【文献】
M.ARDITI et al.,"PRELIMINARY STUDY IN DIFFERENTIAL CONTRAST ECHOGRAPHY",ULTRASOUND IN MEDICINE AND BIOLOGY,米国,1997年,Vol.23,No.8,pp.1185-1194
【文献】
ISAAC N. BANKMAN,HANDBOOK OF MEDICAL IMAGING, PROCESSING AND ANALYSIS,2000年,pp.368-371
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
特徴や利点のみならず発明自身も、添付の図面と共に読まれるべき以下の詳細な説明を参照して理解されが、以下の詳細な説明は限定的でない例示としてのみ与えられるものである。
【0029】
特に
図1を参照して、超音波スキャナ100で構成される医療用画像化システムが示される。スキャナ100は、患者110の臓器105を解析するために、特に(例えば、診断目的のために)血液かん流にアクセスするために利用される。
【0030】
特に、超音波スキャナ100は、(アレイタイプなどの)ハンドヘルド送受信画像化プローブ120を伴う中央ユニット115を含む。画像化プローブ120は、(例えば、2〜10Mhzの中心周波数を有する)一連のインソニファイの(即ち、高周波をあてて音響ホログラムを作る)超音波パルスで構成される超音波を送信し、超音波パルスの反射から生じる(生の)無線周波数(RF)エコー信号を受信する。このために、画像化プローブ120には、送受信マルチプレクサが設けられ、これにより、パルスエコーモードで画像プローブ120を利用できる。
【0031】
中心ユニット115はマザーボード125を収容し、該マザーボード125上では(マイクロプロセッサ、ワークメモリ、及びハードディスクドライブなどの)超音波スキャナの操作を制御する電子回路が搭載される。しかも、(全体として符号130が付されている)1枚若しくはそれ以上のドータボードがマザーボード125上に差し込まれている。ドータボード130は、画像化プローブ120を駆動するための及び受信したエコー信号を処理するための電子回路を設ける。超音波スキャナ100は、(フロッピー(登録商標)ディスクなどの)リムーバブルディスク140を読み取るためのドライブ135も備わり得る。モニタ145は、進行中の解析処理に係る画像を表示する。超音波スキャナ100の操作はキーボード150により制御され、該キーボード150は従来技術に従って中心ユニット115に接続する。キーボードには、モニタ145の画面上の(図示しない)ポインタの位置を操作するトラックボールが設けられるのが好ましい。
【0032】
臓器105の血液かん流にアクセスするために、超音波造影剤(UCA)が患者110に投与される。造影剤は、(例えば、輸液ポンプによる)持続輸液として、若しくは、(通常、シリンジによって手作業で)ボーラスとして、静脈注射により投与されるのが好ましい。
【0033】
適切な造影剤は、液体キャリア内に気泡の懸濁を含む。通常、気泡は、0.1−5μmのオーダの直径を有し、このことにより、気泡は患者の毛細血管床を通過できる。気泡は一般に、気体若しくはその前駆体を、乳化剤、オイル、濃化剤、糖、プロテイン若しくはポリマを含む種々のシステムの中に取り込む若しくは封入することにより安定化される。安定化された気泡は、ガス充填微小胞と称される。微小胞は、水媒体内で分散され(この場合、マイクロバブルとしても知られる)界面活性、即ち両親媒性部材を含む非常に薄いエンベロープにより気体/液体界面にて結合された、気泡を含む。一方で、微小胞は、(マイクロバルーン若しくはマイクロカプセルとしても知られる)脂質若しくは天然/人工ポリマで形成された固体部材により、内部で気泡が取り囲まれた懸濁を含む。別の種類の造影剤は、ポリマ若しくは別の固体の多孔性微粒子の懸濁を含み、該懸濁は微粒子の孔の内部に封入された気泡を坦持する。微小胞、特にマイクロバブル及びマイクロバルーン、及びそれらの調合液の適切な水性懸濁は、EP−A−0458745(特許文献1)、WO−A−91/15244(特許文献2)、EP−A−0554213(特許文献3)、WO−A−94/09829(特許文献4)及びWO−A−95/16467(特許文献5)に記載され(、それらの開示は参照の上本明細書に組み込まれ)る。ガス充填微小胞を含む商業用の超音波造影剤は、Bracco International BVによるSono Vue(登録商標)である。
