(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蒸発部が、前記反応部から前記ヒータコアへ流れる冷却液と熱交換可能に設けられ、該冷却液との熱交換によって前記水蒸気の生成に伴って生じる蒸発潜熱分のエネルギーを供給する、
請求項1に記載の車両用化学蓄熱システム。
【発明を実施するための形態】
【0028】
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。
【0029】
図1には、第1実施形態に係る車両用化学蓄熱システム60が適用された車両用空調システム10のシステム構成が模式的に示されている。車両用空調システム10は、ラジエータ12と、当該ラジエータ12と車両の内燃機関としてのエンジン14との間で冷却液としてのエンジン冷却水を循環させるラジエータ用循環路16とを備えている。このラジエータ用循環路16にはウォータポンプ18が設けられており、このウォータポンプ18を作動することにより、エンジン冷却水がラジエータ用循環路16を循環するようになっている。
【0030】
ラジエータ12は車両前部に設けられ、車両の走行風等を受けて冷却されるようになっている。このラジエータ12とエンジン冷却水とが熱交換することにより、エンジン冷却水が冷却されるようになっている。また、冷却されたエンジン冷却水がエンジン14へ供給されることにより、エンジン14が冷却されるようになっている。
【0031】
ラジエータ用循環路16におけるラジエータ12の下流側には、サーモスタット20が設けられている。サーモスタット20は、エンジン冷却水の温度に応じてラジエータ用循環路16を開閉するように構成されている。即ち、エンジン冷却水の温度が所定値以上になると、ラジエータ用循環路16を開放する一方で、エンジン冷却水の温度が所定値未満になると、ラジエータ用循環路16を閉止するように構成されている。
【0032】
また、ラジエータ用循環路16には、ラジエータ12及びサーモスタット20をバイパスするラジエータバイパスライン16Aが設けられている。このラジエータバイパスライン16Aによって、サーモスタット20がラジエータ用循環路16を閉止した状態においてもエンジン冷却水がラジエータ用循環路16を循環可能になっている。
【0033】
車両用空調システム10は、ヒータコア22と、ヒータコア22とエンジン14との間で冷媒を循環させるヒータコア用循環路24とを備えている。このヒータコア用循環路24は、ラジエータ12をバイパスするようにラジエータ用循環路16に接続されており、ウォータポンプ18を作動することにより、エンジン冷却水が循環されるようになっている。また、ラジエータ用循環路16及びヒータコア用循環路24には、各々の流路を開閉するバルブ26,28,30がそれぞれ設けられている。なお、ヒータコア用循環路24には、後述する熱放出ライン72が設けられている。
【0034】
ヒータコア22は、エンジン冷却水を熱源とする暖房用熱交換器であり、車両用空調装置30を構成する空調ケース32内に設けられている。空調ケース32の一端側には、外気又は内気が流入される空気流入口34が形成されている。空調ケース32内における空気流入口34の下流には、外気又は内気を空調ケース32内に吸引すると共に、吸引した外気又は内気を空調用空気として下流側へ送出する空調用ブロア36が設けられている。空調用ブロア36の下流側には、空調用ブロア36から送出された空調用空気を冷却するためのエバポレータ38が設けられている。エバポレータ38は、図示しない冷凍サイクルを構成しており、この冷凍サイクルの作動時に、空調用空気との熱交換によって生じる冷媒の蒸発潜熱によって空調用空気を冷却するように構成されている。
【0035】
空調ケース32内におけるエバポレータ38の下流側には、空調用空気を加熱するためのヒータコア22が設けられている。ヒータコア22には、ヒータコア用循環路24を介してエンジン14で加熱されたエンジン冷却水が供給されるようになっており、このヒータコア22と空調用空気とが熱交換することにより、空調用空気が加熱されるようになっている。
【0036】
空調ケース32内におけるヒータコア22の上方には、ヒータコア22をバイパスするヒータコアバイパス流路40が形成されている。このヒータコアバイパス流路40には、当該ヒータコアバイパス流路40を開閉するためのエアミックスダンパ42が設けられている。エアミックスダンパ42は空調ケース32に回転可能に支持されており、このエアミックスダンパ42を図示しないモータで回転させ、ヒータコアバイパス流路40の開度を調整することにより、ヒータコア22を通過して加熱された空調用空気とヒータコアバイパス流路40を通過した低温の空調用空気との流量割合が調整されるようになっている。
【0037】
