(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。なお、以下においては、工作機械M1(
図1参照)の具体的な構成などの付随的な構成については、その詳細な説明を省略する。
〈第1の実施形態〉
始めに、第1の実施形態に係るオイルエクセプター1の構成について、
図1ないし
図7を用いて説明する。このオイルエクセプター1は、
図1に示すように、ワーク(図示省略)を切削加工するための工作機械M1に取り付けられて、この工作機械M1から排出される機械油などの油分が混入したクーラント液(以下、単に「廃液」とも称する。)L1を油分L3とクーラント液L4とに分離して、このクーラント液L4を工作機械M1に再供給するオイルエクセプターである。ここで、クーラント液L4は、所定の薬剤を水に溶かした水溶液であり、油分L3に対して互いに不溶で、かつ、この油分L3よりも比重が大きい。すなわち、クーラント液L4は、本発明における「水溶液」に相当する。
【0013】
上記工作機械M1は、クーラント液貯留タンク10と、空圧アクチュエータM11と、を備えている。この空圧アクチュエータM11は、工作機械M1が図示しないワーク搬入口を間歇的に開閉させるために、間歇的に作動される。すなわち、工作機械M1は本発明における「機械装置」に相当する。なお、本実施形態では、工作機械M1は空圧アクチュエータM11を時間t1=3[秒]だけ作動させ、その後に空圧アクチュエータM11の作動を時間t2=30[秒]だけ停止させることを繰り返すように構成されている。
上記クーラント液貯留タンク10は、工作機械M1に標準的に付属されているクーラント液貯留タンクを、工作機械M1に取り付けられるオイルエクセプター1にあわせて改造したものである。クーラント液貯留タンク10は、
図1および
図2に示すように、工作機械M1から排出された廃液L1がドレインパイプ11Aを通して随時導入される廃液貯留槽11と、内部に貯留したクーラント液L4を、クーラント液供給パイプ12Aを通して工作機械M1に随時供給するためのクーラント液貯留槽12と、を隔壁10Aで隔てた構造となっている。
【0014】
上記廃液貯留槽11は、
図2に示すように、上記クーラント液貯留槽12との間の隔壁10Aに設けられたスリット10Bにより、クーラント液貯留槽12と連通されている。このため、工作機械M1から廃液貯留槽11に廃液L1が導入され、クーラント液貯留槽12から工作機械M1にクーラント液L4が供給されると、上記スリット10Bを通して廃液貯留槽11からクーラント液貯留槽12に向かう流れ(
図2に示すスリット10B近くのクーラント液L4の矢印を参照)が生じる。
廃液貯留槽11において、ドレインパイプ11Aを通して導入された廃液L1は、廃液貯留槽11内に貯留された状態で、複数枚の隔壁11Cにより蛇行されながらスリット10Bに向かって緩やかに流れる。このため、上記廃液L1は、スリット10Bに向かって流れる間に、廃液L1よりも比重が小さい油分L3を分離させて廃液貯留槽11内の液面11B近くに浮上させるとともに、廃液L1よりも比重が大きいクーラント液L4を分離させて廃液貯留槽11の下部に沈下させる。
【0015】
ここで、廃液貯留槽11の下部に沈下したクーラント液L4は、クーラント液L4としての性能が新品のクーラント液と変わらない程度にまで油分が分離されている。このため、クーラント液貯留タンク10は、クーラント液L4をスリット10Bからクーラント液貯留槽12に向かって流してクーラント液貯留槽12に回収させ、回収したクーラント液L4を、クーラント液供給パイプ12Aを通して工作機械M1に再供給させる。
なお、スリット10Bは、廃液貯留槽11内の液体のうち、廃液貯留槽11の下部に沈下したクーラント液L4だけがクーラント液貯留槽12に向かって流れるように、そのスリット幅およびスリット長が設定されている。
【0016】
廃液貯留槽11において、上記液面11B近くに浮上した油分L3は、
図1および
図4に示すように、油分L3の下側に位置する廃液L1ごと混合液導入管20の先端に設けられた金属製の吸い上げノズル21から廃液上澄みL2として間歇的に吸い上げられる。この吸い上げノズル21は、
図1、
図3および
図5に示すように、混合液導入管20の金属パイプ20Aを介して実行手段30の負圧タンク31に配管されている。
上記負圧タンク31からは、
図1および
図5に示すように、油水分離槽40まで延びるように混合液導入管20の金属パイプ20Dが配管されている。このため、混合液導入管20は、実行手段30が間歇的に作動することで、廃液貯留槽11から負圧タンク31に廃液上澄みL2を間歇的に吸い上げ、この廃液上澄みL2を油水分離槽40に間歇的に流下させて導入させる(
