(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記線分は、薬液の注入状態の経時的な単調変化を表す複数の基本パターンからなり、前記入力手段は、前記基本パターンを選択するためのパターン選択用操作部をさらに有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の薬液注入装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1を参照すると、薬液注入装置100と、透視撮像装置であるCTスキャナ300とを有する、本発明が適用される薬液注入システムの一例である透視撮像システム1000が示されている。CTスキャナ300は、薬液注入装置100と有線接続されており、撮像動作を実行するスキャナ本体301と、スキャナ本体301の動作を制御する制御ユニット302とを有している。
【0016】
薬液注入装置100は、例えば
図2に示すように、スタンド111の上部にアーム112を介して装着された、注入手段である注入ヘッド110と、注入ヘッド110とケーブル102で接続された注入制御ユニット101と、を有している。注入制御ユニット101は、メイン操作パネル103、表示手段と入力手段とを兼ねたタッチパネル104、およびケーブル108で接続された、補助的な入力手段であるハンドユニット107等を備えている。
【0017】
注入ヘッド110は、
図3に示すように、ヘッド本体113の上面にシリンジ保持機構として2つの凹部114が形成されており、この凹部114に2つのシリンジ200Cおよび200Pが装着される。シリンジ200C、200Pは、シリンダ210とピストン220を有している。例えばシリンジ200Cには、薬液としてCT用の造影剤が充填され、シリンジ200Pには生理食塩水が充填されている。ヘッド本体113に装着された2つのシリンジ200C、200Pの先端は、連結チューブ230により接続される。また、互いに独立して駆動される2つのピストン駆動機構130が2つの凹部114に対応して設けられており、各ピストン駆動機構130により、凹部114に装着されたそれぞれのシリンジのピストン220が押されて、造影剤の注入、生理食塩水の注入、加えて両者の同時注入が可能になる。
【0018】
ピストン駆動機構130およびその制御機構等の一般的構成は、特許文献1等に記載された公知の構成を採用することができる。
【0019】
図4に、薬液注入装置100を機能的に表したブロック図を示す。なお、
図4に示す各ブロックは、
図1〜
図3で説明した構成の少なくとも一部、または少なくとも一部の組合せとして存在しており、ハードウェアとして構成されていてもよいし、論理回路として構成されていてもよい。
【0020】
図4において、入力部121は、
図2に示したメイン操作パネル103およびタッチパネル104に相当し、操作者による薬液注入装置100に関する様々な設定、薬液の注入量の決定、薬液の注入プロトコルの決定に必要なデータなどの入力に用いられる。表示部122は、
図2に示したタッチパネル104に相当し、薬液注入装置100の設定用の画面、注入プロファイルを作成するための操作も含めたデータ入力用の画面、および動作状態を表す画面などが表示される。
【0021】
注入量決定部123は、入力部121から入力されたデータの一部を用いて、被験者に注入する薬液の量を決定する。被験者への薬液の注入量は、良好な画像を撮像するのに最適な値が、被験者の体重、身長、性別、年齢などの被験者因子、薬液の成分、物性などの薬液因子、および撮像部位、撮像時間、薬液の注入プロトコルなどの撮像因子によって異なる。
【0022】
例えば、薬液が造影剤である場合、良好な画像を得るために重要な因子の1つが、ヨードの注入総量である。造影剤は、その種類によってヨード含有濃度が異なっており、違う種類の造影剤では、同じ量であってもそれに含まれるヨード量は異なる。
【0023】
そこで、撮像部位ごとの係数データ、薬液の種類ごとの有効成分データ(例えば造影剤においては、造影剤の種類ごとのヨード含有濃度データ)、および被験者の体重、身長といった身体情報に対応した薬剤の注入総量データなどが、データベース126に格納されている。
【0024】
注入量決定部123は、データベース126を参照しつつ、こういった各種因子を考慮して予め決められた計算式に当てはめることによって、薬液の注入量を算出する。なお、注入量決定部123での薬液の注入量の算出手順は、従来の薬液注入装置における薬液の注入量の算出手順と同じでよいので、ここでは、具体的な計算式および計算手法などの説明は省略する。
