(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
二次コイルに対して電磁誘導により電力を供給する一次コイルと、該二次コイルを励振する励振コイルと、励振された該二次コイルから発生する交流磁界を検出する複数の検出コイルと、
該複数の検出コイルすべてに関する出力信号、または、該複数の検出コイルいずれかに関する出力信号を、選択的に制御回路へと出力する検出回路とを備え、
該検出回路が該複数の検出コイルすべてに関する出力信号を該制御回路へと出力するときに該二次コイルを励振する周期を、該検出回路が該複数の検出コイルいずれかに関する出力信号を順次に該制御回路へと出力するときに該二次コイルを励振する周期より長く設定することを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。
二次コイルに対して電磁誘導により電力を供給する一次コイルと、該二次コイルを励振する該一次コイルと、励振された該二次コイルから発生する交流磁界を検出する複数の検出コイルと、
該複数の検出コイルすべてに関する出力信号、または、該複数の検出コイルいずれかに関する出力信号を、選択的に制御回路へと出力する検出回路とを備え、
該検出回路が該複数の検出コイルすべてに関する出力信号を該制御回路へと出力するときに該二次コイルを励振する周期を、該検出回路が該複数の検出コイルいずれかに関する出力信号を順次に該制御回路へと出力するときに該二次コイルを励振する周期より長く設定することを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。
前記複数の検出コイルは平面コイルで略同一平面上に配置されており、各検出コイルの中心軸と前記一次コイルの中心軸間の距離は略同一になるように配置されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のワイヤレス電力伝送装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて実施例を説明する。
【0015】
図2に本発明のワイヤレス電力伝送装置のブロック図を示す。送電器10は、直流電源11、平滑コンデンサ12、駆動回路13、一次共振コンデンサ14、一次コイル15、制御回路16、パルス生成回路17、励振コイル18、検出コイル21〜24、検出回路25を備える。また、受電器30は、二次コイル31、二次共振コンデンサ32、検出用コンデンサ33、整流回路34、平滑コンデンサ35、スイッチ36、負荷37を備える。
【0016】
まず、送電器10の構成について説明する。駆動回路13には、直流電源11から直流電圧Vinが供給される。駆動回路13の入力端には、平滑コンデンサ12が接続されており、駆動回路13の出力端には、一次コイル15と一次共振コンデンサ14が直列接続されている。駆動回路13は、一次コイル15と一次共振コンデンサ14に交流電力を供給する。一例として、駆動回路13はフルブリッジ回路やハーフブリッジ回路などにより構成される。励振コイル18には、パルス生成回路17よりパルス信号Vpが供給される。駆動回路13やパルス生成回路17の動作は、一例としてマイコンなどで構成される制御回路16により制御される。また、検出コイル21〜24に励起される検出信号Vs1〜Vs4は、検出回路25に供給される。検出回路25は、いずれかの検出信号Vs1〜Vs4の強度に応じたパルス幅を有する信号を、出力信号Posとして制御回路に出力する。もしくは、各検出信号Vs1〜Vs4の強度に応じたパルス幅を有する信号の論理和を出力信号Posとして制御回路に出力する。検出回路25の動作は、制御回路16から供給される制御信号S1〜S4により制御される。
【0017】
次に、受電器30の構成について説明する。二次コイル31は、電磁誘導作用により一次コイル15から電力を受電する。二次コイル31の両端には、二次共振コンデンサ32を介して検出用コンデンサ33が接続されている。検出用コンデンサ33に印加される電圧は、整流回路34により整流される。整流回路34の出力端には、平滑コンデンサ35が接続されている。平滑コンデンサ35は、整流回路34の出力電圧のリプルを除去するものである。また、整流回路34の出力端には、スイッチ36を介して二次電池などの負荷37が接続されている。スイッチ36の動作は、一例としてマイコンなどで構成される制御回路(図示せず)により制御される。負荷37は、スイッチ36により受電器30の回路から切り離すことができる。二次コイル31が得た電力を負荷37に供給する場合は、スイッチ36が閉じられ、負荷37に電圧が印加される。
