【実施例】
【0087】
実施例1: 高い細胞密度におけるAd5ベクターでの感染
PER.C6(登録商標)作業細胞貯蔵庫からの細胞を、加湿したインキュベーター内の無血清培養培地にて37℃、10%CO
2で解凍し、増殖した。2Lバイオリアクターを1.5Lの容積および0.2から0.5×10
6生存細胞/mLの細胞密度で接種するに十分な細胞密度を達成するまで、二次培養を3から4日間ごとに行った。細胞をバイオリアクター内で37℃、DO40%およびpH7.3にて増殖した。ATF潅流処理を4.7×10
6総細胞/mLの細胞密度にて開始した。ATFはRefine Technology社,(East Hanover, NJ)からのものである。89時間後、細胞密度が12.4×10
6総細胞/mLに達した。この時点において、細胞の一部を採取し、細胞を5分間300gにて遠心分離した。細胞沈殿物を以下の濃度まで新鮮な無血清培地に再懸濁した:
1.3×10
6生存細胞/mL、30mL/振盪容器、2つの250mL振盪容器
1.0×10
6生存細胞/mL、30mL/振盪容器、2つの250mL振盪容器
20×10
6生存細胞/mL、30mL/振盪容器、2つの250mL振盪容器
30×10
6生存細胞/mL、30mL/振盪容器、2つの250mL振盪容器
【0088】
振盪容器をAd5.CS(rAd5ベクター;Shott et al, 2008)で90VP/細胞のMOIにて感染させ、36℃、10%CO
2および100rpmにて培養した。感染後1から2日目、培地リフレッシュメントを10,20および30×10
6生存細胞/mLにて感染させた振盪容器に対して行った。この培地リフレッシュメントを5分間、300gでの遠心分離工程により行い、細胞沈殿物を振盪容器あたり30mLの新鮮な培地に再懸濁した。感染後3日目、振盪容器を採取し、AEX−HPLC分析用の試料とした。採取物の細胞溶解を、1mL試料体積の各振盪容器を100μLの10%トリトンX−100と混合し、37℃で30分間培養することにより行った。培養後、試料を2.42μLのベンゾナーゼ/MgCl
2と混合し、その後次の培養を30分間37℃で行った。最後に、100μLの50%サッカロースを試料へ添加した。5分間2500gの遠心分離の工程後、AEX−HPLCによる分析を行って産生ウイルス粒子数(VP/mL)を測定するまで、試料を−65℃未満で保存した。結果を
図1に示す。
【0089】
10×10
6生存細胞/mLの細胞密度における感染の体積収率は、1×10
6生存細胞/mLにおけるものより10倍高い。以前の報告書で報告された細胞密度効果が一層低い密度(即ち、約0.5〜3×106細胞/mL、例えばMaranga et al., 2005; Kamen et al., 2004; Altaras et al., 2005)で与えられたのに較べて、これは多少予想外である。しかしながら、10×10
6細胞/mLを超えて細胞密度効果が観測され、体積収率が減少した。
【0090】
従って、組み換えAd5での細胞密度効果が潅流システムにて観測される。
【0091】
実施例2: 低い細胞密度(1〜1.6×10
6生存細胞/mL)におけるrAd35での感染
実施例1ではrAd5を使用した。しかしながら、異なるアデノウイルス抗原型が既知であり、異なる目的のために記載されている。かかる抗原型は、異なる性質を有するため、一つの抗原型に有用な処理が他の抗原型に必ずしも常に適切なものではない。これは特に産業規模の処理に関連し、一見小さい相違が経済的に非常に重要である可能性がある。例えば、ワクチンの使用の特に有利な一つの抗原型はAd35であり、本発明者らは以下の例においてrAd35の収率を改善して大量に得るための実現可能性を試験した。本例は、低い細胞密度におけるrAd35ベクターでの感染を、細胞をより高い細胞密度にて感染させた後述の例との比較として示す。
【0092】
PER.C6(登録商標)作業細胞貯蔵庫からの細胞を、加湿インキュベーター内の無血清培養培地にて37℃および10%CO
2で解凍し、増殖した。10Lバイオリアクターを5Lの体積および0.2から0.35×10
6生存細胞/mLの細胞密度で接種するのに十分な細胞密度を達成するまで二次培養を3から4日間ごとに行った。細胞をバイオリアクター内で37℃、DO40%およびpH7.3にて増殖した。接種後4日目(細胞密度が2から3.5×10