空調ケース32内におけるヒータコア22及びエアミックスダンパ42の下流側には、デフロスタ吹出し口44、フェイス吹出し口46、フット吹出し口48がそれぞれ形成されている。これらのデフロスタ吹出し口44、フェイス吹出し口46、及びフット吹出し口48は、空調ケース32に回転可能に支持された2つの吹出し口切替ダンパ50A,50Bによって開閉可能になっている。これらの吹出し口切替ダンパ50A,50Bによってデフロスタ吹出し口44、フェイス吹出し口46、及びフット吹出し口48を適宜開閉することにより、温度調整された空調用空気が所望のデフロスタ吹出し口44、フェイス吹出し口46、及びフット吹出し口48から車室内へ吹き出すようになっている。
【0038】
次に、本実施形態に係る車両用化学蓄熱システムについて説明する。
【0039】
車両用化学蓄熱システム60は、反応部としての反応器62と、凝縮部としての凝縮器80と、蒸発部としての蒸発器90、貯留部としての水タンク100とを備えており、本実施形態では、車両用空調システム10におけるヒータコア22の熱源(暖房の熱源)として利用されている。
【0040】
反応器62を構成する容器64の内部には、化学蓄熱材66が充填された反応流路64Aが設けられている。化学蓄熱材66は、脱水に伴って蓄熱(吸熱)し、水和(水酸化カルシウムへの復原)に伴って放熱(発熱)する構成とされている。
【0041】
本実施形態では、一例として、化学蓄熱材66がアルカリ土類金属の水酸化物の1つである水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)を有して構成されている。従って、反応器62の反応流路64A内では、以下に示す反応で蓄熱、放熱を可逆的に繰り返し得る構成とされている。
Ca(OH)
2 ⇔ CaO + H
2O
【0042】
この式に蓄熱量、発熱量Qを併せて示すと、
Ca(OH)
2 + Q → CaO + H
2O
CaO + H
2O → Ca(OH)
2 + Q
となる。この化学蓄熱材(Ca(OH)
2)の1kg当たりの蓄熱容量は、略1.86[MJ/kg−Ca(OH)
2]とされている。なお、化学蓄熱材66には、水酸化カルシウムに限らず、これと同様の蓄熱、放熱を可逆的に繰り返す材料を用いることができる。
【0043】
また、反応器62の容器64内には、化学蓄熱材66に熱を供給するための熱媒流路64Bと、化学蓄熱材66が放熱した熱を外部へ放出させるための冷媒流路64Cとが設けられている。これらの熱媒流路64B及び冷媒流路64Cは、各々の内部を流れる熱媒、冷媒(エンジン冷却水)と反応流路64A内の化学蓄熱材66とが熱交換可能に、当該反応流路64Aに隣接(図示は省略)されている。
【0044】
熱媒流路64Bには、エンジン14に接続された排気ライン68が接続されており、この排気ライン68から供給された高温の排気ガスによって、化学蓄熱材66が加熱されるようになっている。即ち、化学蓄熱材66は、本実施形態に係る車両用空調システム10が適用された車両からの熱供給を受けて加熱されるようになっている。また、排気ライン68には、その流路を開閉するバルブ70が設けられている。なお、排気ガスに替えて、車両に搭載されたバッテリから電力の供給を受けて作動する電気ヒータ等によって加熱された空気等を用いても良い。
【0045】
一方、冷媒流路64Cには、化学蓄熱材66が発熱した熱をヒータコア22へ移送するための熱放出ライン72が接続されている。熱放出ライン72は、反応器62の冷媒流路64Cとヒータコア22との間でエンジン冷却水を循環させるためのバイパスラインであり、ヒータコア用循環路24に接続されている。この熱放出ライン72には、その流路を開閉するバルブ74と、エンジン冷却液をヒータコア22へ圧送するウォータポンプ76が設けられている。この熱放出ライン72を介して反応器62の冷媒流路64Cに供給されたエンジン冷却水と反応流路64A内の化学蓄熱材66とが熱交換することにより、化学蓄熱材66の水和反応に伴って生じた熱がエンジン冷却水に放出され、エンジン冷却水が加熱されるようになっている。
【0046】
また、反応器62の反応流路64Aには、水蒸気放出ライン86を介して凝縮器80が接続されている。この凝縮器80を構成する容器82には、反応器62の反応流路64Aから水蒸気放出ライン86を介して放出された水蒸気を凝縮するための凝縮室82Aが設けられている。また、凝縮器80には、凝縮室82Aを冷却するためのブロア84が設けられている。このブロア84により、凝縮室82Aに流入された水蒸気を冷却することにより、水蒸気が凝縮されるようになっている。
【0047】
更に、反応器62の反応流路64Aには、水蒸気供給ライン88を介して蒸発器90が接続されている。この蒸発器90を構成する容器92には、反応器62の反応流路64Aへ供給する水蒸気を生成するための蒸発室92Aが設けられている。この蒸発室92Aには、後述する水タンク100から水供給ライン104を介して水が供給されるようになっており、反応器62の反応流路64Aとの蒸気圧差により水蒸気を生成するように構成されている。なお、蒸発器90の容器92に蒸発室92A内の水と熱交換可能な熱媒流路を設け、当該熱媒流路に熱媒を供給することにより水蒸気を生成することも可能である。
【0048】