図1参照)。ここで、上記廃液上澄みL2は、廃液L1と同様、クーラント液L4と油分L3とが混ざった液体であるため、本発明における「混合液」に相当する。
なお、混合液導入管20の金属パイプ20A、20Dは、
図5に示すように、それぞれ負圧タンク31にチェックバルブ20C、20Eを介して接続されている。この各チェックバルブ20C、20Eは、廃液貯留槽11から負圧タンク31に間歇的に吸い上げられて油水分離槽40に間歇的に流下する廃液上澄みL2の流れが逆流することを防ぐ機能を果たしている。
【0017】
上述した廃液上澄みL2の吸い上げは、
図1および
図5に示すように、上記実行手段30の負圧タンク31において、この負圧タンク31の内部の空気A1が実行手段30のエゼクタ32により間歇的に吸引されることで間歇的に発生される負圧により実行される。ここで、負圧タンク31には、この負圧タンク31の内部の空間を区切る所定の枚数(本実施形態では2枚)の隔壁31Aが設けられている。
上記構成によれば、エゼクタ32が発生させる負圧により廃液上澄みL2を吸い上げる。このため、電動のポンプを不要として、廃液上澄みL2を吸い上げるための構造を単純かつ軽量かつコンパクトにすることができる。また、エゼクタ32は上記負圧を負圧タンク31の内部に発生させる。これにより、吸い上げられた廃液上澄みL2がエゼクタ32に到達してこのエゼクタ32から霧状に噴射されることを防ぐことができる。また、負圧タンク31の内部の空間を区切る隔壁31Aにより、吸い上げられた廃液上澄みL2をエゼクタ32にさらに到達しにくくすることができる。
【0018】
上述したエゼクタ32は、圧縮空気A3が供給されることで作動するが、本実施形態のオイルエクセプター1では、工作機械M1の空圧アクチュエータM11が作動する際に、この空圧アクチュエータM11の排出側管路M12から排出される空気を圧縮空気A3として使用する。すなわち、上記排出側管路M12は、
図5に示すように、エゼクタ32に直結されることで、空圧アクチュエータM11が作動する際に排出される空気をエゼクタ32で外気A2に開放させて、エゼクタ32を作動させる。ここで、空圧アクチュエータM11から排出される空気は、この空圧アクチュエータM11を作動させる空気よりは低圧であるが、外気A2よりは高圧(本実施形態では約3.5[気圧])であるため、エゼクタ32を作動させることができる。
また、空圧アクチュエータM11は、上述したように、時間t1=3[秒]だけ作動し、時間t2=30[秒]だけ停止することを繰り返す。このため、空圧アクチュエータM11の排出側管路M12は、時間t1=3[秒]だけエゼクタ32に圧縮空気A3を供給し、この圧縮空気A3の供給を時間t2=30[秒]だけ停止させることを繰り返す。これにより、廃液上澄みL2を間歇的に吸い上げるための空圧源および制御機構を別途用意する必要をなくして、廃液上澄みL2を間歇的に吸い上げるための構造をより単純かつより軽量かつよりコンパクトにすることができる。
【0019】
混合液導入管20の吸い上げノズル21およびこの吸い上げノズル21の周囲にある混合液導入管20の各構成について説明する。上記吸い上げノズル21は、
図3に示すように、開口端が金属パイプ20Aに接続された長尺の有底管(本実施形態では有底円筒管)に、この有底管の長手方向に沿う方向と上記長手方向に垂直な方向とに切り込みを入れて、上記有底管の底部および側面部の一部を切り欠いた形状に形成されている。
吸い上げノズル21は、
図3および
図4に示すように、取り付け部22Aを介して所定の数(本実施形態では2個)のフロート22に取り付けられている。このフロート22は、廃液貯留槽11内の液面11B上に浮かぶことで、この液面11Bの上下動に合わせて吸い上げノズル21を上下動させることができるように、吸い上げノズル21を支持する。
【0020】
上記フロート22は、
図4に示すように、吸い上げノズル21を、その長手方向が水平となり、かつ、吸い上げノズル21に形成された切り欠きが上方を向くように支持する。これにより、フロート22に支持された吸い上げノズル21には、廃液貯留槽11内の液体をオーバーフローさせて溜める液溜め部21Aが備えられる。
また、上記取り付け部22Aは、
図3および
図4に示すように、フロート22に対する吸い上げノズル21の上下方向の相対位置を調節できるようになっている。これにより、吸い上げノズル21は、その上部が廃液貯留槽11内の液面11Bよりも上に位置し、かつ、液溜め部21Aが廃液貯留槽11内の油分L3よりも下に位置するように設定される。この設定は、オイルエクセプター1の使用者(図示省略)が、廃液貯留槽11内の状態を考慮して適宜設定するものである。