6生存細胞/mLの間に達したとき)、細胞懸濁液を5Lの新鮮な培地で希釈し、その後rAd35.TB−S(rAd35ベクター;Radosevic et al, 2007)で70VP/細胞のMOIにて感染させた。ウイルス増殖を36℃、pH7.3およびDO40%にて行った。感染後3日目、バイオリアクターを細胞数およびウイルス産生測定のために試料抽出した。ウイルスを放出するために、各バイオリアクターの1mL試料を100μLの10%トリトンX−100と混合し、37℃で30分間培養した。培養後、試料を2.42μLのベンゾナーゼ/MgCl
2と混合し、その後次の培養を30分間37℃で行った。最後に、100μLの50%サッカロースを試料へ添加した。5分間2500gにて遠心分離した工程後、試料を−65℃未満の温度にてAEX−HPLCによる分析をするまで保存した。計10個のバイオリアクター実験を行い、上記方法に従って分析し、これら実験が一貫した結果を与えた(図示せず)。平均ウイルス粒子産生は、2.3×10
11VP/mLである。
【0093】
約1.5×10
19VPの年間の需要のため、かかる収率で約65000Lを処理しなければならない。これは大きい施設、それに伴う莫大な先行投資をワクチン開発中に必要とする。
【0094】
実施例3: 高い細胞密度(>10×10
6生存細胞/mL)におけるrAd35の感染処理の実現可能性の検討
PER.C6(登録商標)作業細胞貯蔵庫からの細胞を、加湿したインキュベーター内の無血清培養培地にて37℃、10%CO
2で解凍し、増殖した。2Lバイオリアクターを1.5Lの体積および0.2から0.5×10
6生存細胞/mLの細胞密度において接種するに十分な細胞密度を達成するまで、二次培養を3から4日間ごとに行った。細胞をバイオリアクター内で37℃、DO40%およびpH7.3にて増殖した。培地潅流を6.8×10
6総細胞/mLの細胞密度でATFシステムを使用して開始した。70時間後、細胞密度が36.8×10
6総細胞/mLまで達した。この時点にて、以下の感染を行った:
・振盪容器中の感染における細胞密度:
1.3×10
6生存細胞/mL、30mL/振盪容器、2つの250mL振盪容器
1.0×10
6生存細胞/mL、30mL/振盪容器、2つの250mL振盪容器
20×10
6生存細胞/mL、30mL/振盪容器、2つの250mL振盪容器
30×10
6生存細胞/mL、30mL/振盪容器、2つの250mL振盪容器
・8.7×10
6総細胞/mL(84%生存)における2Lバイオリアクター規模の感染
バイオリアクターの感染の1時間後、試料をバイオリアクターから回収し、2つの250mL振盪容器に30mL/振盪容器で移した。
【0095】
250mL振盪容器における感染処理に関し、2Lバイオリアクターからの細胞懸濁液の一部を採取し、この懸濁液を5分間300gにて遠心分離した。細胞沈殿物を上記濃度まで新鮮な無血清培地に再懸濁した。振盪容器をAd35.TB−Sで70VP/細胞のMOIにて感染させ、36℃、10%CO
2および100rpmにて培養した。感染後1から2日目、培地リフレッシュメントを10,20および30×10
6生存細胞/mLにて感染させた振盪容器に対して行った。この培地リフレッシュメントを5分間300gにおける遠心分離工程により行い、細胞沈殿物を振盪容器あたり30mLの新鮮な培地に再懸濁した。感染後3日目、振盪容器を採取し、AEX−HPLCE分析用の試料とした。採取物の細胞溶解を、1mL試料体積の各振盪容器を100μLの10%トリトンX−100と混合し、37℃で30分間培養することにより行った。培養後、試料を2.42μLのベンゾナーゼ/MgCl
2と混合し、その後培養を30分間37℃で行った。最後に、100μLの50%サッカロースを試料へ添加した。5分間2500gにて遠心分離の工程後、試料を−65℃未満の温度にてAEX−HPLCによる分析を実行するまで保存した。
【0096】
2Lバイオリアクター内の残留細胞を、新鮮な無血清培地で8.7×10
6総細胞/mLの細胞濃度(84%生存率)まで希釈した。バイオリアクターをAd35.TB−Sで70VP/細胞のMOIにて感染させ、36℃、10%CO
