(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のCMPは、研磨剤としていわゆるレアメタルとして知られる酸化セリウムを用いる必要がある。酸化レリウムは、その産出国が限られている等の理由により非常に高価であり、製造コストの低減を図る観点からは、CMPによることなくナノスケールの平坦性を実現することのできる方法の提案が望まれる。
【0005】
特に、HDD用ガラスディスクのように、その外周面に外縁部を面取りしたチャンファ面が形成されている場合は、その外周面の全体的な形状を保持したままCMPを施す必要がある。このため、この場合は、特許文献2に一例が開示されているような特殊な装置が必要になるという問題点がある。
【0006】
このような問題を解決するため、特許文献3には、近接場光を利用してガラスディスク等の基板の表面を平坦化する表面平坦化方法が開示されている。この表面平坦化方法では、フッ素ガス等のエッチングガスが供給されるチャンバ内に基板を配置し、そのエッチングガスの吸収端波長より長波長の光を照射することとしている。これにより、基板の表面に形成された微小凸部に近接場光を発生させ、その近接場光に基づき非断熱過程を経てエッチングガスを解離させ、これにより基板の表面の微小凸部のみを選択的にエッチングすることが可能となる。
【0007】
しかしながら、特許文献2に開示の表面平坦化方法では、フッ素ガス等のエッチングガスを用いる必要があるため、人体に対する毒性や、取り扱い時の危険性を考慮したうえで作業する必要があるという問題点がある。
【0008】
また、CMPの単位分あたりの研磨レートは10〜50nm/分のオーダーであり、特許文献3の方法による単位時間あたりのエッチングレートは100nm/時間のオーダーであり、ナノスケールの平坦性を得るために長時間の作業が必要になるという問題点もある。
【0009】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、平坦化すべき被処理面の全体的な形状を保持したまま、CMPやエッチングガスを用いることなくナノスケールの平坦性を短時間で実現することを可能とする透光性基材の表面平坦化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上述した課題を解決するために、鋭意検討の末、下記の透光性基材の表面平坦化方法を発明した。
【0011】
第1発明に係る透光性基材の表面平坦化方法は、透光性基材の表面に形成された微小凸部を平坦化するための透光性基材の表面平坦化方法において、前記透光性基材の平坦化すべき被処理面に光吸収性材料を塗布して光吸収性膜を形成する塗布工程と、前記光吸収性膜に対してパルス状の照明光を繰り返し照射するパルス照射工程とを有し、前記パルス照射工程では、前記光吸収性膜における照明光の光吸収により発生する熱エネルギーによって当該光吸収性膜を蒸発させながら、前記微小凸部に対する照明光の照射により発生した近接場光に基づく光化学反応によって当該微小凸部を除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明によれば、基材の表面に光吸収性膜を形成したうえで、パルス状の照明光を基材の被処理面に照射するといった簡単な手順を行うのみで、CMPやエッチングガスを用いることなくナノスケールの平坦性を実現することが可能となる。特に、CMPが不要となるので、CMPのために必要となるレアメタルとしての酸化セリウムが不要となり、非常に低コストでナノスケールの平坦性を実現することが可能となる。また、微小凸部が平坦化されることにより基材の被処理面全体が平坦化されるので、基材の全体的な形状を保持したままナノスケールの平坦性を実現することが可能となる。また、本発明の適用により、CMPやエッチングガスを用いてナノスケールの平坦性を実現する場合と比較して、非常に短時間でナノオーダーの平坦性を得ることが可能となる。また、基材の表面のうち光吸収性膜を形成した箇所のみが平坦化されるので、基材の所望の箇所のみを選択的に平坦化することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した透光性基材の表面平坦化方法を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
本発明の適用の対象となる透光性基材1(以下、基材1という。)は、
図1、
