(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770775
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】第VIII因子を含有する安定な医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/43 20060101AFI20150806BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20150806BHJP
A61K 47/34 20060101ALI20150806BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20150806BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20150806BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20150806BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20150806BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20150806BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20150806BHJP
C07K 14/755 20060101ALN20150806BHJP
【FI】
A61K37/465
A61P7/04
A61K47/34
A61K47/02
A61K47/26
A61K47/12
A61K9/19
A61K47/18
A61K9/08
!C07K14/755ZNA
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-85801(P2013-85801)
(22)【出願日】2013年4月16日
(62)【分割の表示】特願2011-2185(P2011-2185)の分割
【原出願日】2003年3月26日
(65)【公開番号】特開2013-147508(P2013-147508A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2013年5月8日
(31)【優先権主張番号】0207092.8
(32)【優先日】2002年3月26日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509120469
【氏名又は名称】イプセン ファルマ ソシエテ パール アクシオン サンプリフィエ
【氏名又は名称原語表記】IPSEN PHARMA S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,マリー
(72)【発明者】
【氏名】ウェッブ,ポール
【審査官】
天野 貴子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第00/048635(WO,A1)
【文献】
特開平08−099999(JP,A)
【文献】
特開昭64−085927(JP,A)
【文献】
特開平04−217630(JP,A)
【文献】
特開昭62−081327(JP,A)
【文献】
国際公開第01/068109(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/43
A61K 9/08
A61K 9/19
A61K 47/02
A61K 47/12
A61K 47/18
A61K 47/26
A61K 47/34
A61P 7/04
C07K 14/755
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) ヒト第VIII因子若しくは組換え体ヒト第VIII因子については50〜10,000国際単位/mlの濃度又はブタ第VIII因子若しくは組換え体ブタ第VIII因子については50〜10,000ブタ単位/mlの濃度の第VIII因子;
(b) 臨界ミセル濃度以上〜1v/v%までの濃度の表面活性剤;
(c) 0.5〜10mMの濃度の塩化カルシウム;
(d) 5〜25mMの濃度のスクロース;
(e) 0.15〜0.5Mの濃度の塩化ナトリウム;
(f) 1〜50mMの濃度のクエン酸三ナトリウム;及び
(g) 1〜50mMの濃度の、アミノ酸を含まない緩衝剤;
を含有する、アミノ酸を含まない溶液の凍結乾燥によって得られる固体医薬組成物であって、凍結乾燥前及び注射のための水中での再構成後に 6〜8のpHを有する固体医薬組成物。
【請求項2】
第VIII因子はブタ第VIII因子又は組換え体ブタ第VIII因子から選択される、請求項1に記載の固体医薬組成物。
