引き込み状況に伴う過熱による電子的および機械的構成要素に対する損傷を制限する。マイクロコントローラ500は、パルス幅変調制御信号を介して、モータドライバによって起動モータ200を制御し得る。モータドライバは、時計回り方向または反時計周り方向のいずれかで、駆動モータ200の速度を調節するように構成される。モータドライバはまた、複数の動作モードの間で切り替わるように構成され、該複数の動作モードは、電子モータ制動モード、一定速度モード、電子クラッチングモード、および制限電流起動モードを含む。電子制動モードにおいては、駆動モータ200の2つの端子が、短絡させられ、発生した逆EMFが駆動モータ200の回転と反対に作用し、より速やかな停止および発射ロッド220の直線位置を調節する際におけるより大きな位置精度を可能にする。一定速度モードにおいては、速度計算器422が、マイクロコントローラ500および/またはモータドライバと連携し、駆動モータ200の回転速度を調節して、発射ロッド220の一定の直線速度を保証する。電子クラッチングモードは、位置計算器416および速度計算器422からの感知フィードバック信号に応答して、クラッチ300が、駆動モータ200と係合および/または係合解除を繰り返すことを含む。制限電流起動モードにおいては、静的モードと動的モードとの間で推移するとき、電流は、ランプアップ(ramp up)されるかまたはランプダウン(ramp down)されて、有害な電流およびトルクスパイクを制限し、いわゆる「ソフトスタート」および「ソフトストップ」を提供する。
【0107】
データ格納モジュール502は、マイクロコントローラ500に結合されたセンサからのデータを記録する。さらに、データ格納モジュール502は、装填ユニット169の識別コード、エンドエフェクタ100の状態、処置の間のステープリングサイクルの数、および外科手術器具10の構成要素の状態に関する他の情報を記録し得る。データ格納モジュール502はまた、無線または有線データポート503を介して、例えばパーソナルコンピュータ、PDA,スマートフォン、または記憶デバイス(例えば、Secure DigitalTMカード、CompactFlash(登録商標)カード、もしくはMemory StickTM)のような外部のデバイスに接続するようにも構成される。これは、次の分析および/または格納のために、データ格納モジュール502が、外部のデバイスに性能データを伝達することを可能にする。データポート503はまた、マイクロコントローラ500のファームウェアの「インザフィールド(in the field)」アップグレードを可能にする。
【0108】
本開示の実施形態は、図13図16に示されるように、フィードバック制御システム601を含み得る。システムは、フィードバックコントローラ603を含む。外科手術器具10は、データポート502を介して、フィードバックコントローラ603に接続され、データポート502は、有線(例えば、FireWire(登録商標)、USB、Serial RS232、Serial RS485、USART、イーサネット(登録商標)、その他)であり得るか、または無線(例えば、Bluetooth(登録商標)、ANT3(登録商標)、KNX(登録商標)、Z−Wave(登録商標)、X10(登録商標)、Wireless USB(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)、IrDA(登録商標)、nanoNET(登録商標)、TinyOS(登録商標)、ZigBee(登録商標)、802.11 IEEE、および他の無線、赤外線、UHF,VHF通信など)であり得る。
【0109】
図13を参照すると、フィードバックコントローラ603は、外科手術器具10によってフィードバックコントローラ603に伝達されたデータを格納し、およびデータを処理、分析するように構成される。フィードバックコントローラ603はまた、例えばビデオディスプレイ604、ビデオプロセッサ605、および計算デバイス606(例えば、パーソナルコンピュータ、PDA,スマートフォン、記憶デバイス、その他)のような他のデバイスにも接続される。ビデオプロセッサ605は、ビデオディスプレイ604への出力のためにフィードバックコントローラ603によって発生させられた出力データを処理するために使用される。計算デバイス606は、フィードバックデータのさらなる処理のために使用される。一実施形態において、マイクロコントローラ600によって実行されたセンサフィードバック分析の結果は、計算デバイス606による後の検索のために内部に格納され得る。
