(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
<装置の構成>
図1は本発明の一実施形態の接合装置Aの平面図、
図2は接合装置Aの正面図、
図3は
図1の線I−Iに沿う接合装置Aの断面図である。なお、各図において矢印Zは上下方向(垂直方向)を示し、矢印X、Yは互いに直交する水平方向を示す。
【0013】
概説すると、接合装置Aは、X方向に配置された、接合部RJと準備部RPとに大別され、その各構成はフレームFに支持されている。接合部RJには、コンベアCV、CVによって接合対象である方形の基板が搬送される。準備部RPには、基板に接合するリード線が供給される。接合装置Aは、準備部RPに供給されたリード線を、接合部RJに移動して基板に接合する。
【0014】
<接合部RJ>
接合部RJには、X方向(コンベアCV、CVによって基板が搬送される搬送方向と直交する水平方向)に離間した一対のコンベア71、71が設けられている。一対のコンベア71、71はY方向(搬送方向)に延設され、基板をY方向に搬送する。本実施形態の場合、コンベア71は、ベルトコンベアであるが、ローラコンベア等、他の種類のコンベアでもよい。一対のコンベア71、71は、上流側及び下流側のコンベアCV、CVと連続的に配置されている。接合対象の基板は上流側のコンベアCV、CVから一対のコンベア71、71へ搬送されて接合装置Aに導入(移送)される。接合済みの基板は一対のコンベア71、71から下流側のコンベアCV、CVへ搬送されて接合装置Aから排出(移送)される。
【0015】
一対のコンベア71、71はフレーム72によって一体的に支持されている。フレーム72には昇降ユニット73が連結されている。昇降ユニット73はフレーム72を介して一対のコンベア71、71をZ方向に、搬送位置と待機位置との間を昇降する。昇降ユニット73は、例えば電動シリンダや流体シリンダである。
【0016】
接合部RJには、また、位置決め部41、41、42、42、44と、フレームFに支持された複数の基板吸着ユニット5と、が設けられている。
図4は位置決め部41、42、44及び基板吸着ユニット5の斜視図である。
【0017】
位置決め部41、41、42、42、44は、いずれも円柱形状の部材であり、その周面に基板の端縁が当接することで基板を予め定めた接合作業位置に位置決めする。位置決め部41、41は、フレームFに対して固定され、位置決め部42、42、44はフレームFに対して可動となっている。
【0018】
位置決め部41、41は、搬送方向で見て基板の前端縁に当接する。位置決め部42、42はアクチュエータ43によってX方向(搬送方向と直交する方向)に往復移動可能となっており、基板の側端縁に当接する。位置決め部44はアクチュエータ45によってY方向(搬送方向)に往復移動可能となっており、基板の後端縁に当接する。アクチュエータ43、45は例えば電動シリンダや流体シリンダである。
【0019】
基板の位置決めの際、まず、位置決め部42、42は互いに相対的に離間した待機位置に、位置決め部44は位置決め部41、41から相対的に離間した待機位置に、それぞれ位置している。そして、アクチュエータ43、43によって位置決め部42、42が互いに相対的に近接した位置決め位置に移動する。また、アクチュエータ45によって位置決め部44が位置決め部41、41に相対的に近接した位置決め位置に移動する。これにより、基板の四端縁の位置が規定され、基板が所定の接合作業位置に位置決めされる。
【0020】
基板吸着ユニット5は、その上面が基板を載置する載置面を構成している。基板吸着ユニット5の上面(載置面)には、複数の吸着部5aが設けられている。本実施形態の場合、吸着部5aは不図示のバキュームポンプに接続された孔である。位置決め部41、42、44で基板が位置決めされると、吸着部5aは、基板の両面のうち、リード線が接合される面と反対側の面(本実施形態では下面)を吸着して基板を接合作業位置に維持する。
【0021】
図1乃至
図3を参照して、接合部RJには、また、後述する保持ユニット1を支持する係合部61、61及び載置部62、62を有する。係合部61、61は位置決め部41、42、44に対して位置決めされており、保持ユニット1と係合してその位置決めも行う。これらの詳細は後述する。
【0022】
<準備部RP>
図1乃至