図2に示すように、透光性を有するものであれば、その形状について特に限定するものではない。第1実施形態においては、基材1として、板状のガラスディスクを用いた場合を例示している。このガラスディスクとしての基材1は、その上下両側の一対の主表面11と、一対の主表面11の外周側に設けられた外周面12とを備える。このガラスディスクとしての基材1の外周面12は、第1実施形態において、上下方向に平行な鉛直面12aと、鉛直面12aと主表面11との間に設けられた傾斜面としてのチャンファ面12bとを備える。このガラスディスクとしての基材1は、例えば、HDD用基板等の情報記録媒体用基板として用いられる。
【0016】
基材1は、透光性を有するものであれば、その材料について特に限定するものではなく、例えば、アルミナシリケートガラス、ソーダライムガラス、セラミックガラス等のガラス材料の他に、サファイア、透明セラミックス等の無機質系材料、ポリカーボネート、アクリル等のプラスチック材料等が用いられる。
【0017】
基材1は、
図2(b)に示すように、その表面に複数の微小凸部14からなる微細な凹凸が形成されている。この微小凸部14は、その高さ寸法が1nm前後のナノオーダーから1μm前後のマイクロオーダーまでの範囲のような様々な大きさに形成される。本発明は、Ra値で100nm前後のサブミクロンオーダーの表面粗さをもつ基材1の表面を平坦化するのに特に好適に用いられる。このような表面粗さの基材1は、例えば、成形後のガラスディスクに対してダイヤモンド砥粒等を用いた機械研磨を施すことにより得られる。
【0018】
本発明に係る表面平坦化方法では、次に説明するような表面平坦化装置3を用いて後述のパルス照射工程S2を行なう。
【0019】
第1実施形態に係る表面平坦化装置3は、
図3に示すように、基材1に対してパルス状の照明光41を繰り返し照射する照明光学系31と、ガラスディスクとしての基材1を回転させるスピンドル36とを備える。
【0020】
照明光学系31は、第1実施形態において、照明光41として連続光を射出する光源32と、光源32から射出された照明光41の基材1に対する光照射範囲42を調整する光照射範囲調整手段としてのコリメートレンズ33と、光源32から基材1にかけての光路中に配設された光チョッパ34とを備える。
【0021】
光源32は、図示しない駆動電源による制御に基づき、所定の波長を有する連続光を射出するものであり、第1実施形態においては、単波長の連続波レーザー光を発振するレーザー光源から構成される場合を例示している。光源32から射出された照明光41としての連続光は、第1実施形態において、コリメートレンズ33を位置調整することによって、基材1に対する光照射範囲が調整可能とされている。照明光41の光照射範囲を調整する手段は、このようなコリメートレンズ33のみを用いたものに限定されない。
【0022】
光チョッパ34は、光源32から射出された照明光41としての連続光をチョッピングして、パルス状の照明光41に変換するために用いられる。光チョッパ34は、第1実施形態において、回転円盤式の光チョッパから構成されている。回転円盤式の光チョッパ34は、照明光41を通過させる開口部と、照明光41を遮光する遮光部とが周方向に交互に配置された回転円盤35を備える。回転円盤式の光チョッパ34は、図示しない駆動モータにより回転円盤35を回転させることにより、連続光の開口部の通過と、連続光の遮光部による遮光とが繰り返し行われる。これにより、照明光41としての連続光がパルス状の照明光41に変換され、そのパルス状の照明光41が基材1に対して繰り返し照射されることになる。光チョッパ34としては、この他にも、電磁積のOn/Off制御により連続光の遮光と通過とを繰り返す電磁開閉式の光チョッパ等が用いられていてもよい。
【0023】
なお、第1実施形態においては、基材1に対してパルス状の照明光41を繰り返し照射することを目的として、連続光を射出する光源32と、光チョッパ34とを用いる場合を例示したが、この目的を達成するために、光源32としてパルスレーザー光を発振するものを用い、光チョッパ34を用いないこととしてもよい。
【0024】
スピンドル36は、ガラスディスクとしての基材1が装着可能に構成される。スピンドル36は、図示しないモータの駆動により、ガラスディスクとしての基材1を中心軸周りに等速回転させることができるように構成される。
【0025】
なお、第1実施形態においては、ガラスディスクとしての基材1を回転させることを目的として、スピンドル36を用いる場合を例示しているが、基材1を回転させない場合は、スピンドル36を用いないこととしてもよいのは勿論である。
