特許第5770768号(P5770768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770768
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/12 20060101AFI20150806BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20150806BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20150806BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20150806BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20150806BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20150806BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20150806BHJP
   A01N 43/713 20060101ALN20150806BHJP
   A01P 3/00 20060101ALN20150806BHJP
【FI】
   C07D401/12
   C07D401/14
   C07D405/14
   C07D409/14
   C07D413/14
   C07D417/14
   C07D417/12
   !A01N43/713
   !A01P3/00
【請求項の数】1
【全頁数】128
(21)【出願番号】特願2013-48541(P2013-48541)
(22)【出願日】2013年3月11日
(62)【分割の表示】特願2010-509080(P2010-509080)の分割
【原出願日】2009年4月22日
(65)【公開番号】特開2013-144699(P2013-144699A)
(43)【公開日】2013年7月25日
【審査請求日】2013年3月11日
(31)【優先権主張番号】特願2008-113377(P2008-113377)
(32)【優先日】2008年4月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2008-114384(P2008-114384)
(32)【優先日】2008年4月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2008-114390(P2008-114390)
(32)【優先日】2008年4月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2008-251604(P2008-251604)
(32)【優先日】2008年9月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】野村 弾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 衆一
(72)【発明者】
【氏名】小堀 武夫
(72)【発明者】
【氏名】柴山 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】瓜原 一郎
(72)【発明者】
【氏名】一色 淳憲
(72)【発明者】
【氏名】細川 浩靖
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲也
(72)【発明者】
【氏名】斎賀 睦幸
(72)【発明者】
【氏名】原本 雅昇
(72)【発明者】
【氏名】大野 哲
【審査官】 瀬下 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/006875(WO,A1)
【文献】 特許第5133985(JP,B2)
【文献】 特開2004−131392(JP,A)
【文献】 特開2004−131416(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/006874(WO,A1)
【文献】 特開平11−269176(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0217390(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第04228792(DE,A1)
【文献】 特開昭62−155259(JP,A)
【文献】 特開平06−340631(JP,A)
【文献】 特開平08−092224(JP,A)
【文献】 国際公開第2000/071536(WO,A1)
【文献】 国際公開第2003/005824(WO,A1)
【文献】 特開昭59−157004(JP,A)
【文献】 特開昭62−004258(JP,A)
【文献】 特開平03−027359(JP,A)
【文献】 特開平03−232855(JP,A)
【文献】 特表2003−509342(JP,A)
【文献】 特表2006−515846(JP,A)
【文献】 特表2007−504229(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/114260(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/072831(WO,A1)
【文献】 特表2004−507526(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/129842(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/001076(WO,A1)
【文献】 Journal of Heterocyclic Chemistry,2001年,Vol.38, No.1,p.173-178
【文献】 Tetrahedron Letters,2004年,Vol.45, No.26,p.5019-5021
【文献】 Journal of Organometallic Chemistry,2004年,Vol.689, No.23,p.3767-3777
【文献】 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2005年,Vol.15, No.19,p.4350-4353
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/12
C07D 401/14
C07D 405/14
C07D 409/14
C07D 413/14
C07D 417/12
C07D 417/14
A01N 43/713
A01P 3/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(10)
【化1】
(式中、R及びR21は、夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基を表す。Rは、ハロゲン原子、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキルチオ基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、又は無置換若しくは置換基を有するアミノ基を表し、qは0〜3のいずれかの整数を表す。Rは、水素原子、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、又は無置換若しくは置換基を有するC1〜7アシル基を表す。Bは、リメチルシリルオキシ基、エチルジメチルシリルオキシ基、メチルジエチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、イソプロピルジメチルシリルオキシ基、メチルジイソプロピルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、メチルジ−t−ブチルシリルオキシ基、トリ−t−ブチルシリルオキシ基、フェニルジメチルシリルオキシ基、メチルジフェニルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、又はt−ブチルジメチルシリルオキシ基を表す。
は、C4〜6シクロアルキル基、無置換若しくは置換基を有するC6〜10アリール基、又は無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基を表す。
但し、R、R21及び全て水素原子の場合、Qは、フェニル基又は4−クロロフェニル基ではない。)
で表される化合物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なオキシム誘導体及びその塩の中間体化合物に関する。
本願は、2008年4月24日に、日本国に出願された特願2008−113377号、2008年4月24日に、日本国に出願された特願2008−114384号、2008年4月24日に、日本国に出願された特願2008−114390号及び2008年9月29日に、日本国に出願された特願2008−251604号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
農園芸作物の栽培に当り、作物の病害に対して、多数の防除薬剤が使用されているが、その防除効力が不十分であったり、薬剤耐性の病原菌の出現によりその使用が制限されたり、また、植物体に薬害や汚染を生じたり、あるいは人畜魚類などに対する毒性が強かったりすることから、必ずしも満足すべき防除薬剤とは言い難いものが少なくない。従って、かかる欠点の少ない安全に使用できる植物病害防除剤の開発が要望されている。
【0003】
本発明に関連して、特許文献1及び2には、本発明のオキシム誘導体と類似の構造を有するアゾールオキシム誘導体が植物病害防除剤として有用であることが報告されている。 しかし、これらの文献には、本発明のオキシム誘導体は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−137875号公報(WO03/016303号公報)
【特許文献2】特開2004−131416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、有用植物に対する薬害が少なく、且つ、植物病害に対する防除効果に優れた、オキシム誘導体及びその塩(以下、オキシム誘導体等と称することがある。)において、このオキシム誘導体等を製造する際の中間体として用いられる中間体化合物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、多くのオキシム誘導体を合成し、それらの生理活性を鋭意検討した。その結果、下記式(1)で表されるオキシム誘導体が、低薬量で優れた植物病害の防除効果を示し、かつ、有用植物に対する薬害の心配がないことを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は、
【0007】
式(1)
【0008】
【化1】
{式中、Rは、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、無置換若しくは置換基を有するC6〜10アリール基、又は無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキルスルホニル基を表し、qは0〜5のいずれかの整数を表し、qが2以上のとき、R同士は同一でも異なっていてもよい。
及びR21は、夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基を表す。
Aは、式(2)又は(3)
【0009】
【化2】
(式中、B、Bはそれぞれ独立して、CHまたは窒素原子を表す。ただし、B、Bが同時にCHになることはない。式中、Yは、夫々、C1〜6アルキル基を表す。)
で表されるヘテロアリール基を表す。
Dは、式(4)又は式(5)で表されるヘテロアリール基を表す。
【0010】
【化3】
[式中、Rは、ハロゲン原子、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキルチオ基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、又は無置換若しくは置換基を有するアミノ基を表し、q1は0〜3のいずれかの整数を表す。R31は、水素原子、ハロゲン原子、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキルチオ基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、又は無置換若しくは置換基を有するアミノ基を表す。
Zは、下記式(6)
【0011】
【化4】
(式中、Rは、水素原子、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、又は無置換若しくは置換基を有するC1〜7アシル基を表す。
11は、単結合または直鎖C1〜3アルキレン基を表す。
は、置換基を有するC6〜10アリール基、又は無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基を表す。)、
下記式(7)
【0012】
【化5】
(式中、Q21は式(7’)又は(7’’)
【0013】
【化6】
(式中、R及びR41は、夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換若しくは置換基を有するC2〜6アルケニル基、無置換若しくは置換基を有するC2〜8アルキニル基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、無置換若しくは置換基を有するC3〜8シクロアルキル基、無置換若しくは置換基を有するC3〜8シクロアルコキシ基、無置換若しくは置換基を有するC2〜6アルケニルオキシ基、無置換若しくは置換基を有するC2〜6アルキニルオキシ基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキルチオ基、無置換若しくは置換基を有するC1〜7アシルオキシ基、又は無置換若しくは置換基を有するアミノ基を表す。
