(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の方向及び前記第2の方向の少なくとも一つの方向において相互に隣接する発光画素の有する前記駆動素子の前記ソース電極及びドレイン電極の他方どうしを電気的に接続する第1の電源線と、前記第1の方向及び前記第2の方向において相互に隣接する発光画素の有する前記発光素子の前記第2の電極どうしを電気的に接続する第2の電源線とを具備し、
前記複数の発光画素は、前記第1の電源線及び前記第2の電源線を介して前記電源供給部からの電源供給を受ける
請求項8に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一態様に係る表示装置は、高電位側及び低電位側の電位の少なくとも一方を出力する電源供給部と、複数の発光画素が、互いに直交する第1の方向及び第2の方向に沿ってマトリクス状に配置され、前記電源供給部から電源供給を受ける表示部と、前記表示部内に配置された複数の発光画素の各々に設けられた電位検出点における高電位側の電位または低電位側の電位を検出する電位検出部と、前記高電位側の電位及び前記低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位と、基準電位との電位差が所定の電位差となるように、前記電源供給部から出力される前記高電位側及び前記低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整する電圧調整部とを具備し、前記第1の方向に沿って配置された、隣接する前記発光画素間の電源配線の抵抗が、前記第2の方向に沿って配置された、隣接する前記発光画素間の電源配線の抵抗よりも高く、前記第1の方向に沿って設けられた、隣接する前記電位検出点間の平均距離は、前記第2の方向に沿って設けられた、隣接する前記電位検出点間の平均距離よりも小さいことを特徴とする。
【0016】
上記構成により適切に配置された電位検出点により、電源配線抵抗網に起因した電圧降下量の分布を効果的かつ高精度にモニタすることができ、表示装置の画像品質を維持しつつ消費電力低減効果を最大限に得ることが可能となる。さらには、電位検出線配置によるコスト増加を抑えることが可能となる。
【0017】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、高電位側及び低電位側の電位の少なくとも一方を出力する電源供給部と、複数の発光画素が、互いに直交する第1の方向及び第2の方向に沿ってマトリクス状に配置され、前記電源供給部から電源供給を受ける表示部と、前記表示部内に配置された複数の発光画素の各々に設けられた電位検出点における高電位側の電位または低電位側の電位を検出する電位検出部と、前記高電位側の電位及び前記低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位と、基準電位との電位差が所定の電位差となるように、前記電源供給部から出力される前記高電位側及び前記低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整する電圧調整部とを具備し、前記第1の方向に沿って配置された、隣接する前記発光画素間の電源配線の抵抗が、前記第2の方向に沿って配置された、隣接する前記発光画素間の電源配線の抵抗よりも高く、前記表示部を第2の方向で均等分割して設定された複数の第1分割領域のうち、前記電位検出点を有する第1分割領域における、前記第1の方向に隣接する前記電位検出点間の平均距離は、前記表示部を第1の方向で均等分割して設定された複数の第2分割領域のうち、前記電位検出点を有する第2分割領域における、前記第2の方向に隣接する前記電位検出点間の平均距離よりも小さいとしてもよい。
【0018】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、高電位側及び低電位側の電位の少なくとも一方を出力する電源供給部と、複数の発光画素が、互いに直交する第1の方向及び第2の方向に沿ってマトリクス状に配置され、前記電源供給部から電源供給を受ける表示部と、前記表示部内に配置された複数の発光画素の各々に設けられた電位検出点における高電位側の電位または低電位側の電位を検出する電位検出部と、前記高電位側の電位及び前記低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位と、基準電位との電位差が所定の電位差となるように、前記電源供給部から出力される前記高電位側及び前記低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整する電圧調整部とを具備し、前記第1の方向に沿って配置された、隣接する前記発光画素間の電源配線の抵抗が、前記第2の方向に沿って配置された、隣接する前記発光画素間の電源配線の抵抗よりも高く、前記表示部を第2の方向で均等分割して設定された複数の第1分割領域のうち、前記電位検出点を有する第1分割領域である第1検出分割領域が設定され、当該第1検出分割領域が有する1以上の前記電位検出点につき前記第2の方向について算出された平均座標と、前記表示部を第1の方向で均等分割して設定された複数の第2分割領域のうち、前記電位検出点を有する第2分割領域である第2検出分割領域が設定され、当該第2検出分割領域が有する1以上の前記電位検出点につき前記第1の方向について算出された平均座標とに関して、隣接する前記第1検出分割領域間における前記平均座標の差を、全ての前記第1検出分割領域にわたり平均した第1隣接間距離は、隣接する前記第2検出分割領域間における前記平均座標の差を、全ての前記第2検出分割領域にわたり平均した第2隣接間距離よりも大きいとしてもよい。
【0019】
上記電位検出点の配置条件によれば、複数の電位検出点が第1の方向及び第2の方向において直線状に配置されていなくとも、複数の電位検出点配置によるコスト増加を抑え、画像品質を維持しつつ消費電力低減効果を最大限得ることが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、さらに、複数の前記電位検出点で検出された高電位側の電位または低電位側の電位を前記電位検出部へ伝達するための複数の検出線を備え、前記複数の検出線は、3以上の前記発光画素に印加される高電位側の電位をそれぞれ伝達するための3本以上の高電位検出線、及び、3以上の前記発光画素に印加される低電位側の電位をそれぞれ伝達するための3本以上の低電位検出線の少なくとも一方を含み、前記高電位検出線及び前記低電位検出線の少なくとも一方は、隣り合う検出線どうしの間隔が互いに同一となるよう配置されていてもよい。
【0021】
これにより、電源供給部の高電位側の出力電位及び電源供給部の低電位側の出力電位の少なくとも一方を、より適切に調整することが可能となり、表示部を大型化した場合であっても、消費電力を効果的に削減できる。また、検出線の間隔が等しくなるように配置されているので、表示部の配線レイアウトに周期性を持たせることができ、製造効率が向上する。
【0022】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記複数の発光画素は、それぞれ、ソース電極及びドレイン電極を有する駆動素子と、第1の電極及び第2の電極を有する発光素子とを備え、前記第1の電極が前記駆動素子のソース電極及びドレイン電極の一方に接続され、前記ソース電極及びドレイン電極の他方と前記第2の電極との一方に前記高電位側の電位が印加され、前記ソース電極及びドレイン電極の他方と前記第2の電極との他方に前記低電位側の電位が印加されてもよい。
【0023】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記第1の方向及び前記第2の方向の少なくとも一つの方向において相互に隣接する発光画素の有する前記駆動素子の前記ソース電極及びドレイン電極の他方どうしを電気的に接続する第1の電源線と、前記第1の方向及び前記第2の方向において相互に隣接する発光画素の有する前記発光素子の前記第2の電極どうしを電気的に接続する第2の電源線とを具備し、前記複数の発光画素は、前記第1の電源線及び前記第2の電源線を介して前記電源供給部からの電源供給を受けてもよい。
【0024】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記発光素子は、有機EL素子であってもよい。
【0025】
これにより、消費電力が下がることにより発熱が抑えられるので、有機EL素子の劣化を抑制できる。
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図に基づき説明する。実施の形態1〜5では、表示装置が消費電力低減効果を得るための構成について説明し、実施の形態6では、表示装置が消費電力低減効果を最大限得るための表示部の構成について説明する。なお、以下では、全ての図を通じて同一又は相当する要素には同じ符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0027】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、表示装置が消費電力低減効果を得るための最小構成として、検出点を一点(M1)備え、モニタ用配線(検出線ともいう)と接続されている場合について、図を用いて具体的に説明する。
【0028】
図1は、本実施の形態に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0029】
同図に示す表示装置50は、有機EL表示部110と、データ線駆動回路120と、書込走査駆動回路130と、制御回路140と、信号処理回路165と、電位差検出回路170Aからなる最大値検出回路170と、可変電圧源180と、モニタ用配線190とを備える。
【0030】
図2は、有機EL表示部110の構成を模式的に示す斜視図である。なお、図中上方が表示面側である。
【0031】
同図に示すように、有機EL表示部110は、複数の発光画素111と、第1電源配線112と、第2電源配線113とを有する。
【0032】
発光画素111は、第1電源配線112及び第2電源配線113に接続され、当該発光画素111に流れる画素電流ipixに応じた輝度で発光する。複数の発光画素111のうち、予め定められた少なくとも一つの発光画素は、検出点M1でモニタ用配線190に接続されている。以降、モニタ用配線190に直接接続された発光画素111をモニタ用の発光画素111Mと記載する。モニタ用の発光画素111Mは、有機EL表示部110の中央付近に配置されている。なお、中央付近とは、中央とその周辺部とを含む。
【0033】
第1電源配線112は、網目状に形成された第1の電源線であり、可変電圧源180で出力された高電位側の電位に対応した電位が印加される。一方、第2電源配線113は、有機EL表示部110にベタ膜状に形成された第2の電源線であり、有機EL表示部110の周縁部から可変電圧源180で出力された低電位側の電位に対応した電位が印加される。
図2においては、第1電源配線112及び第2電源配線113の抵抗成分を示すために、第1電源配線112及び第2電源配線113を模式的にメッシュ状に図示している。なお、第2電源配線113は、例えばグランド線であり、有機EL表示部110の周縁部で表示装置50の共通接地電位に接地されていてもよい。
【0034】
第1電源配線112には、水平方向の第1電源配線抵抗R1hと垂直方向の第1電源配線抵抗R1vが存在する。第2電源配線113には、水平方向の第2電源配線抵抗R2hと垂直方向の第2電源配線抵抗R2vとが存在する。なお、図示されていないが、発光画素111は、書込走査駆動回路130及びデータ線駆動回路120に接続され、発光画素111を発光及び消光するタイミングを制御するための走査線と、発光画素111の発光輝度に対応する信号電圧を供給するためのデータ線とも接続されている。
