(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
LAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)において、ネットワークに接続されたある端末から他の端末内のファイルへアクセスする場合、アクセス先の端末が起動している必要がある。例えば、無線アクセスポイント又は無線LANルーターを使用したホームネットワークにおいて、ホームネットワークに接続されたPC(Personal Computer)から他のPC内の画像、音声などのコンテンツにアクセスする場合、アクセス先のPCは起動している必要がある。
【0003】
アクセス先の端末を遠隔起動するひとつの方法として、アクセス元のPCからアクセス先のPCへマジックパケットと呼ばれるパケットを送信し、アクセス先の端末を起動する、WOL(Wake On LAN)と呼ばれる起動方法が知られている。マジックパケットには、起動したい端末のMAC(Media Access Control)アドレスが含まれており、WOLに対応する端末は、当該端末のMACアドレスを含むマジックパケットを受信すると、起動する。
【0004】
しかしながら、WOLは、以下のような煩雑な操作が必要である。まず、アクセス元の端末へマジックパケットを送信するためのソフトウェアをインストールし、アクセス先のPCのMACアドレスを設定する必要がある。また、アクセス先の端末は、WOLで起動させるためにBIOS(Basic Input/Output SYSTEM)の設定を行う必要がある。その上で、アクセス元の端末にインストールしたマジックパケット送信ソフトウェアを起動し、起動したい端末にマジックパケットを送信する操作を行う必要があった。
【0005】
上記の課題を解決する技術が、特許文献1に記載されている。
図15は、特許文献1に記載されている、端末装置の遠隔起動方法を適用可能なシステムの構成例を示す図である。利用者に携帯される携帯電話等のリクエスト端末9500は、携帯電話パケット網9800、および携帯電話網を運営する電話会社のゲートウェイ9600を介して、通信ネットワークとしてのインターネット9400に接続可能である。
【0006】
ユーザ宅において、インターネット9400とユーザ宅内に配設されたLAN9300とを相互に接続するホームルータ9200が設置される。ホームルータ9200は、パーソナルコンピュータやネットワーク家電等の端末装置9000、9100と、LAN9300を介して、通信可能に構成である。
【0007】
図16は、特許文献1に記載されているシステムにおけるホームルータ9200の動作例を示すフローチャートである。まず、リクエスト端末9500が、ある宛先ポート番号を含むパケットを、ホームルータ9200に向けて送信する。ポート番号は、例えば予め使う番号が決められていたり、事前にリクエスト端末9500に保存されていたりする。リクエスト端末9500から送信されたパケットは、携帯電話パケット網9800、ゲートウェイ9600およびインターネット9400を介して、ホームルータ9200によって受信される(S91)。
【0008】
ホームルータ9200は、パケットを受信したら、宛先ポート番号とMACアドレスとを対応付けた拡張NAT(Network Address Translator)テーブルを参照する。そして、パケットに含まれる宛先ポート番号が登録されているか、登録されている場合はこの宛先ポート番号に対して、MACアドレスが登録されているかを確認する(S92)。
【0009】
MACアドレスが登録されていない場合は(S92,NO)、ホームルータ9200は、例えばエラーメッセージをリクエスト端末9500に返す(S93)。
【0010】
MACポートフォワーディングが設定されている場合は(S92,YES)、このポート番号に対応するMACアドレスを拡張NATテーブルから取得する(S94)。そして、このMACアドレスを有する機器(ここでは端末装置9000)へのWOLパケットを生成し、生成したWOLパケットを端末装置9000に送出する(S95)。
【0011】
なお、ホームルータ9200は、端末装置9000、9100の状態(活動状態あるいは待機状態)を把握できるようにし、活動状態である場合はWOLの送出を省略してもよい。WOLパケットを受信した端末装置9000は活動状態に入る(自動起動する)。以下のステップ(S96〜S99)については説明を省略する。
【0012】
