(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記交流磁界は前記一次コイルを短期間駆動させた後、所定の期間が経過した後に発生させることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載のワイヤレス電力伝送装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
図2に本発明の第1の実施例におけるワイヤレス電力伝送装置のブロックを示す。送電器10は、パルス生成回路11、励振コイル12、検出回路13、検出コイル14、制御回路15、平滑コンデンサ16、駆動回路17、一次コンデンサ18、一次コイル19を備える。また、受電器20は、二次コイル21、二次コンデンサ22、検出用コンデンサ23、整流回路24、平滑コンデンサ25、インピーダンス素子26、制御回路27、スイッチ28、負荷29を備える。
【0016】
まず、送電器10の構成について説明する。駆動回路17には、直流電源DCから入力電圧Vinが供給される。駆動回路17の動作は、一例としてマイコンなどで構成される制御回路15により制御される。駆動回路17の入力端には、平滑コンデンサ16が接続されており、駆動回路17の出力端には、一次コイル19と一次コンデンサ18が直列接続されている。駆動回路17は、一次コイル19と一次コンデンサ18に交流電力を供給する。一例として、駆動回路17はフルブリッジ回路やハーフブリッジ回路などにより構成される。励振コイル12には、パルス生成回路11よりパルス信号Vplが供給される。パルス生成回路11の動作は、制御回路15により制御される。また、検出コイル14に励起される検出信号Vdtは、検出回路13に供給される。一例として、検出回路13は、検出信号Vdtを増幅回路等で波形成形し、得られた出力信号を制御回路15に供給する。制御回路15は、検出回路13から供給される出力信号に基づいて、一次−二次コイル間の相対距離を求める。制御回路15は、求めた相対距離に基づいて、相対距離の情報をユーザーに報知することができる。例えば、制御回路15は、送電器10に設けた光や音および振動などを発生させる素子を制御することで、ユーザーに一次−二次コイル間の相対距離を報知することができる。
【0017】
次に、受電器20の構成について説明する。二次コイル21は、電磁誘導作用により一次コイル19から電力を受電する。二次コイル21の両端には、二次コンデンサ22を介して検出用コンデンサ23が接続されている。検出用コンデンサ23に印加される電圧は、整流回路24により整流される。整流回路24の出力端には、平滑コンデンサ25、インピーダンス素子26および制御回路27が並列に接続されている。平滑コンデンサ25は、出力電圧Vdのリプルを除去するものである。インピーダンス素子26は、受電器20に設けられる電圧レギュレータなどの素子を示すものである。また、整流回路24の出力端には、スイッチ28を介して二次電池などの負荷29が接続されている。受電器20に設けられたインピーダンス素子26やスイッチ28の動作は、一例としてマイコンなどで構成される制御回路27により制御される。負荷29は、スイッチ28により受電器20の回路から切り離すことができる。二次コイル21が得た電力を負荷29に供給する場合は、スイッチ28が閉じられ、負荷29に出力電圧Vdが印加される。
【0018】
以下、二次コイル21と二次コンデンサ22で構成される二次LC共振回路の共振周波数を二次共振周波数fsとする。また、二次コイル21と二次コンデンサ22と検出用コンデンサ23で構成される共振回路の共振周波数を検出用共振周波数fdとする。
【0019】
図3は、本発明の第1の実施例における一次コイル19、励振コイル12、検出コイル14、二次コイル21の位置関係を示す概略図である。一次コイル19、励振コイル12、検出コイル14、二次コイル21はそれぞれ平面で薄型の構造となっている。一次コイル19と二次コイル21は、対向するように配置されている。一次コイル19、励振コイル12、検出コイル14は、それぞれ略同一平面上に配置されており、また、各コイルの中心軸が略一致するように配置されている。
【0020】
次に、一次コイル19と二次コイル21の相対距離の検出動作について、具体的に説明する。
図4は、本発明の第1の実施例における位置検出動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、位置検出を行うときには、受電器20に設けられているスイッチ28を開放する。