【0018】
検出用コンデンサ33の容量は、二次共振コンデンサ32の容量よりはるかに小さくなるように設計する。これにより、スイッチ36による負荷接続時の低負荷インピーダンス状態において、二次共振コンデンサ32と二次コイル31との共振器が構成される。一方、スイッチ36による負荷遮断時の高負荷インピーダンス状態においては、二次コイル31と二次共振コンデンサ32と検出用コンデンサ33との共振器が構成される。つまり、受電器30はデュアル共振器になっている。以下、二次コイル31と二次共振コンデンサ32と検出用コンデンサ33で構成される共振回路の共振周波数を検出用共振周波数fdとする。
【0019】
図3は、本発明の一次コイル15、励振コイル18、検出コイル21〜24、二次コイル31の位置関係を示す概略図である。送電器10の上面は略平面状になっており、この面に受電器30が載置される。一次コイル15、励振コイル18、検出コイル21〜24は、送電器10の中に内蔵されている。一次コイル15、励振コイル18、検出コイル21〜24、二次コイル31はそれぞれ平面で薄型の構造となっている。送電器10の上面と一次コイル15の巻回面は略平行になりように配置されている。また、一次コイル15の巻回面と二次コイル31の巻回面は、それぞれ対向するように配置されている。一次コイル15、励振コイル18、検出コイル21〜24は、それぞれ略同一平面上に配置されており、また、一次コイル15、励振コイル18の中心軸は略一致するように配置されている。各検出コイル21〜24の中心軸と、一次コイル15および励振コイル18の中心軸間の距離は略同一である。また、隣り合う検出コイル、すなわち検出コイル21と検出コイル22および検出コイル24、検出コイル23と検出コイル22および検出コイルの24の中心軸間の距離も略同一である。言い換えると、対向する検出コイル21、23の中心軸間を結んだ線と、対向する検出コイル22、24の中心軸間を結んだ線とが直交するように各検出コイルが配置される。なお、各検出コイル21、22、23、24は、巻回面と垂直方向に互いに一部が重なるように配置しても構わない。
【0020】
電力伝送は、一次コイル15と二次コイル31間の電磁誘導により行われる。電力伝送の効率は、一次コイル15と二次コイル31の相対位置によって変動する。一般的に、一次コイル15の巻回面と二次コイル31の巻回面を対向するように配置する。そして、一次コイル15と二次コイル31の相対位置が近くなるほど効率が高く、相対位置が遠くなるほど効率が低くなることが知られている。したがって、電力伝送を行う前に、一次コイル15に対して、二次コイル31を適切な位置に配置する必要がある。
【0021】
一次コイル15と二次コイル31の相対位置の検知には、次のような方法を用いることが考えられる。所定のパルス幅を有するパルス信号Vpを励振コイル18に供給すると、それに応じて検出用共振周波数fdで振動する電流が二次コイル31に流れる。そして、この電流により交流磁界が発生する。送電器10に設けられた検出コイル21〜24は、この交流磁界として発生するエコー信号を検出信号Vs1〜Vs4としてピックアップする。複数の検出コイル21〜24を一次コイル15の周囲に配置することで、一次コイル15の周囲におけるエコー信号の強度の分布を得ることができる。検出回路25は、得られた各検出信号Vs1〜Vs4の強度に応じたパルス幅を有する信号を、順次に出力信号Posとして制御回路16に出力する。制御回路16は、各検出信号Vs1〜Vs4に応じて順次に得られた出力信号Posの相対強度を比較することにより、一次コイル15に対する二次コイル31の方位を演算して求めることができる。つまり、検出回路25と制御回路16により、得られた検出信号Vs1〜Vs4の相対強度を比較している。なお、パルス信号Vpを励振コイル18に供給し、二次コイル31に誘導される電流により発生する交流磁界を検出コイル21〜24でピックアップするときには、スイッチ36をオープンする。
【0022】
