(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770573
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】排斥装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/46 20060101AFI20150806BHJP
B07C 5/36 20060101ALI20150806BHJP
B65G 47/68 20060101ALI20150806BHJP
B65G 47/82 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
B65G47/46 B
B07C5/36
B65G47/68 C
B65G47/82 C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-193223(P2011-193223)
(22)【出願日】2011年9月5日
(65)【公開番号】特開2013-52978(P2013-52978A)
(43)【公開日】2013年3月21日
【審査請求日】2014年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】山内秀樹
【審査官】
中島 慎一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−239449(JP,A)
【文献】
実開平02−040721(JP,U)
【文献】
実開平04−096430(JP,U)
【文献】
特開2002−224989(JP,A)
【文献】
特開平02−145284(JP,A)
【文献】
特開平01−285523(JP,A)
【文献】
特開平04−003705(JP,A)
【文献】
特開2008−120488(JP,A)
【文献】
実開昭56−036632(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/34 − 47/88
B07C 1/00 − 7/04
B65G 1/00 − 1/133; 1/14 − 1/20
B65H 33/00 − 33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアによって搬送路を搬送されてくる物品を排斥する排斥装置であって、
ローラーと、
前記ローラーがその中心軸を回転中心として回転するように前記ローラーを駆動する第1駆動機構と、
前記ローラーおよび前記第1駆動機構を支持する支持部材と、
前記ローラーを前記搬送路に侵入させて物品と衝突させることにより当該物品を前記搬送路から排斥するように前記支持部材を駆動する第2駆動機構と、
物品を検査し排斥すべき物品を決定する検査装置からの信号に応じて前記第1駆動機構に前記ローラーの回転を開始させ、物品が排斥された後に前記第1駆動機構に前記ローラーの回転を停止させる制御部と、を備え、
前記第1駆動機構は、前記ローラーが物品に衝突する瞬間には前記ローラーが回転しているように前記ローラーを駆動するように前記制御部によって制御される、
ことを特徴とする排斥装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記コンベアによる物品の搬送速度に応じた回転速度で前記ローラーを回転させるように前記第1駆動機構を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の排斥装置。
【請求項3】
前記第1駆動機構は、ハウジングと、前記ハウジングの中に配置されていて前記ローラーを駆動するための回転力を発生するモーターとを含み、
前記排斥装置は、前記ハウジングの内部空間が外部空間に対して陽圧になるように前記内部空間にエアーを供給する供給部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の排斥装置。
【請求項4】
前記第2駆動機構は、エアーシリンダと、前記エアーシリンダにエアーを供給することによって前記エアーシリンダを制御するエアーシリンダ制御部とを含み、
前記供給部および前記エアーシリンダ制御部は、共通のエアー供給源からエアーが供給される、
ことを特徴とする請求項3に記載の排斥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を排斥する排斥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の製造工程において、検査装置によって不合格品であると判定された物品を正規の搬送路から排斥するためにプッシャーによって該物品を正規の搬送路から押し出す排斥装置が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2005−132579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プッシャーの先端面が搬送中の物品に押し付けられると、該先端面と物品との速度差によって該先端面と物品との接触部分を回転中心として物品が回転してその姿勢が不安定になりうる。姿勢が不安定になった物品は排斥されなかったり、転倒したりしうる。
【0005】
本発明は、排斥される物品の姿勢を安定させるために有利な排斥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、コンベアによって搬送路を搬送されてくる物品を排斥する排斥装置に係り、前記排斥装置は、ローラーと、前記ローラーがその中心軸を回転中心として回転するように前記ローラーを駆動する第1駆動機構と、前記ローラーおよび前記第1駆動機構を支持する支持部材と、前記ローラーを前記搬送路に侵入させて物品と衝突させることにより当該物品を前記搬送路から排斥するように前記支持部材を駆動する第2駆動機構と、物品を検査し排斥すべき物品を決定する検査装置からの信号に応じて前記第1駆動機構に前記ローラーの回転を開始させ、物品が排斥された後に前記第1駆動機構に前記ローラーの回転を停止させる制御部と、を備え、前記第1駆動機構は、前記ローラーが物品に衝突する瞬間には前記ローラーが回転しているように前記ローラーを駆動するように前記制御部によって制御される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、排斥される物品の姿勢を安定させるために有利な排斥装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の好適な実施形態の排斥装置を含む処理装置の概略構成を示す平面図。