【請求項3】
第VIII因子は組換え体ブタ第VIII因子である、請求項2に記載の固体医薬組成物。
【請求項4】
組換え体ブタ第VIII因子はSEQ.ID. No.1のアミノ酸配列を有する、請求項2に記載の固体医薬組成物。
【請求項5】
表面活性剤はポリソルベートである、請求項1〜4の一つに記載の固体医薬組成物。
【請求項6】
表面活性剤はポリソルベート80である、請求項5に記載の固体医薬組成物。
【請求項7】
アミノ酸を含まない緩衝剤はトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンである、請求項1〜6の一つに記載の固体医薬組成物。
【請求項8】
凍結乾燥前及び注射のための水中での再構成後に6.5〜7.5のpHを有する、請求項1〜7の一つに記載の固体医薬組成物。
【請求項9】
(a) ヒト第VIII因子又は組換え体ヒト第VIII因子については100〜5,000国際単位/mlの濃度又はブタ第VIII因子又は組換え体ブタ第VIII因子については100〜5,000ブタ単位/mlの濃度の第VIII因子;
(b) 0.002%〜0.04%までの濃度の表面活性剤;
(c) 1〜5mMの濃度の塩化カルシウム;
(d) 5〜25mMの濃度のスクロース
(e) 0.15〜0.4Mの濃度の塩化ナトリウム;
(f) 1〜20mMの濃度のクエン酸三ナトリウム;及び
(g) 1〜20mMの濃度の、アミノ酸を含まない緩衝剤;
を含有する、アミノ酸を含まない溶液の凍結乾燥によって得られる、請求項1〜8の一つに記載の固体医薬組成物。
【請求項10】
請求項1〜9の一つに記載の固体医薬組成物を、殺菌水で希釈した後に得られる液状医薬組成物。
【請求項11】
更に塩化ナトリウムを含有する請求項10に記載の液状医薬組成物。
【請求項12】
請求項1〜9の一つに定義される溶液であって、アミノ酸を含まない溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は第VIII因子(factor VIII)を含有する安定な医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
第VIII因子は血液凝固プロセスに不可欠である周知の血漿タンパク質であり従って血友病の治療に使用されている。
【0003】
種々の形式の第VIII因子が血友病の治療のための活性成分として使用されているか又は使用することが意図されている。これらの第VIII因子としては、ヒト第VIII因子[Humate(登録商標) P、Monoclate(登録商標) P、Immunate(登録商標)又はHemofil(登録商標) Mの活性成分等]、組換え体ヒト第VIII因子[PCT特許出願WO 91/09122に記載されるr-VIIISQ(ReFacto(登録商標)の活性成分)又はKogenate(登録商標)又はRecombinate(登録商標)の活性成分等)]、ブタ第VIII因子[米国、Ipsen Inc.によって販売されている製品 Hyate:C(登録商標)の活性成分]又は組換え体ブタ第VIII因子[例えば、特許出願 WO 01/68109に記載されるかつ“POL1212”として識別されるもののごとき、変性B-ドメインレス型のブタ第VIII因子又は上記特許出願のSEQ ID No 38のタンパク質]が挙げられる。
【0004】
製剤の安定性は、常に、第VIII因子医薬組成物を取り扱う医薬工業にとって問題であった。
【0005】
これらの製剤を安定化するのにアルブミンがしばしば使用されている。しかしながら、その興味ある安定化効果にも拘わらず、アルブミンは高価でありまたプリオンのごとき感染生物を担持している危険性があるという欠点を有する。これらの理由から、医薬工業においては、近年、第VIII因子医薬組成物においてアルブミンを他の安定化剤により置換することが行われれている。
【0006】
種々のアルブミン非含有医薬組成物が当業者に既に知られている。例えば、米国特許第5,565,427号明細書には、第VIII:C因子、アミノ酸又はその塩又は同族体及び洗浄剤[例えばポリソルベート(polysorbate)80又はTween(登録商標)80]又は有機重合体(例えばポリエチレングリコール)を含有する、第VIII:C因子活性を有する安定化アルブミン非含有溶液が教示されている。
【0007】
米国特許第5,605,884号明細書は、第VIII因子と高イオン強度媒体−この媒体は、好ましくは、塩化ナトリウム、塩化カルシウム及びバッファーイオンとしてのヒスチジンの混合物を含有する水溶液からなる−とからなる安定な第VIII因子組成物に関する。
【0008】
米国特許第5,763,401号及び5,874,408号明細書には、組換え体第VIII因子、グリシン、ヒスチジン、スクロース、塩化ナトリウム及び塩化カルシウムからなる、安定なアルブミン非含有組換え体第VIII因子組成物が開示されている。
