(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を車両のコンソールや計器盤に装備される電源ソケットに適用した実施の形態について説明する。
図1は実施の形態の電源ソケットを示し、(A)は上面図、(B)は側面図、
図2は
図1の(A)におけるA−A部拡大断面図である。
電源ソケット1は、ケース2と、ケース2の奥端に取り付けられて端子、フューズおよび接点を組み込んだ端子/フューズアセンブリ3と、ケース2の開口端に取り付けられたキャップ70とで構成されている。
なお、以下の説明ではケース2が上方に開口しているものとして上下関係を示す。
ケース2は、樹脂製のアウタケース10と金属製のインナケース30とからなる。アウタケース10は円筒部11を主体とし、円筒部11の開口端まわりに飾り部13が形成されている。インナケース30はアウタケース10の円筒部11内に圧接状態に挿入され、円筒部11の開口端近傍から下端近傍まで略全長にわたって延びている。
【0013】
インナケース30の下端部内側には端子/フューズアセンブリ3が嵌め込まれ、下方に延びる端子5とともにビス7による共締めで結合され、インナケース30は電気製品のプラグの電極に対する一方の接点となる。
端子/フューズアセンブリ3は、樹脂製のフューズボックス40を樹脂製のカバープレート50で蓋をしてハウジング4(
図8参照)を形成し、端子6を支持するとともにハウジング4内に接点円盤58およびフューズ60を収容する。
【0014】
図3は端子/フューズアセンブリ3の分解斜視図、
図4の(A)は接点円盤58を、(B)はフューズ60をそれぞれ示す拡大斜視図である。
とくに
図4に示すように、フューズ60は薄板の弾性導電板61に、過熱により溶融する樹脂材の可溶体65を備えている。弾性導電板61はリング部62と、リング部62から内方に延びてリング部62と同心の小リングを形成する舌片63とからなり、可溶体65は短寸の円管状をなして舌片63の小リング上に支持されている。 弾性導電板61(舌片63)と可溶体65の結合は例えばアウトサート成形あるいは接着による。
【0015】
舌片63はその根元で曲げられ、可溶体65を支持する部位がリング部62よりもわずかに上方にオフセットしている。
図4にはその曲げ線のみ示している。
弾性導電板61のリング部62は、リング中心を挟んで舌片63の根元と反対側の部分を直線の内縁をもつ太幅部62aとしている。
また、リング部62の太幅部62aの外周縁には上に凸にプレス起し部64が形成され、リング部62の舌片63がつながっている側の外周縁には下に凸にプレス起し部64が形成されている。
接点円盤58は、弾性導電板61の外径よりも大径で、後述するカバープレート50の上壁51の径と同等にしてある。
【0016】
図5はフューズボックス40を示し、(A)は上面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)は(A)におけるB−B部断面図、(E)は(A)におけるC−C部断面図、(F)は裏面図、そして(G)は(A)におけるD−D部断面図である。
フューズボックス40は側壁41の基本形状を円筒とし、下端にアウタケース10の円筒部11の下端内径に整合する外径の拡径リング部46を有する。
側壁41の拡径リング部46から上方の外径はアウタケース10の内面に圧接されたインナケース30の内径に対応させるが、インナケース30への挿入の容易化と成形時の型抜きのため、上方に行くほどわずかに縮径するように傾斜させてよい。
【0017】
側壁41の外面の周方向複数箇所には、拡径リング部46の軸方向直上に係止爪45が設けられている。
図5の(G)に示すように、係止爪45は、下端の根元で側壁41につながって、内側面を側壁41の外面に対しインナケース30の板厚を受入可能な間隙で上方へ延ばし、また外側面を上細の傾斜面45aにするとともにこれに連なる下端面を軸方向に対して垂直な係止面45bとする。間隙部分はインナケース30の下端縁との係止部となり、係止面45bはアウタケース10との係止部となる。