図3を参照して、準備部RPには、複数の載置ユニット8が設けられている。載置ユニット8はX方向に延設されており、その上面は接合対象のリード線が1本載置される載置面を構成している。本実施形態の場合、3つの載置ユニット8が設けられており、一度に3本のリード線を1枚の基板に接合することが可能となっている。
【0023】
載置ユニット8は、その上部8aが不図示の昇降機構によりZ方向に昇降可能となっている。上部8aの昇降機構としては、電動シリンダや流体シリンダが採用可能である。
【0024】
載置ユニット8の上面(載置面)には、複数の吸着部8bが設けられている。本実施形態の場合、吸着部8bは不図示のバキュームポンプに接続された孔である。載置ユニット8の上面に載置されたリード線は吸着部8bによって吸着されて上面に保持される。
【0025】
複数の載置ユニット8は、X方向に離間して配置され、Y方向に延設される一対のレール部材82、82に係合される。複数の載置ユニット8は、一対のレール部材82、82に案内されてY方向に往復移動可能になっている。載置ユニット8は駆動機構81により移動される。駆動機構81は、Y方向に延設されており、例えば、モータ等の駆動源とボールねじ機構とから構成される。一つの載置ユニット8に対して、一つの駆動機構81が割り当てられており、各載置ユニット8はそれぞれ独立して移動可能となっている。
【0026】
引出装置9は、リード線の巻体からリード線を引き出し、載置ユニット8上に載置する装置である。一例として、
図5に模式的に示す引出装置9が採用可能である。
図5に例示する引出装置9は、巻体支持部91、ローラ群92、保持部93、切断部94、可動保持部95及び押さえ部材96を備える。
【0027】
巻体支持部91には、帯状のリード線Wの巻体が回転自在に支持される。リード線Wは、例えば、半田メッキが施された銅線であり、その表面(ここでは上面)と反対側の裏面(ここでは下面)が接合対象の基板に当接して、少なくとも一つの接合箇所において接合される。
【0028】
ローラ群92は、大小の複数のローラからなり、巻体支持部91に支持されている巻体から引き出されるリード線Wを支持する。保持部93は、リード線の引出方向でローラ群92の下流側に配設されており、例えば、リード線Wを挟持する上下一対の把持部材と、これらを開閉する駆動機構と、を備える。
【0029】
切断部94は、リード線Wの引出方向で保持部93の下流側に配設されている。切断部94は、例えば、一対の切断刃と、これらを開閉する駆動機構と、を備え、巻体から引き出されたリード線Wを切断する。
【0030】
可動保持部95は、例えば、リード線Wを挟持する上下一対の把持部材と、これらを開閉する駆動機構と、を備える。可動保持部95は不図示の移動機構によりX方向に往復移動可能となっている。押さえ部材96は、不図示の昇降機構によりZ方向に昇降可能となっている。
【0031】
引出装置9の動作について説明する。
図5(A)は初期状態を示す。リード線Wを載置する対象となる1つの載置ユニット8が、対応する駆動機構81によって押さえ部材96に対向する位置(押さえ部材96の真下の位置)に配置される。
図5(B)に示すように、可動保持部95を移動して、巻体のリード線Wの先端を把持する。保持部93によるリード線Wの保持を解除した状態で、
図5(C)に示すように可動保持部95を一方のX方向に(載置ユニット8の長手方向に沿って)移動し、リード線Wを載置ユニット8と押さえ部材96との間に引き出す。
【0032】
図5(D)に示すように載置ユニット8の上部8aを上昇させ、押さえ部材96を降下させることで、これらの間に引き出されたリード線Wを挟みこむようにする。これによりリード線Wが直線状態にガイドされる。そして、保持部93によりリード線Wを保持した後、切断部94で切断する。切断後、載置ユニット8の吸着部8bによりリード線Wを吸着し、載置ユニット8の上面にリード線Wを保持する。また、可動保持部95によるリード線W先端の保持を解除する。
図5(E)に示すように、載置ユニット8の上部8aを降下し、押さえ部材96を上昇することで、一単位の載置作業が終了する。同様にして、他の載置ユニット8にもリード線Wを載置して保持することができる。
【0033】
<移動ユニット2及び加熱ユニット3>
図1乃至
図3を参照して、接合装置Aは、保持ユニット1及び加熱ユニット3を移動する移動ユニット2を備える。本実施形態の場合、3つの移動ユニット2が設けられている。
