(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の雨水貯留・浸透システムにおいては、次のような問題点があった。即ち、該システムを雨水貯留システムとして運用する場合、雨水の浄化レベルを高めるために目の細かいろ過部材を用いたり、粒径の細かなろ過砂や砂利などの微粒子をろ過部材として採用したろ過装置を用いたりすると、通水性能が低下してろ過に時間がかかってしまい、大部分の雨水はろ過装置を通過できずに側溝などの排水設備に流出してしまうため、緊急災害時の生活用水として利用可能な量の貯留水を得るためにはかなり長期間の降水を期待しなければならない。一方、これを解消すべく目の荒いろ過部材を用いたときには、貯留された水の浄化が十分でなく、植物への散水程度の用途にしか用いることができない。
【0005】
また、前記システムを雨水浸透システムとして運用する場合、目詰まりを防ぐために目の細かいろ過部材を用いると、通水性能が低下するために浸透システムとしての浸透性能が十分に発揮されない。一方、目の荒いろ過部材を用いると、ろ過の精度が低下するために浸透槽の目詰まりが起きやすくなり、排水設備に対する流出抑制効果が低下してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、ろ過部材のろ過性能を高めても、全体として高い通水性能を確保することができる雨水配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
ろ過部材を通過した雨水を地下へ浸透させる槽を備え、所定の排水設備に向かって流れる雨水の
ひとつの流路に分岐部が
複数設けられることで、該雨水が前記槽に導入可能とされている雨水配管構造であって、前記雨水の流路に第1分岐部が設けられ、該第1分岐部は雨水が流入する第1流入口と、該雨水を前記槽内に導入する槽導入口と、該雨水を前記排水設備に向けて下流に流出させる流出口と、を備え、更に、該第1流入口と該槽との間にろ過部材が配設され、また、前記第1分岐部の流出口と前記排水設備との間の流路には、第2分岐部が単数、又は複数設けられ、該第2分岐部は該第1分岐部を経由した雨水が流入する第2流入口と、該雨水を前記槽内に導入する槽導入口と、該雨水を前記排水設備に向けて下流に流出させる流出口と、を備え、更に、該第2流入口と該槽との間にろ過部材が配設され、また更に、最も下流側に位置する第2分岐部の流出口が前記排水設備に繋がる排水口とされ
、前記第1分岐部及び前記第2分岐部の各槽導入口が、単一の同じ槽に接続されており、更に、該槽は、雨水を地下に浸透させる浸透槽であり、前記第1分岐部及び前記第2分岐部において各流出口の管底と各槽導入口の管底とが互いに同じ高さ位置となるように高さ設定され、かつ、前記流出口及び前記槽導入口の管底の高さが前記排出口の管底の高さより低くなるように設定されていることを特徴とする雨水配管構造である。
【0008】
このように本発明は、一つの雨水配管構造において複数の槽導入口が設けられていることを大きな特徴としている。すなわち、各槽導入口を介して雨水が槽内へ導入される際に、個々のろ過部材によって各槽導入口における通水性能が極端に低下して雨水が流れにくくなったとしても、全体としては槽への雨水導入量が十分に確保される。したがって、水の浄化性能を高めるためにろ過性能の高いろ過部材を用いても、全体として槽への通水性能を十分に確保でき、従来に比して十分な量の雨水を処理することが可能となる。
さらに、かかる構成にあっては、浸透槽の目詰まりを防止すべく、個々のろ過部材のろ過性能を高めて通水性能が低くなった場合であっても、該ろ過部材を設けた槽導入口が複数あるために、システム全体の浸透槽への雨水導入量を十分に確保することができる。また浸透槽への雨水の導入が複数箇所から行なわれるために、該浸透槽内において雨水が一か所に集中しにくく、該浸透槽の浸透性能をより広い範囲で適切かつ円滑に発揮させることができる。
【0009】