【0018】
とくに
図5の(D)に示すように、側壁41の内部には、側壁41の高さの略1/2の位置に底壁42を有する。
側壁41における底壁42より上側の内面は、上端からカバープレート50の上壁51の厚さに対応する軸方向範囲の第1内壁部41aとそれより下部の第2内壁部41bとに分かれている。第1内壁部41aの径は上壁51の外径に対応させ、第2内壁部41bの径はフューズ60の弾性導電板61の外径に対応させてある。第1内壁部41aと相対的に小径の第2内壁部41bとの境界は全周が棚部41cとなっている。
底壁42より上側には、第2内壁部41bの周方向所定部位から内方へ突出し、底壁42から上方へオフセットしたフューズ支持部43が形成されている。フューズ支持部43の上面は棚部41cから弾性導電板61の板厚に対応する分だけ低くなっている。
【0019】
図5の(A)、(B)に示すように、側壁41はフューズ支持部43の周方向中央を通る直径線上で対向する部位が所定幅で棚部41cから上の第1内壁部41aを切り欠かれている。
側壁41の外面には上記第1内壁部41aの切り欠き47に連なって同じ所定幅で、棚部41cから拡径リング部46に到達するまで下方に延びる収容溝48が形成されている。収容溝48はカバープレート50の後述する連結壁53を収容するため、連結壁53の板厚に対応する径方向深さを有し、底壁は円筒面をなしている。
収容溝48の所定高さ位置の溝幅中央には上側を傾斜面44aにするとともにこれに連なる下端面を軸方向に対して垂直な係止面44bとする爪44を設けてある(
図5の(E)も参照)。爪44の幅は連結壁53の後述する係止穴54に収まるサイズに設定される。
拡径リング部46には収容溝48に連なって収容溝48より狭幅の溝49が形成されている。
【0020】
図5の(E)に示すように、底壁42はフューズ支持部43より中央寄りに隣接して下端(側壁41の下端縁の高さ)まで延びるボス部90を裏面側に備え、ボス部90には端子6を通過させる貫通スリット91が形成されている。そして、ボス部90の下端部には貫通スリット91に沿って切り欠き92が形成されている。
貫通スリット91の上端開口まわりは端子6の曲げ部との干渉を避けるとともに肉抜きを兼ねて所定深さの凹部93としてある。
底壁42上にはフューズ60を位置決めする円弧状のフューズガイド94が向かい合って形成されている。底壁42上の端子6はこのフューズガイド94の間を延びる。
【0021】
収容溝48を通る直径線に対して垂直な直径線上には、
図5の(C)、(D)に示すように、底壁42の下面にそって一方の側壁41から中心近傍まで延びるネジボス95が形成され、側壁41の外面にネジ孔97が開口している。ネジ孔97が開口する所定領域は平面部96となっている。
図5の(D)、(F)に示すように、ネジ孔97の開口側から中心寄り所定距離にはネジボス95を横切る保持壁98がボス部90と同じ下端まで延び、ネジ孔97開口側の側壁41(拡径リング部46)から保持壁98まで、端子5をガイドするガイド溝99が延びている。
【0022】
図6はカバープレート50を示し、(A)は上面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)は(A)におけるE−E部断面図である。
カバープレート50は、上壁51と、上壁51の直径線上対向する外縁から下方に延びる連結壁53とからなる。
上壁51はフューズボックス40の第1内壁部41aの内径に整合する外径を有し、中央に穴52を有して、ケース2に挿入されるプラグ先端の電極を通過可能としている。
連結壁53には矩形の係止穴54を備え、上壁51をフューズボックス40の側壁41(第1内壁部41a)に落とし込んだときに、収容溝48内において係止穴54とフューズボックス40の爪44とが嵌り合うように設定してある。
上壁51の裏面には所定高さの小径部56が突出している。小径部56は穴52と同心のリング状である。
連結壁53の下端には外方(径方向)に突出する突起55が設けてあり、突起55の上面を軸方向に対して垂直な係止面55aとしている。
