特許第5770782号(P5770782)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5770782オペレータ端末、ユーザ端末、所要時間通知方法、及びオペレータ端末用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770782
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】オペレータ端末、ユーザ端末、所要時間通知方法、及びオペレータ端末用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/048 20130101AFI20150806BHJP
   G06F 3/14 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   G06F3/048 652A
   G06F3/048 654A
   G06F3/14 320A
   G06F3/14 340A
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-109362(P2013-109362)
(22)【出願日】2013年5月23日
(65)【公開番号】特開2014-229147(P2014-229147A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2014年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【審査官】 山崎 慎一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−033407(JP,A)
【文献】 特開2010−055153(JP,A)
【文献】 特開2010−165152(JP,A)
【文献】 特開2012−133210(JP,A)
【文献】 特開2010−226388(JP,A)
【文献】 特開2004−280695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048
G06F 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上のユーザ端末と通信可能に接続されたオペレータ端末であって、
前記ユーザ端末の画面に表示された内容を受信し、前記オペレータ端末の画面に表示することで画面表示を共有する画面共有手段と、
前記ユーザ端末に対する入力を、当該ユーザ端末に送信する入力送信手段と、
前記ユーザ端末から、前記送信した入力による画面表示の変化について、変化後の画面表示の受信に係る所要時間を受信する受信所要時間受信手段と、
前記受信した所要時間を、前記オペレータ端末の出力部へ出力する受信所要時間通知手段と、
を備えることを特徴としたオペレータ端末。
【請求項2】
前記ユーザ端末に対する入力の有無、又は入力の内容の少なくともいずれかを前記オペレータ端末の出力部へ出力する入力内容通知手段と、
を備えることを特徴とした請求項1に記載のオペレータ端末。
【請求項3】
前記ユーザ端末からのデータ受信速度を計測する受信速度計測手段と、
前記受信所要時間受信手段に替えて、前記送信した入力による画面表示の変化について、変化後の画面表示の受信に係る所要時間を、前記計測した受信速度に基づいて算出する受信所要時間算出手段と、を備え、
前記受信所要時間通知手段においては、前記受信した所要時間に替えて、前記算出した所要時間を通知することを特徴とした請求項1又は請求項2に記載のオペレータ端末。
【請求項4】
前記受信所要時間通知手段において、前記所要時間の通知は、前記オペレータ端末の備える画面上に表示されたアイコンのアイコンバッジとして表示されることを特徴とした請求項1乃至3のいずれか一項に記載のオペレータ端末。
【請求項5】
一以上のオペレータ端末と通信可能に接続されたユーザ端末であって、
前記ユーザ端末の画面に表示された内容を送信することで画面表示を共有する画面共有手段と、
前記ユーザ端末に対する入力を、前記オペレータ端末から受信する入力受信手段と、
前記オペレータ端末へのデータ送信速度を計測する送信速度計測手段と、
前記受信した入力による画面表示の変化について、変化後の画面表示の送信に係る所要時間を、前記計測した送信速度に基づいて算出する送信所要時間算出手段と
前記算出した所要時間を前記オペレータ端末へ送信する送信所要時間送信手段と、
を備えることを特徴としたユーザ端末。
【請求項6】
一以上のユーザ端末と通信可能に接続されたオペレータ端末が実行する所要時間通知方法であって、