さらに、送電器10にLEDなどの発光素子を配置することで一次コイル15に対する二次コイル31の方位をユーザーに報知することが可能である。送電器10の周囲には、LED1〜LED8が均等間隔で配置されている。各LEDと一次コイル15の中心軸との距離は略同一になっており、各LED1〜LED8が正八角形を描くように配置されている。制御回路16は、二次コイル31に対して一次コイル15のある方向に位置するLEDを点灯させることで、ユーザーに二次コイル31を一次コイル15に向かって移動させるように方向誘導することが可能である。例えば、
図3のような状態においては、二次コイル31に対して一次コイル15が位置する方向にあるLED6とLED7のいずれか一方または両方を点灯させればよい。一次コイル15と二次コイル31の中心軸が略一致すると、検出信号Vs1〜Vs4の強度がそれぞれほぼ等しくなるので、一次コイル15に対して二次コイル31が適切な位置に配置されたのを認識することができる。その後に、一次コイル15から二次コイル31に電力伝送などが行われる。送電器10の周囲に配置する発光素子の数は、方向を誘導するのに十分な数であればいくつ配置しても構わない。例えば、4つや6つのLEDを均等間隔に配置するなど、任意に選択することができる。
【0023】
次に、
図4に本発明のワイヤレス電力伝送装置の検出回路を示す。検出回路25は、増幅回路AMP1〜AMP4、平滑回路SMO1〜SMO4、比較回路CMP1〜CMP4、切換回路SELを備える。
【0024】
増幅回路AMP1は、オペアンプOP1、抵抗R11、帰還抵抗R21を備える。
オペアンプOP1の非反転入力端子には検出信号Vs1が供給されている。他方、オペアンプOP1の反転入力端子には抵抗R11の一端が接続され、抵抗R11の他端は接地されている。また、オペアンプOP1の反転入力端子と出力端子間には帰還抵抗R21が接続されている。オペアンプOP1から出力される信号を増幅信号Va1とする。
なお、増幅回路AMP2〜AMP4についても、それぞれオペアンプOP2〜OP4、抵抗R12〜R14、帰還抵抗R22〜R24を備えており、増幅回路AMP1と同様の接続関係となっている。また、各オペアンプOP2〜OP4から出力される信号をそれぞれ増幅信号Va2〜Va4とする。
【0025】
平滑回路SMO1は、ダイオードD1、抵抗R31、コンデンサC1を備える。
ダイオードD1のアノードは、オペアンプOP1の出力端子に接続されている。ダイオードD1のカソードには抵抗R31およびコンデンサC1の一端が接続され、抵抗R31およびコンデンサC1の他端は接地されている。ダイオードD1のカソードの信号を平滑信号Vsm1とする。
なお、平滑回路SMO2〜SMO4についても、それぞれダイオードD2〜D4、抵抗R32〜R34、コンデンサC2〜C4を備えており、平滑回路SMO1と同様の接続関係となっている。また、各ダイオードD2〜D4のカソードの信号をそれぞれ平滑信号Vsm2〜Vsm4とする。
【0026】
比較回路CMP1は、コンパレータCO1を備える。
コンパレータCO1の非反転入力端子には、ダイオードD1のカソードが接続され、平滑信号Vsm1が供給されている。他方、コンパレータCO1の反転入力端子には、基準電圧Vrefが供給されている。コンパレータCO1から出力される信号を比較信号Po1とする。
なお、比較回路CMP2〜CMP4についても、それぞれコンパレータCO2〜CO4を備えており、比較回路CMP1と同様の接続関係となっている。また、各コンパレータCO2〜CO4から出力される信号をそれぞれ比較信号Po2〜Po4とする。
【0027】
切換回路SELは、AND回路AND1〜AND4、OR回路OR1を備える。AND回路AND1〜AND4は、それぞれ第1、第2の入力端子を備える。また、OR回路OR1は、第1、第2、第3、第4の入力端子を備える。
AND回路AND1の第1の入力端子には、比較信号Po1が供給されている。AND回路AND1の第2の入力端子には、制御信号S1が供給されている。AND回路AND1は、比較信号Po1および制御信号S1の論理積を算出して出力する。
なお、AND回路AND2〜AND4についても、それぞれAND回路AND1と同様の接続関係となっている。
また、各AND回路AND1〜AND4の出力端子は、OR回路OR1の第1〜第4の入力端子にそれぞれ接続されている。OR回路OR1は、第1〜第4の入力端子に供給される信号の論理和を算出して出力する。OR回路OR1から出力される信号を出力信号Posとする。この出力信号Posは、制御回路16に供給される。
【0028】
増幅回路AMP1〜AMP4は、それぞれオペアンプOP1〜OP4によって、検出信号Vs1〜Vs4を増幅し、増幅信号Va1〜Va4を出力する。