【0023】
図7は端子を示し、(A)は端子5の斜視図、(B)は端子6の斜視図である。
端子5はクランク状に折り曲げ形成され、ビス孔103を備える取り付け部102と外部コネクタに接続するためのコネクタプラグ部100を水平部101で接続している。
端子6はL字形に折り曲げ形成され、コネクタプラグ部105と水平部106とからなる。水平部106はフューズ60の弾性導電板61と接触する接触エリアとなっている。コネクタプラグ部105には切り起し爪108が形成されている。
【0024】
端子/フューズアセンブリ3は、上述したフューズボックス40に、
図3に示す配置順で端子6、フューズ60、接点円盤58を嵌め込んで組み立てられる。
端子6はそのコネクタプラグ部105をフューズボックス40の貫通スリット91に上方から挿入し、底壁42の裏面側へ貫通した切り起し爪108をボス部90の切り欠き92に係止させて抜け止めされる。水平部106が底壁42上をフューズ支持部43とは反対方向に側壁41まで延びる。
【0025】
フューズ60は可溶体65を上にして、弾性導電板61の太幅部62aをフューズ支持部43の上面に載置し、その上に接点円盤58を重ねる。
それから、カバープレート50の連結壁53をフューズボックス40の側壁41の収容溝48に沿わせながら、上壁51を第1内壁部41aに嵌め込むことにより、ユニット化する。
図8はユニット化した端子/フューズアセンブリ3の外観を示し、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
カバープレート50がフューズボックス40から離脱しようとすると、フューズボックス40の爪44の係止面44bが連結壁53の係止穴54の下縁に係止して連結状態を保持する。
【0026】
端子/フューズアセンブリ3のハウジング4内において、上壁51裏面の小径部56により押さえつけられた接点円盤58は、棚部41cに着座するとともに、同時に可溶体65に当接してこれを下方に押し下げるので、可溶体65を支持する舌片63が押し下げられる。
これにより、リング部62における舌片63がつながる側が下方に引かれて、
図2に示すように、弾性導電板61が傾斜状態に弾性変形する。そして、とくにリング部62が舌片63より下方にオフセットしているので、舌片63およびその根元まわりのリング部までが底壁42上を延びる端子6の水平部106に押し付けられる。上記オフセット量はわずかであるので、
図2には省略している。
【0027】
ここで、フューズ支持部43に載置されたフューズ60の弾性導電板61(太幅部62a)の上面は棚部41cと同一高さであるが、太幅部62aの外周縁にプレス起し部64が上方に向けて形成されているので、弾性導電板61は棚部41cに着座した接点円盤58と確実に接触状態を保つ。
弾性導電板61と端子6の間についても、舌片63につながって下方に引かれた側のリング部62の外周縁にプレス起し部64が下方に向けて形成されているので、舌片63の接触によるだけでなく確実な接触が保持される。
こうして、弾性導電板61を介して接点円盤58と端子6間の電気的な導通状態が保持される。
【0028】
つぎに、
図9はアウタケース10を示し、(A)は斜視図、(B)は上面図、(C)は正面図、(D)は側面図、(E)は(C)におけるF部拡大図である。
アウタケース10の飾り部13は、電源ソケット1を取り付けるコンソール等における取付け壁の穴縁に着座させるためのフランジ14を円筒部11の上部開口端から所定距離だけ下方に形成し、そのフランジ14上面から意匠飾りを兼ねたストップブロック15(15a、15b、15c)を開口端より上方まで立ち上げている。
ストップブロック15はそれぞれ周方向約1/9の長さをもって周方向等分位置に3箇所設けられている。ストップブロック15の径方向外側面はフランジ14の外周縁に沿って上方に延びる外縦壁17、内側面は円筒部11の外周に連なるとともに開口端より上方は外側面と同軸の円弧面で延びる内縦壁18となっている。また、周方向両端の側縦壁19は互いに略平行に形成されている。これにより、複数のストップブロック15間は周方向における凹部となっている。
