【文献】
Hiromi MATSUNO, Masayuki NAKANO, Hiroyasu ISHIKAWA,Halo Antenna with Cylindrical Conductor for Space of Feed Circuits,Proceedings of the Asia-Pacific Microwave Conference 2011,IEEE,2011年12月 5日,pp.860-863
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記予め調整された角度は、前記パッチアンテナが円状又は角状の断面形状を有する場合、210又は330度であり、前記パッチアンテナが円弧状の断面形状を有する場合、0度であることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ装置。
給電点を有しない水平偏波素子を、前記ヘイローアンテナに対して予め定められた位置に更に備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された無指向性アンテナは、偏波間結合量を低減させることはできても、ヘイローアンテナと比較してアンテナ径が太径であるという問題がある。
【0006】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、偏波間結合量が低い細径のアンテナ装置、調整装置及び調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、第1給電点を有する水平偏波素子としてのヘイローアンテナと、前記ヘイローアンテナの円環に挿入された筒状導体と、前記筒状導体の中心軸を回転中心とする角度であって、前記第1給電点と成す角度が偏波間結合量に応じて予め調整された角度となる位置に第2給電点を有し、前記筒状導体に沿って折り曲げられた垂直偏波素子としてのパッチアンテナと、を備えることを特徴とするアンテナ装置である。
【0008】
また、本発明は、前記パッチアンテナが、円状、円弧状及び角状のいずれかの断面形状を有することを特徴とするアンテナ装置である。
【0009】
また、本発明は、前記予め調整された角度が、前記パッチアンテナが円状又は角状の断面形状を有する場合、210又は330[度]であり、前記パッチアンテナが円弧状の断面形状を有する場合、0[度]であることを特徴とするアンテナ装置である。
【0010】
また、本発明は、前記筒状導体が、円状又は角状の断面形状を有することを特徴とするアンテナ装置である。
【0011】
また、本発明は、前記ヘイローアンテナが、楕円形状を有することを特徴とするアンテナ装置である。
【0012】
また、本発明は、前記ヘイローアンテナ及び前記パッチアンテナの少なくとも一方は、多段に備えられることを特徴とするアンテナ装置である。
【0013】
また、本発明は、給電点を有しない水平偏波素子を、前記ヘイローアンテナに対して予め定められた位置に更に備えることを特徴とするアンテナ装置である。
【0014】
また、本発明は、給電点を有しない垂直偏波素子を、前記パッチアンテナの外側に更に備えることを特徴とするアンテナ装置である。
【0015】
また、本発明は、アンテナ装置のヘイローアンテナ及びパッチアンテナの偏波間結合量を検出する検出部と、前記ヘイローアンテナの第1給電点と、前記パッチアンテナの第2給電点と、が筒状導体の中心軸を回転中心として成す角度を、前記偏波間結合量を低減させるように、前記検出部により検出された偏波間結合量に基づいて調整する制御部と、を備えることを特徴とする調整装置である。
【0016】
また、本発明は、調整装置における調整方法であって、検出部が、アンテナ装置のヘイローアンテナ及びパッチアンテナの偏波間結合量を検出するステップと、制御部が、前記ヘイローアンテナの第1給電点と、前記パッチアンテナの第2給電点と、が筒状導体の中心軸を回転中心として成す角度を、前記偏波間結合量を低減させるように、前記検出部により検出された偏波間結合量に基づいて調整するステップと、を有することを特徴とする調整方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アンテナ装置は、第1給電点を有する水平偏波素子としてのヘイローアンテナと、前記ヘイローアンテナの円環に挿入された筒状導体と、前記筒状導体の中心軸を回転中心とする角度であって、前記第1給電点と成す角度が予め調整された角度となる位置に第2給電点を有し、前記筒状導体に沿って折り曲げられた垂直偏波素子としてのパッチアンテナと、を備える。