時刻t0において、一次コイル19に電圧Vpの供給を開始する。すると、一次コイル19から二次コイル21へと電力が伝送され、整流回路24の出力端に接続された平滑コンデンサ25の充電が開始される。すると、徐々に出力電圧Vdが増加する。
時刻t1になると、一次コイル19への電圧供給を停止する。すると、平滑コンデンサ25に蓄積された電荷が、インピーダンス素子26などにより緩やかに放電していく。よって、徐々に出力電圧Vdが減少していく。
時刻t2になると、励振コイル12に400ns幅の単発のパルス信号Vplを供給する。すると、二次コイル21と二次コンデンサ22と検出用コンデンサ23からなる共振回路が励振される。そして、この共振回路に検出用共振周波数fdで振動する電流が流れ、二次コイル21の周りには交流磁界が発生する。この交流磁界は、電磁誘導により検出コイル14でピックアップされ、受電器20から戻ってきたエコー信号として検出コイル14に検出信号Vdtを発生させる。
時刻t3になると、パルス信号Vplが立ち下がる。すると、検出信号Vdtは自由振動しながら徐々に減衰していく。このとき発生する検出信号Vdtは、一次コイル19と二次コイル21間の距離が近いほど大きく、一次コイル19と二次コイル21間の距離が遠いほど小さくなる。検出回路13は、このときの検出信号Vdtの強度に比例して波形整形された出力信号を生成する。制御回路15は、検出回路13から供給される出力信号に基づいて一次コイル19と二次コイル21の相対距離を求める。また、制御回路15は求めた相対距離の結果を光や音および振動などでユーザーに報知する。
【0021】
励振コイル12にパルス信号Vplを供給すると、二次コイル21に自由振動する電流が励起される。この励振エネルギーが整流回路24を通して平滑コンデンサ25に吸収されると、共振回路に流れる電流の減衰が早くなってしまう。すると、検出コイル14でピックアップするエコー信号も小さくなってしまい、一次−二次コイル間の相対距離の検出の精度が悪くなる。上述したように、あらかじめ平滑コンデンサ25を充電してから励振コイル12にパルス信号Vplを供給することで、励振エネルギーが平滑コンデンサ25に吸収されて減衰するのを抑制することができる。そのため、励振コイル12にパルス信号Vplを供給したときに、二次コイル21で発生する交流磁界が強まる。よって、検出コイル14においてピックアップされる検出信号Vdtの強度を高めることができる。これにより、一次コイル19と二次コイル21の相対距離を精度良く検出することができる。このように、本実施例では、一次−二次コイル間の相対距離を精度良く求めることができる。
【0022】
なお、一次コイル19と二次コイル21の相対距離の検出動作時には、駆動回路17内のスイッチ素子を開放するように制御することが好ましい。つまり、パルス信号Vplを供給するときには、一次コンデンサ18と一次コイル19が閉ループを構成しないようにする。これは、パルス信号Vplに応じて一次コイル19に誘導電流が流れるのを防止するためである。一次コイル19に誘導電流が流れると、一次コイル19の周りに交流磁界が発生してしまう。すると、二次コイル21から発生する交流磁界とともに、一次コイル19から発生する交流磁界を検出コイル14でピックアップしてしまい、検出信号Vdtにこれがノイズとして重畳されてしまう。このように相対距離の検出動作時には、一次コイル19から交流磁界が発生するのを防止するため、駆動回路17内のスイッチ素子は、制御回路15により開放するように制御される。
【0023】
一例として、ここでは一次コイル19が駆動される時刻t0から時刻t1までの期間を3msとした。この期間を長くするほど、出力電圧Vd、すなわち平滑コンデンサ25に蓄積される電荷の量が増加する。そして、一次コイル19の駆動を停止してから、パルス信号Vplの供給が開始される期間、すなわち時刻t1から時刻t2までの期間を1msとし、パルス信号Vplのパルス幅である時刻t2から時刻t3までの期間を400nsとした。一次コイル19の駆動を停止すると、徐々に平滑コンデンサ25に蓄積された電荷が放電されていくが、出力電圧Vdが高いうちにパルス信号Vplの供給を開始すればよい。また、時刻t1において駆動回路17内のスイッチ素子をすべてオフにし、一次コイル19の駆動を停止したとき、短い期間ではあるが一次コイル19に回生電流が流れる。一次コイル19の駆動を停止したのと同時にパルス信号Vplの供給を開始すると、この回生電流によって、検出コイル14でピックアップする検出信号Vdtにノイズが重畳してしまう恐れがある。そのため、一次コイル19の駆動を停止し、一次コイル19に流れる回生電流が収束した後、パルス信号Vplの供給が開始させるようにする。