2、pH7.3rpmおよびDO40%にて培養した。ATFシステムを、感染後15時間、一つのバイオリアクター容積/日の培地リフレッシュメント割合で開始した。感染後1,2,3および4日目、バイオリアクターを細胞数(Casy細胞数)およびAEX−HPLCによるウイルス産生測定のために試料抽出した。試料の調製を上記のように行った。AEX−HPLC分析を行うまで、試料を−65℃未満にて保存した。バイオリアクターの感染後約1時間、少なくとも60mLの試料を2Lバイオリアクターから取り出し、2つの感染(250mL振盪容器における)を30mL/振盪容器の容積にて開始した。感染後1から2日目、培地リフレッシュメントを行って潅流システムを再現した。この培地リフレッシュメントを5分間300gにおける遠心分離工程により行い、細胞沈殿物を振盪容器あたり30mLの新鮮な培地に再懸濁した。感染後3日目、振盪容器を採取し、AEX−HPLCE分析用の試料とした。試料の調製を上記のように行った。AEX−HPLCによる分析を行うまで試料を−65℃未満にて保存した。
【0097】
結果を
図2に示す。結果は、1.3×10
6生存細胞/mLから30×10
6生存細胞/mLの間の感染が可能なことを示す。rAd5との結果と対照的に、rAd35の総収率は、10×10
6生存細胞/mL試料を超える感染での上昇する細胞密度とともに増大した。30×10
6生存細胞/mLにおいて、1.4×10
12VP/mLの体積収率を達成した。
【0098】
これらの結果は、Ad35.TB−Sでの感染が高細胞密度、即ち10×10
6生存細胞/mL以上において可能であることを明らかに示す。30×10
6生存細胞/mLにてでさえ、感染は高体積収率を与えた。
【0099】
減少が、1.3×10
6細胞/mLにおいて120.000VP/細胞から30×10
6生存細胞/mLにおいて47.000VP/細胞までの単位産生率で確認されたことを留意する。バイオリアクター内で感染した細胞懸濁液から開始した振盪容器は、8.0×10
11VP/mLの採取収率および92.000VP/細胞の単位産生率を示す。2Lバイオリアクターにおける結果は多少低いもので:採取収率が5×10
11VP/mLに達し、57.000VP/細胞の単位産生率である。
【0100】
実施例4: 高い細胞密度における他のrAd35ベクターでの感染の実現可能性。
PER.C6(登録商標)作業細胞貯蔵庫からの細胞を、加湿したインキュベーター内の無血清培養培地にて37℃、10%CO
2で解凍し、増殖した。2Lバイオリアクターを1.5Lの体積および0.2から0.5×10
6生存細胞/mLの細胞密度にて接種するに十分な細胞密度を達成するまで、二次培養を3から4日間ごとに行った。細胞をバイオリアクター内で37℃、DO40%およびpH7.3にて増殖した。ATF潅流処理を5.1×10
6総細胞/mLの細胞密度にて開始した。70時間後、細胞密度が25×10
6総細胞/mLまで達した。この時点で細胞の一部を採取した。細胞を5分間300gにて遠心分離し、細胞沈殿物を以下の濃度まで新鮮な無血清培地に再懸濁した :
1.3×10
6生存細胞/mL、30mL/振盪容器、2つの250mL振盪容器
10×10
6生存細胞/mL、30mL/振盪容器、2つの250mL振盪容器
20×10
6生存細胞/mL、30mL/振盪容器、2つの250mL振盪容器
30×10
6生存細胞/mL、30mL/振盪容器、2つの250mL振盪容器
【0101】
振盪容器をAd5.eGFP(他のトランス遺伝子、即ちGFP遺伝子を含有するrAd5ベクター)で70VP/細胞のMOIにて感染させ、36℃、10%CO
2および100rpmにて培養した。感染後1から2日目、培地リフレッシュメントを10,20および30×10
6生存細胞/mLにて感染させた振盪容器に対して行った。この培地リフレッシュメントを5分間300gにおける遠心分離の工程により行い、細胞沈殿物を振盪容器あたり30mLの新鮮な培地に再懸濁した。感染後3日目、振盪容器を採取し、AEX−HPLC分析用の試料とした。採取物の細胞溶解を、1mL試料体積の各振盪容器を100μLの10%トリトンX−100と混合し、37℃で30分間培養した。培養後、試料を2.42μLのベンゾナーゼ/MgCl