前記ユーザ端末の画面に表示された内容を受信し、前記オペレータ端末の画面に表示するステップと、
前記ユーザ端末に対する入力を、当該ユーザ端末に送信するテップと、
前記ユーザ端末から、前記送信した入力による画面表示の変化について、変化後の画面表示の受信に係る所要時間を受信するステップと、
前記受信した所要時間を、前記オペレータ端末の出力部へ出力するステップと、
を備えることを特徴とした所要時間通知方法。
【請求項7】
一以上のユーザ端末と通信可能に接続されたオペレータ端末に、
前記ユーザ端末の画面に表示された内容を受信し、前記オペレータ端末の画面に表示するステップ、
前記ユーザ端末に対する入力を、当該ユーザ端末に送信するテップ、
前記ユーザ端末から、前記送信した入力による画面表示の変化について、変化後の画面表示の受信に係る所要時間を受信するステップ、
前記受信した所要時間を、前記オペレータ端末の出力部へ出力するステップ、
を実行させることを特徴としたオペレータ端末用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ端末に対して入力を送信するオペレータ端末において、画面変化の受信に係る所要時間を通知するオペレータ端末、ユーザ端末、所要時間通知方法、及び、オペレータ端末用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、公衆回線網に接続された携帯端末をWebサーバ等と接続することで、ユーザに様々なサービスが提供されている。特に、スマートフォン(高機能携帯電話)の登場により、従来、パソコンに対して行われていた高度なサービスを、携帯電話で行うことが可能になってきた。
【0003】
また、サーバが提供するサービスではなく、スマートフォン単独でも、様々な機能がそれ自体に搭載されている。したがって、ユーザは、搭載されている全ての機能を熟知するには時間がかかることが多い。例えば、ユーザが所望する機能が、スマートフォンに搭載されていても、その機能を設定する方法が不明であるため、ユーザがその機能を活用することができないといった問題も生じている。
【0004】
したがって、このような高度なWebサービスや、高度なスマートフォンの機能を最大限に利用するには、スマートフォンに対する設定操作や機能を、ユーザは熟知する必要がある。さらに、操作に不慣れなユーザが、端末に対して、初めての設定を行うと、削除すべきでない設定情報を削除してしまったり、適切でない設定を行うことでエラーを発生させてしまったりする場合も多い。
【0005】
このような課題に対して、ユーザの端末に対して、システムからリモートサポート(遠隔保守)を行うことで、ユーザの端末を遠隔から設定したり、遠隔からユーザを指導したりする方法が知られている。例えば、特許文献1では、サポート対象となる各クライアントの画面情報をサーバ側で取得し、サーバでこの画面情報を、常時、一覧表示することで、クライアントに対するサポート及び監視の効率を向上させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−6062号公報
【特許文献2】特開2011−034315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、リモートサポートを行う端末から、サポートを受けるユーザ端末にリモートログイン等をして、リアルタイムで画面共有をすることで、リモート操作を行うことが知られている。すなわち、オペレータ端末に、ユーザ端末に表示されている画面を、逐次、転送して表示するとともに、オペレータ端末を操作すると、あたかも、ユーザ端末を操作しているかのように、入力操作(リモート操作)を行うことが可能となる。さらに、特許文献2では、携帯電話機を利用して、リモートサポートを行う方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、画面共有においては、画面の転送時間によって表示に遅延が発生することが知られている。すなわち、実際に処理を行うのはユーザ端末であるため、オペレータ端末からユーザ端末へ入力が送信されるのに要する時間と、ユーザ端末が入力を受け取り画面表示の変化が開始されるまでの時間と、実際に変化した画面表示をオペレータ端末が受信するまでの時間が経過するまでは、オペレータ端末側では入力に対する画面変化が生じず、入力が正確に行われているかが分からないという問題があった。
【0009】
本発明は、これらの課題に鑑み、ユーザ端末と画面表示を共有しながらユーザ端末に対して入力を送信するオペレータ端末において、送信された入力の内容をオペレータに通知するとともに、画面表示の変化がオペレータ端末に反映されるまでの時間をオペレータに通知するオペレータ端末、ユーザ端末、所要時間通知方法、及びオペレータ端末用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0011】