【0034】
画像化プローブ120は、解析されるべき臓器105の領域内で患者110の皮膚に接触して配置される。時間に対して超音波パルスに応じて記録されるエコー信号は、臓器105の組織による寄与と造影剤による寄与との重ね合わせの結果生じる。超音波スキャナ100は、造影剤の(非線形の)寄与に関してエコー信号内の組織の(線形の)寄与を実質的に減じるように、コントラスト特定画像化モードで動作する。コントラスト特定画像化モードは、例えば、“RafterらによるImaging technologies and techniques,Cardiology Clinic 22(2004),ページ181−197”(非特許文献2)(これらの内容は参照の上本明細書に組み込まれる)に記載されるように、高調波イメージング(HI)、パルス反転(PI)、電力変調(PM)及びコントラストパルスシークエンシング(CPS)技術を含む。一般に、オリジナルの(未処理の)エコー信号に対する(処理済みの)エコー信号内の組織の寄与分の縮小は、振幅比(dB)により規定される。縮小は、少なくとも40dBが好ましく、より好ましくは少なくとも50dBであり、更に好ましくは少なくとも60dBである。従って、通常の実施では、組織の残余の寄与分は、常に処理済みのエコー信号内に存在する。この残余の寄与分は、評価段階の臓器の生体構造の情報を表示するのに利用され得る。しかしながら、好ましい実施形態では、組織の寄与は完全に除去される。つまり、造影剤の寄与のみが処理済みのエコー信号内に存在し、解析段階の臓器の生体構造に関する情報は、その中で利用可能ではない。この場合、以下の記載で示すように、所望であれば、標準的な非コントラスト特定エコー信号から、解析段階の臓器の生体構造に関するできるだけの情報を導出可能である。
【0035】
結果であるエコー信号は、(例えば、毎秒10−30画像の画像化率で)対応する連続の捕捉の瞬間で臓器105を表す一連のデジタル画像(若しくはフレーム)に変換される。個々の画像は、夫々の視覚的エレメント、即ち基本的なピクチャエレメント(ピクセル)若しくは基本的なボリュームエレメント(ボクセル)に対する値の(例えば、512行512列の)マトリクスから成るビットマップにより、形成される。個々のピクセル(ボクセル)は、臓器105のごく一部を構成する位置に対応する。通常、ピクセル値は、ピクセルの明るさを規定する(例えば、8ビットの)グレースケールレベルにより示される。ピクセル値は、0(黒)から255(白)まで、(ピクセル位置の音響的応答を示す)対応するエコー信号の強度に従って、増加する。
【0036】
上述の処理の間、エコー信号は、画像の視覚的質を改善するため非線形の圧縮を受ける。実際に、エコー信号の振幅は、その(電圧)振幅の最大限利用可能な値と最小限利用可能な値との間の比として規定される、大きいダイナミックレンジを有する。例えば、エコー信号振幅(DR
E)のダイナミックレンジは、容易に10000(即ち、20・log
10(10000)=80dB)を超え得る。しかしながら、観察者が一般にモニタ145で認識し得るダイナミックレンジは、30dB以下である。従って、エコー信号内に含まれる全ての有用な情報を視覚的に認識できるようにするため、下方振幅エコー信号を増強すべく非線形でエコー信号を増幅することが必要である。このことにより、解析段階の臓器105に関する有用な生体構造情報を伝達する、バランスの良いコントラストを伴った画像を、得ることができる。
【0037】
対数タイプの伝達関数を介してエコー信号を圧縮することにより、通常、所望の結果が達成される。スキャナ1000の夫々の製造者は、この対数圧縮の実装に対する特有のアプローチを有する。例えば、モニタ145に表示されるビデオ信号は、以下の伝達関数を適用することにより得られる圧縮信号に等しく設定され得る。
ここで、A
Eはエコー信号の振幅であり、MAX
Eはエコー信号の最大許容振幅であり、LCは(dBで)所望の圧縮因子を規定するパラメータであり、A
Vはビデオ信号の振幅であり、MAX
Vはビデオ信号の最大許容振幅であり、A
Cは圧縮信号の振幅である。
【0038】
伝達関数(0.1)は、(固体散乱物が内部に埋め込まれたポリウレタンゲルなどの)組織を模倣するファントム部材を利用して、実験的に検証された。圧縮因子LCの所与の値に対しては、(dBで表示される)スキャナのゲイン設定を変更することにより一連の画像が取得された。該ゲイン設定は、その全体のダイナミックレンジDR
