特許第5770747号(P5770747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770747
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】収納箱用の傾斜装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/04 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   A47B88/04 A
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-551441(P2012-551441)
(86)(22)【出願日】2011年2月1日
(65)【公表番号】特表2013-518625(P2013-518625A)
(43)【公表日】2013年5月23日
(86)【国際出願番号】AT2011000054
(87)【国際公開番号】WO2011094781
(87)【国際公開日】20110811
【審査請求日】2013年11月11日
(31)【優先権主張番号】A140/2010
(32)【優先日】2010年2月3日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルム ゲー エム ベー ハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェウルステイン,マルカス
【審査官】 蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01421876(EP,A1)
【文献】 特表2009−534065(JP,A)
【文献】 特開2001−258666(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3150895(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00−88/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出し(22)のための調節可能な傾斜装置(10)が付随した、前記引出し(22)のためのレールシステム(23)であって、本傾斜装置(10)は、
本傾斜装置(10)が前記引出し(22)を傾斜させる際に利用する第1接触点(1)と、
本傾斜装置(10)の第1調節部材(12、12’および12’’)によって高さが調節可能な第2接触点とを含んでおり、
本傾斜装置(10)は、本傾斜装置(10)の別な第2調節部材(13と13’)によって高さが調節可能な少なくとも一つの追加の第3接触点(3)を有していることを特徴とするレールシステム
【請求項2】
前記第3接触点(3)は、前記第1接触点(1)と前記第2接触点(2)との間に配置されていることを特徴とする請求項1記載のレールシステム
【請求項3】
前記接触点(1、2、3)は、平面内で本傾斜装置(10)の複数の調節可能な位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のレールシステム
【請求項4】
前記第3接触点(3)の高さは、本傾斜装置(10)によって、前記第2接触点(2)の高さに比例して調節可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のレールシステム
【請求項5】
前記第3接触点(3)を形成する部材(5、6)は、剛体であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のレールシステム
【請求項6】
前記第3接触点(3)を形成する、少なくとも一つの調節部材(13)は、実質的にはくさび型形状であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のレールシステム
【請求項7】
第2接触点(2)を形成する、本傾斜装置(10)の前記第1調節部材(12、12’および12’’)と、
第3接触点(3)を形成する本傾斜装置(10)の前記第2調節部材(13、13’)は、
作用力伝達接続部(11)を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のレールシステム
【請求項8】
本傾斜装置(10)は、レールシステム(23)の引出しレール(24)の上側において、間隔をあけて複数の位置で支持されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のレールシステム
【請求項9】
