【実施例1】
【0012】
図1は、本実施の形態における通帳記帳装置100の構成を示す図である。
図1に示すように、通帳記帳装置100は、搬送機構部101と、磁気データ処理機構部102と、通帳印字面側バーコード読取機構部103と、通帳表紙側バーコード読取機構部104と、印字機構部105と、画像データ取込機構部106と、頁替機構部107と、通帳発行機構部108と、通帳回収機構部109と、制御部110と、通信部111と、を有して構成されている。
【0013】
搬送機構部101は、挿入口112から挿入された通帳1や通帳発行機構部108から繰出された通帳1を、搬送路を通じて記帳処理の内容に応じた各機構部に搬送する。また、搬送機構部101は、記帳処理が終了した通帳1や通帳発行機構部108から発行された通帳1を、搬送路を通じて挿入口112まで搬送し、通帳1を返却させる。
【0014】
磁気データ処理機構部102は、通帳1に設けられた磁気ストライプ2に記録された磁気データにアクセスし、口座番号や最終印字行数等の口座情報の読取りや書込みを行う。通帳印字面側バーコード読取機構部103は、通帳1の取引内容を印字する面側に印刷された通帳1の頁番号等の頁情報を表す通帳印字面側バーコード3を読取る。また、通帳表紙側バーコード読取機構部104は、通帳1の表紙側に印刷された口座番号や通帳の発行番号等の通帳情報を表す通帳表紙側バーコード4を読取る。本実施の形態における通帳記帳装置100では、
図1に示したように、磁気データ処理機構部102と通帳表紙側バーコード読取機構部104とが搬送機構部101の下側に近接して設けられており、省スペースかつ簡素な機構となっている。
【0015】
図2A〜Gは、通帳1に付されたバーコードや磁気ストライプの例を示す図である。
図2Aでは、通帳1の表紙側の一方に磁気ストライプが付されている場合の例を示している。また、
図2Bでは、通帳1の表紙側の一方に通帳表紙側バーコード4が付されている場合の例を示している。さらに、
図2Cでは、通帳1の表紙側の他の一方に通帳表紙側バーコード4が付されている場合の例を示している。
【0016】
図2Dでは、通帳1の表紙側の一方に磁気ストライプ2が付され、他の一方に通帳表紙側バーコード4が付されている場合の例を示している。また、
図2Eでは、通帳1の通帳印字面側の一方に通帳印字面側バーコード3が付されている場合の例を示している。さらに、
図2Fでは、通帳1の表紙側の一方に、磁気ストライプ2と通帳表紙側バーコード4とが読取方向に近接して付されている場合の例を示している。そして、
図2Gでは、通帳1の表紙側の一方に、磁気ストライプ2と通帳表紙側バーコード4とが通帳1の搬送方向に近接して付されている場合の例を示している。
【0017】
このように、磁気ストライプ2や通帳印字面側バーコード3、あるいは通帳表紙側バーコード4が付されている通帳上の位置は様々である。しかし、
図2Fおよび2Gに示した例では、磁気ストライプ2と通帳表紙側バーコード4とが互いに近接して付されているため、バーコードセンサ203(後述)が通帳表紙側バーコード4を読み取る際に磁気ヘッド201(後述)に接触し、その磁気ヘッド201に付着している磁気ストライプの磁性粉やその他の汚れ等がバーコードセンサ203に付着しやすい。その結果、バーコードセンサ203(後述)や通帳1の表紙を汚損させ、通帳表紙側バーコード4の読み取り精度の低下や誤認識を招いてしまうことがある。このような状況を回避するため、本実施の形態における通帳記帳装置100では、後述するように、磁気ヘッド201をバーコードセンサ203から遠ざけた状態でバーコードセンサ203がバーコードを読み取るようにこれらの機構の動作を制御し、省スペースかつ簡素な機構を保ちつつ、上述した問題を解決している。続いて、
図1に戻って、通帳記帳装置100が備える他の各部について説明する。
【0018】
印字機構部105は、入出金結果の取引内容等を表す取引情報を通帳1の所定の頁に印字する。画像データ取込機構部106は、通帳1の通帳印字面側の画像データを取込むことにより、その頁に印字されている取引情報の行数(例えば、通帳1の頁の何行目まで取引内容の印字がされているか)を検知する。また、画像データ取込機構部106は、通帳1に印刷されている通帳印字面側バーコード3を読取り、印字機構部105が上述した取引情報を印字した後、インクリボンの交換が必要な状態か否かを確認するための印字濃度を検知する。
【0019】
