【文献】
道本 健二,カンタン!お手軽!超便利!スクリプト言語決め技スペシャル!,日経ソフトウエア NIKKEI SOFTWARE,日本,日経BP社 Nikkei Business Publications,Inc.,2005年 7月24日,第8巻 第9号,第98頁乃至第101頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電子書籍とは、紙の書籍内容を電子データ化して、サーバー内のコンテンツ部に蓄積しておき、このコンテンツ部の電子書籍データを、インターネット等を通じて読者側の端末に表示し閲覧に供せしめるものである。
コンテンツ部は、出版会社、販売会社、新聞社、通信会社、ソフトウェア会社等によって独自に構築、独自に管理を受け、独自に運用されている。かかる多種多様なコンテンツ部である故に、電子書籍閲覧の仕方も多種多様である。
【0003】
図23には、ある1つのコンテンツ部に対する電子書籍閲覧システムを示す。コンテンツ部が変わっても基本的には、
図19の構成によって電子閲覧システムが構成されている。この電子書籍閲覧システムは、コンテンツ部1、電子書籍閲覧ソフトウェア2、電子書籍端末3、より成る。
コンテンツ部1は、サーバー内に設けられている。コンテンツ部1の提供する電子書籍データには、テキスト(TEXT)形式等の文字データ、写真や図表などの画像データ、ビデオなどの動画データ等がある。
【0004】
電子書籍閲覧ソフトウェア2は、コンテンツ部1の電子書籍データを閲覧するものであって、コンテンツ部1からインターネット等を通じて配信を受けるやり方、又は販売されているものを購入するやり方で、提供を受ける。
電子書籍端末3は、提供を受けた電子書籍ソフトウェア2を取込み電子書籍閲覧を行う。電子書籍端末3は閲覧専用である場合は、このソフトウェアが専用的に組み込まれて使用に供する。
【0005】
電子書籍閲覧ソフトウエア2は、コンテンツ部1が異なれば異なっており、コンテンツ部1に依存する。
【0006】
このようなコンテンツ部1毎に定まる電子書籍閲覧ソフトウエア2は、機能としては、表示制御部2Aとコンテンツ描画エンジン2Bとを持つ。表示制御部2Aは、表示の挙動(ビーヒービュアー)や表示のスタイルなどを含む表示効果による表示の制御を行い、コンテンツ描画エンジン2Bは、表示制御部2Aに従っての描画を実行する。
【0007】
電子書籍端末3は、閲覧専用端末、パソコンなどの汎用端末、スマートフォンなどの携帯端末などである。一般的にはこの端末3は、OSやシステムソフトなどの処理及び管理ソフト部3A、メモリや入力部、出力部、CPUなどのハードウエア部3Bより成る。
【0008】
電子書籍端末3の中で、閲覧専用端末は事前に閲覧ソフトウエアが組み込まれている事例が多く、汎用端末は、同様にコンテンツ部2からダウンロードする事例、携帯端末はドット形式等でデータをストリーミングする事例、が多い。
【0009】
電子書籍閲覧システムでの代表的なフォーマットには以下のものがある。
EPUB…米国の電子書籍標準化団体IDFが推進するXMLベースのオープン規格。北米では、デファクトフタンダートとなっている。
XMDF…(株)シャープが提唱している電子書籍技術およびフォーマットの名称。
・BOOK…ドットブックと読む。日本のボイジャーによって開発された電子書籍フォーマットである。縦書きやルピをサポートしており、文芸作届などの電子化に利用。
AZM…アマゾン・キンドル用の電子書籍フォーマットである。
以上のフォーマットの中で、XMDF、BOOKは標準化される以前の日本独自のフォーマット、AZMは北米アマゾン社の独自フォーマットである。今後は国際標準であるEPUBフォーマットが増えてゆくと予想されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
図23の電子書籍閲覧システムの表示効果は、コンテンツ部1毎、即ち、コンテンツの作成者または電子書籍閲覧ソフトウエアによって定まり、その提供するやり方でしか表示は実現できない。表示に係わる表示制御部20の表示効果の機能が、独立的にとらえられておらず、あくまで書籍閲覧システムの中での従属物としてとらえられていることに帰因する。しかしこれは電子書籍の発展途上にあってはやむを得ないことであった。
【0023】
図23と同様に、特許文献1〜11の電子書籍閲覧システムも、コンテンツ部または電子書籍閲覧ソフトの提供する手段でしか表示制御を達成できない。
【0024】
然るに、電子書籍システムにおいて、表示効果に関する機能を、コンテンツ部や電子書籍閲覧ソフトウエアとは分離して、独自に構成し、独自に装着や離脱を自在及び又は動的にできるようになれば、読者の要求する多様な表示効果が実現できる。
【0025】
更に、こうしたことが実現できればコンテンツに依存する多種多様な表示効果の開発、コンテンツに依存しない多種多様な表示効果の開発が期待され、新規な表示効果ビジネスが誕生する可能性がある。
【0026】
更に多種多様な表示効果に関する機能をライブラリとしてサーバー等に保管し、管理できれば、読者へのサービス向上、電子書籍ビジネスの発展につながる。
【0027】
本発明の目的は、多種多様な多数の表示効果に関する機能を、表示効果ライブラリーとして構築・保管・管理・提供(利用)・選択(コンテンツへの割り付け)させることを可能にする電子書籍表示装置及び表示方法を提供するにある。
【0028】
更に本発明の目的は、表示効果に関する機能を、コンテンツ部側、電子書籍閲覧ソフトウエアに対して独立的に扱えるようにすると共に、かかる表示効果に関する機能の装着・離脱(削除)・追加・変更などを、自在に及び又は動的に可能にする電子書籍表示装置及び表示方法を提供するものである。
【0029】
更に本発明の目的は、表示効果に関する機能を、独立させたことで、コンテンツ部作成側、電子閲覧ソフトウエア作成側が表示効果にとらわれない、システム構築を可能にする電子書籍表示装置及び表示方法を提供するものである。
【0030】
更に本発明は、端末側での種々の多種多様な表示効果要求に答えることを可能にする電子書籍表示装置及び表示方法を提供するものである。
