(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1引出端子と前記第2引出端子と前記第3引出端子と前記第4引出端子とが、前記第1主表面のうち、前記ICに装着される場合において当該ICに覆われていない位置に配置されている
ことを特徴とする請求項3記載のIC電流測定用装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態1>
以下、本発明に係るIC電流測定用装置の一実施形態として、BGA(Ball Grid Array)パッケージによってパッケージングされた5×5の計25個の端子を備えるICの電源端子それぞれに流れる電流を測定するためのIC電流測定用装置について説明する。
【0012】
このIC電流測定用装置は、ICと基板との間に装着されることで、ICの端子それぞれと、対応する基板の端子それぞれとを電気的に接続するものであって、特に電源端子については、ICの電源端子と、対応する基板の電源端子との電流経路それぞれに1Ωの抵抗が内挿されている。
【0013】
さらに、このIC電流測定用装置は、内挿されている抵抗のそれぞれについて、その両端の電位差を測定するための端子を備えている。
【0014】
従って、ICの電源端子に流れる電流を測定する測定者は、測定対象のICと基板との間にこのIC電流測定用装置を装着し、測定したい電源端子に対応する内挿抵抗の両端の電位差を計測することで、動作中のICの電源端子に流れる電流を測定することができる。
【0015】
以下、本実施の形態1に係るIC電流測定用装置の構成について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
<構成>
図1は、IC101と基板102との間に装着された状態のIC電流測定用装置100の断面図である。
【0017】
IC101は、BGAパッケージによってパッケージングされた5×5の計25個のIC端子を備え、内部に、例えば667MHzで動作する回路を有するICであって、
図1で示される断面上には、IC端子180〜IC端子184を備える。
【0018】
図1で示される断面上のIC端子のうち、IC端子181とIC端子183とは電源端子であって、IC端子182はグラウンド端子である。
【0019】
図1に図示されていないものも含めると、IC101の25本のIC端子のうち、8本が電源端子であり、8本がグラウンド端子となっている。
【0020】
基板102は、IC101のIC端子それぞれに対応する25個の基板端子を備える基板であって、
図1で示される断面上には基板端子185〜基板端子189を備える。
【0021】
基板端子それぞれの相対位置関係は、対応するIC端子それぞれの相対位置と一致する。
【0022】
図1で示される断面上の基板端子のうち、基板端子186と基板端子188とは電源端子であって、基板端子187はグラウンド端子である。
【0023】
図1に図示されていないものも含めると、基板102の25個の基板端子のうち、8本が電源端子であり、8本がグラウンド端子となっている。
【0024】
基板102は、さらに、電源端子の近傍にその電源端子と接続するバイパスコンデンサを有しており、
図1で示される断面上には、電源端子である基板端子186の近傍に、基板端子186と接続するバイパスコンデンサ148を有し、電源端子である基板端子188の近傍に基板端子188と接続するバイパスコンデンサ149を有している。
【0025】
IC電流測定用装置100は、配線層120と部品内蔵層110と配線層130とが積層された積層基板によって形成され、
図1で示される断面上には、IC電流測定用装置100のIC101側の主表面に、IC側端子121〜IC側端子125と、引出端子126〜引出端子129とを備え、IC電流測定用装置100の基板102側の主表面に、基板側端子131〜基板側端子135とを備える。
【0026】
図1に図示されていないものも含めると、IC電流測定用装置100は、IC電流測定用装置100のIC101側の主表面に25個のIC側端子と16個の引出端子とを備え、基板102側の主表面に25個の基板側端子を備えている。
【0027】
部品内蔵層110は、IC101側の主表面と基板102側の主表面との間を貫通する複数の導電性(例えば、銅製)ビアと1Ωの抵抗素子とを含んで形成される、例えば厚さ0.6mmの、例えば熱硬化性樹脂製の基板であって、
図1で示される断面上には、ビア111、ビア112、抵抗素子113、ビア114、抵抗素子115、ビア116、ビア117を有している。
【0028】
部品内蔵層110に含まれる抵抗素子は、例えばサイズが0.6mm×0.3mm×0.3mmのチップ抵抗であって、安価に市販されており、容易に入手可能なものである。
【0029】
配線層120は、第1基板120a、第2基板120b、第3基板120cとが積層されて形成され、金属(例えば、銅)配線と導電性(例えば、銅製)コンタクトホールとを有し、IC側端子、または、引出端子と、部品内蔵層110に含まれるビアの上端、または、抵抗素子の上端とを電気的に接続する配線層であって、例えば厚さは0.3mmである。
【0030】
ビアとコンタクトホールとは、実質的には同じものであるが、ここでは、配線層120と配線層130とに含まれているものをコンタクトホールと呼ぶこととし、部品内蔵層110に含まれているものをビアと呼ぶこととする。
【0031】
また、第2基板120bと第3基板120cとの間には、金属(例えば銅)薄板からなる第1グラウンドプレーン140が形成されている。
【0032】
第2基板120bと第3基板120cとの間に第1グラウンドプレーン140が形成されることによって、第1基板120aと第2基板120bとの間の配線と、第1グラウンドプレーンとが、電気的に容量結合した状態となり、第3基板120cの裏面の配線と第1グラウンドプレーンとが、電気的に容量結合した状態となっている。
【0033】
配線層130は、第4基板130a、第5基板130b、第6基板130cとが積層されて形成され、金属(例えば、銅)配線と導電性(例えば、銅製)コンタクトホールとを有し、基板側端子と、部品内蔵層110に含まれるビアの下端、または、抵抗素子の下端とを電気的に接続する配線層であって、例えば厚さは0.3mmである。
【0034】
また、第4基板130aと第5基板130bとの間には、金属(例えば銅)薄板からなる第2グラウンドプレーン141が形成されている。
【0035】
第4基板130aと第5基板130bとの間に第2グラウンドプレーン141が形成されることによって、第4基板130a表面の配線と第1グラウンドプレーンとが、電気的に容量結合した状態となり、第5基板130bと第6基板130cとの間の配線と、第2グラウンドプレーンとが、電気的に容量結合した状態となる。
【0036】
IC側端子121〜IC側端子125は、IC電流測定用装置100のIC101側の主表面に配置され、それぞれ、対応するIC端子180〜IC端子184と接続するための端子であって、それぞれ、はんだ190〜はんだ194を介してIC端子180〜IC端子184と接続される。
【0037】
図1に図示されていないIC側端子についても、IC側端子121〜IC側端子125と同様に、IC電流測定用装置100のIC101側の主表面に配置され、それぞれ、対応するIC端子と接続するための端子であって、それぞれ、はんだを介して対応するIC端子と接続される。
【0038】
図1で示される断面上のIC側端子のうち、IC側端子122とIC側端子124とは電源端子であって、IC側端子123はグラウンド端子である。
【0039】
基板側端子131〜基板側端子135は、IC電流測定用装置100の基板102側の主表面に配置され、それぞれ、対応する基板端子185〜基板端子189と接続するための端子であって、それぞれ、はんだ195〜はんだ199を介して基板端子185〜基板端子189と接続されている。
【0040】