平滑回路SMO1〜SMO4は、それぞれ得られた増幅信号Va1〜Va4をダイオードD1〜D4、抵抗R31〜R34、コンデンサC1〜C4によって整流平滑し、単一ピークの信号である平滑信号Vsm1〜Vsm4を出力する。
比較回路CMP1〜CMP4は、それぞれ平滑信号Vsm1〜Vsm4と基準電圧Vrefとを比較する。平滑信号Vsm1〜Vsm4が基準電圧Vrefより大きくなる場合にはハイレベル、平滑信号Vsm1〜Vsm4が基準電圧Vrefより小さくなる場合にはローレベルの比較信号Po1〜Po4を出力する。
切換回路SELは、いずれかの比較信号Po1〜Po4を選択して出力する。もしくは各比較信号Po1〜Po4の論理和を算出して、出力信号Posとして出力する。いずれの動作を行うかは、制御回路16から供給される制御信号S1〜S4により制御される。
【0029】
ここで、本発明の検出信号強度の検出動作を示すタイミングチャートを
図5に示す。なお、パルス信号Vpを励振コイル18に供給し、検出信号Vs1〜Vs4をピックアップする際には、受電器30に設けられているスイッチ36をオープンにする。
【0030】
時刻t1において、励振コイル18に400ns幅程度の単発のパルス信号Vpを供給する。
時刻t1から所定時間経過した時刻t2になると、検出コイル21に検出用共振周波数fdで振動するエコー信号がピックアップされる。励振コイル18にパルス信号Vpを供給すると、二次コイル31と二次共振コンデンサ32と検出用コンデンサ33からなる共振回路が励振される。そして、この共振回路に検出用共振周波数fdで振動する電流が流れ、二次コイル31の周りには交流磁界が発生する。エコー信号とは、このときに二次コイル31から一次側へ送られる交流磁界のことである。このエコー信号は、電磁誘導により検出コイル21でピックアップされ、検出コイル21に検出信号Vs1が発生する。そして、検出信号Vs1はオペアンプOP1により増幅され、増幅信号Va1が発生し、平滑信号Vsm1が徐々に増加する。この検出信号Vs1は、徐々に自由振動しながら減衰していく。
時刻t3になると、平滑信号Vsm1が基準電圧Vrefより大きくなる。すると、コンパレータCO1から出力される比較信号Po1がローレベルからハイレベルに切り換わる。その後、平滑信号Vsm1が徐々に増加し、あるピーク値まで上昇した後、徐々に減少していく。
時刻t4になると、平滑信号Vsm1が基準電圧Vrefより小さくなる。すると、コンパレータCO1から出力される比較信号Po1がハイレベルからローレベルに切り換わる。また、検出信号Vs1は、減衰しながら時間とともに収束していく。それに伴い、平滑信号Vsm1も収束する。
【0031】
エコー信号の強度は、一次コイル15と二次コイル31との距離に依存する。一次コイル15と二次コイル31との距離が近いほどエコー信号の強度が強くなり、得られる比較信号Po1のパルス幅が長くなる。また、一次コイル15と二次コイル31との距離が遠いほどエコー信号の強度が弱くなり、得られる比較信号Po1のパルス幅が短くなる。
【0032】
このように、エコー信号すなわち検出信号Vs1が強いほど、平滑信号Vsm1が強くなり、比較信号Po1の幅が大きくなる。よって、得られた比較信号Po1のパルス幅から検出信号Vs1の信号強度を評価することができる。なお、一次コイル15の近傍に二次コイル31が配置されていない場合には、エコー信号が発生しないため、検出信号Vs1が検出されない。そのため、比較信号Po1はローレベルのままとなる。すなわち、エコー信号が発生しない場合、二次コイル31が一次コイル15から十分離れていることがわかる。よって、エコー信号の強度すなわち比較信号Po1から一次コイル15と二次コイル31との距離だけでなく、二次コイル31の有無についても検出することができる。
【0033】
図5では、増幅回路AMP1、平滑回路SMO1、比較回路CMP1の動作についてのみ説明したが、増幅回路AMP2〜AMP4、平滑回路SMO2〜SMO4、比較回路CMP2〜CMP4についても同様の信号処理が行われる。
【0034】
複数の検出コイル21〜24でピックアップされる検出信号Vs1〜Vs4の信号強度を比較、演算すれば、送電器10に対する受電器30の方位を求めることができる。制御回路16の一例として用いられるマイコンなどの演算器は、複数の信号を同時に処理することが難しいので、処理する信号を順次に取り出す必要がある。検出回路25内の切換回路SELを用いることで、信号チャネルを選択して取り出すことができる。