そして、ストップブロック15の上面は内径側から外径側に向かってなだらかに下がる曲面となっており、内縦壁18および外縦壁17への移行部はアール(R)面取りされている。
【0029】
1つのストップブロック15aには、その周方向中央を通る直径線に対して垂直方向の軸孔20を設けてあり、ヒンジ構成部位となる。
ストップブロック15aに対して周方向反対側で、2つのストップブロック15b、15cの間の円筒部11の外周面には門形の枠部21を形成してある。枠部21の門幅(周方向幅)は後述するキャップ70の爪81の幅より大きく設定してある。
なお、円筒部11の外面には、フランジ14から所定距離下方に爪23が設けられて、取付け壁の裏面に係止して抜け止めされるようになっている。
円筒部11の外面にはさらに、電源ソケット1の回転位置を規定するためのガイド条24が形成してある。
円筒部11の上端開口にはインナケース30の上端縁を隠す内堤12(
図2参照)が形成され、下部には水抜き穴27が形成されている。
【0030】
円筒部11の下端にはカバープレート50の突起55が係止するための切り欠き25が下方に開口して形成されている。
図9の(E)に拡大して示すように、切り欠き25の上縁25aには弾性変形部29が設けてある。弾性変形部29は頂を下向きにした山形状をなすとともに切り欠き25の上縁25aより上部に基部を有し、その両側が上縁25aに対する切り欠きとなっている。弾性変形部29の頂は切り欠き25の上縁25aより下方に所定量突出している。
図9において、28は端子5をインナケース30に固定するためのビス7を逃げる切り欠きである。
【0031】
図10はインナケース30を示す斜視図である。
インナケース30は板材からプレス曲げ加工により作製する。
図10の(A)に示すように、インナケース30の外径は自由状態でアウタケース10の内径よりも大きく、軸方向の割りQを有して、割り幅W(割り部の周方向間隙)を狭める方向に縮径してアウタケース10内に挿入可能となっている。
すなわち、割り幅Wは、当該割り幅Wを狭める方向にインナケース30を圧縮したときその外径がアウタケース10の内径よりも小さく縮径するように、アウタケース10の内径およびインナケース30の自由状態の外径と関連して設定される。
インナケース30を縮径状態でアウタケース10に挿入してから解放すれば、弾性復帰力により拡径してアウタケースの内壁に圧接し、所定の内径寸法をもって嵌め込み状態となる。
嵌め込み状態におけるインナケース30の内径を例えば21mmとするとき、割り幅Wは全長にわたって1.5〜2.0mm程度とすればよい。
【0032】
割りQはインナケース30の軸方向両端から所定距離(例えば5mm)以下の第1直線部Q1と、その後傾斜部Q3を経て第1直線部Q1から周方向にオフセットした第2直線部Q2とからなっており、割り幅Wは傾斜部Q3を含めて全長にわたって一定とする。
そして、
図10の(B)に示すように、自由状態において軸端から覗いた第1直線部Q1と第2直線部Q2の割り幅の重なりmが他の嵌ってくるインナケース(インナケース30)の板厚より小さくなるように、第1直線部Q1と第2直線部Q2間のオフセット量tを設定する。好ましくは
図10の(A)に示すように、オフセット量tを割り幅Wよりも大きくして、軸端から第1直線部Q1を通して覗いたとき第2直線部Q2が見えないように設定するのが良い。
インナケース30がそれぞれ割りを有していると、インナケース同士が互いの割りに嵌り合うことは避けられないが、嵌り合う深さは傾斜部Q3が障壁となって軸端の第1直線部Q1の長さ範囲に制限される。したがって、第1直線部Q1の長さは短いほうが好ましく、第1直線部Q1の長さは第2直線部Q2の長さの約1/4程度に短くしてある。
インナケース30の側面には、アウタケース10の水抜き穴27に対応する水抜き穴37が設けられるとともに、下端部にはビス穴33を有して端子5の取付け座となる平坦部32が形成されている。