【0021】
上記設定により、吸い上げノズル21は、廃液貯留槽11の液面11B近くに浮上した油分L3を、この油分L3の下側に位置する廃液L1とともに、吸い上げノズル21の液溜め部21Aに常時オーバーフローさせて溜めるようになっている。そして、吸い上げノズル21は、上述した負圧タンク31に間歇的に発生される負圧が吸引力となって金属パイプ20Aから伝えられることで、吸い上げノズル21の液溜め部21Aに溜められた液体を廃液上澄みL2として間歇的に吸引する。
ここで、吸い上げノズル21が1回に吸引する廃液上澄みL2の量は毎回ほぼ一定(本実施形態では約50[ml])であり、廃液貯留槽11内の液体の量(10[l]以上)と比べて非常に少ない。
【0022】
このとき、上記廃液上澄みL2は、
図4および
図5に示すように、その上部の空気A1とともに吸い上げノズル21内にほぼ水平に吸引されて、上記空気A1とともに上記負圧タンク31まで吸い上げられる。そして、負圧タンク31では、一緒に吸い上げられた廃液上澄みL2と空気A1とが分離されて、廃液上澄みL2は金属パイプ20Dを通して油水分離槽40に流下され、空気A1は上述したエゼクタ32に吸引されて外気A2に開放される。
上記構成によれば、混合液導入管20は廃液上澄みL2を空気A1とともに吸い上げて油水分離槽40に導入させる。これにより、混合液導入管20内で同時に移動する物質の合計質量を減らして、廃液上澄みL2を吸い上げて油水分離槽40に導入させるために必要な吸引力をより小さくすることができる。また、上記吸引力は負圧タンク31内の負圧によって発生されるものであるため、廃液上澄みL2と一緒に吸い上げられた空気A1を簡単に分離させることができる。
【0023】
ところで、吸い上げノズル21は、そのフロート22に対する上下方向の相対位置が調整されることにより、液溜め部21Aに溜められて廃液上澄みL2として吸い上げられる液体において、油分L3の割合が廃液L1の割合よりも少なくなるようになっている。本実施形態においては、上記廃液上澄みL2における油分L3と廃液L1との量の比は、毎回ほぼ3:7となるように設定されている。これにより、廃液上澄みL2の中の油分L3が混合液導入管20の内面に付着してこの混合液導入管20を詰まらせることが防止される。
また、廃液貯留槽11から吸い上げられた廃液上澄みL2は、
図1に示すように、混合液導入管20の金属パイプ20A、20Dを通って油水分離槽40に導入される。廃液上澄みL2を通す部材として金属パイプ20A、20Dを使用することにより、廃液上澄みL2の中の油分L3が起こす化学反応により混合液導入管20が劣化することを抑えることができる。
ここで、廃液貯留槽11内においては、
図3に示すように、金属パイプ20Aは3本に分割されて、上述した吸い上げノズル21とともに3個のスィベルジョイント20Bにより1本に連結されている。この3個のスィベルジョイント20Bが吸い上げノズル21および金属パイプ20Aを回動自在に連結させる構成により、吸い上げノズル21を廃液貯留槽11内の液面11Bの上下動に追従させて上下動させることができる。
【0024】
上述した油水分離槽40は、
図6および
図7に示すように、上記金属パイプ20Dから廃液上澄みL2が間歇的に導入される廃液上澄み導入槽41と、油分L3を油回収管42Aで回収するための油回収槽42と、クーラント液L4をクーラント液回収管43Aで回収するためのクーラント液回収槽43と、を隔壁40A、40Cを挟んで隣接させた構造となっている。ここで、上記クーラント液回収管43Aは、本発明における「水溶液回収管」に相当する。
上記廃液上澄み導入槽41、油回収槽42、および、クーラント液回収槽43には、
図7に示すように、それぞれ前もってクーラント液L4がオーバーフローする寸前まで入れられている。このため、油水分離槽40内の廃液上澄みL2およびこの廃液上澄みL2から分離した油分L3は、回収されるまでの間常にクーラント液L4の上に浮かんだ状態となる。これにより、油分L3が油水分離槽40の底面に付着して、この油水分離槽40内に回収されない状態で溜まることを抑えることができる。
【0025】
上記廃液上澄み導入槽41において、廃液上澄みL2は、
図6および
図7に示すように、その一方側(
図7で見て左側)の壁面近くに上方から導入される。この廃液上澄みL2は、廃液上澄み導入槽41内の液面を上昇させて、この廃液上澄み導入槽41と油回収槽42との間の隔壁40Aに形成された溝部40Bにおいて、導入された廃液上澄みL2と同量の液体を油回収槽42へオーバーフローさせる。
ここで、上記溝部40Bは、