第1の特徴に係る発明は、一以上のユーザ端末と通信可能に接続されたオペレータ端末であって、
前記ユーザ端末の画面に表示された内容を受信し、前記オペレータ端末の画面に表示することで画面表示を共有する画面共有手段と、
前記ユーザ端末に対する入力を、当該ユーザ端末に送信する入力送信手段と、
前記ユーザ端末から、前記送信した入力による画面表示の変化について、変化後の画面表示の受信に係る所要時間を受信する受信所要時間受信手段と、
前記受信した所要時間を、前記オペレータ端末の出力部へ出力する受信所要時間通知手段と、
を備えることを特徴としたオペレータ端末を提供する。
【0012】
第1の特徴に係る発明によれば、一以上のユーザ端末と通信可能に接続されたオペレータ端末は、前記ユーザ端末の画面に表示された内容を受信し、前記オペレータ端末の画面に表示することで画面表示を共有し、前記ユーザ端末に対する入力を、当該ユーザ端末に送信し、前記ユーザ端末から、前記送信した入力による画面表示の変化について、変化後の画面表示の受信に係る所要時間を受信し、前記受信した所要時間を、前記オペレータ端末の出力部へ出力する。
【0013】
第1の特徴に係る発明は、オペレータ端末のカテゴリであるが、所要時間通知方法及び、オペレータ端末用プログラムであってもカテゴリに応じた同様の作用、効果を奏する。
【0014】
第2の特徴に係る発明は、前記ユーザ端末に対する入力の有無、又は入力の内容の少なくともいずれかを前記オペレータ端末の出力部へ出力する入力内容通知手段と、
を備えることを特徴とした第1の特徴に係る発明であるオペレータ端末を提供する。
【0015】
第2の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明であるオペレータ端末は、前記ユーザ端末に対する入力の有無、又は入力の内容の少なくともいずれかを前記オペレータ端末の出力部へ出力する。
【0016】
第3の特徴に係る発明は、前記ユーザ端末からのデータ受信速度を計測する受信速度計測手段と、
前記受信所要時間受信手段に替えて、前記送信した入力による画面表示の変化について、変化後の画面表示の受信に係る所要時間を、前記計測した受信速度に基づいて算出する受信所要時間算出手段と、を備え、
前記受信所要時間通知手段においては、前記受信した所要時間に替えて、前記算出した所要時間を通知することを特徴とした第1又は第2の特徴に係る発明であるオペレータ端末を提供する。
【0017】
第3の特徴に係る発明によれば、第1又は第2の特徴に係る発明であるオペレータ端末は、前記ユーザ端末からのデータ受信速度を計測し、前記送信した入力による画面表示の変化について、変化後の画面表示の受信に係る所要時間を、前記計測した受信速度に基づいて算出し、前記受信した所要時間に替えて、前記算出した所要時間を通知する。
【0018】
第4の特徴に係る発明は、前記受信所要時間通知手段において、前記所要時間の通知は、前記オペレータ端末の備える画面上に表示されたアイコンのアイコンバッジとして表示されることを特徴とした第1から第3のいずれかの特徴に係る発明であるオペレータ端末を提供する。
【0019】
第4の特徴に係る発明によれば、第1から第3のいずれかの特徴に係る発明であるオペレータ端末において、前記所要時間の通知は、前記オペレータ端末の備える画面上に表示されたアイコンのアイコンバッジとして表示される。
【0020】
第5の特徴に係る発明は、一以上のオペレータ端末と通信可能に接続されたユーザ端末であって、
前記ユーザ端末の画面に表示された内容を送信することで画面表示を共有する画面共有手段と、
前記ユーザ端末に対する入力を、前記オペレータ端末から受信する入力受信手段と、
前記オペレータ端末へのデータ送信速度を計測する送信速度計測手段と、
前記受信した入力による画面表示の変化について、変化後の画面表示の送信に係る所要時間を、前記計測した送信速度に基づいて算出する送信所要時間算出手段と
前記算出した所要時間を前記オペレータ端末へ送信する送信所要時間送信手段と、
を備えることを特徴としたユーザ端末を提供する。
【0021】
第5の特徴に係る発明によれば、一以上のオペレータ端末と通信可能に接続されたユーザ端末は、前記ユーザ端末の画面に表示された内容を送信することで画面表示を共有し、前記ユーザ端末に対する入力を、前記オペレータ端末から受信し、前記オペレータ端末へのデータ送信速度を計測し、前記受信した入力による画面表示の変化について、変化後の画面表示の送信に係る所要時間を、前記計測した送信速度に基づいて算出し、前記算出した所要時間を前記オペレータ端末へ送信する。