水蒸気放出ライン86及び水蒸気供給ライン88は、三方弁94において互いに接続されており、この三方弁94に接続された水蒸気放出供給ライン96を介して反応器62の反応流路64Aと接続されている。つまり、水蒸気放出ライン86及び水蒸気放出ライン86は、水蒸気放出供給ライン96を共有している。この三方弁94の動作により、水蒸気放出供給ライン96と水蒸気放出ライン86とが接続された状態と、水蒸気放出供給ライン96と水蒸気供給ライン88とが接続された状態とに切り替えられるようになっている。
【0049】
また、この三方弁94は、水蒸気放出ライン86、水蒸気供給ライン88、及び水蒸気放出供給ライン96の各々を独立して開閉可能に構成されており、水蒸気放出ライン86を閉止すると共に水蒸気放出供給ライン96を開放した状態で、水蒸気放出ライン86の開度を調整することにより、水蒸気供給ライン88から反応器62の反応流路64Aへ供給される水蒸気の流量が増減可能になっている。これにより、化学蓄熱材66の水和反応に伴う放熱量を調整可能になっている。
【0050】
なお、反応器62の反応流路64A、凝縮器80の凝縮室82A、蒸発器90の蒸発室92A、水蒸気放出ライン86、水蒸気供給ライン88、水蒸気放出供給ライン96、三方弁94は互いの接続部において気密に接続されており、これらの内部空間が真空脱気されている。これにより、蒸発器90の蒸発室92A内の水が蒸発し易くなっている。
【0051】
凝縮器80の容器82の底部には、凝縮水回収ライン98を介して水タンク100が接続されている。水タンク100を構成する容器102には、凝縮器80で凝縮された水を貯留する貯留室102Aが設けられている。この貯留室102Aには、水供給ライン104を介して蒸発器90の蒸発室92Aが接続されている。水供給ライン104には、その流路を開閉するバルブ108、及び水タンク100の貯留室102Aに貯留された凝縮水を蒸発器90の蒸発室92Aへ圧送するためのウォータポンプ106が設けられている。
【0052】
なお、凝縮水回収ライン98と水タンク100との接続部、水供給ライン104と水タンク100との接続部は、水タンク100における設計上の最低液位よりも重力方向の下側に設定されている。また、水タンク100は、凝縮器80の容器82、蒸発器90の容器92の何れかと一体化しても良い。
【0053】
水タンク100の容器102には、貯留室102Aに熱を供給するための熱媒流路102Bが設けられている。熱媒流路102Bは、その内部を流れる熱媒(エンジン冷却液)と貯留室102Aに貯留された水とが熱交換可能に貯留室102Aに隣接されている。この熱媒流路102Bには、熱供給ライン110が接続されている。熱供給ライン110は、水タンク100の熱媒流路102Bとエンジン14との間でエンジン冷却水を循環させるためのバイパスラインであり、ラジエータ用循環路16に対してラジエータ12をバイパスするように接続されている。これにより、ラジエータ用循環路16におけるラジエータ12の上流側を流れるエンジン冷却水と水タンク100の貯留室102Aとが熱交換可能になっている。また、熱供給ライン110には、その流路を開閉するバルブ112が設けられている。
【0054】
図2に示されるように、車両用空調システム10は、車両用化学蓄熱システム60を制御する制御装置としての化学蓄熱ECU(Electronic Control Unit)120を備えている。化学蓄熱ECU120は、ウォータポンプ106、バルブ70,108,112,三方弁94、及びブロア84の各々に電気的に接続されており、これらの動作を制御するようになっている。また、化学蓄熱ECU120には、化学蓄熱材66の温度を検出する化学蓄熱材温度センサ122、及び蒸発器90の蒸発室92Aの温度を検出する蒸発室温度センサ124が電気的に接続されており、これらの化学蓄熱材温度センサ122及び蒸発室温度センサ124から化学蓄熱材温信号、凝縮室温度信号がそれぞれ入力されるようになっている。
【0055】
また、化学蓄熱ECU120には、車両用空調システム10を構成する空調ECU130が接続されている。空調ECU130は、ウォータポンプ18,76、バルブ26,28,30,74の各々に電気的に接続されており、これらの動作を制御するようになっている。また、空調ECU130には、車両の外気の温度を検出する外気温度センサ132が電気的に接続されており、外気温度センサ132で検出された外気温信号が入力されるようになっている。更に、車両の図示しないダッシュボートに設けられた空調温度調整スイッチ134が電気的に接続されており、この空調温度調整スイッチ134から空調温度信号が入力されるようになっている。
【0056】
また、空調ECU130には、エンジンECU136が電気的に接続されている。このエンジンECU136は、エンジン14の動作を制御するものであり、エンジン14の回転数信号等が空調ECU130へ入力されるようになっている。
【0057】
次に、第1実施形態の作用について説明する。
【0058】
先ず、車両用化学蓄熱システム60の動作について説明する。なお、本実施形態に係る車両用化学蓄熱システム60の初期状態は、水蒸気放出ライン86及び水蒸気供給ライン88が三方弁94によってそれぞれ閉止されている。また、