Eをカバーするように、エコー信号の振幅を規定した。画像は、単一のスペックルゲインの内部に含まれる非常に小さい領域内でピクセル値を計測することにより、オフラインで解析された。
【0039】
伝達関数(0.1)の適用による対数圧縮の効果は、
図2に図式的に示される。特に、この図は、(横軸上の)エコー信号の振幅に対して(縦軸上の)ビデオ信号の振幅をプロットするダイヤグラムを示す。それら両方とも、(A
V/MAX
Vに等しい相対的ビデオ信号振幅と、A
E/MAX
Eに等しい相対的エコー信号振幅とを伴って)0から100の相対値で表されている。
【0040】
図に示すように、(実線の)曲線210は(ビデオ信号がエコー信号に比例する)線形関係を示し、該線形関係は(対数圧縮することなく)エコー信号をビデオ信号の中に線形でマッピングすることにより取得される。一方、(破線の)曲線220及び(点鎖線の)曲線230は、圧縮因子LCが夫々30dBと60dBに等しい伝達関数(0.1)の適用から発生した非線形関係を示す。
【0041】
対数圧縮は、エコー信号の下方値を増強するように、非線形でエコー信号を実際に増幅するのは明白である。特に、ビデオ信号は、曲線220、230と横軸との交点により与えられる最小値より低いエコー信号の値に対して、常にゼロである(即ち、A
V=0)。
この最小値MIN
Eより高いエコー信号の値に対しては、ビデオ信号は、エコー信号の僅かな増加に対しても飛躍的な値をとる。しかしながら、望ましい結果はビデオ信号とエコー信号との間の比例関係の喪失を示す。この効果はより大きい圧縮因子LCの値に対して(即ち、曲線220に対して曲線230で)より明らかである。
【0042】
その代わりに、解析段階の臓器内の血液かん流に関する正確な関数情報を導出するには、ビデオ信号の線形性が重要である。以下に利用するように、線形性という用語は、ビデオ信号の振幅(即ち、ピクセル値)を、対応するピクセル位置の造影剤の局所濃度に直接に比例せしめる処理を、示す。(造影剤濃度は血液量に関連する、即ち比例するので、)この線形化信号により、臓器の夫々の一部の(相対的)局所血液量が直接的に示される。結果として、線形化信号により、臓器の血液かん流の正確な評価が可能になる。
【0043】
この結果はエコー信号の局所出力を計算して取得される。エコー信号が直接利用し得るときは、この結果はその振幅を二乗することにより容易に取得される。
ここで、ALは線形化信号の振幅である。この場合、線形化信号は、最小値MIN
L=0から最大値MAX
L=(MAX
E)
2までにわたる。しかしながら、最も実際的な状況ではビデオ信号のみが利用可能である。この場合、線形性は、WO−A−2004/110279(特許文献6)に記載されるように、(効果を逆転する)逆対数圧縮を適用しそのようにして得られた結果を二乗することで得られる(WO−A−2004/110279の開示全体は本明細書に参照の上組み込まれる)。例えば、対数圧縮が伝達関数(0.1)により規定されるとき、線形化信号は以下の逆関数により計算される。
この場合、線形化信号振幅は、最小値MIN
Lから最大値MAX
Lまでにわたり、夫々以下の式で与えられる。
【0044】
対数圧縮に関する及び生体解析に対する線形化に関する利用例が
図3に示される。この目的のため、ボーラス注入後の造影剤濃度のピーク時の兎の心臓に関する3つの画像が得られた。(A)及び(B)が付された画像は、夫々、圧縮因子LCを83dB及び40dBと等しくして、伝達関数(0.1)に基づく対数圧縮を適用することで、得られた。一方、(C)が付された画像はビデオ信号を線形化することで得られた。画像の外見は適用される処理に強く依存することが、この図から明白である。
【0045】
特に、より高い圧縮因子LCにより得られた画像(A)は、解析段階の臓器についてバランスの良い表示を示す。この場合、圧縮画像(A)は、腎臓皮質全体の明らかな均一の混濁を示す。圧縮画像(B)に示されるように圧縮因子LCが低いと、視覚的な質は相当程度低下する。しかしながら、4時に対応する領域に、僅かな混濁不均一が見られる。一方、画像(C)の線形化では、混濁が不均一であることが明白である。しかしながら、解析段階の臓器の表示が非常に貧弱であるという犠牲により、この結果が達成されている。
【0046】