2と混合し、その後培養を30分間37℃で行った。最後に、100μLの50%サッカロースを試料へ添加した。5分間2500gにて遠心分離した工程後、試料を−65℃未満の温度にてAEX−HPLCによる分析を実行するまで保存した。結果を
図3に示す。結果は、高い細胞密度における感染が他のAd35ベクター(Ad35.eGFP)でも実現可能であることを示す。体積収率(
図3)および単位産生率(データ図示せず)は、Ad35.TB−Sベクターと同じ範囲内である。
【0102】
実施例5: 高い細胞密度におけるrAd35ベクターでの感染のさらなる実験。
PER.C6(登録商標)作業細胞貯蔵庫からの細胞を、加湿したインキュベーター内の無血清培養培地にて37℃、10%CO
2で解凍し、増殖した。2Lバイオリアクターを0.25×10
6生存細胞/mLの細胞密度において接種するに十分な細胞密度を達成するまで、二次培養を3から4日間ごとに行った。細胞を2Lバイオリアクター内で37℃、DO40%およびpH7.3にて増殖した。約3.7×10
6総細胞/mLの細胞密度を達成(接種後4日目)したとき、ATFシステムを開始した。67時間後、40.7×10
6総細胞/mLの細胞密度を達成した。この時点にて、細胞懸濁液の一部を採取し、残留細胞を新鮮な培地で2Lバイオリアクター内にて細胞密度12.7×10
6総細胞/mL(87%生存率、したがって11×10
6生存細胞/mL)まで希釈した。その後、2LのバイオリアクターをAd35.TB−Sで70VP/細胞のMOIにて感染させ、36℃、10%CO
2、pH7.3rpmおよびDO40%にて培養した。ATFシステムを、感染後15時間、5つの容器容量/日の培地リフレッシュメント割合で開始した。感染後1,2,3および4日目、2Lのバイオリアクターを細胞数およびAEX−HPLCによるウイルス産生測定のために試料採取した。ウイルスを放出するため、1mLの試料を100μLの10%トリトンX−100と混合し、37℃で30分間培養した。培養後、試料を2.42μLのベンゾナーゼ/MgCl
2と混合し、その後培養を30分間37℃で行った。最後に、100μLの50%サッカロースを試料へ添加した。5分間2500gにて遠心分離した工程後、試料を−65℃未満の温度にてAEX−HPLCによる分析をするまで保存した。結果を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
結果は、10×10
6生存細胞/mLを超える細胞密度における感染が潅流システムと連結したバイオリアクター内にて実行可能であり、バッチ処理と比較して体積収率を約7倍まで上昇させることが可能であることを示した。感染培養物の早期細胞損失が観測されなかったことから、ATF処理が感染細胞を培養するための適切なシステムであることを示す。
【0105】
rAdバッチ用のFDAの必要条件は、VP/IU<30の比率である。QPA(Q−PCRに基づく効力試験;Wang et al, 2005)分析は、全ての試料が前記必要条件を満たすことを示した。対照的に、Yukら(2004)に開示された試料は、約100のVP/IU比率を有する(
図2A/2B)。物理的粒子に対する感染性粒子の比率は、アデノウイルスに対するパラメータに関するものであり、より低い比率がrAdバッチに好適である。本例において調製したバッチは、約15:1から18:1の低い比率を一貫して有する。
【0106】
約1.5×10
19VPの年間の需要のため、約1.5×10
12VP/mLの収率で約10000Lを処理しなければならない。かかる体積を1000L以下の施設にて処理することができ、従ってワクチン開発中の先行投資費用委託を減少する。
【0107】
実施例6: 高い細胞密度における減少した潅流割合でrAd35ベクターでの感染のさらなる実験。
PER.C6(登録商標)作業細胞貯蔵庫からの細胞を、加湿したインキュベーター内の無血清培養培地にて37℃、10%CO
2で解凍し、増殖した。2Lバイオリアクターを0.59×10
6生存細胞/mLの細胞密度において接種するに十分な細胞密度を達成するまで、二次培養を3から4日間ごとに行った。細胞を2Lバイオリアクター内で37℃、DO40%およびpH7.3にて増殖した。約2.9×10
6総細胞/mLの細胞密度を達成(接種後4日目)したとき、ATFシステムを開始した。潅流118時間後、29×10