【0033】
前述の端子/フューズアセンブリ3の組み付けは、インナケース30をアウタケース10に挿入する前にインナケース30に取り付けて行う。
まず端子5の水平部101をフューズボックス40のガイド溝99に沿わせて側方から押し込んで、取り付け部102をネジ孔97が開口する平面部96に着座させるとともに、コネクタプラグ部100を保持壁98に当接させて位置決めする。そして、端子5の取り付け部102を平坦部32に位置合わせしながら端子/フューズアセンブリ3を自由状態のインナケース30に下方から挿入する。
この際、インナケース30の下端縁を各係止爪45と側壁41の間隙に受ける。インナケース30の下端縁が係止爪45の根元に底付きした状態で、平坦部32のビス穴33から端子5の取り付け部102のビス孔103を通してビス7をフューズボックス40のネジ孔97に締め込むことにより、端子/フューズアセンブリ3と端子5とが同時にインナケース30に結合される。
【0034】
インナケース30のアウタケース10への取り付けは、端子/フューズアセンブリ3を結合したインナケース30を撓ませて、端子5の取り付け部102(ビス7)を切り欠き28に位置合わせしながら、当該インナケース30を円筒部11に下方から挿入して嵌め込む。
ここでは、フューズボックス40の係止爪45が円筒部11を弾性変形させながら進入した後、係止爪45の係止面45bが円筒部11の係止穴26の下縁に係止する。これにより、端子/フューズアセンブリ3(およびインナケース30)が位置決めされ、アウタケース10に対する抜け方向(下方)への移動が規制される。
【0035】
他方、カバープレート50の連結壁53に設けた突起55が円筒部11の切り欠き25に下方から入り、突起55の係止面55aが切り欠き25の上縁25aに係止して、端子/フューズアセンブリ3のアウタケース10に対する進入方向(上方)への移動が規制される。
これにより、端子/フューズアセンブリ3のケース2に対する取り付け位置が固定される。
ケース2の水抜き穴27、37はその下半部が端子/フューズアセンブリ3にかかる位置に開口する。
端子/フューズアセンブリ3がケース2に取り付けられた状態において、ケース2に挿入されるプラグ先端の電極はカバープレート50の上壁51の穴52を通過して接点円盤58に接触可能となり、端子6まで電気的に導通する。
【0036】
ここで、カバープレート50の突起55が係止する切り欠き25において、当該切り欠き25の上縁25aに形成された弾性変形部29の山形状の頂が上縁25aより下方に突出しているため、突起55の係止面55aが弾性変形部29を押圧して弾性変形させ、その反力で連結壁53を下方に付勢する。
これにより、係止爪45が円筒部11の係止穴26の下縁に係止してフューズボックス40が位置保持される一方、カバープレート50の上壁51が接点円盤58に対して押圧状態に保持される。したがって、端子/フューズアセンブリ3の構成部品に製造誤差があっても、例えばハウジング4内部で接点円盤58が踊って異音を発するなどの事象は生じない。
【0037】
図11はキャップ70を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は背面図、(D)は側面図、(E)は裏面図、(F)は斜視図である。
キャップ70は樹脂製で、(A)の平面図において円を基本形とする主部71から全体として花弁状に外方3方に延びる拡径部72(72a、72b、72c)を有している。
主部71は上面中央がわずかに盛り上がる一方、裏面は拡径部72に及ぶまで平坦となっている。
拡径部72は外広がりで、アウタケース10の飾り部13におけるストップブロック15間の周方向間隙に嵌り込むように配置され、外方に延びる側縁73とストップブロック15の周方向両端の側縦壁19との間に所定間隙S(
図1参照)ができるように設定される。
【0038】
隣接する所定の2つの拡径部72b、72cには、両者間の間隙の中間を通る直径線Pに対して垂直方向の軸孔76をもつ軸支持部75が設けられ、軸孔76をそれぞれの側縁73が含まれる平行平面上で対向させて開口している。軸孔76の高さ位置は主部71の裏面よりわずかに低く設定してある。