n2は1〜3のいずれかの整数を表し、n2が2以上の場合、R同士及びR41同士は同一又は異なっていてもよい。但しR及びR41の全てが水素原子となることはない。Jは酸素原子又は硫黄原子を表す。)で表される2価基を表す。
は、無置換若しくは置換基を有するC6〜10アリール基、又は無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基を表す。)、
下記式(8)
【0014】
【化7】
(式中、Qは、無置換若しくは置換基を有するC6〜10アリール基、又は無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基を表す。波線は結合様式によってE体及びZ体のいずれの幾何異性体を形成してもよいことを示す。)及び、
下記式(9)
【0015】
【化8】
(式中、Rは、水素原子、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、又は無置換若しくは置換基を有するC1〜7アシル基を表す。
は、C4〜6シクロアルキル基、無置換若しくは置換基を有するC6〜10アリール基、又は無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基を表す。)で表されるいずれかの基を表す。]}で示されることを特徴とするオキシム誘導体等を製造する際の中間体として用いられる化合物であって、
【0016】
本発明は、
(3)式(10)
【0017】
【化9】
(式中、R及びR21は、夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基を表す。Rは、ハロゲン原子、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキルチオ基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、又は無置換若しくは置換基を有するアミノ基を表し、q1は0〜3のいずれかの整数を表す。Rは、水素原子、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、又は無置換若しくは置換基を有するC1〜7アシル基を表す。Bは、ハロゲン原子又はORで表される基を表す。Rは、水素原子又はヒドロキシ基の保護基を表す。Qは、C4〜6シクロアルキル基、無置換若しくは置換基を有するC6〜10アリール基、又は無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基を表す。)で表されるいずれかの基を表す。但し、BがORであって、かつ、R、R21、R及びRが全て水素原子の場合、Qは、フェニル基又は4−クロロフェニル基ではない。)
で表される化合物である。
【発明の効果】
【0018】
本発明において、オキシム誘導体及びその塩は、ごく低薬量で極めて優れた植物病害に対する防除効果を示し、かつ、有用植物に対する薬害の心配がない。
また、本発明において、植物病害防除剤は、本発明のオキシム誘導体等を有効成分として含有するものであるため、植物病害に対する優れた防除効果を有する。
また、本発明の化合物は、本発明のオキシム誘導体等を製造する際の中間体として用いられる中間体化合物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を、1)式(1)で表されるオキシム誘導体及びその塩;2)式(10)で表される化合物;3)本発明のオキシム誘導体等の適用病害;4)植物病害防除剤;に項分けして詳細に説明する。
【0020】
1)式(1)で表されるオキシム誘導体及びその塩
本発明は、前記式(1)で表されるオキシム誘導体及びその塩である。なお、本発明の誘導体及びその塩には、水和物、各種溶媒和物や結晶多形等も含まれる。
1−1)置換基
【0021】
(置換基R
前記式(1)中、Rは、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、無置換若しくは置換基を有するアリール基、又は無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキルスルホニル基を表す。
【0022】
の、「無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基」の「C1〜6アルキル基」としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
前記C1〜6アルキル基の置換基としては、化学的に許容されるものであれば特に限定されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のC1〜6アルコキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するフェニル基;ニトロ基;シアノ基;アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等の無置換若しくは置換基を有するアミノ基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;等が挙げられる。
【0023】
の、「無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基」の「C1〜6アルコキシ基」としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
前記C1〜6アルコキシ基の置換基としては、化学的に許容されるものであれば特に限定されないが、前記RのC1〜6アルキル基の置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0024】
の、「無置換若しくは置換基を有するアリール基」の「アリール基」は、単環又は多環のアリール基を意味する。ここで、多環アリール基の場合は、完全不飽和に加え、部分飽和の基も包含する。例えばフェニル基、ナフチル基、アズレニル基、インデニル基、インダニル基、テトラリニル基等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、C6〜10アリール基である。さらに具体的には、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
前記アリール基の置換基としては、化学的に許容されるものであれば特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等のC1〜6アルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等のC2〜6アルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基等のC2〜6アルキニル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のC1〜6アルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等の無置換若しくは置換基を有するアミノ基;
フェニル基、p−トリフルオロメチルフェニル基、p−メトキシフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するアリール基;2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、5−(2−クロロ)ピリジル基、6−(2−アミノ)ピリジル基等の無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、ピバロイル基等のアシル基;カルボキシル基;等が挙げられる。
【0025】
の、「無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキルスルホニル基」の「C1〜6アルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基、n−ヘキシルスルホニル基等が挙げられる。
前記アルキルスルホニル基の置換基としては、化学的に許容されるものであれば特に限定されず、前記Rのアルキル基の置換基と同様のものが挙げられる。
【0026】
qは0〜5のいずれかの整数を表し、0又は1であるのが好ましい。
qが2以上のとき、複数のRは同一でも相異なっていてもよい。
(置換基R、R21
【0027】
前記式(1)中、R及びR21は、夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基を表す。
及びR21の、ハロゲン原子及び無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基としては、前記Rの、ハロゲン原子及びアルキル基として例示したのと同様の基が挙げられる。
(置換基A)
【0028】
前記式(1)中、Aは、前記式(2)又は(3)で示されるヘテロアリール基を表す。 前記式(2)及び(3)中、B、Bはそれぞれ独立して、CH又は窒素原子を表す。ただし、B、Bが同時にCHになることはない。
【0029】
前記式(2)及び(3)中、Yはアルキル基を表し、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
Yのアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
【0030】
前記Aの好ましい具体例としては、下記のものが挙げられる。
【0031】
【化10】
【0032】
なかでも、Aとしては、下記のものがより好ましい。
【0033】
【化11】
(置換基D)
【0034】
前記式(1)中、Dは、前記式(4)または式(5)で表されるヘテロアリール基を表す。
前記式(4)中、Rは、ハロゲン原子、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキルチオ基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、または無置換若しくは置換基を有するアミノ基を表す。
q1は0〜3のいずれかの整数を表す。
前記式(5)中、R31は、水素原子、ハロゲン原子、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキルチオ基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、又は無置換若しくは置換基を有するアミノ基を表す。
【0035】
、R31の、「ハロゲン原子」、「無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基」及び「無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基」は、前記Rの、「ハロゲン原子」、「無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基」及び「無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基」として例示したのと同様の基が挙げられる。
【0036】
、R31の「無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキルチオ基」の「アルキルチオ基」の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基等が挙げられる。
前記C1〜6アルキルチオ基の置換基としては、化学的に許容される限り特に制限されず、Rのアルキル基の置換基として挙げられたのと同様の基が挙げられる。
、R31の、「無置換若しくは置換基を有するアミノ基」としては、アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基等のモノアルキルアミノ基、好ましくはモノC1〜6アルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、好ましくはジC1〜6アルキルアミノ基;フェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基等のモノアリールアミノ基、好ましくはモノC6〜10アリールアミノ基;ジ1−ナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基、好ましくはジC6〜10アリールアミノ基;アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基、好ましくはC1〜6アシルアミノ基等が挙げられる。
前記式(4)及び(5)中、Zは前記式(6)、式(7)、式(8)及び式(9)で表されるいずれかの基を表す。
前記式(6)中、Rは、水素原子、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、又は無置換若しくは置換基を有するC1〜7アシル基を表す。
の「無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基」の「C1〜6アルキル基」は、前記Rのアルキル基として例示したのと同様の基が挙げられる。
の「無置換若しくは置換基を有するC1〜7アシル基」の「C1−7アシル基」は、水素原子、アルキル基、アリール基、又はへテロアリール基がカルボニル基と結合した基であり、具体的には、ホルミル基;アセチル基、プロピオニル基、n−プロピルカルボニル基、i−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基等のアルキルカルボニル基;ベンゾイル基等のアリールカルボニル基;2−ピリジルカルボニル基、チエニルカルボニル基等のヘテロアリールカルボニル基;が挙げられる。