6総細胞/mLの細胞密度を達成した。この時点にて、細胞懸濁液の一部を採取し、残留細胞を新鮮な培地で2Lバイオリアクター内にて細胞密度16.4×10
6総細胞/mL(82%生存率、したがって13.4×10
6生存細胞/mL)まで希釈した。その後、2LのバイオリアクターをAd35.TB−Sで70VP/細胞のMOIにて感染させ、36℃、pH7.3rpmおよびDO40%にて培養した。ATFシステムを、感染後15時間、2つの容器容量/日の培地リフレッシュメント割合で開始した。感染後1,2および3日目、2Lのバイオリアクターを細胞数およびAEX−HPLCによるウイルス産生測定のために試料採取した。ウイルスを放出するため、1mLの試料を100μLの10%トリトンX−100と混合し、37℃にて30分間培養した。培養後、試料を2.42μLのベンゾナーゼ/MgCl
2と混合し、その後培養を30分間37℃で行った。最後に、100μLの50%サッカロースを試料へ添加した。5分間2500gにて遠心分離した工程後、試料を−65℃未満の温度にてAEX−HPLCによる分析をするまで保存した。結果を表2に示す。
【0108】
結果は、10×10
6生存細胞/mLを超える細胞密度における感染が潅流システムと連結したバイオリアクター内にて実行可能であり、バッチ処理と比較して体積収率を約10倍まで上昇させることが可能であることを示した(実施例2)。感染培養物の早期細胞損失が観測されず、ATF処理が感染細胞を培養するための適切なシステムであることを示す。
【0109】
【表2】
【0110】
rAdバッチ用のFDA必要条件は、VP/IU<30の比率である。QPA(Q−PCRに基づく効力検定;Wang et al, 2005)分析は、全ての試料が前記必要条件を満たすことを示す。対照的に、Yukら(2004)に開示された試料は、約100のVP/IU比率を有する(
図2A/2B)。物理的粒子に対する感染性粒子の比率は、アデノウイルスに対するパラメータのものであり、より低い比率がrAdバッチに好適である。本例にて調製したバッチは、10:1未満の低い比率を一貫して有する。
【0111】
約1.5×10
19VPの年間の需要のために、約2×10
12VP/mLの収率で約7500L未満の採取物を処理しなければならない。かかる体積を1000L以下の施設にて処理することができ、したがってワクチン開発中先行投資費用委託を減少する。
【0112】
実施例7: 高細胞密度における減少した潅流割合でrAd35ベクターでの感染のさらなる実験
PER.C6(登録商標)作業細胞貯蔵庫からの細胞を、加湿したインキュベーター内の無血清培養培地にて37℃、10%CO
2で解凍し、増殖した。2Lバイオリアクターを0.44×10
6総細胞/mLの細胞密度において接種するに十分な細胞密度を達成するまで、二次培養を3から4日間ごとに行った。細胞を2Lバイオリアクター内で37℃、DO40%およびpH7.3にて増殖した。ATFシステムを接種後4日目に約2.72×10
6総細胞/mLの細胞密度にて開始した。潅流144時間後、30.5×10
6総細胞/mLの細胞密度を達成した。この時点にて、細胞懸濁液の一部を採取し、残留細胞を新鮮な培地で2Lバイオリアクター内にて細胞密度16.2×10
6総細胞/mL(81%生存率、したがって13.1×10
6生存細胞/mL)まで希釈した。その後、2LのバイオリアクターをAd35.TB−Sで70VP/細胞のMOIにて感染させ、36℃、pH7.3およびDO40%にて培養した。ATFシステムを、感染後5時間、2つの容器容量/日の培地リフレッシュメント割合で開始した。感染後2,3および4日目、2Lのバイオリアクターを細胞数およびAEX−HPLCによるウイルス産生測定のために試料採取した。ウイルスを放出するため、1mLの試料を100μLの10%トリトンX−100と混合し、37℃にて30分間培養した。培養後、試料を2.42μLのベンゾナーゼ/MgCl
2と混合し、その後培養を30分間37℃で行った。最後に、100μLの50%サッカロースを試料へ添加した。5分間2500gにて遠心分離した工程後、試料を−65℃未満の温度にてAEX−HPLCによる分析をするまで保存した。結果を表3に示す。
【0113】
【表3】
【0114】
結果は、10×10