【0035】
図3は、発光画素111の具体的な構成の一例を示す回路図である。
【0036】
同図に示す発光画素111は、駆動素子と発光素子とを含み、駆動素子は、ソース電極及びドレイン電極を含み、発光素子は、第1の電極及び第2の電極を含み、当該第1の電極が前記駆動素子のソース電極及びドレイン電極の一方に接続され、ソース電極及びドレイン電極の他方と第2の電極との一方に高電位側の電位が印加され、ソース電極及びドレイン電極の他方と第2の電極との他方に低電位側の電位が印加される。具体的には、発光画素111は、有機EL素子121と、データ線122と、走査線123と、スイッチトランジスタ124と、駆動トランジスタ125と、保持容量126とを有する。この発光画素111は、有機EL表示部110に、例えばマトリクス状に配置されている。
【0037】
有機EL素子121は、本発明の発光素子に相当し、アノードが駆動トランジスタ125のドレインに接続され、カソードが第2電源配線113に接続され、アノードとカソードとの間に流れる電流値に応じた輝度で発光する。この有機EL素子121のカソード側の電極は、複数の発光画素111に共通して設けられた共通電極の一部を構成しており、該共通電極は、その周縁部から電位が印加されるように、可変電圧源180と電気的に接続されている。つまり、共通電極が有機EL表示部110における第2電源配線113として機能する。また、カソード側の電極は、金属酸化物からなる透明導電性材料で形成されている。なお、有機EL素子121のアノード側の電極は本発明の第1の電極に相当し、有機EL素子121のカソード側の電極は本発明の第2の電極に相当する。
【0038】
データ線122は、データ線駆動回路120と、スイッチトランジスタ124のソース及びドレインの一方に接続され、データ線駆動回路120により映像データに対応する信号電圧が印加される。
【0039】
走査線123は、書込走査駆動回路130と、スイッチトランジスタ124のゲートに接続され、書込走査駆動回路130により印加される電圧に応じて、スイッチトランジスタ124をオン及びオフする。
【0040】
スイッチトランジスタ124は、ソース及びドレインの一方がデータ線122に接続され、ソース及びドレインの他方が駆動トランジスタ125のゲート及び保持容量126の一端に接続された、例えば、P型薄膜トランジスタ(TFT)である。
【0041】
駆動トランジスタ125は、本発明の駆動素子に相当し、ソースが第1電源配線112に接続され、ドレインが有機EL素子121のアノードに接続され、ゲートが保持容量126の一端及びスイッチトランジスタ124のソース及びドレインの他方に接続された、例えば、P型TFTである。これにより、駆動トランジスタ125は、保持容量126に保持された電圧に応じた電流を有機EL素子121に供給する。また、モニタ用の発光画素111Mにおいて、駆動トランジスタ125のソースは、モニタ用配線190と接続されている。
【0042】
保持容量126は、一端がスイッチトランジスタ124のソース及びドレインの他方に接続され、他端が第1電源配線112に接続され、スイッチトランジスタ124がオフされたときの第1電源配線112の電位と駆動トランジスタ125のゲートの電位との電位差を保持する。つまり、信号電圧に対応する電圧を保持する。
【0043】
データ線駆動回路120は、映像データに対応する信号電圧を、データ線122を介して発光画素111に出力する。
【0044】
書込走査駆動回路130は、複数の走査線123に走査信号を出力することで、複数の発光画素111を順に走査する。具体的には、スイッチトランジスタ124を行単位でオン及びオフする。これにより、書込走査駆動回路130により選択されている行の複数の発光画素111に、複数のデータ線122に出力された信号電圧が印加される。よって、発光画素111が映像データに応じた輝度で発光する。
【0045】
制御回路140は、データ線駆動回路120及び書込走査駆動回路130のそれぞれに、駆動タイミングを指示する。
【0046】
信号処理回路165は、入力された映像データに対応する信号電圧をデータ線駆動回路120へ出力する。
【0047】
電位差検出回路170Aは、モニタ用の発光画素111Mについて、モニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位を測定する。具体的には、電位差検出回路170Aは、モニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位を、モニタ用配線190を介して測定する。つまり、検出点M1の電位を測定する。さらに、電位差検出回路170Aは、可変電圧源180の高電位側の出力電位を測定し、測定したモニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位と可変電圧源180の高電位側の出力電位との電位差ΔVを測定する。そして、測定した電位差ΔVを電圧マージン設定部175へ出力する。
【0048】
電圧マージン設定部175は、本実施の形態における本発明の電圧調整部であって、ピーク階調での(VEL+VTFT)電圧と、電位差検出回路170Aで検出された電位差ΔVとから、モニタ用の発光画素111Mの電位を所定の電位にするように可変電圧源180を調整する。具体的には、信号処理回路165は、電位差検出回路170Aで検出された電位差を元に、電圧マージンVdropを求める。そして、ピーク階調での(VEL+VTFT)電圧と、電圧マージンVdropとを合計し、合計結果のVEL+VTFT+Vdropを第1基準電圧Vref1Aの電圧として可変電圧源180に出力する。
【0049】
可変電圧源180は、本発明の電源供給部に相当し、高電位側の電位及び低電位側の電位を有機EL表示部110に出力する。この可変電圧源180は、電圧マージン設定部175から出力される第1基準電圧Vref1Aにより、モニタ用の発光画素111Mの高電位側の電位が所定の電位(VEL+VTFT)となるような出力電圧Voutを出力する。
【0050】
モニタ用配線190は、一端がモニタ用の発光画素111Mに接続され、他端が電位差検出回路170Aに接続され、モニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位を伝達する。
【0051】
次に、この可変電圧源180の詳細な構成について簡単に説明する。
【0052】
図4は、実施の形態1に係る可変電圧源の具体的な構成の一例を示すブロック図である。なお、同図には可変電圧源に接続されている有機EL表示部110及び電圧マージン設定部175も示されている。
【0053】
同図に示す可変電圧源180は、比較回路181と、PWM(Pulse Width Modulation)回路182と、ドライブ回路183と、スイッチング素子SWと、ダイオードDと、インダクタLと、コンデンサCと、出力端子184とを有し、入力電圧Vinを第1基準電圧Vref1に応じた出力電圧Voutに変換し、出力端子184から出力電圧Voutを出力する。なお、図示していないが、入力電圧Vinが入力される入力端子の前段には、AC−DC変換器が挿入され、例えば、AC100VからDC20Vへの変換が済んでいるものとする。
【0054】
比較回路181は、出力検出部185及び誤差増幅器186を有し、出力電圧Voutと第1基準電圧Vref1との差分に応じた電圧をPWM回路182に出力する。
【0055】
出力検出部185は、出力端子184と、接地電位との間に挿入された2つの抵抗R1及びR2を有し、出力電圧Voutを抵抗R1及びR2の抵抗比に応じて分圧し、分圧された出力電圧Voutを誤差増幅器186へ出力する。
【0056】
誤差増幅器186は、出力検出部185で分圧されたVoutと、電圧マージン設定部175から出力された第1基準電圧Vref1Aとを比較し、その比較結果に応じた電圧をPWM回路182へ出力する。具体的には、誤差増幅器186は、オペアンプ187と、抵抗R3及びR4とを有する。オペアンプ187は、反転入力端子が抵抗R3を介して出力検出部185に接続され、非反転入力端子が電圧マージン設定部175に接続され、出力端子がPWM回路182と接続されている。また、オペアンプ187の出力端子は、抵抗R4を介して反転入力端子と接続されている。これにより、誤差増幅器186は、出力検出部185から入力された電圧と信号処理回路165から入力された第1基準電圧Vref1Aとの電位差に応じた電圧をPWM回路182へ出力する。言い換えると、出力電圧Voutと第1基準電圧Vref1Aとの電位差に応じた電圧をPWM回路182へ出力する。
【0057】
PWM回路182は、比較回路181から出力された電圧に応じてデューティの異なるパルス波形をドライブ回路183に出力する。具体的には、PWM回路182は、比較回路181から出力された電圧が大きい場合オンデューティの長いパルス波形を出力し、出力された電圧が小さい場合オンデューティの短いパルス波形を出力する。言い換えると、出力電圧Voutと第1基準電圧Vref1Aとの電位差が大きい場合オンデューティの長いパルス波形を出力し、出力電圧Voutと第1基準電圧Vref1Aとの電位差が小さい場合オンデューティの短いパルス波形を出力する。なお、パルス波形のオンの期間とは、パルス波形がアクティブの期間である。
【0058】
ドライブ回路183は、PWM回路182から出力されたパルス波形がアクティブの期間にスイッチング素子SWをオンし、PWM回路182から出力されたパルス波形が非アクティブの期間にスイッチング素子SWをオフする。
【0059】
スイッチング素子SWは、ドライブ回路183によりオン及びオフする。スイッチング素子SWがオンの間だけ、入力電圧VinがインダクタL及びコンデンサCを介して、出力端子184に出力電圧Voutとして出力される。よって、出力電圧Voutは0Vから徐々に20V(Vin)に近づいていく。この時、インダクタL及びコンデンサCに充電がなされる。Lの両端には電圧が印加されている(充電されている)ので、その分だけ出力電圧Voutは入力電圧Vinより低い電位となる。
【0060】
出力電圧Voutが第1基準電圧Vref1Aに近づくにつれて、PWM回路182に入力される電圧は小さくなり、PWM回路182が出力するパルス信号のオンデューティは短くなる。
【0061】
するとスイッチング素子SWがオンする時間も短くなり、出力電圧Voutは緩やかに第1基準電圧Vref1Aに収束してゆく。
【0062】
最終的に、Vout=Vref1A付近の電位でわずかに電圧変動しながら出力電圧Voutの電位が確定する。
【0063】
このように、可変電圧源180は、電圧マージン設定部175から出力された第1基準電圧Vref1Aとなるような出力電圧Voutを生成し、有機EL表示部110へ供給する。
【0064】
次に、上述した表示装置50の動作について
図5〜
図7を用いて説明する。
【0065】
図5は、実施の形態1に係る表示装置50の動作を示すフローチャートである。
【0066】
まず、電圧マージン設定部175は、予め設定された、ピーク階調に対応する(VEL+VTFT)電圧をメモリから読み出す(ステップS10)。具体的には、電圧マージン設定部175は、各色のピーク階調に対応するVTFT+VELの必要電圧を示す必要電圧換算テーブルを用いて各色の階調に対応するVTFT+VELを決定する。
【0067】
図6は、電圧マージン設定部175が参照する必要電圧換算テーブルの一例を示す図である。
【0068】
同図に示すように、必要電圧換算テーブルにはピーク階調(255階調)に対応するVTFT+VELの必要電圧が格納されている。例えば、Rのピーク階調での必要電圧は11.2V、Gのピーク階調での必要電圧は12.2V、Bのピーク階調での必要電圧は8.4Vとなる。各色のピーク階調での必要電圧のうち、最大の電圧はGの12.2Vである。よって、電圧マージン設定部175は、VTFT+VELを12.2Vと決定する。