【0026】
次に、本発明に係る表面平坦化方法について説明する。
【0027】
本発明に係る表面平坦化方法は、塗布工程S1と、パルス照射工程S2とを有する。
【0028】
塗布工程S1では、
図4に示すように、基材1の平坦化すべき被処理面15に光吸収性材料を塗布して光吸収性膜2を形成する。光吸収性材料は、照明光学系31から照射される照明光41の波長に対して高い吸光率をもち、かつ、その照明光41の光吸収による加熱により蒸発可能な沸点をもつ材料が選択される。光吸収性材料は、このような観点から、例えば、顔料又は染料としての黒色系化合物を初めとした種々の色素化合物を含有するものが用いられる。この黒色系化合物としては、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。光吸収性材料は、例えば、芳香族系、アルコール系、脂肪酸系等の有機溶媒に溶解等させた状態で塗布される。光吸収性材料の塗布方法は、例えば、光吸収性材料を含有するインクが内蔵されたペン等の筆記具による塗布の他、ロールコーター、ハケ塗り、吹き付け等による塗布が挙げられる。
【0029】
また、ここでいう基材1の平坦化すべき被処理面15とは、本発明の適用によりナノオーダーの平坦性を得ようとする基材1の表面のことをいう。第1実施形態においては、ガラスディスクとしての基材1の外周面12の鉛直面12a及びチャンファ面12bについて、その外周面12の全周に亘る範囲を被処理面15とした場合を例示している。被処理面15となる面は、基材1の表面であれば特に限定するものではない。被処理面15の微小凸部14は、被処理面15に光吸収性膜2を形成することによって、その光吸収性膜2により覆われることになる。
【0030】
次のパルス照射工程S2では、
図3、
図5に示すように、被処理面15に対してパルス状の照明光41を繰り返し照射する。被処理面15に対しては、コリメートレンズ33のような光照射範囲調整手段により光照射範囲42を調整したうえで照明光41を照射する。パルス状の照明光41は、第1実施形態において照明光学系31から照射され、その波長は、基材1が直接的に光励起されないように、基材1の材料の吸収端波長より長波長の波長を用いる。この波長の一例を挙げると、第1実施形態においては基材1としてガラスディスクが用いられており、一般的なガラス材料は、その吸収端波長が400nm程度であることから、照明光41としては、その吸収端波長より長波長である、例えば、532nmの波長のものが用いられる。
【0031】
このように光吸収性膜2に対して照明光41を照射することによって、光吸収性膜2における照明光41の光吸収により光エネルギーが熱エネルギーに変換される。そして、光吸収性膜2は、
図6(a)、
図6(b)に示すように、この光吸収により発生する熱エネルギーによって蒸発することになる。
【0032】
このとき、伝播光としての照明光41が光吸収性膜2を透過して基材1を照射していることになる。そして、少なくとも基材1の微小凸部14がなす角部には、伝搬光としての照明光41が照射されることにより近接場光43が発生している。この近接場光43が発生する角部とは、例えば、微小凸部14の先端における先鋭化部分が該当する。近接場光43が発生する角部は、このような先鋭化部分のみでなく、微小凸部14間の凹部や、微小凸部の先鋭化部分以外の角部も含まれる。
【0033】
ここでいう近接場光とは、約1μm以下の大きさからなる物体の表面に伝搬光を照射した場合に、その物体の表面にまとわりついて局在する非伝搬光のことをいう。この近接場光は、非常に強い電場成分を有しているが、物体の表面から遠ざかるにつれてその電場成分が急激に減少する性質を有する。この非常に強い電場成分を有する領域の物体表面からの厚さは、その物体の寸法に依存しており、その物体の寸法と同程度の厚さからなる。
【0034】
ここで、本発明者が検討したところ、被処理面15の微小凸部14に発生した近接場光43に基づいて被処理面15の微小凸部14が平坦化され、被処理面15についてナノオーダーの平坦性を得られることを知見した。これは、微小凸部14に発生した近接場光43に基づいて、微小凸部14の光化学反応が局所的に誘起され、光化学反応により生成した反応生成物が気化することによって微小凸部14が除去されるためと考えられる。
【0035】