【0022】
第6の特徴に係る発明は、一以上のユーザ端末と通信可能に接続されたオペレータ端末が実行する所要時間通知方法であって、
前記ユーザ端末の画面に表示された内容を受信し、前記オペレータ端末の画面に表示するステップと、
前記ユーザ端末に対する入力を、当該ユーザ端末に送信するテップと、
前記ユーザ端末から、前記送信した入力による画面表示の変化について、変化後の画面表示の受信に係る所要時間を受信するステップと、
前記受信した所要時間を、前記オペレータ端末の出力部へ出力するステップと、
を備えることを特徴とした所要時間通知方法を提供する。
【0023】
第7の特徴に係る発明は、一以上のユーザ端末と通信可能に接続されたオペレータ端末に、
前記ユーザ端末の画面に表示された内容を受信し、前記オペレータ端末の画面に表示するステップ、
前記ユーザ端末に対する入力を、当該ユーザ端末に送信するテップ、
前記ユーザ端末から、前記送信した入力による画面表示の変化について、変化後の画面表示の受信に係る所要時間を受信するステップ、
前記受信した所要時間を、前記オペレータ端末の出力部へ出力するステップ、
を実行させることを特徴としたオペレータ端末用プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ユーザ端末と画面表示を共有しながらユーザ端末に対して入力を送信するオペレータ端末において、送信された入力の内容をオペレータに通知するとともに、画面表示の変化がオペレータ端末に反映されるまでの時間をオペレータに通知するオペレータ端末、ユーザ端末、所要時間通知方法、及びオペレータ端末用プログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の好適な実施形態であるオペレータシステム1の概要図である。
図2図2は、ユーザ端末10、オペレータ端末150の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
図3図3は、ユーザ端末10、オペレータ端末150が実行する受信所要時間通知処理のフローチャート図である。
図4図4は、ユーザ端末10、オペレータ端末150が実行する受信所要時間算出処理のフローチャート図である。
図5図5は、受信所要時間通知処理におけるユーザ端末10及びオペレータ端末150の処理と時間経過の時系列を表した模式図である。
図6図6は、受信所要時間を表示したオペレータ端末150の画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0027】
[オペレータシステム1の概要]
図1は、本発明の好適な実施形態であるオペレータシステム1の概要を説明するための図である。この図1に基づいて、オペレータシステム1の概要を説明する。
【0028】
オペレータシステム1において、複数のユーザ端末10と、オペレータ端末150は、相互に通信可能となっている。ここでは、オペレータ端末150がユーザ端末10に対してリモートサポートを行う場合について説明する。
【0029】
初めに、オペレータ端末150は、ユーザ端末10と画面を共有する(ステップS01)。このとき、ユーザ端末10に表示される画面が、一定の間隔でオペレータ端末150に対して送信されることで、オペレータ端末150上に、ユーザ端末10の画面上で表示される画面を表示することが可能となる。
【0030】
次に、リモートサポートに伴い、オペレータ端末150から、ユーザ端末10に入力が送信される(ステップS02)。入力とは、例えば、PCであればマウスによるクリックやキーボードのキーの押し下げ、マイクからの音声が、スマートフォン端末であればタップやスワイプ、ボタンの押し下げが挙げられる。なお、入力は必ずしもユーザ端末10に対するものと同一のデバイスによるものとは限られず、例えばボタンの数が異なる時に、エミュレータやソフトボタンによって、オペレータ端末150に無いボタンを仮想的に押し下げたものとして、ユーザ端末10に入力を送信してもよい。
【0031】
次に、ユーザ端末10は受信した入力を入力として処理し、所定の処理を行い、出力を行う(ステップS03)。ここでは、出力の変化のうち、画面表示の変化について注目する。ユーザ端末10は、画面を共有しているので、変化後の画面表示もまた、ユーザ端末10に対して送信する(ステップS04)。
【0032】
すなわち、一般にユーザ端末10の画面表示において、リフレッシュレートと呼ばれる、例えば秒間60回といった間隔で再描画が行われている。この場合、内部処理の結果、出力の変化が画面表示に反映されるのは、最大で1/60秒後である。