これにより、アンテナ装置は、偏波間結合量が低い細径のアンテナ装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態における、アンテナ装置の第1構成例を示す正面図及び側面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態における、調整装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態における、周波数とSパラメータとの関係例を相対角0〜180[度]について示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態における、周波数とSパラメータとの関係例を相対角180〜360[度]について示す図である。
【
図5】本発明の第1実施形態における、相対角とS
12パラメータとの関係例を周波数毎に示す図である。
【
図6】本発明の第1実施形態における、相対角とS
12パラメータとの関係例を給電点の間隔毎に示す図である。
【
図7】本発明の第2実施形態における、アンテナ装置の第2構成例を示す斜視図である。
【
図8】本発明の第2実施形態における、周波数とSパラメータとの関係例を相対角0〜330[度]について示す図である。
【
図9】本発明の第3実施形態における、アンテナ装置の第3構成例を示す斜視図である。
【
図10】本発明の第3実施形態における、アンテナ装置の第4構成例を示す斜視図である。
【
図11】本発明の第3実施形態における、アンテナ装置の第4構成例を示す側面図である。
【
図12】本発明の第3実施形態における、アンテナ装置の水平面内指向性を示す図である。
【
図13】本発明の第3実施形態における、周波数とSパラメータとの関係例を示す図である。
【
図14】本発明の第3実施形態における、周波数とS
11,S
22,S
12パラメータとの関係例を相対角0〜90[度]について示す図である。
【
図15】本発明の第4実施形態における、アンテナ装置の第5構成例を示す斜視図である。
【
図16】本発明の第4実施形態における、アンテナ装置の第6構成例を示す斜視図である。
【
図17】本発明の第4実施形態における、アンテナ装置の第6構成例を示す側面図である。
【
図18】本発明の第4実施形態における、周波数とSパラメータとの関係例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1には、アンテナ装置(提案モデル)の第1構成例が、正面図及び側面図により示されている。アンテナ装置100は、水平偏波素子及び垂直偏波素子が組み合わされた偏波共用アンテナである。アンテナ装置100は、ヘイローアンテナ110と、円筒状パッチアンテナ120と、円筒状導体300とを備える。
【0020】
ヘイローアンテナ110は、水平偏波素子である。ここで、ヘイローアンテナ110の円環は、正円形状でもよいし、楕円形状でもよい。以下では、ヘイローアンテナ110の円環は、一例として、正円形状であるものとして説明を続ける。ヘイローアンテナ110は、給電点111を有する。
図1において、三角印は、給電点111の位置及び給電方向を示す。
【0021】
円筒状導体300は、ヘイローアンテナ110の円環に挿入されている。ここで、円筒状導体300は、ヘイローアンテナ110の円環の中心と、円筒状導体300の中心軸とが一致するように挿入される。これにより、ヘイローアンテナ110における電気的な対称性は保たれる。
【0022】
円筒状パッチアンテナ120は、垂直偏波素子である。円筒状パッチアンテナ120は、円筒状導体300の外側に沿って円筒状に折り曲げられた形状を有している。円筒状パッチアンテナ120には、円筒状パッチアンテナ120の中心軸と、円筒状導体300の中心軸とが一致するように、円筒状導体300が挿入された状態となっている。これにより、円筒状パッチアンテナ120における電気的な対称性は保たれる。
【0023】