図3〜
図5に示される太い実線及び矢印は水、水蒸気、エンジン冷却水等の流体の流れを示している。更に、白抜きのバルブ及び三方弁は流れの開放状態を示し、黒塗りのバルブ及び三方弁は流れの閉止状態を示している。
【0059】
化学蓄熱ECU120は、空調ECU130からの要求に応じて車両用化学蓄熱システム60を蓄熱モード又は放熱モードで制御する。蓄熱モードでは、
図3に示されるように、先ず、化学蓄熱ECU120が、バルブ70を作動して排気ライン68を開放させ、反応器62の熱媒流路64Bへ高温の排気ガスを供給する。次に、化学蓄熱ECU120は、三方弁94を作動して水蒸気放出ライン86及び水蒸気放出供給ライン96を開放させ、これらの水蒸気放出ライン86及び水蒸気放出供給ライン96を介して反応器62の反応流路64Aと凝縮器80の凝縮室82Aとを接続すると共に、ブロア84及びウォータポンプ106を作動する。
【0060】
これにより、反応器62では、排気ライン68から熱媒流路64Bに供給された排気ガスの熱によって反応流路64A内の化学蓄熱材66が脱水反応を生じ、当該化学蓄熱材66への蓄熱が成される。このとき、化学蓄熱材66の脱水反応に伴って生じた水蒸気は、水蒸気放出供給ライン96及び水蒸気放出ライン86を介して凝縮器80の凝縮室82Aへ導入される。凝縮器80の凝縮室82Aに導入された水蒸気は、ブロア84によって冷却されて凝縮し、その重力によって水タンク100の貯留室102Aに回収される。
【0061】
この状態で、化学蓄熱材温度センサ122から入力された化学蓄熱材66の温度が所定値以上になると、化学蓄熱ECU120が三方弁94を作動し、水蒸気放出ライン86及び水蒸気放出供給ライン96を閉止すると共に、ブロア84及びウォータポンプ106を停止し、蓄熱モードを終了する。
【0062】
次に、放熱モードでは、
図4に示されるように、化学蓄熱ECU120は、三方弁94を作動して水蒸気供給ライン88及び水蒸気放出供給ライン96を開放させ、これらの水蒸気供給ライン88及び水蒸気放出供給ライン96を介して反応器62の反応流路64Aと蒸発器90の蒸発室92Aとを接続すると共に、ウォータポンプ106を作動する。この際、空調ECU130は、空調ECU130から要求された化学蓄熱材66の放熱量に応じて、三方弁94による水蒸気放出ライン86の開度を調整し、反応器62の反応流路64Aへ供給する水蒸気量を増減する。
【0063】
これにより、反応器62の反応流路64Aでは、蒸発器90の蒸発室92Aから供給された水蒸気によって、化学蓄熱材66が水和反応を生じ、当該水和反応に伴い放熱する。この熱は、化学蓄熱材66と冷媒流路64C内のエンジン冷却水との熱交換によって、エンジン冷却水へ放出される。
【0064】
ここで、蒸発器90の蒸発室92Aで水蒸気が生成されると、蒸発潜熱によって徐々に蒸発室92Aの温度が下がり、水蒸気の生成効率が低下する可能性がある。そこで、本実施形態では、
図5に示されるように、蒸発室温度センサ124(
図2参照)から入力された凝縮室82Aの温度が所定値未満になると、化学蓄熱ECU120がバルブ112を作動して熱供給ライン110を開放し、水タンク100の熱媒流路102Bにエンジン14で加熱されたエンジン冷却水を供給する。なお、ラジエータ用循環路16のバルブ26が閉止されているときにはこのバルブ26も開放し、ウォータポンプ18が停止しているときにはこのウォータポンプ18も作動する。
【0065】
これにより、水タンク100の熱媒流路102Bに供給されたエンジン冷却水と水タンク100の貯留室102A内の水とが熱交換し、エンジン冷却水の熱によって貯留室102A内の水が加熱される。加熱された水は、ウォータポンプ106によって蒸発器90の蒸発室92Aへ圧送される。これにより、蒸発室92Aの温度低下が抑制される。そして、蒸発室温度センサ124から入力された凝縮室82Aの温度が所定値以上になると、化学蓄熱ECU120がバルブ112を作動して熱供給ライン110を閉止させ、水タンク100の熱媒流路102Bに対するエンジン冷却水の供給を停止する。
【0066】
この状態で、空調ECU130から放熱モードの停止要求を受けると、化学蓄熱ECU120は、三方弁94を作動して水蒸気供給ライン88及び水蒸気放出供給ライン96を閉止させると共に、ウォータポンプ106を停止し、放熱モードを終了する。
【0067】
次に、車両用空調システム10の動作について説明する。
【0068】
空調ECU130は、空調温度調整スイッチ134(
図2参照)から入力される空調温度信号、及び外気温度センサ132(
図2参照)から入力される外気温度信号等に基づいて、車両用空調システム10を暖房モード又は冷房モードで制御する。以下では、暖房モードの制御について説明し、冷房モードの制御について他の実施形態において説明する。なお、本実施形態に係る車両用空調システム10の初期状態では、ヒータコア用循環路24に設けられたバルブ28,30、熱放出ライン72に設けられたバルブ74、熱供給ライン110に設けられたバルブ112は閉止されており、ラジエータ用循環路16に設けられたバルブ26は開放されている。