【0033】
一方で、ユーザ端末10とオペレータ端末150の間にはデータ通信に要する時間があり、ディレイやレイテンシと呼ばれる遅延が発生する。これは主にデータ通信の速度、送信するデータ量、及びエラー発生率に依存し、例えばエラー発生率が0とみなせる場合には、データ量をデータ通信速度で除した値が遅延となる。
【0034】
高速なネットワークにおいて、遅延は1秒に満たないが、スマートフォンのような携帯回線を用いる場合には、遅延がリフレッシュレートを大きく上回る場合がある。そのような場合、オペレータはオペレータ端末150への入力に対する画面上の応答が普段よりも遅いため、操作性が悪く感じたり、入力が成功しているか分からなかったりする場合が多い。
【0035】
そこで、ユーザ端末10は、データ通信の速度と送信する画面データのデータ量から、データ送信の所要時間を算出して、オペレータ端末150に送信し、オペレータ端末150が受信した所要時間を、入力があった関連箇所(アイコン等)の近傍に表示することで(ステップS05)、オペレータは結果の反映までに時間がかかっても、アイコン等に対する入力自体が成功していることや、応答までにかかる時間を知ることができる。なお、入力を送信した時点で入力があったことをオペレータに通知してもよいし、所要時間の通知は画面への表示のみならず、音声によって行ってもよい。以上が、オペレータシステム1の概要である。
【0036】
[オペレータシステムのシステム構成]
オペレータシステム1は、ユーザ端末10、オペレータ端末150によって構成される。ここで、ユーザ端末10とオペレータ端末150の間には、通信を媒介するオペレータサーバ等の装置が存在してもよい。ユーザ端末10とオペレータ端末150は、公衆回線網を介して通信可能に接続されている。
【0037】
ユーザ端末10は、ユーザがリモートサポート等を受けるための一般的な情報端末であってよく、後述する機能を備える情報機器や電化製品である。ユーザ端末10は、例えば、携帯電話、スマートフォン、複合型プリンタ、テレビ、ルータ又はゲートウェイ等のネットワーク機器、コンピュータに加えて、冷蔵庫、洗濯機等の白物家電であってもよいし、電話機、ネットブック端末、スレート端末、電子書籍端末、電子辞書端末、携帯型音楽プレーヤ、携帯型コンテンツ再生・録画プレーヤ等の一般的な情報家電であってよい。
【0038】
オペレータ端末150は、リモートサポートを行うための一般的な情報端末であってよく、後述する機能を備える情報機器や電化製品である。
【0039】
[各機能の説明]
図2は、ユーザ端末10、オペレータ端末150の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
【0040】
ユーザ端末10は、制御部11として、CPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部12として、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi(Wireless Fidelity対応デバイス又は、第3世代移動通信システム等のIMT−2000規格に準拠した無線デバイス等を備える(有線によるLAN接続であってもよい)。
【0041】
さらに、ユーザ端末10は、入出力部13として、制御部で制御したデータや画像、音声を出力表示する出力部を備え、かつ、ユーザからの入力を受付けるタッチパネルやキーボード、マウス等を備える。
【0042】
ユーザ端末10において、制御部11が所定のプログラムを読み込むことで、通信部12と協働して、入力受信モジュール14、送信速度計測モジュール15、送信所要時間算出モジュール16、送信所要時間送信モジュール17を実現する。また、ユーザ端末10において、制御部11が所定のプログラムを読み込むことで、通信部12、及び入出力部13と協働して、画面共有モジュール18を実現する。また、ユーザ端末10において、制御部11が所定のプログラムを読み込むことで、入出力部13と協働して、画面表示変化モジュール19を実現する。
【0043】
オペレータ端末150は、同様に、制御部151として、CPU,RAM,ROM等を備え、通信部152として、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi対応デバイスを備える(有線であってもよい)。加えて、オペレータ端末150は、入出力部153として、制御部で制御したデータや画像、音声を出力表示する出力部を備え、かつ、オペレータからの入力を受付けるタッチパネルやキーボード、マウス等を備える。
【0044】