【0069】
一方、電位差検出回路170Aは、検出点M1の電位を、モニタ用配線190を介して検出する(ステップS14)。
【0070】
次に、電位差検出回路170Aは、可変電圧源180の出力端子184の電位と、検出点M1の電位との電位差ΔVを検出する(ステップS15)。そして、検出した電位差ΔVを電圧マージン設定部175へ出力する。
【0071】
次に、電圧マージン設定部175は、電位差検出回路170Aから出力された電位差信号から、電位差検出回路170Aが検出した電位差ΔVに対応する電圧マージンVdropを決定する(ステップS16)。具体的には、電圧マージン設定部175は、電位差ΔVに対応する電圧マージンVdropを示す電圧マージン換算テーブルを有する。
【0072】
図7は、電圧マージン設定部175が参照する電圧マージン換算テーブルの一例を示す図である。
【0073】
同図に示すように、電圧マージン換算テーブルには、電位差ΔVに対応する電圧マージンVdropが格納されている。例えば、電位差ΔVが3.4Vの場合、電圧マージンVdropは3.4Vである。よって、電圧マージン設定部175は、電圧マージンVdropを3.4Vと決定する。
【0074】
ところで、電圧マージン換算テーブルに示すように、電位差ΔVと電圧マージンVdropとは増加関数の関係となっている。また、可変電圧源180の出力電圧Voutは電圧マージンVdropが大きいほど高くなる。つまり、電位差ΔVと出力電圧Voutとは増加関数の関係となっている。
【0075】
次に、電圧マージン設定部175は、次のフレーム期間に可変電圧源180に出力させる出力電圧Voutを決定する(ステップS17)。具体的には、次にフレーム期間に可変電圧源180に出力させる出力電圧Voutを、有機EL素子121と駆動トランジスタ125に必要な電圧の決定(ステップS13)で決定されたVTFT+VELと電位差ΔVに対応する電圧マージンの決定(ステップS15)で決定された電圧マージンVdropとの合計値であるVTFT+VEL+Vdropとする。
【0076】
最後に、電圧マージン設定部175は、次のフレーム期間の最初に、第1基準電圧Vref1AをVTFT+VEL+Vdropとすることにより、可変電圧源180を調整する(ステップS18)。これにより、次のフレーム期間において、可変電圧源180は、Vout=VTFT+VEL+Vdropとして、有機EL表示部110へ供給する。
【0077】
このように、本実施の形態に係る表示装置50は、消費電力低減効果を得るための最小構成として構成される。具体的には、この表示装置50は、高電位側の電位及び低電位側の電位を出力する可変電圧源180と、有機EL表示部110における、モニタ用の発光画素111Mについて、当該モニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位、及び、可変電圧源180の高電位側の出力電圧Voutを測定する電位差検出回路170Aと、電位差検出回路170Aで測定されたモニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位を所定の電位(VTFT+VEL)にするように可変電圧源180を調整する電圧マージン設定部175とを含む。また、電位差検出回路170Aは、さらに、可変電圧源180の高電位側の出力電圧Voutを測定し、測定した高電位側の出力電圧Voutと、モニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位との電位差を検出し、電圧マージン設定部175は、電位差検出回路170Aで検出された電位差に応じて可変電圧源を調整する。
【0078】
これにより、表示装置50は、水平方向の第1電源配線抵抗R1h及び垂直方向の第1電源配線抵抗R1vによる電圧降下を検出し、その電圧降下の程度を可変電圧源180にフィードバックすることで、余分な電圧を減らし、消費電力を削減することができる。
【0079】
また、表示装置50は、モニタ用の発光画素111Mが有機EL表示部110の中央付近に配置されていることにより、有機EL表示部110が大型化した場合にも、可変電圧源180の出力電圧Voutを簡便に調整できる。
【0080】
また、消費電力を削減することにより有機EL素子121の発熱が抑えられるので、有機EL素子121の劣化を防止できる。
【0081】
次に、上述の表示装置50において、第Nフレーム以前と第N+1フレーム以降とで、入力される映像データが変わる場合の表示パターンの変遷について、
図8及び
図9を用いて説明する。
【0082】
最初に、第Nフレーム及び第N+1フレームに入力されたと想定する映像データについて説明する。
【0083】
まず、第Nフレーム以前において、有機EL表示部110の中心部に対応する映像データは、有機EL表示部110の中心部が白く見えるようなピーク階調(R:G:B=255:255:255)とする。一方、有機EL表示部110の中心部以外に対応する映像データは、有機EL表示部110の中心部以外がグレーに見えるようなグレー階調(R:G:B=50:50:50)とする。
【0084】
また、第N+1フレーム以降において、有機EL表示部110の中心部に対応する映像データは、第Nフレームと同様にピーク階調(R:G:B=255:255:255)とする。一方、有機EL表示部110の中心部以外に対応する映像データは、第Nフレームよりも明るいグレーに見えるようなグレー階調(R:G:B=150:150:150)とする。
【0085】
次に、第Nフレーム及び第N+1フレームに上述のような映像データが入力された場合の、表示装置50の動作について説明する。
【0086】
図8は、第Nフレーム〜第N+2フレームにおける表示装置50の動作を示すタイミングチャートである。
【0087】
同図には、電位差検出回路170Aで検出された電位差ΔVと、可変電圧源180からの出力電圧Voutと、モニタ用の発光画素111Mの画素輝度とが示されている。また、各フレーム期間の最後には、ブランキング期間が設けられている。
【0088】
図9は、有機EL表示部に表示される画像を模式的に示す図である。
【0089】
時間t=T10において、信号処理回路165は第Nフレームの映像データを入力する。電圧マージン設定部175は、必要電圧換算テーブルを用いて、Gのピーク階調での必要電圧12.2Vを(VTFT+VEL)電圧と設定する。
【0090】
一方、このとき電位差検出回路170Aは、モニタ用配線190を介して検出点M1の電位を検出し、可変電圧源180から出力されている出力電圧Voutとの電位差ΔVを検出する。例えば、時間t=T10においてΔV=1Vを検出する。そして、電圧マージン換算テーブルを用いて、第N+1フレームの電圧マージンVdropを1Vと決定する。
【0091】
時間t=T10〜T11は第Nフレームのブランキング期間であり、この期間において有機EL表示部110には、時間t=T10と同じ画像が表示される。
【0092】
図9(a)は、時間t=T10〜T11において、有機EL表示部110に表示される画像を模式的に示す図である。この期間において、有機EL表示部110に表示される画像は、第Nフレームの映像データに対応して、中心部が白く、中心部以外がグレーとなっている。
【0093】
時間t=T11において、電圧マージン設定部175は、第1基準電圧Vref1Aの電圧を、上記(VTFT+VEL)電圧と、電圧マージンVdropとの合計VTFT+VEL+Vdrop(例えば、13.2V)とする。
【0094】
時間t=T11〜T16にかけて、有機EL表示部110には、第N+1フレームの映像データに対応する画像が順に表示されていく(
図9(b)〜
図9(f))。このとき、可変電圧源180からの出力電圧Voutは、常に、時間t=T11で第1基準電圧Vref1Aの電圧に設定したVTFT+VEL+Vdropとなっている。しかしながら、第N+1フレームでは、有機EL表示部110の中心部以外に対応する映像データは、第Nフレームよりも明るいグレーに見えるようなグレー階調である。よって、可変電圧源180から有機EL表示部110に供給する電流量は、時間t=T11〜T16にかけて徐々に増加し、この電流量の増加に伴い第1電源配線112の電圧降下が徐々に大きくなる。これにより、明るく表示されている領域の発光画素111である、有機EL表示部110の中心部の発光画素111の電源電圧が不足する。言い換えると、第N+1フレームの映像データR:G:B=255:255:255に対応する画像よりも輝度が低下する。つまり、時間t=T11〜T16にかけて、有機EL表示部110の中心部の発光画素111の発光輝度は徐々に低下する。
【0095】
次に、時間t=T16において、信号処理回路165は第N+1フレームの映像データを入力する。電圧マージン設定部175は、必要電圧換算テーブルを用いて、Gのピーク階調での必要電圧12.2Vを、継続して(VTFT+VEL)電圧と設定する。
【0096】
一方、このとき電位差検出回路170Aは、モニタ用配線190を介して検出点M1の電位を検出し、可変電圧源180から出力されている出力電圧Voutとの電位差ΔVを検出する。例えば、時間t=T16においてΔV=3Vを検出する。そして、電圧マージン換算テーブルを用いて、第N+1フレームの電圧マージンVdropを3Vと決定する。
【0097】
次に、時間t=T17において、電圧マージン設定部175は、第1基準電圧Vref1Aの電圧を、上記(VTFT+VEL)電圧と、電圧マージンVdropとの合計VTFT+VEL+Vdrop(例えば、15.2V)とする。よって、時間t=T17以降、検出点M1の電位は、所定の電位であるVTFT+VELとなる。
【0098】
このように、表示装置50は、第N+1フレームにおいて、一時的に輝度が低下するが、非常に短い期間であり、ユーザにとってほとんど影響はない。
【0099】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る表示装置は、実施の形態1に係る表示装置と比較して、可変電圧源へ入力される基準電圧が、電位差検出回路で検出された電位差ΔVの変化に依存して変化するだけでなく、入力された映像データからフレームごと検出されたピーク信号にも依存して変化する点が異なる。以下、実施の形態1と同じ点は説明を省略し、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と重複する図面については、実施の形態1に適用された図面を用いる。
【0100】
以下、本発明の実施の形態2について、表示装置が消費電力低減効果を得るための最小構成として、検出点を一点(M1)備え、モニタ用配線(検出線ともいう)と接続されている場合について、図を用いて具体的に説明する。
【0101】
図10は、本実施の形態に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0102】
同図に示す表示装置100は、有機EL表示部110と、データ線駆動回路120と、書込走査駆動回路130と、制御回路140と、ピーク信号検出回路150と、信号処理回路160と、電位差検出回路170Aからなる最大値検出回路170と、可変電圧源180と、モニタ用配線190とを備える。
【0103】
有機EL表示部110の構成については、実施の形態1の
図2及び
図3に記載された構成と同様であるので説明を省略する。
【0104】
ピーク信号検出回路150は、表示装置100に入力された映像データのピーク値を検出し、検出したピーク値を示すピーク信号を信号処理回路160へ出力する。具体的には、ピーク信号検出回路150は、映像データの中から最も高階調のデータをピーク値として検出する。高階調のデータとは、有機EL表示部110で明るく表示される画像に対応する。
【0105】