【
図2】本発明の好適な実施形態の排斥装置を含む処理装置の概略構成を示す平面図。
【
図3】本発明の好適な実施形態の排斥装置を搬送方向における下流側から見た側面図。
【
図4】本発明の好適な実施形態の排斥装置を搬送方向における下流側から見た側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
図1および
図2は、本発明の好適な実施形態の排斥装置Rを含む処理装置1000の概略構成を示す平面図であり、
図1は物品1を排斥していない状態、
図2は物品1を排斥している状態を示している。
図3および
図4は、
図1および
図2に示す排斥装置Rを物品1の搬送方向における下流側から見た側面図であり、
図3は物品1を排斥していない状態、
図4は物品1を排斥している状態を示している。物品1は、種々の物品でありうるが、例えば、円筒部分を有する物品、より具体的な例を挙げれば、缶、ビン、ペットボトルなどの容器でありうる。
【0010】
処理装置1000は、物品1を検査し排斥すべき物品を決定する検査装置200と、コンベア10、12と、コンベア10、12によって搬送路16を搬送されてくる物品1のうち検査装置200から排斥を指示された物品1を排斥路18に排斥する排斥装置Rとを備えている。コンベア10、12は、例えば、テーブルトップチェーンコンベアでありうる。搬送路16および排斥路18は、ガイド部材14によって規定されている。検査装置200は、例えば、物品1の外観を検査する検査装置または物品1の内容量(入味)を検査する検査装置などでありうる。検査装置200は、検査により物品1が不合格品であると判定すると(即ち、当該物品が排斥すべき物品であると決定すると)、そのことを示す排斥信号を排斥装置Rの制御部100に送信する。制御部100は、検査装置200から受信した排斥信号に従って、不合格品であると判定された物品1を排斥する。ここで、排斥のタイミングは、例えば、コンベア10、12による物品1の搬送速度に基づいて決定されうる。
【0011】
排斥装置Rは、ローラー30と、ローラー30がその中心軸RAを回転中心として回転するようにローラー30を駆動する第1駆動機構40と、ローラー30および第1駆動機構40を支持する支持部材50と、ローラー30を搬送路16に侵入させて排斥すべき物品1と衝突させることにより当該物品1を搬送路16から排斥路18に排斥するように支持部材50を駆動する第2駆動機構60とを備えている。第2駆動機構60は、例えば、エアーシリンダ等のアクチュエータを含み、該アクチュエータによって支持部材50を駆動する。第2駆動機構60は、支持体90によって支持される。
【0012】
第1駆動機構40は、支持部材50によってベアリングを介して支持された回転軸46を回転させるように構成されている。回転軸46には、1又は複数のローラー30が取り付けられていて、1又は複数のローラー30は、回転軸46とともに回転する。第1駆動機構40は、少なくともローラー30が排斥すべき物品1に衝突する瞬間にはローラー30が回転しているようにローラー30を駆動する。ここで、制御部100は、処理装置1000の稼働中に常にローラー30を駆動するように第1駆動機構40を制御してもよいし、排斥すべき物品1が存在しない場合にはローラー30を停止させるように第1駆動機構40を制御してもよい。排斥すべき物品1が存在しない場合にはローラー30を停止させることは、第1駆動機構40や上記のベアリングなどの寿命を延ばしたり、消費電力を低下させたりすることに寄与する。一例において、制御部100は、検査装置200からの排斥信号に応じて第1駆動機構40にローラー30の駆動を開始させ、排斥対象の物品1が排斥された後に第1駆動機構40にローラー30の駆動を停止させる。
【0013】
制御部100は、コンベア10、12による物品1の搬送速度に応じた回転速度でローラー30を回転させるように第1駆動機構40を制御することが好ましい。これは、搬送速度によってローラー30の適切な回転速度が異なるからである。ローラー30の回転速度は、例えば、ローラー30が排斥対象の物品1に衝突したときに当該物品1が回転しないように決定されうるが、これに限られるものではなく、物品1の姿勢を安定させることができるように実験等を通して決定されうる。ローラー30の回転方向は、典型的には、ローラー30と物品1とが接触する部分におけるローラー30の表面の接線速度の方向とコンベア10、12による物品1の搬送方向とが一致する方向であり、これによりローラー30の表面と物品1との速度差を低減し、ローラー30によって押し出される物品1の姿勢を安定させることができる。
【0014】
図5に例示されるように、第1駆動機構40は、ハウジング44と、ハウジング44の中に配置されていてローラー30を駆動するための回転力を発生するモーター42とを含みうる。排斥装置Rは、ハウジング44の内部空間が外部空間に対して陽圧になるように該内部空間にエアーを供給する供給部70を更に備えうる。これにより、ハウジング44の内部空間から外部空間に向けてエアーが流れ出るので、外部空間から内部空間への雰囲気ガスの侵入を防止することができる。例えば、物品1として飲料製品を製造し、処理し又は取り扱う場合などにおいて、処理装置1000は頻繁に湯殺菌されうる。この際に発生する水蒸気がハウジング44の内部空間に侵入すると、モーター42や機械的可動部(例えば、減速機など)の寿命が縮まりうる。そこで、前述のようにハウジング44の内部空間を外部空間に対して陽圧にすることが好ましい。
【0015】
第2駆動機構60は、例えば、エアーシリンダ62と、エアーシリンダ62にエアーを供給することによってエアーシリンダ62を制御するエアーシリンダ制御部64とを含みうる。ハウジング44の内部空間にエアーを供給する供給部70およびエアーシリンダ制御部64には、共通のエアー供給源からエアーが供給されうる。供給部70は、例えば、ハウジング44の内部空間に供給するエアーの圧力を調整するレギュレータを含みうる。