【0031】
更に本発明は、端末側の物理的環境や生理的環境や状況などの読書環境、読書履歴等に適格に応じた表示効果を可能にする電子書籍表示装置及び表示方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は、閲覧対象のコンテンツに表示効果を割り付ける表示制御部と、この表示制御部からの表示効果を割り付けられた上記コンテンツの描画を行うコンテンツ描画エンジンと、を具える電子書籍表示装置であって、
上記表示制御部は、装着・削除が可能な独立体としての、表示効果の機能を持つ表示効果モジュールを、コンテンツ対応の任意の数だけ格納する表示効果モジュール群部と、この表示効果モジュール群部への表示効果モジュールの装着・削除を管理する第1の管理手段と、上記表示効果モジュール群部に格納された任意の数の表示効果モジュールの上記コンテンツへの割り付けを行う第2の管理手段と、を具える、ことを特徴とする電子書籍表示装置を開示する。
【0033】
更に本発明は、表示効果モジュール群部と管理手段とを備えて閲覧対象のコンテンツに表示効果を割り付ける表示制御部と、この表示制御部からの表示効果を割り付けられた上記コンテンツの描画を行うコンテンツ描画エンジンと、を具える電子書籍表示装置の表示方法であって、
上記管理手段によって、装着・削除が可能な独立体としての、表示効果の機能を持つ表示効果モジュールを、コンテンツ対応の任意の数だけ表示効果モジュール群部に格納させ、上記表示効果モジュール群部に格納された任意の数の表示効果モジュールの上記コンテンツへの割り付けを行わせ、この割り付けられたコンテンツを、上記コンテンツ描画エンジンへと送り描画を行わせてなる、ことを特徴とする電子書籍表示装置の表示方法を開示する。
【0034】
更に本発明は、上記表示効果モジュール群部の表示効果モジュールは、多種多様な表示効果モジュールを格納し管理する表示効果ライブラリ部から提供を受けたものとする請求項2記載の電子書籍表示装置の表示方法を開示する。
【0035】
更に本発明は、コンテンツ部と、多種多様な表示効果の機能を持つ表示効果モジュールを格納する表示効果ライブラリを持つ表示効果ライブラリ部と、上記コンテンツ部のコンテンツを読み込み閲覧する電子書籍装置とより成る電子書籍閲覧システムであって、
上記電子書籍表示装置は、
閲覧対象のコンテンツを上記コンテンツ部から受け取りそれに表示効果モジュールを割り付ける表示制御部と、この表示制御部からの表示効果モジュールを割り付けられたコンテンツの描画を行うコンテンツ描画エンジンとを具え、
上記表示制御部は、装着・削除が可能な独立体としての表示効果モジュールを、コンテンツ対応の任意の数だけ格納する表示効果モジュール群部と、この表示効果モジュール群部への表示効果モジュールの装着を上記表示効果ライブラリ部から読み取ることで行うと共に削除対象の表示効果モジュールの削除を行わせる第1の管理手段と、上記表示効果モジュール群部に格納された任意の数の表示効果モジュールの上記コンテンツへの割り付けを行う第2の管理手段と、具える、
ことを特徴とする電子書籍閲覧システムを開示する。
【0036】
更に本発明は、コンテンツ部と、多種多様な表示効果モジュールを格納する表示効果ライブラリ部と、を利用して電子書籍の閲覧表示を行う電子書籍装置であって、
閲覧対象のコンテンツを上記コンテンツ部から受け取りそれに表示効果を割り付ける表示制御部と、この表示制御部からの表示効果を割り付けられたコンテンツの描画を行うコンテンツ描画エンジンとを具え、
上記表示制御部は、装着・削除が可能な独立体としての、表示効果の機能を持つ表示効果モジュールを、コンテンツ対応の任意の数だけ格納するモジュール群部と、この表示効果モジュール群部への表示効果モジュールの装着を上記表示効果ライブラリ部から読み取ることで行うと共に、削除対象の表示効果モジュールの削除を行わせる第1の管理手段と、上記表示効果モジュール群部に格納された任意の数の表示効果モジュールの上記コンテンツへの割り付けを行う第2の管理手段と、を具える、
ことを特徴とする電子書籍表示装置を開示する。
【0037】
更に本発明は、閲覧対象のコンテンツに表示効果を割り付ける表示制御部と、この表示制御部からの表示効果を割り付けられた上記コンテンツの描画を行うコンテンツ描画エンジンと、を具える電子書籍表示装置であって、
上記表示制御部は、装着・削除が可能な独立体としての、表示効果の機能を持つ表示効果モジュールを、コンテンツ対応の任意の数だけ格納する表示効果モジュール群部と、この表示効果モジュール群部への表示効果モジュールの装着・削除を管理する第1の管理手段と、上記表示効果モジュール群部に格納された任意の表示効果モジュールの上記コンテンツへの割り付けを行う第2の管理手段と、を具えると共に、上記表示効果モジュールとコンテンツへの割り付けのための自動割り付け手段を具える、
ことを特徴とする電子書籍表示装置を開示する。
【0038】
更に本発明は、閲覧対象のコンテンツに表示効果を割り付ける表示制御部と、この表示制御部からの表示効果を割り付けられた上記コンテンツの描画を行うコンテンツ描画エンジンと、を具える電子書籍表示装置であって、
上記表示制御部は、装着・削除が可能な独立体としての表示効果モジュールを、コンテンツ対応の任意の数だけ格納する表示効果モジュール群部と、この表示効果モジュール群部への表示効果モジュールの装着・削除を管理する第1の管理手段と、上記表示効果モジュール群部に格納された任意の数の表示効果モジュールの上記コンテンツへの割り付けを行う第2の管理手段とを具えると共に、読書環境又は読書履歴と対応して使用する表示効果モジュールとの関係を規定する規定手段と、読書環境又は読書履歴を自動識別する自動識別手段と、この自動識別手段で得られた読書環境又は読書履歴に対応する表示効果モジュールを上記規定手段に提供する手段とを具え、第2の管理手段は、この規定手段で得た表示効果モジュールを上記コンテンツに割り付けるものとした、
ことを特徴とする電子書籍表示装置を開示する。
【0039】
