【実施例】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態例を、
図1〜
図4を用いて説明する。
図1は展開状態のカーテンエアバッグを側面方向から見た要部概略図、
図2は
図1のカーテンエアバッグの展開途中を示す要部拡大断面図である。なお、以下の説明において、「前」は車両前方側、「後」は車両後方側、「上」は車両天井側、「下」は車両床側を指す。
【0017】
1は、車両のルーフヘッドライニング2の側縁2aに沿ってルーフヘッドライニング2の反車室側の位置に収納され、緊急時にはインフレータからの高圧ガスの供給により展開するカーテンエアバッグである。
【0018】
カーテンエアバッグ1は、例えば2枚の基布を縫製して、車両の前後方向に長尺な袋状に形成され、車両の乗員の頭部を保護するために横窓と乗員の頭部との間に展開する複数のチャンバー1aが形成されている。
【0019】
加えて、
図1に示したカーテンエアバッグ1は、チャンバー1aにインフレータからの高圧ガスを案内するガス通路1bの上方の、ピラーガーニッシュ3と面する位置に、このガス通路1bに連通する2つのアシストチャンバー1cをさらに形成している。
【0020】
1dは、例えば長手方向の中央位置で前記カーテンエアバッグ1と接合され、カーテンエアバッグ1をロール状に巻き取った設置状態において、前記アシストチャンバー1cを含む位置で環状に結束して車体4に支持固定するタブである。これらタブ1dの例えば上半分の外周縁には、カーテンエアバッグ1の展開時に開裂するよう、スリット1daを設けた開裂部が形成されている。
【0021】
前記カーテンエアバッグ1は、前記タブ1dを外側にした状態で、カーテンエアバッグ1との接合部1dbの車外側にアシストチャンバー1cを、車内側にチャンバー1aを配置した状態で、チャンバー1a部を下側からガス通路1bへ向かって巻き取る。
【0022】
巻き取ったチャンバー1a部やこれに隣接するアシストチャンバー1cを、タブ1dで環状に結束し、タブ1dの上端部及び下端部に設けた取付け部1dcを重ね合わせて車体4に取り付ける。
【0023】
このような状態でルーフヘッドライニング2の反車室側の位置に設置したカーテンエアバッグ1の場合、インフレータからの高圧ガスの供給によりチャンバー1aとアシストチャンバー1cは車幅方向に並列な状態で展開する。この展開の初期に、タブ1dのスリット1daで開裂し、タブ1dによる結束が解除される。
【0024】
タブ1dによる結束が解除された後は、ロール状のカーテンエアバッグ1が回転し始める。接合部1dbと取付け部1dcで固定されたカーテンエアバッグ1のアシストチャンバー1cは、チャンバー1aの車外側に回り込みながら展開してガス通路1bを車室内側に押し出し、ルーフヘッドライニング2の側縁2aを押圧する。
【0025】
押圧されたルーフヘッドライニング2の側縁2aは、ピラーガーニッシュ3の上端部3aから離脱し、ルーフヘッドライニング2の側縁2aとピラーガーニッシュ3の上端部3aの間に下向きの開口部5を形成する。この状態では、ガス通路1b及びチャンバー1aは、
図2に示すように、ピラーガーニッシュ3に引っかからない位置まで車室内側に押し出されることになる。
【0026】
前記車室内側に押し出されたガス通路1b及びチャンバー1aには、アシストチャンバー1cのa点で車体4からの圧力が作用するのと共に、ガス通路1bのb点でルーフヘッドライニング2からの圧力が作用する。
【0027】
その結果、a点とb点間に弓状のテンションが発生することにより、開口部5からのチャンバー1a部の展開方向を下向きに制御し、チャンバー1a部が下方に向かって円滑に展開するようになる。
【0028】
しかしながら、上記構成のカーテンエアバッグ1であっても、車体4への設置位置によっては、展開時に、アシストチャンバー1cがルーフヘッドライニング2の側縁2aを押圧せずにピラーガーニッシュ3を押圧し、ピラーガーニッシュ3に割れが発生する場合がある。
【0029】
また、カーテンエアバッグ1の取付け位置が極端にピラーガーニッシュ3から遠いような場合、アシストチャンバー1cがルーフヘッドライニング2の側縁2aを押圧せず、ルーフヘッドライニング2の反車室側で展開してしまう場合も想定される。
【0030】
そこで、発明者がカーテンエアバッグ1の車体4への設置位置について各種の実験を行った結果、車両の幅方向鉛直面に平行な断面における、ピラーガーニッシュ3の上端部3aを基準位置としてカーテンエアバッグ1の設置位置を規定すれば良いことを知見した。