本傾斜装置(10)は、前記引出し(22)用の傾斜安定手段(8)を有し、前記傾斜安定手段(8)は、前記引出し(22)が前記レールシステム(23)から外れるのを防ぐことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のレールシステム
【請求項10】
本傾斜装置(10)は、本傾斜装置(10)を駆動させるための少なくとも一つの駆動装置(9)を有しており、
前記第3接触点(3)の高さと前記第2接触点(2)の高さは同時に、前記駆動装置(9)により調節可能であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のレールシステム
【請求項11】
前記第1接触点(1)を形成する少なくとも一つの部材(7)は、実質的にくさび型形状であることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のレールシステム
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載のレールシステムと2つの本傾斜装置(10)を含んだ引出し(22)であって、
該2つの傾斜装置(10)は前記引出し(22)の異なる側面に、それぞれ配置されていることを特徴とする引出し(22)。
【請求項13】
請求項12に記載の引出し(22)を少なくとも一つ含んだ家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に引出し用である収納箱用の調節可能な傾斜装置に関する。
【0002】
この装置は、それによって傾斜装置が収納箱を傾斜させる第1接触点と、傾斜装置の第1調節部材によって高さが調節できる第2接触点とを含んでいる。
【0003】
さらに本発明は、そのような傾斜装置を含んだ引出しと、そのような引出しを含んだ家具にも関する。
【背景技術】
【0004】
引出し用のその種の調節可能な傾斜装置はすでに多数が知られている。例えば、2002年5月27日付けのオーストリア特許出願公開第409 067 Bは、枠体側レールと、引出し側延出レールとを引き出しの2つの側部に有する引出し用の延出ガイドを開示している。それらの後方端には、取り付け状態では引出しの開口部内に突き出る水平保持突出部を有するフックを備えた延出レールが提供されている。保持突出部または保持突出部を備えたフックの位置は、延出レール上で垂直方向に調節可能である。この構造で、引出しはその領域で上下可能であり、引出しの前方パネルの傾斜が提供される。この構造で、引出し、または引出しの前方パネルは家具内で整列される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】オーストリア特許出願公開第409 067 B号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術に勝る改良された収納箱用の調節可能な傾斜装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の傾斜装置では、その目的は、傾斜装置のさらなる第2調節部材によって高さが調節可能な少なくとも一つの追加の第3接触点を有する傾斜装置により達成される。
【0008】
このように、追加の接触点を使用することで、引出しはその点で平等に支持され、さらに安定した運搬構造体が創出され、この構造で、力学作用が2つの点ではなく、3つの点に配分される。追加の接触点は高さが調節できるので、傾斜装置のそれぞれの調節可能な角度にて有利な力の配分が提供される。この構造で、収納箱の第3接触点における屈曲を防止することができる。
【0009】
本発明の別な有利な実施例は「請求の範囲」において定義されている。
【0010】
第3接触点が第1接触点と第2接触点との間に配置されると特に有利であることが証明されている。この構造で、3つの接触点への力の最適な配分が達成され、第3接触点がその他の2つの接触点の間のほぼ中央に配置されていると特に有利である。
【0011】
好適実施態様では、接触点は少なくとも2つの(好適には複数の)平面における傾斜装置の調節可能な位置(好適にはほぼ一直線上)に配置されている。これにより収納箱の下側もまた平面上となり、よって屈曲変形が防止できる。
【0012】
第3接触点の高さが、傾斜装置によって、第2接触点の高さに対して比例関係で調節可能であることがさらに好適である。この構造で、傾斜装置がどの位置にあっても、接触点で収納箱の屈曲変形を発生させないことが可能となる。
【0013】
第3接触点を形成する部材は剛質であることが特に有利であることが証明されている。第3接触点での、非弾性、すなわち剛性(剛体)の部材は、第3の点がその高さを荷重時に変えないため、収納箱の屈曲変形が防止される。これはさらに力の配分を全ての接触点で確実に均一にする。