更に本発明は、上記表示効果モジュールは、コンテンツに依存しない表示効果を示す表示効果モジュールと、コンテンツに依存する表示効果を示す表示効果モジュール、とより成るものとする、請求項1〜3、5〜7のいずれか1つに記載された電子書籍表示装置を開示する。
【0040】
更に本発明は、上記表示効果モジュールでの表示効果は表示の挙動及び又は表示のスタイルを含むものとした電子書籍表示装置を開示する。
【0041】
更に本発明は、上記表示効果ライブラリ部の表示効果モジュールは、コンテンツに依存しない表示効果を示す表示効果モジュールと、コンテンツに依存する表示効果を示す表示効果モジュールとより成るものとする電子書籍閲覧システムを開示する。
【0042】
更に本発明は、上記表示効果モジュールでの表示効果は表示の挙動及び又は表示のスタイルを含むものとした電子書籍閲覧システムを開示する。
【0043】
更に本発明は、コンテンツ部とコンテンツ描画エンジンとの間に設けられた電子書籍表示装置の表示制御部であって、
装着・削除が可能な独立体としての、表示効果の機能を持つ表示効果モジュールを、コンテンツ対応の任意の数だけ格納する表示効果モジュール群部と、この表示効果モジュールと群部への表示効果モジュールの装着・削除を行うと共に、上記表示効果モジュール群部に格納された任意の数の表示効果モジュールを、上記コンテンツ部から提供を受けたコンテンツに割り付けし、これを上記コンテンツ描画エンジンに提供可能にする、電子書籍表示装置の表示制御部を開示する。
【0044】
更に本発明は、上記表示効果モジュールでの表示効果は、表示の挙動及び又は表示のスタイルを含むものとした電子書籍表示装置の表示制御部を開示する。
【0045】
更に本発明は、電子書籍閲覧に使用する電子書籍閲覧ソフトウェアであって、
コンテンツ部からのコンテンツの提供を受ける表示制御部と、コンテンツ描画エンジンと、を具え、表示制御部は、装着・削除が可能な独立体としての表示効果の機能を持つ表示効果モジュールを、コンテンツ対応の任意の数だけ格納する表示効果モジュール群部と、この表示効果モジュール群部への表示効果モジュールの装着・削除を行うと共に、上記表示効果モジュール群部に格納された任意の数の表示効果モジュールを、上記コンテンツ部から提供を受けたコンテンツに割り付けし、これを上記コンテンツ描画エンジンに提供可能にした、電子書籍閲覧ソフトウェアを開示する。
【0046】
更に本発明は、上記表示効果モジュールでの表示効果は、表示の挙動及び又は表示のスタイルを含むものとした電子書籍閲覧ソフトウェアを開示する。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、電子書籍閲覧システムを構成する表示制御部とコンテンツ描画エンジンとに関して、表示制御部の表示効果に関する機能を、独立体としての表示効果モジュールとして分離させたことにより、多様な表示効果の実現や、読書に好適なまた効率的な表示効果の実現をはかれるとの効果を達成する。
更に本発明によれば、表示効果モジュールとして独立体として分離させたことにより、表示効果モジュール自体が単独で市場性を獲得し表示効果モジュールのビジネス化に寄与するとの効果を達成する。
更に本発明によれば、コンテンツに依存しない表示効果モジュール、コンテンツに依存する表示効果モジュール、などの多様で数多くの表示効果モジュールをサーバー等にライブラリとして保管し管理・利用(提供)させることで、表示効果モジュールの利用価値が増大し、電子書籍閲覧の普及へと大きく寄与するとの効果を達成する。
更に、本発明によれば、電子書籍閲覧システムにあって、表示制御部側が自己の必要とする表示効果モジュールをライブラリサーバー等から自在に且つ動的に入手でき、使用できることにより、電子書籍閲覧の普及へと大きく寄与できるとの効果を達成する。
更に本発明によれば、表示効果モジュールの選択によるコンテンツへの割り付けに際し、端末側の物理的環境や生理的環境や状況などの読書環境や読書履歴等の自動認識技術を使用することで、時間/場所/目的(TPO)などの諸条件に応じての適切な表示効果モジュールを選択できることにより、読者への好適な表示効果を提供できるとの効果を達成する。
更に本発明によれば、表示の挙動及び又は表示のスタイルを含む表示効果モジュールを提供でき、コンテンツへの割り付けの実現がはかれるとの効果を達成する。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、本発明の電子書籍閲覧システムの原理図である。
この閲覧システムは、コンテンツ部10と電子書籍閲覧ソフトウエア20と電子書籍端末30とより成る。
【0050】
コンテンツ部10は、サーバー内に設けられており、書籍閲覧ソフトウエア20の提供、及びテキスト(TEXT)等の文字データ、写真や図表などの画像データ、ビデオ等の動画データ等、より成る電子書籍データを提供する。コンテンツ部10は、この書籍データの提供の他に、その作成や保管、管理を行うこともあり得る。
【0051】
コンテンツ部10は、本発明で重要な役割を持つ表示効果モジュールをライブラリとして構築、保存、提供等の管理を行う表示効果ライブラリ部10Aを具える。ライブラリ部10Aは、コンテンツ部10と分離して運営される例もある。
【0052】
電子書籍閲覧ソフトウエア20は、コンテンツ部10内に存在し、電子書籍端末30にダウンロード化されて電子書籍閲覧手段として使用される。電子書籍ソフトウエア20はコンテンツ部10によって異なっており、コンテンツ部10が異なれば電子書籍ソフトウエア20の内容も異なる。このソフトウェア20はダウンロードではなく、単品として販売される事例も多い。この場合は、販売で得たソフトウェア20を端末30に組み込んで使用する。
【0053】
電子書籍端末30は、汎用パソコンや専用端末、または携帯端末等により成る。汎用パソコンは、コンテンツ部10から提供される閲覧ソフトウエア20を取込み書籍閲覧を行う。専用端末は、閲覧専用の端末であり、既に閲覧ソフトウエア20が組み込まれている事例もあれば、汎用パソコンと同様にダウンロードして組み込む事例もある。