【0034】
各移動ユニット2は、移動体21と、移動体21の移動を案内する一対のレール部材22、22と、を備える。本実施形態の場合、3つの移動ユニット2が一対のレール部材22、22を共用しているが、移動ユニット2毎に一対のレール部材22、22を設けてもよい。一対のレール部材22、22はフレームFに支持されており、互いにY方向に離間して、平行にX方向に延在している。
【0035】
各移動ユニット2の移動体21は、互いに独立してX方向に往復移動可能に構成されている。移動体21は、Y方向に延設された可動レール部材211と、可動レール部材211の両端部に設けられた駆動ユニット212、212とを備える。駆動ユニット212、212を同期的に制御することで、可動レール部材211をX方向に平行移動することができる。なお、駆動ユニット212は可動レール部材211の一方端部にのみ設け、可動レール部材211の他方端部はレール部材22と係合させた構成でもよい。
【0036】
駆動ユニット212はレール部材22と係合し、レール部材22の長手方向に沿って往復移動する。駆動ユニット212の駆動機構としては、例えば、リニアモータやボールねじ機構を採用できる。ボールねじ機構を採用する場合、ボールねじ軸をレール部材22に沿って配置し、ボールナット及びボールナットを回転駆動するモータと、を駆動ユニット212に設ける構成が採用可能である。
【0037】
移動体21は、また、昇降ユニット213と、駆動ユニット214とを備える。駆動ユニット214の駆動により昇降ユニット213をY方向に往復移動することができる。駆動ユニット214の駆動機構としては、駆動ユニット212と同様に、例えば、リニアモータやボールねじ機構を採用できる。
【0038】
昇降ユニット213は支持板215をZ方向に昇降する。昇降ユニット213の駆動機構としては、例えば、リニアモータ、ボールねじ機構やラック−ピニオン機構を採用できる。
【0039】
3つの移動体21のうち、X方向の両端部側に位置する2つの移動体21には、それぞれ、係合機構216が設けられている。中央の移動体21には係合機構216を設けていないが、設けてもよい。
【0040】
係合機構216は、支持板215に支持されており、保持ユニット1と分離可能に係合する機構である。本実施形態の場合、係合機構216は、一対の把持部材からなる把持部216aと、把持部216aを開閉させる駆動機構(不図示)と、を備える。係合機構216は、保持ユニット1に設けた被係合部18を、各把持部216aを閉じて把持することで係合状態となり、各把持部216aを開くことで係合解除状態となる。保持ユニット1と移動体21とを係合解除可能とすることで、保持ユニット1の交換が簡易に行える。これは、例えば、接合対象の基板とリード線の仕様変更に柔軟に対応できるという利点がある。
【0041】
被係合部18は、保持ユニット1のX方向両側の端部近傍にそれぞれ2つずつ設けられている(
図6参照)。被係合部18は、保持ユニット1から上方へ突出したピン状をなし、その上端部がフランジ部となっている。係合機構216はこのフランジ部に各把持部216aを係合させて把持することで係合状態となる。
【0042】
X方向の両端部側に位置する2つの移動体21の各係合機構216のうち、一方の移動体21の係合機構216、216は、保持ユニット1の一方端部の被係合部18、18と係合し、他方の移動体の係合機構216、216は、保持ユニット1の他方端部の被係合部18、18と係合する。これにより、保持ユニット1は移動体21、21に吊り下げ状態で保持される。
【0043】
加熱ユニット3は、支持板215に支持されている。本実施形態の場合、保持ユニット1の支持部1A〜1Cに対応した位置にそれぞれ1つ、合計3つ設けられている。加熱ユニット3は、その下端部に発熱部3a(加熱鏝)を有しており、リード線Wの接合箇所に対応する部位を加熱する。本実施形態では、加熱ユニット3の発熱部3aをリード線Wに接触させ、リード線Wの半田メッキを溶融させてリード線Wを基板に接合する。なお、発熱部3aをリード線Wに接触させずに、近接させて半田メッキを溶融させる方式も採用可能である。また、加熱気体をリード線Wに供給することで半田メッキを溶融させ、リード線Wを基板に接合する方式も採用可能である。
【0044】