また、パルス信号Vpl供給時の出力電圧Vdが大きいほど、エコー信号として検出コイル14でピックアップする検出信号Vdtを大きくすることができる。そのため、平滑コンデンサ25に蓄積される電荷が飽和するまで充電することが好ましい。
また、パルス信号Vplのパルス幅は、検出用共振周波数fdに応じて決定する。パルス幅が短いとエコー信号強度が小さくなり、ある値以上長くするとエコー信号強度が飽和する。パルス信号Vplのパルス幅は、検出用共振周波数fdの半波長程度にすると良い。例えば、検出用共振周波数fdが1MHzであれば400ns程度の単発パルスとするのが好ましい。
【0024】
図5は、本発明の第1の実施例における位置検出動作の他の例を示すタイミングチャートである。時刻t0〜t3までの動作は上述した位置検出動作の一例と同じである。時刻t3を経過後、検出信号Vdtは徐々に減衰していき、検出信号Vdtが収束する。ここでは時刻t4において、一次−二次コイル間の相対距離が近づくように、受電器20を動かしたとする。
時刻t4になると、時刻t0のときと同様に、一次コイル19に電圧Vpの供給を開始する。そして、平滑コンデンサ25の充電が開始され、徐々に出力電圧Vdが増加する。
時刻t5になると、時刻t1のときと同様に、一次コイル19への電圧供給を停止する。
時刻t6になると、時刻t2のときと同様に、励振コイル12に400ns幅の単発のパルス信号Vplを供給する。すると、二次コイル21と二次コンデンサ22と検出用コンデンサ23からなる共振回路が励振される。そして、この共振回路に検出用共振周波数fdで振動する電流が流れ、二次コイル21の周りには交流磁界が発生する。この交流磁界は、電磁誘導により検出コイル14でピックアップされ、受電器20から戻ってきたエコー信号として検出コイル14に検出信号Vdtを発生させる。
時刻t7になると、時刻t3のときと同様に、パルス信号Vplが立ち下がる。すると、検出信号Vdtは自由振動しながら徐々に減衰していく。検出回路13は、このときの検出信号Vdtの強度に比例して波形整形された出力信号を生成する。制御回路15は、検出回路13から供給される出力信号に基づいて一次コイル19と二次コイル21の相対距離を求める。時刻t3の後に発生する検出信号Vdtの強度より、時刻t7の後に発生する検出信号Vdtの強度の方が大きくなっている。これは、時刻t4において、一次−二次コイル間の相対距離が近づくように、受電器20を動かしたためである。
【0025】
このように、平滑コンデンサ25の充電を間欠的に行うとともに、各充電動作後に励振コイル12にパルス信号Vplを供給して、一次−二次コイル間の相対距離を検出してもよい。これにより、パルス信号Vplが励振コイルで送られるごとに一次−二次コイル間の相対距離を検出することができ、送電器10に対する受電器20の動きを認識することができる。上述のように、検出信号Vdtの強度が大きくなった場合、一次−二次コイル間の相対距離が近づいたと認識できる。逆に、検出信号Vdtの強度が小さくなった場合、一次−二次コイル間の相対距離が遠ざかったと認識できる。検出信号Vdtの強度が変化していない場合、一次−二次コイル間の相対距離は変化ないことが認識できる。検出信号Vdtが検出されない場合、受電器20が存在しないもしくは、二次コイル21が一次コイル19から十分離れた位置にあると認識できる。また、一次コイル19へ電圧を供給する間隔、すなわち時刻t0からt4までの間隔を延ばすことで、消費電力を低減することができる。
あらかじめ平滑コンデンサ25を充電してから励振コイル12にパルスを供給することで、検出コイル14においてピックアップされる検出信号Vdtの強度を高めている。そのため、このように連続的に一次−二次コイル間の相対距離を検出した場合、送電器10に対する受電器20の相対距離の微小な変化を認識することが可能となる。
【0026】
本実施例では、一次コイル19を駆動してから所定時間経過後にパルス信号Vplを供給し、検出信号Vdtをピックアップしている。そして、検出信号Vdtに基づいて一次−二次コイル間の相対距離を検出するという動作を繰り返しているが、本発明はこのような動作に限定されるものではない。一次コイル19を駆動して平滑コンデンサ25を充電するという動作を一回行った後、パルス信号Vplを供給したときに生じるエコー信号を検出コイル14で検出し一次コイル19と二次コイル21の相対距離を求めるという動作を複数回繰り返してもよい。平滑コンデンサ25の蓄えられた電荷の放電時間が、相対距離の検出動作に比べて十分長い場合には、このように動作させても構わない。