以上のように、特許文献1に記載のシステムによれば、ホームルータ9200において宛先ポート番号とMACアドレスとを対応付けた拡張NATテーブルを用意する。その上で、宛先ポート番号を含むパケットを受信した場合は、当該宛先ポート番号に対応するMACアドレスを有する端末装置9000、9100にWOLパケットを送出する。このような構成を採用することにより、リクエスト端末9500に新たな機能を追加することなく、アクセス先の端末装置9000、9100を自動起動できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る通信機器のブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る通信機器の第2通信手段が受信する起動情報データの構造を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る通信機器の記憶手段が、起動情報データに含まれる情報を記憶する手順を示すフローチャートである。
【
図4】第1の実施形態に係る通信機器の記憶手段に記憶されている接続機器情報テーブルの構造を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る通信機器のパケット生成手段における、起動要求パケット生成の手順を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態に係る通信機器の具体例である無線LANアクセスポイントの構成を示すブロック図である。
【
図7】第2の実施形態に係る通信機器の第2通信手段が受信する起動情報データ120の構造を示す図である。
【
図8】第2の実施形態に係る通信機器のパケット生成手段における、起動要求パケット生成の手順を示すフローチャートである。
【
図9】第3の実施形態に係る通信システムの構成を表すブロック図である。
【
図10】第3の実施形態に係る通信システムの被起動側通信端末の起動情報データ生成手段が、起動情報データを生成する手順を示すフローチャートである。
【
図11】第4の実施形態に係る通信システムの被起動側通信端末の起動情報データ生成手段が、起動情報データを生成する手順を示すフローチャートである。
【
図12】第5の実施形態に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図13】第5の実施形態に係る通信システムの被起動側通信端末の起動情報データ生成手段が、起動情報データを生成する手順を示すフローチャートである。
【
図14】第6の実施形態に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図15】特許文献1に記載されている端末装置の遠隔起動方法を適用可能なシステムの構成例を示す図である。
【
図16】特許文献1に記載されているシステムにおけるホームルータの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
以下に、
図1乃至6を参照し、本発明の第1の実施形態に係る通信機器について、説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る通信機器100のブロック図である。第1の実施形態に係る通信機器100は、第1通信手段111と、第2通信手段112と、情報を記憶する記憶手段113と、パケットを生成するパケット生成手段110を備える。
【0021】
第1通信手段111と第2通信手段112は、それぞれの通信先と通信することができる通信手段であればいずれでも採用することができる。例えば、無線LANに準拠した通信を行うことが出来る無線通信手段を用いることができる。また、有線LANに準拠した通信を行うことが出来る有線通信手段を用いても良い。携帯端末100は、第1通信手段111の通信先と第2通信手段112の通信先を中継する。第1通信手段111や第2通信手段112の通信先としては、PCや、携帯情報端末など、各種通信機器が想定できる。
【0022】
第2通信手段112は、第2通信手段112の通信先から、第2通信手段112の通信先のMACアドレスと、第2通信手段112の通信先の起動情報とが対応付けられている、起動情報データを受信する。
図2は、第1の実施形態に係る通信機器100の第2通信手段112が受信する起動情報データ120の構造を示す図である。第2通信手段112は、図示されるデータ構造を有する起動情報データ120を受信する。
【0023】
起動情報データ120は、第2通信手段112の通信先のMACアドレスと、第2通信手段112の通信先の起動情報が対応付けられている。起動情報とは、第2通信手段112の通信先が、起動状態か、休止状態かに関する情報であり、0であれば休止状態を表し、1であれば起動状態を表す。
【0024】