3つの移動体21のうち、X方向の両端部側に位置する2つの移動体21は、加熱ユニット3と係合機構216との双方を有している。これは、加熱ユニット3の移動と、保持ユニット1の移動とを共通の移動ユニット2で兼用できるという利点がある。
【0045】
<保持ユニット1>
図1乃至
図3を参照して、接合装置Aはリード線Wを保持する保持ユニット1を備える。保持ユニット1は移動ユニット2によって準備部RPと接合部RJとの間を移動可能とされ、準備部RPから接合部RJへのリード線Wの移動を行い、そのまま、基板とリード線Wの接合作業を行う。詳細には、保持ユニット1はリード線Wを基板上に移動すると、基板上にリード線Wを押さえ付けたまま、接合作業を行う。
図6(A)は保持ユニット1の平面図、
図6(B)は保持ユニット1の正面図、
図7は保持ユニット1の底面図である。
【0046】
保持ユニット1は支持部材11を備える。支持部材11は外形が方形のフレーム体をなしている。支持部材11は、X方向に延びる3本のメインフレーム体11aと、各メインフレーム体11aをY方向に所定のピッチで離間させる中間フレーム体11bと、Y方向に延びる2本のエンドフレーム体11cとで構成される。各メインフレーム体11aは中間フレーム体(
図6(A)中では4本を図示)11bによりY方向に所定のピッチで離間して配置され、離間して配置された各メインフレーム体11aの両端部がエンドフレーム体11cでそれぞれ固定される。支持部材11の底部の四隅(両エンドフレーム体11cの下面両端)には、それぞれ当接部材114が設けられている。4つの当接部材114は板状をなしているが、その一つには被係合部115が、別の一つには被係合部116が、それぞれ形成されている。
【0047】
この当接部材114には、保持ユニット1が接合部RJに移動した後、上述した係合部61、61及び載置部62、62が当接し、保持ユニット1が係合部61、61及び載置部62、62に支持されると共に位置決めされる。
図8は保持ユニット1の位置決め構造の説明図であり、当接部材114、係合部61及び載置部62の斜視図である。
【0048】
図8(A)は、被係合部が無い下面がフラットな当接部材114と、同じく被係合部が無い上面がフラットな載置部62の斜視図である。載置部62は円柱形状のピン部材であり、当接部材114は載置部62の上面が当接する下面を有している。載置部62は保持ユニット1のZ方向の位置を規定する。
【0049】
図8(B)は、被係合部(孔)115を有する当接部材114と、係合部61の斜視図である。係合部61は、載置部62と同じ円柱形状の載置部61aとその上端から突出した相対的に小径の先端部61bとを有するピン部材である。先端部61bの先端は先細りのテーパ形状(円錐形状)をなしている。被係合部115は先端部61bが挿入される孔である。先端部61bが被係合部115に挿入されることで、保持ユニット1のX−Y方向の並進方向の位置が規定される。そして、載置部61aの上面に当接部材114の下面が当接、着座することで、保持ユニット1のZ方向の位置が規定される。先端部61bが被係合部115に挿入される際、先端部61bの先端が先細りのテーパ形状をなしていることから、両者の少量の位置ずれが許容され、先端部61bと被係合部115との挿入にしたがって、互いに同心となるよう保持ユニット1が微小変位することになる。
【0050】
図8(C)は、被係合部(スリット)116を有する当接部材114と、係合部61の斜視図である。被係合部116は、X方向に延設され、先端部61bが挿入される溝である。先端部61bが被係合部116に挿入されることで、保持ユニット1のX−Y平面上でX−Y方向の並進方向の位置が規定された際に被係合部116として設けられた溝の中心線を中心とした回転方向の位置が規定される。そして、載置部61aの上面に当接部材114の下面が当接することで、保持ユニット1のZ方向の位置が規定される。
【0051】
このように本実施形態では、載置部61a、62の上面と当接部材114の下面との当接により保持ユニット1のZ方向の位置が規定され、被係合部115と係合部61との組により保持ユニット1のX−Y方向の並進方向の位置が規定され、被係合部116と係合部61との組により保持ユニット1のX−Y平面上での回転方向の位置が規定され、比較的簡易な構成で保持ユニット1を所定の位置に位置決めし、かつ、維持することができる。上記のとおり、係合部61、61は位置決め部41、42、44に対して位置決めされているため、保持ユニット1は、位置決め部41、42,44により位置決めされた基板に対して位置決めされることになる。