また、負荷29として二次電池が用いられ、あらかじめ二次電池にエネルギーが蓄えられている場合には、一次コイル19を駆動する代わりにスイッチ28を閉じ、二次電池によって平滑コンデンサ25を充電してもよい。その後、スイッチ28を開放してからパルス信号Vplを供給し、エコー信号として検出信号Vdtを検出コイル14でピックアップすればよい。一次コイル19を駆動する回数を低減することで、消費電力を低減することができる。
【実施例2】
【0027】
図6に本発明の第2の実施例におけるワイヤレス電力伝送装置のブロックを示す。なお、第1の実施例と同じ機能を有する部位には同じ符号を付し、説明は省略する。送電器30は、励振コイルおよびパルス生成回路を用いずに一次−二次コイル間の相対距離を検出するようにしたものである。制御回路15は、一次コイル19の駆動周波数を切り替えることができるように設定されている。
【0028】
図7は、本発明の第2の実施例における一次コイル19、検出コイル14、二次コイル21の位置関係を示す概略図である。一次コイル19、検出コイル14、二次コイル21はそれぞれ平面で薄型の構造となっている。一次コイル19と二次コイル21は、対向するように配置されている。一次コイル19、検出コイル14は、それぞれ略同一平面上に配置されており、また、各コイルの中心軸が略一致するように配置されている。
【0029】
次に、一次コイル19と二次コイル21の相対距離の検出動作について、具体的に説明する。
図8は、本発明の第2の実施例における位置検出動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、位置検出を行うときには、受電器20に設けられているスイッチ28を開放する。
時刻t0において、一次コイル19に電圧Vpの供給を開始する。すると、一次コイル19から二次コイル21へと電力が伝送され、整流回路24の出力端に接続された平滑コンデンサ25の充電が開始される。すると、徐々に出力電圧Vdが増加する。このとき、一次コイル19は二次共振周波数fsに比較的近い周波数で駆動される。
時刻t1になると、一次コイル19への電圧供給を停止する。すると、平滑コンデンサ25に蓄積された電荷が、インピーダンス素子26などにより緩やかに放電していく。よって、徐々に出力電圧Vdが減少していく。
時刻t2になると、再度一次コイル19への電圧供給を開始する。このとき、一次コイル19は検出用共振周波数fdに近い周波数で駆動される。すると、二次コイル21と二次コンデンサ22と検出用コンデンサ23からなる共振回路が励振される。そして、この共振回路に検出用共振周波数fdで振動する電流が流れ、二次コイル21の周りには交流磁界が発生する。この交流磁界は、電磁誘導により検出コイル14でピックアップされ、受電器20から戻ってきたエコー信号として検出コイル14に検出信号Vdtを発生させる。
時刻t3になると、一次コイル19への電圧供給を停止する。すると、検出信号Vdtは自由振動しながら徐々に減衰していく。検出回路13は、このときの検出信号Vdtの強度に比例して波形整形された出力信号を生成する。制御回路15は検出回路13の出力信号に基づいて、一次コイル19と二次コイル21の相対距離を求める。一次コイル19と二次コイル21間の距離が近いほど検出信号Vdtが大きく、一次コイル19と二次コイル21間の距離が遠いほど検出信号Vdtが小さくなる。
時刻t4になると、時刻t0のときと同様に、一次コイル19に電圧Vpの供給を開始する。そして、平滑コンデンサ25の充電が開始され、徐々に出力電圧Vdが増加する。このとき、一次コイル19は二次共振周波数fsに比較的近い周波数で駆動される。
時刻t5になると、時刻t1のときと同様に、一次コイル19への電圧供給を停止する。
時刻t6になると、時刻t2のときと同様に、一次コイル19への電圧供給を開始する。このとき、一次コイル19は検出用共振周波数fdに近い周波数で駆動される。すると、二次コイル21と二次コンデンサ22と検出用コンデンサ23からなる共振回路が励振される。そして、この共振回路に検出用共振周波数fdで振動する電流が流れ、二次コイル21の周りには交流磁界が発生する。この交流磁界は、電磁誘導により検出コイル14でピックアップされ、受電器20から戻ってきたエコー信号として検出コイル14に検出信号Vdtを発生させる。