6生存細胞/mLを超える細胞密度における感染が潅流システムと連結したバイオリアクター内にて実行可能であり、バッチ処理と比較して体積収率を約10倍まで上昇させることが可能であることを再度示す(実施例2)。さらに、実施例6および7では、感染後の潅流率をウイルス産生を損なうことなく2容器容量/日に制限することが可能であることを示す。
【0115】
約1.5×10
19VPの年間の需要のため、約2×10
12VP/mLの収率で約7500L未満の採取物を処理しなければならない。かかる体積を1000L以下の施設にて処理することができ、したがってワクチン開発中先行投資費用委託を減少する。
【0116】
実施例8: 高い細胞密度における50L規模でrAd35ベクターでの感染のさらなる実験。
PER.C6(登録商標)作業細胞貯蔵庫からの細胞を、加湿したインキュベーター内の無血清培養培地にて37℃、10%CO
2で解凍し、増殖した。2Lバイオリアクターを0.52×10
6総細胞/mLの細胞密度において接種するに十分な細胞密度を達成するまで、二次培養を3から4日間ごとに行った。細胞を10Lのバイオリアクター内で37℃、DO40%およびpH7.3にて増殖した。約5.3×10
6総細胞/mLの細胞密度を達成(接種後4日目)したとき、ATFシステムを開始した。潅流169時間後、77×10
6総細胞/mLの細胞密度を達成した。この時点において、10Lの細胞懸濁液を新鮮な培地で50Lバイオリアクター内にて15.5×10
6総細胞/mL(81%生存率、それゆえ12.6×10
6生存細胞/mL)の細胞密度まで希釈した。その後、50LのバイオリアクターをAd35.TB−Sで70VP/細胞のMOIにて感染させ、36℃、pH7.3および40%DOにて培養した。ATFシステムを、感染後5時間、2つの容器容量/日の培地リフレッシュメント割合で開始した。感染後2から3日目、50Lのバイオリアクターを細胞数およびAEX−HPLCによるウイルス産生測定のために試料採取した。ウイルスを放出するため、1mLの試料を100μLの10%トリトンX−100と混合し、37℃にて30分間培養した。培養後、試料を2.42μLのベンゾナーゼ/MgCl
2と混合し、その後培養を30分間37℃で行った。最後に、100μLの50%サッカロースを試料へ添加した。5分間2500gにて遠心分離した工程後、試料を−65℃未満の温度にてAEX−HPLCによる分析をするまで保存した。結果を表4に示した。
【0117】
【表4】
【0118】
結果は、10×10
6生存細胞/mLを超える細胞密度における感染が潅流システムと連結した50Lのバイオリアクター内にて実行可能であり、バッチ処理と比較して体積収率を約10倍まで上昇させることが可能であることを示す(実施例2)。本明細書にて、開発された方法を拡大することができることを示した。年間のウイルス需要を満たすため年間処理されるべき採取体積を、本発明の方法で産生することができる。約1.5×10
19VPの年間の需要のため、約2×10
12VP/mLの収率で約7500L未満の採取物を処理しなければならない。かかる体積を1000L以下の施設にて処理することができ、従ってワクチン開発中先行投資費用委託を減少する。
【0119】
参考文献
Altaras NE, Aunins JG, Evans RK, Kamen A, Konz JO, Wolf JJ. Production and formulation of adenovirus vectors. Adv. Biochem. Engin/Biotechnol. Vol. 99, 2005
Cortin V, Thibault J, Jacob D, Garnier A. High-Titer adenovirus vector production in 293S Cell Perfusion culture. Biotechnol. Prog. Vol. 20, 2004
Estape D, Wilde F. Comparison of campaign vs concurrent large-scale cell culture facilities. Pharmaceutical Engineering. Vol. 26, No. 5, September/October 2006.
