【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は低次アシル基ジェランゴムのポスト抽出方法に関し、ジェランゴム発酵液の脱アシル基処理ステップと、酵素処理ステップと、二価又は多価金属陽イオンにより低次アシル基状態ジェランゴムを凝集するステップと、ジェランゴム溶液の清澄化処理ステップと、ジェランゴム溶液の脱水処理ステップと、二価又は多価陽イオンを除去・脱色するステップと、乾燥・粉砕ステップとを含む。好ましくは、乾燥・粉砕ステップ前に適当な量のキレート剤/酸系に配合し、ジェランゴムを用いる過程に超過添加可能な二価陽イオンをキレートするとともに、pH値の相対的な安定性を保つステップも含む。具体的には、この低次アシル基ジェランゴムのポスト抽出方法は、
発酵液の温度を80℃〜90℃に上げ、酸化防止剤を添加するとともに、アルカリを添加してpH値を調整し、アシル基を脱する発酵液の脱アシル基処理ステップ(1)と、
発酵液の不溶性の不純物と菌糸体断片をできるだけ除去するためにステップ(1)の発酵液に異なる酵素製剤を添加し、さらに詳しく説明すると、一種の酵素加水分解酵素製剤を添加して保温酵素加水分解してから他種の酵素を添加して保温酵素加水分解し、これに基づいて類推する発酵液の酵素処理ステップ(2)と、
ステップ(2)酵素処理後の発酵液に、水溶性のアルカリ金属を添加して凝集してからpH値をアルカリ性に調整し、固体・液体を分離することにより、発酵液の水及び色素を大分除去し、濃縮のジェランゴム粗生成物を得る発酵液の凝集ステップ(3)と、
ステップ(3)に得られたジェランゴム粗生成物を清澄化処理し、清澄化された低次アシル基ジェランゴム溶液を得るジェランゴム清澄化処理ステップ(4)と、
ステップ(4)に得られたジェランゴム脱アシル基清澄化溶液に、アルカリ金属イオンを添加することによってゲルを生成し、圧搾しかつ脱水する脱アシル基ジェランゴム溶液脱水処理ステップ(5)と、
ステップ(5)に得られたジェランゴムを小さな粒子に細かく刻んで、イオン交換工程又はキレート工程によりジェランゴムにおける二価陽イオン又は多価陽イオンを大分除去し、徹底的な脱色効果を達するために少し圧搾乾燥した後のジェランゴムを低級アルコールに浸漬させて撹拌・濾過する二価又は多価陽イオン除去及び脱色処理ステップ(6)と、
ステップ(6)に得られたジェランゴム固体材料を乾燥かつ粉砕し、高透明度の低次アシル基清型ジェランゴム製品を得る乾燥粉砕ステップ(7)と、を含む。
【0017】
好ましくは、ステップ(6)とステップ(7)の間に、下記のステップをも含む。すなわち、
ステップ(6)に
おいて得られたジェランゴムに
、適当な量のキレート剤
及び酸を添加
し、撹拌してジェランゴムと均一に混合するようにするステップ(6′)を含む。
【0018】
さらに詳しく説明すると、
発酵液の温度を85℃〜90℃に上げ、発酵液に適当な酸化防止剤を添加するとともに、アルカリを添加してpH値を9.5〜11の間に調整してゆっくりと、10min〜15min程度撹拌し続け、ジェランゴムのメインチェーンのアシルグリセロール及びアセチルを脱する。その後酸を添加し、pH値を中性に調整し、温度を40℃以下に下げる発酵液の脱アシル基処理ステップ(1)と、
ステップ(1)に得られた発酵液に、異なる濃度の、もうすでに少量の水で溶解して分散したセルラーゼ、リゾチーム、及び中性プロテアーゼ又はアルカリプロテアーゼであるプロテアーゼを順に添加し、それぞれ異なる時間を維持する発酵液酵素処理ステップ(2)と、
ステップ(2)の材料の温度を35℃以下に下げ、二価又は多価水溶
性金属塩を入れて、低次アシル基ジェランが凝集してからアルカリを添加しpH値を調整し、遠心分離又は圧搾法によりし固体・液体を分離する発酵液凝集処理ステップ(3)と、
ステップ(3)に得られた材料を分解した後に、10〜20倍量の脱イオン水で溶解し、酸を添加しpH値を中性に調整し、温度を85〜90℃に上げてから、徹底的な溶解効果に達するために十分に撹拌し、プレートとフレーム又はバン式を利用し加圧ろ過し、高速遠心分離又は微孔濾過膜で濾過し、ステップ(3)に得られた脱アシル基ジェランゴム溶液を清澄化処理し、溶液のゲル化を防止するために清澄化処理の時の温度を65℃以上にし、得られた清澄化溶液の透明度は92%以上であるジェランゴム清澄化処理ステップ(4)と、
ステップ(4)に得られた清澄化されたジェランゴム脱アシル基溶液に、適当な量の金属陽イオン塩類を添加することによりゲルを生成し、それを圧搾しかつ脱水し、得られた水分含有量の80%程度の低次アシル基清型ジェランゴムのゴムブロック又はフィルムである脱アシル基ジェランゴム溶液脱水処理ステップ(5)と、
ステップ(5)に得られた水分含有量80%のジェランゴムを小さな粒子に細かく刻んで、それを3〜5倍量の一価アルカリ金属塩を適当に添加して処理された水に入れて、浸漬させてまた撹拌し、イオン交換の形態でコロイドを二価陽イオン塩の形態から一価陽イオン塩の形態に転換すること又はコロイドの二価又は多価陽イオンを除去するために、3〜5倍重量のキレート剤を適当に添加して処理した水に入れて、浸すかつ高速で撹拌する。又、徹底的な色素を脱する効果を達するために、処理されたジェランゴム溶液を圧搾しかつ脱水してから2倍重量の低級アルコールに入れて、浸すかつ高速撹拌し、濾過する二価又は多価陽イオン除去及び脱色処理ステップ(6)と、