【0110】
フィードバックコントローラ603は、マイクロコントローラ600に結合されたデータポート607(図15)を含み、マイクロコントローラ600は、フィードバックコントローラ603が計算デバイス606に接続されることを可能にする。データポート607は、計算デバイス606との有線および/または無線通信に対して備えをなし得、格納されたフィードバックデータの検索、フィードバックコントローラ603の動作パラメータの構成、ならびにフィードバックコントローラ603のファームウェアおよび/または他のソフトウェアアップグレードのために、計算デバイス606とフィードバックコントローラ603との間のインタフェースに対して備えをなし得る。
【0111】
フィードバックコントローラ603はさらに、図14図15に示される。フィードバックコントローラ603は、ハウジング610と、例えばビデオ入力614、ビデオ出力616、およびヘッドアップ(「HUD」)ディスプレイ出力618のような複数の入力および出力ポートとを含む。フィードバックコントローラ603はまた、フィードバックコントローラ603に関する状態情報を表示するための画面620も含む。
【0112】
フィードバックコントローラ603の構成要素は、図16に示されている。フィードバックコントローラ603は、マイクロコントローラ600と、データ格納モジュール602とを含む。マイクロコントローラ600およびデータ格納モジュール602は、外科手術器具10のマイクロコントローラ500およびデータ格納モジュール502と同様の機能性を提供する。フィードバックコントローラ603の形でスタンドアロンモジュールにこれらの構成要素を提供することは、これらの構成要素を外科手術器具10内に有する必要性を軽減する。
【0113】
データ格納モジュール602は、例えば磁気ハードドライブ、フラッシュメモリ(例えば、Secure Digital(登録商標)カード、Compact Flash(登録商標)カード、またはMemoryStick(登録商標)のような1つ以上の内部および/または外部の格納デバイスを含み得る。データ格納モジュール602は、フィードバックコントローラ603によって使用され、計算デバイス606による後のデータ分析のために外科手術器具10からのフィードバックデータを格納する。フィードバックデータは、運動センサ251および外科手術器具10内に配置された他のセンサによって供給された情報を含み得る。
【0114】
マイクロコントローラ600は、外科手術器具10の回路網に取って代わり、補完し、または補足し得る。マイクロコントローラ600は、内部メモリを含み、該内部メモリは、外科手術器具10の動作および機能性を制御するための1つ以上のソフトウェアアプリケーション(例えば、ファームウェア)を格納する。マイクロコントローラ600は、ユーザインタフェース120からの入力データを処理し、そして入力に応答して外科手術器具10の動作を調節する。マイクロコントローラ600は、ユーザフィードバックモジュール504を介してユーザインタフェース120に結合され、ユーザフィードバックモジュール504は、外科手術器具10の動作パラメータについてユーザに知らせるように構成される。より詳細には、外科手術器具10は、データポート407(図6)を介して無線または有線接続によってフィードバックコントローラ603に接続するように構成される。
【0115】
開示された実施形態において、マイクロコントローラ600は、駆動モータ200に接続され、バッテリインピーダンス、電圧、温度および/または電流引き込みをモニタするように構成、配列され、外科手術器具10の動作を制御する。負荷または負荷(複数)が、有害な限界に到達したか、または有害な限界に近づいて事を示した場合、外科手術器具10のバッテリ400、伝達、駆動モータ200および駆動構成要素にかかる負荷または負荷(複数)が決定されて、モータ速度を制御する。例えば、バッテリ400の残りのエネルギー、残りの発射の数、バッテリ400が取替えられなくてはならないか、または充電されなくてはならないか、および/または外科手術器具10の潜在的な負荷限界に近づいていること、が決定され得る。マイクロコントローラ600はまた、上で論じられた外科手術器具10の1つ以上のセンサに接続され得る。マイクロコントローラ600はまた、モニタされた情報に応答して、駆動モータ200の動作を制御するように構成される。電子クラッチを含み得るパルス変調制御スキームは、外科手術器具10を制御する際に使用され得る。例えば、マイクロコントローラ600は、駆動モータ200の電圧供給を調整するか、または駆動モータ200にパルス変調信号を供給し、動力および/またはトルク出力を調節して、システムへの損傷を制限するか、またはエネルギーの使用を最適化することができる。