【0025】
注入プロトコル作成部124は、入力部121から入力されたデータの一部、および注入量決定部123で決定された注入量などを用いて、薬液の経時的な注入プロトコルを作成する。
【0026】
注入プロトコルを作成する際、注入プロトコル作成部124は、例えば
図5に示すような画面150をタッチパネル104(
図2参照)に表示させる。
【0027】
図5に示す例では、2つの薬液ボタン151,152、薬液情報153、決定ボタン154、削除ボタン155、注入グラフ160、およびグラフ作成用ボタン群165が画面150に表示されている。
【0028】
薬液ボタン151,152は、2つのピストン駆動機構130(
図2参照)にそれぞれ対応してどちらのピストン駆動機構130によって注入される薬液の注入プロトコルを作成するかを選択するためのボタンである。薬液情報153には、どちらの薬液が選択されているか、およびその薬液の注入量が表示される。
図5では、2種類の薬液をそれぞれ「A」、「B」で表示している。本形態では、薬液Aを造影剤とし、薬液Bを生理食塩水とした。
【0029】
注入グラフ160は、薬液の注入状態を経時的な変化で示す、注入時間を横軸、経時的に変化させるパラメータを縦軸で表したグラフである。
図5では縦軸を、相対値で表した薬液の注入速度とした注入グラフ160を示している。
【0030】
決定ボタン154は、注入グラフ160に表示された注入プロトコルの決定時に操作される。削除ボタン155は、注入グラフ160に表示された注入プロトコルを削除する際に操作される。
【0031】
グラフ作成用ボタン群165は、薬液の注入状態の経時的な単調変化を表す3種類の基本パターンを表すパターンボタン166a、166b、166cを有する。具体的には、パターンボタン166aは、縦軸で与えられる変数の値が経時的に変化しない一定のパターンを示す。同様に、パターンボタン166bは、変数の値が経時的に増加するパターンを示し、パターンボタン166cは、変数の値が経時的に減少するパターンを示す。注入プロトコルを作成する際は、これらパターンボタン166a、166b、166cを操作することによって、基本パターンを選択し、選択された基本パターンを注入グラフ160上に表示する。これら3種類の基本パターンは、傾きや長さを表すデータの形式で注入プロトコル作成部124内に格納することができる。
【0032】
グラフ作成用ボタン群165は、さらに、4つの調整ボタン167a〜167dおよびパターン決定ボタン168を有する。調整ボタン167a〜167dは、注入グラフ160上に表示された基本パターンの、横軸方向の長さ、縦軸方向の位置、および経時的に増減する基本パターンにおいてはその傾きを調整するのに用いられる。パターン決定ボタン168は、注入グラフ160上に表示された基本パターンの位置や傾き等を決定する際に操作され、これによって次の基本パターンの選択へ移行する。
【0033】
このように、グラフ作成用ボタン群165の操作で基本パターンを注入グラフ160上に表示させていくことで、注入プロトコルは、縦軸で与えられた変数の経時変化で表されるグラフとして表示される。パターンボタン166a〜166cで表される3つの基本パターンのうち1つのみが選択されれば、変数が経時的に一定、単純減少、または単純増加する注入プロトコルが得られる。また、複数の基本パターンを組み合わせることなどによって、複数のフェイズを有する多段注入プロトコルを得ることができる。
【0034】
画面150には、この他に、被験者のID、体重等の被験者情報や、撮像部位といった撮像情報を表示させることもできる。
【0035】
画面150に表示される全てのボタンは、それぞれの表示箇所をペンあるいは操作者の指等でタップすることで操作することができる。
【0036】
注入グラフ160における横軸(注入時間)の目盛の数値は、CTスキャナ300(
図1参照)による撮像時間とほぼ一致しており、撮像部位に応じた値が表示される。撮像時間に関するデータは、CTスキャナ300または外部のデータベース(不図示)から入手することができる。または、撮像部位に対する注入時間のデータをデータベース126(
図4参照)に格納しておき、ここから注入時間を設定することもできる。さらに、注入時間をデフォルト値とし、操作者が任意に変更することもできる。
【0037】
複数のパターンを組み合わせた場合、注入プロトコルは折れ線グラフで表示される。ここで、隣接したパターン同士の傾きが大きく異なると、その前後で薬液の注入速度が大きく変化し、ピストン駆動機構が注入プロトコルに追随できなくなる場合もあり得る。