【0035】
ここで、本発明の位置検出モードにおけるタイミングチャートを
図6に示す。ユーザーは、送電器10の上面で受電器30を動かして、一次コイル15と二次コイル31の中心軸を略一致させるように位置合わせを行う。ここでは、位置合わせの動きに対してサンプリング時間が十分に短いと仮定する。そのため、短時間内において検出信号Vs1〜Vs4の強度が変わらない、すなわち比較信号Po1〜Po4のパルス幅が変わらないものとする。
【0036】
400ns幅程度の単発のパルス信号Vpが、所定の周期T1で励振コイル18に供給される。パルス信号Vpが供給されるごとに、一次コイル15と二次コイル31との距離、方位に応じたパルス幅を有する比較信号Po1〜Po4が得られる。この比較信号Po1〜Po4を順次に取り出すためには、励振コイル18にパルス信号Vpを印加するごとに、いずれかの制御信号S1〜S4のみが順番にハイレベルとなるようにすればよい。なお、制御信号S1〜S4のパルス幅は、比較信号Po1〜Po4のパルス幅の予想最大値より大きくなるように設定する。また、周期T1も制御信号S1〜S4のパルス幅より大きくなるように設定する。
【0037】
n+1番目のパルス信号Vpが供給されると、制御信号S1のみがハイレベルとなり、他の制御信号S2〜S4はローレベルのままである。この期間は、比較信号Po1と同じ信号が、そのまま出力信号Posとして出力される。次のパルス信号Vpが供給される前に、制御信号S1はローレベルに切り換わる。
【0038】
n+2番目のパルス信号Vpが供給されると、制御信号S2のみがハイレベルとなり、他の制御信号S1、S3、S4はローレベルのままである。この期間は、比較信号Po2と同じ信号が、そのまま出力信号Posとして出力される。次のパルス信号Vpが供給される前に、制御信号S2はローレベルに切り換わる。
【0039】
n+3番目のパルス信号Vpが供給されると、制御信号S3のみがハイレベルとなり、他の制御信号S1、S2、S4はローレベルのままである。この期間は、比較信号Po3と同じ信号が、そのまま出力信号Posとして出力される。次のパルス信号Vpが供給される前に、制御信号S3はローレベルに切り換わる。
【0040】
n+4番目のパルス信号Vpが供給されると、制御信号S4のみがハイレベルとなり、他の制御信号S1〜S3はローレベルのままである。この期間は、比較信号Po4と同じ信号が、そのまま出力信号Posとして出力される。次のパルス信号Vpが供給される前に、制御信号S4はローレベルに切り換わる。
【0041】
n+5番目のパルス信号Vpが供給されると、再度制御信号S1のみがハイレベルとなり、以下同様の動作が繰り返し行われる。
【0042】
このように、パルス信号Vpが立ち上るごとに、選択したい比較信号に対応する制御信号のみをハイレベルにし、他の制御信号をローレベルにする。これにより、選択した比較信号だけが対応するAND回路から出力される。このAND回路から出力される信号は、OR回路OR1からの出力信号Posとして得られる。制御回路16は、出力信号Posのパルス幅を計測して数量化する。
【0043】
比較信号Po1〜Po4に対応する4チャネルの出力信号Posを順次に取り出した後、制御回路16は各4チャネルの出力信号Posの相対強度を比較、演算して、一次コイル15に対する二次コイル31の方位を求める。制御回路16は求めた方位に対応するLEDを点灯させ、一次コイル15に対する二次コイル31の方位をユーザーに報知する。このように、4チャネルの出力信号Posを順次に取り出すため、一回の位置検出の周期は4×T1となる。この位置検出動作は、一次コイル15と二次コイル31の相対位置が所定の範囲内になるまで繰り返して続けられる。一次コイル15に対して二次コイル31が適切な位置に配置されると、一次コイル15から二次コイル31に電力伝送などが行われる。つまり、一次コイル15と二次コイル31の相対位置が所定の範囲内になるまで、位置検出モードが継続される。
【0044】
なお、切換回路SELにおいて4入力のOR回路OR1を用いたが、複数の2入力OR回路を組み合わせて構成してもよい。例えば、いずれか2つのAND回路の出力端子を第1の2入力OR回路の各入力端子に接続する。他の2つのAND回路の出力端子を第2の2入力OR回路の各入力端子に接続する。第1の2入力OR回路の出力端子および第2の2入力OR回路の出力端子を第3の2入力OR回路の各入力端子に接続する。そして、第3の2入力OR回路の出力から出力信号Posを得る。このように、複数の2入力OR素子を組み合せることで、等価的な4入力OR回路を構成できる。