頁替機構部107は、搬送機構部101によって搬送されてきた通帳1の頁捲りをする。通帳発行機構部108は、あらかじめ収納してある新規発行用の新通帳を発行するために、搬送機構部101に新たな通帳1を繰出す。通帳回収機構部109は、記帳処理終了後に取忘れとなった通帳1を回収し、または新通帳発行時における旧通帳を一時退避させる。制御部110は、通帳記帳装置100を構成する各機構部を制御する。通信部111は、上位制御装置5との間で、上述した取引情報や口座情報等、取引に必要な種々の情報を送受信する。
【0020】
図3は、
図1に示した通帳記帳装置100の機能的な構成を示すブロック図である。
図3に示すように、通帳記帳装置100は、機能的には、搬送機構部101と、磁気データ処理機構部102と、通帳印字面側バーコード読取機構部103と、通帳表紙側バーコード読取機構部104と、印字機構部105と、画像データ取込機構部106と、頁替機構部107と、通帳発行機構部108と、通帳回収機構部109と、制御部110と、通信部111と、を有し、通信部111を介して上位制御装置5と接続されている。これらの各部は
図1において説明したものと同様であるためここではその説明を省略する。続いて、上述した磁気データ処理機構部102及び通帳表紙側バーコード読取機構部104の構成についてさらに詳細に説明する。
【0021】
図4A(a)〜G(b)は、上述した磁気データ処理機構部102及び通帳表紙側バーコード読取機構部104の構成および動作の推移の例を示す図である。なお、
図4A(a)、4B(a)、4C(a)、4D(a)、4E(a)、4F(a)、4G(a)は、これらの各機構部を挿入口12の側からみた場合の正面図である。また、
図4A(b)、4B(b)、4C(b)、4D(b)、4E(b)、4F(b)、4G(b)は、それぞれ、読取方向からみた場合の各正面図に対応する側面図である。以下では、磁気データ処理機構部102及び通帳表紙側バーコード読取機構部104を総称して情報読取り機構部と呼ぶこともある。
【0022】
図4A(a)〜G(b)に示すように、情報読取り機構部は、磁気ストライプ2に接触させて磁気データの読取りおよび書込みをする磁気ヘッド201と、後述する退避ガイド211により磁気ヘッド201を退避した状態で保持するための爪213、214をそれぞれ有したアームにより磁気ヘッド201を両側から挟みこんで保持するヘッドキャリア202と、通帳表紙側バーコード4の表面から受発光面まで規定範囲内の距離(多くの場合数mmから数cm程度)を確保し、通帳表紙側バーコード4を読取るバーコードセンサ203と、バーコードセンサ203を支えて保持するための中心部分から外側に向かって伸び出たアームを有し、ヘッドキャリア202を両側から挟みこんでヘッドキャリア202の姿勢を支えるキャリアサポート204と、不図示のモータ等のアクチュエータにより駆動され、キャリアサポート204を軸方向に移動させるリードスクリュー205と、磁気ヘッド201を磁気ストライプ2に近づける方向にヘッドキャリア202に付勢力を与えるばね206と、キャリアサポート204がリードスクリュー205の軸回りに回転することを規制し、後述するローラガイド208に倣ってキャリアサポート204を通帳1の搬送方向に対して垂直方向への移動を補助するためのローラ207と、ローラ207の移動をガイドするローラガイド208と、リードスクリュー205と噛み合うナット209と、上方向に付勢力を与えるばね212により、リードスクリュー205の軸方向にヘッドキャリア202が移動した場合におけるヘッドキャリア202の上下方向の位置を規制する制御ガイド210と、ばね206が付勢力を蓄えた状態で移動前のヘッドキャリア202を退避位置に退避させるための退避ガイド211と、を有して構成されている。
【0023】
また、搬送される通帳1を進行方向に搬送させる上搬送ガイド217および下搬送ガイド218と、これらの搬送ガイドの基準面を定めるための基準搬送ガイド216とによって通帳1の搬送路が構成され、下搬送ガイド218の一部には、磁気ヘッド201やバーコードセンサ203が通帳1にアクセスできるようにするための搬送路開口部が設けられ、搬送路には、この搬送路開口部を開閉するシャッタ215が設けられている。
【0024】