【0054】
電子書籍端末30は、基本的には、
図1に示すように、OSやシステムソフトより成る処理及び管理ソフト部31と、メモリや入力部、出力部、CPU等のハードウエア部31より成る。
【0055】
携帯端末は、スマートフォン等の高機能電話携帯端末であり、ダウンロード型ではなくストリーミング型が多い。このストリーミング型では、例えばコンテンツ部10に閲覧ソフトウエア20を持ち、そこからドット形式等で書籍電子データをストリーミングで送ってもらい閲覧に供する。
【0056】
電子書籍閲覧ソフトウェア20について説明する。
このソフトウェア20はコンテンツ部10によって種々異なった内容であるが共通する点は、表示制御部21とコンテンツ描画エンジ22、インターフェースI、IIとを具えることである。
【0057】
表示制御部21は、表示効果のコンテンツへの割り付けの設定制御を行うものである。具体的には、表示効果モジュールを、表示制御部21がコンテンツに割り付けることを指す。表示効果とは、表示の挙動や表示スタイルを含む表示に関する効果を云う。この表示効果は、多種多様であり、またコンテンツに依存するもの、コンテンツに依存しないものがあり、且つそれぞれが多種多様であって、数多くの表示効果が存在する。コンテンツに依存する多種多様でもある。かかる多種多様な表示効果の設定を行うものが表示制御部21である。
本発明では、かかる表示効果の機能を果たすべきものとして、表示効果モジュールなる新規な概念を導入した。この表示効果モジュールの独立体としての特徴については後述する。表示制御部21は、かかる表示効果モジュールの設定制御の他に、この設定の前提として多種多様な表示効果モジュールの中から必要とする、又は必要とするであろう複数の表示効果モジュールの装着・更新・削除・選択を行う機能を、持たせた。
ここで、装着・更新は、表示制御部21の内部メモリに表示効果モジュールを読み込み記憶することであり、削除は一部又は全部を内部メモリから消去することを指し、選択とは、内部メモリに記憶された1つ又は複数の表示効果モジュールを、コンテンツに割り付け設定することである。このコンテンツとは、コンテンツ部10からインターネット等を通じてインターフェースIを介して配信されたコンテンツを云う。表示制御部21は、任意の数の表示モジュールを記憶する内部メモリとしての表示効果モジュール群部21Bと、その装着・更新・削除・選択の制御を実行する管理部21Aと、を持つ。
【0058】
表示効果モジュールは、装着・削除が可能な独立体としての表示効果の機能を持つ処理体であって、多種多様な表示効果に対応したものである。従来は、表示制御部内に組み込まれてその従属体であったが、本発明では、表示制御部の表示効果モジュール群部21Bへの装着が可能であって且つその削除も可能であって、表示制御部とは独立した存在である独立体である点を特徴としている。そして、表示効果モジュール群部21Bへ装着・削除並びに使用するための管理手段を設けた。これが管理部21Aである。
【0059】
種々なコンテンツにとって、多種多様な表示効果が存在し、且つ時代や社会、読者層、読書目的などの点で更に多種多様な表示効果が存在し得る。これらは、既に従属体として開発されているものもあれば、今後開発されてくるものもある。特に、本発明の如き、表示制御部に表示効果モジュールとして独立体として組み込めるようにした結果、更に数多くの表示効果の発展が期待できる。また、こうした表示効果モジュールを独立体として扱えるようになった結果、表示効果モジュールの開発(創作)業者が誕生し、提供者として発展してくる可能性を与える。
【0060】
表示効果には、表示の挙動と表示スタイルを含むことは前述した。表示効果モジュールは、この表示の挙動と表示スタイルを含む表示効果の機能を果たすモジュールである。この表示の挙動と表示のスタイルとの2つのモジュールについて説明する。
電子書籍での表示するデータの種別には以下がある。
文字
画像
動画
音声
これらのデータは、いくつかの処理が施されて最終的に表示デバイスに表示されて目に見える形(ビュー)になる。文字に関してみれば、 表示スタイルには
文字の種類(ゴシック体、明朝体、Arial、等)
文字の大きさ(ポイント数、ドット数、等)
文字の修飾(斜体、下線、太字、等)
文字の色(黒、赤、黄、青、等)
等々
がある。これら表示スタイルを表示効果モジュールの機能として持たせる。
但し、コンテンツ描画エンジンは、この表示スタイルの機能を持つ例が多い。こうしたコンテンツ描画エンジンを使用するシステムには、表示スタイルの表示効果モジュールの採用は不要である。
【0061】
表示の挙動は、文字に関してみれば、文字や文字列の挙動を指し、以下の如き事例がある。
右から左に流れる(左から右に流れる)
下から上にせり上がる(上から下にせり下がる)
透明になる(フェードアウト)
透明から文字が浮き出る(フェードイン)
回転する(文字が単体で、回転する、文字列が回転する等)
色が変わる
曲線をなぞる
等々
これらの文字の表示の挙動例を図面化したのが
図2〜
図10である。
図2は、文字列の右から左への流れの表示例、
図3は文字列1の次に文字列2が追いかける表示例、
図4は文字列が下から上にせり上げる表示例、
図5は文字列1に続き文字列2、3とせり上がる表示例、
図6は文字列の透明度が上がってだんだんと見えにくくなる表示例、
図7は文字、文字列の透明度が下がる表示例、
図8は1文字づつ回転し、指定された回数を回転した後に停止する表示例、
図9は文字列、単語単位で回転する表示例、
図10は指定された曲線上をなぞるように動く表示例、を示す。
表示の挙動を示す表示効果モジュールは、こうした多種多様な表示の挙動の機能を果たす多種多様な表示効果モジュールより成る。
【0062】
一方、表示のスタイルの機能を果たす表示効果モジュールは、コンテンツ描画エンジンにその機能を持たないシステムに適用する。コンテンツ描画エンジンに表示のスタイルの機能を持つシステムであっても、表示のスタイルの上位機能として表示の挙動の表示効果モジュールをタグを利用して割り付けることで、コンテンツ描画エンジンの描画制御に寄与できる。これは、例えばタグによる割り付けで達成する。