また、本発明者は、このような被処理面15についてナノオーダーの平坦性を得るうえで、第一に、基材1の被処理面15に対して十分な光エネルギーを与えられるように、光照射範囲42に対する単位面積あたりの照明光41のパワー密度を調整することが重要であることを知見した。これは、平坦化プロセスに寄与する化学反応が光エネルギーにより誘起される光化学反応であることを意味しており、近接場光による局所的なエッチングにより表面が平坦化されるという予測を裏付けるものである。このパワー密度が不十分であると、被処理面15の微小凸部14が平坦化されず、ナノオーダーの平坦性が得られない。このパワー密度の一例を挙げると、基材1としてガラスディスクを用い、照明光41として波長532nmのレーザー光を用いた場合、40kW/cm
2以上のパワー密度が必要である。なお、このパワー密度は、連続光としての照明光41を照射する場合のパワー密度を想定しており、実際には、次に説明するようなパルス状の照明光41を照射することになるので、そのパルス状の照明光41のデューティ比を乗算したパワー密度で被処理面15が照射されることになる。
【0036】
また、本発明者は、このような被処理面15についてナノオーダーの平坦性を得るうえで、第二に、連続光としての照明光41ではなく、パルス状の照明光41を繰り返し被処理面15に対して照射することが重要であることを知見した。これは、以下に説明するように、基材1に割れが発生するのを防止しつつ、基材1の被処理面15を平坦化するためである。
【0037】
本発明者は、ナノオーダーの平坦性が得られるような基材1、光吸収性膜2、照明光41の条件の下で、照明光41をパルス状ではなく連続光とした場合に、基材1に割れが発生してしまうことを知見した。これは、連続光としての照明光41を照射した場合、光吸収性膜2を熱源として基材1が過度に加熱されてしまい、その加熱により基材1に過度の引張の熱応力が発生するためと考えられる。これに対して、パルス状の照明光41を繰り返し照射した場合、光照射範囲42に対して照明光41の照射と未照射とが繰り返されることになる。光照射範囲42に対して照明光41が未照射の間は、光吸収性膜2を熱源とする加熱が休止され、光吸収性膜2や基材1が自然放熱により冷却されることになる。これは、光照射範囲42に対してパルス状の照明光41を繰り返し照射したとき、光吸収性膜2を熱源とした基材1の加熱と冷却とが繰り返されることを意味している。このような加熱と冷却とが繰り返されることにより、基材1の過度の加熱が防止され、その結果、基材1の割れが抑制されたものと考えられる。
【0038】
なお、パルス状の照明光41のパルス波形は、
図7に示すように、その周波数が、例えば、2kHz以上であり、そのデューティ比Dは、例えば、0超0.7以下となる。このパルス波形としては、パルス幅がナノ秒、ピコ秒以下のものも含まれる。
【0039】
また、本発明者は、被処理面15についてナノオーダーの平坦性を得るうえで、第三に、光吸収性膜2に対して照明光41を照射したときの、光吸収性膜2での光吸収により発生する熱エネルギーが重要であることを知見した。これは、その程度の大小は明確ではないが、近接場光による微小凸部14の光化学反応がその熱エネルギーにより促進されるためと考えられる。
【0040】
パルス照射工程S2では、このようなパルス状の照明光41を照射することにより、その光照射範囲42での微小凸部14の平坦化が進行することになる。そして、
図6(c)に示すように、光照射範囲42内にある光吸収性膜2が蒸発した時点で、光照射範囲42内での光吸収性膜2による加熱が止まり、照明光41が透光性の基材1内を通過するのみとなり、その結果、微小凸部14の平坦化が終了することになる。この平坦化が終了したとき、光源32等の条件にもよるが、被処理面15の表面粗さをRa値でナノオーダーとすることが可能となる。また、光照射範囲42に対して照明光41を照射してから光吸収性膜2が蒸発するまで、即ち、光照射範囲42内の平坦化が終了するまでの時間は、光源32等の条件にもよるが、一スポット当たり0.01秒〜1秒と非常に短時間にすることが可能となる。
【0041】
第1実施形態に係るパルス照射工程S2では、
図3、