図6に示すように、上記隔壁40Aのうち、廃液上澄みL2の導入位置とは反対側(図示手前側)に形成されている。このため、溝部40Bからのオーバーフローは、廃液上澄み導入槽41内に、上述した金属パイプ20Dから導入された廃液上澄みL2を上記溝部40Bに向かって緩やかに流す流れを発生させる。そして、溝部40Bの近くにまで流された廃液上澄みL2は、次に上記金属パイプ20Dから廃液上澄みL2が導入されて廃液上澄み導入槽41内の液面が上昇した際に、上記溝部40Bを通って油回収槽42へオーバーフローする。
なお、本実施形態の廃液上澄み導入槽41には、
図6および
図7に示すように、廃液上澄みL2の導入位置において廃液上澄み導入槽41の深さが部分的に深くされることにより、汚泥溜め部41Aが形成されている。この汚泥溜め部41Aは、廃液上澄みL2として吸い上げられた廃液L1に、工作機械M1が発生させた削りくずなど、クーラント液L4よりも比重が大きい固形物が混ざっていた場合に、この固形物を汚泥Sとして溜めることができるように構成されている。
【0026】
上記溝部40Bから油回収槽42にオーバーフローした廃液上澄みL2は、溝部40Bからの間歇的なオーバーフローが油回収槽42内に発生させる緩やかな流れに乗って、上述した油回収管42Aの近くにまで流される。ここで、上記廃液上澄みL2においては、上述した金属パイプ20Dからの廃液上澄みL2の導入およびこの導入による溝部40Bからのオーバーフローが間歇的となることにより、新しい廃液上澄みL2の流入が停止される時間が確保される。この時間において、油回収槽42内の廃液上澄みL2は、新しく導入される廃液上澄みL2により攪拌されることがないため、クーラント液L4と油分L3の分離が促進される。すなわち、油回収槽42内の廃液上澄みL2は、新しい廃液上澄みL2の流入が停止される時間において、クーラント液L4とこのクーラント液L4に浮かんだ油分L3とに分離される。
このため、上述した油回収管42Aの近くにおいて、油回収槽42内の廃液上澄みL2は、クーラント液L4とこのクーラント液L4に浮かんだ油分L3とに分離された状態となっている。上記構成によれば、油水分離槽40に廃液上澄みL2を間歇的に導入させる構成により、油水分離槽40が廃液上澄みL2をクーラント液L4と油分L3とに分離する能率を向上させることができる。
【0027】
また、上記溝部40Bから油回収槽42にオーバーフローした廃液上澄みL2は、油回収槽42内の液面を上昇させる。ここで、油回収槽42とクーラント液回収槽43とは、
図6および
図7に示すように、隔壁40Cの隙間40Dにより互いに連通されている。このため、油回収槽42内の液面が上昇すると、クーラント液回収槽43内の液面もほぼ同じだけ上昇する。
なお、上記隔壁40Cは上記隙間40Dを油回収槽42およびクーラント液回収槽43の底部近くに備えることで、クーラント液L4だけを流通させて、このクーラント液L4に浮かぶ廃液上澄みL2および油分L3がクーラント液回収槽43に流入することを防ぐようになっている。ここで、油回収槽42内の液面とクーラント液回収槽43内の液面とを比較すると、
図7に示すように、油回収槽42内の廃液上澄みL2および油分L3がクーラント液L4よりも比重が小さい分だけ、油回収槽42内の液面のほうがわずかに高くなる。
【0028】
上記液面の上昇は、
図7に示すように、クーラント液回収槽43内のクーラント液回収管43A近くのクーラント液L4がクーラント液回収管43Aにオーバーフローすることと、油回収槽42内の油回収管42A近くの油分L3が油回収管42Aにオーバーフローすることと、により元に戻る。上記クーラント液回収管43Aにオーバーフローしたクーラント液L4は、
図1および
図2に示すように、クーラント液貯留タンク10のクーラント液貯留槽12に流下して回収される。上記油回収管42Aにオーバーフローした油分L3は、
図1に示すように、油貯留タンク44に流下して回収される。これにより、混合液導入管20から導入される廃液上澄みL2が油水分離槽40内の液面を上昇させるたびに、廃液上澄みL2から分離された油分L3およびクーラント液L4を回収することができる。
なお、本実施形態では、クーラント液貯留槽12に回収されたクーラント液L4は、
図1および
図2に示すように、クーラント液供給パイプ12Aを通して工作機械M1に再供給される。また、油貯留タンク44に回収された油分L3は、オイルエクセプター1の油貯留タンク44を適宜交換することで捨てられるようになっている。
【0029】
ところで、上記クーラント液回収管43Aの開口は上記油回収管42Aの開口よりも下側に位置している。本実施形態では、クーラント液回収管43Aは、その開口の位置が図示しない伸縮機構により上下方向に調整されることで、油回収管42Aの開口よりも1[mm]〜3[mm]程度下方で開口するようになっている。