【0069】
暖房モードでは、先ず、エンジンECU136から入力されるエンジン回転数信号等に基づいて、空調ECU130がエンジン14の作動状況を判定する。空調ECU130がエンジン14を作動中と判断した場合、空調ECU130はバルブ28,30を作動してヒータコア用循環路24を開放させ、ヒータコア用循環路24にエンジン冷却水を循環させる。なお、エンジン14の作動中は、エンジンECU136によってウォータポンプ18が作動されている。これにより、エンジン14で加熱されたエンジン冷却水がヒータコア22へ供給され、ヒータコア22が空調ケース32内を流れる空調用空気と熱交換することにより、空調用空気が加熱される。加熱された空調用空気は、吹出し口切替ダンパ50A,50Bによって選択された所望のデフロスタ吹出し口44、フェイス吹出し口46、フット吹出し口48から車室内へ供給される。
【0070】
一方、空調ECU130がエンジン14を停止中と判断した場合、空調ECU130は化学蓄熱ECU120に放熱モード信号を送り、車両用化学蓄熱システム60を放熱モードで作動させる。次に、
図4に示されるように、空調ECU130は、バルブ28,30,74を作動してヒータコア用循環路24及び熱放出ライン72を開放すると共に、熱放出ライン72に設けられたウォータポンプ76を作動し、熱放出ライン72にエンジン冷却水を循環させる。
【0071】
これにより、反応器62の熱媒流路64Bに供給されたエンジン冷却水と反応器62の反応流路64A内の化学蓄熱材66とが熱交換し、化学蓄熱材66の水和反応に伴って生じた熱がエンジン冷却水に放出され、エンジン冷却水が加熱される。加熱されたエンジン冷却水はヒータコア用循環路24及び熱放出ライン72を介してヒータコア22に供給され、ヒータコア22が空調ケース32内を流れる空調用空気と熱交換することにより、空調用空気が加熱される。加熱された空調用空気は、吹出し口切替ダンパ50A,50Bによって選択された所望のデフロスタ吹出し口44、フェイス吹出し口46、フット吹出し口48から車室内へ供給される。
【0072】
このように本実施形態に係る車両用空調システム10では、エンジン14が停止状態であっても、車両用化学蓄熱システム60を放熱モードで動作させ、化学蓄熱材66に蓄熱された熱をヒータコア22の熱源として利用することにより、車室内の温度を所望の温度に上げることができる。
【0073】
また、ラジエータ用循環路16を循環するエンジン冷却液を熱源として水タンク100の貯留室102A内の水を加熱し、加熱された水を蒸発器90の蒸発室92Aへ供給することにより、蒸発潜熱による蒸発室92Aの温度低下が抑制される。この結果、蒸発室92Aにおける水蒸気の生成効率の低下が抑制される。従って、水タンク100の貯留室102A内の水を加熱しない構成と比較して、化学蓄熱材66の水和反応を長期的に維持することができるため、加熱されたエンジン冷却水をヒータコア22へ長期的に供給することができる。
【0074】
なお、本実施形態では、一例として車両用化学蓄熱システム60が放熱モードで作動したときに、熱供給ライン110にエンジン冷却水を供給し、水タンク100の貯留室102Aに貯留された水を加熱したがこれに限らない。例えば、車両用化学蓄熱システム60が蓄熱モードで作動したときに、熱供給ライン110にエンジン冷却水を供給して水タンク100の貯留室102Aに貯留された水を加熱しても良い。また、ヒータコア用循環路24又は熱放出ライン72における反応器62の下流側に熱供給ライン110を接続し、反応器62からヒータコア22へ流れるエンジン冷却水、即ち、反応器62で加熱されたエンジン冷却水を熱源として、水タンク100の貯留室102Aに貯留された水を加熱することも可能である。
【0075】
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成のものについては、同符号を付すると共に適宜省略して説明する。
【0076】
図6には、第2実施形態に係る車両用空調システム140のシステム構成が模式的に示されている。第2実施形態では、車両用化学蓄熱システム60が車両用空調システム140における冷房(又は除湿)の熱源として利用されている。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なり、熱供給ライン110が省略されている。
【0077】
図6に示されるように、反応器62の冷媒流路64Cには、化学蓄熱材66が放熱した熱をラジエータ12へ移送するための熱放出ライン142が接続されている。熱放出ライン142はラジエータ用循環路16に接続されており、反応器62との熱交換によって加熱されたエンジン冷却水をラジエータ12へ供給するようになっている。この熱放出ライン142には、その流路を開閉する2つのバルブ152,154が設けられている。
【0078】