図1に図示されていない基板側端子についても、基板側端子131〜基板側端子135と同様に、IC電流測定用装置100の基板102側の主表面に配置され、それぞれ、対応する基板端子と接続するための端子であって、それぞれ、はんだを介して対応する基板端子と接続される。
【0041】
また、基板側端子は、それぞれ、対応するIC側端子と対向する位置に配置されている。
【0042】
図1で示される断面上の基板側端子のうち、基板側端子132と基板側端子134とは電源端子であって、基板側端子133はグラウンド端子である。
【0043】
引出端子126と引出端子127とは、IC電流測定用装置100のIC101側の主表面に配置され、抵抗素子113の上端と下端との間の電位差を測定するための端子であって、引出端子128と引出端子129とは、IC電流測定用装置100のIC101側の主表面に配置され、抵抗素子115の上端と下端との間の電位差を測定するための端子である。
【0044】
図1に図示されていない引出端子も、引出端子126〜引出端子129と同様に、IC電流測定用装置100のIC101側の主表面に配置され、対応する抵抗素子の上端と下端との間の電位差を測定するための端子である。
【0045】
1つの抵抗素子に対して、2つの引出端子が対応している。
【0046】
<端子間の接続>
IC側端子のうち、電源端子でもグラウンド端子でもない端子のそれぞれは、直線状に配置された第1基板120aのコンタクトホールと、第2基板120bのコンタクトホールと、第3基板120cのコンタクトホールと、部品内蔵層110のビアと、第4基板130aのコンタクトホールと、第5基板130bのコンタクトホールと、第6基板130cのコンタクトホールとを介して、対応する基板側端子のそれぞれと接続される。
【0047】
例えば、
図1で示される断面上の電源端子でもグラウンド端子でもない端子であるIC側端子121は、直線状に縦積みされたコンタクトホールで形成される配線経路165によってビア111の上端と接続され、ビア111の下端は、直線状に縦積みされたコンタクトホールで形成される配線経路173によって基板側端子131に接続される。
【0048】
IC側端子のうちのグラウンド端子のそれぞれは、直線状に配置された第1基板120aのコンタクトホールと、第2基板120bのコンタクトホールと、第3基板120cのコンタクトホールと、部品内蔵層110のビアと、第4基板130aのコンタクトホールと、第5基板130bのコンタクトホールと、第6基板130cのコンタクトホールとを介して、対応する基板側端子のうちのグラウンド端子のそれぞれと接続され、さらに、第1グラウンドプレーン140と第2グラウンドプレーン141とに接続される。
【0049】
例えば、
図1で示される断面上のグラウンド端子であるIC側端子123は、直線状に縦積みされたコンタクトホールで形成される配線経路166によって第1グラウンドプレーン140とビア114の上端とに接続され、ビア114の下端は、直線状に縦積みされたコンタクトホールで形成される配線経路174によって第2グラウンドプレーン141とグラウンド端子である基板側端子133とに接続されている。
【0050】
IC側端子のうちの電源端子のそれぞれは、直線状に配置された第1基板120aのコンタクトホールと、第2基板120bのコンタクトホールと、第3基板120cのコンタクトホールと、部品内蔵層110の抵抗素子と、第4基板130aのコンタクトホールと、第5基板130bのコンタクトホールと、第6基板120cのコンタクトホールとを介して、対応する基板側端子のうちの電源端子のそれぞれと接続される。
【0051】
さらに、IC端子のうちの電源端子のそれぞれは、対応する抵抗素子の上端が、第3基板120cのコンタクトホールと、第2基板120bのコンタクトホールと、第1基板120aと第2基板120bとの間の配線と、第1基板120aのコンタクトホールとを介して、2つの引出端子ペアのうちの一方の引出端子に接続し、対応する抵抗素子の下端が、第4基板130aの表面の配線と、部品内蔵層110のビアと、第3基板120cの裏面の配線と、第3基板120cのコンタクトホールと、第2基板120bのコンタクトホールと、第1基板120aのコンタクトホールとを介して、2つの引出端子ペアのうちの他方の引出端子に接続する。
【0052】
例えば、
図1で示される断面上の電源端子であるIC側端子124は、コンタクトホールと配線とで形成される配線経路163によって、抵抗素子115の上端と引出端子128とに接続され、抵抗素子115の下端は、コンタクトホールと配線とで形成される配線経路172によって、ビア116の下端と基板側端子134とに接続され、ビア116の上端は、コンタクトホールと配線とで形成される配線経路164によって引出端子129に接続される。
【0053】
図2は、IC電流測定用装置100を上から見た平面図である。同図に示される点Aと点Bとを結ぶ線分を含むIC電流測定用装置100のIC101側の主表面に垂直な平面が、
図1で示されるIC電流測定用装置100の断面となっている。
【0054】
IC電流測定用装置100のIC101側の主表面には、IC側端子121〜IC側端子125、IC側端子201〜IC側端子220の計25個のIC側端子と、引出端子126〜引出端子129、引出端子231〜引出端子242の計16個の引出端子とを有する。
【0055】
IC側端子のうち、IC側端子201、205、207、209、122、124、216、220は、電源端子であり、IC側端子202、204、208、211、215、123、216、220は、グラウンド端子である。
【0056】
引出端子126と引出端子127とは、電源端子であるIC側端子122に接続される抵抗素子の両端の電位差を測定するための端子であり、引出端子128と引出端子129とは、電源端子であるIC側端子124に接続される抵抗素子の両端の電位差を測定するための端子であり、引出端子231と引出端子232とは、電源端子であるIC側端子201に接続される抵抗素子の両端の電位差を測定するための端子であり、引出端子233と引出端子234とは、電源端子であるIC側端子205に接続される抵抗素子の両端の電位差を測定するための端子であり、引出端子235と引出端子236とは、電源端子であるIC側端子207に接続される抵抗素子の両端の電位差を測定するための端子であり、引出端子237と引出端子238とは、電源端子であるIC側端子209に接続される抵抗素子の両端の電位差を測定するための端子であり、引出端子239と引出端子240とは、電源端子であるIC側端子216に接続される抵抗素子の両端の電位差を測定するための端子であり、引出端子241と引出端子242とは、電源端子であるIC側端子220に接続される抵抗素子の両端の電位差を測定するための端子である。
【0057】
IC電流測定用装置100の側面のそれぞれは、IC101が装着された状態におけるIC101の対応する側面からの距離が1.5mmとなっている。
【0058】
図3は、
図2の領域250の部分を拡大した拡大平面図である。
【0059】
同図において破線によって示されているものは、IC電流測定用装置100の内部に含まれている配線やビア等であって、便宜上、あたかも、IC電流測定用装置100の外部から見えるものであるかのごとく説明をするが、実際には、IC電流測定用装置100の外部から直接見ることができない。
【0060】
配線301は、IC側端子124と引出端子128とを結ぶ配線のうち、第1基板120a(
図1参照)と第2基板120b(
図1参照)の間に形成されている配線であって、IC側端子125の下に配置されているコンタクトホールを回避して配線されている。
【0061】
配線302は、ビア116の上端と引出端子129とを結ぶ配線のうち、第3基板120c(
図1参照)の裏面に形成されている配線であって、IC側端子125の下に配置されているコンタクトホールを回避して配線されている。
【0062】