情報を記憶する記憶手段113は、情報を記憶する種々の記憶手段を用いることができ、例えばフラッシュメモリーやハードディスクなどを用いることができる。記憶手段113は、起動情報データ120に含まれる情報を記憶することができる。
【0025】
図3は、第1の実施形態に係る通信機器100の記憶手段113が、起動情報データ120に含まれる情報を記憶する手順を示すフローチャートである。
図1に図示されない通信機器100の動作を制御する制御手段は、第2通信手段112が起動情報データ120を受信したか判断する(S11)。制御手段は、第2通信手段112が起動情報データ120を受信したと判断すると(S11,YES)、起動情報データ120に含まれるMACアドレスが、既に記憶手段113に記憶されているMACアドレスのいずれかと一致するかを判定する(S12)。第2通信手段112が起動情報データ120を受信していない場合は(S11,NO)再び、第2通信手段112が起動情報データ120を受信したか判断する(S11)。
【0026】
起動情報データ120に含まれるMACアドレスが、既に記憶手段113に記憶されているMACアドレスのいずれかと一致する場合は(S12,YES)、当該MACアドレスに対応する起動情報を更新して記憶手段113に記憶する(S13)。一方で、起動情報データ120に含まれるMACアドレスが、既に記憶手段113に記憶されているMACアドレスのいずれかと一致しない場合は(S12,NO)、MACアドレスと起動情報を対応させて新規に記憶手段113に記憶する(S14)。
【0027】
記憶手段113は、受信した起動情報データを、接続機器情報テーブルとして整理して記憶することもできる。
図4は、第1の実施形態に係る通信機器100の記憶手段113に記憶されている接続機器情報テーブル130の構造を示す図であり、各MACアドレスに対応して起動情報が記憶されている。第1通信手段111が起動情報データ120を受信すると、接続機器情報テーブル130を参照し、起動情報データ120に含まれるMACアドレスが、接続機器情報テーブル130のMACアドレスのいずれかと一致するかを判定することができる。
【0028】
このようにして、第2通信手段112の通信先から受信した起動情報データ120に含まれる情報を記憶手段113に記憶することにより、通信機器100に接続する機器のMACアドレスと起動情報を収集することができる。
【0029】
パケット生成手段110は、プロセッサーから構成され、後述する起動要求パケットを生成することができる。例えば、CPUが記憶手段113に格納された起動要求パケット生成プログラムを実行することにより、起動要求パケットを生成することができる。
【0030】
パケット生成手段110が起動要求パケットを生成する手順について説明する。第1通信手段111は、第1通信手段111の通信先から、アクセス要求パケットを受信する。アクセス要求パケットとは、第1通信手段111の通信先が、特定のMACアドレスを有する第2通信手段112の通信先へのアクセスを求めることを示すパケットである。たとえば、第1通信手段111の通信先である携帯端末などから、第2通信手段112の通信先であるPC内に格納されているファイルにアクセスする場合が考えられる。
【0031】
図5は、第1の実施形態に係る通信機器100のパケット生成手段110における、起動要求パケット生成の手順を示すフローチャートである。まず、パケット生成手段110は、第1通信手段111が第1通信手段111の通信先からアクセス要求パケットを受信したか判断する(S21)。第1通信手段111が第1通信手段111の通信先からアクセス要求パケットを受信したと判断した場合(S21,YES)、パケット生成手段110は、以下の処理を行う。すなわち、アクセス要求パケットに含まれる特定のMACアドレスを取得し、記憶手段113に記憶されている情報を読み出し、取得したMACアドレスが記憶手段113に記録されているMACアドレスのいずれかと一致するか判断する(S22)。一方で、第1通信手段111が第1通信手段111の通信先からアクセス要求パケットを受信しない場合は(S21,NO)、再び第1通信手段111が第1通信手段111の通信先からアクセス要求パケットを受信したか確認する(S21)。
【0032】
取得したMACアドレスが記憶手段113に記録されているMACアドレスのいずれかと一致する場合は(S22,YES)、以下の処理を行う。すなわち、記憶手段113に記憶されている情報を読み出して参照し、取得したMACアドレスに対応する第2通信手段112の通信先の起動情報を取得して、休止状態か否か判断する(S23)。一方で、取得したMACアドレスが記憶手段113に記録されているMACアドレスのいずれかと一致しない場合は(S22,NO)、再び第1通信手段111が第1通信手段111の通信先からアクセス要求パケットを受信したか確認する(S21)。