一方、蒸発器90の容器92には、水蒸気の生成に伴って生じた蒸発潜熱を外部へ放出するための冷媒流路92Bが設けられている。この冷媒流路92Bは、その内部を流れる冷媒(エンジン冷却水)と蒸発室92A内の空気とが熱交換可能に蒸発室92Aに隣接されている。この冷媒流路92Bには、冷熱放出ライン144が接続されている。冷熱放出ライン144は、蒸発器90の冷媒流路92Bとヒータコア22との間で冷媒としてのエンジン冷却水を循環させるためのバイパスラインであり、ヒータコア用循環路24に対してエンジン14をバイパスするように接続されている。冷熱放出ライン144には、その流路を開閉する2つのバルブ146,148が設けられている。また、冷熱放出ライン144には、エンジン冷却水をヒータコア22へ圧送するためのウォータポンプ150が設けられている。この冷熱放出ライン144を流れるエンジン冷却水と蒸発器90の蒸発室92A内の空気とが熱交換することにより、蒸発室92Aにおける蒸発潜熱がエンジン冷却水に放出され、エンジン冷却水が冷却されるようになっている。
【0079】
ここで、本実施形態では、ヒータコア22が空調用空気を冷却する冷房用熱交換器として機能する。即ち、蒸発器90において冷却されたエンジン冷却水は、ヒータコア22において空調用空気と熱交換することにより、空調用空気を冷却するように構成されている。
【0080】
図7に示されるように、車両用空調システム140は、制御装置としての化学蓄熱ECU120及び空調ECU160を備えている。空調ECU160は、第1実施形態における空調ECU130に接続された各種の機器に加え、バルブ146,148,152の各々に電気的に接続されており、これらの動作を制御するようになっている。なお、本実施形態における化学蓄熱ECU120及び空調ECU160には、バルブ74,112が接続されていない。
【0081】
次に、第2実施形態の作用について説明する。
【0082】
本実施形態に係る車両用空調システム10の初期状態では、ヒータコア用循環路24に設けられたバルブ28,30、熱放出ライン142に設けられたバルブ152,154、冷熱放出ライン144に設けられたバルブ146,148は閉止されており、ラジエータ用循環路16に設けられたバルブ26は開放されている。また、
図8に示される太い実線及び矢印は水、水蒸気、エンジン冷却水等の流体の流れを示している。また、白抜きのバルブ及び三方弁は流れの開放状態を示し、黒塗りのバルブ及び三方弁は流れの閉止状態を示している。
【0083】
冷房モードでは、空調ECU160は、化学蓄熱ECU120に放熱モード信号を送り、車両用化学蓄熱システム60を放熱モードで制御させる。次に、空調ECU160は、2つのバルブ146,148を作動して冷熱放出ライン144を開放させると共に、ウォータポンプ150を作動し、冷熱放出ライン144にエンジン冷却水を循環させる。
【0084】
これにより、冷熱放出ライン144を介して蒸発器90の冷媒流路92Bに供給されたエンジン冷却水と蒸発器90の蒸発室92A内の空気との熱交換によって、蒸発室92Aにおける蒸発潜熱がエンジン冷却水に放出され、エンジン冷却水が冷却される。冷却されたエンジン冷却水は、冷熱放出ライン144を介してヒータコア22に供給され、空調ケース32内を流れる空調用空気と熱交換することにより、空調用空気が冷却される。冷却された空調用空気は、吹出し口切替ダンパ50A,50Bによって選択された所望のデフロスタ吹出し口44、フェイス吹出し口46、フット吹出し口48から車室内へ供給される。
【0085】
この状態において、空調ECU160は、バルブ152,154を作動して熱放出ライン142を開放させ、熱放出ライン142及びラジエータ用循環路16にエンジン冷却水を循環させる。なお、ラジエータ用循環路16に設けられたウォータポンプ18が作動していない場合は、このウォータポンプ18も作動する。
【0086】
これにより、熱放出ライン142を介して反応器62の熱媒流路64Bに供給されたエンジン冷却水と反応器62の反応流路64A内の化学蓄熱材66との熱交換によって、化学蓄熱材66の水和反応に伴って生じた熱がエンジン冷却水に放出され、化学蓄熱材66が冷却される。一方、化学蓄熱材66との熱交換によって加熱されたエンジン冷却水は、ラジエータ12へ供給されて冷却される。これにより、反応器62の温度上昇が抑制される。
【0087】
このように本実施形態では、蒸発器90の蒸発潜熱を冷房(又は除湿)の熱源として利用することにより、エバポレータ38が構成する図示しない冷凍サイクルを作動させずに、車室内の温度を所望の温度に下げることができる。特に、本実施形態は、エンジン14が停止状態であっても、冷房の熱源として利用できる点で優れている。
【0088】
一方、蒸発器90の蒸発室92Aで生成された水蒸気は反応器62の反応流路64Aへ供給されるため、反応流路64A内の化学蓄熱材66の水和反応が促進されるが、この水和反応に伴って生じた熱は、前述したように熱放出ライン142を流れるエンジン冷却水を介してラジエータ12で放熱される。従って、化学蓄熱材66の温度を所定温度に維持することができる。
【0089】