前記C1〜7アシル基の置換基は、前記Rのアルキル基の置換基として挙げられたのと同じ基が挙げられる。
前記式(6)中、Q11は、単結合または直鎖C1〜3アルキレン基を表す。
前記式(6)中、Qは、置換基を有するC6〜10アリール基、または無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基を表す。
の「置換基を有するC6〜10アリール基」としては、前記Rの置換基を有するC6〜10アリール基として例示したのと同様の基が挙げられる。
の「無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基」の「ヘテロアリール基」は、環を構成する原子として炭素原子以外に、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1〜4個の複素原子を含む5〜10員の芳香族環を意味し、例えば、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、ピロール−1−イル基、オキサゾール−2−イル基、1−メチルピラゾール−3−イル基、イソオキサゾール−3−イル基、チアゾール−2−イル基、ピロ−ル−2−イル基、ピリジン−2−イル基、ピリジン−3−イル基、ピリジン−4−イル基、ピラジン−2−イル基、ピラジン−3−イル基、ピリミジン−2−イル基、ピリミジン−4−イル基、ピリダジン−3−イル基、ピリダジン−4−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−4−イル基、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル基、1,4−ベンゾジオキサン−5−イル基、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル基、3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−イル基、3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−7−イル基、2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル基、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル基、2,3−ジヒドロベンゾフラン−6−イル基、2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イル基、ベンゾフラン−2−イル基、ベンゾフラン−3−イル基、ベンゾチオフェン−2−イル基、ベンゾチオフェン−3−イル基、キノキサリン−2−イル基、キノキサリン−5−イル基、インドール−1−イル基、インドール−2−イル基、イソインドール−1−イル基、イソインドール−2−イル基、イソベンゾフラン−1−イル基、イソベンゾフラン−4−イル基、クロメン−2−イル基、クロメン−3−イル基、イミダゾール−1−イル基、イミダゾール−2−イル基、イミダゾール−4−イル基、ピラゾール−1−イル基、ピラゾール−3−イル基、チアゾール−2−イル基、チアゾール−4−イル基、オキサゾール−2−イル基、オキサゾール−4−イル基、イソオキサゾール−3−イル基、イソオキサゾール−4−イル基、ピロリジン−2−イル基、ピロリジン−3−イル基、ベンゾイミダゾール−1−イル基、ベンゾイミダゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−4−イル基、ベンゾオキサゾール−2−イル基、ベンゾオキサゾール−4−イル基、キノリン−2−イル基、キノリン−3−イル基、イソキノリン−1−イル基、イソキノリン−3−イル基、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル基、1,2,3−トリアゾール−2−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル基1,3,4−チアジアゾール−2−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−4−イル基、テトラゾール−1−イル基、テトラゾール−2−イル基、インドリン−4−イル基、インドリン−5−イル基、モルホリン−4−イル基、ピペラジン−2−イル基、ピペリジンー2−イル基、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−5−イル基、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル基、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−イル基、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル基等が挙げられる。これらのうち、5〜10員へテロアリール基が好ましい。
前記Qの、へテロアリール基の置換基としては、前記Rのアリール基の置換基として例示したのと同様の基が挙げられる。
【0037】
前記式(7)中、Qは、無置換若しくは置換基を有するC6〜10アリール基、または無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基を表す。
前記Qの、「無置換若しくは置換基を有するC6〜10アリール基」としては、前記Rの「無置換若しくは置換基を有するC6〜10アリール基」として挙げられたのと同様の基が挙げられる。
前記Qの、「無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基」としては、前記Qの「無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基」として例示したのと同様の基が挙げられる。
【0038】
前記式(7)中、Q21は前記式(7’)又は(7’’)で表される。
前記式(7’)中、R及びR41は、夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキル基、無置換若しくは置換基を有するC2〜6アルケニル基、無置換若しくは置換基を有するC2〜8アルキニル基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルコキシ基、無置換若しくは置換基を有するC3〜8シクロアルキル基、無置換若しくは置換基を有するC3〜8シクロアルコキシ基、無置換若しくは置換基を有するC2〜6アルケニルオキシ基、無置換若しくは置換基を有するC2〜6アルキニルオキシ基、無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキルチオ基、無置換若しくは置換基を有するC1〜7アシルオキシ基を表す。
【0039】
前記式(7’)中、R及びR41の、「ハロゲン原子」、「C1〜6アルキル基」、「C1〜6アルコキシ基」としては、Rのハロゲン原子、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基として挙げられたのと同じものが挙げられる。
及びR41の、「無置換若しくは置換基を有するC2〜6アルケニル基」の「C2〜6アルケニル基」としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0040】
及びR41の、「無置換若しくは置換基を有するC2〜8アルキニル基」の「C2〜8アルキニル基」としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基等のアルキニル基等が挙げられる。
【0041】
及びR41の「無置換若しくは置換基を有するC3〜8シクロアルキル基」は、環状構造を有するアルキル基を意味し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
及びR41の、「無置換若しくは置換基を有するC3〜8シクロアルコキシ基」の「C3〜8シクロアルコキシ基」は、環状構造を有するアルコキシ基を意味し、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロへプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロプロピルメチルオキシ基、シクロへキシルメチルオキシ基等が挙げられる。
【0042】
及びR41の、「無置換若しくは置換基を有するC2〜6アルケニルオキシ基」としては、エテニルオキシ基、プロパ−1−エン−1−イルオキシ基、プロパ−2−エン−1−イルオキシ基、プロパ−1−エン−2−イルオキシ基、ブタ−1−エン−1−イルオキシ基、ブタ−2−エン−1−イルオキシ基、ブタ−3−エン−1−イルオキシ基、ブタ−1−エン−2−イルオキシ基、ブタ−3−エン−2−イルオキシ基、ペンタ−1−エン−1−イルオキシ基、ペンタ−4−エン−1−イルオキシ基、ペンタ−1−エン−2−イルオキシ基、ペンタ−4−エン−2−イルオキシ基、3−メチル−ブタ−1−エン−1−イルオキシ基、ヘキサ−1−エン−1−イルオキシ基、ヘキサ−5−エン−1−イルオキシ基等が挙げられる。
【0043】
及びR41の、「無置換若しくは置換基を有するC2〜6アルキニルオキシ基」の「C2〜6アルキニルオキシ基」としては、エチニルオキシ基、プロパ−1−イン−1−イルオキシ基、ブタ−1−イン−1−イルオキシ基、ペンタ−1−イン−1−イルオキシ基、ヘキサ−1−イン−1−イルオキシ基等が挙げられる。
及びR41の、「無置換若しくは置換基を有するC1〜6アルキルチオ基」の「C1〜6アルキルチオ基」としては、Rのアルキルチオ基として挙げたもののほか、1−エチルプロピルチオ基、n−ヘキシルチオ基、イソヘキシルチオ基、4−メチルペンチルチオ基、3−メチルペンチルチオ基、2−メチルペンチルチオ基、1−メチルペンチルチオ基、3,3−ジメチルブチルチオ基、2,2−ジメチルブチルチオ基、1,1−ジメチルブチルチオ基、1,2−ジメチルブチルチオ基、1,3−ジメチルブチルチオ基、2,3−ジメチルブチルチオ基、1−エチルブチルチオ基、2−エチルブチルチオ基等が挙げられる。
及びR41の、「無置換若しくは置換基を有するC1〜7アシルオキシ基」の「C1〜7アシルオキシ基」としては、ホルミルオキシ基;アセチルオキシ基;プロピオニルオキシ基;ベンゾイルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
及びR41の、「無置換若しくは置換基を有するアミノ基」は、前記Rのアミノ基として挙げられたのと同じ基が挙げられる。
【0044】
上記C2〜6アルケニル基、C2〜8アルキニル基、C3〜8シクロアルキル基、C3〜8シクロアルコキシ基、C2〜6アルケニルオキシ基、C2〜6アルキニルオキシ基、C1〜6アルキルチオ基、C1〜7のアシルオキシ基の置換基としては、化学的に許容されるものであれば特に限定されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等のC1〜6アルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等のC2−6アルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基等のC2〜6アルキニル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基等のC1〜6アルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基等の無置換若しくは置換基を有するアミノ基;フェニル基、p−トリフルオロメチルフェニル基、p−メトキシフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するアリール基;2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、5−(2−クロロ)ピリジル基、6−(2−アミノ)ピリジル基等の無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセチル基、ピバロイル基等のアシル基;カルボキシル基;等が挙げられる。
前記式(7’)中、n2は1〜3のいずれかの整数を表し、n2が2以上の場合、R同士及びR41同士は同一でも異なっていてもよい。但しR及びR41の全てが水素原子となることはない。
【0045】
前記式(7’’)中、Jは、酸素原子又は硫黄原子である。
前記式(8)中、Qは、無置換若しくは置換基を有するC6〜10アリール基、または無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基を表す。波線は結合様式によってE体及びZ体の何れの幾何学異性体を形成してもよいことを示す。
前記Qの、「無置換若しくは置換基を有するC6〜10アリール基」としては、前記Rの「無置換若しくは置換基を有するC6〜10アリール基」として挙げられたのと同様の基が挙げられる。
前記Qの、「無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基」としては、前記Qの「無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基」として例示したのと同様の基が挙げられる。
【0046】
前記式(9)中、Rは、前記式(6)のRと同じである。
前記式(9)中、Qは、C4〜6シクロアルキル基、無置換若しくは置換基を有するC6〜10アリール基、又は無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基を表す。