<IC電流測定用装置100を用いた電流測定方法>
抵抗素子に電流が流れると、その抵抗素子の両端にその電流に応じた電位差が発生する。
【0063】
ここでは、IC電流測定用装置100に内挿されている抵抗素子の抵抗値は1Ωなので、抵抗素子の両端の電位差v(V)は、そのままその抵抗素子に流れる電流i(A)を示すこととなる。
【0064】
従って、IC101の電源端子に流れる電流を測定する電流測定者は、測定対象となるIC101の電源端子に対応する抵抗素子の両端の電位差、すなわち、その抵抗素子に対応するペアとなる引出端子間の電位差を、例えば、差動アクティブプローブを使って、例えば、スペクトラムアナライザで取得することで、その電源端子に流れる電流を測定することができる。
【0065】
<IC電流測定用装置100を用いて測定された電流の具体例>
測定された電流には、様々な周波数成分が含まれている。
【0066】
測定された電流をフーリエ変換することで、その電流に含まれている周波数成分を視覚的に確認することができるようになる。
【0067】
市販されているスペクトラムアナライザの中には、所定時間測定した電流を、その電流に含まれる周波数によってフーリエ変換して出力する機能を有するものがある。
【0068】
図4は、IC電流測定用装置100を用いて、所定時間(例えば1秒間)測定されたIC101の電源端子の電流を、周波数によってフーリエ変換することで得られる、ICの電源端子に供給される電流の周波数特性を示す図である。
【0069】
電源端子に流れる電流には様々な周波数成分が含まれている
図4(a)は、例えば電源端子であるIC側端子122(
図2参照)に対応するIC端子(以下、IC電源端子Aという。)に流れる電流の周波数特性を示す図である。
【0070】
同図に示されるように、周波数成分が667MHzの位置に第1ピーク401が形成され、667MHzの整数倍の周波数成分の位置に、第2ピーク402〜第5ピーク405が形成されている。
【0071】
このことから、IC101は、IC電源端子Aを介してIC101内の667MHzで動作する回路に電流が供給されていることがわかる。
【0072】
図4(b)は、例えば電源端子であるIC側端子220(
図2参照)に対応するIC端子(以下、IC電源端子Bという。)に流れる電流の周波数特性を示す図である。
【0073】
同図に示されるように、周波数成分が667MHzの位置に第1ピーク411が形成され、667MHzの整数倍の周波数成分の位置に、第2ピーク412〜第5ピーク415が形成されている。
【0074】
また、第1ピーク411〜第5ピーク415のそれぞれは、
図4Aの第1ピーク401〜第5ピーク405のそれぞれに対して、強度が小さくなっている。
【0075】
このことから、IC101は、IC電源端子Bを介してIC101内の667MHzで動作する回路に電流が供給されているが、IC電源端子Aと比べると、その供給電流量は少ないということがわかる。
【0076】
図4(c)は、例えば電源端子であるIC側端子205(
図2参照)に対応するIC端子(以下、IC電源端子Cという。)に流れる電流の周波数特性を示す図である。
【0077】
同図に示されるように、周波数成分が667MHzの整数倍の周波数成分の位置にピークが形成されていない。
【0078】
このことから、IC101は、IC電源端子Cを介してIC101内の667MHzで動作する回路に電流が供給されていないことがわかる。
【0079】
上述のIC電流測定用装置100によれば、動作中のIC101の電源端子それぞれについて、互いに独立にその電源端子に流れる電流を測定することができる。
<実施の形態2>
以下、本発明に係るIC電流測定用装置の一実施形態として、実施の形態1に係るIC電流測定用装置100の一部を変形した実施の形態2に係る第1変形IC電流測定用装置について説明する。
【0080】
IC電流測定用装置100では、引出端子のペアは抵抗素子の上端の電位と下端の電位との差を測定するためのものであったが、第1変形IC電流測定用装置では、引出端子のペアは抵抗素子の上端の電位とグラウンド電位との差を測定するためのものとなっている。
【0081】
以下、本実施の形態2に係る第1変形IC電流測定用装置の構成について、実施の形態1に係るIC電流測定用装置100との相違点を中心に、図面を参照しながら説明する。
【0082】
図5は、IC101と基板102との間に装着された状態の第1変形IC電流測定用装置500の断面図である。
【0083】
第1変形IC電流測定用装置500は、IC電流測定用装置100から、配線層120が配線層520に変形され、部品内蔵層110が部品内蔵層510に変形され、配線層130が配線層530に変形されることで、引出端子のペアのうちの外周側の引出端子がグラウンド電位となるように変形されたものである。
【0084】
配線層520は、配線層120の一部の配線経路が変形されたものであって、ペアの引出端子のうちの外周側の端子が、第1グラウンドプレーン140と接続されるように変形されたものである。
【0085】
図5で示される断面上では、引出端子126と第1グラウンドプレーン140とが接続され、引出端子129と第1グラウンドプレーン140とが接続されている。
【0086】
部品内蔵層510は、部品内蔵層110の一部が変形されたものであって、部品内蔵層110から、抵抗素子の基板102側の一端と引出端子とを電気的に接続するためのビアが削除されたものである。
【0087】
図5で示される断面上では、部品内蔵層110から、ビア112(
図1参照)とビア116(
図1参照)とが削除されている。
【0088】
配線層530は、配線層130の一部の配線経路が変形されたものであって、配線層130から、抵抗素子の基板102側の一端と引出端子とを電気的に接続するための配線経路が削除されたものである。
【0089】
図5で示される断面上では、配線層130から、ビア112(
図1参照)の下端と抵抗素子113(
図1参照)の下端とを接続する配線と、ビア116(
図1参照)の下端と抵抗素子115(
図1参照)の下端とを接続する配線とが削除されている。
【0090】
この第1変形IC電流測定用装置500を用いると、IC101の電源端子に流れる電流を測定する電流測定者は、測定対象となるIC101の電源端子に対応する抵抗素子の上端とグラウンドプレーン140との電位差を、例えば、2端子間の電圧を測定することができる差動プローブを用いて、その抵抗素子に対応するペアとなる測定用電源端子間の電位を測定することができる。
【0091】
グラウンドプレーン140の電位は、基板102のグラウンド電位と同電位であり、抵抗素子の下端の電位は、基板102の電源電位と同電位であるため、内挿された抵抗の上端とグラウンドプレーン140との間の電位差から、電源電位とグラウンド電位との電位差を減算することで、抵抗素子の上端と下端との電位差を求めることができる。
【0092】
従って、IC101の電源端子に流れる電流を測定する電流測定者は、測定対象となるIC101の電源端子に流れる電流を測定することができる。
【0093】
上述の第1変形IC電流測定用装置500によれば、実施の形態1に係るIC電流測定用装置100に比べて、内挿されるビアの数を少なくすることができる。
<実施の形態3>
以下、本発明に係るIC電流測定用装置の一実施形態として、実施の形態2に係る第1変形IC電流測定用装置500の一部を変形した実施の形態3に係る第2変形IC電流測定用装置について説明する。
【0094】
第1変形IC電流測定用装置500では、引出端子のペアのうちの外周側の引出端子がグラウンド電位を測定するための引出端子であったが、第2変形電流測定用装置では、グラウンド電位を測定するための引出端子の代わりに、IC101側の主表面にグラウンド電位を測定するための直線状の電極が配置されるように変形されたものである。
【0095】
以下、本実施の形態3に係る第2変形IC電流測定用装置の構成について、実施の形態2に係る第1変形IC電流測定用装置との相違点を中心に、図面を参照しながら説明する。