軸支持部75を備えない他の拡径部72aには、その上面から外周を越えてわずかに外方に突出する指掛部77を設けてある。指掛部77を除いて、拡径部72の上面は径方向においてわずかに盛り上がった山形の曲面とし、外周縁74に沿ってはアール面取りしてある。なお、先の
図1では簡単のため拡径部72上面の曲がり線は省略してある。
先の飾り部13のストップブロック15の上面における内径側から外径側に向かってなだらかに下がる曲面は上記山形の曲面の頂部から外側を倣ったものであり、山形の頂部から内側は内径側の内縦壁18との間のアール面取り領域に入っている。
【0039】
各拡径部72の裏面には所定高さの円弧壁79が形成されている。円弧壁79は主部71と同心で、内側の径をアウタケース10の円筒部11の開口端外周に対して余裕をもたせた大径にしてある。
とくに指掛部77を備える拡径部72aの円弧壁79は、その根元に周方向のスリット80を設けて径方向に撓みやすくしてあり、また、その内壁に爪81を形成してある。
【0040】
キャップ70の軸支持部75と飾り部13のストップブロック15aの各軸孔76、20にヒンジピン38を通してヒンジH(
図1参照)が形成され、これによりキャップ70がケース2(アウタケース10)に連結される。
キャップ70をヒンジまわりに回転させ、指掛部77側を押し込むと、円弧壁79がわずかに撓んで爪81が円筒部11の枠部21を乗り越え、当該枠部21に係止して、
図2に示すように、円筒部11の開口端まわりをカバーする。この状態で、
図1に示すように、キャップ70の円弧壁79の下縁が飾り部13のフランジ14に着座または近傍に位置し、また、拡径部72の上面が飾り部13のストップブロック15の上面と連続性をもつように設定してある。
また、拡径部72の側縁73とストップブロック15の側縦壁19間の所定間隙S(
図1参照)は、キャップ70を開いた位置から円筒部11の開口端をカバーするまでの回転操作の間に互いに干渉しない限りでできるだけ狭く設定するのが好ましい。
【0041】
以上の構成になる電源ソケット1では、キャップ70を閉じるとキャップ70の凸部としての拡径部72と飾り部13の周方向におけるストップブロック15間の凹部とが互いに嵌り合う。
したがって、例えば横方向からの外力Fが作用した場合、キャップ70はストップブロック15aを含むヒンジH部を軸として回動しようとするため、
図12に示すように、拡径部72cの側縁73がストップブロック15bの側縦壁19に当接し、さらには拡径部72aの側縁73がストップブロック15cの側縦壁19に当接して側縁73と側縦壁19間の間隙Sを詰める。拡径部72a、72cにかかる反力はその面に沿った方向であり、これに対する剛性が高いから、拡径部72a、72cや主部71が変形することもなく、キャップ70は間隙Sを詰める以上の変位を阻止される。
【0042】
この結果、キャップ70の回動量が小さく抑えられて、ヒンジHに過大な捻れが作用しないのでヒンジH部の破損も生じない。
この際、キャップ70の爪81が係止するケース2側の枠部21の門幅が大きいため、拡径部72cの側縁73がストップブロック15a、15bの側縦壁19に当接するまでのキャップ70の変位では係止が外れることはなく、したがってキャップ70が開いてしまうこともない。
また、キャップ70が閉じた状態では、キャップ70の円形の主部71を拡径部72と飾り部13のストップブロック15とが取り囲んだ花模様を呈して意匠的にも高級感を与える。
指掛部77を持ち上げれば爪81と枠部21の係合が外れて、容易にキャップ70を開くことができる。
【0043】
本実施の形態では、端子/フューズアセンブリ3が発明における接点ユニットに該当し、インナケース30が金属製のケースに該当している。
フューズボックス40が第2ハウジングパーツに該当し、カバープレート50が第1ハウジングパーツに該当する。そして、カバープレート50の穴52が窓に該当し、連結壁53の係止穴54とフューズボックス40の収容溝48の爪44とで抜け止め手段を構成している。