【0009】
米国特許第5,962,650号明細書には、組換え体第VIII因子、塩化カルシウムのごときカルシウム塩及び好ましくは酸化防止剤、非イオン性表面活性剤、塩化ナトリウム又はカリウム、アミノ酸及び単糖類又は二糖類からなる、酸素濃度の低い水溶液からなる、安定なアルブミン非含有組換え体第VIII因子組成物が開示されている。
【0010】
米国特許第5,972,885号明細書は、高濃度の(少なくとも1,000IU/ml)組換え体第VIII因子、及び、好ましくは(特に)塩化ナトリウム又はカリウム、塩化カルシウム、非イオン性表面活性剤[例えば、ポロキサマー(poloxamer)]、単糖類又は二糖類(好ましくはスクロース)及び酸化防止剤(例えば、クエン酸)からなる群から選ばれた1種又はそれ以上の成分からなる、皮下、筋肉内又は皮内投与用医薬製剤に関する。
【0011】
PCT特許出願 WO 89/09784号明細書には、前記第VIII因子及びトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、クエン酸三ナトリウム(trisodiumu citrate)、塩化ナトリウム、スクロース及び塩化カルシウムを含有する緩衝剤溶液のゲルろ過及びついで得られた濃縮物の凍結乾燥を行うことからなる、熱安定性第VIII因子濃縮物の製造方法が開示されている。かく製造された第VIII因子は80℃までの温度に72時間まで耐えることができる。
【0012】
PCT特許出願 WO 94/07510号明細書には、、非イオン性表面活性剤[(例えばポリソルベート80のごときポロキサマー)によって安定化された第VIII因子組成物が開示されている。かかる組成物は、(特に)、塩化ナトリウム又はカリウム、塩化カルシウム、アミノ酸、スクロースのごとき単糖類又は二糖類からなる群から選択された1種又はそれ以上の成分も含有し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開WO91/09122号
【特許文献2】国際公開WO01/68109号
【特許文献3】米国特許第5,565,427号明細書
【特許文献4】米国特許第5,605,884号明細書
【特許文献5】米国特許第5,763,401号明細書
【特許文献6】米国特許第5,874,408号明細書
【特許文献7】米国特許第5,962,650号明細書
【特許文献8】米国特許第5,972,885号明細書
【特許文献9】国際公開WO89/09784号
【特許文献10】国際公開WO94/07510号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、今般、予期しなかったことに、下記の成分:
(a) 第VIII因子;
(b) 表面活性剤;
(c) 塩化カルシウム;
(d) スクロース;
(e) 塩化ナトリウム;
(f) クエン酸三ナトリウム;及び
(g) アミノ酸を含まない緩衝剤;
を含有する、アミノ酸を含まない溶液の凍結乾燥によって得られる固体医薬組成物であって、凍結乾燥前及び注射のための水中での再構成(reconstitution)後に6〜8のpHを有する固体医薬組成物は長時間に亘って安定性も示すことを発見した。
【0015】
本明細書において、第VIII因子は、ヒト第VIII因子、組換え体ヒト第VIII因子、ブタ第VIII因子(porcine factor VIII)、組換え体ブタ第VIII因子、又は、より一般的には、これらの代わりに使用し得る他の組換え体第VIII因子を意味する。
【0016】
本発明の組成物中に含有される第VIII因子はブタ第VIII因子及び組換え体ブタ第VIII因子から選択されることが好ましいであろう。更に好ましくは、本発明の組成物中に含有される第VIII因子は、組換え体ブタ第VIII因子、特に、特許出願 WO 01/68109に開示されるごとき変性B-ドメインレス型(modified B-domainless form)のブタ第VIII因子、即ち、以下に示すSEQ ID No 1のアミノ酸配列を有する変性ブタ第VIII因子である:
【0017】
【0018】
表面活性剤は非イオン性表面活性剤であることが好ましいであろう。非イオン性表面活性剤としては、特に、ポリソルベート及びポロキサマー (即ち、ポリエチレンとプロピレングリコールとの共重合体)のごときブロック共重合体が挙げられる。本発明の好ましい変更によれば、表面活性剤はポリソルベートである。より好ましくは、本発明の組成物中に含有されるポリソルベートは20〜100モノマー単位(好ましくは、約80)の平均重合度を有しており、例えば、ポリソルベート80であり得る。好ましくは、また、ポリソルベートは植物起源であるべきである。
【0019】
アミノ酸を含まない緩衝剤はトリス(ヒドロキソシメチル)メチルアミン(以下においては、“トリス”と略記する)であることが好ましいであろう。