【0038】
そこで、画面150上に曲線補間ボタン156を設け、曲線補間ボタン156の操作によって、注入プロトコル作成部124は、折れ線で表された注入プロトコルを曲線に変換する演算を行うようにすることもできる。
【0039】
直線から曲線への変換は、注入プロトコル作成部124の演算機能が、入力された注入プロトコルを解析して、注入速度の変化率が許容される変化率以下となるように、基本パターンの境界を曲線で結ぶ。基本パターンの境界を結ぶ曲線の曲率の程度は、少なくともピストン駆動機構が追随できる範囲であればよく、ピストン駆動機構に対する負荷および消費電力を考慮して調整することが好ましい。直線から曲線への変換は、好ましくはスプライン曲線補間で行うことができる。
【0040】
再び
図4を参照すると、制御部125は、入力部121を介しての操作者による注入制御ユニット101の操作およびデータ入力等に基づいて、注入量決定部123および注入プロトコル作成部124にそれぞれ注入量決定および注入プロトコル作成のための演算命令を発するとともに、注入量決定部123および注入プロトコル作成部124での演算結果に基づいて所定のデータやグラフなどを表示部122に表示させる。さらに制御部125は、注入プロトコル作成部124で作成された注入プロトコルに従って、設定された時間で薬液が注入されるように、各ピストン駆動機構130の動作を制御する。
【0041】
また本実施形態では、注入量決定および注入プロトコルの作成のためのデータ入力をタッチパネル104に表示した画面上で行うようにしているので、制御部125は、これらのデータ入力のためのタッチパネル104の画面表示制御も行う。
【0042】
次に、薬液注入装置100による薬液注入動作の一例を説明する。
【0043】
薬液注入装置100の電源がオンの状態で、操作者は、注入ヘッド110にシリンジ200P、200Cを装着する。シリンジ200P、200Cの装着後、操作者は、連結チューブ230を介してシリンジ200P、200Cに延長チューブを接続し、延長チューブの先端に設けられている注入針(不図示)を被験者に刺入する。
【0044】
その後、操作者がメイン操作パネル103に設けられているスタートボタンを操作すると、タッチパネル104には、注入量決定用の画面が表示される。
【0045】
注入量決定用の画面では、撮像部位、少なくとも被験者の体重を含む被験者情報、および注入する薬液の種類を入力するための画像が順次、あるいは一括して表示され、操作者は、この画像に従って入力を行う。特に薬液の種類を入力するための画像では、薬液が造影剤か生理食塩水かだけでなく、造影剤である場合には、そのヨード含有濃度を特定するのに必要なデータの入力画像も表示される。
【0046】
全てのデータの入力が完了したら、操作者はタッチパネル104に表示されている確認ボタン(不図示)を操作する。確認ボタンの操作によって、入力されたデータは注入量決定部123へ送られ、ここで注入量が決定される。
【0047】
注入量の決定後、注入量の決定が終了した旨を表す信号が制御部125へ送られるとともに、決定した注入量データが注入プロトコル作成部124へ送られる。注入量の決定が終了した旨を表す信号が制御部125へ送られると、制御部125は、注入プロトコル作成部124に注入プロトコル作成のための指令を送るとともに、例えば
図5に示すような、注入プロトコル作成用の画面150をタッチパネル104に表示させる。
【0048】
タッチパネル104に注入プロトコル作成用の画面150が表示されたら、操作者は、表示された画面150に従って、どちらの薬液の注入プロトコルを作成するかを選択する。さらに操作者は、グラフ作成用ボタン群165を操作して、目的とする注入プロトコルを作成する。
【0049】
以下に、注入プロトコルの作成手順の一例について、
図6Dに示すような注入プロトコルを作成する場合を例に説明する。
【0050】
まず、
図5に示した状態において、操作者はパターンボタン166aを操作することによって、縦軸の変数が経時的に一定の基本パターンを選択する。すると、
図6Aに示すように、注入グラフ160上には横軸に平行な線分171aが表示される。線分171aは、初期状態では、例えば、注入速度が3の位置に、10秒に相当する長さで表示される。また、最初の選択なので、線分171aの始点は縦軸上(時間=0秒)に位置している。
【0051】