【0063】
表示のスタイルの機能を持つ電子書籍閲覧ソフトウェア(又はコンテンツ描画エンジン)で使用する表示の挙動の表示効果モジュールの、タグによる割り付けについて説明する。
図11は、シンプルな例として文字列のみのコンテンツ例を示す。イメージや動画などでも基本的には同様である。このコンテンツは、文字列1、2、…、Nで構成されている。
図12は、こうした文字列のコンテンツに対する表示のスタイルのタグによる割付例を示す。
図13によれば、下記の如く表示のスタイルがタグ付けされている。
文字列1…スタイル1
文字列2…スタイル2
文字列3、4…スタイル3
文字列5…スタイル4
文字列6…スタイル4
こうしたスタイルでタグ付けされた文字列1〜6は、表示のスタイルの機能を持つコンテンツ描画エンジンにあっては、このタグ付けされた表示のスタイルに従って表示効果の機能を果たす。
【0064】
かかるスタイルで割り付けされた文字列に、表示の挙動の表示効果を割り付けた例を
図13に示す。ここでの表示効果とは表示効果モジュールと同義である。この表示の挙動の表示効果の割り付けは、表示制御部21で行う。
図13によれば、
図12に対して下記の如き表示効果の割り付けとなる。
挙動の表示効果1…(スタイル1、文字列1)、(スタイル2、文字列2)
挙動の表示効果2…(スタイル3、文字列3、4)、(スタイル4、文字列5)
挙動の表示効果3…(スタイル5、文字列6)
【0065】
かかる
図13をプログラム的なタグ記述法で示したのが
図14である。
図14では、表示効果をEF、表示のスタイルをstyleと示した。
図14において、コンテンツ描画エンジンでは、上から下へと解釈されてそれぞれ表示効果に沿った表示方法で表示がなされる。
【0066】
以上は文字の例の表示の挙動と表示のスタイルであるが、画像や動画等にあっても同様である。
【0067】
表示効果モジュールは、表示効果ライブラリ部10Aから配信によって提供を受け、表示制御部21内に装着される。この装着は閲覧とは関係なく、且つ何時でも自在に、及び又は動的に可能である。装着自体も、表示制御部からの装着要求によって行われ、その要求は手動による要求、自動要求のいずれもあり得る。ここで動的とは2つの意味がある。第1は、閲覧等の動作中であっても動的に可能との意味、第2は既存の閲覧ソフトウェアに対して後発的に表示効果モジュールを自在に組み込めるとの再利用性の点で動的に可能との意味である。
【0068】
また、上記装着は、表示制御部21の要求によって行われるが、コンテンツ部10の指示によることもある。
【0069】
表示制御部21は、表示効果モジュールの装着・削除の他に重要な機能として、装着した表示効果モジュールの使用、即ちコンテンツに表示効果を割り付ける処理とその割り付けたコンテンツをコンテンツ描画エンジンに提供する機能とを持つ。
【0070】
コンテンツ描画エンジン22は、表示制御部21によって表示効果モジュールの割り付けられたコンテンツを受け取り描画を行う。コンテンツ描画エンジン22は、ePub
方式では、HTMLエンジン(HTML5)、スクリプトエンジン(Java Scipt(登録商標))、CSSエンジンより成る。かかるePub方式への適用については、後述する。
【0071】
表示制御部21でのコンテンツへの表示効果の割り付けを
図15を用いて説明する。
図15は、コンテンツへの表示効果(この
図15では表示効果モジュールと同義)の割り付け事例を示す。コンテンツはグループ1〜3より成り、
グループ1…文字列1、文字列2、文字列4
グループ2…文字列3
グループ3…イメージ1
の如く、文字列1〜4、がグループ対応化しているものとする。
一方、表示効果モジュール1〜3があり、これらは、
グループ1…表示効果モジュール2
グループ2…表示効果モジュール3
グループ3…表示効果モジュール1
と対応化しているものとする。
かかる事例のもとで、両者の論理積をとることで下記の如き割り付けが得られる。
文字列1…表示効果モジュール2
文字列2…表示効果モジュール2
文字列3…表示効果モジュール3
イメージ1…表示効果モジュール1
文字列4…表示効果モジュール2
この割り付けされたコンテンツがコンテンツ描画エンジン22に提供され描画がなされる。
【0072】
表示効果ライブラリ部10Aを説明する。
表示効果ライブラリ部10Aは、多種多様な表示効果モジュールの構築、保存、提供等の管理を行う。表示効果モジュールは、電子書籍の表示の挙動や表示スタイルなどを含む表示効果を発揮するための処理体である。表示効果モジュールは、コンテンツに依存しない表示効果を目的とするモジュール群と、コンテンツに依存する表示効果を目的とするモジュール群とより成る。また両者の混在型もあり得る。
【0073】
表示効果モジュールライブラリの構築は、コンテンツ側、たとえばコンテンツ作成側、コンテンツの提供側(電子書籍データを提供する側であって、出版会社、販売会社、新聞社、通信会社など)で行う。
【0074】
表示効果は、時代や社会、技術、読書傾向などによって日々変化し発展しており、表示効果モジュールは作成され、更新され、多種多様な内容を持つ。あたかもこれは図書館の蔵書としてみれる故に、ライブラリと呼ぶ。
【0075】
表示効果モジュールライブラリの保管とは、こうして構築したライブラリを利用可能なようにデータとして保管することを云う。
表示効果モジュールライブラリの提供とは、電子書籍閲覧システムを利用する側への表示効果モジュールの提供を指す。この提供には、有料制、無料制の両者があるが、いずれも著作権管理の対象となる。一方、この提供は利用する側からみれば、多種多様な表示効果の自由選択を可能にし、また、効率的、効果的な読書表示効果の達成を可能にし、また読書環境や読書要求などの自動認識を活用することでその時々に合致した効率的、効果的な表示効果の自動選択を可能にする。かかる後者の観点の実施例は後述する。
【0076】
表示効果ライブラリ部10Aと表示制御部21との関係例を