以下に示すように、キャリアサポート204およびヘッドキャリア202は、リードスクリュー205の軸方向(すなわち、データの読取り方向)に一体で移動し、キャリアサポート204のアームによって保持されるバーコードセンサ203およびヘッドキャリア202のアームによって挟んで保持される磁気ヘッド201も、これらと共に一体で移動する。このように、キャリアサポート204およびヘッドキャリア202を一体で移動する場合、一つのモータ等のアクチュエータでリードスクリュー205を回転させることができ、別個にアクチュエータを設ける必要なく、現状の構成を維持出来るようになっている。
【0025】
また、情報読取り機構部は、リードスクリュー205のような、キャリアサポート204を軸方向に移動させる移動機構と、制御ガイド210や退避ガイド211のような、磁気ヘッド201と通帳1の磁気ストライプ2及び通帳1の通帳表紙側バーコード4との接触を制御するように磁気ヘッド201を配置する(すなわち、磁気ヘッド201を通帳1の通帳表紙側バーコード4から離間して配置する)ためのガイド機構とを有しているため、省スペースかつ簡素な機構を保ちつつ、バーコードセンサ203や通帳1の表紙を汚損させてしまうことがなくなる。なお、制御ガイド210は、少なくともバーコードセンサ203が通帳表紙側バーコード4を読取る間、磁気ヘッド201が下方向に押さえられた状態を維持する程度の長さを有しているものとし、その間、磁気ヘッド201は通帳1から離れた位置で保持された状態を維持する。
【0026】
なお、制御ガイド210は、ヘッドキャリア202の進行方向に対向する側(進行方向とは反対側)の端部210Aが鋭角となっており、その鋭角の先端部は、ヘッドキャリア202のアームが有する爪214の上端部よりも上方となるように配置されている。このような配置とすることにより、ヘッドキャリア202がリードスクリュー205の軸方向に進行し、ヘッドキャリア202の上端部が制御ガイド210に当接した際に、ヘッドキャリア202のアームが有する爪214が制御ガイド210の下側に潜り込む。その結果、ヘッドキャリア202全体も制御ガイド210の下側に潜り込み、通帳表紙側バーコード4や磁気ストライプ2の位置から離れた状態で移動することができるようになっている。なお、本実施の形態では、上述した制御ガイド210の端部210Aは鋭角であるとして説明しているが、先端部がヘッドキャリア202の上端部よりもやや上方に位置するものであれば、丸みをおびた形状であってもよい。
【0027】
また、上述した制御ガイド210の端部210Aおよびヘッドキャリア202の進行方向側の一端である退避ガイド211のエッジ部211Aの幅は、ヘッドキャリア202のそれぞれのアームが有する爪213、214の幅よりもやや狭くなるように構成されている。その理由は、ヘッドキャリア202が進行方向に移動する際に、少なくとも搬送路の内側方向の位置にある爪213または搬送路の外側方向の位置にある爪214のどちらかが制御ガイド210または退避ガイド211に当接した状態となっている必要があるためである。このような状態を維持することにより、ヘッドキャリア202は、上述した端部210Aおよびエッジ部211Aの間にある隙間を越える際に、ばね206の弾性力によって付勢されて通帳表紙側バーコード4や磁気ストライプ2の位置に近づくことなく、進行方向に沿ってスムーズに移動することができる。
【0028】
なお、本実施の形態では、磁気ヘッド201とバーコードセンサ203とが読取り方向に並んだ配置となるように、キャリアサポート204が有するアームの長さとヘッドキャリア202が有するアームの長さとを略同じ長さとし、その両者が同軸で回動する構成としている。しかし、例えば、磁気ストライプ2および通帳表紙側バーコード4の位置が通帳1の搬送方向にずれている場合には、上述した各部のアームの長さを変えることにより、磁気ヘッド201およびバーコードセンサ203を搬送方向にずらして配置することとしてもよい。続いて、通帳記帳装置100が行う記帳処理について説明する。
【0029】
図5は、通帳記帳装置100が行う記帳処理の処理手順を示すフローチャートである。以下では、通帳1が磁気ストライプ2又は表紙側バーコード4のいずれを有しているか判明していない状態で挿入されるものとする。そして、挿入された通帳1が磁気ストライプ2を有している場合は、磁気データ処理機構部102は磁気ヘッド201によりその磁気データを読取って口座情報を取得し、表紙側バーコード4を有している場合は、通帳表紙側バーコード読取機構部104はバーコードセンサ203によりそのバーコードを読取って通帳情報を取得し、以降の処理に移行する。