時刻t7になると、時刻t3のときと同様に、一次コイル19への電圧供給を停止する。すると、検出信号Vdtは自由振動しながら徐々に減衰していく。時刻t3、t7の後に発生する検出信号Vdtの強度より、一次−二次コイル間の相対距離を求める。
【0030】
ここで、検出回路13の動作について説明する。検出回路13は、検出信号Vdtの強度に比例して波形整形された出力信号を制御回路15に供給する。一例として、検出回路13は、検出信号Vdtをオペアンプにより増幅し増幅信号を得る。そして、得られた増幅信号を平滑した後、コンパレータにより基準電圧と比較することで、検出信号Vdtの強度に応じたパルス幅を持つ出力信号を生成する。制御回路15は、出力信号のパルス幅から一次−二次コイル間の相対距離を求めることができる。また、検出回路13は単に検出信号Vdtを増幅し、制御回路15により増幅信号の波形の最大値から一次−二次コイル間の相対距離を求めてもよい。制御回路15において、検出信号Vdtの強度を評価できるのであれば、検出回路13はどのように検出信号Vdtを波形整形しても構わない。
【0031】
このように、エコー信号は一次コイル19を駆動することにより発生させるようにしてもよい。そのために、平滑コンデンサ25を予備充電するときは、一次コイル19を二次共振周波数fsに比較的近い周波数で駆動する。また、二次コイル21と二次コンデンサ22と検出用コンデンサ23からなる共振回路を励振するときは、一次コイル19を検出用共振周波数fdに近い周波数で駆動する。なお、エコー信号を発生させるときには、一次コイル19を連続して交流駆動させてもよいし、単発のパルスが発生するように駆動させてもよい。このように動作させることにより、励振コイルおよびパルス生成回路を省き、簡素な構成にすることができ、コストを低減することができる。
【実施例3】
【0032】
図9に本発明の第3の実施例におけるワイヤレス電力伝送装置のブロックを示す。なお、第1の実施例と同じ機能を有する部位には同じ符号を付し、説明は省略する。送電器40は、検出コイルを4つ設け、一次−二次コイル間の相対距離と位置ずれ方向のいずれか一方もしくは両方を検出するようにしたものである。検出コイル41、42、43、44に励起される検出信号Vdt1、Vdt2、Vdt3、Vdt4は、それぞれ検出回路45に供給される。検出回路45は、検出信号Vdt1、Vdt2、Vdt3、Vdt4の強度に比例して波形整形された出力信号を生成する。制御回路15は、検出回路45の出力結果を比較・演算して一次−二次コイル間の相対距離および位置ずれ方向を求める。求めた相対距離および位置ずれ方向の結果は、光や音および振動などでユーザーに受電器の位置を報知することで、受電器を適正位置へ誘導させることが出来る。
【0033】
図10は、本発明の第3の実施例における一次コイル19、励振コイル12、検出コイル41、42、43、44、二次コイル21の位置関係を示す概略図である。一次コイル19、励振コイル12、検出コイル41、42、43、44、二次コイル21はそれぞれ平面で薄型の構造となっている。一次コイル19と二次コイル21は、対向するように配置されている。一次コイル19、励振コイル12、検出コイル41、42、43、44はそれぞれ略同一平面上に配置されている。また、一次コイル19、励振コイル12の中心軸は略一致するように配置されている。各検出コイル41、42、43、44の中心軸と、一次コイル19および励振コイル12の中心軸間の距離は略同一である。また、隣り合う検出コイル、すなわち検出コイル41と検出コイル42および検出コイル44、検出コイル43と検出コイル42および検出コイルの44の中心軸間の距離も略同一である。言い換えると、対向する検出コイル41、43の中心軸間を結んだ線と、対向する検出コイル42、44の中心軸間を結んだ線とが直交するように各検出コイルが配置される。なお、各検出コイル41、42、43、44は、巻回面と垂直方向に互いに一部が重なるように配置しても構わない。
【0034】
次に、一次コイル19と二次コイル21の相対距離および位置ずれ方向の検出動作について、具体的に説明する。
図11は、本発明の第3の実施例における位置検出動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、位置検出を行うときには、受電器20に設けられているスイッチ28を開放する。
時刻t0において、一次コイル19に電圧Vpの供給を開始する。すると、一次コイル19から二次コイル21へと電力が伝送され、整流回路24の出力端に接続された平滑コンデンサ25の充電が開始される。すると、徐々に出力電圧Vdが増加する。