【0052】
なお、本実施形態では、係合部61、載置部62をピン部材としたが、これとは逆に、保持ユニット1側の構成をピン部材としてもよい。また、係合部61と、被係合部115、116との係合構造は、ピン部材と、孔又は溝とからなる構造以外の係合構造であってもよい。
【0053】
図6及び
図7に戻り、支持部材11は、3列の支持部1A〜1Cを有する。保持ユニット1は、支持部1A〜1C毎に1本のリード線を保持する。したがって、本実施形態の場合、保持ユニット1は同時に3本のリード線を保持する。各支持部1A〜1Cは、それぞれX方向に延設されて板状をなし、また、X方向に複数設けられた空隙部111を有している。この空隙部111は基板に対するリード線Wの接合箇所に対応する部位に形成された貫通孔であり、保持されるリード線Wの上面を上方に露出させる。
【0054】
図6及び
図7並びに
図9を参照して支持部1A〜1C周辺の構成を更に説明する。
図9(A)は
図6(A)の線II−IIに沿う断面図、
図9(B)は
図9(A)の線III−IIIに沿う断面図、
図9(C)は
図9(A)の線IV−IVに沿う断面図である。
【0055】
各支持部1A〜1Cには、複数の可動部材12及び複数の吸着ユニット15がZ方向に変位可能に支持されている。可動部材12は支持部1A〜1C毎に3つ設けられており、これらはX方向に配列されている。吸着ユニット15は一つの可動部材12に対して3つ割り当てられ、支持部1A〜1C毎に9つ設けられている。
【0056】
可動部材12は、その下部に当接部材14が一体的に形成された板状の部材であり、連結部材13を介して各支持部1A〜1Cに吊り下げ状態で支持されている。連結部材13はZ方向に延設された棒状の部材である。連結部材13は、その下端部132が可動部材12の上部に固定されており、支持部1A〜1Cに設けた貫通孔112を挿通している。連結部材13の上端部131は、支持部1A〜1C上に位置し、貫通孔112よりも大径のフランジ部となっている。このため、可動部材12は、支持部1A〜1Cに対してZ方向に変位可能となっている。
【0057】
可動部材12と支持部1A〜1Cとの間には、弾性部材16が設けられている。本実施形態の場合、弾性部材16は連結部材13が挿通されるコイルスプリングであり、支持部1A〜1Cに対して可動部材12を常時Z方向下側に付勢する。本実施形態では、弾性部材16をコイルスプリングとしたが、ゴムなど、他の種類の弾性部材でもよい。
【0058】
可動部材12は、X方向に複数設けられた空隙部121を有している。この空隙部121は、空隙部111と重なるように配設されている。つまり、空隙部121は、基板に対するリード線Wの接合箇所に対応する部位に形成された貫通孔であり、保持されるリード線Wの上面を上方に露出させる。
【0059】
当接部材14は可動部材12からZ方向に突出するように形成された板状の部材である。当接部材14は、リード線Wの表面(上面)に当接する、X−Y平面と平行な当接面141を形成する。当接面141は当接部材14の下面として形成されており、全ての当接部材14の当接面141は、同一平面上に位置している。接合作業の際、この当接面141によって、リード線Wを基板に押さえ付ける。
【0060】
当接部材14は、X方向に間欠的に設けられており、複数の当接部材14の当接面141が一本のリード線Wの表面に当接する。当接部材14は、空隙部121の周縁側から中央側へ延出した延出部142を有しており、この延出部142の下面も当接面141を形成している。延出部142を設けたことで、リード線Wに対する当接面積をできるだけ多くし、リード線W全体を基板に対してより確実に押さえ付けることで、確実な接合作業ができる。
【0061】
吸着ユニット15は、その下端部において開口した吸着部151を備える。吸着ユニット15は不図示のバキュームポンプに接続され当接面141に当接するリード線Wを吸着部151において吸着する。これにより、供給部RPから接合部RJへリード線Wを移動する際、リード線Wを保持してこれが落下することを防止できる。また、吸着部151の下端部は、当接面141と略同一面上に配置されており、リード線Wの移動の際に当接面141と協働してリード線Wを直線状に維持させつつ保持することを可能にしている。
【0062】