【0031】
本発明は、発明者が前記知見に基づき各種の実験を行った結果、カーテンエアバッグ1の最適の設置位置を得て成立させたものである。
【0032】
以下、発明者が行った実験結果の一例を以下に説明する。
以下では、車両の幅方向鉛直面に平行な断面におけるピラーガーニッシュ3の上端部3aを基準位置とし、この基準位置とカーテンエアバッグ1の位置関係を説明している。
【0033】
図3に示すように、基準位置から車内に向かう方向をプラス方向、車外に向かう方向をマイナス方向とし、設置状態のカーテンエアバッグ1の外径の、最も車外側位置する点と前記基準位置との車両の幅方向の水平距離をWとする。
【0034】
また、基準位置から車両の高さ方向に対して、車両の天井に向かう方向をプラス方向、車両の床に向かう方向をマイナス方向とし、設置状態のカーテンエアバッグの外径の、最も床側に位置する点と前記基準位置との車両の高さ方向の鉛直距離をHとする。
【0035】
前記水平距離Wと鉛直距離Hを各種変更してカーテンエアバッグ1を展開させた結果を下記表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
表1中の、Aを付した範囲は、本発明で規定する最適な設置位置である。ちなみに、水平距離Wが−10≦W<0mm、鉛直距離Hが10≦H<20mmの位置にカーテンエアバッグ1を設置した場合の図を
図4(a)に示す。
【0038】
この
図4(a)の場合、展開時にはピラーガーニッシュ3の上端部3aに不必要な押圧を作用させてピラーガーニッシュ3を破損することがなく、ルーフヘッドライニング2の側縁2aを正しく押圧して確実に展開することができた。
【0039】
一方、Bを付した範囲は、設置状態のカーテンエアバッグ1とピラーガーニッシュ3の先端部3aとの位置が若干遠い場合である。ちなみに、水平距離Wが−40≦W<−30mm、鉛直距離Hが30≦H≦40mmの位置にカーテンエアバッグ1を設置した場合の図を
図4(b)に示す。
【0040】
この
図4(b)の場合、カーテンエアバッグ1とピラーガーニッシュ3の先端部3aとの位置が遠く、ルーフヘッドライニング2の側縁2aを正しく押圧することができず、ルーフヘッドライニング2の反車室側で展開した。
【0041】
また、Cを付した範囲は、設置状態のカーテンエアバッグ1とピラーガーニッシュ3の先端部3aとの位置が近すぎる場合である。ちなみに、水平距離Wが−40≦W<−30mm、鉛直距離Hが0≦H<10mmの位置にカーテンエアバッグ1を設置した場合の図を
図4(c)に示す。
【0042】
この
図4(c)の場合、カーテンエアバッグ1とピラーガーニッシュ3の先端部3aとの位置が近すぎて展開時にピラーガーニッシュ3の上端部3aに不必要な押圧が作用し、ピラーガーニッシュ3に割れが発生した。この場合、展開時に不具合が発生した。
【0043】
本発明は、上記発明者の実験の結果に基づいてなされたものであり、
前記水平距離Wが0≦W≦10mmで前記鉛直距離Hが0≦H≦40mm、或いは、前記水平距離Wが−20≦W<0mmで前記鉛直距離Hが10≦H≦40mm、或いは、前記水平距離Wが−30≦W<−20mmで前記鉛直距離Hが20≦H<30mm、となるルーフヘッドライニング2の反車室側の位置にカーテンエアバッグを設置するものである。
【0044】
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇に含まれるものであれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0045】
すなわち以上で述べたカーテンエアバッグは、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定する主旨の記載がない限り、本発明は添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨のない限り、それに限定されるものではない。
【0046】
例えば、上記の例では、発明者が特許文献2で提案したカーテンエアバッグ1の一例を採用しているが、特許文献2で提案したカーテンエアバッグ1の技術的範疇にはいるものであれば、他の実施形態でも良い。また、特許文献1で提案したカーテンエアバッグを採用しても良い。また、アシストチャンバー1cのない通常のカーテンエアバッグを採用しても良い。
【0048】
上記本発明のカーテンエアバッグは、2名乗車の自動車に適用する場合には、前部座席に着座する乗員の頭部のみを保護するように構成することは言うまでもない。