(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770722
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】ミラー調節機構
(51)【国際特許分類】
B60R 1/074 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
B60R1/074
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-517426(P2012-517426)
(86)(22)【出願日】2010年6月22日
(65)【公表番号】特表2012-530651(P2012-530651A)
(43)【公表日】2012年12月6日
(86)【国際出願番号】NL2010050383
(87)【国際公開番号】WO2010151120
(87)【国際公開日】20101229
【審査請求日】2013年6月10日
(31)【優先権主張番号】2003061
(32)【優先日】2009年6月22日
(33)【優先権主張国】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510126416
【氏名又は名称】エムシーアイ(ミラー コントロールズ インターナショナル)ネザーランド ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マリヌス・ヤコブス・マリア・ファン・ズイイェン
(72)【発明者】
【氏名】マリヌス・ロース
【審査官】
中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−129349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/06,1/074
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のためのミラー調節機構であって、
前記ミラー調節機構は、車両に取り付けるためのミラー脚部と、前記ミラー脚部に調節可能に接続されたミラーハウジングとを具備してなり、
前記ミラーハウジングは、前記ミラーハウジングが前記車両に実質的に沿って配置される折り畳みポジションと、前記ミラーハウジングが前記車両に対して実質的に交差する方向に配置される伸長ポジションとの間で調節可能であり、
前記ミラーハウジングは、第1のポジションと第2のポジションとの間でさらに調節可能であり、前記第1のポジションにおいては、前記ミラーハウジングの隣接面と前記ミラー脚部の隣接面との間の距離が、前記第2のポジションにおける前記ミラーハウジングの隣接面と前記ミラー脚部の隣接面との間の距離より大きくなっており、
前記ミラー調節デバイスは、前記第1のポジションへ向けて前記ミラーハウジングを付勢するための弾性要素をさらに具備してなり、かつ、
前記ミラー調節デバイスには、前記折り畳みポジションと伸長ポジションとの間で前記ミラーハウジングを調節する際に、前記弾性要素の影響下で前記ミラーハウジングを前記第1のポジションへもたらすための協働要素が設けられており、
前記協働要素は、駆動ギアホイールおよびリングそれぞれに追い込み面を備えており、
前記ミラー調節デバイスは、前記ミラー脚部へ前記駆動ギアホイールを押し付けるための主スプリングをさらに具備してなり、
前記第1のポジションにおいては、前記主スプリングの力が、前記ミラーハウジングに伝達されずに、前記ミラー脚部に伝達され、
前記追い込み面は、前記第1のポジションにおいて、前記ミラーハウジングとともに前記リングが前記弾性要素の付勢力によって上方へ押し上げられることができるように、協働しないことを特徴とするミラー調節デバイス。
【請求項2】
前記協働要素は、前記折り畳みポジションと前記伸長ポジションとの間の調節経路の終端において前記ミラーハウジングを前記第2のポジションへともたらすよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のミラー調節デバイス。
【請求項3】
前記協働要素は、前記ミラーハウジングと、前記ミラーハウジングを折り畳みポジションと伸長ポジションとの間で調節するための駆動ユニットの駆動ギアホイールと、の間で協働するために構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のミラー調節デバイス。
【請求項4】
前記第1のポジションにおいて前記協働要素および/または前記ミラーハウジングは、前記弾性要素の影響下で前記駆動ギアホイールに対して押圧されるものであることを特徴とする請求項3に記載のミラー調節デバイス。
【請求項5】
前記協働要素は、前記ミラー脚部を用いて回転がロックされるリングを具備してなり、前記リングは、片側においては前記駆動ギアホイールとかつ他側においては前記ミラーハウジングと協働するための両面が設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミラー調節デバイス。
【請求項6】