上記構成によれば、油回収管42Aへの油分L3のオーバーフローとクーラント液回収管43Aへのクーラント液L4のオーバーフローとを同時に進行させ、かつ、油貯留タンク44に回収するべき油分L3にクーラント液L4が混ざることを防ぐことができる。
【0030】
〈第2の実施形態〉
続いて、第2の実施形態に係るオイルエクセプター51の構成について、
図8ないし
図12を用いて説明する。第2の実施形態に係るオイルエクセプター51は、第1の実施形態に係るオイルエクセプター1を変形した実施形態である。したがって、上記第1の実施形態に係るオイルエクセプター1およびクーラント液貯留タンク10の各構成と共通する構成については、第1の実施形態に係るオイルエクセプター1およびクーラント液貯留タンク10の各構成に付した符号から、その数字に「50」を加算した符号を付して対応させ、その詳細な説明を省略する。
第2の実施形態のオイルエクセプター51は、
図8に示すように、空圧アクチュエータを備えていない工作機械M2に付属されて、実行手段80の空圧回路83が間歇的に供給する圧縮空気A3を実行手段80のエゼクタ82に供給するオイルエクセプターである。ここで、上記空圧回路83は、
図11に示すように、常時一定の空圧を与える空圧源83Aだけで作動するように構成されている。このため、オイルエクセプター51は、空圧源83A以外のエネルギー源を使用することなく、かつ、工作機械M2の作動状態によらず作動することができる。
【0031】
ここで、空圧回路83が圧縮空気A3を間歇的に供給する構成について、
図11および
図12を用いて説明する。なお、以下においては、空圧回路83の初期状態は
図12のタイムチャートに示す段階0であり、空圧回路83は
図11に示す状態にあるものとして説明を行う。また、
図12のタイムチャートにおいて、「順方向連続入力」は、各構成に順方向(
図11の空圧回路83に示された空気の流れの方向)に連続的に空気が流入している状態を、「順方向パルス出力」は、各構成から順方向に瞬間的に空気が流出する状態を、それぞれ表す。
上記段階0の空圧回路83に空圧源83Aが空圧を与えると、この空圧源83Aから流路切り替え弁83Bに空気が供給され、この空気が流路切り替え弁83BのR側(
図11参照)により空圧作動式タイマー83Cと流速制御構造83Dとに分配されて連続的に供給される。なお、83Eは、何らかの理由により空圧回路83内の空気の圧力が上昇した場合に、空気を自動的に開放させるための安全弁である。
【0032】
上記空圧作動式タイマー83Cに供給された空気は、空圧作動式タイマー83C内に蓄えられて、この空圧作動式タイマー83C内の空気の圧力を徐々に上昇させる。また、上記流速制御構造83Dに供給された空気は、空気噴射ノズル92Bに一定の流速で供給されて、空気噴射A4(
図10参照)として開放される。この状態は、
図12のタイムチャートに示す段階1に相当する。
上記空圧作動式タイマー83Cは、この空圧作動式タイマー83C内の空気の圧力が閾値以上となると、空圧作動式タイマー83C内の空気をパルス出力パイプ83Fからの順方向パルス出力として開放し、空気が供給され始める前と同じ状態に戻る。なお、空圧作動式タイマー83Cは、上記閾値をダイヤル(図示省略)により調節することで、空圧作動式タイマー83Cに空気が供給され始めてから空圧作動式タイマー83C内の空気を開放するまでの時間間隔を調節できるように構成されている。本実施形態では、上記閾値は、上記時間間隔が時間t2=30[秒]となるように調整されている。
【0033】
上記パルス出力パイプ83Fからの順方向パルス出力は、上述した流路切り替え弁83Bを通して開放されることで、この流路切り替え弁83Bにおける空気の流路をL側(
図11参照)切り替える。これは、
図12のタイムチャートにおける段階1から段階2への切り替えに相当する。
流路切り替え弁83Bにおいて空気の流路がL側(
図11参照)に切り替えられると、上記空圧作動式タイマー83Cおよび上記流速制御構造83Dへの空気の供給が停止され、空気噴射ノズル92Bからの空気噴射A4(
図10参照)が止まる。そして、流路切り替え弁83Bは、空圧源83Aから供給される空気を空圧作動式タイマー83Gとエゼクタ接続パイプ82Aとに分配して連続的に供給する。なお、83Hは、何らかの理由により空圧回路83内の空気の圧力が上昇した場合に、空気を自動的に開放させるための安全弁である。
【0034】
上記空圧作動式タイマー83Gに供給された空気は、空圧作動式タイマー83G内に蓄えられて、この空圧作動式タイマー83G内の空気の圧力を徐々に上昇させる。また、上記エゼクタ接続パイプ82Aに供給された空気は、エゼクタ82(