前記第1分岐部及び前記第2分岐部は、それぞれ単体のますで構成されていることが望ましい。
【0010】
かかる構成とすることにより、各分岐部の省スペース化が可能となり、全体として配置に無駄のない雨水配管構造とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の雨水配管構造は、ろ過部材のろ過性能を高めても、全体として高い通水性能を確保することができる優れた効果がある。したがって、
槽が浸透槽の場合、槽への雨水の円滑な流入を妨げることなく、浸透槽の目詰まりを効果的に防止し、排水設備に対する流出抑制効果を適切に確保することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の雨水配管構造を具体化した実施例を詳細に説明する。
参考例1の雨水配管構造20Aは、雨水貯留システムとして利用される。また、
参考例2の雨水配管構造20Bは、雨水浸透システムとして利用される。なお、本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
【0020】
〔
参考例1〕
図1aに示すように、雨水配管構造20Aは、互いに独立した3つの貯留槽30A〜30Cと、排水設備としての側溝16と、雨とい等に接続された流路40に設けられた第1分岐部1と、該第1分岐部1の下流側に配される2つの第2分岐部2A,2Bと、を備えている。
【0021】
また、
図1a,bに示すように、前記第1分岐部1、及び前記第2分岐部2A,2Bは、落差調整排水ます4と、ろ過部材としてのフィルター6を備えたフィルター排水ます5とをそれぞれ有し、該落差調整排水ます4と該フィルター排水ます5とが直管7によって各々接続されている。
【0022】
(貯留槽)
前記貯留槽30A〜30Cは、各々槽本体31を備えている。また、該槽本体31の上面には配管接続用の開口8が設けられており、該開口8を介して槽本体31内に雨水が流入する。また、該槽本体31の上面には、貯留された雨水を取り出したり、槽内を点検したりするための点検口9が設けられている。なお、該貯留槽30A〜30Cは、コンクリート製や、あるいはプラスチック製等でもよく、公知のものが好適に用いられる。
【0023】
(第1分岐部)
前記第1分岐部1の落差調整排水ます4には、前記流路40が接続された第1流入口10と、前記フィルター排水ます5に前記直管7によって接続される槽側流出口11と、該雨水を下流へ流出させる流出口12と、が設けられている。
【0024】
また、前記第1分岐部1のフィルター排水ます5には、前記落差調整排水ます4の槽側流出口11と前記直管7によって接続される流入口13と、前記貯留槽30Aに繋がる槽導入口14と、が設けられている。そして、該槽導入口14には、ろ過部材としてのフィルター6が装着されている。
【0025】
なお、前記第1分岐部1において、前記槽導入口14の下端が前記流出口12の下端より低い位置に設定されていることで、該槽導入口14に接続された位置における配管の管底が、該流出口12に接続された位置における配管の管底より低い位置に配置されている。
【0026】
(第2分岐部)
前記第2分岐部2Aの落差調整排水ます4は、前記第1分岐部1の落差調整排水ます4の下流側に配置されている。すなわち、該第2分岐部2Aの落差調整排水ます4は、前記第1分岐部1の落差調整排水ます4の流出口12に繋がる第2流入口15と、フィルター排水ます5に直管7によって接続される槽側流出口11と、該雨水を下流へ流出させる流出口12と、が設けられている。
【0027】
また、前記第2分岐部2Aのフィルター排水ます5には、前記落差調整排水ます4の槽側流出口11と前記直管7によって接続される流入口13と、前記貯留槽30Bに繋がる槽導入口14と、が設けられている。そして、該槽導入口14には、ろ過部材としてのフィルター6が装着されている。
【0028】