オペレータ端末150の制御部151が所定のプログラムを読み込むことで、通信部152と協働して、入力送信モジュール154、受信所要時間受信モジュール155、受信所要時間算出モジュール156、受信速度計測モジュール157を実現する。また、オペレータ端末150の制御部151が所定のプログラムを読み込むことで、通信部152、及び入出力部153と協働して、画面共有モジュール158を実現する。また、オペレータ端末150の制御部151が所定のプログラムを読み込むことで、入出力部153と協働して、入力内容通知モジュール159、受信所要時間通知モジュール160を実現する。
【0045】
[受信所要時間通知処理]
図3は、ユーザ端末10、オペレータ端末150が実行する受信所要時間通知処理のフローチャートである。上述した各装置のモジュールが行う処理について、本処理にて併せて説明する。
【0046】
前提として、本処理はユーザ端末10の画面共有モジュール18と、オペレータ端末150の画面共有モジュール158による、画面共有処理の一部として行われる。すなわちこの受信所要時間通知処理は、両端末が既にリモートサポート処理を開始し、画面共有処理の最中に行われるものである。
【0047】
初めに、オペレータ端末150の入力送信モジュール154は、ユーザ端末10へ入力を送信する(ステップS11)。入力とは、入力装置への操作であってユーザ端末10が解釈可能なもの全てを指し、例えばマウスによるクリック、キーボードのキーの押し下げ、マイクからの音声、タッチパネルへのタップやスワイプ、ボタンの押し下げが挙げられる。なお、入力は必ずしもユーザ端末10が備えるものと同一のデバイスによるものに限られず、例えばエミュレータやソフトボタンによって、オペレータ端末150に無いボタンを仮想的に押し下げたものとして、ユーザ端末10へ入力を送信してもよい。
【0048】
次に、ユーザ端末10の入力受信モジュール14が入力を受信し、制御部11が入力を処理するとともに、画面表示変化モジュール19が出力の変化を画面表示に反映する(ステップS12)。
【0049】
次に、ユーザ端末10の送信速度計測モジュール15が、オペレータ端末150へのデータ送信速度を計測する(ステップS13)。ここで、データ送信速度は、「データ量/経過時間」の単位で示される。なお、速度の計測は一定間隔で常に行っていて、ここでは結果を参照するだけでもよい。また、ここでいうデータ送信速度はユーザ端末10のアップロード速度と、オペレータ端末150のダウンロード速度に依存するものである。また、ここではエラーパケットの発生率を予め試算することで、エラー発生率を織り込んだ実質的な送信速度を算出してもよい。
【0050】
次に、ユーザ端末10の送信所要時間算出モジュール16は、計測した送信速度と画面データのデータ量から、送信に係る所要時間を算出する(ステップS14)。データ量は、画面表示変化モジュール19において実際に表示される画像を元に、解像度やデータ形式に基づいて実際に送信されるデータのデータ量を用いてよい。
【0051】
次に、ユーザ端末10の送信所要時間送信モジュール17が、算出した送信所要時間をオペレータ端末150に対して送信する(ステップS15)。オペレータ端末150の受信所要時間受信モジュール155は、受信所要時間を受信する(ステップS16)。ここにおいて、ユーザ端末10における送信所要時間と、オペレータ端末150における受信所要時間とは、同一のものを指す。
【0052】
最後に、オペレータ端末150の受信所要時間通知モジュール160は、受信した受信所要時間をオペレータに通知する(ステップS17)。通知時に表示する所要時間は、ステップS12にて入力処理した対象の近傍に表示する。例えば、オペレータが所定のアイコンをクリックしたならば、このアイコン上に所要時間を表示する。これにより、オペレータは、自身が意図を持って入力した対象が間違っていないことを、画面表示の変化が完了する前に認識できる。
【0053】
図5は、本処理におけるユーザ端末10及びオペレータ端末150の処理と時間経過の時系列を表した模式図である。各点線は、データの送受信があったことを示している。たとえば、時系列上のタイミング51でオペレータ端末150から送信された入力の送信は、タイミング55においてユーザ端末10に受信される。また、灰色に着色された、タイミング55からタイミング57の間の時間56は、入力が処理され出力に反映されるまでの処理時間を表している。
【0054】
そして、変化した画面が送信され始めるのはタイミング57であって、算出された所要時間が送信されるのはタイミング58であるが、通信速度が一定以下の時には、画面を受信するタイミング54よりも、所要時間を受信するタイミング52の方が早い。よって、灰色で示される時間53の間は、所要時間が通知され続けることとなる。なお、単純計算によって算出される所要時間はタイミング57からタイミング54までの時間だが、算出や通知の時点で、タイミング57からタイミング58やタイミング52までの時間を差し引いてもよい。