【0116】
一実施形態において、電気制動回路が、駆動モータ200を制御するために使用され得、該電気制動回路は、回転する駆動モータ200の既存の逆起電力を使用して、駆動管210の運動量と反対に作用し、実質的にこれを低減する。電気制動回路は、動力外科手術器具10の停止精度および/またはシフト場所に対して、駆動モータ200および/または駆動管210の制御を向上させ得る。動力外科手術器具10の構成要素をモニタして動力外科手術器具10の過負荷を阻止することを補佐するためのセンサは、例えば温度センサ、サーミスタ、サーモパイル、熱電対、および/または熱赤外イメージングのような熱形センサを含み得、そしてマイクロコントローラ600にフィードバックを提供し得る。限界に到達したか、または限界が近づいた場合、マイクロコントローラ600は、動力外科手術器具10の構成要素を制御し得、かかる制御は、電源400からの電力を遮断すること、電力を一時的に中断すること、またはポーズモードおよび/またはパルス変調を開始して使用されるエネルギーを制限することを含むことができる。マイクロコントローラ600はまた、構成要素の温度をモニタして、動作がいつ再開できるかを決定することができる。マイクロコントローラ600の上述の使用は、独立的に使用され得るか、または電流、電圧、温度および/またはインピーダンス測定値を考慮することもあり得る。
【0117】
マイクロコントローラ600によるデータの分析および処理の結果は、ビデオディスプレイ604および/またはHUDディスプレイ622に出力される。ビデオディスプレイ604は、例えばLCD画面、プラズマ画面、エレクトロルミネセンス画面などのような任意のタイプのディスプレイであり得る。一実施形態において、ビデオディスプレイ604は、タッチ画面を含み得、そして抵抗タッチ画面技術、表面波タッチ画面技術、容量タッチ画面技術、赤外線タッチ画面技術、ひずみゲージタッチ画面技術、光学タッチ画面技術、分散信号タッチ画面技術または音響パルス認識タッチ画面技術を組み込み得る。タッチ画面は、ユーザが、動作フィードバックを観察しながら入力を提供することを可能にするために使用され得る。HUDディスプレイ622は、例えば一対のメガネおよび/またはゴグルのレンズ、フェイスシールドなどのような、外科処置の間にユーザに見える任意の表面に投影され得る。これは、ユーザが、処置に対する集中を緩めることなく、フィードバックコントローラ603からの不可欠なフィードバック情報を視覚化することを可能にする。
【0118】
フィードバックコントローラ603は、画面表示モジュール624とHUDモジュール626とを含む。モジュール626は、マイクロコントローラ600の出力を処理して、ディスプレイ604および622に表示する。より詳細には、画面表示モジュール624は、フィードバックコントローラ603からのテキストおよび/またはグラフィカル情報を、外科手術部位に配置されたカメラを介して外科手術部位から送られたビデオ画像にかぶせる。かぶせられたテキストを有する変更されたビデオ信号は、ビデオディスプレイ604に伝達されて、ユーザが、なおも外科手術部位を観察しながら、外科手術器具10および/またはフィードバックコントローラ603からの有用なフィードバック情報を視覚化することを可能にする。
【0119】