【0014】
少なくとも一つの部材、好適には第3接触点を形成する調節部材が実質的にくさび型形状であることが特に好適である。この調節部材のくさび型形状では、傾斜装置による傾斜角度は均一でほぼ無段調節である。
【0015】
この点で、少なくとも部分的に第2接触点を形成する、傾斜装置の第1調節部材と、少なくとも部分的に第3接触点を形成する、傾斜装置の第2部材が互いに力伝達接続部を有すると有利であることが証明されている。この構造で、2つの調節可能な接触点の高さは同時的または均一に変更できる。
【0016】
好適実施態様では、傾斜装置は、好適には実質的に完全に、収納箱上に提供される。収納箱への実装の観点からは、これは、そのようにすることで提供され、従来技術に属するレールシステムを利用できるので、有利である。傾斜装置を部分的に収納箱上に提供し、部分的にレールシステムに提供するか、あるいは全体的にレールシステム上に提供することも可能であることは理解できるであろう。
【0017】
傾斜装置が、間隔を開けて、好適には平坦である、レールシステムの引出しレールの上側で支持されると有利であることがさらに証明されている。引出しレールの平坦な上側での傾斜の調節は、それらがいずれの場合においても商業的に入手可能な引出しレールに容易にアクセスでき、間隔を開けることが容易であるため、容易に実行可能である
【0018】
傾斜装置が収納箱のための傾斜安定手段を有することはさらに好適であり、それによって収納箱は、特に引き出しレールシステムの場合、そこから解放されない。
【0019】
傾斜安定手段は、好適には実質的に完全に、傾斜装置の調節部材上に提供されていることがさらに望ましい。この構造で、傾斜安定手段は、傾斜装置のどのように調節された角度でも作動可能である。
【0020】
考えられる実施例では、傾斜装置は傾斜装置を駆動させるための少なくとも一つの駆動装置を有しており、第3接触点の高さと第2接触点の高さは駆動装置で同時に、好適には工具無しで調節可能である。
【0021】
1好適実施態様では、実質的にくさび型形状の第1接触点を形成する少なくとも一つの部材が提供され、接触点と衝突しない、レールシステムへの引出しの簡単な挿入が可能である。
【0022】
本発明は、傾斜装置、特に2つの傾斜装置を含んだ引出しにも関し、それら2つの傾斜装置は、請求項1から13のいずれかに記載されているように、引出しの異なる側に配置されている。
【0023】
本発明は、請求項14記載の少なくとも一つの引出しを含んだ家具にも関する。
本発明のさらなる詳細や利点は、図面において示されている実施例に関連して以下にてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】傾斜装置の分解斜視図である。
図2】90度回転させた、図1の傾斜装置の分解斜視図である。
図3】傾斜装置の斜視図である。
図4】駆動装置を備えた傾斜装置の斜視図である。
図5】中央位置に傾斜装置を備えた引出しの断面側面図である。
図6】第1位置に傾斜装置を備えた引出しの断面側面図である。
図7】第2位置に傾斜装置を備えた引出しの断面側面図である。
図8】レールシステム上に傾斜装置を備えた引出しの斜視図である。
図9】従来技術による引出しとレールシステムとを備えた家具の斜視断面図である。
図10】調節された前方パネルを備えた家具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は調節可能な傾斜装置10の分解斜視図である。これは、くさび型部材7で形成された、第1接触点1(図示せず)と、第2接触点の第1調節部材12、12’、12’’と、第3接触点3の第2調節部材13と、13’とによって形成された、2つの調節可能な接触点2と3(図示せず)とを有している。この場合、第3接触点3の部材である調節部材13はくさび型形状である。本実施例の第2接触点2の第1調節部材12、12’、12’’は、2つの調節部材12’、12’’のスロット内で可動に配置されたピンの形態である。高さが調節できる2つの接触点2と3は作用力伝達接続部11によって接続されている。第3接触点3(図示せず)の第2つの部材5と6は非弾性であるので、引出し22による作用力によって第3接触点の高さの変化を防止している。
【0026】