【0096】
図6は、第2変形IC電流測定用装置600を上から見た平面図である。
【0097】
第2変形IC電流測定用装置600は、第1変形IC電流測定用装置500から、グラウンド電位を測定するための引出端子が全て削除され、代わりに、グラウンド電位を測定するための第1電極610と、グラウンド電位を測定するための第2電極620と、グラウンド電位を測定するための第3電極630と、グラウンド電位を測定するための第4電極とが追加されるように変形されたものである。
【0098】
第1電極610は、コンタクトホール611〜コンタクトホール615を介してグラウンドプレーン140と接続する直線状の電極であって、第2電極620は、コンタクトホール621〜コンタクトホール625を介してグラウンドプレーン140と接続する直線状の電極であって、第3電極630は、コンタクトホール631〜コンタクトホール635を介してグラウンドプレーン140と接続する直線状の電極であって、第4電極640は、コンタクトホール641〜コンタクトホール645を介してグラウンドプレーン140と接続する直線状の電極である。
【0099】
上述の第2変形IC電流測定用装置600によれば、第1変形IC電流測定用装置500と比べて、グラウンド電位を測定するための電極が直線状となっているため、外部の測定装置のプローブ等をあてる場所の自由度が高くなる。
【0100】
<実施の形態4>
以下、本発明に係るIC電流測定用装置の一実施形態として、実施の形態1に係るIC電流測定用装置100の一部を変形した実施の形態4に係る第3変形IC電流測定用装置について説明する。
【0101】
IC電流測定用装置100では、引出端子のペアは特定の抵抗素子の上端の電位とその抵抗素子の下端の電位との差を測定するためのものであったが、第4変形IC電流測定用装置では、全ての抵抗素子の下端が互いに配線によって接続されることで同電位となり、引出端子のペアは特定の抵抗素子の上端の電位と、全ての抵抗素子で共通の下端の電位との差を測定するためのものとなっている。
【0102】
以下、本実施の形態4に係る第3変形IC電流測定用装置の構成について、実施の形態1に係るIC電流測定用装置100との相違点を中心に、図面を参照しながら説明する。
【0103】
図7は、IC101と基板102との間に装着された状態の第3変形IC電流測定用装置700の断面図である。
【0104】
第3変形IC電流測定用装置700は、IC電流測定用装置100から、配線層120が配線層720に変形され、部品内蔵層110が部品内蔵層710に変形され、配線層130が配線層730に変形され、引出端子のペアのうちの外周側の引出端子が、抵抗素子で共通の下端の電位となるように変形されたものである。
【0105】
配線層730は、配線層130の一部の配線経路が変形されたものであって、基板側端子のうちの電源端子の全てが互いに接続されるように変形されたものである。
【0106】
図7で示される断面上では、電源端子である基板側端子132と、電源端子である基板側端子134とが、配線703を介して接続されている。
【0107】
部品内蔵層710は、部品内蔵層110の一部が変形されたものであって、部品内蔵層110から、抵抗素子の基板102側の一端と引出端子とを電気的に接続するためのビアが、1つを除いて全て削除されたものである。
【0108】
図7で示される断面上では、ビア116(
図1参照)が削除されている。
【0109】
配線層720は、配線層120の一部の配線経路が変形されたものであって、ペアの引出端子のうちの外周側の端子の全てが、抵抗素子の基板102側の一端と接続するビアの上端と接続されるように変形されたものである。
【0110】
図7で示される断面上では、引出端子126とビア112の上端とが配線経路701を介して接続され、引出端子129とビア112の上端とが配線経路702を介して接続されている。
【0111】
上述の第3変形IC電流測定用装置700によれば、実施の形態1に係るIC電流測定用装置100に比べて、内挿されるビアの数を少なくすることができる。
<実施の形態5>
以下、本発明に係るIC電流測定用装置の一実施形態として、実施の形態1に係るIC電流測定用装置100の一部を変形した実施の形態5に係る第4変形IC電流測定用装置について説明する。
【0112】
第4変形IC電流測定用装置は、IC電流測定用装置100に対して、引出端子と抵抗素子の上端との配線経路上と、引出端子と抵抗素子の下端との配線経路上とのそれぞれに、反射抑制用抵抗素子が挿入されているものである。
【0113】
この反射抑制用抵抗素子は、測定対象である電流に含まれる交流成分が引出端子で反射することによって生じる反射波を抑制するためのものである。
【0114】
以下、本実施の形態5に係る第4変形IC電流測定用装置の構成について、実施の形態1に係るIC電流測定用装置100との相違点を中心に、図面を参照しながら説明する。
【0115】
図8は、IC101と基板102との間に装着された状態の第4変形IC電流測定用装置800の断面図である。
【0116】
第4変形IC電流測定用装置800は、IC電流測定用装置100から、配線層120が配線層820に変形され、部品内蔵層110が部品内蔵層810に変形され、配線層130が配線層830に変形されることで、IC電流測定用装置100に対して、引出端子と抵抗素子の上端との配線経路上と、引出端子と抵抗素子の下端との配線経路上とのそれぞれに、反射抑制用抵抗素子が挿入されるように変形されたものである。
【0117】
部品内蔵層810は、部品内蔵層110の一部が変形されたものであって、抵抗素子の上端と引出端子との配線経路上の反射抑制用抵抗素子と、抵抗素子の下端と引出端子との配線経路上の反射抑制用抵抗素子とが追加され、一部のビアの場所が移動されるように変形されたものである。
【0118】
図8で示される断面上では、反射抑制用抵抗素子821〜反射抑制用抵抗素子824が追加され、ビア112(
図1参照)がビア811に移動され、ビア116(
図1参照)がビア812に移動されている。
【0119】
反射抑制用抵抗素子821〜反射抑制用抵抗素子824のそれぞれは、例えば、抵抗値が100Ωでサイズが0.6mm×0.3mm×0.3mmのチップ抵抗であって、安価に市販されており、容易に入手可能なものである。
【0120】
配線層830は、配線層130の一部が変形されたものであって、抵抗素子の上端と引出端子との配線経路上に反射抑制用抵抗素子が追加されたこと、抵抗素子下端と引出端子との配線経路上に反射抑制用抵抗素子が追加されたこと、及び、一部のビアの場所が移動したことに伴って、配線経路の一部が変形されたものである。
【0121】
図8で示される断面上では、配線経路171に抵抗素子113の下端と反射抑制用抵抗素子821の下端とを接続する経路が追加され、配線経路172に抵抗素子115の下端と反射抑制用抵抗素子823の下端とを接続する経路が追加され、反射抑制用抵抗素子822の下端とビア811の下端とを接続する配線経路871が追加され、反射抑制用抵抗素子824の下端とビア812の下端とを接続する配線経路872が追加され、抵抗素子113の下端とビア112(
図1参照)の下端とを接続する配線経路が削除され、抵抗素子115の下端とビア116(
図1参照)の下端とを接続する配線経路が削除されている。
【0122】
配線層820は、配線層120の一部が変形されたものであって、抵抗素子の上端と引出端子との配線経路上に反射抑制用抵抗素子が追加されたこと、抵抗素子下端と引出端子との配線経路上に反射抑制用抵抗素子が追加されたこと、及び、一部のビアの場所が移動したことに伴って、それらの配線経路の一部が変形されたものである。
【0123】