ステップ(6)に得られた生成物を75〜80℃において乾燥かつ粉砕し(その95%を80網目の篩を通過させる)、低次アシル基清型ジェランゴム製品が得られる乾燥粉砕ステップ(7)とを含む。
【0019】
好ましくは、ステップ(6)と(7)の間には、下記のステップをも含む。すなわち、
ステップ(6)に得られたジェランゴムに適当な量のキレート剤/酸系を添加することにより、ジェランゴムを用いる過程に超過添加可能な二価陽イオンをキレートするとともに、pH値の相対的な安定性を保ち、この時ジェランゴムの水分の含有量が80%程度であり、キレート剤/酸とジェランゴムを混合させて、均一に撹拌し、キレート剤/酸系において、キレート剤と酸が混合してから添加してもよく、順に添加してもよいという適当な量のキレート剤/酸系を配合するステップ(6′)を含む。
【0020】
本発明の各ステップの具体的なプロセス条件は、以下のとおりである。
【0021】
ステップ1 に添加した酸化防止剤がアスコルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、システインから選ばれた1種又は2種以上であるが、それに限られていない。添加した酸化防止剤の濃度は、好ましくは100〜300ppmであり、より好ましくは150〜250ppm(発酵液で計算)である。
【0022】
ステップ1に添加したpH調整用のアルカリはNaOH、KOH、Na
2CO
3、K
2CO
3から選ばれた1種又は2種以上であるが、それに限定されていない。良いのはNaOH、KOH、より好ましくはNaOHである。
【0023】
ステップ1に、アルカリを用いてpH値を9.5〜11の間に調整し、より好ましくはpH値が10程度である。
【0024】
ステップ1に、pH調整用のアルカリは先に10%濃度の溶液にする。
【0025】
ステップ1に、温度を85〜90℃の間に維持し、より好ましくは温度を86〜88℃の間に維持する。
【0026】
ステップ1に、時間を10min〜15minに維持し、より好ましくは時間を10min程度維持する。
【0027】
ステップ1に、pH調整用の酸は無機酸でもよく、有機酸でも良い。無機酸は塩酸、硫酸及びリン酸から選ばれた1種又は2種以上を含むが、それに限られていない。有機酸はギ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸又は酒石酸から選ばれた1種又は2種以上を含むが、それに限られていない。実際的製造において、好ましくは無機酸であり、より好ましくは塩酸である。酸の添加量は、発酵液体系のpHを7程度に調整できる程度の量である。
【0028】
ステップ1に、pH調整用の酸は先ず10%濃度の溶液にする。
【0029】
ステップ2の酵素加水分解条件それぞれは、セルラーゼの濃度は、好ましくは500〜2000ppmであり、より好ましくは1000〜1500ppmである。酵素加水分解の時間は、好ましくは4h〜8hであり、より好ましくは5h〜6hである。酵素加水分解の温度は、好ましくは40℃〜50℃であり、より好ましくは43℃〜45℃である。リゾチームの濃度は、好ましくは50〜300ppmであり、より好ましくは100〜200ppmである。酵素加水分解の時間は、好ましくは2h〜4hであり、より好ましくは2.5h〜3.5hである。酵素加水分解の温度は、好ましくは30℃〜40℃であり、より好ましくは35℃〜37℃である。プロテアーゼの濃度は、好ましくは100〜1000ppmであり、より好ましくは300〜500ppm(発酵液で計算)である。酵素加水分解の時間は、好ましくは1h〜5hであり、より好ましくは2h〜3hである。酵素加水分解の温度は、好ましくは30℃〜40℃であり、より好ましくは30℃〜35℃である。前記プロテアーゼは中性プロテアーゼ又はアルカリプロテアーゼである。
【0030】
ステップ3に用いられる水溶
性金属塩は、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウムの水溶性塩又はその組み合わせを含むが、それに限られていない。
【0031】
ステップ3に用いられる水溶性アルカリ金属の添加量は、好ましくは発酵液の質量の0.1%〜0.5%を占めるが、より好ましくは0.3%〜0.4%である。
【0032】
ステップ3に用いられるアルカリは、KOH、NaOH、Na
2CO
3、NaHCO
3、Na
3PO
4から選ばれた1種又は2種以上を含むが、それに限られていない。
【0033】
ステップ3に用いられる固体・液体を分離する装置は、チャンバー型ポリプロピレンプレートとフレームフィルタープレス又はバッグ圧搾機から選ばれてもよいが、それに限られておらず、好ましくはチャンバー型ポリプロピレンプレートとフレームフィルタープレスである。
【0034】