Furey J. Scale-up of a cell culture perfusion process - A low-shear filtration system that inhibits filter-membrane fouling. Genetic Engineering News. Vol. 22, No. 7, April 2002.
Henry O, Dormond E, Perrier M, Kamen A. Insights into adenoviral vector production kinetics in acoustic filter-based perfusion cultures. Biotechnology and bioengineering, Vol. 86, No. 7, June 2004.
Hodge G. Disposable bioprocessing: State of the Industry, Economics and a novel manufacturing platform case study (Presentation). NC Bio. Ctr. BPD Conference, 18 November 2004.
Kamen A, Henry O. Development and optimization of an adenovirus production process. The journal of gene medicin Vol. 6, 2004
Maranga L, Aunins JG, Zhou W. Characterization of changes in PER.C6 cellular metabolism during growth and propagation of a replication-deficient adenovirus vector. Biotechnology and Bioengineering, Vol. 90, No. 5, June 2005.
Radosevic K, Wieland CW, Rodriguez A, Weverling GJ, et al. Protective immune responses to a recombinant adenovirus type 35 tuberculosis vaccine in two mouse strains: CD4 and CD8 T-cell epitope mapping and role of gamma interferon. Infect. Immun. 75: 4105-4115 (2007).
Shott JP, McGrath SM, Pau MG, Custers JH, et al. Adenovirus 5 and 35 vectors expressing Plasmodium falciparum circumsporozoite surface protein elicit potent antigen-specific cellular IFN-gamma and antibody responses in mice. Vaccine 26: 2818-2823 (2008).
United Nation web site: http://esa.un.org/unpp/index.asp?panel=2 (March 2008)
Wang F, Puddy AC, Mathis BC, Montalvo AG, et al. Using QPCR to assign infectious potencies to adenovirus based vaccines and vectors for gene therapy: toward a universal method for the facile quantitation of virus and vector potency. Vaccine 23: 4500-4508 (2005).
Xie L, Metallo C, Warren J, Pilbrough W, Peltier J, Zhong T, Pikus L, Yancy A, Leung J, Aunins JG, Zhou W. Large-Scale propagation of a replication-defective adeno vector in stirred-tank bioreactor PER.C6 cell culture under sparging conditions. Biotechnology and bioengineering, Vol. 83, No. 1, July 5, 2003
Yallop C, Crowley J, Cote J, Hegmans-Brouwer K, Lagerwerf F, Gagne R, Martin JC, Oosterhuis N, Opstelten DJ, Bout A. Per.C6 cells for the manufacture of biopharmaceutical proteins. Modern Biopharmaceuticals - Design, Development and Optimization. Vol. 3, 2005
Yuk IHY, Olsen MM, Geyer S, Forestell SP. Perfusion Cultures of Human Tumor Cells: A Scalable Production Platform for Oncolytic Adenoviral Vectors. Biotechnol. Bioengin. 86: 637-641 (2004).