【0033】
取得した起動情報が休止状態の場合は(S23,YES)、パケット生成手段110は、起動要求パケットを生成する(S24)。起動要求パケットは、特定のMACアドレスを有する通信機器の起動を求めるパケットであり、WOLにおけるマジックパケットに相当するものである。第2通信手段112は、起動要求パケットを第2通信手段112の通信先に送信する。
【0034】
ここで、通信機器100の構成の具体例を、具体的に説明する。
図6は、第1の実施形態に係る通信機器100の一例である無線LANアクセスポイント1000の構成を示すブロック図である。無線LANアクセスポイント1000は、無線LAN制御手段1111、アンテナ1112、有線LAN制御手段1121、複数の有線LANポート1122、CPU1101、RAM1131、ROM1132、から構成されている。この一例では、無線LAN制御手段1111及びアンテナ1112は第1通信手段111に相当し、有線LAN制御手段1121及び複数の有線LANポート1122は第2通信手段112に相当する。また、RAM1131及びROM1132は記憶手段113に相当し、CPU1101は、パケット生成手段110に相当する。
【0035】
無線LAN制御手段1111は、ベースバンド回路、RFトランシーバ、送信パワーアンプ、受信LNA(Low Noise Amplifer)を含み、無線LAN子機と無線にて通信する機能を有する。無線LAN子機と無線LAN子機が通信する場合、通信パケットはCPU1101を経由する。無線LANアクセスポイント1000において、無線LAN制御手段1111は、IEEE802.11規格に準拠しているものとする。
【0036】
有線LAN制御手段1121は、複数の有線LANポート1122で受信した通信パケットから宛先MACアドレスを取り出す。内蔵しているアドレステーブルを参照し、宛先MACアドレスに対応する有線LANポート1122に通信パケットを送出するスイッチング機能を有する。アドレステーブルに宛先MACアドレスが登録されていない場合は、通信パケットをブロードキャストする。無線LANアクセスポイント1000においては、有線LAN制御手段1121は、IEEE802.3に準拠しているものを採用できる。
【0037】
CPU1101は、無線LAN制御手段1111、有線LAN制御手段1121、RAM1131及びROM1132とそれぞれバスにより接続されている。アンテナ1112は無線LAN制御手段1111と接続されており、無線LAN電波を送受信することができる。有線LAN制御手段1121は、複数の有線LANポート1122と接続され、複数の有線LANポート1122は、有線LAN接続用のポートである。
【0038】
CPU1101は、ROM1132に格納されたファームウェアなどのプログラムをRAM1131に展開して実行することにより無線LANアクセスポイント1000の動作全般を制御する。これによりCPU1101は、有線LAN制御手段1121から送信されたパケットと無線LAN制御手段1111から送信されたパケットをそれぞれブリッジすることができる。また、CPU1101は、ROM1132に格納された起動要求パケット生成プログラムを実行することにより、パケット生成手段として動作することが出来る。CPU1101は、接続機器制御手段1102と、起動要求パケット生成手段1103から構成されている。
【0039】
接続機器制御手段1102は、無線LANアクセスポイント1000に有線LANまたは無線LANにて接続されている通信機器が送信する起動情報データ120を、無線LAN制御手段1111又は有線LAN制御手段1121を介して取得する。これらの情報は、
図4に示した接続機器情報テーブル130としてRAM1131に記憶される。
【0040】
起動要求パケット生成手段1103は、無線LAN制御手段1111から有線LAN制御手段1121へブリッジされるアクセス要求パケットの宛先MACアドレスを検出する。または、有線LAN制御手段1121から無線LAN制御手段1111へブリッジされるアクセス要求パケットの宛先MACアドレスを検出する。RAM1131に格納される接続機器情報テーブル130に格納されたMACアドレスと照合し、MACアドレスに対応する起動情報が休止状態の場合は、当該MACアドレスのアクセス要求パケットを生成する。
【0041】