前記Qの、「無置換若しくは置換基を有するアリール基」としては、前記Rの「無置換若しくは置換基を有するC6〜10アリール基」として挙げられたのと同様の基が挙げられる。
前記Qの、「無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基」としては、前記Qの「無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基」として例示したのと同じ基が挙げられる。
の、「C4〜6シクロアルキル基」としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0047】
1−2)式(1)で表されるオキシム誘導体の例示
【0048】
次に、式(1)で表されるオキシム誘導体を、具体的に第1−a表〜第4−e表に示す。
表中、記号は以下の意味を表す。
Me:メチル基、Et:エチル基、Pr:プロピル基、Bu:ブチル基、
Pent:ペンチル、Hex:ヘキシルn:ノルマル、i:イソ、
t:ターシャリー、c:シクロ、Ph:フェニル、Py:ピリジル、
Ac:アセチル、3,4−OCHO:3,4−ジオキソメチレン、
*1:オキシム部分の立体異性体の種類(Z体とE体)、
*3:化合物が塩酸塩であることを示す、
Z:炭素−窒素二重結合に基づく2種類の幾何異性体のうちのZ異性体、
E:炭素−窒素二重結合に基づく2種類の幾何異性体のうちのE異性体、
また、[ ]は、融点(℃)を示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
【0057】
【表9】
【0058】
【表10】
【0059】
【表11】
【0060】
【表12】
【0061】
【表13】
【0062】
【表14】
【0063】
【表15】
【0064】
【表16】
【0065】
【表17】
【0066】
【表18】
【0067】
【表19】
【0068】
【表20】
【0069】
【表21】
【0070】
【表22】
【0071】
【表23】
【0072】
【表24】
【0073】
【表25】
【0074】
【表26】
【0075】
【表27】
【0076】
【表28】
【0077】
【表29】
【0078】
【表30】
【0079】
【表31】
【0080】
【表32】
【0081】
【表33】
【0082】
【表34】
【0083】
【表35】
【0084】
【表36】
【0085】
【表37】
【0086】
【表38】
【0087】
【表39】
【0088】
【表40】
【0089】
【表41】
【0090】
【表42】
【0091】
【表43】
【0092】
【表44】
【0093】
【表45】
【0094】
【表46】
【0095】
【表47】
【0096】
【表48】
【0097】
【表49】
【0098】
【表50】
【0099】
【表51】
【0100】
【表52】
【0101】
【表53】
【0102】
【表54】
【0103】
【表55】
【0104】
【表56】
【0105】
【表57】
【0106】
【表58】
【0107】
【表59】
【0108】
【表60】
【0109】
【表61】
【0110】
【表62】
【0111】
1−3)式(1)で表されるオキシム誘導体等の製造方法
【0112】
(Zが式(6)で表されるオキシム誘導体等の製造方法)
前記式(1)においてDが前記式(4)又は(5)で表され、前記式(4)及び(5)においてZが前記式(6)で表されるオキシム誘導体は、例えば、WO03/016303号パンフレットに記載された方法により製造することができる。
【0113】
【化12】
【0114】
(式中、A、Q、Q11、R、R、R、R21、R、q及びq1は前記と同じ意味を表し、Lはハロゲン原子等の脱離基を表す。)
すなわち、式(11)で示されるオキシム体と式(12)で示される化合物とを、塩基の存在下に反応させることにより、本発明のオキシム誘導体等の一種である、式(13)で示される化合物を得ることができる。このようにして得られるオキシム誘導体等は、第1−a表〜第1−n表に示されている。
【0115】
式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物とのこの反応に用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;トリエチルアミン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5等の有機塩基;等を使用することができる。これらの塩基は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
塩基の使用量は、特に限定されないが、式(11)で表される化合物に対し、通常0.01〜100倍モル、好ましくは0.1〜5倍モルである。
【0116】
この反応は、溶媒存在下あるいは無溶媒で行うことができる。
用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に限定されない。例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭化水素等のハロゲン系溶媒;アセトニトリル、プロピオンニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;水;及びこれらの混合溶媒;等が挙げられる。
【0117】
この反応の反応温度は、通常、−70℃〜+200℃、好ましくは−20℃〜+100℃の範囲である。
反応時間は反応規模等にもよるが、通常、30分から24時間の範囲である。
【0118】
(Zが式(7)で表されるオキシム誘導体等の製造方法)
【0119】
[骨格の製造方法1]
前記式(1)においてDが前記式(4)又は(5)で表され、前記式(4)及び(5)においてZが前記式(7)で表されるオキシム誘導体等は、下記に示すように、塩基存在下、式(11)で表される化合物に式(14)で表される化合物を反応させることにより目的の化合物(15)を得ることができる。さらに、式(15)で表される化合物にRを脱離させるための試薬を作用させることにより目的の化合物(16)を得ることができる。また、Rが水素原子の場合、特にそのような操作を行わず、(11)と(14)より直接(16)を得ることができる。このようにして得られるオキシム誘導体等は、第2−a表〜第2−f表に示す。
【0120】
【化13】
【0121】
(式中、A、Q、Q21、R、R、R、R21、R、q及びq1は前記と同様の意味を表し、Lはハロゲン等の脱離基を表す。ここで、Rは水素原子以外を表す。)
【0122】
式(11)で表される化合物と式(14)で表される化合物との反応に用いる塩基としては、式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物との反応に用いる塩基と同じものを用いることができる。
塩基の使用量は、式(11)で表される化合物に対し、通常0.01〜20倍モル、好ましくは0.1〜5倍モルである。
【0123】
この反応は、溶媒存在下あるいは無溶媒で行うことができる。
用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えば、前記式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物との反応に用いられる溶媒と同じものが挙げられる。
【0124】
この反応の反応温度は、通常、−70℃〜+200℃、好ましくは−20℃〜+100℃の範囲である。反応時間は反応規模等にもよるが、通常、30分から24時間の範囲である。
【0125】
式(15)で表される化合物から式(16)で表される化合物を得る反応に用いる酸としては、塩化水素、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸;等が挙げられる。
酸の使用量は、特に限定されないが、式(15)で表される化合物に対し、通常0.01〜100倍モル、好ましくは0.1〜10倍モルである。
【0126】
この反応は、溶媒存在下あるいは無溶媒で行うことができる。
用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えば、前記式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物との反応に用いられる溶媒と同じものが挙げられる。
この反応の反応温度は、通常、−70℃〜+200℃、好ましくは−20℃〜+100℃の範囲である。
反応時間は反応規模等にもよるが、通常、30分から24時間の範囲である。
【0127】
[骨格の製造方法2]
前記式(1)においてDが前記式(4)又は(5)で表され、前記式(4)及び(5)においてZが前記式(7)で表される化合物は、下記に示す反応によっても得ることができる。
すなわち、式(17)で表されるカルボン酸と、式(18)で表されるアミン化合物を、混合酸無水物法もしくは縮合剤の存在下に脱水縮合することで、式(16)で表される化合物を得ることができる。
【0128】
【化14】
【0129】
(式中、A、Q、Q21、R、R、R21、R、q及びq1は前記と同様の意味を表す。)
【0130】
上記反応で混合酸無水物法に用いる酸クロライドとしては、ピバル酸クロライド、2,4,6−トリクロロ安息香酸クロライド、等が挙げられる。塩基としては、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;トリエチルアミン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン等の有機塩基;等が挙げられる。また、縮合剤としては、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスジメチルアミノホスホニウム塩、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライド、ヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム塩等が挙げられる。これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
塩基の使用量は、特に限定されないが、式(18)で表される化合物に対し、通常0.01〜20倍モル、好ましくは0.1〜5倍モルである。
【0131】
この反応は、溶媒存在下あるいは無溶媒で行うことができる。
用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に限定されないが、例えば、前記式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物との反応に用いられる溶媒と同じものが挙げられる。
【0132】
この反応の反応温度は、通常、−70℃〜+200℃、好ましくは−20℃〜+100℃の範囲である。
反応時間は反応規模等にもよるが、通常、30分から24時間の範囲である。
【0133】
[骨格の製造方法3]
前記式(1)においてDが前記式(4)又は(5)で表され、前記式(4)及び(5)においてZが前記式(7)で表され、式(7)においてQ21が式(7’’)で表される化合物は、下記に示すように酸ハライドとアミンの縮合アミド化反応によって得ることができる。
【0134】
【化15】
【0135】
(式中、A、Q、R、R、R21、R、q及びq1は前記と同様の意味を表す。)
【0136】
この反応の反応時間、反応温度、反応溶媒は、前記[骨格の製造方法1]と同様の条件を適用できる。
【0137】
[R、R41がハロゲン原子である化合物の製造方法]
また、式(7)中のQ21が式(7’’)で表され、式(7’’)のJが酸素原子である化合物を、フッ素化剤を用いてハロゲン化し、式(7)中のQ21が式(7’)で表され、式(7’)中のR、R41がハロゲン原子である化合物を得ることができる。
この反応に用いるハロゲン化剤としては、フッ化水素、フッ化水素ピリジン、三フッ化N,N−ジエチルアミノ硫黄、三フッ化ビス(2−メトキシエチル)アミノ硫黄、2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン等が挙げられる。これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0138】
この反応は、溶媒存在下あるいは無溶媒で行うことができる。
用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えば、前記式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物との反応に用いられる溶媒と同じものが挙げられる。
【0139】
この反応の反応温度は、通常、−70℃〜+200℃、好ましくは−20℃〜+100℃の範囲である。
反応時間は反応規模等にもよるが、通常、30分から24時間の範囲である。
【0140】
(Zが式(8)で表されるオキシム誘導体等の製造方法)
【0141】
[骨格の製造方法1]
前記式(1)においてDが式(4)または(5)で表され、前記式(4)及び(5)においてZが前記式(8)で表される化合物は、下記に示すように、塩基存在下、式(11)で表される化合物に式(21)で表される化合物を反応させることにより目的の式(22)で表される化合物を得ることができる。さらに、式(22)で表される化合物にRを脱離させるための試薬を作用させることにより目的の化合物(23)を得ることができる。また、Rが水素原子の場合、特にそのような操作を行わず、式(11)で表される化合物と式(21)で表される化合物を反応させることにより、直接式(23)で表される化合物を得ることができる。このようにして得られる化合物は、第3−a表〜第3−e表に示される。
【0142】
【化16】
【0143】
(式中、A、Q、R、R、R21、R、q及びq1は前記と同様の意味を表し、Lはハロゲン等の脱離基を表す。Rは水素原子以外を表す。)
【0144】