図16に示す。
図16にはライブラリ部10Aがインターネット等の回線200を介して表示制御部21につながっている様子を示す。表示制御部21は、管理部21Aと表示効果モジュール群部21Bを持つ。表示制御部21は、操作者(読者)の指示又は環境等の自動識別処理の結果に基づく指示によって、回線200を介して、ライブラリ部10A内へ必要とする表示効果モジュールのダウンロード(読み取り)の要求を行い、この要求を受けて、表示効果ライブラリ部10Aを検索して合致する表示効果モジュールを読み出し、回線200を通じて表示制御部21へ送る。表示制御部21は、管理部21Aを通じて表示効果モジュール群部21Bに登録、保管する。
【0077】
表示効果ライブラリ部10A及び表示効果モジュール群部21Bの関係を
図17に示す。
表示効果ライブラリ部10Aは、
図2〜
図10に示した如き多種多様な表示効果モジュールを格納しており、更にこれらの表示効果モジュールは、コンテンツに依存しない表示効果を果たす表示効果モジュール部101と、コンテンツに依存する表示効果を果たす表示効果モジュール部102と、より成る。
【0078】
表示効果モジュール部101は、コンテンツに依存しない普遍的な表示効果モジュールEF(100)、EF(101)、EF(102)、…EF(200)、EF(201)、EF(202)、…をライブラリとして格納したものである。たとえば、新幹線ビューモジュール、文字が大きな文字で自動的に流れるビューモジュール、エンドロールビューモジュール、映画のエンドロールのように自動的に文字がせり上がるビューモジュール、関連画像を同時に表示するビューモジュール、等である。
【0079】
これらの表示効果モジュール部101内の表示効果モジュールEFは固有なID、及びビュー要約、モジュールを構成するデータ、などで構成され管理されている。
【0080】
表示効果モジュール部102は、コンテンツ毎に差別化されているモジュールであって、図ではコンテンツCONT1、CONT2、…の例を示す。コンテンツCONT1ではEF(300)、CONT1、EF(301)、EF(302)、…、CONT2では、EF(400)、EF(401)、EF(402)、…を示している。
【0081】
たとえば、コンテンツとして、小説、学習参考書、ビジネス書、ドキュメンタリー、雑誌、自己啓発、純文字、ライトノベル等などが存在し、それぞれ毎に固有な表示効果モジュール群を持つ。例えば、注目すべきキーワードを浮き出させるビューモジュール、全文表示を切り替えて表示させるビューモジュール、図表を中心にして表示するビューモジュール、キーワードのみを表示させるビューモジュール、登場人物を色分けして表示するビューモジュール、など、コンテンツに依存したモジュールより成る。
【0082】
これらの表示効果モジュール部102内の表示効果モジュールEFは、固有なID、及びビュー要約、モジュールを構成するデータ、などで構成され管理されている。
【0083】
表示効果モジュールEFは、過去、現在の新旧、更新前後、などのあらゆるモジュールを含む。過去に使われていたが現在使われなくなったモジュールは廃棄してもよいが、原則的には、読者や要求の多様性を満たすためには、過去から現在までのあらゆるモジュールが保管されていることが好ましい。
【0084】
更に、表示効果モジュールは、ソフトウェア開発者やクリエータなどの著作物である側が多く、著作権の対象としてもライブラリの管理対象である。
【0085】
表示効果ライブラリ部10Aを、コンテンツに依存しない表示効果モジュール部101、コンテンツに依存する表示効果モジュール部102とに2分したが、コンテンツのジャンル毎にモジュール部101、102を従属させる如き変形もあり得る。
【0086】
表示効果モジュール部101と102との管理にあっては、上位、中位、下位の如き階層構造化しておくと、管理、利用の両面で効率的である。
【0087】
表示効果モジュール群部21Bは、表示制御部21の指示に基づく管理部21Aによって表示効果モジュールを表示効果ライブラリ部10Aから読み取る(提供を受ける)。この読み取りは、閲覧と関係なく動的に行えるようになっている。これによって、何時でも閲覧動作に関係なく、閲覧動作中にあっても自在に、及び又は動的にライブラリ部10Aからの読み取りが可能となる。
【0088】
表示効果モジュールEFの装着、更新、削除を説明する。
(1)表示効果モジュールの表示制御部21への装着。
コンテンツ部10の一部をなすライブラリ部10Aは、多数の表示効果モジュールを保存してある。古いものから最新のものまで、改良版を含めて多くの表示効果モジュールより成ることは前述した。
表示制御部21への装着は、このライブラリ部10Aから動的にダウンロード(読み取り)し表示効果モジュール群21Bに保存することで実現する。これには手動と自動との2つのやり方がある。手動事例は、装着可能な表示効果モジュールの一覧リストを画面に表示させ、この中で装着したいモジュールを操作者がクリックすることで選び、ライブラリ部10Aから該当モジュールをダウンロードし表示効果モジュールとして表示効果モジュール群部21Bに装着するやり方である。自動事例は、端末側の物理的環境や生理的環境や状況等に応じて自動決定したモジュールを、サーバーから自動装着するやり方である。この後者のやり方では装着後直ちに使用(ON)状態にして使用する。このモジュールの装着は管理部21Aが行う。
【0089】
(2)表示効果モジュールの更新。
更新とは、装着の一種であるが、版を変更して変更前の表示効果モジュールを変更後の表示効果モジュールに変えることを指す。この更新も、動的に可能である。表示制御部21の画面に更新対応の表示効果モジュールのリストを表示し、これを選択し、ダウンロードし表示効果モジュール群部21Bに保存する。リストではなく、直接に更新したいモジュール名を指定してダウンロードさせる例もある。同様に管理部21Aが実行する。
【0090】
(3)表示効果モジュールの削除。