以上のように、第1の実施形態に係る通信機器100によれば、アクセス要求パケットからMACアドレスを直接取り出し、当該MACアドレスを有する第2通信手段112の通信先が休止状態であれば、起動要求パケットを生成、送信する。起動させる第2通信手段112の通信先のMACアドレスを起動要求パケットから直接取得するため、パケットに含まれる宛先ポート番号に基づき、MACアドレスを取得するという処理の必要がなくなる。これにより、第2通信手段112の通信先を自動起動する処理の遅延や、通信機器100の処理負荷の増大を防ぐことができる。
【0042】
[第2の実施形態]
以下に、
図7及び8を参照し、本発明の第2の実施形態に係る通信機器について、説明する。第2の実施形態に係る通信機器の構成は、第1の実施形態の通信機器100の構成と同じである。第2の実施形態に係る通信機器100は、起動情報データ120及び起動要求パケットの生成手順において、第1の実施形態に係る通信機器100と相違する。
【0043】
図7は、第2の実施形態に係る通信機器100の第2通信手段112が受信する起動情報データ120の構造を示す図である。第2の実施形態に係る起動情報データ120は、第1の実施形態の起動情報データ120と同様に、第2通信手段112の通信先のMACアドレスと、第2通信手段112の通信先の起動情報とが対応付けられている。第2の実施形態では、さらに、第2通信手段112の通信先が起動要求パケットを受信して起動することができる状態であるか否かに関する起動要求パケット対応情報が対応付けられている。起動要求パケット対応情報は、0であれば起動要求パケットを受信しても起動しないことを意味し、1であれば起動することを表している。例えば、第2通信手段112の通信先がWOLに対応していないハードウェアであったり、対応していてもWOL機能が無効に設定されている場合は、0となる。
【0044】
図8は、第2の実施形態に係る通信機器100のパケット生成手段110における、起動要求パケット生成の手順を示すフローチャートである。まず、パケット生成手段110は、第1通信手段111が第1通信手段111の通信先からアクセス要求パケットを受信したか判断する(S31)。第1通信手段111が第1通信手段111の通信先からアクセス要求パケットを受信したと判断した場合(S31,YES)、パケット生成手段110は、以下の処理を行う。すなわち、アクセス要求パケットに含まれる特定のMACアドレスを取得し、記憶手段113に記憶されている情報を読み出し、取得したMACアドレスが記憶手段113に記録されているMACアドレスのいずれかと一致するか判断する(S32)。一方で、第1通信手段111が第1通信手段111の通信先からアクセス要求パケットを受信しない場合は(S31,NO)、再び第1通信手段111が第1通信手段111の通信先からアクセス要求パケットを受信したか確認する(S31)。
【0045】
取得したMACアドレスが記憶手段113に記録されているMACアドレスのいずれかと一致する場合は(S32,YES)、以下の処理を行う。すなわち、記憶手段113に記憶されている情報を読み出して参照し、取得したMACアドレスに対応する第2通信手段112の通信先の起動情報を取得して、休止状態か否か判断する(S33)。一方で、取得したMACアドレスが記憶手段113に記録されているMACアドレスのいずれかと一致しない場合は(S32,NO)、再び第1通信手段111が第1通信手段111の通信先からアクセス要求パケットを受信したか確認する(S31)。
【0046】
取得した起動情報が休止状態の場合は(S33,YES)、取得したMACアドレスに対応する第2通信手段112の通信先が、起動要求パケット対応情報に対応しているかどうかを判断する(S34)。一方で、取得したMACアドレスが記憶手段113に記録されているMACアドレスのいずれかと一致しない場合は(S33,NO)、再び第1通信手段111が第1通信手段111の通信先からアクセス要求パケットを受信したか確認する(S31)。
【0047】
取得したMACアドレスに対応する第2通信手段112の通信先が、起動要求パケット対応情報に対応している場合は(S34,YES)、パケット生成手段110は、起動要求パケットを生成する(S35)。一方で、取得したMACアドレスに対応する第2通信手段112の通信先が、起動要求パケット対応情報に対応していない場合は(S34,NO)、再び第1通信手段111が第1通信手段111の通信先からアクセス要求パケットを受信したか確認する(S31)。
【0048】
以上のように、第2の実施形態に係る通信機器によれば、取得したMACアドレスに対応する第2通信手段の通信先の起動情報が休止状態の場合でも、起動要求パケットに対応していない場合は、前記起動要求パケットを生成しない。このような構成を有することにより、起動要求パケットに対応していない第2通信手段の通信先にまで起動要求パケットを送信することを防ぐことができる。