特に、線形化画像(C)において、腎臓皮質の上方部分が明るく均一であり、下方右部分がより混濁がない、ということが検出可能である。同じ画像(C)の標準的なオフラインの定量化解析により確認された。この目的のため、ピクセル値が、線形化画像(C)の上方領域、中間領域及び下方領域で計測された。これらのピクセル値は夫々の領域で平均化された。図に示すように、中間領域(22dB)と下方領域(26dB)との平均ピクセル値は、上方領域の平均ピクセル値(1dB)よりも非常に低い。深さに関する均一なトランスデューサ感度を仮定すると、(線形化信号は比例するから、)(夫々、9dBと5dBの)対応する差異が、縮小した造影剤濃度を示す。血液かん流の関連する欠損は、腎臓皮質のこの部分の病理状態を示し得る。
【0047】
本発明の実施形態に係る解決策は、同時表示のため元の圧縮画像上に線形化画像をオーバレイする。この目的のため、ROIが選択される。ROI内部の個々のピクセルは、局所的なエコーパワーに略比例する(即ち、解析段階の臓器の対応する部位に存在するときの造影剤濃度に比例する)(線形化)値が割り当てられる。ただしこの線形化値が所定の閾値に達する場合である。(線形化値が閾値THより低い)ROI内部の他のピクセル、及びROI外部のピクセルは、元の圧縮画像のように表示される。
【0048】
上記提案のオーバレイ表示は、解析段階の臓器に関する生体構造情報はモニタで示される画像内で失われないことを保証する。同時に、これにより、僅かな変化を伴う血液流分布を、即ち混濁不均一を識別できる。従って、(通常、病態を示す)かん流異常の検出が強く促進される。
【0049】
更に、得られた結果は、用いられる器具のタイプに、更に依存しない。いずれにせよ、(対数圧縮の設定における)主観性は回避される。結果として、今や様々な器具や設定を利用するオペレータ間で、結果を比較することが可能である。
【0050】
従って、上記提案の解決策は、(かん流プロセスの間の)造影剤濃度の、時間に対する漸進的変化の動画表示を示すものである。
【0051】
時間のかかるオフライン解析を必要とすることなく即座に所望の結果を入手できることが、強調される。従って、得られた画像は、かん流プロセスの間にリアルタイムで表示され得る。これにより、可能な病変の位置及び重篤性に関する最初の迅速な診断が可能になる。続いて、何らかの更なる検査が必要か否か(場合によっては、どの処置手順が採られなければならないか)を即座に決定することが可能である。
【0052】
閾値THは、線形化信号内の組織に関する対応する(減じられた)寄与分よりも高く(即ち、エコー信号内の組織の寄与分の元の限度を線形化することで得られる、線形化限度よりも高く)設定されてもよい。この目的のため、閾値THは、最大の線形化信号の所定のパーセントに設定されてもよい。例えば、閾値THは、好ましくは最大の線形化信号の1−10%の範囲で選ばれ、より好ましくは5%に等しい値などの4−7%の範囲で選ばれる。このように、閾値THより高い線形化値は、造影剤のみを示す(このときその濃度が重要である)。一方で、線形化値が閾値THより低い−他のピクセルに対する圧縮値は、(非常に低い濃度の造影剤が付加されることがある)組織のみを示す。当業者には理解され得るように、線形化信号内の組織の寄与分がほぼ完全に除去され得る例では、閾値THはゼロに設定されてもよい。
【0053】
線形化画像は、任意の利得係数により評価され、色別参照テーブルに従って表示される。このように、エコー信号内の差異は更に強調される。
【0054】
図4に進むと、上述の解決策の適用例が、
図3と同じ実験データを用いて、示されている。特に、左画像(A)は、(より高い圧縮因子LCにより得られた)
図3内で同じ参照で示された圧縮画像に対応する。逆に、右画像(B)は、本発明の実施形態に基づく方法に係るこの圧縮画像に、対応する線形化画像をオーバレイすることにより、画像(A)から得られる。線形画像内に表示されるピクセルは、圧縮画像内に表示されるピクセル(即ち、元のグレースケールレベル)に対して、(色分けにより)容易に認識される。このように、腎臓皮質の下方右部分のかん流不均一を即座に識別することが可能である。同時に、得られた画像は、背景内に解析段階の臓器に関するバランスの良い表示となる。
【0055】
同じ解決策の別の利用例が
図5aに示される。この場合、画像(A)は、標準対数圧縮を適用して得られた。画像(A)は、造影剤の連続注入の間の、造影剤濃度の定常状態での豚の腎臓を示す。30%狭窄が腎動脈内に誘発され腎臓皮質に異常かん流を生じている。画像(A)は、腎臓皮質全体の一様な混濁を示しており、従ってかん流異常は検出され得ない。
【0056】