【0020】
また、凍結乾燥前及び注射のための水中での再構成後の医薬組成物のpHは6.5〜7.5であることが好ましく、約7.0であることがより好ましい。
【0021】
好ましくは、本発明の固体医薬組成物は
(a)ヒト第VIII因子又は組換え体ヒト第VIII因子については50〜10,000国際単位/mlの濃度又はブタ第VIII因子又は組換え体ブタ第VIII因子については50〜10,000ブタ単位(ブタ第VIII因子単位)(porcineunit)/mlの濃度の第VIII因子;
(b)臨界ミセル濃度以上〜1v/v%までの濃度の表面活性剤;
(c)0.5〜10mMの濃度の塩化カルシウム;
(d)5〜50mMの濃度のスクロース
(e)0.15〜0.5Mの濃度の塩化ナトリウム;
(f)1〜50mMの濃度のクエン酸三ナトリウム;及び
(g)1〜50mMの濃度の、アミノ酸を含まない緩衝剤;、
を含有する、アミノ酸を含まない溶液の凍結乾燥によって得られたものである。
【0022】
国際第VIII因子単位(international factor VIII unit)に関する活性を評価するためには、試験すべき製品を英国標準NIBSC 95/608(National Institute of Biological Standards and ControlについてのNIBSC)のごときコンセントレート スタンダード(Concentrate Standard)に対して評価する。
【0023】
ブタ第VIII因子単位(porcine unit of factor VIII)は、英国のNIBSCによって保持されている英国国家基準単位(United Kingdom national standard)を意味する。ブタ第VIII因子単位(porcine factor VIII unit)に関する活性を評価するためには、試験すべき製品を、ブタ英国国家基準NIBSC 86/514(UK national porcine standard NIBSC 86/514)に対して評価する。組換え体ブタ第VIII因子に関して、組換え体ブタ第VIII因子についての活性の1単位はブタ第VIII因子についての活性の1単位と等価であることを理解すべきである。
【0024】
本発明の固体組成物は、下記の成分:
・ヒト第VIII因子又は組換え体ヒト第VIII因子については100〜5,000国際単位/mlの濃度又はブタ第VIII因子又は組換え体ブタ第VIII因子については100〜5,000ブタ単位/mlの濃度の第VIII因子;
・0.002〜0.04 v/v%の濃度の表面活性剤;
・1〜5mMの濃度の塩化カルシウム;
・5〜25mMの濃度のスクロース
・0.2〜0.4Mの濃度の塩化ナトリウム;
・1〜20mMの濃度のクエン酸三ナトリウム;及び
・1〜20mMの濃度の、アミノ酸を含まない緩衝剤;
の少なくとも一つを含有する、アミノ酸を含まない溶液の凍結乾燥によって得られるようなものであることがより好ましい。
【0025】
本発明の固体組成物は、下記の特性:
・ヒト第VIII因子又は組換え体ヒト第VIII因子については200〜2,000国際単位/ml(特に、約1,000国際単位/ml)の濃度又はブタ第VIII因子又は組換え体ブタ第VIII因子については200〜2,0000ブタ単位/ml(特に、約1,000のブタ単位/ml)の濃度の第VIII因子;
・0.002〜0.02 v/v%(特に、約0.01 v/v%)の濃度の表面活性剤;
・1〜3mM(特に、約2mM)の濃度の塩化カルシウム;
・5〜15mM(特に、約11.7mM)の濃度のスクロース
・0.25〜0.35M(特に、約0.3M)の濃度の塩化ナトリウム;
・1〜20mM(特に、約10mM)の濃度のクエン酸三ナトリウム;及び
・5〜15mM(特に、約10mM)の濃度の、アミノ酸を含まない緩衝剤;
の少なくとも一つを有する、アミノ酸を含まない溶液の凍結乾燥によって得られるようなものであることが更に好ましい。
【0026】
本発明の固体第VIII因子組成物は、適当な量の、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)として識別される前記成分を標準的な手法(殺菌状態等)で凍結乾燥することによって調製し得る。
【0027】
固体組成物のある期間に亘っての安定性は、例えば、本明細書の“分析方法”と題する個所に記載される方法又は当業者に適当であると認められている他の方法によって測定し得る。
【0028】
本発明の組成物は、本明細書の“分析方法”と題する個所に記載される方法を使用して評価して、当初の第VIII因子活性の70%〜130%(好ましくは80〜120%)をある期間に亘って保持している場合には、ある期間に亘って安定であると考えられる。
【0029】
本発明の固体組成物は、2〜8℃の温度に保持した場合に少なくとも6箇月又は12箇月安定であることが好ましい。30〜32℃の温度に保持した場合に少なくとも6箇月又は12箇月安定であることがより好ましい。