端子6が第1の端子に該当し、接点円盤58が第1の接点に、そして端子5が第2の端子に該当する。
切り欠き25の上縁25aが係止縁に該当し、円筒部11の係止穴26が係止部に該当する。
【0044】
実施の形態は以上のように構成され、端子/フューズアセンブリ3は、それぞれ非導電体である樹脂製のフューズボックス40にカバープレート50を重ねてハウジング4を形成し、該ハウジング4内からフューズボックス40の底壁42を貫通してハウジング4外へ延びる端子6と、弾性導電板61および該弾性導電板61上に重ねられて過熱により溶融する可溶体65からなり、弾性導電板61の可溶体65との重なり部である舌片63と異なる部位を端子6から離間した上方のフューズ支持部43に支持されてハウジング4内に配置されたフューズ60と、該フューズ60の上に配置されカバープレート50から押圧される接点円盤58とを有し、カバープレート50は接点円盤58にプラグの電極が接触可能に接点円盤58を露出させる穴52を備え、カバープレート50とフューズボックス40の結合状態において接点円盤58が可溶体65を押圧し、弾性導電板61が弾性変形して接点円盤58および端子6と接触することにより、接点円盤58と端子6間が導通し、可溶体65が溶融したとき、弾性導電板61が弾性復元して端子6から離間することにより、接点円盤58と端子6間が非導通となるものとした。
【0045】
これにより、接点円盤58、フューズ60および端子6がユニット化されて取り扱いが簡便となり、一部品としてケースに組み込むことができる。また、ハウジング4自体が絶縁機能を有するため、碍子や絶縁台、さらには特殊ボルトとして作製しなければならない給電ターミナルなどコスト高となる部品が不要になるとともに、多くの電源ソケット用として共用も可能となるので、電源ソケットのコストが低減する。
【0046】
カバープレート50は、接点円盤58が着座する上壁51と、上壁51の外周縁からフューズボックス40側へ延びる連結壁53とからなり、上壁51に穴52が形成され、フューズボックス40は有底筒形をなし、その側壁41に連結壁53を受け入れる収容溝48を備えて、連結壁53に係止穴54を設ける一方、収容溝48に係止穴54と係止する爪44を設けて抜け止めとしてあるので、フューズボックス40に端子6、フューズ60および接点円盤58を順次に取り付けたあと、連結壁53を収容溝48に沿わせてカバープレート50を押し込むだけで、手間のかかるネジ締め付けなどを要しないで、カバープレート50とフューズボックス40が抜け止め状態に連結されてユニット化された端子/フューズアセンブリ3が得られる。
そして、カバープレート50とフューズボックス40で形成されるハウジング4の外周形はインナケース30の断面に整合しているので、インナケース30に嵌めこみやすい。
【0047】
端子6はコネクタプラグ部105と水平部106を有するL字形をなして、コネクタプラグ部105をフューズボックス40の底壁42に設けた貫通スリット91に貫通させ、水平部106を底壁42上に沿わせているので、フューズ60の弾性導電板61との接触部が底壁42近傍の低位置となり、ハウジング4の高さを低くできて小型化される。
【0048】
フューズ60の弾性導電板61は、リング部62と、該リング部62から内方に延びる舌片63とからなり、可溶体65は円管状の樹脂製で前記舌片63上に結合され、リング部62のリング中心を挟んで舌片63の根元と反対側の部位をフューズボックス40における底壁42から上方のフューズ支持部43に支持し、可溶体65が接点円盤58から押圧されることにより舌片63が下方に変位して端子6の水平部106に接触している。
すなわち、弾性導電板61は舌片63の根元で折り返された形態となり、弾性導電板61に沿ったフューズ支持部43での支持点と接点円盤58による押圧点間の距離が長いため、弾性導電板61に大きな応力を生じさせることなく大きな高さ変化が得られるとともに、可溶体65が過熱でわずかでも溶融すると直ちに高さ変化が生じて弾性導電板61の端子6との接触がなくなるから過熱に対する応答性が高い。