信号処理回路160は、ピーク信号検出回路150から出力されたピーク信号と、電位差検出回路170Aで検出された電位差ΔVとから、モニタ用の発光画素111Mの電位を所定の電位にするように可変電圧源180を調整する。具体的には、信号処理回路160は、ピーク信号検出回路150から出力されたピーク信号で発光画素111を発光させた場合に、有機EL素子121と駆動トランジスタ125とに必要な電圧を決定する。また、信号処理回路160は、電位差検出回路170Aで検出された電位差を元に、電圧マージンを求める。そして、決定した、有機EL素子121に必要な電圧VELと、駆動トランジスタ125に必要な電圧VTFTと、電圧マージンVdropとを合計し、合計結果のVEL+VTFT+Vdropを第1基準電圧Vref1の電圧として可変電圧源180に出力する。
【0106】
また、信号処理回路160は、ピーク信号検出回路150を介して入力された映像データに対応する信号電圧をデータ線駆動回路120へ出力する。
【0107】
電位差検出回路170Aは、モニタ用の発光画素111Mについて、モニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位を測定する。具体的には、電位差検出回路170Aは、モニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位を、モニタ用配線190を介して測定する。つまり、検出点M1の電位を測定する。さらに、電位差検出回路170Aは、可変電圧源180の高電位側の出力電位を測定し、測定したモニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位と可変電圧源180の高電位側の出力電位との電位差ΔVを測定する。そして、測定した電位差ΔVを信号処理回路160へ出力する。
【0108】
可変電圧源180は、本発明の電源供給部に相当し、高電位側の電位及び低電位側の電位を有機EL表示部110に出力する。この可変電圧源180は、信号処理回路160から出力される第1基準電圧Vref1により、モニタ用の発光画素111Mの高電位側の電位が所定の電位(VEL+VTFT)となるような出力電圧Voutを出力する。
【0109】
モニタ用配線190は、一端がモニタ用の発光画素111Mに接続され、他端が電位差検出回路170Aに接続され、モニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位を伝達する。
【0110】
次に、この可変電圧源180の詳細な構成について簡単に説明する。
【0111】
図11は、実施の形態2に係る可変電圧源の具体的な構成の一例を示すブロック図である。なお、同図には可変電圧源に接続されている有機EL表示部110及び信号処理回路160も示されている。
【0112】
同図に示す可変電圧源180は、実施の形態1で説明した可変電圧源180と同様である。
【0113】
誤差増幅器186は、出力検出部185で分圧されたVoutと、信号処理回路160から出力された第1基準電圧Vref1とを比較し、その比較結果に応じた電圧をPWM回路182へ出力する。具体的には、誤差増幅器186は、オペアンプ187と、抵抗R3及びR4とを有する。オペアンプ187は、反転入力端子が抵抗R3を介して出力検出部185に接続され、非反転入力端子が信号処理回路160に接続され、出力端子がPWM回路182と接続されている。また、オペアンプ187の出力端子は、抵抗R4を介して反転入力端子と接続されている。これにより、誤差増幅器186は、出力検出部185から入力された電圧と信号処理回路160から入力された第1基準電圧Vref1との電位差に応じた電圧をPWM回路182へ出力する。言い換えると、出力電圧Voutと第1基準電圧Vref1との電位差に応じた電圧をPWM回路182へ出力する。
【0114】
PWM回路182は、比較回路181から出力された電圧に応じてデューティの異なるパルス波形をドライブ回路183に出力する。具体的には、PWM回路182は、比較回路181から出力された電圧が大きい場合オンデューティの長いパルス波形を出力し、出力された電圧が小さい場合オンデューティの短いパルス波形を出力する。言い換えると、出力電圧Voutと第1基準電圧Vref1との電位差が大きい場合オンデューティの長いパルス波形を出力し、出力電圧Voutと第1基準電圧Vref1との電位差が小さい場合オンデューティの短いパルス波形を出力する。なお、パルス波形のオンの期間とは、パルス波形がアクティブの期間である。
【0115】
出力電圧Voutが第1基準電圧Vref1に近づくにつれて、PWM回路182に入力される電圧は小さくなり、PWM回路182が出力するパルス信号のオンデューティは短くなる。
【0116】
するとスイッチング素子SWがオンする時間も短くなり、出力電圧Voutは緩やかに第1基準電圧Vref1に収束してゆく。
【0117】
最終的に、Vout=Vref1付近の電位でわずかに電圧変動しながら出力電圧Voutの電位が確定する。
【0118】
このように、可変電圧源180は、信号処理回路160から出力された第1基準電圧Vref1となるような出力電圧Voutを生成し、有機EL表示部110へ供給する。
【0119】
次に、上述した表示装置100の動作について
図12、
図13及び
図7を用いて説明する。
【0120】
図12は、表示装置100の動作を示すフローチャートである。
【0121】
まず、ピーク信号検出回路150は、表示装置100に入力された1フレーム期間の映像データを取得する(ステップS11)。例えば、ピーク信号検出回路150は、バッファを有し、そのバッファに1フレーム期間の映像データを蓄積する。
【0122】
次に、ピーク信号検出回路150は、取得した映像データのピーク値を検出(ステップS12)し、検出したピーク値を示すピーク信号を信号処理回路160へ出力する。具体的には、ピーク信号検出回路150は、色ごとに映像データのピーク値を検出する。例えば、映像データが赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれについて0〜255(大きいほど輝度が高い)までの256階調で表されているとする。ここで、有機EL表示部110の一部の映像データがR:G:B=177:124:135、有機EL表示部110の他の一部の映像データがR:G:B=24:177:50、さらに他の一部の映像データがR:G:B=10:70:176の場合、ピーク信号検出回路150はRのピーク値として177、Gのピーク値として177、Bのピーク値として176を検出し、検出した各色のピーク値を示すピーク信号を信号処理回路160へ出力する。
【0123】
次に、信号処理回路160は、ピーク信号検出回路150から出力されたピーク値で有機EL素子121を発光させた場合の駆動トランジスタ125に必要な電圧VTFTと、有機EL素子121に必要な電圧VELとを決定する(ステップS13)。具体的には、信号処理回路160は、各色の階調に対応するVTFT+VELの必要電圧を示す必要電圧換算テーブルを用いて各色の階調に対応するVTFT+VELを決定する。
【0124】
図13は、信号処理回路160が有する必要電圧換算テーブルの一例を示す図である。
【0125】
同図に示すように、必要電圧換算テーブルには各色の階調に対応するVTFT+VELの必要電圧が格納されている。例えば、Rのピーク値177に対応する必要電圧は8.5V、Gのピーク値177に対応する必要電圧は9.9V、Bのピーク値176に対応する必要電圧は9.9Vとなる。各色のピーク値に対応する必要電圧のうち、最大の電圧はBのピーク値に対応する9.9Vである。よって、信号処理回路160は、VTFT+VELを9.9Vと決定する。
【0126】
一方、電位差検出回路170Aは、検出点M1の電位を、モニタ用配線190を介して検出する(ステップS14)。
【0127】
次に、電位差検出回路170Aは、可変電圧源180の出力端子184の電位と、検出点M1の電位との電位差ΔVを検出する(ステップS15)。そして、検出した電位差ΔVを信号処理回路160へ出力する。
【0128】
次に、信号処理回路160は、電位差検出回路170Aから出力された電位差信号から、電位差検出回路170Aが検出した電位差ΔVに対応する電圧マージンVdropを決定する(ステップS16)。具体的には、信号処理回路160は、電位差ΔVに対応する電圧マージンVdropを示す電圧マージン換算テーブルを有する。
【0129】
図7に示すように、電圧マージン換算テーブルには、電位差ΔVに対応する電圧マージンVdropが格納されている。例えば、電位差ΔVが3.4Vの場合、電圧マージンVdropは3.4Vである。よって、信号処理回路160は、電圧マージンVdropを3.4Vと決定する。
【0130】
ところで、電圧マージン換算テーブルに示すように、電位差ΔVと電圧マージンVdropとは増加関数の関係となっている。また、可変電圧源180の出力電圧Voutは電圧マージンVdropが大きいほど高くなる。つまり、電位差ΔVと出力電圧Voutとは増加関数の関係となっている。
【0131】
次に、信号処理回路160は、次のフレーム期間に可変電圧源180に出力させる出力電圧Voutを決定する(ステップS17)。具体的には、次にフレーム期間に可変電圧源180に出力させる出力電圧Voutを、有機EL素子121と駆動トランジスタ125に必要な電圧の決定(ステップS13)で決定されたVTFT+VELと電位差ΔVに対応する電圧マージンの決定(ステップS15)で決定された電圧マージンVdropとの合計値であるVTFT+VEL+Vdropとする。
【0132】
最後に、信号処理回路160は、次のフレーム期間の最初に、第1基準電圧Vref1をVTFT+VEL+Vdropとすることにより、可変電圧源180を調整する(ステップS18)。これにより、次のフレーム期間において、可変電圧源180は、Vout=VTFT+VEL+Vdropとして、有機EL表示部110へ供給する。
【0133】
このように、本実施の形態に係る表示装置100は、消費電力低減効果を得るための最小構成として構成される。具体的には、この表示装置100は、高電位側の電位及び低電位側の電位を出力する可変電圧源180と、有機EL表示部110における、モニタ用の発光画素111Mについて、当該モニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位、及び、可変電圧源180の高電位側の出力電圧Voutを測定する電位差検出回路170Aと、電位差検出回路170Aで測定されたモニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位を所定の電位(VTFT+VEL)にするように可変電圧源180を調整する信号処理回路160とを含む。また、電位差検出回路170Aは、さらに、可変電圧源180の高電位側の出力電圧Voutを測定し、測定した高電位側の出力電圧Voutと、モニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位との電位差を検出し、信号処理回路160は、電位差検出回路170Aで検出された電位差に応じて可変電圧源を調整する。
【0134】
これにより、表示装置100は、水平方向の第1電源配線抵抗R1h及び垂直方向の第1電源配線抵抗R1vによる電圧降下を検出し、その電圧降下の程度を可変電圧源180にフィードバックすることで、余分な電圧を減らし、消費電力を削減することができる。
【0135】
また、表示装置100は、モニタ用の発光画素111Mが有機EL表示部110の中央付近に配置されていることにより、有機EL表示部110が大型化した場合にも、可変電圧源180の出力電圧Voutを簡便に調整できる。
【0136】
また、消費電力を削減することにより有機EL素子121の発熱が抑えられるので、有機EL素子121の劣化を防止できる。
【0137】