更に、本実施形態では、空調用空気を冷却(又は除湿)する冷房用熱交換器としてヒータコア22を流用することにより、新たな熱交換器を設ける必要がないため、コスト削減を図ることができる。なお、ヒータコア22に替えて、新たな冷房用熱交換器を設けることも可能である。
【0090】
次に、第3実施形態について説明する。なお、第1,第2実施形態と同様の構成のものについては、同符号を付すると共に適宜省略して説明する。
【0091】
図9には、第3実施形態に係る車両用空調システム170のシステム構成が模式的に示されている。第3実施形態では、車両用化学蓄熱システム60が車両用空調システム170における暖房及び冷房の熱源として利用されている。
【0092】
図9に示されるように、反応器62の冷媒流路64Cには、化学蓄熱材66が放熱した熱をラジエータ12及びヒータコア22へ移送するための熱放出ライン172が接続されている。熱放出ライン172はラジエータ用循環路16及びヒータコア用循環路24の各々と接続されている。また、熱放出ライン172には、バルブ174,176が設けられている。この熱放出ライン172は、各バルブ28,30,152,174,176の動作によって反応器62の冷媒流路64Cとヒータコア22との間でエンジン冷却水を循環させる暖房モード(
図11において太線)と、反応器62の冷媒流路64Cとラジエータ12との間でエンジン冷却水を循環させる冷房モード(
図12において太線)とに切り替えられるようになっている。
【0093】
また、熱放出ライン172における反応器62の下流側には、熱放出ライン172と冷熱放出ライン144とを接続する接続ライン178,180が設けられている。接続ライン178にはバルブ182が設けられている。また、接続ライン180に三方弁184が設けられている。これらのバルブ182及び三方弁184の動作により、反応器62、蒸発器90、ヒータコア22、及びエンジン14の間でエンジン冷却水を循環させるための暖房モード(
図11において太線)と、蒸発器90とヒータコア22との間で冷媒としてのエンジン冷却水を循環させる冷房モード(
図12において太線)とに切り替えられるようになっている。
【0094】
図10に示されるように、車両用空調システム170は、制御装置としての化学蓄熱ECU120及び空調ECU190を備えている。空調ECU190は、第2実施形態における空調ECU190に接続された各種の機器に加え、バルブ174,176,182、及び三方弁184の各々に電気的に接続されており、これらの動作を制御するようになっている。なお、本実施形態における化学蓄熱ECU120には、バルブ112が接続されている。
【0095】
次に、第3実施形態の作用について説明する。
【0096】
本実施形態に係る車両用空調システム170の初期状態では、ヒータコア用循環路24に設けられたバルブ28,30,176、熱放出ライン172に設けられたバルブ152,154,174、冷熱放出ライン144に設けられたバルブ146,148、接続ライン178,180に設けられたバルブ182、三方弁184は閉止されており、ラジエータ用循環路16に設けられたバルブ26は開放されている。また、
図11及び
図12に示される太い実線及び矢印は水、水蒸気、エンジン冷却水等の流体の流れを示している。また、白抜きのバルブ及び三方弁は流れの開放状態を示し、黒塗りのバルブ及び三方弁は流れの閉止状態を示している。
【0097】
先ず、暖房モードでは、エンジンECU136から入力されるエンジン回転数信号等に基づいて、空調ECU190がエンジン14の作動状況を判定する。空調ECU190がエンジン14を作動中と判断した場合は、第1実施形態と同様の制御を行う。
【0098】
一方、空調ECU190がエンジン14を停止中と判断した場合、
図11に示されるように、空調ECU190は化学蓄熱ECU120に放熱モード信号を送り、車両用化学蓄熱システム60を放熱モードで動作させる。次に、空調ECU190は、バルブ28,30,152,174を作動し、ヒータコア用循環路24及び熱放出ライン172を開放させると共にウォータポンプ18を作動し、ヒータコア用循環路24及び熱放出ライン172にエンジン冷却水を循環させる。なお、
図11には、後述するようにバルブ174により熱放出ライン172を閉止すると共に接続ライン178,180が開放された状態が示されているが、通常の放熱モードではバルブ174が熱放出ライン172を開放すると共に、接続ライン178,180が閉止されている。
【0099】
これにより、ヒータコア用循環路24及び熱放出ライン172を介して反応器62の熱媒流路64Bに供給されたエンジン冷却水が、反応器62の反応流路64A内の化学蓄熱材66と熱交換し、化学蓄熱材66の水和反応に伴って生じた熱がエンジン冷却水に放出され、エンジン冷却水が加熱される。加熱されたエンジン冷却水は、ヒータコア用循環路24及び熱放出ライン172を介してヒータコア22に供給され、ヒータコア22が空調ケース32内を流れる空調用空気と熱交換することにより、空調用空気が加熱される。加熱された空調用空気は、吹出し口切替ダンパ50A,50Bによって選択された所望のデフロスタ吹出し口44、フェイス吹出し口46、フット吹出し口48から車室内へ供給される。