【0030】
図5に示すように、まず、通帳記帳装置100は、挿入口112が、記帳処理の対象となる通帳1の挿入を受け付けると(ステップS501)、搬送機構部101が、その通帳1を磁気データ処理機構部102および通帳表紙側バーコード読取機構部104位置付近まで搬送し、磁気データ処理機構部102および通帳表紙側バーコード読取機構部104は、磁気ストライプ又は通帳表紙側バーコードの読取り(読取り処理)を行った後、読み取った磁気ストライプ2又は通帳表紙側バーコード4に含まれる口座番号や口座名義人等の口座情報を取得し(ステップS502)、通信部111は、取得された口座情報を上位制御装置5へ送信する(ステップS503)。ここで、ステップS502において行われる読取り処理について説明する。
【0031】
図6は、上述した読取り処理の処理手順を示すフローチャートである。
図6に示すように、通帳記帳装置100は、搬送機構部101が、まず、通帳1の表紙側バーコード4が印刷されている場合を前提として、通帳搬送方向の表紙側バーコード4の印刷位置が、バーコードセンサ203の読取り位置に合うように通帳1を搬送し、通帳1の停止位置をバーコードセンサ203に合わせる(ステップS601)。
【0032】
次に、磁気ヘッド201とバーコードセンサ203が通帳1にアクセスできるようにするため、搬送機構部101は、搬送路開口部に設けられたシャッタ215を開く(ステップS602)。
【0033】
このとき、
図4A、4Bに示したように、キャリアサポート204は、搬送路外側の所定の位置に退避した状態となっている。より具体的には、退避ガイド211が、ヘッドキャリア202の爪213、214を押さえられた状態にあるため、ばね206による付勢力がヘッドキャリア202のアームの回動方向に解放されず、磁気ヘッド201は搬送路開口部より下方向に下がった位置で退避した状態となっている(
図4A(a)、(b))。
【0034】
そして、読取機構部は、リードスクリュー205を回転させ、搬送路外側の所定の位置に退避しているキャリアサポート204を搬送路内側方向(読取方向)に移動させる(ステップS603)。
【0035】
このときの動作を具体的に説明すると、キャリアサポート204の移動開始時には、ヘッドキャリア202の爪213、214が退避ガイド211により押さえられているため、磁気ヘッド201は搬送路開口部より下に下がった位置にある。キャリアサポート204が移動するにつれて、ヘッドキャリア202に支えられた磁気ヘッド201もこれと共に移動し、磁気ヘッド201は基準搬送ガイド216の下側を通過し、通帳1に接触したり近づくことなく搬送路内側に徐々に移動する。
【0036】
そして、キャリアサポート204とともにヘッドキャリア202が移動し、搬送路内側に進入すると、退避ガイド211に押さえられているヘッドキャリア202の爪213が退避ガイド211から外れようとするが、もう一方の爪214が制御ガイド210により押さえられた状態となる(
図4B(a)、(b))。したがって、ヘッドキャリア202は、退避した状態と同様に、磁気ヘッド201は搬送路開口部より下方向に下がった状態を保ったまま、進行方向に移動を続けることができる。
【0037】
このように、処理開始時の退避した状態と同様に押し下げられた状態でキャリアサポート204を移動させることにより、ヘッドキャリア202に挟みこまれた磁気ヘッド201を、搬送路開口部側に露出させることがない。したがって、磁気ヘッド204を通帳1に近接させ、または接触させることなく、確実にバーコードセンサ203が表紙側バーコード4を読取ることが可能となる(
図4C(a)、(b))。
【0038】
読取機構部がキャリアサポート204を通帳1に印刷されている通帳表紙側バーコード4の印刷位置を越える位置まで移動させ、通帳表紙側バーコード読取機構部104は、バーコードセンサ203により通帳表紙側バーコード4の読取りを試みる(ステップS604)。その結果、通帳表紙側バーコード読取機構部104が通帳表紙側バーコード4の読取りができた場合(ステップS605;Yes)、搬送されてきた通帳1は、磁気ストライプ2でなく通帳表紙側バーコード4を備える通帳であることが確定するため、ステップS611に進む。
【0039】
そして、読取機構部はキャリアサポート204の移動を停止させ、リードスクリュー205を逆回転させてキャリアサポート204を搬送路外側の所定の退避位置に移動させた後(ステップS611)、シャッタ215を閉めた後(ステップS612)、