【0045】
上述したように、一次コイル15に対する二次コイル31の位置を検出するための位置検出モードでは、検出信号Vs1〜Vs4を順次に取り出している。この場合、位置合わせの動きに対して、検出結果の応答速度を確保するために、適切なサンプリング頻度を確保しなければならない。当然ながら、位置検出モードの信号処理方法は受電器の有無をチェックするだけの待機モードにも適用できるが、待機電力を減らすために、サンプリング頻度の低い待機モードを別途設けることが望ましい。
【0046】
位置検出モードでは、各比較信号Po1〜Po4のパルス幅を正確に測定する必要であった。これに対し、待機モードでは、一次コイル15の近傍に二次コイル31があるかないかを検出すればよい。すなわち、検出信号Vs1〜Vs4の有無を検出できればよい。
【0047】
次に、本発明の待機モードにおけるタイミングチャートを
図7に示す。
【0048】
400ns幅程度の単発のパルス信号Vpが、所定の周期T2で励振コイル18に供給される。待機モードにおけるパルス信号Vpの周期T2は、位置検出モードにおけるパルス信号Vpの周期T1より長くなるように設定する。いずれかの検出信号Vs1〜Vs4の有無を検出するため、励振コイル18にパルス信号Vpを印加するごとに、各制御信号S1〜S4が同時にハイレベルとなるようにすればよい。
【0049】
m+1番目のパルス信号Vpが供給されると、各制御信号S1〜S4が同時にハイレベルとなる。いずれの比較信号Po1〜Po4も検出されない場合、出力信号Posもローレベルのままである。よって、一次コイル15の近傍に二次コイル31が存在しないことがわかる。次のパルス信号Vpが供給される前に、各制御信号S1〜S4はローレベルに切り換わる。
【0050】
m+2番目のパルス信号Vpが供給されたときにも、各制御信号S1〜S4が同時にハイレベルとなる。図のように、あるパルス幅を有する比較信号Po2とPo3が検出されたとする。各比較信号Po1〜Po4の論理和を算出した信号が出力信号Posとして得られ、一次コイル15の近傍に二次コイル31が存在することがわかる。次のパルス信号Vpが供給される前に、各制御信号S1〜S4はローレベルに切り換わる。
【0051】
このように、パルス信号Vpが立ち上るごとに、各制御信号S1〜S4を同時にハイレベルにする。これにより、検出信号Vs1〜Vs4のうちいずれかの信号のみが検出された場合でも、出力信号Posとして検出できので、受電器30の有無を迅速に判断できる。また、検出信号Vs1〜Vs4に対応する比較信号Po1〜Po4を順次に取り出す必要がないため、タイミング制御方法を簡素化することができる。
【0052】
複数の比較信号Po1〜Po4が同時に検出された場合、比較信号Po1〜Po4の中で、パルス幅の一番大きな信号が出力信号Posとして出力される。従って、エコー信号を検出可能な範囲において、受電器30からのエコー信号の有無を同時に一括で検出することができる。よって、待機モードにおける駆動パルスVpのサンプリング頻度が位置検出モードの4分の1にすることができ、また、駆動パルスVpの周期T2を大きく設定することで、待機電力を大幅に低減することができる。
【0053】
パルス信号Vpは、出力信号Posが検出されるまで、所定の周期T2で繰り返し供給される。つまり、出力信号Posが検出されるまで、待機モードが継続される。出力信号Posが検出されると、待機モードから位置検出モードに動作が切り換えられる。なお、位置検出モードにおいて、所定時間いずれの出力信号Posが検出されない場合には、待機モードに動作を切り換えることで消費電力を低減できる。
【0054】
次に、
図8に本発明のワイヤレス電力伝送装置の切換回路の他の例を示す。上述の切換回路SELと同じ機能を有する部位には同じ符号を付し、説明は省略する。
【0055】
切換回路SEL’は、AND回路AND1〜AND4、OR回路OR1、OR2を備える。OR回路OR2は、第1、第2、第3、第4の入力端子を備える。比較信号Po1〜Po4は、OR回路OR2の第1〜第4の入力端子にそれぞれ供給されている。OR回路OR2は、第1〜第4の入力端子に供給される各比較信号Po1〜Po4の論理和を算出して出力する。OR回路OR2から出力される信号を出力信号Pos’とする。この出力信号Pos’は、制御回路16に供給される。