次に、上述の表示装置100において、第Nフレーム以前と第N+1フレーム以降とで、入力される映像データが変わる場合の表示パターンの変遷について、
図8及び
図9を用いて説明する。
【0138】
最初に、第Nフレーム及び第N+1フレームに入力されたと想定する映像データについて説明する。
【0139】
まず、第Nフレーム以前において、有機EL表示部110の中心部に対応する映像データは、有機EL表示部110の中心部が白く見えるようなピーク階調(R:G:B=255:255:255)とする。一方、有機EL表示部110の中心部以外に対応する映像データは、有機EL表示部110の中心部以外がグレーに見えるようなグレー階調(R:G:B=50:50:50)とする。
【0140】
また、第N+1フレーム以降において、有機EL表示部110の中心部に対応する映像データは、第Nフレームと同様にピーク階調(R:G:B=255:255:255)とする。一方、有機EL表示部110の中心部以外に対応する映像データは、第Nフレームよりも明るいグレーに見えるようなグレー階調(R:G:B=150:150:150)とする。
【0141】
次に、第Nフレーム及び第N+1フレームに上述のような映像データが入力された場合の、表示装置100の動作について説明する。
【0142】
図8には、電位差検出回路170Aで検出された電位差ΔVと、可変電圧源180からの出力電圧Voutと、モニタ用の発光画素111Mの画素輝度とが示されている。また、各フレーム期間の最後には、ブランキング期間が設けられている。
【0143】
時間t=T10において、ピーク信号検出回路150は第Nフレームの映像データのピーク値を検出する。信号処理回路160は、ピーク信号検出回路150で検出されたピーク値からVTFT+VELを決定する。ここで、第Nフレームの映像データのピーク値はR:G:B=255:255:255であるので、信号処理回路160は、必要電圧換算テーブルを用いて第N+1フレームの必要電圧VTFT+VELを、例えば12.2Vと決定する。
【0144】
一方、このとき電位差検出回路170Aは、モニタ用配線190を介して検出点M1の電位を検出し、可変電圧源180から出力されている出力電圧Voutとの電位差ΔVを検出する。例えば、時間t=T10においてΔV=1Vを検出する。そして、電圧マージン換算テーブルを用いて、第N+1フレームの電圧マージンVdropを1Vと決定する。
【0145】
時間t=T10〜T11は第Nフレームのブランキング期間であり、この期間において有機EL表示部110には、時間t=T10と同じ画像が表示される。
【0146】
図9(a)は、時間t=T10〜T11において、有機EL表示部110に表示される画像を模式的に示す図である。この期間において、有機EL表示部110に表示される画像は、第Nフレームの映像データに対応して、中心部が白く、中心部以外がグレーとなっている。
【0147】
時間t=T11において、信号処理回路160は、第1基準電圧Vref1の電圧を、決定した必要電圧VTFT+VELと、電圧マージンVdropとの合計VTFT+VEL+Vdrop(例えば、13.2V)とする。
【0148】
時間t=T11〜T16にかけて、有機EL表示部110には、第N+1フレームの映像データに対応する画像が順に表示されていく(
図9(b)〜
図9(f))。このとき、可変電圧源180からの出力電圧Voutは、常に、時間t=T11で第1基準電圧Vref1の電圧に設定したVTFT+VEL+Vdropとなっている。しかしながら、第N+1フレームでは、有機EL表示部110の中心部以外に対応する映像データは、第Nフレームよりも明るいグレーに見えるようなグレー階調である。よって、可変電圧源180から有機EL表示部110に供給する電流量は、時間t=T11〜T16にかけて徐々に増加し、この電流量の増加に伴い第1電源配線112の電圧降下が徐々に大きくなる。これにより、明るく表示されている領域の発光画素111である、有機EL表示部110の中心部の発光画素111の電源電圧が不足する。言い換えると、第N+1フレームの映像データR:G:B=255:255:255に対応する画像よりも輝度が低下する。つまり、時間t=T11〜T16にかけて、有機EL表示部110の中心部の発光画素111の発光輝度は徐々に低下する。
【0149】
次に、時間t=T16において、ピーク信号検出回路150は第N+1フレームの映像データのピーク値を検出する。ここで検出される第N+1フレームの映像データのピーク値はR:G:B=255:255:255であるので、信号処理回路160は第N+2フレームの必要電圧VTFT+VELを、例えば12.2Vと決定する。
【0150】
一方、このとき電位差検出回路170Aは、モニタ用配線190を介して検出点M1の電位を検出し、可変電圧源180から出力されている出力電圧Voutとの電位差ΔVを検出する。例えば、時間t=T16においてΔV=3Vを検出する。そして、電圧マージン換算テーブルを用いて、第N+1フレームの電圧マージンVdropを3Vと決定する。
【0151】
次に、時間t=T17において、信号処理回路160は、第1基準電圧Vref1の電圧を、決定した必要電圧VTFT+VELと、電圧マージンVdropとの合計VTFT+VEL+Vdrop(例えば、15.2V)とする。よって、時間t=T17以降、検出点M1の電位は、所定の電位であるVTFT+VELとなる。
【0152】
このように、表示装置100は、第N+1フレームにおいて、一時的に輝度が低下するが、非常に短い期間であり、ユーザにとってほとんど影響はない。
【0153】
(実施の形態3)
実施の形態3では、実施の形態1とは別の例、すなわち表示装置が消費電力低減効果を得るための最小構成として検出点を一点(M1)備え、モニタ用配線(検出線)と接続されている場合の別の例について説明する。本実施の形態に係る表示装置は、実施の形態2に係る表示装置100とほぼ同じであるが、電位差検出回路170Aを備えず、検出点M1の電位が可変電圧源に入力される点が異なる。また、信号処理回路は、可変電圧源に出力する電圧を必要電圧VTFT+VELとする点が異なる。これにより、本実施の形態に係る表示装置は、電圧降下量に応じてリアルタイムに可変電圧源の出力電圧Voutを調整できるので、実施の形態2と比較して、画素輝度の一時的な低下を防止できる。以下、このことについて、図を用いて具体的に説明する。
【0154】
図14は、本実施の形態に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0155】
同図に示す本実施の形態に係る表示装置200は、
図10に示した実施の形態2に係る表示装置100と比較して、電位差検出回路170Aを備えない点と、モニタ用配線190に代わりモニタ用配線290を備える点と、信号処理回路160に代わり信号処理回路260を備える点と、可変電圧源180に代わり可変電圧源280を備える点とが異なる。
【0156】
信号処理回路260は、ピーク信号検出回路150から出力されたピーク信号から、可変電圧源280に出力する第2基準電圧Vref2の電圧を決定する。具体的には、信号処理回路260は、必要電圧換算テーブルを用いて、有機EL素子121に必要な電圧VELと駆動トランジスタ125に必要な電圧VTFTとの合計VTFT+VELを決定する。そして、決定したVTFT+VELを第2基準電圧Vref2の電圧とする。
【0157】
このように、本実施の形態に係る表示装置200の信号処理回路260が可変電圧源280に出力する第2基準電圧Vref2は、実施の形態2に係る表示装置100の信号処理回路160が可変電圧源180に出力する第1基準電圧Vref1と異なり、映像データのみに対応して決定される電圧である。つまり、第2基準電圧Vref2は、可変電圧源280の出力電圧Voutと検出点M1の電位との電位差ΔVに依存しない。
【0158】
可変電圧源280は、モニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位を、モニタ用配線290を介して測定する。つまり、検出点M1の電位を測定する。そして、測定した検出点M1の電位と、信号処理回路260から出力された第2基準電圧Vref2とに応じて、出力電圧Voutを調整する。
【0159】
モニタ用配線290は、一端が検出点M1に接続され、他端が可変電圧源280に接続され、検出点M1の電位を可変電圧源280に伝達する。
【0160】
図15は、実施の形態3に係る可変電圧源280の具体的な構成の一例を示すブロック図である。なお、同図には可変電圧源に接続されている有機EL表示部110及び信号処理回路260も示されている。
【0161】
同図に示す可変電圧源280は、
図11に示した可変電圧源180の構成とほぼ同じであるが、比較回路181に代わり、検出点M1の電位と第2基準電圧Vref2とを比較する比較回路281を備える点が異なる。
【0162】
ここで、可変電圧源280の出力電位をVoutとし、可変電圧源280の出力端子184から検出点M1までの電圧降下量をΔVとすると、検出点M1の電位はVout−ΔVとなる。つまり、本実施の形態において、比較回路281はVref2とVout−ΔVとを比較している。上述したように、Vref2=VTFT+VELなので、比較回路281はVTFT+VELとVout−ΔVとを比較していると言える。
【0163】
一方、実施の形態2において、比較回路181はVref1とVoutとを比較している。上述したように、Vref1=VTFT+VEL+ΔVなので、実施の形態2において、比較回路181はVTFT+VEL+ΔVとVoutとを比較していると言える。
【0164】
よって、比較回路281は、比較回路181と比較対象が異なるが、比較結果は同じである。つまり、実施の形態2と実施の形態3とで、可変電圧源280の出力端子184から検出点M1までの電圧降下量が等しい場合、比較回路181がPWM回路に出力する電圧と、比較回路281がPWM回路に出力する電圧とは同じである。その結果、可変電圧源180の出力電圧Voutと可変電圧源280の出力電圧Voutとは等しくなる。また、実施の形態2においても、電位差ΔVと出力電圧Voutとは増加関数の関係となっている。
【0165】
以上のように構成された表示装置200は、実施の形態2に係る表示装置100と比較して、出力端子184と検出点M1との電位差ΔVに応じて出力電圧Voutをリアルタイムに調整できる。なぜならば、実施の形態2に係る表示装置100においては、信号処理回路160から各フレーム期間の最初にだけ、当該フレームにおける第1基準電圧Vref1の変更がされていた。一方、本実施の形態に係る表示装置200においては、信号処理回路260を介さずに、可変電圧源280の比較回路181に直接ΔVに依存した電圧、つまりVout−ΔV、が入力されることにより、信号処理回路260の制御に依存せずにVoutを調整することができるからである。
【0166】
次に、このように構成された表示装置200において、実施の形態2と同様に、第Nフレーム以前と第N+1フレーム以降とで、入力される映像データが変わる場合の、表示装置200の動作について説明する。なお、入力される映像データは実施の形態2と同様に、第Nフレーム以前の、有機EL表示部110の中心部がR:G:B=255:255:255、中心部以外がR:G:B=50:50:50とし、第N+1フレーム以降の、有機EL表示部110の中心部がR:G:B=255:255:255、中心部以外がR:G:B=150:150:150とする。
【0167】
図16は、第Nフレーム〜第N+2フレームにおける表示装置200の動作を示すタイミングチャートである。
【0168】
時間t=T20において、ピーク信号検出回路150は第Nフレームの映像データのピーク値を検出する。信号処理回路260は、ピーク信号検出回路150で検出されたピーク値からVTFT+VELを求める。ここで、第Nフレームの映像データのピーク値はR:G:B=255:255:255であるので、信号処理回路160は、必要電圧換算テーブルを用いて第N+1フレームの必要電圧VTFT+VELを、例えば12.2Vと決定する。