図8で示される断面上では、配線経路162に抵抗素子113の上端と反射抑制用抵抗素子822の上端とを接続する経路が追加され、ビア811の上端と引出端子126とを接続する配線経路861が追加され、反射抑制用抵抗素子821の上端と引出端子127とを接続する配線経路862が追加され、配線経路163に抵抗素子115の上端と反射抑制用抵抗素子824の上端とを接続する経路が追加され、ビア812の上端と引出端子129とを接続する配線経路864が追加され、反射抑制用抵抗素子823の上端と引出端子128とを接続する配線経路863が追加され、配線経路162(
図1参照)のうち引出端子127への経路が削除され、ビア112(
図1参照)の上端と引出端子126との配線経路161(
図1参照)が削除され、配線経路163(
図1参照)のうち引出端子128への経路が削除され、ビア116(
図1参照)の上端と引出端子129との配線経路164(
図1参照)が削除されている。
【0124】
上述の第4変形IC電流測定用装置800によれば、実施の形態1に係るIC電流測定用装置100に比べて、測定対象である電流に含まれる交流成分が引出端子で反射することによって生じる反射波を抑制することができる。
<実施の形態6>
以下、本発明に係るIC電流測定用装置の一実施形態として、実施の形態1に係るIC電流測定用装置100の一部を変形した実施の形態6に係る第5変形IC電流測定用装置について説明する。
【0125】
IC電流測定用装置100は、測定対象の端子に流れる電流の電流経路上の抵抗素子の上端と下端との電位差を測定することで、その電流経路に流れる電流を測定するというものであるが、第5変形IC電流測定用装置は、電流経路上には抵抗素子を挿入せずに、電流経路の近傍に、電流経路に流れる電流の変動によって生じる電磁波を受信するための電磁波受信素子を形成し、この電磁波受信素子の両端の電位を測定することで、その電流経路に流れる電流を測定するというものである。
【0126】
以下、本実施の形態6に係る第5変形IC電流測定用装置の構成について、実施の形態1に係るIC電流測定用装置100との相違点を中心に、図面を参照しながら説明する。
【0127】
図9は、IC101と基板102との間に装着された状態の第5変形IC電流測定用装置900の断面図である。
【0128】
第5変形IC電流測定用装置900は、IC電流測定用装置100から、配線層120が配線層920に変形され、部品内蔵層110が部品内蔵層910に変形され、配線層130が配線層930に変形されることで、IC側端子のうちの電源端子のそれぞれと、対応する基板側端子のうちの電源端子のそれぞれとが、抵抗素子を介さずに接続されるように変形され、さらに、引出端子のペアは、測定対象の電流経路の近傍に形成されたコイルの両端の電位差を測定するためのものとなるように変形されたものである。
【0129】
部品内蔵層910は、部品内蔵層110の一部が変形されたものであって、部品内蔵層110から、抵抗素子がビアに置き換えられ、抵抗素子の下端と引出端子とを接続するためのビアが削除され、測定対象の電流経路のビアの近傍に、電磁波受信素子が形成されたものである。
【0130】
図10は、電流経路の近傍に形成される電磁波受信素子の構造を示す斜視図である。
【0131】
電流経路1000は、ビアとコンタクトホール等によって形成される測定対象となる電流の電流経路である。
【0132】
同図に示されるように、ビア1001〜ビア1006と、配線層920の裏面に形成される配線1012、配線1013と配線層930の表面に形成される配線1021〜配線1023とによって、電磁波受信素子であるコイルが形成される。
【0133】
例えば、ビア1002と電流経路1000との距離は0.3mmで、例えば、ビア1004と電流経路1000との距離は0.3mmで、例えば、ビア1006と電流経路1000との距離は0.3mmで、例えば、ビア1001と電流経路1000との距離は0.6mmで、例えば、ビア1003と電流経路1000との距離は0.6mmで、例えば、ビア1005と電流経路1000との距離は0.6mmである。
【0134】
このコイルは、電流経路1000に流れる電流が変化することによって発生する磁界1010の変動に応じて、その両端に電位差が発生する。
【0135】
以下、再び
図9に戻って部品内蔵層910の説明を続ける。
【0136】
図9で示される断面上では、電磁波受信素子901と電磁波受信素子902とが追加され、抵抗素子113(
図1参照)がビア923に変更され、抵抗素子115(
図1参照)がビア925に変更され、ビア112(
図1参照)とビア116(
図1参照)とが削除されている。
【0137】
配線層920は、配線層120の一部の配線経路が変形されたものであって、引出端子が電磁波受信素子の端子と接続されるように変形されたものである。
【0138】
図9で示される断面上では、電磁波受信素子901の一方の端子と引出端子126との配線経路911が追加され、電磁波受信素子901の他方の端子と引出端子127との配線経路912が追加され、電磁波受信素子902の一方の端子と引出端子128との配線経路914が追加され、電磁波受信素子902の他方の端子と引出端子129との配線経路913が追加され、引出端子126とビア112(
図1参照)の上端とを接続する配線経路161(
図1参照)が削除され、配線経路162(
図1参照)のうちの引出端子127への経路が削除され、引出端子129とビア116(
図1参照)の上端とを接続する配線経路164(
図1参照)が削除され、配線経路163(
図1参照)のうちの引出端子129への経路が削除されている。
【0139】
配線層930は、配線層130の一部の配線経路が変形されたものであって、抵抗素子の下端と引出端子との配線経路の削除に伴って、一部の配線経路が削除されたものである。
【0140】
図9で示される断面上では、配線経路171(
図1参照)のうちのビア112(
図1参照)の下端への経路が削除され、配線経路172(
図1参照)のうちのビア116(
図1参照)の下端への経路が削除されている。
【0141】
上述の第5変形IC電流測定用装置によれば、測定対象である電流の電流経路に物理的に非接触である電磁波受信素子に発生する電位差を測定することで電流を測定することができる。
<実施の形態7>
以下、本発明に係るIC電流測定用装置の一実施形態として、実施の形態1に係るIC電流測定用装置100の一部を変形した実施の形態7に係る第6変形IC電流測定用装置について説明する。
【0142】
第6変形IC電流測定用装置は、実施の形態5に係る第4変形IC電流測定用装置800と同様に、IC電流測定用装置100に対して、引出端子と抵抗素子の上端との配線経路上と、引出端子と抵抗素子の下端との配線経路上とのそれぞれに、反射抑制用抵抗素子が挿入されているものである。
【0143】
実施の形態5に係る第4変形IC電流測定用装置800は、反射抑制用抵抗素子が、部品内蔵層810(
図8参照)に含まれる抵抗素子によって実現される場合の例であったが、本実施の形態7に係る第6変形IC電流測定用装置は、反射抑制用抵抗素子が、配線層内に形成される形成抵抗によって実現される場合の例である。
【0144】
以下、本実施の形態7に係る第6変形IC電流測定用装置の構成について、実施の形態1に係るIC電流測定用装置100との相違点を中心に、図面を参照しながら説明する。
【0145】
図12は、IC101と基板102との間に装着された状態の第6変形IC電流測定用装置1200の断面図である。
【0146】
第6変形IC電流測定用装置1200は、IC電流測定用装置100から、配線層120が配線層320に変形され、部品内蔵層110が部品内蔵層310に変形され、配線層130が配線層330に変形されることで、IC電流測定用装置100に対して、引出端子と抵抗素子の上端との配線経路上と、引出端子と抵抗素子の下端との配線経路上とのそれぞれに、反射抑制用抵抗素子が挿入されるように変形されたものである。
【0147】
部品内蔵層310は、部品内蔵層110が、一部のビアの場所が移動されるように変形されたものである。
【0148】
図12で示される断面上では、ビア112(