これは表示効果モジュール群部21Bの中から、1つ以上のモジュールを取り除くことである。この削除も、動的に可能である。例えば表示効果モジュール群のリストを表示させて削除モジュールを指定することで行う。例えば削除は、データリセットで実現できる。
【0091】
(4)表示効果モジュールの選択を説明する。
この選択とは、表示制御部21に装着した表示制御モジュール群の中からコンテンツの閲覧時に使用したいモジュールの1つ又は複数のモジュールを選択してコンテンツに割り付けることを指す。表示効果モジュール部21Bには、現在の閲覧に関連する多数の表示効果モジュールが格納保管されている。そこで、コンテンツの閲覧の状況に応じて使用したい又は使用すべき1つ又は複数の表示効果モジュールを選択し、コンテンツに割り付けることをする。この選択による割り付けは、表示制御部21の指示を受けて管理部21Aが行う。
【0092】
選択には、手動選択と自動選択とがある。
手動選択は、端末30の画面上に、表示効果モジュールのリストを表示させ、この中の1つ又は複数の表示効果モジュールをクリックし、選択してコンテンツに割り付けるやり方をとる。
自動選択は、読書環境や読書履歴から必要とする1つ又は複数の表示効果モジュールを自動的に選択し、コンテンツに割り付けるやり方を指す。
【0093】
図18は、本発明の電子書籍閲覧システムを、ePubで実現した実施例図である。ePubは、コンテンツ描画エンジン22に特徴を有しており、HTMLより成る基本エンジン22A、スクリプト(Java Script(登録商標))エンジン22B表示スタイルシートとしてのエンジン22C(CSS:Cascade Style Cheet)より成る。表示制御部20の表示効果モジュール群部20Bの表示効果モジュールはJava Script(登録商標)言語で記述(プログラミング部22A、22B、22C)がそれぞれ翻訳処理する。
かかるePubによれば、文字や静止画を表示する基本機能以外に選択した表示効果モジュールに従っての表示の挙動を制御するスクリプトエンジン22Bによって表示の挙動の表示制御を達成でき、表示スタイルのエンジン22Cによって、種々の表示のスタイルを実現できる。こうした表示の挙動及び表示スタイルは広い意味での表示効果と定義できるものである。そして、こうした表示効果の多様性を実現させるべく導入したのが表示効果ライブラリ及び表示効果モジュールの理念である。
現在、急激に普及している電子端末30としてはアップル社ipadやグーグル社のアンドロイド等がある。これらの端末はHTML、Java Script(登録商標)、CSSを含むePubを読み取ることができるようになっている。従って、
図5のePubの描画エンジン22を具えることで、電子端末に依存せずに幅広く利用可能となった。
勿論、表示の挙動を制御するスクリプトエンジンと表示のスタイルを規定するスタイルシートを具えている閲覧システムであれば、ePub以外にも適用可能である。
【0094】
図19は表示効果モジュールの自動選択を可能にする閲覧ソフトウエア20を組み込んだ電子書籍端末30内のハードウエアイメージであって、表示制御部21はCPU21A、表示効果モジュール21B、読書履歴データベース21C、環境データベース21D、センサー群21E、より成る。
【0095】
表示制御部21の指示のもとに、CPU21Aは表示効果の設定制御、及び選択処理を行う。従って、管理部21AはこのCPU21Aが請負うことになる。
【0096】
読書履歴データベース21cの構成及び特徴を列挙する。
(a)このデータベース21cは操作者(読者)の読書履歴と選択すべき表示効果モジュールとの関係を規定する。
(b)端末操作者(読者)の読書履歴は、読者(ID)対応に逐次端末内のメモリに蓄積され、その最新を含む過去の読書履歴をもとに、データベース21cから対応する表示効果モジュールを読み出す。
(c)規定すべき読書履歴と表示効果モジュールとの関係は、予め定めた固定の場合もあれば、可変の場合もある。可変の場合とは、この読書履歴か表示効果モジュールかのいずれかが可変になるようになっていることである。可変の条件は、学習形(フィードバック形を含む)の如く、読者の読書履歴等の運用状況によって定めるものであって、より最適な表示効果モジュールの選択を目指すものである。
(d)読書履歴の他に、関連データと表示効果モジュールとの関係を規定するデータベースを持つ。この関連データとは、読書の補助となるデータを指す。補助となるデータとは、用語の辞書であったり、作家の履歴だったり、関連書籍紹介だったり、時代背景だったり、等である。このデータベースは、読書履歴データベースと別個に扱ってもよい。
(e)上記(c)の固定の場合とは、ある書籍履歴diに対して対応する表示効果モジュールEFiの如く両者の関係が固定していることを指す。この関係は事前に設定されたものである。可変の場合とは、ある読書履歴diに対して、以前は表示効果モジュールEFiであったものが、diがdjに変わったりEFiがEFkに変わったりすることを指す。この変更の仕方が、読者の要求に従ったものであったり、より最適な関係を見出すような処理結果の自動的な反映であったりすることになる。これらの変動の仕方は、学習形又はフィードバック形と呼びうる。
(f)読書履歴には、コンテンツ毎の読者の読書履歴と、コンテンツにとらわれない一般的読書履歴と、がある。コンテンツ毎の読書履歴には、コンテンツ毎の読書回数、読書速度などがある。コンテンツにとらわれない一般的読書履歴には、乱読形の読書スタイルとか、小説のジャンルの違い等による読書スタイルとかである。これらの履歴データは、閲覧端末が読書の経過をモニタしながら自動的に収得し、端末内のメモリに記憶しておいたものである。
(g)読書履歴は、時間経過パラメータを加えると更によい。日付と時間と、読書との関係を端末が収得し、例えば短期間の繰り返し読書か、否かで表示効果モジュールを選択する如きやり方をとる。
【0097】
環境データベース21Dとは、読者の読書環境のデータベースであり、室内か室外か、電車などに乗車中か否か等に関連して選択すべき表示モジュール及び又は表示効果モジュールの選択条件などを記憶したものである。
【0098】