【0030】
本発明の固体第VIII因子組成物は、場合により塩化ナトリウムを含有する殺菌水で稀釈し、ついで得られた液状医薬組成物を、これを必要とする患者に直接、注射することができる。得られた液状医薬組成物並びに本発明の固体第VIII因子組成物を、場合により塩化ナトリウムを含有する殺菌水で稀釈して得られる液状医薬組成物も本発明の一部を構成する。
【0031】
本発明の液状組成物を、これを必要とする患者に投与することからなる血友病の治療方法も本発明の範囲に包含される。本発明の液状組成物について意図されている投与方法は、好ましくは、静脈内投与であろう。投与されるべき本発明の液状組成物の投与量は、各々の患者の病気の重症度を考慮に入れて、医師又は獣医によって決定されるであろう。
【0032】
“約”という用語は、考慮している数値の近くの区間を意味する。本明細書で使用されるごとく、“約X”は、X−Xの10%〜X+Xの10%の区間、好ましくは、X−Xの5%〜X+Xの5%の区間を意味する。
【0033】
本明細書で使用されている技術及び科学用語は、別に定義されていない限り、本発明の属する分野で通常の専門家によって通常理解されているものと同一の意味を有する。同様に本明細書に記載されている全ての刊行物、特許出願、全ての特許及び他の文献は参照として本明細書に包含される。
【0034】
以下に示す実施例は上記したことを例示するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0035】
実施例1:
下記の成分を0.5mlの殺菌水中に含有する溶液を調製した:
【0036】
【表1】
【0037】
混合物を殺菌ビン中で凍結乾燥しついで密閉した。得られた固体組成物を試験し、第VIII因子活性によって試験した場合、2〜8℃の温度では少なくとも18箇月、30〜32℃の温度では少なくとも6箇月安定であることが示された。サイズ排除HPLC(Size Exclusion HPLC)(SECHPLC)により評価した場合には、高分子量成分の形成、また、SDS PAGEで評価した場合にはフラグメントは認められなかった。
【0038】
得られた凍結乾燥混合物は、例えば、患者に注射する前に、1.0mlの殺菌水で再構成されるであろう。
【0039】
実施例2:
下記の成分を1.0mlの殺菌水中に含有する溶液を調製した:
【0040】
【表2】
【0041】
混合物を殺菌ビン中で凍結乾燥しついで密閉した。
【0042】
得られた凍結乾燥混合物は、典型的には、患者に注射する前に2.0mlの殺菌水で再構成される。
【0043】
実施例3:
下記の成分を0.5mlの殺菌水中に含有する溶液を調製した:
【0044】
【表3】
【0045】
混合物を殺菌ビン中で凍結乾燥しついで密閉した。
【0046】
得られた凍結乾燥混合物は、典型的には、患者に注射する前に1.0mlの殺菌水で再構成される。
【0047】
分析方法
色素試験(chromogenic assay)
第VIII因子活性を修正色素試験(Technochrom FVIII:C Reagent Kit,Technoclone)により測定した。第IX因子による活性化第X因子の発生を、反応中に助因子(cofactor)として作用する第VIII因子により刺激した。色素基体(chromogenic substrate)からのp-ニトロアニリンの放出を活性化第X因子によって触媒した。放出されたp-ニトロアニリンの量を405nmで測光法により測定し、この測定により生成されたp-ニトロアニリンの量と第FVIII因子との間に直線的関係が得られた。
【0048】
SECHPLC
可溶性高分子成分及びフラグメントを、蛍光検出器を備えたかつ0.78 x 30cm 予備充填カラムを有するTohoHass TSK G3000 SWXL(Waters LC Module 1 プラス)を使用して、HPLC上でのゲルろ過により測定した。励起波長 280nm及び発光波長340nm。結果の評価はピーク領域の積分によって行った。
【0049】
SDE PAGE試験
SDE PAGE(フラットベッド式電気泳動装置(Multiphor II LKB)及び予備キャスト7.5%ゲル(EXCELGEL SDS, Pharmacia)を使用するポリアクリルアミドゲル電気泳動)を使用して、第FVIII分子の破壊生成物を測定した。タンパク質バンドをクーマシーブルー染色により可視化した。
【0050】
安定性試験
安定性は、前記した評価を選択された温度(この温度は約+4℃又は;+31℃であり得る)に保持された同一の試料について異なる時期に行うことにより評価し得る。その第VIII因子活性が30%以上降下したとき、組成物はその安定性を失ったと考えられる。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]