式(11)で表される化合物と式(21)で表される化合物との反応に用いる塩基としては、式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物との反応に用いる塩基と同じものを用いることができる。
塩基の使用量は、式(11)で表される化合物に対し、通常0.01〜20倍モル、好ましくは0.1〜5倍モルである。
【0145】
この反応は、溶媒存在下あるいは無溶媒で行うことができる。
用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えば、前記式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物との反応に用いられる溶媒と同じものが挙げられる。
【0146】
この反応の反応温度は、通常、−70℃〜+200℃、好ましくは−20℃〜+100℃の範囲である。反応時間は反応規模等にもよるが、通常、30分から24時間の範囲である。
【0147】
式(22)で表される化合物から式(23)で表される化合物を得る反応に用いる酸としては、塩化水素、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸;等が挙げられる。
酸の使用量は、特に限定されないが、式(22)で表される化合物に対し、通常0.01〜100倍モル、好ましくは0.1〜10倍モルである。
【0148】
この反応は、溶媒存在下あるいは無溶媒で行うことができる。用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えば、前記式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物との反応に用いられる溶媒と同じものが挙げられる。
この反応の反応温度は、通常、−70℃〜+200℃、好ましくは−20℃〜+100℃の範囲である。
反応時間は反応規模等にもよるが、通常、30分から24時間の範囲である。
【0149】
[骨格の製造方法2]
また、前記式(1)においてDが式(4)又は(5)で表され、前記式(4)及び(5)においてZが前記式(8)で表される化合物は、下記に示す反応によっても得ることができる。
すなわち、式(24)で表すカルボン酸と、式(25)で表されるアミン化合物を、混合酸無水物法もしくは縮合剤の存在下に脱水縮合することで式(23)で表される化合物を得ることができる。
【0150】
【化17】
【0151】
(式中、A、Q、R、R、R21、R、q及びq1は前記と同様の意味を表す。)
【0152】
上記反応で混合酸無水物法に用いる酸クロライドとしては、前記式(17)で表されるカルボン酸と式(18)で表されるアミン化合物との反応に用いる酸クロライドと同じものを用いることができる。
塩基の使用量は、式(25)で表される化合物に対し、通常0.01〜20倍モル、好ましくは0.1〜5倍モルである。
【0153】
この反応は、溶媒存在下あるいは無溶媒で行うことができる。
用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えば、前記式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物との反応に用いられる溶媒と同じものが挙げられる。
【0154】
この反応の反応温度は、通常、−70℃〜+200℃、好ましくは−20℃〜+100℃の範囲である。
反応時間は反応規模等にもよるが、通常、30分から24時間の範囲である。
【0155】
(Zが式(9)で表される化合物の製造方法)
【0156】
[骨格の製造方法1]
前記式(1)においてDが式(4)又は(5)で表され、前記式(4)及び(5)においてZが前記式(9)で表される化合物は、下記に示すように、塩基存在下、式(11)で表される化合物と式(26)で表される化合物とを反応させることにより、目的の式(27)で表される化合物を得ることができる。さらに、式(27)で表される化合物にRを脱離させる試薬を作用させることにより、目的の式(28)で表される化合物を得ることができる。また、Rが水素原子の場合、特にそのような操作を行わず、式(11)で表される化合物と式(26)で表される化合物とを反応させることにより、直接式(28)を得ることができる。このようにして得られるオキシム誘導体等は、第4−a表〜第4−e表に示される。
【0157】
【化18】
【0158】
(式中、A、Q、R、R、R21、R、q及びq1は前記と同様の意味を表す。ここで、Rは水素原子以外の基を表す)
【0159】
式(11)で表される化合物と式(26)で表される化合物との反応に用いる塩基としては、式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物との反応に用いる塩基と同じものを用いることができる。
塩基の使用量は、式(11)で表される化合物に対し、通常0.01〜20倍モル、好ましくは0.1〜5倍モルである。
【0160】
この反応は、溶媒存在下あるいは無溶媒で行うことができる。
用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えば、前記式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物との反応に用いられる溶媒と同じものが挙げられる。
【0161】
この反応の反応温度は、通常、−70℃〜+200℃、好ましくは−20℃〜+100℃の範囲である。
反応時間は反応規模等にもよるが、通常、30分から150時間の範囲である。
【0162】
本発明の、前記式(1)で表されるオキシム誘導体の塩は、常法に従い、前記式(1)で表されるオキシム誘導体に酸を作用させることにより製造することができる。
【0163】
また、上記した、いずれの反応においても、反応終了後においては、通常の後処理操作を行うことにより、目的とする化合物を単離することができる。
また、生成物の精製が必要であれば、蒸留、再結晶又はカラムクロマトグラフィー等の公知慣用の精製手段を採用することができる。
2)式(10)で表される化合物
【0164】
本発明の、式(10)で表される化合物は、Zが式(9)で表されるオキシム誘導体を製造する際の中間体として用いられる。
2−1)置換基
式(10)中、R、R、Q、q1、R及びR21は、式(1)中のR、R、Q、q1、R及びR21と同様の意味を表す。
【0165】
式(10)中、Bは、ハロゲン原子又はORで表される基を表す。Rは、水素原子又はヒドロキシ基の保護基を表し、保護基としては例えば、アルキル基、アリール基、アルコキシアルキル基、アシル基、シリル基、又はカルバモイル基である。
前記保護基のアルキル基、アリール基としては具体的には前記Rのアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
前記保護基のアルコキシアルキル基としては、例えばC1〜6アルコキシC1〜6アルキル基が挙げられ、具体的には例えば、メトキシメチル基、エトキシエチル基、イソプロポキシメチル基、t−ブトキシメチル基、t−ブトキシエチル基等が挙げられる。
【0166】
前記保護基のアシル基としては、前記Rのアシル基と同様のものが挙げられる。
前記保護基のシリル基としては、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、メチルジイソプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メチルジ−t−ブチルシリル基、トリ−t−ブチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
前記保護基のカルバモイル基としては、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル基等が挙げられる。
【0167】
前記式(10)中、Bのハロゲン原子としては、Rのハロゲン原子と同様のものが挙げられる。
但し、BがORであって、かつ、R、R21、R及びRが全て水素原子の場合、Qは、フェニル基、又は4−クロロフェニル基ではない。
【0168】
2−2)式(10)で表される化合物の例示
次に、第5−a表に、本発明の、式(10)で表される化合物を例示する。
【0169】
【表63】
【0170】
【表64】
【0171】
【表65】
【0172】
【表66】
【0173】
【表67】
【0174】
2−3)式(10)で表される化合物の製造方法
本発明の、前記式(10)で表される化合物は、例えば、下記に示す方法により製造することができる。
即ち、不活性ガス雰囲気下、保護されたヒドロキシル基を有するハロゲン置換ピリジン(式(29))とアミン化合物(式(30))を、塩基、配位子及び触媒を用いて反応させるか、または、必要に応じて塩基存在下に式(29)で表されるピリジン化合物と式(30)で表されるアミン化合物を用いた芳香族求核置換反応により、式(31)で表されるアミノ置換ピリジン化合物を得ることができる。続いて、脱保護剤を加え、ヒドロキシ基を脱保護する。この反応によって、ヒドロキシル基を有するアミノ置換ピリジン化合物(式(32))を得ることができる。
【0175】
【化19】
【0176】
(式中、R、R21、R、R、R、Q及びq1は前記と同様の意味を表し、Lはハロゲン原子等の脱離基を表す。)
【0177】
前記アミン化合物としては、前記式(9)中のQの「C4〜6シクロアルキル基」、「無置換若しくは置換基を有するアリール基」又は「無置換若しくは置換基を有するヘテロアリール基」の例示として挙げた基を有するアミンを用いることができ、例えばアニリン、トルイジン、(4,6−ジメチルピリミジル)アミン、2−ピリジルアミン等を用いることができる。
当該反応に用いる触媒としては、パラジウム、銅等の有機金属触媒が挙げられる。配位子としてはrac−BINAP、Xantphos、dppf、エチレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン等の二座配位子、及び、Verkade配位子、トリフェニルホスフィン等の単座配位子が挙げられる。塩基としては、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、リン酸カリウム、炭酸カリウム、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシド等を用いることができる。
【0178】
前記脱保護剤としては、公知の脱保護剤が使用でき、例えば、TBAF(テトラブチルアンモニウムフルオリド)や酸などが挙げられる。
【0179】
上記2工程の反応は、溶媒存在下あるいは無溶媒で行うことができるが、溶媒存在下で行うのが好ましい。
用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えば、前記式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物との反応に用いられる溶媒と同じものが挙げられる。
【0180】
この反応の反応温度は、通常、−70℃〜+200℃、好ましくは−20℃〜+120℃の範囲である。
反応時間は反応規模等にもよるが、通常、30分から150時間の範囲である。
【0181】
続いて、以上の反応で得たヒドロキシ基を有するピリジン化合物のヒドロキシ基をさらに脱離基に変換する。脱離基としては具体的には、ハロゲン原子、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等を例示でき、特にハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子に変換する方法として、必要に応じて塩基存在下にハロゲン化剤を反応させる方法がある。
ハロゲン化には公知の方法を用いることができ、ハロゲン化剤としては例えば、塩化チオニル、臭化チオニル、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、三ヨウ化リンが、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三ヨウ化ホウ素四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン等が挙げられる。
【0182】
この反応の反応温度は、通常、−70℃〜+200℃、好ましくは−20℃〜+100℃の範囲である。
反応時間は反応規模等にもよるが、通常、30分から100時間の範囲である。
【0183】
この反応は、溶媒存在下あるいは無溶媒で行うことができる。
用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に限定されないが、例えば、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン等が挙げられる。
3)本発明のテトラゾイルオキシム化合物の適用対象
前記式(1)で表されるオキシム誘導体及びその塩(以下、「本発明化合物」という。)は、広範囲の種類の糸状菌、例えば、卵菌類(Oomycetes)、子のう(嚢)菌類(Ascomycetes)、不完全菌類(Deuteromycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)に属する菌に対し優れた殺菌力を有する。従って、本発明化合物を有効成分とする組成物は、花卉、芝、牧草を含む農園芸作物の栽培に際し発生する種々の病害の防除に、種子処理、茎葉散布、土壌施用又は水面施用等により使用することができる。
【0184】
本発明化合物は、例えば、
テンサイ 褐斑病(Cercospora beticola)
黒根病(Aphanomyces cochlloides)
ラッカセイ 褐斑病(Mycosphaerella arachidis)
黒渋病(Mycosphaerella berkeleyi)
キュウリ うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)