センサー群21Eとは、読者の環境を自動判断するためのセンサー群であって、電子書籍端末30に付加されたものである。センサー群21Eは、マイク21a、GPS21b、カメラ21c、加速度センサー21d等より成り、読者環境を自動認識するための検出手段である。
【0099】
CPU21Aは、センサー群21Eの検出データをもとに、環境データベース21Dを検索し、その時点の環境に合致した表示効果モジュールEFiを指定し、そのモジュールEFiを選択する。CPU21Aは読書履歴データベース21Cをサーチしてその時点の読書履歴から該当表示効果モジュールEFiを指定し、そのモジュールEFiを選択する。
【0100】
例えば、読書履歴データベース21Cに関しては、読者が初めて書籍を読む場合には、スクロール効果の表示効果モジュールEFiを選択し、ゆっくりとスクロールさせる。回数を重ねる毎にスクロール速度を速くする。
【0101】
環境データベースに関しては、屋外の場合は文字のサイズを大きくするような表示効果モジュールEFiを選択し、振動が多い場合には、電車等に載っている可能性がある故に表示速度を遅くしたり、ハイライトする文字を太めにしたりする表示効果モジュールEFkを選択する。
【0102】
読書履歴データベース及び環境データベースを用いて、具体的な表示効果モジュールの自動選択を説明する。
図20には、読書履歴データベースRD、
図21には環境データベースED、
図22には環境データベースEDへのアクセス処理を示す。
【0103】
図20の読書履歴データベースRDは、読書回数と表示効果モジュールとの関係を規定する回数データベース部RD
1と、読書速度と表示効果モジュールとの関係を規定する読書速度データベース部RD
2と、書籍対応に読書回数と関連データ(同一作家とか同一関連分野とかを指す)との関係を示す関連データベース部RD
3と、より成る。
【0104】
CPU21Aには、書籍対応に読書回数をモニタして記憶させる機能、及び読書速度をモニタする機能、を持たせておく。これによりCPU21Aは、読書対象の書籍に関して読書回数を知り、回数データベース部RD
1をアクセスして、その時点の回数から対応する表示効果モジュールを選択する。例えば1回目であればEF
a、2回目であればEF
bとかである。具体的には、1回目であれば、ゆっくりスクロール更新させるモジュールを選択し、回数が増加する毎にスクロール速度を上げたりする。また表示効果を発揮させるために、回数を重ねる毎にテロップ効果を出現させるようなモジュールの選択等もある。尚、
図20では、回数3以上は同一表示効果モジュールの選択としたが、これは一例である。
【0105】
読書速度は、人により、読書回数により、その時の読書気分等により、変化する。そこで、CPU21Aが検出したその時点の読書速度(例えばページめくりの速度で検出したもの)から、読書速度データベースRD
2を検索し、その速度に対応するモジュールを選択する。このデータベースRD
2は、速い、普通、遅い(ゆっくり)の3区分で別々のモジュールを対応させており、この対応に従ってモジュールを選択する。
【0106】
関連データベース部RD
3は、書籍B
i毎に、読書回数と関連データとを対応づけている。対応の仕方としては、読書回数が更新する毎に、簡単な分かり易いものから、より詳細で専門的な関連データになるような関係とする。これによって、読書回数が1回目であれば、簡単なものが提供され、回数が2回目、3回目と更新する毎に詳細で専門的なものの提供が可能となる。この時の書籍毎の読書回数は、CPU21Aがモニタして得た値である。
【0107】
尚、関連データベース部RD
3は、書籍毎に脚注的な扱いとするやり方もあれば、ページや章対応に区切ってデータベース化しておく例もある。
この関連データベース部RD
3のアクセスは、読書回数値によって自動的に行うことになるが、どの読書ページの時にアクセスするかは種々のやり方がある。例えば読書の開始時、読書を途中に自動的に、その読書終了時とかであり、これらは、事前に定めておく。
【0108】
読書環境データベースEDは、判断環境と表示効果モジュールとの対応関係を示すデータベースである。判断環境とは、
図22に示す如き処理F
1によって決定される環境を指す。
図22は、CPU21Aによる処理であって、マイク音検出データd
1、GPS位置データd
2、カメラ撮像データd
3、加速度データd
4を入力して処理Fが環境判断を行い、この判断した判断環境に対応する表示効果モジュールをデータベースEDから検索して選択する。
【0109】
これらのデータd
1、d
2、d
3、d
4は、
図19の各検出手段21a〜21dによって得られた検出データである。マイク音データd
1は騒音環境判断に利用し、GPS位置データd
2は読書時の位置判断に利用し、カメラ撮像データd
3は読書の照明の輝度や照度や読書周辺の映像判断に利用し、加速度データd
4は、列車や自動車などの移動環境にあるか否かの判断に利用する。
【0110】
読書環境データベースEDは、環境A
1(暗い静止環境)と、環境A
2(明るい静止環境)、環境A
3(自動車、列車などの移動環境)、環境A
4(騒音環境)、……と、表示効果モジュールとの対応関係を規定している。そこで、
図20の処理F
1によって環境判断を行い、処理F
2によって、環境データベースEDを検索し、対応する表示効果モジュールを選択する。
例えば、移動環境、例えば列車移動であれば、テロップの様な文字の横への、流れの表示効果モジュールの選択例の如きがある。
【0111】
尚、環境等に基づいての必要とする表示効果モジュールがモジュール群部21Bにないときには、前述したように、表示効果ライブラリ部10Aからダウンロードして「装着」させ、これを選択することで使用する。
図20、
図21の各データベースRD、EDは簡単な例で説明したが、実際には、種々の読書の経験状況や読者の男女別や年齢別など、書籍の種別や内容に応じて、種々のデータベースが構築できることは云うまでもない。
【0112】
表示効果として、表示の挙動と表示のスタイルを含むものとしたが、その他の表示効果も適用可能である。