円筒状パッチアンテナ120は、円筒状導体300の電位をグランド電位とする。また、円筒状パッチアンテナ120のインピーダンスは、円筒状パッチアンテナ120と円筒状導体300との距離(素子高)を変化させることにより調整される。円筒状パッチアンテナ120は、予め定められた距離だけ円筒状導体300から物理的に離されるので、ヘイローアンテナ110と電気的に直交する。これにより、円筒状パッチアンテナ120と、ヘイローアンテナ110との偏波間結合量は、円筒状パッチアンテナ120が円筒状導体300から物理的に離されない場合と比較して低くなる。
【0024】
円筒状導体300の中心軸を回転中心とする角度θであって、ヘイローアンテナ110の給電点111と成す角度が、偏波間結合量に応じて予め調整された角度となる位置に、円筒状パッチアンテナ120は、給電点121を有する。以下、給電点と他の給電点とが成す角度を、「相対角」という。また、
図1において、三角印は、給電点121の位置及び給電方向を示す。以下、円筒状導体300の長手方向の間隔であって、給電点111と給電点121との間隔を、「d」と表記する。
【0025】
ヘイローアンテナ110の給電点111と、円筒状パッチアンテナ120の給電点121との相対角は、ヘイローアンテナ110及び円筒状パッチアンテナ120の偏波間結合量が低くなるよう(高い偏波間アイソレーションとなるよう)、調整装置により予め調整される。
【0026】
図2には、調整装置の構成例が、ブロック図により示されている。調整装置200は、検出部210と、制御部220とを備える。検出部210は、アンテナ装置100のヘイローアンテナ110及び円筒状パッチアンテナ120の偏波間結合量を検出する。
【0027】
制御部220は、給電点111と給電点121との相対角θ(
図1を参照)を、ヘイローアンテナ110及び円筒状パッチアンテナ120の偏波間結合量を低減させるように、検出部210により検出された偏波間結合量に基づいて調整する。
【0028】
図3には、周波数とSパラメータとの関係例が、相対角0〜180[度]について示されている。また、
図4には、周波数とSパラメータとの関係例が、相対角180〜360[度]について示されている。ここで、横軸は周波数[GHz]を示す。また、縦軸はSパラメータ[dB]を示す。相対角θ=90±90[度](
図3を参照)の範囲では、相対角θ=270±90[度](
図4を参照)の範囲と比較して、偏波間結合量は高く、劣化している。
【0029】
図5には、相対角とS
12パラメータとの関係例が、周波数毎(0.99f,f,1.01f)に示されている。ここで、fは中心周波数である。検出部210は、偏波間結合量を低くすることができる相対角を検出する。また、制御部220は、検出された相対角となるまで、給電点111及び給電点121の相対角θを調整する。
図5では、相対角が210又は330[度]となる付近で、偏波間結合量は低い。この場合、制御部220は、偏波間結合量を低減させるように、給電点111及び給電点121の相対角θが210又は330[度]となるまで、給電点111及び給電点121の相対角θを調整する。
【0030】
なお、制御部220は、給電点111及び給電点121の相対角θを、偏波間結合量を低くすることができる相対角に厳密に一致させる必要はない。制御部220は、偏波間結合量を低くすることができる相対角に対して一定範囲(例えば、±30[度])に収まるように、給電点111及び給電点121の相対角θを調整してもよい。
【0031】
図6には、相対角とS
12パラメータとの関係例が、給電点の間隔毎(d=0.2λ,0.35λ,0.4λ)に示されている。ここで、λは電波の波長である。
図6に示されているように、偏波間結合量を低くすることができる相対角は、給電点111と給電点121との間隔d(素子間隔)には依存しない。
【0032】
以上のように、アンテナ装置100は、給電点111を有する水平偏波素子としてのヘイローアンテナ110と、ヘイローアンテナ110の円環に挿入された円筒状導体300と、円筒状導体300の中心軸を回転中心とする角度θであって、給電点111と成す角度が偏波間結合量に応じて予め調整された角度となる位置に給電点121を有し、円筒状導体300に沿って折り曲げられた垂直偏波素子としての円筒状パッチアンテナ120と、を備える。