図6に示した読取り処理を終了させ、
図5に示した記帳処理に戻って取引内容の印字等、次の処理に移行する。
【0040】
一方、通帳表紙側バーコード読取機構部104が通帳表紙側バーコード4の読取りができなかった場合(ステップS605;No)、搬送されてきた通帳1は、通帳表紙側バーコード4ではなく磁気ストライプ2を備える通帳であるため、読取機構部は、続いて磁気データの読取りを試みる。この時、磁気ストライプ2を備える通帳と判定する前に、通帳表紙側バーコード4読取りのリトライを試みても良い。
【0041】
そして、読取機構部は、磁気ストライプ2を備えた通帳1の搬送方向から見た磁気ストライプ2の位置が、磁気ヘッド201の読取り位置および書込み位置と合うように、搬送機構部101により通帳1を搬送し、通帳1の停止位置を磁気ヘッド201に合わせる(S606)。
【0042】
このとき、
図4C(a)、(b)に示したように、通帳表紙側バーコード4の読取りができなかった状態では、ヘッドキャリア202の爪213が制御ガイド210に押し下げられたままの状態となっている。そのため、磁気ヘッド201もこれと同様に搬送路開口部より下側に押し下げられたままの状態となっており、磁気ヘッド201が通帳1の磁気ストライプ2に接触することはない。
【0043】
しかし、読取機構部は、この状態から、さらにリードスクリュー205を回転させ、
図4D(a)、(b)に示すように、ヘッドキャリア202の爪213が制御ガイド210から外れる位置まで移動させることにより、制御ガイド210に押し下げられていた爪213が上方向に開放される。その結果、ヘッドキャリア202が搬送路開口部方向に上昇し、磁気ヘッド201を通帳1の磁気ストライプ2に接触させることができるようになる(ステップS607)。この時、読取機構部は、磁気ヘッド201が、磁気ストライプ2の磁気データが記録されている途中の位置にあれば、リードスクリュー205をさらに回転させてキャリアサポート204を移動させ、磁気ヘッド201を磁気データの読取り、書込み開始位置まで移動させる(ステップS608、
図4E(a)、(b))。
【0044】
そして、読取機構部は、リードスクリュー205を逆回転させてキャリアサポート204を退避位置側(すなわち、磁気データの読取方向)に移動させ(ステップS609)、磁気データ処理機構部102が磁気ヘッド201により通帳1に付された磁気ストライプ2の磁気データを読取る(ステップS610、
図4F(a)、(b))。
【0045】
読取機構部は、磁気ストライプ2の磁気データを読取った後、そのままキャリアサポート204を読取方向に移動させると、ヘッドキャリア202の爪213が退避ガイド210に押されてヘッドキャリア202が搬送路開口部より下に下がり始める。この時、ヘッドキャリア202の爪214の下側が制御ガイド210の上部に接触する。制御ガイド210はばね212で上方向に付勢されているが、爪214の下側と接触した制御ガイド210は爪214により押し下げられ、下方向に逃げるように動くこととなる。これにより、キャリアサポート204は、ヘッドキャリア202が下がった状態で基準搬送ガイド216を下側に逃げ、所定の退避位置に戻ることができる(ステップS611、
図4G(a)、(b))。
【0046】
その後、読取機構部は、シャッタ215を閉めた後(ステップS612)、
図6に示した読取り処理を終了させ、
図5に示した記帳処理に戻って取引内容の印字等、次の処理に移行する。このステップS612の処理が終了すると、
図6に示した読取り処理にすべての処理が終了する。続いて、
図5に戻って、ステップS503以降の処理について説明する。
【0047】
通信部111は、取得された口座情報を上位制御装置5へ送信すると(ステップS503)、上位制御装置5からその口座情報に対応する取引データを受信し(ステップS504)、印字機構部105は、現時点で取引の内容を印字する通帳1の頁に何行目まで取引内容の印字がされているか検知することにより、通帳1の頁の何行目から印字を開始するか確定し(ステップS505)、上位制御装置5から受信した取引データに記録されている取引内容を印字する(ステップS506)。
【0048】
その後、印字機構部105は、取引データに記録されている取引内容の印字が完了したか否かを判定し(ステップS507)、取引データに記録されている取引内容の印字が完了したと判定した場合(ステップS507;Yes)、ステップS517に進む。