図17は、一部の実施形態による、発射ロッド220の位置および速度を含む、発射ロッド220の運動のパラメータを制御するためのフィードバック制御システム1700のブロック図である。フィードバック制御システム1700の構成要素は、図12の制御システム501または図16のフィードバックコントローラ603において実装され得る。フィードバック制御システム1700は、運動センサ251と、測定ユニット470と、マイクロコントローラ500とを含む。運動センサ251は、発射ロッド220に電気的に結合され、そして細長いシャフト140と細長いシャフト140内にある発射ロッド220の部分との間の低エネルギー電界における変化で変動する周波数によってパルス信号465を発生させるように構成される。運動センサ251は、発振器回路460またはパルス信号465を発生させる他の信号発生器を含み得る。
【0120】
運動センサ251は、細長いシャフト140と細長いシャフト140内にある発射ロッド220の部分との間のキャパシタンス、インピーダンスまたはアドミッタンスの変化で変動する周波数またはパルス幅によってパルス信号465を発生させ得る。一部の実施形態においては、発振器回路460は、555もしくは7555タイマ、シュミットインバータ、または同期復調器回路の構成要素を含み得る。
【0121】
運動センサ251は、有線または無線通信チャンネルを介して測定ユニット470へパルス信号465を伝達する。例えば、運動センサ251は、一部の実施形態においては、発射ロッド220に物理的に取り付けられ得、そして運動センサ251は、無線通信リンクを介してパルス信号465を測定ユニット470に伝達するように構成された無線通信回路を含み得る。他の実施形態においては、運動センサ251は、可撓性のワイヤを介して発射ロッド220に電気的に結合され得、そして運動センサ251は、測定ユニット470を含み得、それによって運動センサ251は、短いワイヤまたは他の適切な電気導体を介してパルス信号465を測定ユニット470に伝達することができる。
【0122】
測定ユニット470は、カウンタ472とデータプロセッサ474とを含む。カウンタ472は、パルス信号465のパルスを数え、データプロセッサ474は、数えられたパルスに基づいて、パルス信号465の周波数を計算する。計算された周波数は次に、発射ロッド220の位置を決定するために使用される。あるいは、他の実施形態においては、測定ユニット470は、パルス信号465のパルスの幅を決定するための回路を含み得る。パルス信号465の測定されたパルス幅は次に、発射ロッド220の運動のパラメータを決定するために使用され得る。
【0123】
データプロセッサ474は、パルス信号465の周波数またはパルス幅に基づいて、発射ロッド220の運動の多くのパラメータを決定し得る。例えば、データプロセッサ474(または、図12の位置計算器416)は、力が発射ロッド220に及ぼされる位置を決定し得る。データプロセッサ474はまた、発射ロッド220が所定の時間に動く距離を決定し得る。データプロセッサ474はまた、発射ロッド220の運動の方向を決定し得る(すなわち、データプロセッサ474は、発射ロッド220が、細長いシャフト140の中に挿入されつつあるかどうか、または細長いシャフト140から引き出されつつあるかどうかを決定し得る)。データプロセッサ474(または、図12の速度計算器422)はまた、発射ロッド220の速度を決定し得る。
【0124】
一実施形態において、発振器回路460は、細長いシャフト140(例えば、管状の細長いシャフト)と細長いシャフト140内にある発射ロッド220の部分との間のキャパシタンスの変化で変動する周波数によってパルス信号465を発生させる。発射ロッド220と細長いシャフト140との間のキャパシタンスは、次の式に従って計算される。
【0125】
【数1】
ここで、εは、電気定数であり、εは、比誘電率であり、aは、発射ロッド220の半径であり、bは、発射ロッド220の中心と細長いシャフト140の内壁との間の半径方向の距離であり、Lは、細長いシャフト140内に配置された発射ロッド220の長さである。上の式によって示されるように、細長いシャフト140と発射ロッド220との間のキャパシタンスは、細長いシャフト140内に配置された発射ロッド220の部分の長さに比例する。したがって、発射ロッドが細長いシャフト140の中に入るにつれて、キャパシタンスは増加する。逆に、発射ロッドが細長いシャフト140から出るにつれて、キャパシタンスは減少する。
【0126】
一部の実施形態において、フィードバックコントロールシステム1700は、電圧源480を特徴とする。電圧源480は、一定のまたは時間で変動する電圧を発射ロッド220に印加し、発射ロッド220と細長いシャフト140との間の電界の特性を変化させ得、そして運動センサ251の感度を向上させる。これらの実施形態において、電圧源480によって印加された電圧は、充分小さいので、身体組織もしくは患者を傷つけず、また他の点で外科処置に悪影響を及ぼすこともない。