【0056】
いずれかの比較信号Po1〜Po4が検出された場合、それがOR回路OR2の出力信号Pos’として現れる。待機モードにおいて、AND回路AND1〜AND4を経由せずに、OR回路OR2の出力信号Pos’を検出する。制御回路16は、出力信号Pos’に基づいて、一次コイル15の近傍に二次コイル31があるかないかを検出することができる。この場合、待機モードにおいて、制御信号S1〜S4を検出回路25に供給する必要がなくなり、待機モードにおいて切換回路SEL’の制御動作を省略できる。
【0057】
このような切換回路SEL、SEL’の構成はあくまで一例である。待機モードにおいては検出信号Vs1〜Vs4を一括に検出し、位置検出モードにおいては検出信号Vs1〜Vs4を選択的に検出できるのであれば、どのような回路構成にしても構わない。ロジック素子を利用したデジタル回路を用いることで、検出信号Vs1〜Vs4の一括検出動作および順次に検出する動作の切り換えを、簡素な構成で実現することができる。
【0058】
次に、
図9に本発明の第2の実施例における送電器のブロック図を示す。なお、上述した実施例と同じ機能を有する部位には同じ符号を付し、説明は省略する。送電器40は、直流電源11、平滑コンデンサ12、駆動回路13、一次共振コンデンサ14、一次コイル15、制御回路16、パルス生成回路17、励振コイル18、検出コイル21〜24、検出回路25、加算回路41、比較回路42を備える。
【0059】
検出コイル21〜24に励起される検出信号Vs1〜Vs4は、検出回路25とともに加算回路41にも供給される。加算回路41は、各検出信号Vs1〜Vs4を足し合わせた信号を比較回路42に出力する。比較回路42は、加算回路41の出力と基準値とを比較し、結果を制御回路16に出力する。
【0060】
いずれかの検出信号Vs1〜Vs4が検出された場合、それが加算回路41の出力信号として現れる。比較回路42は加算回路41の出力と基準値とを比較し、加算回路41の出力が基準値より大きくなると、一次コイル15の近傍に二次コイル31が存在すると認識することができる。この場合、待機モードにおいて、制御信号S1〜S4を検出回路25に供給する必要がなくなり、検出回路25の制御動作を省略できる。
【0061】
上述した実施例においては4つの検出コイルを用いて位置検出を行ったが、これはあくまで一例である。2つの検出コイルを用いて、各検出コイルの中心軸が一次コイル19の中心軸から略等距離になるように配置するとともに、各検出コイルの中心軸が一次コイル15の中心軸に対して対称になるように配置してもよい。また、3つの検出コイルを用い、各検出コイルの中心軸が一次コイル15の中心軸から略等距離になるように配置するとともに、各検出コイルの中心軸が正三角形の各頂点に位置するように配置してもよい。以下同様に、5つ以上の検出コイルを用いても構わない。いずれの場合でも、待機モードにおいては各検出コイルでピックアップする検出信号を一括に検出し、位置検出モードにおいては検出信号を選択的に検出すればよい。
【0062】
また、検出信号Vs1〜Vo4を増幅、平滑、比較して得られた比較信号Po1〜Po4のパルス幅から、受電器30の有無や一次コイル15と二次コイル31との相対位置を求めているが、位置検出の方法はこのような例に限られるものではない。例えば、検出信号Vs1〜Vo4を単に増幅して得られた増幅信号Va1〜Va4の波形の最大値から、受電器の有無や一次コイル15と二次コイル31との相対位置を求めてもよい。検出信号Vs1〜Vo4の強度に基づいて受電器30の有無や一次コイル15と二次コイル31との相対位置を求めることができるのであれば、どのような形態でも構わない。
【0063】
また、パルス生成回路17や励振コイル18を用いずに、二次コイル31を励振してエコー信号を発生させてもよい。例えば、励振コイル18にパルス信号Vpを供給する代わりに、一次コイル15を検出用共振周波数fdに近い周波数で短時間駆動させる、もしくは単発のパルスが発生するように駆動させる。これに応じて、検出用共振周波数fdで振動する電流が二次コイル31に流れ、エコー信号が発生する。このように動作させることにより、励振コイル18およびパルス生成回路17を省き、簡素な構成にすることができ、コストを低減することができる。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。