【0049】
一方、印字機構部105は、取引データに記録されている取引内容の印字が完了していないと判定した場合(ステップS507;No)、さらにその頁の最終行に印字済か否かを判定し(ステップS508)、その頁の最終行に印字済ではないと判定した場合(ステップS508;No)、ステップS506に戻って取引内容の印字を続ける。
【0050】
印字機構部105は、その頁の最終行に印字済と判定した場合(ステップS508;Yes)、さらにその頁が最終頁であるか否かを判定し(ステップS509)、その頁が最終頁であると判定した場合(ステップS509;Yes)、ステップS513に進む。
【0051】
一方、印字機構部105が、その頁が最終頁でないと判定した場合(ステップS509;No)、頁替機構部107は、その頁を捲り(ステップS510)、通帳印字面側バーコード読取機構部103は、通帳印字面側バーコード3を読取り(ステップS511)、頁替機構部107は、頁捲りが完了したか否か判定する(ステップS512)。
【0052】
そして、頁替機構部107は、頁捲りが完了していないと判定した場合(ステップS512;No)、ステップS510に戻って頁捲りを続け、頁捲りが完了したと判定した場合(ステップS512;Yes)、ステップS506に戻って取引内容の印字を続ける。
【0053】
ステップS509において、印字機構部105が、その頁が最終頁であると判定した場合(ステップS509;Yes)、通帳1に印字できる頁が無くなったと判断し、搬送機構部101は、新しい通帳1を発行するために旧通帳を一旦退避させる(ステップS613)。
【0054】
その後、通帳発行機構部108が新通帳を発行し(ステップS514)、印字機構部105が取引内容を印字した後(ステップS515)、搬送機構部101が新通帳及び旧通帳を挿入口112まで搬送し、これらの通帳を返却する(ステップS516、S517)。
【0055】
そして、通帳回収機構部109は、返却した通帳の取忘れがあったか否かを判定し(ステップS518)、返却した通帳の取忘れがあったと判定した場合(ステップS518;Yes)、その通帳を回収し(ステップS519)、記帳処理を終了させる(ステップS520)。なお、通帳回収機構部109は、返却した通帳の取忘れがあったと判定しない場合(ステップS518;No)、何もせずにそのまま記帳処理を終了させる。このステップS520の処理が終了すると、
図5に示した記帳処理のすべての処理が終了する。
【0056】
このように、磁気ストライプ2と、磁気ストライプ2とは異なる通帳表紙側バーコード4とが表紙側に付された通帳類を取り扱う通帳記帳装置100において、磁気ストライプ2を読取る磁気データ処理機構部102と、通帳表紙側バーコード4を読取る通帳表紙側バーコード読取機構部104と、磁気データ処理機構部102と通帳表紙側バーコード読取機構部104とを、磁気ストライプ2または通帳表紙側バーコード4の読取方向に移動させるリードスクリュー5と、磁気データ処理機構部102(磁気ヘッド201)を通帳類から離間して配置するためのガイド機構部(制御ガイド210や退避ガイド211)とを有し、制御部110が通帳表紙側バーコード読取機構部104(バーコードセンサ203)が通帳表紙側バーコード4を読取る際に、磁気データ処理機構部102(磁気ヘッド201)を通帳類に接触させないようにガイド機構部(制御ガイド210や退避ガイド211)に沿って移動させるので、通帳表紙側に磁気ストライプを備える通帳と、バーコードのような通帳表紙側に磁気ストライプに代わる手段を備える通帳のどちらの通帳も同一の装置で取扱う場合において、読取機構部のように、磁気ヘッドに近接させて、バーコードのような磁気ストライプに代わる手段の読取り及び書込みを行うデバイスを実装しても、磁気ヘッドの接触により、バーコードセンサのような磁気ストライプに代わる手段の汚損を、省スペースで簡素な機構により防止することが可能となる。
【0057】
なお、本実施例では、磁気ストライプ2に代わる手段を備える通帳として、バーコードセンサ203で読取りを行う通帳表紙側バーコード4が印刷された通帳で説明しているが、IC(Integrated Circuit)チップリーダで読取りを行うICチップが埋込まれた通帳等でも良い。また、ヘッドキャリア202の位置制御を、退避ガイド211や制御ガイド210でなく、ソレノイド等のアクチュエータにより位置制御を行う構成でも良い。