【0049】
[第3の実施形態]
以下に、
図9及び10を参照し、本発明の第3の実施形態に係る通信機器について、説明する。
図9は、第3の実施形態に係る通信システムの構成を表すブロック図である。通信機器100は、第1の実施形態の通信機器100と同じである。第3の実施形態に係る通信システムでは、さらに被起動側通信機器200を含む点で、第1の実施形態に係る通信機器と異なる。
【0050】
被起動側通信機器200は、第2記憶手段211と、起動情報取得手段212と、起動情報データ生成手段213と、第3通信手段214と、制御手段215とを有する。
【0051】
第2記憶手段211は、情報を記憶する種々の記憶手段を用いることができ、例えばフラッシュメモリーやハードディスクなどを用いることができる。記憶手段213は、被起動側通信端末200のMACアドレスを記憶する。
【0052】
起動情報取得手段212は、プロセッサーから構成され、被起動側通信端末200の起動情報を取得する。
【0053】
起動情報データ生成手段213も、同様にプロセッサーから構成され、第2記憶手段211に記憶されたMACアドレス及び起動情報取得手段212が取得した起動情報に基づき起動情報データ120を生成する。
【0054】
第3通信手段214は、第2通信手段112と同様の構成を採用することができ、第2通信手段112と通信可能で、起動情報データ120を送信し、起動要求パケットを受信する。
【0055】
制御手段215は、プロセッサーから構成され、第3通信手段214が起動要求パケットを受信すると、被起動側通信端末200を起動させる。例えば、WOLに対応し、マジックパケットを受信すると被起動側通信端末200を起動するように制御することができる。
【0056】
次に
図10を用いて、第3の実施形態に係る通信システムの被起動側通信端末200の起動情報データ生成手段213が、起動情報データ120を生成する手順について、説明する。
図10は、第3の実施形態に係る通信システムの被起動側通信端末200の起動情報データ生成手段213が、起動情報データ120を生成する手順を示すフローチャートである。起動情報データ生成手段213は、第2記憶手段211に記憶されたMACアドレスを読み出し、取得する(S41)。次に、起動情報取得手段212が取得した起動情報を取得する(S42)。取得したMACアドレス及び起動情報に基づき起動情報データ120を生成する(S43)。最後に、生成した起動情報データ120を、第3通信手段215に転送する(S44)。
【0057】
第3の実施形態に係る通信システムによれば、第1の実施形態に係る通信機器100に加え、第2通信手段の通信先である被起動側通信機器200を含む。被起動側通信機器200は、被起動側通信機器200のMACアドレス及び起動状態を取得し、通信機器100に通知する。したがって、通信機器100は、通信機器100側から被起動側通信機器200に問い合わせすることなく、被起動側通信機器200の起動状態を把握することが可能となる。
【0058】
[第4の実施形態]
以下に、
図11を参照し、本発明の第4の実施形態に係る通信システムについて、説明する。第4の実施形態に係る通信システムは、第3の実施形態の通信システムと構成において相違点はない。第4の実施形態に係る通信システムでは、起動情報データ生成手段213が、起動情報データ120を生成する手順において相違する。
【0059】
図11は、第4の実施形態に係る通信システムの被起動側通信端末200の起動情報データ生成手段213が、起動情報データ120を生成する手順を示すフローチャートである。S51からS54までは、
図10のS41からS44と同じである。第4の実施形態に係る通信システムでは、起動情報データ120を、第3通信手段215に転送(S54)した後に、再び起動情報取得手段212が取得した起動情報を取得する(S55)。起動情報データ生成手段213は、起動情報が変化した場合は(S56,YES)、起動情報データ120を変化した内容に更新して再生成し(S57)、第3通信手段215に転送する(S58)。転送が終了すると、再び起動情報取得手段212が取得した起動情報を取得し、S55からS58の処理を繰り返す。
【0060】
第4の実施形態によれば、一度起動情報データ120を送信した後も、起動情報が変化した際には、最新の情報に更新した起動情報データ120を通信機器に送信する。このような構成を有することにより、通信機器100は、被起動側通信端末200の最新の起動情報を取得することができる。
【0061】
[第5の実施形態]
以下に、