線分171aの縦軸方向での位置は、縦軸方向に並んだ調整ボタン167a、167dを操作することによって、例えば破線で示すように調整できる。また、横軸方向に並んだ調整ボタン167c、167bを操作することによって、線分171aの終点の横軸方向での位置、すなわち長さを調整することができる。ここでは、
図6Dに示すように、線分171aの位置および長さを、注入速度が2、注入時間が5秒となるように定める。線分171aの位置および長さを定めたら、パターン決定ボタン168を操作する。これによって、最初の基本パターンが確定する。
【0052】
次いで、操作者はパターンボタン166bを操作することによって、縦軸の変数が経時的に増加するパターンを選択する。すると、
図6Bに示すように、注入グラフ160上には、始点が線分171aの終点と一致した右上がりの線分171bが付加される。線分171bは、初期状態では、例えば、傾きが45度で、始点の位置から10秒後に相当する位置を終点として表示される。
【0053】
線分171bは、調整ボタン167a、167dを操作することによって、終点の縦軸方向での位置、すなわち傾きを調整することができる。また、調整ボタン167c、167bを操作することによって、線分171bの終点の横軸方向での位置を調整することができる。線分171bの傾きおよび長さを
図6Dのように定めたら、パターン決定ボタン168を操作して、次の基本パターンを確定する。
【0054】
次いで、操作者はパターンボタン166cを操作することによって、縦軸の変数が経時的に減少するパターンを選択する。すると、
図6Cに示すように、注入グラフ160上には、始点が線分171bの終点と一致した右下がりの線分171cが付加される。この線分171cも、初期状態の傾きおよび長さは線分171bと同様であり、また、調整ボタン167a〜167dを操作することによって、傾きおよび長さを調整することができる。
【0055】
線分171cの傾きおよび長さの調整後、パターン決定ボタン168を操作することによって、
図6Dに示すような、3つの線分171a〜171cをつなげた折れ線パターンで構成された注入グラフ160のプロファイルで表される注入プロトコルが得られる。
【0056】
ここで、注入グラフ160では、縦軸に示される注入速度は相対値であり具体的な値では示されていない。注入プロトコル作成部124は、予め決められている注入量の薬液が、注入グラフ160で表されたパターンに従って所定の注入時間で注入されるように、実際に注入する注入速度を決定する。
【0057】
なお、上述した注入プロトコルの作成中の、表示部122(タッチパネル104の機能の1つ)での注入グラフ160の表示、具体的には注入グラフ160上への線分の表示、および表示された線分の傾きや長さ等は、操作者によるグラフ作成用ボタン群165の操作に応じて制御部125で制御される。
【0058】
ここでは3種類のパターンをそれぞれ1回ずつ用いて注入プロトコルを作成した例を示したが、全てのパターンを用いる必要はないし、同じパターンを複数回使用してもよい。また、必要に応じて、横軸の時間目盛の数値を変更したり、前述した曲線補間によって、折れ線で表されているグラフを曲線グラフに変換したりすることもできる。
【0059】
一方の薬液について目的とする注入プロトコルが得られた後、もう一方の薬液についても注入プロトコルを作成する場合は、薬液ボタン151,152を操作し、同様にして注入プロトコルを作成する。注入プロトコルの作成が完了したら、操作者は画面150上の決定ボタン154を操作する。このことによって、注入プロトコル作成部124は、作成された注入プロトコルを制御部125へ送る。
【0060】
その後、制御部125は、タッチパネル104への表示を注入用の画面に切り替えるとともに、注入プロトコル作成部124から送られた注入プロトコルに基づいて、ピストン駆動機構130の制御シーケンスを作成する。
【0061】
注入用の画面には注入開始ボタンが表示されている。このボタンが操作者によって操作されると、制御部125は、作成した制御シーケンスに従ってピストン駆動機構130を制御する。これによって、被験者へは、作成した注入プロトコルに従って薬液が注入される。
【0062】
上述のように、本形態の薬液注入装置100では、注入プロトコルの最小単位となる複数の基本パターンを予め定めておき、これらを注入グラフ160上で組合せ、また必要に応じて修正することによって、注入プロトコルを作成することができる。したがって、複雑な注入プロトコルでも自由に、かつ簡単な操作で作成することができる。
【0063】