【0169】
一方、出力検出部185は、モニタ用配線290を介して検出点M1の電位を、常に検出している。
【0170】
次に、時間t=T21において、信号処理回路260は、第2基準電圧Vref2の電圧を、決定した必要電圧VTFT+TEL(例えば、12.2V)とする。
【0171】
時間t=T21〜22にかけて、有機EL表示部110には、第N+1フレームの映像データに対応する画像が順に表示されていく。このとき、可変電圧源280から有機EL表示部110に供給する電流量は、実施の形態2で説明したように徐々に増加する。よって、電流量の増加に伴い第1電源配線112における電圧降下が徐々に大きくなる。つまり、検出点M1の電位が徐々に低下する。言い換えると、出力電圧Voutと検出点M1の電位との電位差ΔVが徐々に増大する。
【0172】
ここで、誤差増幅器186は、VTFT+VELとVout−ΔVとの電位差に応じた電圧をリアルタイムに出力するので、電位差ΔVの増大に応じてVoutを上昇させるような電圧を出力する。
【0173】
よって、可変電圧源280は、電位差ΔVの増大に応じてVoutをリアルタイムに上昇する。
【0174】
これにより、明るく表示されている領域の発光画素111である、有機EL表示部110の中心部の発光画素111の電源電圧の不足は解消する。つまり、画素輝度の低下を解消する。
【0175】
以上のように、本実施の形態に係る表示装置200は、消費電力低減効果を得るための最小構成として構成される。具体的には、この表示装置200は、信号処理回路160と、可変電圧源280の誤差増幅器186、PWM回路182及びドライブ回路183は、出力検出部185で測定されたモニタ用の発光画素111Mの高電位側の電位と、所定の電位との電位差を検出し、検出した電位差に応じてスイッチング素子SWを調整する。これにより、本実施の形態に係る表示装置200は、実施の形態2に係る表示装置100と比較して、電圧降下量に応じてリアルタイムに可変電圧源280の出力電圧Voutを調整できるので、実施の形態2と比較して、画素輝度の一時的な低下を防止できる。
【0176】
なお、本実施の形態において、有機EL表示部110は本発明の表示部に相当し、
図15において一点鎖線で囲まれている、信号処理回路160と、可変電圧源280の誤差増幅器186、PWM回路182及びドライブ回路183とは本発明の電圧調整部に相当する。
図15において2点鎖線で囲まれている、スイッチング素子SW、ダイオードD、インダクタL及びコンデンサCは本発明の電源供給部に相当する。
【0177】
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4について、表示装置が消費電力低減効果を得るための構成として、検出点を複数点(M1〜M5)備え、それらがモニタ用配線(検出線)と接続されている場合について説明する。
【0178】
本実施の形態に係る表示装置は、実施の形態2に係る表示装置100とほぼ同じであるが、2以上の発光画素111のそれぞれについて高電位側の電位を測定し、測定した複数の電位のそれぞれと可変電圧源180の出力電圧との電位差を検出し、その検出結果のうち、最大の電位差に応じて、可変電圧源180を調整する点が異なる。これにより、可変電圧源180の出力電圧Voutをより適切に調整することが可能となる。よって、有機EL表示部を大型化した場合であっても、消費電力を効果的に削減できる。以下、このことについて、図を用いて具体的に説明する。
【0179】
図17は、本実施の形態に係る表示装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0180】
同図に示す本実施の形態に係る表示装置300Aは、
図10に示した実施の形態2に係る表示装置100とほぼ同じであるが、表示装置100と比較してさらに電位比較回路370Aを備え、有機EL表示部110に代わり有機EL表示部310を備え、モニタ用配線190に代わりモニタ用配線391〜395を備える点が異なる。ここで、電位比較回路370Aと、電位差検出回路170Aとで、最大値回路370を構成する。
【0181】
有機EL表示部310は、有機EL表示部110とほぼ同じであるが、有機EL表示部110と比較して、検出点M1〜M5と1対1に対応して設けられ、対応する検出点の電位を測定するためのモニタ用配線391〜395が配置されている点が異なる。
【0182】
なお、同図には、5つの検出点M1〜M5が図示されているが、検出点は複数ではあればよく、2つでも、3つでもよい。
【0183】
モニタ用配線391〜395は、それぞれ、対応する検出点M1〜M5と、電位比較回路370Aとに接続され、対応する検出点M1〜M5の電位を伝達する。これにより、電位比較回路370Aは、モニタ用配線391〜395を介して検出点M1〜M5の電位を測定できる。
【0184】
電位比較回路370Aは、モニタ用配線391〜395を介して検出点M1〜M5の電位を測定する。言い換えると、複数のモニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位を測定する。さらに、測定した検出点M1〜M5の電位のうち最小の電位を選択し、選択した電位を電位差検出回路170Aへ出力する。
【0185】
電位差検出回路170Aは、実施の形態2と同様に入力された電位と可変電圧源180の出力電圧Voutとの電位差ΔVを検出し、検出した電位差ΔVを信号処理回路160へ出力する。
【0186】
よって、信号処理回路160は電位比較回路370Aで選択された電位に基づいて可変電圧源180を調整する。その結果、可変電圧源180は、複数のモニタ用の発光画素111Mのいずれにおいても輝度の低下が生じないような出力電圧Voutを、有機EL表示部310に供給する。
【0187】
以上のように、本実施の形態に係る表示装置300Aは、電位比較回路370Aが、有機EL表示部310内における複数の発光画素111のそれぞれについて、印加される高電位側の電位を測定し、測定した複数の発光画素111の電位のうち最小の電位を選択する。そして、電位差検出回路170Aが、電位比較回路370Aで選択された最小の電位と、可変電圧源180の出力電圧Voutとの電位差ΔVを検出する。そして、信号処理回路160が検出された電位差ΔVに応じて可変電圧源180を調整する。
【0188】
なお、本実施の形態に係る表示装置300Aにおいて、可変電圧源180は本発明の電源供給部に相当し、有機EL表示部310は本発明の表示部に相当し、電位比較回路370Aの他部、電位差検出回路170A及び信号処理回路160は本発明の電圧調整部に相当する。
【0189】
また、表示装置300Aでは電位比較回路370Aと電位差検出回路170Aとを別に設けていたが、電位比較回路370Aと電位差検出回路170Aの代わりに、可変電圧源180の出力電圧Voutと検出点M1〜M5のそれぞれの電位とを比較する電位比較回路を備えてもよい。
【0190】
図18は、実施の形態4に係る表示装置の概略構成の他の一例を示すブロック図である。
【0191】
同図に示す表示装置300Bは、
図17に示した表示装置300Aとほぼ同じ構成であるが、最大値回路371の構成が異なる。つまり、電位比較回路370Aと電位差検出回路170Aとの代わりに、電位比較回路370Bを備える点が異なる。
【0192】
電位比較回路370Bは、可変電圧源180の出力電圧Voutと検出点M1〜M5のそれぞれの電位とを比較することで、検出点M1〜M5に対応する複数の電位差を検出する。そして、検出した電位差のうち、最大の電位差を選択し、当該最大の電位差である電位差ΔVを信号処理回路160へと出力する。
【0193】
信号処理回路160は、表示装置300Aの信号処理回路160と同様に、可変電圧源180を調整する。
【0194】
なお、表示装置300Bにおいて、可変電圧源180は本発明の電源供給部に相当し、有機EL表示部310は本発明の表示部に相当する。
【0195】
以上のように、本実施の形態に係る表示装置300A及び300Bは、複数のモニタ用の発光画素111Mのいずれにおいても輝度の低下が生じないような出力電圧Voutを有機EL表示部310に供給する。つまり、出力電圧Voutをより適切な値とすることで、消費電力をより低減し、かつ、発光画素111の輝度の低下を抑制することができる。以下、この効果について、
図19A〜
図20Bを用いて説明する。
【0196】
図19Aは有機EL表示部310に表示される画像の一例を模式的に示す図であり、
図19Bは
図19Aに示す画像を表示している場合のx−x’線における第1電源配線112の電圧降下量を示すグラフである。また、
図20Aは有機EL表示部310に表示される画像の他の一例を模式的に示す図であり、
図20Bは
図20Aに示す画像を表示している場合のx−x’線における第1電源配線112の電圧降下量を示すグラフである。
【0197】
図19Aに示すように、有機EL表示部310の全ての発光画素111が同じ輝度で発光している場合、第1電源配線112の電圧降下量は
図19Bに示すようになる。
【0198】
従って、画面中心の検出点M1の電位を調べれば、電圧降下のワーストケースがわかる。よって、検出点M1の電圧降下量ΔVに対応する電圧マージンVdropをVTFT+VELに加算することにより、有機EL表示部310内の全ての発光画素111を正確な輝度で発光させることができる
一方、
図20Aに示すように、画面を上下方向に2等分割かつ横方向に2等分割した領域、つまり画面を4分割した領域、の中心部の発光画素111が同じ輝度で発光かつ他の発光画素111が消光している場合、第1電源配線112の電圧降下量は
図20Bに示すようになる。
【0199】
従って、画面中心の検出点M1の電位のみを測定する場合は、検出した電位に、あるオフセット電位を加えた電圧を、電圧降下マージンとして設定する必要がある。例えば、画面中心の電圧降下量(0.2V)に対して、常に1.3Vのオフセットを追加した電圧を、電圧マージンVdropとして設定するように電圧マージン換算テーブルを設定しておけば、有機EL表示部310内の全発光画素111を、正確な輝度で発光させることができる。ここで、正確な輝度で発光するとは、発光画素111の駆動トランジスタ125が飽和領域で動作しているということである。
【0200】
しかし、この場合、電圧マージンVdropとして常に1.3Vが必要になるので、消費電力低減効果が小さくなってしまう。例えば、実際の電圧降下量が0.1Vの画像の場合でも、電圧降下マージンとして0.1+1.3=1.4V持つことになるので、その分だけ出力電圧Voutが高くなり、消費電力の低減効果が小さくなる。
【0201】
そこで、画面中心の検出点M1だけでなく、
図20Aに示すように、画面を四分割し、そのそれぞれの中心と、画面全体の中心との5箇所の検出点M1〜M5の電位を測定する構成にすることにより、電圧降下量を検出する精度を高めることができる。よって、追加のオフセット量を少なくして、消費電力低減効果を高めることができる。
【0202】
例えば、
図20A及び
図20Bにおいて、検出点M2〜M5の電位が1.3Vの場合、0.2Vのオフセットを追加した電圧を電圧降下マージンとして設定するようにすれば、有機EL表示部310内の全発光画素111を正確な輝度で発光させることができる。
【0203】
この場合は、実際の電圧降下量が0.1Vの画像の場合でも、電圧マージンVdropとして設定される値は0.1+0.2=0.3Vなので、画面中心の検出点M1の電位のみを測定した場合に比べてさらに1.1Vの電源電圧を低減することができる。
【0204】