ステップ4に分解したジェランゴムの繊維の長さは10cmを超えてはいけなく、繊維の水分の含有量は80%程度にする。
【0035】
ステップ4 に分解したジェランゴムの繊維を10から20倍量の脱イオン水で溶解し、15〜20倍の脱イオン水がより好ましい。溶液を加熱し、温度を80〜95℃にし、好ましくは85〜90℃である。
【0036】
ステップ4に、清澄化装置は、プレートとフレーム又はバン式で加圧ろ過し、又は高速遠心分離又は微孔濾過膜で濾過しもよいが、それに限られていない。好ましくはプレートとフレーム又はバン式で加圧ろ過する。
【0037】
ステップ4に、溶液のゲル化を防止するために清澄化処理の温度は65℃以上にする。温度を75℃程度にするのはより好ましい。
【0038】
ステップ5に、ゲルが生成する時、添加した金属塩は、溶性一価アルカリ金属塩(塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウムから選ばれた1種又は2種以上である)、二価アルカリ
土類金属塩(塩化カルシウム、塩化マグネシウム)及び多
価金属(塩化鉄)塩等又はその組み合わせであってもよいが、それに限られていない。好ましくは一価
アルカリ金属塩系と二価アルカリ
土類金属塩系である。コストの要素も含めば、二価アルカリ
土類金属塩系はより好ましい。
【0039】
ステップ5に、ゲルが生成した時に、添加した一価アルカリ金属塩が清澄化ゾルの0.8〜1.2%(重量比)を占め、添加した二価金属塩は清澄化されたゾルの0.05〜0.1%(重量比)を占める。
【0040】
ステップ5に、ゲル生成時に、添加した溶性金属塩は先ず30%濃度の溶液にする。
【0041】
ステップ5に、用いられた固体・液体を分離する装置はチャンバー型ポリプロピレンプレートとフレームフィルタープレス又はバッグ圧搾機であってもよいが、それに限られていない。好ましくはチャンバー型ポリプロピレンプレートとフレームフィルタープレスである。
【0042】
ステップ6に、ゲル切断機を使って、シル基ジェランを円柱の小さな粒子まで細かく刻んで、粒子の直径は3mm未満であり、長さは12mm未満である。
【0043】
ステップ6に用いられる一価金属陽イオンは、溶性一価アルカリ金属塩(塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウムから選ばれた1種又は2種以上)であってもよいが、それに限られていない。添加量は、溶液の濃度が5000〜10000ppmに達するのは好ましく、より好ましくは6000〜8000ppmである。
【0044】
ステップ6に用いられるキレート剤は、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ソーダ、メタリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウムから選ばれた1種又は2種以上であってもよく、それに限られていない。キレート剤は、好ましくはクエン酸ナトリウムとヘキサメタリン酸ソーダが良く、クエン酸ナトリウムがより好ましい。添加したキレート剤の添加量、溶液の濃度が1000〜10000ppmであるのは好ましく、より好ましくは5000〜8000ppmである。
【0045】
ステップ6に用いられる脱水圧搾装置は、バッグ圧搾機である。
【0046】
ステップ6に用いられる低級アルコールはエタノール、イソプロパノールとブタノールから選ばれた1種又は2種以上である。好ましくは、エタノールとイソプロパノールであり、より好ましくはイソプロパノールである。添加量は、好ましくはジェランゴムの湿粒子の重量の2〜4倍であり、より好ましくは2.5〜3.5倍である。
【0047】
ステップ6′に用いられるキレート剤は、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ソーダ、メタリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウムから選ばれた1種又は2種以上であってもよく、それに限られていない。実際的製造において、良く用いられたキレート剤はリン酸塩キレート剤であり、より好ましくはヘキサメタリン酸ソーダである。
【0048】
ステップ6′に用いられる酸は無機酸又は有機酸である。無機酸は、塩酸、硫酸又はリン酸から選ばれた1種又は2種以上であってもよいが、それに限られていない。有機酸は、ギ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸又は酒石酸から選ばれた1種又は2種以上であってもよいが、それに限られていない。実際の製造には、良く用いられた酸は有機酸で、より好ましくはクエン酸である。
【0049】
ステップ6′に用いられるキレート剤の添加量が、最終的な乾燥製品の9〜10%(質量比)を占め、用いられた酸は最終的な乾燥製品の0.5〜1%(質量比)を占める。
【0050】
ステップ7に用いられる乾燥装置は、真空乾燥と沸騰乾燥であってもよく、それに限られていない。温度を75〜80℃の間に制御し、時間を1h〜1.5hの間に制御する。