前記回転ロックリングおよび前記駆動ギアホイールには、協働突出部および/または追い込み面が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のミラー調節デバイス。
【請求項7】
前記第1のポジションにおいて前記ミラーハウジングは前記主スプリングの影響から解放されていることを特徴とする請求項1に記載のミラー調節デバイス。
【請求項8】
前記第2のポジションにおいて前記ミラーハウジングの前記隣接面と前記ミラー脚部の前記隣接面とは、前記弾性要素の付勢力に抗して、前記主スプリングの影響下で、互いに対して押圧されるものであることを特徴とする請求項1または請求項7に記載のミラー調節デバイス。
【請求項9】
前記弾性要素が補助的なスプリングであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のミラー調節デバイス。
【請求項10】
前記弾性要素は、前記ミラー脚部と前記ミラーハウジングとの間に収容可能となっていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のミラー調節デバイス。
【請求項11】
前記弾性要素は、リング形状スプリング要素であることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のミラー調節デバイス。
【請求項12】
前記ミラーハウジングは、前記ミラー脚部の軸線方向において、前記第1のポジションと前記第2のポジションとの間で調節可能であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のミラー調節デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両のためのミラー調節機構であって、車両に取り付けるためのミラー脚部と、ミラー脚部に調節可能に接続されたミラーハウジングとを具備してなり、ミラーハウジングは、ミラーハウジングが車両に実質的に沿って配置される折り畳みポジションと、ミラーハウジングが車両に対して実質的に交差する方向に配置される伸長ポジションとの間で調節可能となっている、ミラー調節機構に関するものである。ミラー脚部は一般的にミラーベースによって取り囲まれ、かつミラーハウジングは一般的にミラーキャップによって取り囲まれる。
【背景技術】
【0002】
そうしたミラー調節機構は公知であり、例えば車両の外側ミラーなどに幅広く使用されている。それゆえ、そのミラーハウジングは、例えば車両のパーキングポジションにおけるなどのミラーハウジングが車両に実質的に沿って配置される折り畳みポジションと、例えば車両の走行中などのミラーハウジングが車両に実質的に交差する方向に配置されかつ車両から相対的に遠くに突出させられる伸長ポジションと、の間で調節可能である。これにより外側ミラーの破損が避けられる。ミラーキャップがミラーハウジングを取り囲み、かつミラーベースがミラー脚部を取り囲むため、ミラーキャップもミラーベースに対して調節される。製造公差のために、かつ/またはミラーベースに対するミラーキャップの調節を可能にするために、通常はミラーキャップとミラーベースとの間には空間が設けられる。この空間は、例えば0.5〜1mmのオーダーの大きさのものであってもよい。そうした空間の不利な点として、汚れやすいこと、および/または車両走行中に風が音を立てることで雑音を発生し得ること、および/またはミラーキャップがミラーベースに対して振動したりカチカチ音を立てたりし始めるということが挙げられる。
【0003】
これら問題を防ぐために、例えばミラーベースとミラーキャップとの間に充填されるシーリング材を備えるミラー調節機構を提供することが知られている。当該シーリング材は、例えばオープンフォーム構造を有するマット加工されたシーリング材であってもよい。しかしながら、そうしたシーリング材は破損しやすく、雑音、汚損および/または振動を再び生じることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記不利な点を少なくとも1つでも防ぐミラー調節デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明は、特に車両のためのミラー調節機構であって、車両に取り付けるためのミラー脚部と、ミラー脚部に調節可能に接続されたミラーハウジングとを備え、ミラーハウジングは、ミラーハウジングが車両に実質的に沿って配置される折り畳みポジションと、ミラーハウジングが車両に対して実質的に交差する方向に配置される伸長ポジションとの間で調節可能であり、ミラーハウジングは、第1のポジションにおいては、ミラーハウジングの隣接面とミラー脚部の隣接面との間の距離が、第2のポジションにおけるミラーハウジングの隣接面とミラー脚部の隣接面との間の距離より大きくなっている第1のポジションと第2のポジションとの間でさらに調節可能であり、ミラー調節デバイスは、第1のポジションへ向けてミラーハウジングを付勢するための弾性要素をさらに備え、かつ、ミラー調節デバイスには、折り畳みポジションと伸長ポジションとの間でミラーハウジングを調節する際に、付勢要素の影響下でミラーハウジングを第1のポジションへもたらすための協働要素が設けられる、ミラー調節デバイスを提供する。