図1参照)がビア1212に移動され、ビア116(
図1参照)がビア1216に移動されている。
【0149】
配線層320は、配線層120の一部が変形されたものであって、抵抗素子の上端と引出端子との配線経路上に反射抑制用抵抗素子が追加されるよう変形され、一部のビアの場所が移動したことに伴って、配線経路の一部が変形されたものである。
【0150】
図12で示される断面上では、抵抗素子113の上端と引出端子127とを接続する配線経路上に反射抑制用抵抗素子1230が追加され、抵抗素子115の上端と引出端子128とを接続する配線経路上に反射抑制用抵抗素子1210が追加されている。
【0151】
反射抑制用抵抗素子1210と反射抑制用抵抗素子1230とは、それぞれ、例えば、銅配線をレーザトリミング法でトリミングすることで形成される形成抵抗であって、例えば、抵抗値が100Ωとなっている。
【0152】
配線層330は、配線層130の一部が変形されたものであって、抵抗素子の下端と引出端子との配線経路上に反射抑制用抵抗素子が追加されるよう変形され、一部のビアの場所が移動したことに伴って、配線経路の一部が変形されたものである。
【0153】
図12で示される断面上では、抵抗素子113の上端と引出端子127とを接続する配線経路上に反射抑制用抵抗素子1230が追加され、抵抗素子115の上端と引出端子129とを接続する配線経路上に反射抑制用抵抗素子1210が追加されている。
【0154】
反射抑制用抵抗素子1210と反射抑制用抵抗素子1230とは、それぞれ、例えば、銅配線をレーザトリミング法でトリミングされることで形成される形成抵抗であって、例えば、抵抗値が100Ωとなっている。
【0155】
上述の第6変形IC電流測定用装置1200によれば、部品内蔵層310に部品反射抑制用抵抗素子を備えなくても、実施の形態5に係る第4変形IC電流測定用装置800と同様に、実施の形態1に係るIC電流測定用装置100に比べて、測定対象である電流に含まれる交流成分が引出端子で反射することによって生じる反射波を抑制することができる。
<実施の形態8>
以下、本発明に係るIC電流測定用装置の一実施形態として、実施の形態1に係るIC電流測定用装置100(
図1参照)の基板102側主表面に装着される嵩上げ基板について説明する。
【0156】
この嵩上げ基板は、主表面がIC101の主表面と略同じ矩形、すなわち、幅と高さとのそれぞれが、IC101の主表面の幅と高さとのそれぞれと略同一となる矩形で、厚さが、例えば、約2mmとなる略直方体の外観を有し、IC電流測定用装置100の基板102側主表面に装着された状態で基板102に接続されて使用される。このことによって、IC電流測定用装置100と基板102との間に、例えば、約2mmの隙間が形成されることになる。
【0157】
図13は、IC電流測定用装置100の基板102側主表面に装着され、さらに、基板102と接続された状態の嵩上げ基板1300の断面図である。
【0158】
嵩上げ基板1300は、
図13で示される断面上には、IC電流測定用装置100側の主表面に、表面側端子395〜表面側端子399を備え、基板102側の主表面に、裏面側端子385〜裏面側端子389を備える。
【0159】
図13に図示されていないものも含めると、嵩上げ基板1300は、IC電流測定用装置100側の主表面に25個の表面側端子を備え、基板102側の主表面に25個の基板側端子を備えている。
【0160】
25個の表面側端子のぞれぞれは、対応する基板側端子のそれぞれと、例えば、銅製のコンタクトホールによって電気的に接続されている。
【0161】
図13で示される断面において、表面側端子395〜表面側端子399は、それぞれ、はんだ195〜はんだ199を介して、それぞれ、対応する基板側端子131〜基板側端子135と接続し、裏面側端子385〜裏面側端子389は、それぞれ、はんだ375〜はんだ379を介して、それぞれ、対応する基板端子185〜基板端子189と接続する。
【0162】
図13に図示されていない表面側端子のそれぞれも、はんだを介して、対応する基板側端子のそれぞれと接続し、
図13に表示されていない裏面側端子のそれぞれも、はんだを介して、対応する基板端子と接続する。
【0163】
上述の嵩上げ基板1300によれば、IC電流測定用装置100の基板102側主表面に装着された状態で、基板102に接続されることによって、IC電流測定用装置100と基板102との間に隙間が形成されることとなる。このことによって、基板102の主表面上に配置されている電子部品が存在するためにIC電流測定用装置100を直接基板102に接続できない場合であっても、IC電流測定用装置100と基板102との間に嵩上げ基板1300を装着することで、嵩上げ基板1300を介して、IC電流測定用装置100を基板102に接続することができるようになる。
<補足>
以上、本実施に係るIC電流測定用装置の一実施形態として、実施の形態1〜実施の形態6として、6つのIC電流測定用装置の例に基づいて説明したが、以下のように変形することも可能であり、本発明は上述した実施の形態で示した通りのIC電流測定用装置に限られないことはもちろんである。
(1)実施の形態1において、IC電流測定用装置100は、BGAパッケージによってパッケージングされた5×5の計25個の端子を備えるIC101の端子に流れる電流を測定するためのものとして説明したが、測定対象のICは、必ずしもBGAパッケージによってパッケージングされたものに限定されるものではなく、例えばQFP(Quad Flat Pakage)といったBGAパッケージ以外の方法でパッケージングされたものであっても構わないし、また、必ずしも5×5の計25個と端子を備えるICに限定されるものではなく、例えば20×10の計100個の端子を備えるICであっても構わない。
(2)実施の形態1において、IC電流測定用装置100は、IC101の電源端子のそれぞれに流れる電流を測定するものであるとして説明したが、測定対象の端子は、必ずしも電源端子に限定されるものではなく、例えば、グラウンド端子、デジタル信号出力端子、デジタル信号入力端子、アナログ信号入力端子、アナログ信号出力等といった電源端子以外の端子であっても構わない。
(3)実施の形態1において、部品内蔵層110に含まれる抵抗素子は、抵抗値が1Ωであり、サイズが0.6mm×0.3mm×0.3mmのチップ抵抗であるとして説明したが、抵抗素子は、抵抗値が必ずしも1Ωに限定されるものではないし、必ずしもサイズが0.6mm×0.3mm×0.3mmに限定されるものでもないし、必ずしもチップ抵抗に限定されるものでもない。
【0164】
抵抗素子としては、市販品である0.4mm×0.2mm×0.2mmのサイズの例えば4Ωのチップ抵抗、例えばニクロム線等の抵抗値の高い金属配線等が考えられる。
(4)実施の形態1において、部品内蔵層110に含まれる抵抗素子は、部品内蔵層110のIC101側の主表面と基板102側の主表面とを貫通するものであるとして説明したが、測定対象の端子の配線経路上に配置されていれば、抵抗素子は、必ずしもIC101側の主表面と基板102側の主表面とを貫通している必要はない。
【0165】
図11は、IC電流測定用装置100の一部を変形し、部品配線層に含まれる抵抗素子が、対応するIC側端子と対応する基板側端子とを結ぶ線分に対して直角となる向きに配置されている第6変形IC電流測定用装置1100の断面図である。
【0166】
同図において、抵抗素子11は、IC側端子122と基板側端子132とを結ぶ線分に対して直角となる向きに配置され、抵抗素子17は、IC側端子124と基板側端子134とを結ぶ線分に対して直角となる向きに配置されている。
【0167】
IC側端子122と基板側端子132とは、配線経路61、ビア13、配線経路71、抵抗素子11、配線経路171を介して接続され、IC側端子124と基板側端子134とは、配線経路63、ビア15、配線経路72、抵抗素子17、配線経路172を介して接続されている。