図12及び13を参照し、本発明の第5の実施形態に係る通信機器について、説明する。第5の実施形態に係る通信システムは、起動要求パケット対応情報取得手段を有する点において、第3の実施形態の通信システムの構成と相違する。
【0062】
図12は、第5の実施形態に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
図12に示されるように、第5の実施形態に係る通信システムでは、被起動側通信機器200は、起動要求パケット対応情報取得手段216を有する。起動要求パケット対応情報取得手段216は、CPUから構成され、被起動側通信機器200の起動要求パケット対応情報を取得する。例えば、第2通信手段112の通信先がWOLに対応していないハードウェアであったり、対応していてもWOL機能が無効に設定されている場合は、非対応となる。起動情報データ生成手段213は、第2記憶手段211に記憶されたMACアドレス、起動情報取得手段212が取得した起動情報、及び起動要求パケット対応情報取得手段216が取得した起動要求パケット対応情報に基づき起動情報データを生成する。
【0063】
図13は、第5の実施形態に係る通信システムの被起動側通信端末200の起動情報データ生成手段213が、起動情報データ120を生成する手順を示すフローチャートである。起動情報データ生成手段213は、第2記憶手段211に記憶されたMACアドレスを読み出し、取得する(S61)。次に、起動情報取得手段212が取得した起動情報を取得する(S62)。さらに、起動要求パケット対応情報取得手段216が取得した起動要求パケット対応情報を取得する(S63)。起動情報データ生成手段213は、取得したMACアドレス、起動情報及び起動要求パケット対応情報に基づき、起動情報データ120を生成する(S64)。最後に、生成した起動情報データ120を、第3通信手段215に転送する(S65)。
【0064】
以上の工程で起動情報データ120の生成を終了しても良いが、さらに、下記の処理を行うことも出来る。起動情報データ生成手段213が起動情報データ120を第3通信手段215に転送(S65)した後に、さらに、起動要求パケット対応情報取得手段216が取得した起動要求パケット対応情報を取得する(S66)。起動情報データ生成手段213は、起動要求パケット対応情報が変化した場合は(S67,YES)、起動情報データ120を変化した内容に更新して再生成し(S68)、第3通信手段215に転送する(S69)。転送が終了すると、再び起動要求パケット対応情報取得手段216が取得した起動要求パケット対応情報を取得し、S66からS69の処理を繰り返す。
【0065】
第5の実施形態によれば、一度起動情報データを送信した後も、起動要求パケット対応情報が変化した際には、最新の情報に更新した起動情報データを通信機器に送信する。このような構成を有することにより、通信機器は、最新の起動要求パケット対応情報を取得することができる。
【0066】
[第6の実施形態]
以下に、
図14を参照し、本発明の第6の実施形態に係る通信システムについて、説明する。
図14は、第6の実施形態に係る通信システムの構成を示すブロック図である。第6の実施形態に係る通信システムは、第3の実施形態の通信システムに加え、さらに起動側通信機器300を備える。
【0067】
起動側通信機器300は、アクセス要求パケット生成手段311と、第4通信手段312を備える。アクセス要求パケット生成手段311は、プロセッサーから構成され、アクセス要求パケットを生成する。第4通信手段312は、第1通信手段111と同様の構成を採用することができ、第1通信手段111と通信可能で、アクセス要求パケットを第1通信手段111に送信することができる。
【0068】
第6の実施形態に係る通信システムによれば、起動側通信機器300は、被起動側通信機器200が起動しているか否かにかかわりなく、必要な場合には通信機器100を介して被起動側通信機器200を起動させることができる。
【0069】
本発明の通信機器、通信システム及び通信機器の制御方法は、上記実施形態に基づいて説明されているが、上記実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、上記実施形態に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができることはいうまでもない。また、本発明の請求の範囲の枠内において、種々の開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。本発明のさらなる課題、目的及び展開形態は、請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。