【0006】
第1のポジションにおけるミラーハウジングの隣接面とミラー脚部の隣接面との間の距離が、第2のポジションにおけるミラーハウジングの隣接面とミラー脚部の隣接面との間の距離より大きいように、第1のポジションにおいては、ミラーハウジングの隣接面とミラー脚部の隣接面との間にスリットが設けられる。第2のポジションにおいては、ミラーハウジングの隣接面とミラー脚部の隣接面との間の距離はより小さく、かつ上記スリットは実質的に閉じられることが可能であり、かつ/またはハウジングの隣接面およびミラー脚部の隣接面は、互いに対して実質的に当接することができる。
【0007】
ミラーハウジングを第1のポジションへ向けて付勢する弾性要素と、ミラーハウジングを第1のポジションにもたらすことができる協働要素を設けることによって、相対的に簡単にスリットをミラーハウジングとミラー脚部との間に設けることができ、それによって、折り畳みポジションと伸長ポジションとの間の調節を相対的に滑らかに行うことができる。
【0008】
折り畳みポジションと伸長ポジションとの間の調節経路の終端において、協働要素がさらにミラーハウジングを第1のポジションへもたらすことができるように構成されることによって、相対的に簡単な様式で、ハウジングの隣接面とミラー脚部の隣接面との間の距離を低減することができ、それにより、ミラーハウジングとミラー脚部との間のスリットは例えば伸長ポジションにおいては実質的に閉じることが可能となり、ドリフトの累積、振動または騒音が低減できかつ/または除去できる。
【0009】
本発明に基づくミラー調節デバイスを設計することによって、ミラーキャップとミラーベースとの間のギャップが、折り畳みポジションと伸長ポジションとの間の調節中に、ミラーキャップが折り畳みポジションおよび/または伸長ポジションにある場合のギャップよりも大きくなる。その結果、例えばミラーキャップとミラーベースの間のマット加工されたシーリング材が調節中に破損されることを低減できる。
【0010】
第1のポジションにおいて協働要素および/またはミラーハウジングが弾性要素の作用下で駆動ギアホイールに対して押し付けられるように、ミラーハウジングおよび/または協働要素と駆動ギアホイールとの間に摩擦が生じ得る。折り畳みポジションと伸長ポジションとの間でのミラーハウジングの調節の逆摩擦(counter-friction)によって、調節時にミラーハウジングが振動することおよび音がなることが除去されかつ相対的に安定した様式でミラーハウジングは折り畳みポジションと伸長ポジションとの間で調節できるようになる。
【0011】
協働要素がミラー脚部により回転ロック状態となるリングを備えることによって、一方では駆動ギアホイールと他方ではミラーハウジングとの間の協働を、簡単な様式でリングの両面を介して得ることができる。回転ロックリングおよび協働突出部を備える駆動ギアホイールまたは追い込み面を設けることにより、簡単な様式で回転ロックリングに対する駆動ギアホイールの回転を得ることができる。例示的にはリングの追い込み面は、例えば第1のポジションへ向かうまたは第2のポジションへ向かうミラーハウジングの付勢が実施できるように、駆動ギアホイールの追い込み面に対して移動することができる。
【0012】
ミラー調節デバイスには、駆動ギアホイールに係合しかつミラー脚部上に駆動ギアホイールを押し付ける主スプリングが設けられていてもよい。例えば主スプリングの軸線方向は、ミラー脚部の軸線方向に実質的に一致しており、かつ主スプリングは、軸線方向にミラー脚部を押圧する。ミラーハウジングは、通常、ミラー脚部と駆動ギアホイールとの間の空間内に配置される。有利なことに、ミラーハウジングと駆動ギアホイールとの間の協働要素は、第1のポジションにおいてミラーハウジングが主スプリングの影響下から解放されるように構成されている。第1のポジションにおいて、ミラーハウジングのみが弾性要素の付勢力にさらされ、それにより、ミラーハウジングとミラー脚部との間にスリットを形成できるようになる。また、弾性要素は、ミラーハウジングを付勢することだけが必要とされかつ主スプリングとは独立したものであるため、相対的に軽量のデザインで形成できる。
【0013】
第2のポジションにおいてミラーハウジングが、弾性要素の付勢力に抗して主スプリングによってミラー脚部に押圧されるように協働要素が構成されていることによって、ミラーハウジングは、主スプリングとは関係なく第2のポジションへと付勢可能であるが、協働要素および/または協働突出部および/または協働追い込み面からなる構成によって単独で規定される。主スプリングの力は、協働要素を介してミラーハウジングへ伝達でき、かつ、弾性要素の付勢力を抑えるのに十分大きなものである。好ましくは、例えば回転ロックリングの追い込み面が駆動ギアホイールの追い込み面に対して移動するため、ミラーハウジングは、折り畳みポジションと折り込みポジションとの間の調節経路の終端において第2のポジションへ向けて付勢され、それによって、ミラーハウジングと駆動ギアホイールその間に連結部を得ることができ、それに沿って主スプリングの力はミラーハウジングに伝達可能となる。
【0014】