(5)実施の形態1において、IC電流測定用装置100は、IC101とはんだによって接続されるとして説明したが、IC側端子のそれぞれが、対応するIC101の端子のそれぞれと電気的に接続されていれば、必ずしもはんだによって接続されるものに限らない。
【0168】
例えば、IC側端子のそれぞれが、対応するIC101の端子のそれぞれと電気的に接続されるソケットを介して接続される例等が考えられる。
【0169】
同様に、実施の形態1において、IC電流測定用装置100は、基板102とはんだによって接続されるとして説明したが、基板側端子のそれぞれが、対応する基板102の端子のそれぞれと電気的に接続されていれば、必ずしもはんだによって接続されるものに限らない。
【0170】
例えば、基板側端子のそれぞれが、対応する基板102の端子のそれぞれと電気的に接続されるソケットを介して接続される例等が考えられる。
(6)実施の形態5において、部品内蔵層810に含まれる反射抑制用抵抗素子の抵抗値は100Ωであるとして説明したが、引出端子が解放端である場合において引出端子からの反射波を抑制することができる抵抗値、または、引出端子に外部の測定機器が接続された状態において測定端子からの反射波、もしくは、外部機器からの反射波を抑制することができる抵抗値であれば、反射抑制用抵抗素子の抵抗値は必ずしも100Ωに限定される必要はない。
【0171】
抵抗素子としては、市販品である0.4mm×0.2mm×0.2mmのサイズのチップ抵抗、例えばニクロム線等の抵抗値の高い金属配線等が考えられる。
(7)実施の形態5において、部品内蔵層810に含まれる反射抑制用抵抗素子は、サイズが0.6mm×0.3mm×0.3mmのチップ抵抗であるとして説明したが、反射抑制用抵抗素子は、必ずしもサイズが0.6mm×0.3mm×0.3mmに限定されるものでもないし、必ずしもチップ抵抗に限定されるものでもない。
(8)実施の形態6において、電磁波受信素子がコイルである例について説明したが、例えば、測定対象となる電流経路の近傍(例えば0.3mm)に、その電流経路と平行に配置された金属(例えば銅)配線といった、測定対象となる電流経路との間に相互インダクタンスを有し、測定対象となる電流経路に流れる電流が変化することによって発生する磁界の変動に応じて測定可能な電位差を生じるものであれば、必ずしもコイルである必要はない。
(9)実施の形態7において、配線層内に含まれる反射抑制用抵抗素子は、銅配線をレーザトリミング法でトリミングすることで形成される形成抵抗であるとして説明したが、配線を加工することで形成される抵抗であれば、必ずしも銅配線をレーザトリミング法でトリミングすることで形成される形成抵抗である必要はなく、例えば、銅配線をタングステン等の高抵抗金属に置き換える加工がなされることで形成される形成抵抗であっても構わない。
(10)以下、さらに本発明の一実施形態に係るIC電流測定用装置の構成及びその変形例と各効果について説明する。
【0172】
(a)本発明の一実施形態に係るIC電流測定用装置は、ICの端子に流れる電流を測定するために、当該ICと基板との間に装着されるIC電流測定用装置であって、前記ICの複数の端子とそれぞれ接続するための複数のIC側端子と、前記基板の複数の端子とそれぞれ接続するために用いられ、それぞれ対応するIC側端子と電気的に接続する複数の基板側端子と、IC側第1端子と当該IC側第1端子に対応する基板側端子との間に流れる電流に応じて電位差を生じる第1素子と、IC側第2端子と当該IC側第2端子に対応する基板側端子との間に流れる電流に応じて電位差を生じる第2素子と、前記第1素子に生じる電位差を外部に出力するための第1引出端子と、前記第2素子に生じる電位差を外部に出力するための第2引出端子とを備えることを特徴とする。
【0173】
上述の構成を備えるIC電流測定用装置は、第1引出端子を用いて第1素子に生じる電位差を測定することでIC側第1端子と当該IC側第1端子に対応する基板側端子との間に流れる電流を測定することができるようになり、第2引出端子を用いて第2素子に生じる電位差を測定することでIC側第2端子と当該IC側第2端子に対応する基板側端子との間に流れる電流を測定することができるようになる。
【0174】
従って、IC側第1端子に流れる電流と、IC側第2端子に流れる電流とを互いに独立に測定することができるという効果を有する。
【0175】
図14は、上述の変形例におけるIC電流測定用装置1400の断面図である。
【0176】
このIC電流用測定装置1400は、
図14で示される断面上に、IC側の主表面に、IC側端子1421〜IC側端子1425と第1引出端子1401と第2引出端子1402とを備え、基板側の主表面に、基板側端子1431〜基板側端子1435を備え、内部に、第1素子1413と第2素子1415とを備える。
【0177】
IC側端子1421〜IC側端子1425は、ICの複数の端子とそれぞれ接続するために用いられる端子である。IC側端子1421〜IC側端子1425のそれぞれは、一例として、実施の形態1(
図1参照)における、IC側端子121〜IC側端子125のそれぞれとして実現される。
【0178】
基板側端子1431〜基板側端子1435は、基板の複数の端子とそれぞれ接続するための端子であって、それぞれ対応するIC側端子1421〜IC側端子1425と電気的に接続する。基板側端子1431〜基板側端子1435のそれぞれは、一例として、実施の形態1(
図1参照)における、基板側端子131〜基板側端子135のそれぞれとして実現される。
【0179】
第1素子1413は、IC側端子1422と基板側端子1432との間に流れる電流に応じて電位差を生じる素子であって、一例として、実施の形態1(
図1参照)における、抵抗素子113として実現される。
【0180】
第2素子1415は、IC側端子1424と基板側端子1434との間に流れる電流に応じて電位差を生じる素子であって、一例として、実施の形態1(
図1参照)における、抵抗素子115として実現される。
【0181】
第1引出端子1401は、第1素子1413に生じる電位差を外部に出力するための端子であって、一例として、実施の形態1(
図1参照)における、引出端子127として実現される。
【0182】
第2引出端子1402は、第2素子1415に生じる電位差を外部に出力するための端子であって、一例として、実施の形態1(
図1参照)における、引出端子128として実現される。
【0183】
(b)また、前記第1素子は、前記IC側第1端子と当該IC側第1端子に対応する基板側端子との間に接続される抵抗素子であって、前記第2素子は、前記IC側第2端子と当該IC側第2端子に対応する基板側端子との間に接続される抵抗素子であって、前記第1引出端子は、前記第1素子のIC側端子側の一端と接続され、前記第2引出端子は、前記第2素子のIC側端子側の一端と接続されるとしてもよい。
【0184】
このような構成とすることによって、第1素子と第2素子とを、比較的安価で容易に入手することができる抵抗素子とすることができるという効果を有する。
【0185】
(c)また、前記IC電流測定用装置は、第1主表面と、当該第1主表面と平行な第2主表面とを有し、前記第1素子の基板側端子側の一端と内部の配線を介して接続される第3引出端子と、前記第2素子の基板側端子側の一端と内部の配線を介して接続される第4引出端子とを備え、前記複数のIC側端子は、前記第1主表面に配置され、前記複数の基板側端子は、前記第2主表面に、対応するIC側端子と対向する位置に配置され、前記第1素子は、前記IC側第1端子と当該IC側第1端子に対応する基板側端子との間に配置され、前記第2素子は、前記IC側第2端子と当該IC側第2端子に対応する基板側端子との間に配置され、前記第1引出端子は、前記第1素子のIC側端子側の一端と内部の配線を介して接続され、前記第2引出端子は、前記第2素子のIC側端子側の一端と内部の配線を介して接続されるとしてもよい。