時刻t1になると、一次コイル19への電圧供給を停止する。すると、平滑コンデンサ25に蓄積された電荷が、インピーダンス素子26などにより緩やかに放電していく。よって、徐々に出力電圧Vdが減少していく。
時刻t2になると、励振コイル12に400ns幅の単発のパルス信号Vplを供給する。すると、二次コイル21と二次コンデンサ22と検出用コンデンサ23からなる共振回路が励振される。そして、この共振回路に検出用共振周波数fdで振動する電流が流れ、二次コイル21の周りには交流磁界が発生する。この交流磁界は、電磁誘導により各検出コイル41、42、43、44でピックアップされ、各検出コイル41、42、43、44に検出信号Vdt1、Vdt2、Vdt3、Vdt4がそれぞれ発生する。
時刻t3になると、パルス信号Vplが立ち下がる。すると、各検出信号Vdt1、Vdt2、Vdt3、Vdt4は自由振動しながら徐々に減衰していく。検出回路45は、このときの検出信号Vdtの強度に比例して波形整形された出力信号を生成する。制御回路15は検出回路13の出力信号を比較・演算することで、一次−二次コイル間の相対距離および位置ずれ方向を求める。
【0035】
例えば、各検出信号Vdtの強度が等しい場合、二次コイル21と各検出コイル41、42、43、44との距離が等しくなる。すなわち、一次コイル19と二次コイル21の中心軸が一致していると認識することができる。また、検出信号Vdt2の強度が他の検出信号より相対的に大きい場合、一次コイル19の中心軸から検出信号コイル42の方向に二次コイル21が位置していると認識することができる。他の例として
図11に図示したように、検出信号Vdt1、Vdt4の強度が等しく、検出信号Vdt2、Vdt3の強度が等しくなっており、検出信号Vdt1、Vdt4の強度が検出信号Vdt2、Vdt3の強度より大きいとする。このようなときには、一次コイル19の中心軸から検出信号コイル41と44の間の方向に二次コイル21が位置していると認識することができる。
【0036】
このように、一次−二次コイル間の位置ずれ方向を検出するには、複数の検出コイルを用いるとともに、各検出コイルに発生する検出信号強度を比較する必要がある。あらかじめ平滑コンデンサ25を充電してから励振コイル12にパルスを供給することで、各検出コイル41、42、43、44においてピックアップされる検出信号Vdt1、Vdt2、Vdt3、Vdt4の強度を高めている。このようなエコー信号の検出感度の向上手段と、複数の検出コイルに位置ずれ方向の検出手段とを組み合わせることにより、一次−二次コイル間の位置ずれ方向の検出精度を向上させることができる。もちろん、各検出信号Vdt1、Vdt2、Vdt3、Vdt4の強度より、一次−二次コイル間の相対距離を求めてもよい。一次−二次コイル間の相対距離および位置ずれ方向の両方を求めて、一次−二次コイル間の相対位置を求めることも可能である。
【0037】
なお、本実施例では4つの検出コイル41、42、43、44を用い、各検出コイルの中心軸が一次コイル19の中心軸から略等距離になるように配置するとともに、各検出コイルの中心軸が正方形の各頂点に位置するように配置した。しかし、これはあくまで一例である。3つの検出コイルを用い、各検出コイルの中心軸が一次コイル19の中心軸から略等距離になるように配置するとともに、各検出コイルの中心軸が正三角形の各頂点に位置するように配置してもよい。また、2つの検出コイルを用い、各検出コイルの中心軸が一次コイル19の中心軸から略等距離になるように配置するとともに、各検出コイルの中心軸と一次コイル19の中心軸が垂直方向に一直線に並ぶように配置してもよい。同様に、上述の2つの検出コイルの組合せを増やし、合計で6個、または8個の検出コイルを使用することで、検出精度を更に上げることもできる。本実施例では、一次−二次コイル間の相対距離および位置ずれ方向を検出することができる。相対距離および位置ずれ方向の検出結果をそれぞれ用いることで、一次−二次コイル間の相対位置も検出することが可能となる。
【0038】
上述した二次共振周波数fsや検出用共振周波数fd、平滑コンデンサ25の充電期間、パルス信号Vplのパルス幅などの値はあくまで一例である。本発明がこうした条件に限定されるものではないことは勿論である。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形したり、各実施例を組み合わせたりして実施することができる。