【0100】
この状態で、蒸発室温度センサ124(
図10参照)から入力された凝縮器80の凝縮室82Aの温度が所定値未満になると、空調ECU190がバルブ174を作動して熱放出ライン172を閉止させると共に、バルブ182及び三方弁184を作動して接続ライン178,180を開放させ、反応器62で加熱された冷熱放出ライン144を介して蒸発器90の冷媒流路92Bへ供給する。これにより、冷媒流路92Bに供給されたエンジン冷却水と蒸発器90の蒸発室92A内の空気との熱交換によって蒸発室92Aの蒸発潜熱がエンジン冷却水に放出され、蒸発室92Aが加熱される。
【0101】
このように本実施形態に係る車両用空調システム10では、エンジン14が停止状態であっても、車両用化学蓄熱システム60を放熱モードで動作させ、化学蓄熱材66に蓄熱された熱をヒータコア22の熱源として利用することにより、車室内の温度を所望の温度に上げることができる。また、蒸発器90の蒸発潜熱を冷房の熱源として利用することにより、エバポレータ38が構成する図示しない冷凍サイクルを作動させずに、車室内の温度を所望の温度に下げることができる。
【0102】
更に、反応器62からヒータコア22へ流れるエンジン冷却水、即ち、反応器62で過熱されたエンジン冷却水によって蒸発器90の蒸発室92Aを加熱することにより、蒸発潜熱による蒸発室92Aの温度低下が抑制される。これにより、反応器62からヒータコア22へ流れるエンジン冷却水と蒸発器90の蒸発室92Aとが熱交換しない構成と比較して、化学蓄熱材66の水和反応を長期的に維持することができるため、加熱されたエンジン冷却水をヒータコア22へ長期的に供給することができる。
【0103】
次に、冷房モードでは、空調ECU190が化学蓄熱ECU120に放熱モード信号を送り、車両用化学蓄熱システム60を放熱モードで動作させる。次に、
図12に示されるように、空調ECU190はバルブ146,148及び三方弁184を作動し、冷熱放出ライン144を開放させると共にウォータポンプ150を作動し、冷熱放出ライン144にエンジン冷却水を循環させる。
【0104】
これにより、冷熱放出ライン144を介して蒸発器90の冷媒流路92Bに供給されたエンジン冷却水と蒸発器90の蒸発室92A内の空気との熱交換によって、蒸発室92Aに蒸発潜熱がエンジン冷却水に放出され、エンジン冷却水が冷却される。冷却されたエンジン冷却水は、冷熱放出ライン144を介してヒータコア22に供給され、空調ケース32内を流れる空調用空気と熱交換することにより、空調用空気が冷却される。冷却された空調用空気は、吹出し口切替ダンパ50A,50Bによって選択された所望のデフロスタ吹出し口44、フェイス吹出し口46、フット吹出し口48から車室内へ供給される。
【0105】
この状態において、空調ECU190は、バルブ152,154,174を作動し、熱放出ライン172を開放させ、熱放出ライン172及びラジエータ用循環路16に冷却水を循環させる。なお、ラジエータ用循環路16に設けられたウォータポンプ18が作動していない場合は、このウォータポンプ18も作動する。
【0106】
これにより、ラジエータ用循環路16及び熱放出ライン172を介して反応器62の熱媒流路64Bに供給されたエンジン冷却水と反応器62の反応流路64A内の化学蓄熱材66とが熱交換し、化学蓄熱材66の水和反応に伴って生じた熱がエンジン冷却水に放出され、化学蓄熱材66が冷却される。一方、化学蓄熱材66との熱交換によって加熱されたエンジン冷却水は、熱放出ライン172を介してラジエータ12へ供給され、冷却される。
【0107】
このように本実施形態では、蒸発器90の蒸発潜熱を冷房の熱源として利用することにより、エバポレータ38が構成する図示しない冷凍サイクルを作動させずに、車室内の温度を所望の温度に下げることができる。特に、本実施形態は、エンジン14が停止状態でも、冷房の熱源として利用できる点で優れている。
【0108】
一方、蒸発器90の蒸発室92Aで生成された水蒸気は反応器62の反応流路64Aへ供給されるため、反応流路64A内の化学蓄熱材66の水和反応が促進されるが、この水和反応に伴って生じた熱は、前述したようにラジエータ用循環路16及び熱放出ライン172を循環するエンジン冷却水を介してラジエータ12で放熱される。従って、化学蓄熱材66の温度を所定温度に維持することができる。
【0109】
なお、説明を省略するが、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、水タンク100の熱媒流路102Bにエンジン冷却水を供給し、エンジン冷却水の熱によって貯留室102A内の水を加熱しても良い。
【0110】
以上、本発明の第1〜第3実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものではなく、第1〜第3実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。