つる枯病(Mycosphaerella melonis)
菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)
灰色かび病(Botrytis cinerea)
黒星病(Cladosporium cucumerinum)
べと病(Pseudoperonospora cubensis)
トマト 灰色かび病(Botrytis cinerea)
葉かび病(Cladosporium fulvum)
綿腐病(Phythium aphanidermatum)
疫病(Phytophthora infestans)
ナス 灰色かび病(Botrytis cinerea)
黒枯病(Corynespora melongenae)
うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)
ホウレンソウ 苗立枯病(Pythium ultimum)
イチゴ 灰色かび病(Botrytis cinerea)
うどんこ病(Sphaerotheca aphanis)
タマネギ 灰色腐敗病(Botrytis allii)
灰色かび病(Botrytis cinerea)
インゲン 菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)
灰色かび病(Botrytis cinerea)
リンゴ うどんこ病(Podosphaera leucotricha)
黒星病(Venturia inaequalis)
モニリア病(Monilinia mali)
カキ うどんこ病(Phyllactinia kakicola)
炭そ病(Gloeosporium kaki)
角斑落葉病(Cercospora kaki)
【0185】
モモ・オウトウ 灰星病(Monilinia fructicola)
ブドウ 灰色かび病(Botrytis cinerea)
うどんこ病(Uncinula necator)
晩腐病(Glomerella cingulata)
べと病(Plasmopara viticola)
ナシ 黒星病(Venturia nashicola)
赤星病(Gymnosporangium asiaticum)
黒斑病(Alternaria kikuchiana)
チャ 輪斑病(Pestalotia theae)
炭そ病(Colletotrichum theae−sinensis)
カンキツ そうか病(Elsinoe fawcetti)
青かび病(Penicillium italicum)
緑かび病(Penicillium digitatum)
灰色かび病(Botrytis cinerea)
オオムギ うどんこ病(Erysiphe graminis f.sp.hordei)
裸黒穂病(Ustilago nuda)
コムギ 赤かび病(Gibberella zeae)
赤さび病(Puccinia recondita)
斑点病(Cochliobolus sativus)
ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)
眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)
褐色雪腐病(Pythium iwayamai)
うどんこ病(Erysiphe graminis f.sp.tritici)
紅色雪腐病(Micronectriella nivalis)
【0186】
イネ いもち病(Pyricularia oryzae)
紋枯病(Rhizoctonia solani)
馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi)
ごま葉枯病(Cochliobolus niyabeanus)
苗立枯病(Pythium graminicolum)
ダイズ 紫斑病(Cercospora kikuchii)
べと病(Peronospora Manshurica)
茎疫病(Phytophthora sojae)
ジャガイモ 疫病(Phytophthora infestans)
アブラナ科植物根こぶ病(Plasmodiophora brassicae)
タバコ 菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)
うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)
チューリップ 灰色かび病(Botrytis cinerea)
ベントグラス 雪腐大粒菌核病(Sclerotinia borealis)
赤焼病(Pythium aphanidermatum)
オーチャードグラス うどんこ病(Erysiphe graminis)
等の防除に使用することができる。
【0187】
また、近年種々の病原菌において、フェニルアマイド系殺菌剤やストロビルリン系殺菌剤等に対する耐性が発達し、それらの薬剤の効力不足を生じており、耐性菌にも有効な薬剤が望まれている。本発明のオキシム誘導体等は、それら薬剤に対し感受性の病原菌のみならず、耐性菌にも優れた殺菌効果を有する薬剤である。
【0188】
例えば、メタラキシルに耐性を示すジャガイモ・トマトの疫病(Phytophthora infestans)、キュウリべと病(Pseudoperonospora cubensis)、ブドウべと病(Plasmopara viticola)に対しても感受性菌と同様に本発明化合物は有効である。
【0189】
さらに、ストロビルリン系殺菌剤(例えば、クレソキシムメチル、アゾキシストロビン、ストロピルリン−A、メトミノストロピン、トリフロキシストロピン、ジモキシストロピン、オリサストロピン等)に耐性を示すキュウリべと病(Pseudoperonospora cubensis)、ブドウべと病(Plasmopara viticola)に対しても感受性菌と同様に本発明化合物は有効である。
適用がより好ましい病害としては、ブドウべと病菌(Plasmopara viticola)、ウリ類のべと病菌(Pseudoperonospora cubensis)、バレイショやトマトの疫病菌(Phytophthora infestans)、芝のピシウム菌(Pythium aphanidermatum他)、テンサイ黒根病菌(Aphanomyces cochlloides)等を代表とする卵菌類が引き起こす多種の病害が挙げられる。
【0190】
本発明化合物は、水棲生物が船底、魚網等の水中接触物に付着するのを防止するための防汚剤として使用することもできる。
また本発明化合物の中間体化合物の中には殺菌活性を示すものもある。
さらにまた、本発明化合物を塗料や繊維等に混入させることで、壁や浴槽、あるいは靴や衣服の防菌、防黴剤として使用することもできる。
【0191】
4)植物病害防除剤
本発明は、本発明化合物の少なくとも一種を有効成分として含有する植物病害防除剤である。
【0192】
本発明の植物病害防除剤は、他成分を加えず本発明化合物のみからなるものであってもよいし、一般の農薬のとり得る形態、即ち、水和剤、粒剤、粉剤、乳剤、水溶剤、懸濁剤、フロアブル等の形態となっていてもよい。
【0193】
植物病害防除剤中に添加することのできる添加剤及び担体としては、固型剤を目的とするものとして、大豆粉、小麦粉等の植物性粉末、珪藻土、燐灰石、石こう、タルク、ベントナイト、パイロフィライト、クレイ等の鉱物性微粉末、安息香酸ソーダ、尿素、芒硝等の有機及び無機化合物が挙げられる。
【0194】
また、液体の剤型を目的とするものとして、ケロシン、キシレン及びソルベントナフサ等の石油留分、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール、アセトン、トリクロルエチレン、メチルイソブチルケトン、鉱物油、植物油、水等の溶剤が挙げられる。
【0195】
さらに、これらの製剤において均一かつ安定な形態をとるために、必要に応じて界面活性剤を用いることもできる。
【0196】
用いる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンが付加したアルキルエーテル、ポリオキシエチレンが付加した高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したトリスチリルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物、イソブチレン−無水マレイン酸の共重合体等が挙げられる。
【0197】
製剤中の有効成分量は、特に限定されないが、通常、組成物(製剤)全体に対して、好ましくは0.5〜95重量%であり、より好ましくは2〜70重量%である。
本発明の植物病害防除剤が水和剤、乳剤、フロアブル剤である場合には、これらを、水で所定の濃度に希釈して懸濁液あるいは乳濁液として用いることができる。また、粉剤・粒剤である場合には、そのまま植物に散布する方法で用いることができる。
【0198】
本発明化合物、又は本発明の植物病害防除剤は単独でも十分有効であることは言うまでもないが、各種の殺菌剤や殺虫・殺ダニ剤又は共力剤の1種又は2種以上と混合して使用することも出来る。
【0199】
本発明化合物、又は本発明の植物病害防除剤と混合して使用出来る、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、植物生長調節剤の代表例を以下に示す。
【0200】
殺菌剤:
銅剤;塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅等。硫黄剤;チウラム、ジネブ、マンネブ、マンコゼブ、ジラム、プロピネブ、ポリカーバメート等。
ポリハロアルキルチオ剤;キャプタン、フォルペット、ジクロルフルアニド等。
有機塩素剤;クロロタロニル、フサライド等。
有機リン剤;IBP、EDDP、トリクロホスメチル、ピラゾホス、ホセチル等。
ベンズイミダゾール剤;チオファネートメチル、ベノミル、カルベンダジム、チアベンダゾール等。
ジカルボキシイミド剤;イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン、フルオルイミド等。
カルボキシアミド剤;オキシカルボキシン、メプロニル、フルトラニル、テクロフタラム、トリクラミド、ペンシクロン等。
アシルアラニン剤;メタラキシル、オキサジキシル、フララキシル等。
メトキシアクリレート剤;クレソキシムメチル、アゾキシストロビン、メトミノストロビン等。
【0201】
アニリノピリミジン剤;アンドプリン、メパニピリム、ピリメタニル、ジプロジニル等。SBI剤;トリアジメホン、トリアジメノール、ビテルタノール、ミクロブタニル、ヘキサコナゾール、プロピコナゾール、トリフルミゾール、プロクロラズ、ペフラゾエート、フェナリモール、ピリフェノックス、トリホリン、フルシラゾール、エタコナゾール、ジクロブトラゾール、フルオトリマゾール、フルトリアフェン、ペンコナゾール、ジニコナゾール、イマザリル、トリデモルフ、フェンプロピモルフ、ブチオベート、エポキシコナゾール、、メトコナゾール等。
抗生物質剤;ポリオキシン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、バリダマイシン、硫酸ジヒドロストレプトマイシン等。
【0202】
ストロビルリン系剤;ストロビルリン−A、メトミノストロビン、クレソキシム−メチル、トリフロキシストロビン、ジモキシストロビン、オリサストロビン等。
その他;プロパモカルブ塩酸塩、キントゼン、ヒドロキシイソオキサゾール、メタスルホカルブ、アニラジン、イソプロチオラン、プロベナゾール、キノメチオナート、ジチアノン、ジノカブ、ジクロメジン、フェルムゾン、フルアジナム、ピロキロン、トリシクラゾール、オキソリニック酸、ジチアノン、イミノクタジン酢酸塩、シモキサニル、ピロールニトリン、メタスルホカルブ、ジエトフェンカルブ、ビナパクリル、レシチン、重曹、フェナミノスルフ、ドジン、ジメトモルフ、フェナジンオキシド、カルプロパミド、フルスルファミド、フルジオキソニル、ファモキサドン、フルオピコリド、マンジプロパミド、ベンチアバリカルブ、イソプロピル、エタボキサム、ジアゾファミド等。
【0203】
殺虫・殺ダニ剤:
有機燐及びカーバメート系殺虫剤;フェンチオン、フェニトロチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、ESP、バミドチオン、フェントエート、ジメトエート、ホルモチオン、マラソン、トリクロルホン、チオメトン、ホスメット、ジクロルボス、アセフェート、EPBP、メチルパラチオン、オキシジメトンメチル、エチオン、サリチオン、シアノホス、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、ホサロン、メチダチオン、スルプロホス、クロルフェンビンホス、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、プロパホス、イソフェンホス、エチルチオメトン、プロフェノホス、ピラクロホス、モノクロトホス、アジンホスメチル、アルディカルブ、メソミル、チオジカルブ、カルボフラン、カルボスルファン、ベンフラカルブ、フラチオカルブ、プロポキスル、BPMC、MTMC、MIPC、カルバリル、ピリミカーブ、エチオフェンカルブ、フェノキシカルブ等。
【0204】
ピレスロイド系殺虫剤;ペルメトリン、シペルメトリン、デルタメスリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、ピレトリン、アレスリン、テトラメスリン、レスメトリン、ジメスリン、プロパスリン、フェノトリン、プロトリン、フルバリネート、シフルトリン、シハロトリン、フルシトリネート、エトフェンプロクス、シクロプロトリン、トロラメトリン、シラフルオフェン、ブロフェンプロクス、アクリナスリン等。
【0205】