更に、前記第2分岐部2Aの下流側には、2つ目の第2分岐部2Bが直列接続されて配置されている。該第2分岐部2Bの構成は、1つ目の第2分岐部2Aとほぼ同様である。ただし、該第2分岐部2Bは、最も下流側に位置しており、その流出口12は側溝16に繋がる排出口17とされている。
【0029】
なお、前記第2分岐部2A,2Bにおいて、前記槽導入口14の下端が前記流出口12の下端より低い位置に設定されていることで、該槽導入口14に接続された位置における配管の管底が、該流出口12に接続された位置における配管の管底より低い位置に配置されている。
【0030】
これまでに述べた前記第1分岐部1、第2分岐部2A,2Bに用いられる落差調整排水ます4、フィルター排水ます5、及び直管7等は、公知のものが好適に用いられる。また、ろ過部材としてのフィルター6は、金網や繊維製のフィルター等でもよく、特に限定されない。また、その使用目的に応じてフィルター6の孔径等が適宜決定される。
【0031】
(雨水の流れ)
次に、上記雨水配管構造20Aの雨水の流れについて説明する。なお、
図1中の矢印は雨水の流動方向を示している。
【0032】
前記流路40から第1分岐部1に流入する雨水は、まず、該第1分岐部1の落差調整排水ます4の流入口10を介して該落差調整排水ます4内に流入する。そうすると、該落差調整排水ます4内を落下した雨水は、優先的にフィルター排水ます5に導かれる。そして、該フィルター排水ます5内に流入した雨水は、フィルター6を通過した後、槽導入口14から前記貯留槽30Aに流出する。
【0033】
そして、前記貯留槽30Aが満水になったり、フィルター6のろ過能力を超える雨水の流入があったりした場合には、雨水は該第1分岐部1の落差調整排水ます4の流出口12から前記第2分岐部2Aの第2流入口15へ導かれる。
【0034】
前記第2分岐部2Aにおいても同様に、前記落差調整排水ます4の第2流入口15から流入した雨水は、まず該第2分岐部2Aのフィルター排水ます5に導かれ、前記フィルター6を介して前記貯留槽30Bに導入される。更に、該貯留槽30Bが満水になったり、フィルター6のろ過能力を超える雨水の流入があったりした場合には、次に、雨水は更に下流側に配された2つ目の前記第2分岐部2Bの第2流入口15へ導かれる。
【0035】
更に、前記第2分岐部2Bにおいても同様に、前記落差調整排水ます4の第2流入口15から流入した雨水は、フィルター排水ます5のフィルター6を介して前記貯留槽30Cに導入される。そして、該貯留槽30Cが満水になったり、フィルター6のろ過能力を超える雨水の流入があったりした場合には、該雨水は該第2分岐部2Bの落差調整排水ます4の流出口12、すなわち排出口17から側溝16へ排出される。
【0036】
このように、雨水配管構造20Aは、一つの雨水配管構造20Aに対して複数の槽導入口14が設けられているため、各槽導入口14に取り付けられたフィルター6によって各槽導入口14における通水性能が極端に低下したとしても、隣接する他の貯留槽30A〜30Cを利用することにより、全体としては貯留槽30A〜30Cへの雨水導入量が十分に確保される。したがって、水の浄化性能を高めるために目の細かいフィルター6を用いても、全体として貯留槽30A〜30Cへの通水性能を十分に確保できる。
【0037】
また、雨水配管構造20Aは、1つ目の貯留槽30Aに雨水を優先的に導入する構成としている。これは、一つの巨大な貯留槽に雨水を貯留していくよりも、それよりも小さい適正サイズの貯留槽を複数準備して各槽に順番に雨水を満たしていく方が、たとえ少量の降雨量であっても貯留した雨水を利用しやすいためである。
【0038】
これまで述べた構成に代えて、各槽導入口14ごとにフィルター6の種類を互いに異なるものとし、各貯留槽30A〜30Cごとに異なる用途の雨水を貯留するようにしてもよい。例えば、貯留槽30Aに対応する槽導入口14に目の細かいフィルター6を適用して、緊急災害時の生活用水を貯留し、貯留槽30Bに対応する槽導入口14に相対的に目の粗いフィルター6を適用して、植物への散水用水を貯留するようにしてもよい。