しかも、本形態では、相対値で表した薬液の注入速度をパラメータとして用いてグラフを作成し、作成されたグラフに基づいて、注入量および注入時間に応じて実際に注入する注入速度を求める。したがって、基本パターンの選択および組合せによって単に注入状態の変化を設定していくだけで、決められた注入量の薬液を所定の注入時間内で注入することができる。
【0064】
また、注入グラフ160は、相対値で注入速度を表しているので、注入グラフ160のプロファイルは、注入量が異なることにより実際の注入速度が変わった場合でも同じである。よって、注入量が変わった場合でも同じプロファイルを利用することができる。特に、作成した注入グラフのデータを、例えば注入制御ユニット101内のデータベース126、あるいはそれとは別に設けられたデータベースに格納し、格納した注入プロトコルを必要に応じて読み出せるようにすれば、注入量が変わる都度、新たに注入グラフ160を作成する必要がなくなる。
【0065】
上述した実施形態では、注入速度を相対値で表した例を示したが、注入プロトコル作成部124で実際の注入速度を求めた後に、
図7に示すように、縦軸の数値を求められた注入速度に対応する数値に変更した注入グラフ170を画面上に表示させることもできる。薬液の注入に際しては、注入状態の経時的な変化と同様、注入速度の値そのものも重要である。したがって、
図7に示すように注入速度の具体的な数値を表示させることで、操作者が、作成した注入プロトコルの妥当性を判断することもできる。
【0066】
あるいは、最初から、縦軸を実際に注入される注入速度で示した注入グラフを用いて注入プロトコルを作成することもできる。この場合は、注入グラフが作成された段階で、注入速度と注入時間との関係から注入量が定まるので、予め注入量を決定しておく必要はない。
【0067】
注入グラフの縦軸の変数としては、上述した注入速度の他に、薬液の注入時に経時的に変化させることのできる任意の変数を用いることができる。例えば、縦軸を薬液の注入量で示すこともできる。注入量は、累積の注入量で示してもよいし、全注入時間を等間隔または不等間隔の複数の時間帯に分け、その時間帯ごとの相対値で示してもよい。
【0068】
注入グラフの横軸について、上述した実施形態では単に注入時間のみを表しているが、複数のフェイズを有する多段注入においては、縦軸で示されるデータがフェイズごとにどのように変化するか明確であるほうが好都合である場合もある。そのような場合は、例えば
図8に示す注入グラフ180のように、横軸の目盛を各フェイズが等しい幅になるように設定することが好ましい。
図6Dに示した注入グラフ160と
図8に示した注入グラフ170とを、切り替え可能に表示できるようにしてもよい。もちろん、縦軸を注入量で示した場合も同様である。
【0069】
また、上述した実施形態では、タッチパネル104を用い、注入プロトコルを作成する際の表示部および入力部を共通とした例を示したが、表示部はタッチパネル104である必要はない。その場合、例えば、
図5で示された薬液情報153および注入グラフ160は表示部に表示されるが、その他のグラフ作成用ボタン群165などの操作ボタンは、表示部とは別に操作パネル(不図示)といった入力部に設けられる。
【0070】
さらに、上述した実施形態では、注入制御ユニット101は、操作者が入力した被験者の体重データなどから薬液の注入量を算出する注入量決定部123を有するものとして説明した。しかし、注入制御ユニットは注入量決定部123を有さず、操作者によって薬液の注入量が直接入力されるようにしてもよい。
【0071】
また、上述した実施形態では注入開始から終了まで連続して薬液を注入する例を示したが、薬液の注入過程の途中で薬液の注入を一時的に中断するインターバルを設けるようにしてもよい。この場合は、インターバル時間も注入グラフ上で設定できるようにするのが好ましい。
【0072】
また、上述した実施形態では3種類の基本パターンを用いて注入プロトコルを作成した例を示したが、基本パターンを、経時的な変化の有無で2種類に分け、変化がある場合は経時的な増減も含めて傾きを調整できるようにすることもできる。あるいは、基本パターンの傾きをさらに複数の段階分けたり、直線的に単調変化する基本パターンだけでなく曲線的に単調変化する基本パターンを加えたりするなど、4種類以上の基本パターンを用いることもできる。さらに、上述した実施形態では操作ボタンにおける基本パターンの表示線分で示しているが、操作者が基本パターンを明確に識別できれば、基本パターンを四角形や三角形で表すなど、任意の表示であってよい。