【0127】
図18Aおよび図18Bは、発振器回路460から出力されたパルス信号465が、細長いシャフト140に対する発射ロッド220の運動から生じるキャパシタンスの変化にいかに対応するかを示す略図である。図18Aにおいて、発射ロッド220は、第1の位置で、細長いシャフト140内に配置される。発射ロッド220に電気的に結合されている運動センサ251は、第1のパルス信号254を発生させる発振器回路460を含む。
【0128】
図18Bに示されるように、発射ロッド220が、細長いシャフトから出るにつれて、これらの構成要素間のキャパシタンスが減少し、発振器回路460は、図18Aのパルス信号254よりも高い周波数を備えた第2のパルス信号255を発生させることによって該キャパシタンスに応答する。換言すれば、発振器回路460は、第2のパルス信号255を発生させ、第2のパルス信号255は、第1のパルス信号254のパルスよりも小さなパルス幅を有するパルスを含む。
【0129】
図19は、一実施形態によるグラフ600であり、発振器回路460から出力された信号の周波数605が、発射ロッド220の動きが変化するにつれていかに変化し得るかを示す。図示されるように、発振器回路460の周波数605は、発射ロッド220が細長いシャフト140の中により遠く挿入されるにつれて単調に減少する。一部の実施形態においては、データプロセッサ474は、発射ロッド220の運動のパラメータを決定するために、グラフ600のデータを使用し得る。例えば、発振器回路460から出力された信号の周波数が0.2(例えば、0.2×100kHz=20kHz)である場合、発射ロッドは、位置0.45にある。
【0130】
一部の実施形態において、測定ユニット470は、発射ロッド220と細長いシャフト140との間のキャパシタンスの変動から発射ロッド220の位置および/または速度を決定し、位置および/または速度情報をマイクロコントローラ500に提供する。マイクロコントローラ500は、制御アルゴリズム(例えば、比例制御アルゴリズム)を実行し、該制御アルゴリズムは、発射ロッド220の計算された位置および/または速度を使用して、電圧命令を生成する。電圧命令は、駆動メカニズム455(例えば、回転モータ200)にフィードバック(476)されて、閉ループフィードバックシステムを形成する。この構成においては、発射ロッド220の位置が正確に制御されることができる。
【0131】
図20は、一実施形態による、外科手術器具の発射ロッドの運動のパラメータを決定するためのプロセス2000の流れ図である。ステップ2001において、プロセス2000がスタートした後、外科手術器具のハウジング部分と細長いシャフトに配置された発射ロッドとの間の電界の変化が感知される(ステップ2002)。ステップ2004において、発射ロッドの運動が、感知された電界の変化に基づいて決定される。次に、ステップ2005において、プロセス2000が終了する。
【0132】
図21は、一実施形態による、外科手術器具を操作するためのプロセス2100の流れ図である。プロセス2100がステップ2101においてスタートした後、電界の変化が、外科手術器具のハウジング部分と細長いシャフトに配置された発射ロッドとの間に感知される(ステップ2102)。ステップ2104において、発射ロッドの運動は、感知された電界の変化に基づいて決定される。次に、ステップ2106において、発射ロッドの運動は、決定された発射ロッドの運動に基づいて制御される。次に、プロセス2100のステップが反復される。
【0133】
図22は、別の実施形態による、外科手術器具の発射ロッドの運動のパラメータを決定するためのプロセス2200の流れ図である。プロセス2200がスタート(ステップ2201)した後、時間で変動する電圧が、外科手術器具のハウジング部分に配置された発射ロッドに印加される(ステップ2202)。ステップ2204において、パルス信号が、発射ロッドとハウジング部分との間の電界の変化で変動する周波数によって発生させられる。次に、ステップ2206において、パルス信号のパルスが所定の時間にわたって数えられる。ステプ2208において、パルス信号の周波数が、ステップ2206において数えられたパルスおよび所定の時間に基づいて計算される。次に、プロセス2200が終了する(ステップ2211)前に、発射ロッドの位置が、計算されたパルス信号の周波数に基づいて決定される(ステップ2210)。他の実施形態においては、例えばパルス信号のパルスの幅のような、パルス信号の他のパラメータが電界の変化で変動し得、発射ロッドの位置を決定するために使用され得る。