ベンゾイルウレア系その他の殺虫剤;ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、トリフルムロン、テトラベンズロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、ブプロフェジン、ピリプロキシフェン、メトプレン、ベンゾエピン、ジアフェンチウロン、アセタミプリド、イミダクロプリド、ニテンピラム、フィプロニル、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ、硫酸ニコチン、ロテノン、メタアルデヒド、機械油、BTや昆虫病原ウイルスなどの微生物農薬等。
【0206】
殺線虫剤;フェナミホス、ホスチアゼート等。
殺ダニ剤;クロルベンジレート、フェニソブロモレート、ジコホル、アミトラズ、BPPS、ベンゾメート、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ポリナクチン、キノメチオネート、CPCBS、テトラジホン、アベルメクチン、ミルベメクチン、クロフェンテジン、シヘキサチン、ピリダベン、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、ピリミジフェン、フェノチオカルブ、ジエノクロル等。
【0207】
植物生長調節剤:
ジベレリン類(例えばジベレリンA3、ジベレリンA4、ジベレリンA7)、IAA、NAA等。
【実施例】
【0208】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
1)製造実施例
1−1)Zが式(6)で表される化合物の製造実施例
【0209】
[製造実施例1]
(Z)−{〔6−(3,4−メチレンジオキシ)フェニルアセチルアミノ〕ピリジン−2−イル}メトキシイミノ−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルメタンの製造(化合物1−a−17)
【0210】
【化20】
【0211】
(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルメタノンオキシム(6.0g,29mmol)(式(31))のアセトニトリル(200ml)溶液に、〔2−クロロメチル−6−(3,4−メチレンジオキシ)フェニルアセチルアミノ〕ピリジン(15.69g,51mmol)(式(32))、及び炭酸カリウム(10.92g,79mmol)を加え、全容を40℃にて16.5時間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残留物を酢酸エチルに溶解後、有機層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー〔展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=3:2(v/v)〕により精製して、(Z)−{〔6−(3,4−メチレンジオキシ)フェニルアセチルアミノ〕ピリジン−2−イル}メトキシイミノ−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルメタン(式(33))を6.32g得た。
【0212】
製造実施例1と同様の方法により得られた、本発明のオキシム誘導体等を第6表に示す。
【0213】
【表68】
【0214】
【表69】
【0215】
【表70】
【0216】
【表71】
【0217】
【表72】
【0218】
【表73】
【0219】
【表74】
【0220】
【表75】
【0221】
【表76】
【0222】
1−2)Zが式(7)で表される化合物の製造実施例
【0223】
[製造実施例2]
(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−{[2−アセトキシ−(4−メトキシフェニル)アセチルアミノ]ピリジン−6−イルメチル}−オキシムの製造(化合物2−a−5)
【0224】
2−(アセトキシ)−(4−メトキシフェニル)酢酸0.6g(2.6mmol)およびトリエチルアミン0.29g(2.9mmol)をトルエン20mlに溶解し、ピバル酸クロライド0.35g(2.9mmol)を加えて室温にて6時間撹拌した。生じた結晶をろ別し、ろ液に(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−[2−アミノピリジン−6−イルメチル]−オキシム0.20g(0.64mmol)を加えて室温にて16時間撹拌した後に溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製して、目的物である(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−{[2−アセトキシ−(4−メトキシフェニル)アセチルアミノ]ピリジン−6−イルメチル}−オキシム0.27gを得た。
【0225】
[製造実施例3]
(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−{[2−フルオロ―(4−メトキシフェニル)アセチルアミノ]ピリジン−6−イルメチル}−オキシムの製造(化合物2−a−7)
【0226】
2−(フルオロ)−(4−メトキシフェニル)酢酸エチル0.29g(1.35mmol)をメタノール4mlに溶解し、水酸化カリウム0.13g(2.03mmol)を加えて室温にて1時間半撹拌した。溶媒を減圧下留去して得られた白色固体を塩化メチレン8mlに溶解し、塩化オキサリル0.26g(2.03mmol)を加えて1時間加熱還流した。減圧濃縮した後に塩化メチレン8mlに溶解し、ピバル酸0.14g(1.35mmol)およびトリエチルアミン0.20g(2.01mmol)を加えた。室温にて1時間撹拌後、(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−[2−アミノピリジン−6−イルメチル]−オキシム0.14g(0.45mmol)を加えて室温にて29時間撹拌した。溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製して、目的物0.19gを得た。
【0227】
[製造実施例4]
(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルメタノン−O−{[2−ジフルオロ−(4−メトキシフェニル)アセチルアミノ]ピリジン−6−イルメチル}−オキシムの製造(化合物2−a−9)
4−メトキシベンゾイル蟻酸エチル0.65g(3.12mmol)を塩化メチレン10mlに溶解し、三フッ化N,N−ジエチルアミノ硫黄0.76g(4.68mmol)を加え、40℃にて6時間半撹拌した。さらに室温にて3日撹拌した後、三フッ化N,N−ジエチルアミノ硫黄0.76g(4.68mmol)を加えて40℃にて7時間半撹拌した。反応混合物を水にあけ、塩化メチレンで抽出した有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後に減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル=9:1(v/v))精製して、目的物である2,2−ジフルオロ−(4−メトキシフェニル)酢酸エチル0.44gを得た。
2,2−ジフルオロ−(4−メトキシフェニル)酢酸エチル0.44g(1.91mmol)をメタノール5mlに溶解し、水酸化ナトリウム0.10g(2.48mmol)の水溶液を加えて室温にて7時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、2N塩酸で中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後に減圧濃縮することで目的物である2,2−ジフルオロ-(4-メトキシフェニル)酢酸の粗生成物を得た。
2,2−ジフルオロ−(4−メトキシフェニル)酢酸0.23g(1.35mmol)を塩化メチレン5mlに溶解し、ピバル酸クロライド0.18g(1.49mmol)およびN−エチルジイソプロピルアミン0.21g(1.62mmol)を加えて室温にて30分撹拌した後、(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−[2−アミノピリジン−6−イルメチル]−オキシム0.14g(0.45mmol)を加えて室温にて一晩撹拌した。溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製して、目的物である(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−{[2−ジフルオロ−(4−メトキシフェニル)アセチルアミノ]ピリジン−6−イルメチル}−オキシム0.14gを得た。
製造実施例2〜4と同様の方法により得られた、本発明のオキシム誘導体等を第7表に示す。
【0228】
【表77】
【0229】
【表78】
【0230】
1−3)Zが式(8)で表される化合物の製造実施例
【0231】
[製造実施例5]
(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルメタノン−O−[2−(シンナモイル)アミノピリジン−6−イルメチル]−オキシムの製造(化合物3−a−1)
【0232】
【化21】
【0233】
ジクロロメタン2mL、(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルメタノン−O−(2−アミノピリジン−6−イルメチル)−オキシム0.31g(1.0 mmol)、トリエチルアミン0.15g(1.5 mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.02g(0.16 mmol)の混合物へ、桂皮酸クロリド0.20g(1.2 mmol)を加え、室温下45時間撹拌した。反応混合物を水に加えた後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和重曹水、飽和食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルメタノン−o−[2−(シンナモイル)アミノピリジン−6−イルメチル]−オキシム (0.11g,24%)を得た。
製造実施例5と同様の方法により得られた、本発明のオキシム誘導体等を第8表に示す。
【0234】
【表79】
【0235】
1−4)Zが式(9)で表される化合物の製造実施例
【0236】
以下の製造実施例中、rac−BINAPは2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(2,2'-bis(diphenylphosphino)-1,1'-binaphthyl)を、Pd2(dba)3はPdとジベンジリデンアセトンとの錯体を、THFはテトラヒドロフランを、TBAFはフッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(Tetra-n-butylammonium fluoride)を表す。
【0237】
[製造実施例6]
(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルメタノン−O−[2−フェニルアミノピリジン−6−イルメチル]−オキシムの製造(化合物4−a−1)
(工程1)
シュレンク反応器に2−ブロモ−6−(t−ブチルジメチルシロキシ)メチルピリジン(0.60g,2.0mmol)、アニリン(0.56g,6.0mmol)、rac−BINAP(0.13g,0.2mmol)、ナトリウム t-ブトキシド(0.29g, 3.0mmol)およびPd2(dba)3(0.08g,0.09mmol)を順次加えた後、真空減圧とアルゴン復圧を3回繰り返した。この混合物にトルエン10mLを加え、80℃で24時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却した後、反応混合物へ水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を合わせ、飽和食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣にTHF(20mL)とTBAFの1M THF溶液(4.1mL)を加え、室温下、17時間攪拌した。反応混合物へ水を加え、1時間放置後、減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1(v/v))により精製し、2−フェニルアミノ−6−ヒドロキシメチルピリジン(0.23g,53%)を得た。
得られた化合物の物性は以下のとおりであった。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 3.53 (br-s, 1H), 4.65 (s, 2H), 6.55 (br-s, 1H), 6.66 (d, 1H, J = 7.3 Hz), 6.76 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.07 (tt, 1H, J = 6.7, 1.9 Hz), 7.29-7.37 (m, 4H), 7.49 (dd, 1H, J = 8.4, 7.3 Hz)
【0238】
(工程2)
室温下、2−フェニルアミノ−6−ヒドロキシメチルピリジン(0.21g,1.1mmol)とジクロロメタン(10mL)の混合物へ塩化チオニル(0.15g,1.3mmol)を加え、室温下で1.5時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、2−フェニルアミノ−6−クロロメチルピリジン塩酸塩(0.27g,定量的)を得た。
得られた化合物の物性は以下のとおりであった。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 4.77 (s, 2H), 6.95-6.98 (m, 2H), 7.26-7.39 (m, 3H),7.44-7.49 (m, 2H), 7.75-7.80 (m, 1H), 10.29 (br-s, 1H).