この構成により、アンテナ装置100は、給電点111と成す角度が偏波間結合量に応じて予め調整された角度となる位置に、給電点121を有する。これにより、アンテナ装置100は、偏波間結合量が低い細径のアンテナ装置となる。
【0033】
また、給電回路を設置するための円筒状導体300の内側空間が広いので、アンテナ装置100には、高利得化及びビームチルト機能等が容易に追加される。また、アンテナ装置100は、内部に円筒状導体300が挿入された場合でも、垂直偏波素子としての円筒状パッチアンテナ120を容易に備えることができる。また、アンテナ装置100は、ヘイローアンテナ110と組み合わされる円筒状パッチアンテナ120の形状が最適化されていない場合でも、円筒状パッチアンテナ120が円筒状導体300から物理的に離されているので、偏波間結合量が低い。
【0034】
また、アンテナ装置100は、細径であり、径0.16λの円形レドームに収められることができる。また、相対角θが調整されることで、偏波間結合量は、例えば、約10[dB]改善される(
図3及び
図4を参照)。
【0035】
また、円筒状パッチアンテナ120及び円筒状導体300は、円状の断面形状を有する。ここで、予め調整された相対角θは、例えば、210又は330[度]でもよい。また、ヘイローアンテナ110は、楕円形状でもよい。
【0036】
また、調整装置200は、アンテナ装置100のヘイローアンテナ110及び円筒状パッチアンテナ120の偏波間結合量を検出する検出部210と、ヘイローアンテナ110の給電点111と、円筒状パッチアンテナ120の給電点121と、が円筒状導体300の中心軸を回転中心として成す角度(相対角)θを、前記偏波間結合量を低減させるように、検出部210により検出された偏波間結合量に基づいて調整する制御部220と、を備える。
この構成により、制御部220は、前記偏波間結合量を低減させるように、検出部210により検出された偏波間結合量に基づいて、相対角θを調整する。これにより、調整装置200は、細径のアンテナ装置の偏波間結合量を低くすることができる。
【0037】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について図面を参照して詳細に説明する。第2実施形態では、パッチアンテナが円弧状の断面形状を有する点が、第1実施形態と相違する。以下では、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0038】
図7には、アンテナ装置の第2構成例が斜視図により示されている。アンテナ装置101は、水平偏波素子及び垂直偏波素子が組み合わされた偏波共用アンテナである。アンテナ装置101は、ヘイローアンテナ110と、円弧筒状パッチアンテナ130と、円筒状導体300とを備える。円弧筒状パッチアンテナ130は、円弧状の断面形状を有する。
【0039】
図8には、周波数とSパラメータとの関係例が、相対角0〜330[度]について示されている。ここで、横軸は周波数[GHz]を示す。また、縦軸はSパラメータ[dB]を示す。相対角θ=0[度]では、他の相対角θと比較して、偏波間結合量は低い(偏波間アイソレーションが最大となる)。この場合、制御部220(
図2を参照)は、偏波間結合量を低減させるように、給電点111及び給電点121の相対角θが0[度]となるまで、給電点111及び給電点121の相対角θを調整する。
【0040】
以上のように、円弧筒状パッチアンテナ130は、円弧状の断面形状を有する。ここで、予め調整された相対角θは、例えば、0[度]でもよい。
これにより、アンテナ装置101は、偏波間結合量が低い細径のアンテナ装置となる。
【0041】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態について図面を参照して詳細に説明する。第3実施形態では、無給電素子がアンテナ装置に装荷される点が、第1及び第2実施形態と相違する。以下では、第1及び第2実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0042】
図9には、アンテナ装置の第3構成例が斜視図により示されている。アンテナ装置102aは、水平偏波素子及び垂直偏波素子が組み合わされた偏波共用アンテナである。アンテナ装置102aは、ヘイローアンテナ110と、無給電ヘイローアンテナ140−1及び140−2と、円弧筒状パッチアンテナ130と、円筒状導体300とを備える。