図8参照。
図11では図示省略)に供給されて、このエゼクタ82を作動させる。この状態は、
図12のタイムチャートに示す段階2に相当する。
上記空圧作動式タイマー83Gは、この空圧作動式タイマー83G内の空気の圧力が閾値以上となると、空圧作動式タイマー83G内の空気をパルス出力パイプ83Iからの順方向パルス出力として開放し、空気が供給され始める前と同じ状態に戻る。なお、空圧作動式タイマー83Gは、上記閾値をダイヤル(図示省略)により調節することで、空圧作動式タイマー83Gに空気が供給され始めてから空圧作動式タイマー83G内の空気を開放するまでの時間間隔を調節できるように構成されている。本実施形態では、上記閾値は、上記時間間隔が時間t1=3[秒]となるように調整されている。
【0035】
上記パルス出力パイプ83Iからの順方向パルス出力は、上述した流路切り替え弁83Bを通して開放されることで、この流路切り替え弁83Bにおける空気の流路をR側(
図11参照)に切り替える。これは、
図12のタイムチャートにおける段階1から段階3への切り替えに相当するが、この段階3は上述した段階0と同じ状態である。このため、空圧回路83は、段階3から段階0に戻り、上述した各段階を繰り返す。
上記空圧回路83によれば、常時一定の空圧を与える空圧源83Aだけを用いて、エゼクタ82に圧縮空気A3を間歇的に供給することができる。これにより、オイルエクセプター51は、廃液上澄みL2の吸い上げを間歇的に実行することができる。
【0036】
ところで、上述した空気噴射ノズル92Bは、
図9および
図10に示すように、油水分離槽90の油回収槽92に、この油回収槽92の上部から油回収管92A側(
図10で見て右側)に向けて傾斜して伸びるように配置されている。この空気噴射ノズル92Bは、
図10に示すように、空気噴射A4を油回収槽92内の液面に斜め上方から当てることで、この油回収槽92の油分L3を波立たせる。
上記構成によれば、空気噴射ノズル92Bの空気噴射A4が油回収槽92内の油分L3に波を発生させることで、油回収槽92内で油分L3が固まることが防がれる。これにより、油回収槽92の油回収管92Aが油分L3を回収する能率が低下することを抑えることができる。
【0037】
また、上記空気噴射ノズル92Bは、上述した段階1(
図12参照)において油回収槽92内の液面に油回収管92A側に向けて傾斜した空気噴射A4を当て、この空気噴射A4を上述した段階2(
図12参照)において停止させることを繰り返す。このため、油回収槽92内の油分L3は、油回収管92Aに向けて吹き寄せられる。これにより、上記油回収管92Aが油分L3を回収する能率を向上させることができる。すなわち、上記空気噴射ノズル92Bは本発明における「送風手段」に、上記空気噴射A4は本発明における「風」に、それぞれ相当する。
なお、上記空気噴射ノズル92Bに供給される空気は上述した流速制御構造83D(
図11参照)によりその流速が抑えられている。このため、上記空気噴射A4が発生させる波はさざ波であり、空気噴射A4は油回収槽92における廃液上澄みL2を攪拌してこの廃液上澄みL2の分離を妨げることがない。
【0038】
〈第3の実施形態〉
続いて、第3の実施形態に係るオイルエクセプター101の構成について、
図13乃至
図18を用いて説明する。第3の実施形態に係るオイルエクセプター101は、第1の実施形態に係るオイルエクセプター1を変形したものである。したがって、上記第1の実施形態に係るオイルエクセプター1およびクーラント液貯留タンク10の各構成と共通する構成については、第1の実施形態に係るオイルエクセプター1およびクーラント液貯留タンク10の各構成に付した符号から、その数字に「100」を加算した符号を付して対応させ、その詳細な説明を省略する。
第3の実施形態では、実行手段130としてエゼクタ133と混合液分離器134を備える。エゼクタ133は、工作機械M1の空圧アクチュエータM11から圧縮空気A3が供給されることにより内部に負圧を発生し、その負圧によって混合液導入管120の金属パイプ120Aから混合液L2を吸い上げて圧縮空気A3と共に吐出する。金属パイプ120Aからの混合液L2には、上述のように空気A1も混入しているので、結果としてエゼクタ133からは混合液L2、空気A1、圧縮空気A3が吐出される。
【0039】
図16には、エゼクタ133を拡大して示しており、エゼクタ本体133Aの一端には、圧縮空気供給パイプ133Bが設けられ、対向する他端には、吐出パイプ133Dが設けられている。圧縮空気供給パイプ133Bには、空圧アクチュエータM11からの圧縮空気A3が供給され、吐出パイプ133Dからは、混合液L2、空気A1、圧縮空気A3が吐出される。エゼクタ本体133Aの両端間には斜め方向から混合液供給パイプ133Cが設けられ、混合液供給パイプ133Cには、金属パイプ120Aからの混合液L2、空気A1が供給されている。