図2図1の分解斜視図を90度回転させたものである。調節可能な傾斜装置10の下側には、非弾性の第3接触点3(図示せず)の部材5が示されている。第1接触点(図示せず)を形成するくさび型部材7も図示されている。傾斜装置10の作用力伝達接続部11には、引き出された引出し22が、家具20(共に図示せず)から傾斜して抜け出るのを防止する傾斜安定手段8が提供されている。この点で、本実施例ではU形状である傾斜安定部材8がレールシステム23(図示せず)内に配置されている。この場合、傾斜装置10の第1調節部材12、12’および12’’は同様に接触点2(図示せず)を形成し、この実施例ではピンの形態である第1調節部材12は、溝の形態である第1調節部材12’と12’’に対応し、その中で移動可能に取り付けられている。
【0027】
図3は、第1接触点1および第2接触点2と、第1接触点1と第2接触点2との間の第3接触点を有する組み立てられた傾斜装置の斜視図である。
【0028】
この場合、調節可能な第2接触点2の高さは、第1の相互対応調節部材12、12’および12’’によって形成される。
【0029】
この場合、第3接触点3の高さは、第2の相互対応調節部材13、13’および13’’によって形成され、この場合、第2調節部材13はくさび型形状である。
【0030】
ここで示す傾斜装置10は、ピンで作られている第1調節部材12が第1調節部材12’と12’’内のスロットの中央に存在する、中央位置に配置されている。この位置で、第3接触点3の第2調節部材13と13’もまたそれらの中央位置に存在し、第2調節部材13’は、くさび型の第2調節部材13の中央領域に到達している。
【0031】
くさび型形状の第2調節部材13の傾斜と、第2調節部材12’と12’’のスロットの傾斜は、駆動装置9(図示せず)を備えた傾斜装置10の調節が2つの接触点2と3の高さの比例的変化を発生させるように選択される。この点で、調節可能な接触点2と3が、作用力ロック接続部11によって互いに対応するので、高さの変化は同時に発生する。
【0032】
この場合、第1接触点1の高さは変化しないままである。
【0033】
接触点1、2および3は平面上に直線上に並んでいる。
【0034】
図4は図示の駆動装置9を備えた傾斜装置10の一部を示している。この実施例では、駆動装置9は、第2接触点2の第1調節部材12と、第3接触点3の第2調節部材13(接触点は図示していない)とを接続する作用力伝達接続部11に提供されている。この構造で、高さが調節できる接触点2と3を一つの駆動装置9だけで同時に調節できる。
【0035】
引出し22(図示せず)がレールシステム23(図示せず)から抜け出るのを防止する傾斜安定手段8は、ここでは傾斜装置10の調節部材14上に配置されており、よって傾斜安定手段8もまた傾斜装置10と共に移動する。
【0036】
駆動装置9は全く工具無しで利用可能である。
【0037】
図5は、本実施例では引出し22である収納箱21が内部に存在する家具20(図示せず)の断面を示している。この場合、引出し22はレールシステム23の引出しレール24上に配置されている。傾斜装置10は引出し22と引出しレール24との間に配置されている。傾斜装置10は3つの接触点1、2および3を有する。この構造体では、接触点1は位置が変化(高さの点で)しないが、接触点2と3は傾斜装置10によって高さが変化する。
【0038】
図示の実施例では、第2接触点2の第1調節部材12、12’および12’’は、ピン形状の調節部材12が第1調節部材12’と12’’の2つのスロットの中央に存在するように配置されているので、傾斜装置10はその中央位置(中立位置)に存在している(詳細図C)。
【0039】
傾斜装置10の第2調節部材13と13’によって形成される第3接触点もまたその中央位置に存在し、第2調節部材13’はくさび型形状の第2調節部材13の中央領域に存在する(詳細図D)。
【0040】
この場合、引出し22の前方パネル25は家具枠体26に平行に配置されている。
【0041】
この図から、接触点1、2および3は平面で中央位置に配置されていることが分かる(詳細図CからEでは非図示)。これは、図6図7から分かるように、傾斜装置10のその他の全ての調節位置でも同様である(傾斜装置10の2つの最大位置)。
【0042】
第3接触点の高さは、駆動装置9(ここでは図示せず)を利用した傾斜装置10によって、第2接触点2の高さに比例して調節される。
【0043】
この場合、第1接触点1の高さは変化しないままである(詳細図E)。
【0044】
本実施例では、傾斜装置10は全体的に箱21上(すなわち引出し22上)に提供されている。傾斜装置10をレールシステム23上に提供すること、あるいは傾斜装置10の一部を収納箱21上に提供し、別の部分をそのレールシステム23または引出しレール24上に提供することも考えられることは理解できよう。
【0045】
水平に延伸可能な引出し22(収納箱21)は傾斜装置10によってレールシステム23上で高さすなわち垂直方向に調節できる。
【0046】