弾性要素が主スプリングとは関係なくミラーハウジングを付勢するため、弾性要素は、相対的に軽量でありかつ安価なデザインで形成できる。例えば、弾性要素は、補助スプリングとしてあるいはリング形状スプリング要素として構成されてもよい。
【0015】
ミラー脚部とミラーハウジングとの間に弾性要素を含んでいることにより、ミラーハウジングへ向かう弾性要素の付勢力は、例えば主スプリングの力に対向して作用する。
【0016】
さらなる有利な実施形態は従属請求項に示される。
【0017】
本発明は、図面に示された例示的な実施形態に基づいて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1のポジションにおける、本発明に基づくミラー調節デバイスの斜視断面図である。
【
図2】第2のポジションにおける、本発明に基づくミラー調節デバイスの斜視断面図である。
【
図3】本発明に基づくミラー調節デバイスのミラー脚部の周囲の駆動ギアホイールの分解斜視図である。
【
図4】本発明に基づくミラー調節デバイスの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
これら図面は、非限定的な例示的な実施形態として記載された本発明の好ましい実施形態を概略的に示しただけのものであることに留意されたい。図面において、同一のまたは対応する部品は同一の参照番号で示されている。単純化するために、ミラーハウジングを取り囲むミラーキャップおよびミラー脚部を包囲するミラーベースは図示しない。
【0020】
図1には本発明に基づくミラー調節デバイスが示される。ミラー調節デバイス1は、ミラー脚部2と、ミラー脚部2に調節可能に接続されたミラーハウジング3とを備える。ミラーハウジング3は移動可能でありかつミラー脚部2に対して回転可能である。通常、ミラー脚部2を介して、ミラー調節デバイス1は例えば車両の外側ミラーユニットとして車両に取り付けられている。一般的に車両の外側ミラーユニットは、また、ミラーハウジングを取り囲むミラーキャップおよびミラー脚部を取り囲むミラーベースも備えている。通常、ミラーキャップとミラーベースとの間には、例えばミラーベースに対するミラーキャップの調節を可能にする空間が設けられる。
【0021】
ミラーハウジング3は、ミラーハウジング3が車両に実質的に沿って配置される折り畳みポジションと、ミラーハウジング3が車両に対して実質的に交差する方向に配置される伸長ポジションとの間で調節可能である。ミラーハウジング3の調節時にはミラーキャップがミラーハウジング3とともに移動する。
【0022】
ミラーハウジング3は、第1のポジションと第2のポジションとの間でミラー脚部2に対してさらに調節可能である。このとき、第1のポジションにおいては、ミラーハウジング3の隣接面とミラー脚部2の隣接面4a,4bとの間の距離が、第2のポジションにおけるミラーハウジング3の隣接面とミラー脚部2の隣接面4a,4bとの間の距離よりも大きくなる。
【0023】
図1では、ミラーハウジング3の隣接面とミラー脚部2の隣接面4a,4bとの間にそれぞれスリット5が設けられていることが示される。
図2においては第2のポジションにあるハウジング3が示されており、この場合、隣接面4aと隣接面4bとの間の距離は
図1における第1のポジションにおけるものよりも小さく、かつ、隣接面4a,4bは実質的に互いに対して当接している。第2のポジションでは、ミラーハウジング3とミラー脚部2との間にはほぼスリットは存在しない。この例示的な実施形態において、ミラーハウジング3は、ミラー脚部2の軸方向において、第1のポジションと第2のポジションとの間でミラー脚部2に対して調節可能である。
【0024】
ミラー調節デバイス1には、折り畳みポジションと伸長ポジションとの間でミラーハウジング3の駆動される調節を実施可能にする駆動ユニットの駆動ギアホイール6が設けられている。駆動ギアホイール6におけるベアリングは通常は主スプリング7であり、それはミラー脚部2の上に面8a,8bを介して駆動ギアホイールを押圧する。
【0025】
この例示的な実施形態においては、ミラーハウジング3とミラー脚部2との間に、リング形状スプリング要素として構成された弾性要素9が配置されている。リング形状スプリング9は、第1のポジションへ向けてミラーハウジング3を付勢するよう構成されている。この例示的な実施形態において、これは、リング形状スプリング9がミラーハウジング3を上方へ押圧する傾向があることを意味している。可能であれば、弾性要素9はらせん状スプリングとして構成されていてもよく、それは、例えば第1のポジションへミラーハウジング3を付勢するようミラーハウジング3と駆動ギアホイール6との間に取り付けられてもよい。なお、例えば
図4に示されるように簡単な様式でリング形状曲がり構造体からなるスプリング9が設けられている。
【0026】
ミラー調節デバイス1は、折り畳みポジションと伸長ポジションとの間でミラーハウジング3を調節する際に、リング形状スプリング9の作用下でミラーハウジング3を第1のポジションへもたらすための協働要素10をさらに備えている。協働要素10は、この例示的な実施形態において、駆動ギアホイール6上にリング11および追い込み面12を備える。協働要素10およびリング形状スプリング9を介して、ミラーハウジング3は、主スプリング7に関係なく、第1のポジションと第2のポジションとの間で調節可能となる。リング11は、