【0049】
リング部62のリング中心を挟んで舌片63の根元と反対側の部位を太幅部62aとしたので、リング部62のフューズ支持部43に位置させる部位の指標となり、組み付けが容易となる。
【0050】
電源ソケット1は、金属製のインナケース30に端子/フューズアセンブリ3を嵌め込み、カバープレート50における上壁51の穴52を介して接点円盤58を第1の接点としてインナケース30内に露出させ、当該インナケース30を第2の接点としているので、電気製品のプラグをインナケース30に挿入するとプラグ先端の電極が穴52を通って接点円盤58と接触し、プラグ側面の電極がインナケース30と接触して、上記プラグを有する電気製品との間に電源供給回路が形成される。
金属製のインナケース30とユニット化された端子/フューズアセンブリ3だけで電源ソケット側の電源回路が形成され、構成が簡単である。
そして、端子/フューズアセンブリ3のフューズ60は接点円盤58と端子6の間に隣接配置されているため、電気製品のプラグ側で異常発熱した場合でも車両の電源側で異常発熱した場合でも、フューズ60がプラグ側または電源側と同時にその温度上昇に曝されて可溶体65が溶融し、高い応答性で電源供給回路を遮断する。
【0051】
また電源ソケットは、さらに樹脂製の筒状のアウタケース10を有して、インナケース30はアウタケース10の内側に重ねて配置し、カバープレート50の連結壁53には外方に突出する突起55が設けられ、フューズボックス40の側壁41の外面には係止爪45が設けられ、アウタケース10には、端子/フューズアセンブリ3の進入方向で突起55に係止する上縁25aを備える切り欠き25と、端子/フューズアセンブリ3の抜け方向で係止爪45が係止する係止穴26とが設けられているので、端子/フューズアセンブリ3はネジなど特段の結合部材を用いることなくアウタケース10に対して位置決め、固定され、組み付けが簡単である。
そして、アウタケース10を有するこの場合には、アウタケース10が端子/フューズアセンブリ3を保持するので、インナケース30は電気製品のプラグと接触する接点としてのみ機能すればよく、深絞り成形不要で板材からプレス曲げ加工により作製する低コストの簡単形状で済む。
【0052】
アウタケース10の切り欠き25の上縁25aには弾性変形部29を設けて、反力で連結壁53を抜け方向に付勢しているので、フューズボックス40が係止爪45とアウタケース10の係止穴26との係止により抜け方向が規制されているのに対して連結壁53を備えるカバープレート50がフューズボックス40を抜け方向に付勢して、カバープレート50とフューズボックス40が互いに押圧状態で重なる。したがって、両者の間にガタ発生がなく、ハウジング4内部で接点円盤58やフューズ60が踊って異音を生じることもない。
【0053】
インナケース30には端子/フューズアセンブリ3とともに端子5がビスの共締めで連結されているので、1個のビスによりインナケース30と端子5の結合と同時に、端子/フューズアセンブリ3を介してアウタケース10に対するインナケース30の位置決め、固定も達成され、構造の簡単化とコスト低減が達成される。
【0054】
なお、実施の形態ではフューズボックス40に設けた係止爪45が、アウタケース10の係止穴26に係止して抜け方向の位置決めを行うとともに、インナケース30下端の保持をも行うものとしたが、フューズボックス40(端子/フューズアセンブリ3)の位置決めとインナケース30の保持とは別個の爪等で行うようにしてもよい。
あるいはインナケース30の保持は、アウタケース10の円筒部11の上下開口端近傍の内壁に抜け止めの内堤を形成して行うこともできる。
【0055】
実施の形態では電源ソケット1を取り付ける取付け壁の穴縁に着座させるためのフランジ14を、端子/フューズアセンブリ3を組み込む円筒部11と一体に形成したものとしたが、取付け壁の穴縁に着座させる部分と円筒部とを別体に形成して組立体としてもよい。