【0039】
また、これまで述べた構成は、各分岐部1,2A,2Bごとに貯留槽30A〜30Cが設けられているが、これに代えて、各分岐部1,2A,2Bが、単一の貯留槽30Aに接続されているようにしても構わない。また、例えば第1分岐部1に対して貯留槽30Aを接続し、第2分岐部2A,2Bに対して貯留槽30Bを一つ接続する、といった構成としても構わない。
【0040】
〔
参考例2〕
以下、
図2に従って、雨水配管構造20Bを説明する。なお、
参考例1と共通する部分については説明を簡略又は省略し、また図中では同じ符号を付すこととする。
【0041】
雨水配管構造20Bは、単一の浸透槽30Dを備えている。該浸透槽30Dは、砕石を利用したものや樹脂製のもの等の公知技術を好適に用いることができる。
【0042】
前記浸透槽30Dには、第1分岐部1における槽導入口14、第2分岐部2A,2Bにおける槽導入口14,14を介して雨水が導入される。また、各分岐部1,2A,2Bにおいて、該槽導入口14の下端が流出口12の下端より低い位置に設定されて、該槽導入口14に接続された位置における配管の管底が、該流出口12に接続された位置における配管の管底より低い位置に配置されている。
【0043】
上記構成において、前記浸透槽30Dの目詰まりをできるだけ防止するために、前記フィルター6のろ過性能を高いものとすると、通水性能が低下して第1分岐部1の槽導入口14のみでは円滑に浸透槽30D内に導入できない場合がある。しかし、該浸透槽30Dには、フィルター6が取り付けられた槽導入口14が複数設けられているため、全体としては浸透槽30Dへの雨水導入量が十分に確保でき、通水性能を十分に確保することができる。
【0044】
また、浸透槽30Dへの雨水の導入が複数箇所から行なわれるため、該浸透槽30D内において雨水が一か所に集中しにくく、該浸透槽30Dの浸透性能をより広い範囲で適切かつ円滑に発揮させることができる。また、雨水が優先的に浸透槽30Dへ流入するため、側溝16へ雨水が過剰に流出してしまうことを防ぐことができ、側溝16に対する流出抑制効果が適切に確保される。
【0045】
〔その他〕
本発明は、上記の
参考例1,2に限定されることはなく、適宜設計変更可能である。例えば、第1分岐部1、及び第2分岐部2A,2Bを、互いに連結された落差調整排水ます4とフィルター排水ます5とで構成するのではなく、落差調整排水ますにフィルター機能を付した単体品で構成するようにしてもよい。かかる構成とすることにより、各分岐部1,2A,2Bの省スペース化が可能となり、全体として雨水配管構造20A,20Bが無駄のない配置となる。
【0046】
前記フィルター6は、雨水配管構造20A,20Bの機能劣化を防止すべく、交換可能な構造とすることが望ましい。また、ろ過部材として、スクリーンフィルター等を用いても構わない。
【0047】
第2分岐部2A,2Bは、2つに限らず、3つ以上配置されてもよい。また逆に、第1分岐部1の下流に1つだけ配置されていてもよい。
【0048】
また、浸透槽30Dを備えた雨水配管構造20Bにおいて、
図3aに示すように、各分岐部1,2A,2Bにおいて、前記流出口12の配管接続口における配管の管底を同一高さとし、かつ、第1分岐部1の第1流入口10と前記排出口17となる流出口12をこれらよりも高い位置に設定するようにしてもよい。かかる構成とすることにより、流路40や側溝16に繋がる配管よりも一段下がった配管部分に、一定の雨水量となるまで雨水を貯めることができるため、一時的に雨水配管構造20Bの貯留量を増やして雨水を側溝16に流さないようにすることができる。さらに、
図3bに示すように、槽側流出口11と流出口12と流入口13と槽導入口14における、それぞれの配管の管底が互いに同じ高さ位置となるように高さ設定されているようにしてもよい。かかる構成とすることにより、各分岐部1,2A,2Bの槽導入口14へほぼ均等に雨水を分流させることができる。