図4に示されるようにミラー脚部2に対して回転することを抑止される。溝15に係合するリブ14を介して、リング11はミラー脚部2の軸方向に移動可能となり、したがって、リング11はミラー脚部2に対して回転がロックされた状態となる。
【0027】
ミラーハウジング3の第2のポジションにおいて、リング11の追い込み面16が駆動ギアホイール6の追い込み面12と協働する。その結果、駆動ギアホイール6とミラーハウジング3との間の距離は広がり、そのためリング11は、実際に駆動ギアホイール6とミラーハウジング3との間でクランプ固定される。主スプリング7の力は、駆動ギアホイール6を介してかつミラーハウジング3上のリング11へ伝達でき、それにより、ミラーハウジング3は、隣接面4aおよび隣接面4bが当接するまで、リング形状スプリング9の付勢力に対して下降させられる。隣接面4aおよび隣接面4bが当接すると、スリット5は実質的に第2のポジションにおいて隠れ、その結果、例えばミラーハウジング3の伸長ポジションにおける振動および/または雑音の発生が低減される。
【0028】
第1のポジションにおいて、駆動ギアホイール6およびリング11の追い込み面12および16はそれぞれ協働せず、かつミラーハウジング3を伴うリング11は、リング形状スプリング9の付勢力によって上方に押圧され得る。主スプリング7の力は、ミラー脚部2へ、駆動ギアホイール6を介して面8aおよび8bに沿って伝達される。その結果、第1のポジションにおけるミラーハウジング3は、主スプリング7の影響下から解放される。第1のポジションおよび第2のポジションの両方において、主スプリング7が駆動ギアホイール6に掛ける力は変化しないまま残っている。したがって、主スプリング7に関係なく、協働要素10およびリング形状スプリング9によって、ミラーハウジング3は第1のポジションまたは第2のポジションへともたらされることが可能となる。
【0029】
第1のポジションにおいて、ミラーハウジング3は、リング形状スプリング9によって駆動ギアホイール6に対して押圧され、それにより、折り畳みポジションと伸長ポジションとの間の調節中に摩擦が駆動ギアホイール6とミラーハウジング3との間に引き起こされるようになる。その結果、調節中に、ミラーハウジング3が不安定になる、つまり振動したりガタガタ音が鳴り始めたりすることが防止できる。摩擦に対する調整によって、ミラーハウジング3の相対的に安定した調整を得ることができる。
【0030】
折り畳みポジションと伸長ポジションとの間でミラーハウジング3を調整する際に、駆動ギアホイール6の面8aおよびミラー脚部2の面8bは、それぞれ、調整経路の終端を表す追い込み面13aおよび13bまで互いに対して移動する。調節中に、ミラーハウジング3は、ミラーハウジング3およびリング11を上方に押圧するリング形状スプリング9ならびにミラーハウジング3とミラー脚部2との間に存在するスリット5を伴って第1のポジションに存在する。追い込み面13aが追い込み面13bに対して移動する際には、リング11の追い込み面16もまた駆動ギアホイール6の追い込み面12に対して移動し、それにより、リング11が実際にミラーハウジング3と駆動ホイール6との間に存在する。その結果、駆動ギアホイール6とミラーハウジング3との間に連結がもたらされ、それに沿って、主スプリング7の力はミラーハウジング3へ、スプリング9の付勢力に対して第2のポジション方向へ向けてかつ実質的にスリット5に近接するべくミラーハウジング3を下方へ押圧するように伝達可能となる。実際に、折り畳みポジションと伸長ポジションとの間の調整経路の終端において、ミラーハウジング3は、主スプリング7とは関係なく、協働要素10との協働を介して、特に折り込み面11および16との協働を介して、自動的に第1のポジションから第2のポジションまでもたらされる。
【0031】
反対方向への調整時には、追い込み面11および16の間の協働は行われず、それにより、リング11およびミラーハウジング3は、リング形状スプリング9によって第1のポジションまで上方へ押圧され得る。
【0032】
本発明は本明細書で示された例示的な実施形態に限定されるものではなく、多くの変更が可能である。したがって第1のポジションと第2のポジションとの間のミラー脚部に対するミラーハウジングの変位は、例えばミラー脚部に対して交差する方向および/または軸方向および交差方向の組み合わせ方向において実施されてもよい。そうした変更は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内でなされることを理解されたい。
【符号の説明】
【0033】
1 ミラー調節デバイス
2 ミラー脚部
3 ミラーハウジング
4a ミラーハウジングの隣接面
4b ミラー脚部の隣接面
5 スリット
6 駆動ギアホイール
7 主スプリング
8a 駆動ギアホイールの面
8b ミラー脚部の面
9 弾性要素
10 協働要素
11 リング
12,13a,13b,16 追い込み面
14 リブ
15 溝