以上のように、表示装置300A及び300Bは、表示装置100及び200と比較して、検出点が多く、測定した複数の電圧降下量の最大値に応じて出力電圧Voutを調整することが可能となる。よって、有機EL表示部310を大型化した場合であっても、消費電力を効果的に削減できる。
【0205】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態4とは別の例、すなわち表示装置が消費電力低減効果を得るための構成として、検出点を複数点(M1〜M5)備え、それらがモニタ用配線(検出線)と接続されている場合の別の例について説明する。本実施の形態に係る表示装置は、実施の形態4に係る表示装置300A及び300Bと同様に、2以上の発光画素111のそれぞれについて高電位側の電位を測定し、測定した複数の電位のそれぞれと可変電圧源の出力電圧との電位差を検出する。そして、その検出結果のうち、最大の電位差に応じて、可変電圧源の出力電圧が変化するように、可変電圧源を調整する。ただし、本実施の形態に係る表示装置は、表示装置300A及び300Bと比較して、電位比較回路で選択された電位が信号処理回路ではなく、可変電圧源に入力されている点が異なる。
【0206】
これにより、本実施の形態に係る表示装置は、電圧降下量に応じてリアルタイムに可変電圧源の出力電圧Voutを調整できるので、実施の形態4に係る表示装置300A及び300Bと比較して画素輝度の一時的な低下を防止できる。以下、このことについて、図を用いて具体的に説明する。
【0207】
図21は、本実施の形態に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0208】
同図に示す表示装置400は、実施の形態4に係る表示装置300Aとほぼ同様の構成を有するが、可変電圧源180に代わり可変電圧源280を備え、信号処理回路160に代わり信号処理回路260を備え、電位差検出回路170Aを備えず、電位比較回路370Aからなる最大値検出回路32を備え、その電位比較回路370Aで選択された電位が可変電圧源280に入力される点が異なる。
【0209】
これにより、可変電圧源280は、電位比較回路370Aで選択された最も低い電圧に応じて出力電圧Voutをリアルタイムに上昇する。
【0210】
よって、本実施の形態に係る表示装置400は、表示装置300A及び300Bと比較して、画素輝度の一時的な低下を解消できる。
【0211】
以上、実施の形態1〜5の表示装置によれば、電源供給部から少なくとも一つの発光画素までに発生する電圧降下量に応じて、電源供給部の高電位側の出力電位及び電源供給部の低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整することにより、消費電力を削減することができる。つまり、実施の形態1〜5によれば、消費電力低減効果の高い表示装置を実現することができる。
【0212】
なお、消費電力低減効果の高い表示装置は、上述した実施の形態に限定されるものではない。実施の形態1〜5に対して、本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係る表示装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0213】
例えば、有機EL表示部内のモニタ用配線が配置されている発光画素の発光輝度の低下を補償してもよい。
【0214】
図22は、映像データの階調に対応する、通常の発光画素の発光輝度及びモニタ用配線を有する発光画素の発光輝度を示すグラフである。なお、通常の発光画素とは、有機EL表示部の発光画素のうちモニタ用配線が配置されている発光画素以外の発光画素のことである。
【0215】
同図から明らかなように、映像データの階調が同じ場合、モニタ用配線を有する発光画素の輝度は、通常の発光画素の輝度よりも低下する。これは、モニタ用配線を設けたことにより、発光画素の保持容量126の容量値が減少してしまうからである。よって、有機EL表示部の全面を均一に同じ輝度で発光させるような映像データが入力されても、実際に有機EL表示部に表示される画像は、モニタ用配線を有する発光画素の輝度が他の発光画素の輝度より低くなるような画像となる。つまり、線欠陥が発生する。
図23は、線欠陥が発生している画像を模式的に示す図である。同図には、例えば、表示装置300Aで線欠陥が発生している場合の有機EL表示部310に表示される画像が模式的に示されている。
【0216】
線欠陥を防止するために、表示装置は、データ線駆動回路120から有機EL表示部に供給する信号電圧を補正してもよい。具体的には、モニタ用配線を有する発光画素の位置は設計時にわかっているので、該当する場所の画素に与える信号電圧を、予め輝度が低下する分だけ高めに設定しておけばよい。これにより、モニタ用配線を設けたことによる線欠陥を防止できる。
【0217】
また、信号処理回路160及び260は、各色の階調に対応するVTFT+VELの必要電圧を示す必要電圧換算テーブルを有するとしたが、必要電圧換算テーブルに代わり駆動トランジスタ125の電流−電圧特性と有機EL素子121の電流−電圧特性とを有し、2つの電流―電圧特性を用いてVTFT+VELを決定してもよい。
【0218】
図24は、駆動トランジスタの電流−電圧特性と有機EL素子の電流−電圧特性とをあわせて示すグラフである。横軸は、駆動トランジスタのソース電位に対して下がる方向を正方向としている。
【0219】
同図には、2つの異なる階調に対応する駆動トランジスタの電流−電圧特性及び有機EL素子の電流−電圧特性が示され、低い階調に対応する駆動トランジスタの電流−電圧特性がVsig1、高い階調に対応する駆動トランジスタの電流−電圧特性がVsig2で示されている。
【0220】
駆動トランジスタのドレイン−ソース電圧の変動に起因する表示不良の影響を無くすためには、駆動トランジスタを飽和領域で動作させることが必要である。一方、有機EL素子の発光輝度は駆動電流によって決定される。したがって、映像データの階調に対応して有機EL素子を正確に発光させるためには、駆動トランジスタのソースと有機EL素子のカソードとの間の電圧から有機EL素子の駆動電流に対応する有機EL素子の駆動電圧(VEL)を差し引き、差し引いた残りの電圧が駆動トランジスタを飽和領域で動作させることが可能な電圧となっていればよい。また、消費電力を低減するためには、駆動トランジスタの駆動電圧(VTFT)が低いことが望ましい。
【0221】
よって、
図24において、駆動トランジスタの線形領域と飽和領域との境界を示す線上で駆動トランジスタの電流−電圧特性と有機EL素子の電流−電圧特性とが交差する点を通る特性により求められるVTFT+VELが、映像データの階調に対応して有機EL素子を正確に発光し、かつ、消費電力が最も低減できる。
【0222】
このように、
図24に示したグラフを用いて、各色の階調に対応するVTFT+VELの必要電圧を換算してもよい。
【0223】
また、各実施の形態においては、可変電圧源は第1電源配線112に高電位側の出力電圧Voutを供給し、第2電源配線113は有機EL表示部の周縁部において、接地されているとしたが、可変電圧源は第2電源配線113に低電位側の出力電圧を供給してもよい。
【0224】
また、表示装置は、一端がモニタ用の発光画素111Mに接続され、他端が各実施の形態に係る電圧測定部に接続され、モニタ用の発光画素111Mに印加される低電位側の電位を伝達するための低電位モニタ線を備えてもよい。
【0225】
また、各実施の形態において、電圧測定部は、モニタ用の発光画素111Mに印加される高電位側の電位、及び、モニタ用の発光画素111Mに印加される低電位側の電位のうちの少なくとも一方の電位を測定し、電圧調整部は、モニタ用の発光画素111Mの高電位側の電位とモニタ用の発光画素111Mの低電位側の電位との電位差を所定の電位差にするように、測定された電位に応じて電源供給部を調整してもよい。
【0226】
これにより、消費電力を一層削減することができる。なぜなら、第2電源配線113が有する共通電極の一部を構成している有機EL素子121のカソード電極は、シート抵抗の高い透明電極(例えば、ITO)を用いているので、第1電源配線112の電圧降下量よりも第2電源配線113の電圧降下量が大きい。よって、モニタ用の発光画素111Mに印加される低電位側の電位に応じて調整することにより、電源供給部の出力電位をより適切に調整できるからである。
【0227】
また、高電位側の電位を伝達するための高電位モニタ線と低電位側の電位を伝達するための低電位モニタ線とが接続される発光画素は、同一画素でなくても良い。
【0228】
また、実施の形態3及び5において、電圧調整部は、電圧測定部で測定されたモニタ用の発光画素111Mの低電位側の電位と、所定の電位との電位差を検出し、検出した電位差に応じて電源供給部を調整してもよい。
【0229】
また、実施の形態2及び4において、信号処理回路160は、フレームごとに第1基準電圧Vref1を変えずに、複数フレーム(例えば、3フレーム)ごとに第1基準電圧Vref1を変えてもよい。
【0230】
これにより、第1基準電圧Vref1の電位が変動することにより可変電圧源180で生じる消費電力を低減できる。
【0231】
また、信号処理回路160は複数フレームにわたって電位差検出回路170A又は電位比較回路370Bから出力された電位差を測定し、測定した電位差を平均化し、平均化した電位差に応じて可変電圧源180を調整してもよい。具体的には、
図12に示すフローチャートにおいて検出点の電位の検出処理(ステップS14)及び電位差の検出処理(ステップS15)を複数フレームにわたって実行し、電圧マージンの決定処理(ステップS16)において、電位差の検出処理(ステップS15)で検出された複数フレームの電位差を平均化し、平均化した電位差に対応して電圧マージンを決定してもよい。
【0232】
また、信号処理回路160及び260は、有機EL素子121の経年劣化マージンを考慮して、第1基準電圧Vref1及び第2基準電圧Vref2を決定してもよい。例えば、有機EL素子121の経年劣化マージンをVadとすると、信号処理回路160は第1基準電圧Vref1の電圧をVTFT+VEL+Vdrop+Vadとしてもよく、信号処理回路260は第2基準電圧Vref2の電圧をVTFT+VEL+Vadとしてもよい。
【0233】
また、上記実施の形態においては、スイッチトランジスタ124及び駆動トランジスタ125をP型トランジスタとして記載したが、これらをN型トランジスタで構成してもよい。
【0234】
また、スイッチトランジスタ124及び駆動トランジスタ125は、TFTであるとしたが、その他の電界効果トランジスタであってもよい。
【0235】
また、上記実施の形態に係る表示装置50、100、200、300A、300B及び400に含まれる処理部は、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。なお、表示装置50、100、200、300A、300B及び400に含まれる処理部の一部を、有機EL表示部110及び310と同一の基板上に集積することも可能である。また、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0236】
また、本実施の形態に係る表示装置50、100、200、300A、300B及び400に含まれるデータ線駆動回路、書込走査駆動回路、制御回路、ピーク信号検出回路、信号処理回路及び電位差検出回路の機能の一部を、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。また、表示装置50、100、200、300A、300B及び400が備える各処理部により実現される特徴的なステップを含む表示装置の駆動方法として実現してもよい。
【0237】
(実施の形態6)