【0055】
図6は、受信所要時間を表示したオペレータ端末150の画面の一例である。タップ61や、スワイプ62といった、ユーザ端末10に対する入力に対して、画面の変化までの所要時間63が表示される。また、所要時間63は、アイコンバッジ64のようなアイコンバッジ、すなわちアイコン(オペレータが入力を意図した対象となるアイコン)に特定のマーカーを付した形式で表示してよい。また、所要時間63は、時間経過に合わせてカウントダウン処理を行ってもよいし、前記の所要時間を常に受信し表示に反映することで、擬似的なカウントダウンを行ってもよい。加えて、インジケータ65のように、カウントダウンする所要時間63の周りを矢印が回転するアニメーション表示を行うことで、オペレータは処理が進んでいることを確認し安心感を覚えたり、待ち時間にアニメーション表示を楽しんだり、といった効果が期待できる。
【0056】
なお、タップ61やスワイプ62といった単なる入力があったことを、認識アイコンとして、オペレータ端末150の入力内容通知モジュール159が表示してもよい。ここで、タップした箇所をユーザ端末10が認識したときのみ、認識アイコンが表示されてよい。これにより、ユーザ端末10がタップを認識しており、画面の転送待ちだけであることを、この表示で判断可能となる。また、所要時間や入力の通知は、画面への表示のみならず、音声によって行ってもよい。
【0057】
以上が、受信所要時間通知処理の手順である。
【0058】
[受信所要時間算出処理]
図4は、ユーザ端末10、オペレータ端末150が実行する受信所要時間算出処理のフローチャートである。上述した各装置のモジュールが行う処理について、本処理にて併せて説明する。
【0059】
ここで、受信所要時間算出処理は、受信所要時間通知処理のうち、所要時間を算出するのがユーザ端末10でなく、オペレータ端末150である場合の処理である。そのため、ステップS21はステップS11と、ステップS22はステップS12と、ステップS27はステップS17と同一の処理内容である。
【0060】
すなわち、初めに、オペレータ端末150の入力送信モジュール154は、ユーザ端末10へ入力を送信する(ステップS21)。次に、ユーザ端末10の入力受信モジュール14が入力を受信し、制御部11が入力を処理するとともに、画面表示変化モジュール19が出力の変化を画面表示に反映する(ステップS22)。
【0061】
次に、ユーザ端末10の画面共有モジュール18が、オペレータ端末150へ、画面データのデータ量を送信する(ステップS23)。ここで、データ量は、画面表示変化モジュール19において実際に表示される画像を元に、解像度やデータ形式に基づいて実際に送信されるデータのデータ量を用いてよい。オペレータ端末150の画面共有モジュール158は、データ量を受信する(ステップS24)。
【0062】
次に、オペレータ端末150の受信速度計測モジュール157は、ユーザ端末10からのデータ受信速度を計測する(ステップS25)。ここで、データ受信速度は、「データ量/経過時間」の単位で示される。なお、速度の計測は一定間隔で常に行っていて、ここでは結果を参照するだけでもよい。また、ここでいうデータ受信速度はユーザ端末10のアップロード速度と、オペレータ端末150のダウンロード速度に依存するものである。また、ここではエラーパケットの発生率を予め試算することで、エラー発生率を織り込んだ実質的な受信速度を算出してもよい。
【0063】
次に、オペレータ端末150の受信所要時間算出モジュール156は、計測した受信速度と受信したデータ量から、受信に係る所要時間を算出する(ステップS26)。
【0064】
最後に、オペレータ端末150の受信所要時間通知モジュール160は、算出した受信所要時間をオペレータに通知する(ステップS27)。以上が、受信所要時間算出処理の手順である。
【0065】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD−ROMなど)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0067】
1 オペレータシステム、3 公衆回線網、5 ソーシャルネットワーク、10 ユーザ端末、150 オペレータ端末、200 ネットワークサーバ、250 リモートサポート評価データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6