【0186】
このような構成とすることによって、IC側第1端子と当該IC側第1端子に対応する基板側端子との間の電流経路は、IC側第1端子と基板側第1端子とを結ぶ最短経路となり、IC側第2端子と当該IC側第2端子に対応する基板側端子との間の電流経路は、IC側第2端子と基板側第2端子とを結ぶ最短経路となる。
【0187】
従って、電流測定対象の電流経路の寄生抵抗の増加と寄生インダクタンスの増加とを抑えることで、高周波電流への影響を低減し、システム動作を安定させることができるという効果を有する。
【0188】
(d)また、前記第1引出端子と前記第2引出端子と前記第3引出端子と前記第4引出端子とが、前記第1主表面のうち、前記ICに装着される場合において当該ICに覆われていない位置に配置されているとしてもよい。
【0189】
このような構成とすることによって、第1引出端子と第2引出端子と第3引出端子と第4引出端子とは、容易に目視によって認識される位置に配置されることとなるため、測定器を用いてこれらの端子の電位を測定する測定者は、容易にこれらの端子に測定器のプローブをあてることができるという効果を有する。
【0190】
(e)また、抵抗素子である第3素子と、抵抗素子である第4素子とを備え、前記第1引出端子は、前記第3素子と内部の配線とを介して前記第1素子のIC側端子側の一端と接続され、前記第2引出端子は、前記第4素子と内部の配線とを介して前記第2素子のIC側端子側の一端と接続されるとしてもよい。
【0191】
このような構成とすることによって、第1素子に流れる電流の交流成分の一部が第1引出端子で反射することで生じる反射波を抑えるという効果と、第2素子に流れる電流の交流成分の一部が第2引出端子で反射することで生じる反射波を抑えるという効果とを有する。
【0192】
(f)また、前記第3素子と前記第4素子とは、それぞれ、配線を加工することで形成される形成抵抗素子であるとしてもよい。
【0193】
このような構成とすることによって、第3素子と第4素子とを、配線が形成される配線層領域に形成することができるという効果を有する。
【0194】
(g)また、前記IC電流測定用装置は、主表面を有し、前記基板のグラウンド配線と接続するための基板側グラウンド端子と、前記基板側グラウンド端子と電気的に接続される1以上のIC側グラウンド端子とを備え、前記IC側グラウンド端子のうちの少なくとも1つと前記複数のIC側端子と前記第1引出端子と前記第2引出端子とが前記主表面に配置され、前記IC側グラウンド端子のうちの少なくとも1つと前記第1引出端子との距離が1.5mm以下であり、前記IC側グラウンド端子のうちの少なくとも1つと前記第2引出端子との距離が1.5mm以下であるとしてもよい。
【0195】
このような構成とすることによって、第1引出端子とグラウンド端子のうちの少なくとも1つとが、互いに1.5mm以下となるため、市販されている差動プローブやスペクトラムアナライザのプローブ等を用いて、比較的容易に第1引出端子の電位とグラウンド電位との電位差を測定することができるようになるという効果を有する。
【0196】
同様に、第2引出端子とグラウンド端子のうちの少なくとも1つとが、互いに1.5mm以下となるため、市販されている差動プローブやスペクトラムアナライザのプローブ等を用いて、比較的容易に第1引出端子の電位とグラウンド電位との電位差を測定することができるようになるという効果を有する。
【0197】
(h)また、前記IC側第1端子は、前記ICの第1電源端子と接続するための端子であって、前記IC側第2端子は、前記ICの第2電源端子と接続するための端子であって、前記第1素子の基板側端子側の一端と、前記第2素子の基板側端子側の一端とに、電気的に接続する第3引出端子とを備えるとしてもよい。
【0198】
このような構成とすることによって、第3引出端子が、第1素子の基板側端子側の一端の電位を測定するための端子と、第2素子の基板側端子側の一端の電位を測定するための端子とを兼用する端子となるため、これらの端子を兼用せずに互いに異なる2つの端子を設ける構成と比べて、端子数を少なくすることができるという効果を有する。
【0199】
(i)また、前記第1素子は、前記IC側第1端子と当該IC側第1端子に対応する基板側端子との間に流れる電流によって発生する電磁波を受信する電磁波受信素子であって、前記第2素子は、前記IC側第2端子と当該IC側第2端子に対応する基板側端子との間に流れる電流によって発生する電磁波を受信する電磁波受信素子であるとしてもよい。
【0200】
このような構成とすることによって、IC側第1端子と当該IC側第1端子に対応する基板側端子と、第1素子との間の電流経路とが互いに物理的に非接触の関係となる構成にすることができ、また、IC側第2端子と当該IC側第2端子に対応する基板側端子と、第2素子との間の電流経路とが互いに物理的に非接触の関係となる構成にすることができる。
【0201】
従って、電流に応じて電位差を生じる素子と電流経路とが物理的に接触する構成と比べて、電流に応じて電位差を生じる素子と電流経路との物理的接触に起因する電流経路への影響を抑えることができるという効果を有する。
【0202】
(j)また、第3引出端子と、第4引出端子とを備え、前記第1素子は、前記第1引出端子と前記第3引出端子との間に接続されるコイルであって、前記IC側第1端子と当該IC側第1端子に対応する基板端子との間の電流経路からの距離が、当該IC側第1端子と当該IC側第1端子に対応する基板側端子と間に流れる電流によって発生する電磁波を受信するための所定距離以下であり、前記第2素子は、前記第2引出端子と前記第4引出端子との間に接続されるコイルであって、前記IC側第2端子と当該IC側第2端子に対応する基板端子との間の電流経路からの距離が、当該IC側第2端子と当該IC側第2端子に対応する基板側端子と間に流れる電流によって発生する電磁波を受信するための所定距離以下であるとしてもよい。
【0203】
ここで、所定距離とは、測定対象となる電流経路との間に相互インダクタンスを有し、測定対象となる電流経路に流れる電流が変化することによって発生する磁界の変動に応じて測定可能な電位差を生じる距離のことである。
【0204】
このような構成とすることによって、第1素子と第2素子とが、測定対象となる電流によって発生する磁界の変動を効果的に受信することができるようになるため、IC電流測定用装置を小さくすることができるという効果を有する。
【0205】
(k)また、前記第2主表面は、矩形であるとしてもよい。
【0206】
このような構成とすることによって、第2主表面の形成を、比較的簡素な方法で実現することができるという効果を有する。
【0207】
(l)本発明の一実施形態に係るIC電流測定用アダプタは、IC電流測定用装置と基板との間に装着され、当該IC電流測定用装置の前記複数の基板側端子のそれぞれと、前記基板の複数の端子のそれぞれとの接続を介してなすIC電流測定用アダプタであって、第3主表面と、当該第3主表面と平行な第4主表面とを有する略直方体であり、前記複数の基板側端子とそれぞれ接続されるために用いられる複数の第1アダプタ端子が前記第3主表面に配置され、前記基板の複数の端子とそれぞれ接続されるために用いられ、それぞれ対応する前記第1アダプタ端子と接続する複数の第2アダプタ端子が前記第4主表面に配置され、前記第3主表面は、幅と高さとのそれぞれが、前記第2主表面の幅と高さとのそれぞれよりも小さいことを特徴とする。
【0208】
上述の構成を備えるIC電流測定用アダプタは、IC電流測定用装置と基板との間に装着されることで、IC電流測定用装置と基板との間に隙間が形成されることとなる。このことによって、基板の主表面上に配置されている電子部品が存在するためにIC電流測定用装置を直接基板に接続できない場合であっても、IC電流測定用装置と基板との間にIC電流測定用アダプタを装着することで、IC電流測定用アダプタを介して、IC電流測定用装置を基板に接続することができるようになる。