実施の形態1〜5では、表示装置が消費電力低減効果を得るための構成、すなわち消費電力を低減するために1本ないし複数本の検出線(モニタ用配線)を用いて発光画素の電源電圧をモニタする構成について説明した。実施の形態6では、表示装置の画像品質を維持しつつ消費電力低減効果を最大限得るための、発光画素の高電位側または低電位側の電位を検出する電位検出点の配置レイアウトについて説明する。
【0238】
上述した実施の形態1〜5に係る表示装置において、消費電力低減効果を最大限得るためには、あらゆる画像パターンに対して電圧降下量の分布を高精度にモニタすることが要求される。このためには、表示部におけるモニタ用の発光画素に設けられた電位検出点をできる限り多く設けることが望ましい。
【0239】
しかしながら、電位検出点の配置数に応じて、検出線であるモニタ用配線の本数が多くなる。モニタ用配線が多いほど、当該配線に起因した、画像情報を反映しない筋ノイズ(線欠陥)が画像に含まれることがあり、表示画質の低下を引き起こしてしまう。また、配線数の増加によりコストを増加させてしまう。
【0240】
よって、電位検出点の配置数という観点からすれば、本発明の表示装置における消費電力低減効果と画像品質とはトレードオフの関係にある。よって、表示装置の画像品質を維持しつつ消費電力低減効果を最大限得るためには、電位検出点の配置レイアウトを最適化することにより、配置数を抑えることが肝要となる。
【0241】
図25は、実施の形態6に係る有機EL表示部の検出点の配置レイアウト図である。同図に記載された有機EL表示部510は、第1の方向である行方向及び第2の方向である列方向に、検出点M11〜M39が設けられている。各電位検出点は、行方向において均等配置され、また、列方向においても均等配置されている。ここで、
図25の右図は、1発光画素及びその周辺画素のレイアウトを示している。3つのサブ画素を1単位とした発光画素の左右には、第1電源配線抵抗R1vを有する高電位側の電源配線が配置され、発光画素の上下には、第1電源配線抵抗R1hを有する高電位側の電源配線が配置されている。ここで、上記電源配線の線幅の関係より、R1v<R1hとなっている。つまり、第1の方向に沿って配置された、隣接する発光画素間の電源配線抵抗R1hが、第2の方向に沿って配置された、隣接する発光画素間の電源配線抵抗R1vよりも高く設定されている。
【0242】
上記のような電源配線構成の場合、電源配線抵抗が高い行方向では電圧降下の変化が急峻となり、電源配線抵抗が低い列方向では電圧降下の変化が緩やかとなる。よって、電圧降下量の分布を高精度にモニタするという観点から、行方向では電位検出点を密に配置し、列方向では電位検出点を粗に配置すればよい。つまり、第1の方向である行方向に沿って設けられた、隣接する電位検出点間の平均距離(例えば、M11〜M19の隣接検出点距離の平均値)は、第2の方向である列方向に沿って設けられた、隣接する電位検出点間の平均距離(例えば、M11、M21、M31の隣接検出点距離の平均値)よりも小さい。
【0243】
上記のように適切に配置された電位検出点により、電源配線抵抗網に起因した電圧降下量の分布を高精度にモニタすることができ、表示装置の画像品質を維持しつつ消費電力低減効果を最大限に得ることが可能となる。さらには、検出線配置によるコスト増加を抑えることが可能となる。
【0244】
図26は、比較のための形態における表示部の検出点の配置レイアウト図である。同図に記載された有機表示部では、
図25に記載された本発明の有機EL表示部510と比較して、列方向における検出点間距離が行方向における検出点間距離と同等に小さく設定されており、検出点間距離が列方向及び行方向において等しいレイアウトとなっている。この検出点のレイアウト構成によれば、検出点から外部に電位を引き出すモニタ用配線に沿って、画像の周期性が乱れ易くなり、筋ノイズ(線欠陥)が目立ってしまう可能性がある。よって、画質の低下を引き起こしてしまう。
【0245】
図27A及び
図27Bは、実施の形態6の第1の変形例を示す有機EL表示部の検出点の配置レイアウト図である。
図27Aに記載された有機EL表示部510Aは、列方向で等分割された領域を同時に表示しており、
図27Bに記載された有機EL表示部510Aは、行方向で等分割された領域を同時に表示している。
【0246】
図27A及び
図27Bに記載された有機EL表示部510Aは、
図25に記載された有機EL表示部510と比較して、検出点の配置レイアウトが異なる。有機EL表示部510では、隣接する検出点が同一の発光素行または同一の発光画素列に配置されている、つまり、隣接する検出点が直線状に配置されている。一方、有機EL表示部510では、隣接する検出点が同一の発光素行または同一の発光画素列に配置されているとは限らず、隣接する検出点が所定の領域内でジグザグ状に配置されている。
【0247】
あらゆる画像に対して電圧降下量を高精度に検出するという目的を達成するには、各検出点は、行方向及び列方向においてできる限り等間隔で配置されていることが望ましい。反面、行方向及び列方向に等間隔で直線状に配置されていると、検出点から引き出されるモニタ用配線の配置が重なってしまい、画像に対する配線の影響を分散させることが困難となる。
【0248】
これに対し、
図27A及び
図27Bに記載された有機EL表示部510Aでは、行方向及び列方向における検出点の等間隔配置を確保しつつも、所定の領域内において隣接する検出点を少なくとも行方向または列方向にシフトさせている。上記所定の領域とは、
図27Aでは、分割領域21〜27に相当し、
図27Bでは、分割領域11〜17に相当する。
【0249】
分割領域11〜17は、有機EL表示部510Aを第1の方向である行方向で均等分割して設定された複数の第2分割領域である。また、分割領域21〜27は、有機EL表示部510Aを第2の方向である列方向で均等分割して設定された複数の第1分割領域である。
【0250】
ここで、
図25の右図と同様に、R1h>R1vである場合、検出点を有する第1分割領域である分割領域21、24及び27における、行方向に隣接する検出点間の平均距離は、検出点を有する第2分割領域である分割領域11〜17における、列方向に隣接する検出点間の平均距離よりも小さく設定されている。例えば、有機EL表示部のサイズを40インチとすると、分割領域21、24及び27における検出点密度は1個/13.1cmとなり、分割領域11〜17における検出点密度は1個/16.7cmとなる。
【0251】
上記検出点の配置条件によれば、複数の検出点が行方向及び列方向において直線状に配置されていなくとも、複数の検出点配置によるコスト増加を抑え、画像品質を維持しつつ消費電力低減効果を最大限得ることが可能となる。
【0252】
図28は、実施の形態6の第2の変形例を示す有機EL表示部の検出点の配置レイアウト図である。同図に記載された有機EL表示部510Bにおける検出点の配置レイアウトは、
図27A及び
図27Bに記載された検出点の配置レイアウトと同じであり、設定される検出点の配置条件のみが異なる。
図28の配置レイアウトにおいても、
図27A及び
図27Bにおける分割領域11〜17及び分割領域21〜27に対応した、分割領域11〜20及び分割領域21〜27が設定される。
【0253】
また、第1分割領域である分割領域21〜27のうち、検出点を有する領域である分割領域21、24及び27は、第1検出分割領域と定義され、当該第1検出分割領域が有する検出点についての列方向の平均座標(重心位置)が算出される。また、第2分割領域である分割領域11〜20のうち、検出点を有する領域である分割領域11〜19は、第2検出分割領域と定義され、当該第2検出分割領域が有する検出点についての行方向の平均座標(重心位置)が算出される。
【0254】
ここで、R1h>R1vである場合、第1検出分割領域間における上記平均座標の差を全ての第1検出分割領域にわたり平均した第1隣接間距離Yは、第2検出分割領域間における平均座標の差を全ての第2検出分割領域にわたり平均した第2隣接間距離Xよりも大きく設定される。
【0255】
上記検出点の配置条件によっても、複数の検出点が行方向及び列方向において直線状に配置されていなくとも、複数の検出点配置によるコスト増加を抑え、画像品質を維持しつつ消費電力低減効果を最大限得ることが可能となる。
【0256】
図29は、実施の形態6に係る有機EL表示部の電圧降下量のシミュレーション結果を表す図である。同図に記載された各グラフのX−Y平面は、表示パネルのXY座標を表し、Z軸は、高電位側及び低電位側の電圧降下量を加算した量を表す。各グラフの左上部には、表示パターンが示されている。本シミュレーション結果を得るにあたり、高電位側の電源配線抵抗R1h=0.98(Ω/pix)、R1v=0.90(Ω/pix)、低電位側の電源配線抵抗R2h=5.88(Ω/pix)、R2v=1.00(Ω/pix)と設定した。
【0257】
上記電源配線構成において得られた電圧降下量のシミュレーション結果から、電圧マージンを0.2V以内に抑えるために必要な検出点の分布条件を求めた。ここで、有機EL表示部は、40型(4kpix×2kpix)であり、1ブロックを160画素行×90画素列と想定している。
【0258】
この場合、列方向の電圧降下量が最も急峻に変化するパターンAでは、検出点を列方向に20ブロックごとに配置する必要がある。一方、行方向の電圧降下量が最も急峻に変化するパターンE及びFでは、検出点を行方向に12ブロックごとに配置する必要がある。
【0259】
上記シミュレーション結果からも、R2h>R2vの場合、行方向の検出点を列方向の検出点よりも多く配置する必要があることが解る。
【0260】
なお、実施の形態6では、有機EL表示部に設けられる検出点の配置レイアウトについてのみ説明したが、当該有機EL表示部を有する表示装置の構成としては、実施の形態4における表示装置300A及び300B、ならびに、実施の形態5における表示装置400の構成に代表されるように、複数の検出点を有する表示装置が適用される。本実施の形態に係る有機EL表示部を、表示装置300A、300Bまたは400に適用することにより、複数の検出点配置によるコスト増加を抑え、画像品質を維持しつつ消費電力低減効果を最大限に得ることが可能となる。
【0261】
また、本実施の形態に係る有機EL表示部を備える表示装置は、複数の検出点で検出された高電位側の電位または低電位側の電位を電位差検出回路へ伝達するための複数の検出線を備え、当該複数の検出線は、3以上の発光画素に印加される高電位側の電位をそれぞれ伝達するための3本以上の高電位検出線、及び、3以上の発光画素に印加される低電位側の電位をそれぞれ伝達するための3本以上の低電位検出線の少なくとも一方を含み、高電位側の検出線及び低電位側の検出線の少なくとも一方は、隣り合う検出線どうしの間隔が互いに同一となるよう配置されることが好ましい。
【0262】
これにより、電源供給部の高電位側の出力電位及び電源供給部の低電位側の出力電位の少なくとも一方を、より適切に調整することが可能となり、表示部を大型化した場合であっても、消費電力を効果的に削減できる。また、検出線の間隔が等しくなるように配置されているので、表示部の配線レイアウトに周期性を持たせることができ、製造効率が向上する。
【0263】
以上、本発明の表示装置および駆動方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0264】
なお、上記説明では、表示装置50、100、200、300A、300B、400がアクティブマトリクス型の有機EL表示装置である場合を例に述べたが、それに限らない。本発明に係る表示装置を、アクティブマトリクス型以外の有機EL表示装置に適用してもよいし、電流駆動型の発光素子を用いた有機EL表示装置以外の表示装置、例えば液晶表示装置に適用してもよい。
【0265】
また、例えば、本発明に係る表示装置は、
図30に記載されたような薄型フラットTVに内蔵される。本発明に係る画像表示装置が内蔵されることにより、映像信号を反映した高精度な画像表示が可能な薄型フラットTVが実現される。