【0239】
(工程3)
乾燥アセトニトリル10mLと2−フェニルアミノ−6−クロロメチルピリジン塩酸塩(0.27g,1.1mmol)の混合物へ、(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルメタノンオキシム(0.23g,1.1mmol)と炭酸カリウム(0.43g,3.11mmol)を加えた。室温下、この懸濁液を110時間攪拌した。反応液を水に加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1(v/v))で精製し、(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルメタノン−o−[2−フェニルアミノピリジン−6−イルメチル]−オキシム(0.22g,54%)を得た。
【0240】
[製造実施例7]
(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルメタノン−O−[2−(4,6−ジメチルピリミジル)アミノピリジン−6−イルメチル]−オキシムの製造(化合物4−b−2)
(工程1)
製造実施例6の(工程1)と同様にして2−(4,6−ジメチルピリミジル)アミノ−6−ヒドロキシメチルピリジンを得た。
得られた化合物の物性は次の通りであった。
NMR:1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.41 (s, 6H), 3.89 (t, 1H, J = 5.3 Hz), 4.67 (d, 2H, J = 5.3 Hz), 6.58 (s, 1H), 6.83 (d, 1H, J = 7.5 Hz), 7.67 (dd, 1H, J =8.4, 7.5 Hz), 8.06 (br-s, 1H), 8.37 (d, 1H, J = 8.4 Hz).
【0241】
(工程2)
室温下、2−(4,6−ジメチルピリミジル)アミノ−6−ヒドロキシメチルピリジン(0.28g,1.2mmol)とジクロロメタン(12mL)の混合物へ塩化チオニル(0.17g,1.3mmol)を加え、室温下で8時間撹拌した。反応混合物を水(30mL)とNaHCO3(0.5g)からなる水溶液へ加え、分液した後、クロロホルムで抽出した。抽出した有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=3/1(v/v))により精製し、2−(4,6−ジメチルピリミジル)アミノ−6−クロロメチルピリジン(0.22g,79%)を得た。
得られた化合物の物性は次のとおりであった。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.40 (s, 6H), 4.55 (s, 2H), 6.57 (s, 1H), 7.05 (d, 1H, J = 7.0 Hz), 7.69 (dd, 1H, J = 8.4, 7.0 Hz), 7.75 (br-s, 1H), 8.45 (d, 1H, J= 8.4 Hz).
【0242】
(工程3)
製造実施例6の(工程3)と同様にして、(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルメタノン−o−[2−(4,6−ジメチルピリミジル)アミノピリジン−6−イルメチル]−オキシムを得た。
【0243】
[製造実施例8]
(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルメタノン−O−[2−(2−ピリジル)アミノピリジン−6−イルメチル]−オキシムの製造(化合物4−b−1)
(工程1)
製造実施例6の(工程1)と同様にして2−ピリジルアミノ−6−ヒドロキシメチルピリジンを得た。得られた化合物の物性は次の通りであった。
NMR:1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 3.51 (br-s, 1H), 4.70 (s, 2H), 6.80 (d, 1H,J = 7.3 Hz), 6.86 (dd, 1H, J = 7.2, 5.0 Hz), 7.38 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.39 (br-s, 1H), 7.53 (d, 1H, J = 8.2 Hz), 7.61 (dd, 1H, J = 8.4, 7.3 Hz), 7.61 (dd, 1H,J = 8.2, 7.2 Hz), 8.28 (d, 1H, J = 5.0 Hz).
(工程2)
続いて、製造実施例6の(工程2)と同様にして、2−ピリジルアミノ−6−クロロメチルピリジンを得た。得られた化合物の物性は次の通りであった。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 4.76 (s, 2H), 7.11-7.16 (m, 2H), 7.77-7.87 (m, 2H),7.97-8.03 (m, 2H), 8.38 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 14.04 (br-s, 1H).
(工程3)
製造実施例6の(工程3)と同様にして(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルメタノン−O−[2−(2−ピリジル)アミノピリジン−6−イルメチル]−オキシムを製造した。
製造実施例6〜8と同様の方法により、本発明のオキシム誘導体等を第9表に示す。
また、製造実施例6〜8の工程1及び工程2と同様にして得られる本発明の中間体化合物(式(10))を、第10−a表及び第10−b表に示す。
【0244】
【表80】
【0245】
【表81】
【0246】
【表82】
【0247】
【表83】
【0248】
【表84】
【0249】
【表85】
【0250】
【表86】
【0251】
【表87】
【0252】
【表88】
【0253】
【表89】
【0254】
【表90】
【0255】
【表91】
【0256】
【表92】
【0257】
【表93】
【0258】
【表94】
【0259】
2)製剤実施例
【0260】
次に、本発明の植物病害防除剤の製剤実施例を若干示す。添加物及び添加割合は、これら実施例に限定されるものではなく、広範囲に変化させることが可能である。製剤実施例中の部は重量部を示す。なお、製剤実施例において、「本発明の化合物」は、「本発明のオキシム誘導体等」を意味する。
【0261】
製剤実施例1 水和剤
本発明化合物 40部
クレー 53部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩 4部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 3部
以上を均一に混合して微細に粉砕して、有効成分40%の水和剤を得る。
【0262】
製剤実施例2 乳剤
本発明化合物 10部
ソルベッソ200 53部
シクロヘキサノン 26部
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩 1部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 10部
以上を混合溶解して、有効成分10%の乳剤を得る。
【0263】
製剤実施例3 粉剤
本発明化合物 10部
クレー 90部
以上を均一に混合して微細に粉砕して、有効成分10%の粉剤を得る。
【0264】
製剤実施例4 粒剤
本発明化合物 5部
クレー 73部
ベントナイト 20部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩 1部
リン酸カリウム 1部
以上をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥して有効成分5%の粒剤を得る。
【0265】
製剤実施例5 懸濁剤
本発明化合物 10部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 4部
ポリカルボン酸ナトリウム塩 2部
グリセリン 10部
キサンタンガム 0.2部
水 73.8部
以上を混合し、粒度が3ミクロン以下になるまで湿式粉砕して、有効成分10%の懸濁剤を得る。
【0266】
製剤実施例6 顆粒水和剤
本発明化合物 40部
クレー 36部
塩化カリウム 10部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩 1部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩のホルムアルデヒド縮合物 5部
以上を均一に混合して微細に粉砕後、適量の水を加えてから練り込んで粘土状にした。粘土状物を造粒した後乾燥し、有効成分40%の顆粒水和剤を得る。
【0267】
3)試験例(トマト疫病防除試験)
素焼きポットで栽培したトマト幼苗(品種「レジナ」、4〜5葉期)に、前記製剤実施例2の乳剤を有効成分100ppmの濃度で散布した。散布後、室温で自然乾燥し、トマト疫病菌(Phytophthora infestans)の遊走子嚢懸濁液を噴霧接種し、明暗を12時間毎に繰り返す高湿度の恒温室(20℃)に4日間保持した。葉上の病斑出現状態を無処理と比較調査し防除価(%)を求めた。本発明では、防除価80%以上を示す化合物を、植物病害防除に有効な化合物とした。
なお、第6表〜第9表において、「活性」項目に「○」が付いてある化合物は、防除価80%以上を示す化合物であり、「X」が付いてある化合物は、防除価80%未満を示す化合物である。
【産業上の利用可能性】
【0268】
本発明のオキシム誘導体及びその塩は、ごく低薬量で極めて優れた植物病害に対する防除効果を示し、かつ、有用植物に対する薬害の心配がない。また、本発明の植物病害防除剤は、植物病害に対する優れた防除効果を有する。さらに、本発明の化合物は、本発明のオキシム誘導体等を製造する際の中間体として用いられる中間体化合物を提供する。従って、本発明は産業上有用である。