【0043】
アンテナ装置102aは、ヘイローアンテナ110に対して予め定められた第1位置に、水平偏波用の無給電ヘイローアンテナ140−1を備える。また、アンテナ装置102aは、ヘイローアンテナ110に対して予め定められた第2位置に、水平偏波用の無給電ヘイローアンテナ140−2を備える。つまり、アンテナ装置102aには、水平偏波素子が多段に装荷される。
【0044】
図10には、アンテナ装置の第4構成例が斜視図により示されている。アンテナ装置102bは、水平偏波素子及び垂直偏波素子が組み合わされた偏波共用アンテナである。アンテナ装置の第3構成例に対し、第4構成例では、垂直偏波用の円筒状無給電パッチアンテナ160が、円弧筒状パッチアンテナ130の外側に更に装荷される。
【0045】
図11には、アンテナ装置の第4構成例が側面図により示されている。円筒状無給電パッチアンテナ160の径は、例えば、ヘイローアンテナ110と同程度である。また、円弧筒状パッチアンテナ130は、円筒状導体300の電位をグランド電位とする。また、円弧筒状パッチアンテナ130のインピーダンスは、円弧筒状パッチアンテナ130と円筒状導体300との距離(素子高)と、円弧筒状パッチアンテナ130のパッチ幅と、を変化させることにより調整される。ここで、パッチ幅とは、円弧筒状パッチアンテナ130のギャップの端同士が、筒状導体の中心軸を回転中心として成す角度に応じた幅である。
【0046】
図12には、アンテナ装置の水平面内指向性(放射パターン)が示されている。ここで、
図12(A)には、円弧筒状パッチアンテナ130(垂直偏波)の水平面内指向性が示されている。また、
図12(B)には、ヘイローアンテナ110(水平偏波)の水平面内指向性が示されている。
図12(A)及び(B)に示されているように、水平面内の指向性は、円弧筒状パッチアンテナ130(垂直偏波)、及びヘイローアンテナ110(水平偏波)ともに無指向性となる。
【0047】
図13には、周波数とSパラメータ(リターンロス及び偏波間結合量)との関係例が示されている。ここで、横軸は周波数[GHz]を示す。また、縦軸はSパラメータ[dB]を示す。横軸に示された周波数帯域では、偏波間結合量は約−40[dB]であり、高い偏波間アイソレーションが得られる。
【0048】
図14には、周波数とS
11,S
22,S
12パラメータとの関係例が、相対角0〜90[度]について示されている。ここで、横軸は周波数[GHz]を示す。また、縦軸は、S
11,S
22,S
12パラメータ(リターンロス及び偏波間結合量)[dB]を示す。
【0049】
相対角θ=30〜60[度]では、他の相対角θと比較して、偏波間結合量は低い(偏波間アイソレーションが最大となる)。この場合、制御部220(
図2を参照)は、偏波間結合量を低減させるように、給電点111及び給電点121の相対角θが30〜60[度]となるまで、給電点111及び給電点121の相対角θを調整する。偏波間結合量は、相対角θが調整されることで、低周波領域では約3[dB]、また、高周波領域では約10[dB]改善される(
図14を参照)。
【0050】
以上のように、アンテナ装置102a及び102b(アレーアンテナ装置)は、水平偏波素子(例えば、ヘイローアンテナ110)及び垂直偏波素子(例えば、円弧筒状パッチアンテナ130)の少なくとも一方を、多段に備える。
これにより、アンテナ装置102a及び102bは、偏波間結合量が低い細径のアンテナ装置となる。
【0051】
また、アンテナ装置102aは、給電点を有しない水平偏波用の無給電ヘイローアンテナ140−1及び140−2を、ヘイローアンテナ110に対して予め定められた位置に更に備える。また、アンテナ装置102bは、給電点を有しない垂直偏波用の円筒状無給電パッチアンテナ160を、円弧筒状パッチアンテナ130の外側に更に備える。
【0052】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態について図面を参照して詳細に説明する。第4実施形態では、円筒導体の代わりに角筒導体がアンテナ装置に挿入される点が、第1〜第3実施形態と相違する。以下では、第1〜第3実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0053】