支持部1A〜1C及び可動部材12には貫通孔113、122がそれぞれ設けられており、吸着ユニット15は貫通孔113、122を挿通している。このため、吸着ユニット5は、支持部1A〜1C及び可動部材12の双方に対してZ方向に変位可能となっている。吸着ユニット15の上端部は、支持部1A〜1C上に位置し、貫通孔113よりも大径のフランジ部となっている。これにより吸着ユニット15が支持部材11から脱落しない。
【0063】
吸着ユニット15の下部の大径部と支持部1A〜1Cとの間には、弾性部材17が設けられている。本実施形態の場合、弾性部材17は吸着ユニット15が挿通されるコイルスプリングであり、支持部1A〜1Cに対して吸着ユニット15を常時Z方向下側に付勢する。本実施形態では、弾性部材17をコイルスプリングとしたが、ゴムなど、他の種類の弾性部材でもよい。
【0064】
図10は保持ユニット1の動作説明図であり、準備部RPにおいて載置ユニット8上に保持されたリード線Wを保持ユニット1が保持するときの挙動と、接合部RJにおいてリード線Wを基板P上に押さえ付けるときの挙動とを示している。
【0065】
まず、
図10(A)は載置ユニット8上に保持ユニット1が位置している状態を示している。載置ユニット8上にはリード線Wが保持されている。この状態で、移動ユニット2の昇降ユニット213の作動により保持ユニット1を降下させると、
図10(B)に示すように、当接面141、吸着部151がリード線Wの表面(上面)に当接する。
【0066】
可動部材12、吸着ユニット15がそれぞれ支持部材11に対してZ方向に変位可能となっており、かつ、弾性部材16が可動部材12(当接部材14)をリード線Wの表面(上面)に向かって付勢し、弾性部材17が吸着ユニット15(吸着部151)をリード線Wの表面(上面)に向かって付勢するため、当接面141がより確実にリード線Wに当接し、また、吸着部151がより確実にリード線Wに密着する。
【0067】
この状態で、吸着ユニット15によるリード線Wの吸着を開始し、載置ユニット8側の吸着を解除することで、保持ユニット1がリード線Wを直線状に保持した状態となる。移動ユニット2の作動により、保持ユニット1を準備部RPから接合部RJに移動する。リード線Wの保持・移動中、当接面141がリード線Wの表面(上面)に当接した状態となるので、リード線Wが直線状態に維持される。
【0068】
図10(C)は、基板P上に保持ユニット1が位置している状態を示している。保持ユニット1はリード線Wを保持している。この状態で、移動ユニット2の昇降ユニット213の作動により保持ユニット1を降下させると、
図10(D)に示すように、リード線Wの裏面(下面)が基板Pに当接する。本実施形態の場合、リード線Wの表面(上面)を吸着部151で吸着してリード線Wを移動させるため、リード線Wの裏面(下面)全体が剥き出しとなり、裏面全体を基板Pに当接することができる。保持ユニット1の降下後、吸着ユニット15によるリード線Wの吸着は終了してもよい。弾性部材16の付勢により、当接面141はリード線Wを基板Pに押さえ付ける。
【0069】
本実施形態では、このまま加熱ユニット3による接合作業に移ることができる。ここで、保持ユニット1を基板P上に降下させる過程で、保持ユニット1は上記のとおり、係合部61、61及び載置部62、62により位置決めされて支持される(
図8参照)。よって、係合機構216(
図1〜
図3)の係合を解除することにより、各加熱ユニット3の保持ユニット1に対する相対変位が可能となる。
【0070】
図11、
図12は接合作業の説明図である。
図11(A)に示すように加熱ユニット3の発熱部3aを、空隙部111、121上に位置する。空隙部111、121はリード線Wと基板Pとの接合箇所に対応する部位に形成されているので、リード線Wの上面における接合箇所は上方に露出している。移動ユニット2の昇降ユニット213の作動により加熱ユニット3を降下させると、
図11(B)に示すように、発熱部3aが空隙部111、121を通ってリード線Wと接触し、接触した部分の半田メッキが溶融する。これによりリード線Wと基板Pとを接合できる。
【0071】
1か所の接合箇所において接合作業が終了すると、
図12(A)及び(B)に示すように別の接合箇所に加熱ユニット3を移動し、同様にしてリード線Wと基板Pとを接合する。全ての接合箇所での接合が終了するまで、これらを繰り返すことになる。なお、ここでは一本のリード線Wについて接合箇所が複数ある場合を想定したが、一か所の場合もあり得、少なくとも1つの接合箇所において接合することになる。