圧縮空気供給パイプ133Bから圧縮空気A3が供給されると、その圧縮空気A3が吐出パイプ133Dに向けて流れる過程で、エゼクタ本体133Aの内部構造によってエゼクタ本体133A内に負圧が発生され、この負圧によって混合液供給パイプ133Cを通じて混合液L2、空気A1が吸引される。なお、係るエゼクタ133の構成自体は公知であり、ここでは内部構造の詳細説明は省略する。
【0040】
一方、混合液分離器134は、エゼクタ133から吐出される混合液L2、空気A1、圧縮空気A3を受けて、混合液L2を空気A1、圧縮空気A3から分離して吐出する。
図17には、混合液分離器134が拡大して示されており、縦型円筒状の混合液分離器本体134Aの円周面上には、混合液供給パイプ134Bが設けられ、混合液分離器本体134Aの円筒の上端には、排気パイプ134Dが設けられている。また、混合液分離器本体134Aの円筒の下端の混合液吐出口134Cには、後述の油水分離槽140のフィルタボックス収納容器145Fが固定されている。
混合液供給パイプ134Bからエゼクタ133からの混合液L2、空気A1、圧縮空気A3が供給されると、それらは混合液分離器本体134Aの円筒の内壁に当り、混合液L2は重力により内壁を伝って下方に流れ、空気A1と圧縮空気A3は、排気パイプ134Dが外気A2に開放されているため、排気パイプ134Dを経て外気A2(
図13参照)中に放出される。混合液吐出口134Cから滴下する混合液L2はフィルタボックス収納部145Fを介して後述のフィルタ145に供給される。
上述のように空圧アクチュエータM11からの圧縮空気A3は間歇的に供給されるため、エゼクタ133では混合液L2が間歇的に吸引され、混合液分離器134からは混合液L2が間歇的にフィルタ145に供給される。
【0041】
図15に示されるように、油水分離槽140の廃液上澄み導入槽141の上部には、全面に渡ってフィルタ145が設けられている。フィルタ145は、廃液上澄み導入槽141と一体に形成されたフィルタボックス収納容器145Fに収納されて引出可能に構成されている。そのため、フィルタ145のフィルタボックス145Aの側部には、引き出し操作を行う際に操作性を良くするための取っ手145Dが設けられている。
図18には、フィルタ145が拡大して示されており、方形の容器状に形成されたフィルタボックス145Aの取っ手145Dとは反対側の側部には、低い位置に混合液吐出口145Eが設けられている。フィルタボックス145Aの容器内で、混合液吐出口145Eより高い位置には、中敷板145Bが設けられている。中敷板145Bは、メッシュ板で形成され、その上に不織布145Cを載せることができるように構成されている。
上述のように、混合液分離器134からフィルタ145の上部に混合液L2が供給されると、混合液L2は不織布145Cで固形物がろ過され、中敷板145Bを通って、混合液吐出口145Eから廃液上澄み導入槽141内に滴下される。このため、廃液上澄み導入槽141内に供給される混合液L2は、混合液導入管120からの混合液L2に混入していた塵、切り粉(金属片)、バクテリアなどの固形物が除去されたものとなる。不織布145C内に捕捉された、それらの固形物が許容量を超えたときは、フィルタボックス145Aを引き出して不織布145Cを洗浄して再生させるか、新しいのものと交換することができる。
【0042】
図15に示されるように、第3の実施形態の油水分離槽140は、第1の実施形態の油水分離槽40における隔壁40Aが油水分離槽40の槽本体に対して固定されていたのに対し、廃液上澄み導入槽141と油回収槽142とを隔離する隔壁板140Eが着脱自在に構成されている。また、第1の実施形態における隔壁40Aの溝部40Bが1箇所のみに設けられていたのに対し、第3の実施形態における隔壁板140Eでは溝部140Bが2箇所に設けられている。隔壁板140Eの上中央部には、取っ手140Fが設けられ、隔壁板140Eを着脱操作する際の操作を容易にしている。
隔壁板140Eは、廃液上澄み導入槽141に浮遊する油分の多い混合液L2を、溝部140Bを通して油分の少ない混合液L2から分離して油水分離槽40に流入させている。係る分離を必要としない場合には隔壁板140Eを取り外すことができるようにしている。
第3の実施形態の油水分離槽140では、上述のように廃液上澄み導入槽141の上部にフィルタ145を備えているため、第1の実施形態における廃液上澄み導入槽41の底部に設けられていた汚泥溜め部41A(
図6、7参照)を備えていない。