図6は、図5で説明したように、レールシステム23上のさらに正確に言えば引出しレール24上の家具20(図示せず)の引出し22を図示している。傾斜装置10は引出し22と引出しレール24との間に配置されている。第2接触点3に関連して理解できるように、高さが調節できる接触点2と3はそれらの最低位置(最小の高さ)にある。すなわち、第2調節部材13’(非弾性部材5)は第2調節部材13(くさび型部材6)の最も低い端部に存在する(詳細図D)。
【0047】
この状況は、高さが調節できる第2接触点2でも同様であり、この点で、ピン形状の第1調節部材12は第1調節部材12’と12’’(詳細図C)の2つのスロットの上端に存在する。
【0048】
この場合、接触点1は高さを変えることができない(詳細図E)。
【0049】
この結果、引出し22の前方パネル25は、その上方領域で家具枠体26の方向へ移動される。
【0050】
図7は、傾斜装置10の高さ調節に関して最大にまで調節された第2位置を示している。この場合、引出し22の前方パネル25は接触点1によって家具枠体26から最も離れるように旋回される。この場合、接触点2と3は第2最大位置(最高位置)にある。すなわち第2接触点2の場合は、第1調節部材12’と12’’のスロットの下方端部に存在する、ピン形状の第1調節部材12によって達成される(詳細図C)。
【0051】
2つの調節部材13と13’によって形成されている第3接触点3はくさび型の第2調節部材13の上方端に存在する(詳細図D)。
【0052】
3つの接触点1、2および3もまた平面でその最大位置に配置されている(詳細図CからEには非図示)。このことは図6に示す3つの接触点1、2および3にも同様に適用される。
【0053】
図8は家具20(図示せず)の後方断面斜視図である。家具20は、引出しレール24を有するレールシステム23が取り付けられた家具枠体26を有する。そのような家具20は、各引出し22のための2つのレールシステム23を有することは理解されようが、ここでは一つのレールシステム23だけが図示されている。引出し22は引出しレール24上に配置されている。両側でその下側に、引出し22は傾斜装置10を有する(図8では一つの傾斜装置10だけが図示されている)。傾斜装置10は3つの接触点1、2および3を有しており、傾斜装置10は、好適にはレールシステム23の引出しレール24の平坦な上側で、間隔をあけて支持されている。
【0054】
この実施例では、最も後方の接触点2と中央の接触点3は高さが調節可能であり、これは第1接触点1にも同様に適用できることは理解されようが、この実施例では、前方接触点1は固定されている。水平に延伸する引出し22は、それぞれの傾斜装置10を有する2つの側面の設計形態の引出し22によって、工具無しで、2つの駆動装置9(図示せず)によって、ガイドシステム23の両側で高さ調節可能であり、前方パネル25は、前方パネルの上方領域で、家具枠体26の方向に移動するか、またはこれから離れるように移動する。
【0055】
図9は従来技術による家具20を示しており、家具20は、家具枠体26と引出し25とを有する。この場合、家具枠体26には引出しレール24を備えたレールシステム23が取り付けられている。そのようなレールシステム23は両側で(図示せず)家具枠体に提供されていることは理解できよう。引出し24はその上側に平面を有しており、それにより調節可能な傾斜装置10(図示せず)は引出し22またはその前方パネル25を、家具20の枠体26に対して整合させることができる。
【0056】
傾斜装置10を備えた引出し22は、従来技術に属する引出しレール24に取り付けできる(後付けもできる)ので、既に存在する家具枠体の傾斜装置10を備えた引出し22への後付けも可能になる。
【0057】
図10は家具枠体26と、前方パネル25とを備えた3つの引出し22を有する家具20を示している。この場合、引出し22の前方パネル25は異なる形態で配置されている。最上の引出し22またはその前方パネル25は家具枠体26に対して整合状態であるが、中央引出し22と下方引出し22は家具枠体26に対してずれている。中央引出し22またはその前方パネル25は、上方領域が家具枠体26から離れて傾斜し、下方引出し22またはその前方パネル25は、家具枠体26側に傾斜している。引出し22またはその前方パネル25は傾斜装置10(図示せず)で家具20の枠体26に整合させることができる。
【0058】
本発明を実施例によって説明したが、本出願の主題はこれらの実施例に限定されない。むしろ、本発明の概念を実行するための方策や改変も考えられ、望まれることは自明であろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10