【0072】
このように本実施形態では、保持ユニット1に空隙部111、121を設けたことで、リード線Wを準備部RPから接合部RJに位置する基板Pへ移動させ、リード線Wを直線状態に維持したまま、加熱ユニット3によりリード線Wと基板Pとを接合するまでの一連の作業を連続的に実行可能とし、作業時間の短縮化を図ることができる。接合作業中、リード線Wの表面(上面)に当接面141が当接し、リード線Wの裏面(下面)に基板Pが当接した状態が維持されるので、リード線Wの浮き上がりをより確実に防止できる。
【0073】
<接合装置Aの動作例>
次に、接合装置Aの動作例について
図13乃至
図19を参照して説明する。
図13乃至
図19は、リード線Wの準備、基板Pの準備、リード線Wと基板Pとの接合、の一連の動作例を示している。接合装置Aは不図示の制御装置により制御されて動作する。制御装置は、例えば、CPU等の処理部と、ROM、RAM、HDD等の記憶部と、外部デバイスと処理部との間のインタフェース部と、を備える。そして、処理部は記憶部に記憶されたプログラムにしたがって、接合装置Aに供えられた各種のセンサの検出結果に基づき、接合装置Aの駆動源(モータ等)を制御する。
【0074】
<リード線の準備及び保持>
図13は準備部RPにおけるリード線Wの準備手順の例を示す。状態ST1は、3つの載置ユニット8のうち、1つ目の載置ユニット8を引出装置9に移動し、載置ユニット8上にリード線Wを保持した状態を示す。引出装置9によるリード線Wの引き出し手順等については
図5を参照して上述した通りである。
【0075】
状態ST2は、リード線Wを保持した1つ目の載置ユニット8を供給位置に移動し、2つ目の載置ユニット8を引出装置9に移動した状態を示す。供給位置とは、保持ユニット1にリード線Wを保持させる位置であり、本実施形態の場合、支持部1A〜1Cの直下となる位置である。1つ目の載置ユニット8と同様に、2つ目の載置ユニット8にも引出装置9によりリード線Wが引き出され、2つ目の載置ユニット8はこれを保持する。
【0076】
以降、同様に、2つ目の載置ユニット8を供給位置に移動し、また、3つ目の載置ユニット8を引出装置9に移動してリード線Wを引き出し、保持させた後、供給位置に移動する。状態ST3は、3つの載置ユニット8を供給位置に移動した状態を示す。
【0077】
移動ユニット2は、保持ユニット1を、それぞれ供給位置にある3つの載置ユニット8上の位置に位置させ、保持ユニット1に3本のリード線Wを保持させる。
図14は保持ユニット1が3本のリード線Wを保持する手順を示している。状態ST4は保持ユニット1を供給位置にある3つの載置ユニット8上の位置に位置させた状態を示す。支持部1A〜1Cは、各載置ユニット8上、つまり、リード線W上に位置している。
【0078】
この状態から移動ユニット2の昇降ユニット213の作動により、保持ユニット1を降下すると状態ST5に示すように、リード線Wが供給される位置に保持ユニット1が位置することになる。状態ST5では、
図10(A)及び(B)を参照して説明した通り、当接面141、吸着部151がリード線Wの表面(上面)に当接し、吸着部151の吸着によりリード線Wが保持ユニット1に保持される。
【0079】
その後、状態ST6に示すように移動ユニット2の昇降ユニット213の作動により、リード線Wを吸着部151に吸着させたまま保持ユニット1を上昇する。その後、移動ユニット2により保持ユニット1は接合部RJに移動される。
【0080】
<基板の準備>
図15、
図16は接合部RJにおける基板Pの準備手順の例を示す。基板Pの準備は、
図13及び
図14を参照して説明したリード線Wの準備と並行して行うことができる。
【0081】
図15の状態ST11は、上流側のコンベアCV、CVから一対のコンベア71、71へ基板Pが搬送されてきた状態を示す。一対のコンベア71、71は、
図15の状態ST12及び
図16の状態ST21に示すように、基板Pを位置決め部41、41、42、42、44の内側の上方位置まで搬送する。このとき、両位置決め部42及び位置決め部44はいずれも待機位置に位置している。
【0082】
続いて