第3の実施形態における油水分離槽140のその他の構成は、油回収槽142とクーラント液回収槽143の配置関係が、第1の実施形態の油回収槽42とクーラント液回収槽43の配置関係に比べて相違することと、油水分離槽140の上方にエゼクタ133等を支持するための支持板146を備えることに関して第1の実施形態と相違するのみで、両者同一である。
【0043】
図14に示されるように、第3の実施形態のクーラント液貯留タンク110は、第1の実施形態のクーラント液貯留タンク10における廃液貯留槽11が複数の隔壁11Cによって迷路構造とされていた(
図2参照)のに対し、そのような迷路構造を採用していない。迷路構造を採用しない理由は、迷路構造を採用しなくても廃液貯留槽111内で油分を浮遊させることができる場合もあるからである。
また、第3の実施形態の混合液導入管120のフロート123は、第1の実施形態のフロート22が2個(
図2〜4参照)だったのに対し、1個のみで構成されている。これは、第1の実施形態のようにフロート22が2個の場合、廃液貯留槽11内で浮遊する油分が渦巻くと、油分がフロート22と干渉して乱されて油分が分散されるのに対し、第3の実施形態のようにフロート123を1個のみとすると、油分とフロート123との干渉が減って油分の分散が起き難くなるためである。
更に、第3の実施形態では、クーラント液貯留タンク110のクーラント液貯留槽112の側部に回収した油を溜める油貯留タンク144を配置している。
【0044】
第3の実施形態によれば、混合液L2をエゼクタ133により発生される負圧により吸い上げ、混合液分離器134によって空気A1、圧縮空気A3と分離される。これにより、電動のポンプを不要として、混合液L2を間歇的に導入するための構造を単純かつ軽量かつコンパクトにすることができる。
【0045】
図19には、第3の実施形態の隔壁板140Eの変形例を示している。この変形例では、隔壁板140Eの溝部140Bの高さを調整可能としている。即ち、溝部140Bには、その全幅に対応する幅を備えた水位調整板140Gが着脱自在とされている。水位調整板140Gは、全体として断面L字型に形成され、その下側片140Hが二股に形成されて溝部140Bの上端縁に上方から嵌合可能とされている。従って、水位調整板140Gの溝部140Bに対する上下方向の嵌合深さを調整することにより水位調整板140Gの高さを調整可能とされている。水位調整板140Gは、隔壁板140Eの2箇所の溝部140Bにそれぞれ設けられる。
このように水位調整板140Gの高さを調整して隔壁板140Eの溝部140Bの高さを調整可能とすることにより、油水分離層140の廃液上澄み導入槽141に実行手段130から流入される混合液L2の量に対する油回収層142へ流入する混合液L2の量を任意に調整可能とすることができる。
【0046】
本発明は、上述した第1および第2の実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、以下のような各種の形態を実施することができる。
(1)本発明のオイルエクセプターの用途は、油分が混入したクーラント液から油分とクーラント液とを分離させるものに限定されない。すなわち、本発明のオイルエクセプターを、油分が混ざった洗浄液から油分と洗浄液とを分離させる用途など、水溶液と、この水溶液に対して不溶で、かつ、この水溶液よりも比重が小さい油分と、が混ざった混合液から、水溶液と油分とを分離させる任意の用途に用いることができる。
(2)本発明のオイルエクセプターにおいて、混合液導入管の構成は上述したものに限定されない。すなわち、例えば混合液導入管の吸い上げノズルから液溜め部をなくして、吸い上げノズルを円筒形状または角筒形状とすることができる。また、混合液導入管の一部または全部をゴムホースとするなど、混合液導入管の素材および形状を適宜変更することができる。また、混合液導入管は、油分が分離する前の廃液を油水分離槽に導入させるものであってもよい。
(3)本発明のオイルエクセプターにおいて、実行手段の構成は上述した各実施形態に限定されない。すなわち、実行手段において、例えばエアーリフトポンプ(配管内の液体に気泡を導入して、この気泡が浮上する動きにより液体を持ち上げるポンプ)や間欠式ポンプ(geyser pump、配管内に間歇的に高圧の気体を導入して、この高圧の気体により配管内に間歇的に流れ込む液体を間歇的に押し上げるポンプ)など、任意の形式のポンプを使用することができる。また、例えば油水分離槽への混合液の導入を、混合液導入管を通した流下のみによって行い、実行手段が上記混合液導入管を間歇的に開閉することによって、混合液の油水分離槽への導入を間歇的にする構成を用いることもできる。