図5に示すように、スピンドル36によりガラスディスクとしての基材1を中心軸周りに回転させているので、光吸収性膜2に対する光照射範囲42が基材1の回転に伴いガラスディスクとしての基材1の周方向に沿って相対的に移動することになる。これにより、ガラスディスクとしての基材1の外周面12がその周方向に沿って平坦化されることになる。このように、本発明では、基材1の被処理面15に形成された光吸収性膜2に対する光照射範囲42を相対的に移動させることにより、その光照射範囲42の移動領域を連続的に平坦化することが可能となる。なお、光吸収性膜2に対する光照射範囲42を相対的に移動させるうえでは照明光学系31を移動させるようにしてもよいし、光吸収性膜2に対する光照射範囲を移動させることなくパルス照射工程S2を実行することとしてもよい。
【0042】
以上によれば、基材1の表面に光吸収性膜2を形成したうえで、パルス状の照明光41を基材1の被処理面15に照射するといった簡単な手順を行うのみで、CMPやエッチングガスを用いることなくナノスケールの平坦性を実現することが可能となる。特に、CMPが不要となるので、CMPのために必要となるレアメタルとしての酸化セリウムが不要となり、非常に低コストでナノスケールの平坦性を実現することが可能となる。また、微小凸部14が平坦化されることにより基材1の被処理面15全体が平坦化されるので、基材1の全体的な形状を保持したままナノスケールの平坦性を実現することが可能となる。また、本発明の適用により、CMPやエッチングガスを用いてナノスケールの平坦性を実現する場合と比較して、非常に短時間でナノオーダーの平坦性を得ることが可能となる。また、基材1の表面のうち光吸収性膜2を形成した箇所のみが平坦化されるので、基材1の所望の箇所のみを選択的に平坦化することが可能となる。
【0043】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【実施例1】
【0044】
以下、本発明の効果を実施例により更に説明する。
【0045】
本実施例では、本発明に係る表面平坦化方法を実際に用いることにより、本発明の効果を確認することとした。
【0046】
基材1としては、
図1、
図2に示すような形状のものを用い、その寸法については、直径63.5mm、肉厚0.635mmのものを用い、その材料については、セラミックガラスを用いた。また、ガラスディスクとしての基材1は、その外周面12の表面粗さがRa値で100nmのものを用いた。
【0047】
表面平坦化装置3としては、
図3に示すようなものを用い、レーザー光源32としては、波長532nm、出力パワー15Wのものを用いた。また、コリメータレンズ33としては、焦点距離fが80mmのものを用いた。このとき、基材1に対する光照射範囲42を直径0.2mmとするため、基材1に対するコリメートレンズ33の間隔が85mmとなるようにした条件(以下、条件1という。)と、基材1に対する光照射範囲42を直径0.5mmとするため、基材1に対するコリメートレンズ33の間隔が100mmとなるようにした条件(以下、条件2という。)との複数条件の下で本発明の効果を確認することとした。
【0048】
光チョッパ34としては、周波数が2kHz、デューティ比Dが0.5のパルス波形となるように、光源32から射出された連続光としての照明光41をパルス状の照明光に変換するものを用いた。なお、この他にも、表面平坦化装置3から光チョッパ42を除き、光照射範囲42に対して連続光を照射することとし、その他の条件は条件1と同じ条件とした条件(以下、条件3という。)の下でも本発明の効果を確認することとした。
【0049】
光照射範囲42に対して照射される照明光41のパワー密度は、条件1の下では24kW/cm
2となり、条件2の下では3.8kW/cm
2となり、条件3の下では47kW/cm
2となる。
【0050】
塗布工程S1では、光吸収材料としてカーボンブラックを含有するインクを用いることとし、そのインクが内蔵されたペンによりガラスディスクとしての基材1の外周面12にインクを塗布することにより光吸収性膜2を形成することとした。光吸収性膜2はガラスディスクとしての基材1の外周面12の全周に亘り形成することとした。
【0051】
パルス照射工程S2では、スピンドル36により8.3rpmの回転速度でガラスディスクとしての基材1を等速回転させた状態のまま、光吸収性膜2に照明光を照射することとした。
【0052】
この結果、条件1の下では、基材1の外周面12の表面粗さがRa値で4.45nmとなり、ナノオーダーの平坦性が得られた。また、ガラスディスクとしての基材1の外周面12を全周に亘り平坦化するための時間としては7.2秒の時間が必要であった。
【0053】
これに対して、条件2の下では、基材1の外周面12の表面粗さが加工前と変化せず、ナノオーダーの平坦性が得られなかった。また、条件3の下では、基材1に割れが発生した。