図16の状態ST22に示すように、昇降ユニット73の作動により一対のコンベア71、71を降下し、基板Pを基板吸着ユニット5に載置する。本実施形態の場合、一対のコンベア71、71を昇降するようにしたが、基板吸着ユニット5を昇降する構成も採用可能である。
【0083】
続いて
図15の状態ST13に示すように、両位置決め部42及び位置決め部44を位置決め位置に移動する。これにより基板Pが接合作業位置(接合作業姿勢)に位置決めされる。基板Pを接合作業位置に維持するため、基板吸着ユニット5の吸着部5aによる基板Pの吸着を開始する。その後、位置決め部42及び位置決め部44は退避位置に移動してもよい。
【0084】
<リード線の移動>
図17、
図18は移動ユニット2が、リード線Wを保持した保持ユニット1を移動する手順を示している。
図17の状態ST31は、
図14の状態ST6の状態である。この状態から各移動体21を基板P側へ向けて移動し、保持ユニット1を、
図17の状態ST32及び
図18の状態ST33に示すように、接合作業位置にある基板P上に移動する。
【0085】
続いて、3つの移動ユニット2のうち、X方向両端部側の2つの移動ユニット2のそれぞれの昇降ユニット213を作動し、
図18の状態ST34に示すように保持ユニット1を降下する。保持ユニット1を基板P上に降下させる過程で、保持ユニット1は上記のとおり、係合部61、61及び載置部62、62により位置決めされて支持される(
図8参照)。その後、係合機構216(
図1〜
図3)の係合を解除する。また、
図10(C)及び(D)を参照して説明したように、リード線Wの裏面(下面)が基板Pに当接し、支持部1A〜1Cに保持される3本のリード線Wが、それぞれ、基板P上の接合位置に位置してリード線Wの移動が完了する。当接部材14の当接面141がリード線Wを基板Pに押さえ付けた状態となる。
【0086】
その後、加熱ユニット3を所定の位置に移動すべく、
図18の状態ST35に示すように、移動ユニット2の係合機構216による保持ユニット1の保持を解除し、移動ユニット2の昇降ユニット213の作動により、支持板215を一旦上昇させ、加熱ユニット3及び係合機構216を上昇させる。続いて接合作業に移る。上記のとおり、本実施形態では、保持ユニット1に空隙部111、121を設けたことで、保持ユニット1の当接部材14がリード線Wを基板Pに押さえつけたままで接合作業を行うことができ、リード線Wの基板Pへの移動から接合までの一連の動作を連続的に実行して作業時間の短縮化を図ることができる。
【0087】
<接合>
図19は接合作業の手順を示している。本実施形態の場合、3つの移動体21にそれぞれ設けた加熱ユニット3により、異なる接合箇所を順次接合していく。状態ST36は、移動ユニット2により各加熱ユニット3を、最初の接合箇所の上方に移動した状態を示す。その後、移動ユニット2の昇降ユニット213の作動により、各加熱ユニット3を降下させる。
図11及び
図12を参照して説明した通り、加熱ユニット3の発熱部3aが空隙部111、121を通ってリード線Wと接触し、発熱部3aが接触した箇所の半田メッキが溶融する。これによりリード線Wと基板Pとを接合できる。本実施形態の場合、3つの加熱ユニット3を備えた移動ユニット2を3つ備え、合計9つの加熱ユニット3を備えるため、1度に9か所の接合箇所において接合作業を行うことができる。
【0088】
次に、状態ST38に示すように、加熱ユニット3の上昇、次の接合箇所上方への移動、加熱ユニット3の降下を行い、次の接合箇所において接合作業を行う。以降、これらを繰り返すことにより全ての接合箇所における接合作業が完了する。
【0089】
全ての接合作業が完了すると、3つの移動ユニット2のX方向両端部側の各移動体21を移動して係合機構216により再び保持ユニット1を係合する(退避準備工程)。更に、保持ユニット1を接合部RJから退避させ、再び準備部RPに移動して次のリード線Wの接合作業に備える(退避工程)。また、基板吸着ユニット5の吸着部5aによる基板Pの吸着を解除すると共に、位置決め部42及び位置決め部44を退避位置に移動させて位置決めも解除する。更に、昇降ユニット73により一対のコンベア71、71を上昇させてコンベア71、71上に基板Pを移載し、下流側のコンベアCV、CVに基板Pを搬送する。以上により一単位の接合作業が終了する。接合作業後の基板Pの排出や保持ユニット1の準備部RPへの移動を並行して行えるため、作業効率を向上できる。