図15には、アンテナ装置の第5構成例が斜視図により示されている。アンテナ装置103aは、水平偏波素子及び垂直偏波素子が組み合わされた偏波共用アンテナである。アンテナ装置103aは、ヘイローアンテナ110と、無給電ヘイローアンテナ140−1及び140−2と、角筒状パッチアンテナ170と、角筒状導体400とを備える。
【0054】
角筒状導体400は、ヘイローアンテナ110の円環に挿入されている。ここで、角筒状導体400は、ヘイローアンテナ110の円環の中心と、角筒状導体400の中心軸とが一致するように挿入される。これにより、ヘイローアンテナ110における電気的な対称性は保たれる。
【0055】
角筒状パッチアンテナ170は、垂直偏波素子である。角筒状パッチアンテナ170は、角筒状導体400の外側に沿って角筒状に折り曲げられた形状を有している。角筒状パッチアンテナ170には、角筒状パッチアンテナ170の中心軸と、角筒状導体400の中心軸とが一致するように、角筒状導体400が挿入された状態となっている。これにより、角筒状パッチアンテナ170における電気的な対称性は保たれる。
【0056】
角筒状パッチアンテナ170は、角筒状導体400の電位をグランド電位とする。また、角筒状パッチアンテナ170のインピーダンスは、角筒状パッチアンテナ170と角筒状導体400との距離(素子高)を変化させることにより調整される。角筒状パッチアンテナ170は、予め定められた距離だけ角筒状導体400から物理的に離されるので、ヘイローアンテナ110と電気的に直交する。これにより、角筒状パッチアンテナ170と、ヘイローアンテナ110との偏波間結合量は、角筒状パッチアンテナ170が角筒状導体400から物理的に離されない場合と比較して低くなる。
【0057】
図16には、アンテナ装置の第6構成例が斜視図により示されている。アンテナ装置103bは、水平偏波素子及び垂直偏波素子が組み合わされた偏波共用アンテナである。アンテナ装置の第5構成例に対し、第6構成例では、垂直偏波用の円筒状無給電パッチアンテナ160が、角筒状パッチアンテナ170の外側に更に装荷される。
【0058】
図17には、アンテナ装置の第6構成例が側面図により示されている。以下では、角筒状パッチアンテナ170の断面形状は、一例として、四角形であるものとして説明を続ける。角筒状導体400の中心軸を回転中心とする相対角θであって、ヘイローアンテナ110の給電点111との相対角が、偏波間結合量に応じて予め調整された相対角となる位置に、角筒状パッチアンテナ170は、給電点171を有する。
図17において、三角印は、給電点171の位置及び給電方向を示す。
【0059】
ヘイローアンテナ110の給電点111と、角筒状パッチアンテナ170の給電点171との相対角は、ヘイローアンテナ110及び角筒状パッチアンテナ170の偏波間結合量が低くなるよう(高い偏波間アイソレーションとなるよう)、調整装置200により予め調整される。
【0060】
制御部220は、偏波間結合量を低くすることができる相対角となるよう、給電点111及び給電点171の相対角θを調整する。
図17では、相対角が210又は330[度]となる付近で、偏波間結合量は低い。この場合、制御部220は、偏波間結合量を低減させるように、給電点111及び給電点171の相対角θを210又は330[度]となるまで、給電点111及び給電点171の相対角θを調整する。
【0061】
図18には、周波数とSパラメータ(リターンロス及び偏波間結合量)との関係例が示されている。ここで、横軸は周波数[GHz]を示す。また、縦軸はSパラメータ[dB]を示す。横軸に示された周波数帯域では、偏波間結合量は約−35[dB]であり、高い偏波間アイソレーションが得られる。
【0062】
以上のように、角筒状パッチアンテナ170及び角筒状導体400は、角状の断面形状を有する。ここで、予め調整された相対角θは、例えば、210又は330[度]でもよい。
これにより、アンテナ装置103a及び103bは、偏波間結合量が低い細径のアンテナ装置となる。
【0063】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0064】
なお、以上に説明した調整装置を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。