【0134】
一部の実施形態において、発射ロッドの位置を決定することは、ルックアップテーブルを参照して、計算された信号周波数と対応する、発射ロッドの位置を決定することを含み得る。例えば、ルックアップテーブルは、第1の信号周波数は、第1の位置と対応し、第2の周波数は、第2の位置と対応することを示す項目を含み得る。他の実施形態においては、プロセス2200は、(1)パルス信号のパルスのパルス幅を決定すること、(2)測定されたパルス幅と基準パルス幅との差を決定すること、および(3)該差を所定の距離の変化に対応する所定のパルス幅の変化と比較すること、を含み得る。例えば、パルス幅間の差が2msである場合、そして、4msのパルス幅の変化は、1cmの位置の変化と等価であるとすると、位置の変化は、0.5cmである(すなわち、発射ロッドは、0.5cm動いた)。
【0135】
図23は、別の実施形態による、外科手術器具の発射ロッドの運動のパラメータを決定するためのプロセス2300の流れ図である。プロセス2300がスタート(ステップ2301)した後、第1の位置で発射ロッドに結合された信号発生器から出力された信号の第1の周波数(ステップ2302)ならびに第1の周波数および第1の位置が、メモリに格納される(ステップ2304)。周波数の変化が検出された場合(ステップ2306)、信号発生器から出力された信号の周波数の変化が、第1の周波数に対して決定される(ステップ2308)。検出されない場合、プロセス2300は、周波数の変化に対してモニタし続ける(ステップ2306)。一部の実施形態において、周波数の変化に対してモニタすることは、所定の間隔(例えば、5秒毎)で周波数の変化に対してチェックすることを含み得る。
【0136】
次に、ステップ2310において、第1の位置に対応する新しい位置が、信号発生器から出力された信号の周波数の変化に基づいて計算される。例えば、信号周波数が、第1の位置において100kHzであり、信号周波数が、新しい位置において200kHzである場合、そして10kHzの周波数の変化が、1mmの距離の変化に対応するとした場合、周波数の変化は、100kHzであり、対応する距離の変化は、10mmである(すなわち、10×10kHz=10×1mm)。したがって、新しい位置は、第1の位置に対して、10mmである。一部の実施形態において、計算された距離の変化は、速度を計算するために使用される。プロセス2300は次に、ステップ2306に戻り、信号発生器から出力された信号の周波数が再び変化したかどうかを決定する。周波数が再び変化した場合、プロセス2300は、ステップ2308および2310を再び実行する。例えば、信号発生器から出力された信号の周波数が150kHzに変化した場合、発射ロッドの新しい位置は、第1の位置に対して5mmである。
【0137】
前述は、本開示を例示するのみであることが理解されるべきである。本開示から逸脱することなく、様々な代替および変更が、当業者によって考案されることができる。したがって、本開示は、かかるすべての代替、変更、差異を包含することが意図されている。添付の図面を参照して記述された実施形態は、本開示の特定の例を実証するためにだけ呈示されている。上でおよび/または添付の請求項において記述されたものから非実質的に異なる他の要素、ステップ、方法、および技術も、本開示の範囲内にあることが意図されている。
【符号の説明】
【0138】
10 外科手術器具
110 ハウジング
140 細長いシャフト
160 エンドエフェクタ
200 駆動モータ
210 駆動管
220 発射ロッド
251 運動センサ
A−A 第1の長手方向軸
B−B 第2の長手方向軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図18B
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