(B)が付された対応する画像は、選択したROIへ上述の解決策を適用して得られたのであり、該ROIは図の楕円領域に限定される。結果として、ROI内部のピクセルは、(対応する線形化値が、夫々、閾値THより厳密に高いか低いかによって)線形化画像で、若しくは、圧縮画像で、表示される。一方、ROI外部のピクセルは、常時、圧縮画像で表示される。図に示すように、疑わしい領域は、(同じ臓器の生体構造表示に悪影響を与えることなく)腎臓皮質の頂部で明確に可視となっている。
【0057】
かん流異常の位置は、腎臓皮質の標準的解析により蛍光性の微小形態を使って確認された。しかも、かん流のオフラインの定量的解析は、破壊補充技術で取得された腎臓皮質の一連の画像に関して実施された。特に、線形化ビデオ信号の二乗平均平方根の二乗(RMS
2)値が、疑わしい領域に配置されるROI内のピクセル、及び、(重い状況であるとされる)その左の制御領域内に配置された別のROI内のピクセルのために、計算された。
図5Bに示すように、(A)を付された図は、狭窄を誘発する前のベースライン状況の、疑わしい領域のための(曲線610s)、及び制御領域のための(曲線610c)、時間に対するRMS
2値をプロットしている。図に示すように、曲線610s、610cは非常に類似する。一方、(B)を付された図は、狭窄状況の、同じ疑わしい領域のための(曲線620s)、及び同じ制御領域のための(曲線620c)、時間に対するRMS
2値をプロットしている。この場合、疑わしい領域曲線62sは、制御領域の曲線620cと全く異なり、このことより、かん流異常の正確な位置を確認する。
【0058】
図6を参照して、本発明の実施形態に係る解決策を実行するのに利用され得る主たるソフトウエア及びハードウエアコンポーネントは、全体として参照600が付されている。オペレーティングシステム及び他のアプリケーションプログラムと共にプログラムが稼動するとき(図示せず)に、情報(プログラム及びデータ)は通常、ハードディスク上に格納され少なくとも一部ワーキングメモリ内にロードされる。プログラムは、例えばCD−ROMからハードディスク上に、最初インストールされる。
【0059】
特に、ドライバ603は画像化プローブ(図示せず)を制御する。例えば、画像化プローブドライバ603は、解析段階の臓器に適用される超音波パルスを生成するための透過ビーム形成器及びパルサを含む。上記臓器から受信される対応する(アナログRF)エコー信号は、レシーブプロセッサ606に供給される。通常、レシーブプロセッサ606は、アナログRFエコー信号を前もって増幅し、予備的時間ゲイン補償(TGC)を適用する。アナログRFエコー信号は、アナログデジタルコンバータ(ADC)によりデジタルにコンバートされ、受信ビーム形成器を介して集中信号に組み合わせられる。このように得られたデジタル信号は、更なるデジタルアルゴリズム、及び他の線形の若しくは非線形の(ポストビーム形成のTGCなどの)シグナルコンディショナを介して処理されるのが好ましい。特に、レシーブプロセッサ606は、コントラスト特定アルゴリズムを利用して(前述のHI、PI、PM若しくはCPS技術に基づくことなどにより)組織の寄与分を削除する。このように処理されたデジタル信号は、ビデオプロセッサ608に渡され、そこでは信号は変調され、対数圧縮され、更にビデオフォーマットにスキャンコンバートされる。その処理の結果、一連の圧縮画像I
Cの記録となる。この目的のため、ビデオプロセッサ608は、所望の圧縮因子LCをインプットとして受ける。
【0060】
圧縮画像I
Cは一時的サブサンプラ609に与えられ、該一時的サブサンプラ609は(例えば0から10の)サブサンプリングパラメータP
Sを受ける。一時的サブサンプラ609は、あらゆるP
s+1から一つの圧縮画像を出力する。この目的のため、一時的サブサンプラ609は、圧縮画像I
Cを通過させ、次のP
Sをスキップする。最も実用的な状況では、サブサンプリングパラメータP
Sは0に設定され(、あらゆる圧縮画像I
Cが考慮され)る。その代わり、サブサンプリングパラメータP
Sのより高い値は、(例えば、超音波スキャナが毎秒100−500フレームなどの超高速フレーム率で稼動する場合に)処理される圧縮画像I
Cの数を限定するのに利用される。
【0061】
ドローイングモジュール612は、(ビデオプロセッサ608からの)圧縮画像I
Cに関する解析処理のためのROIを予め規定するのに利用される。操作より、縮小マスクM
Rが生成され、該縮小マスクは、圧縮画像I
C(即ち、MxN)と同じサイズのバイナリ値のマトリクスから構成される。ROI内部のバイナリ値はロジック値1を割り当てられ、ROI外部のバイナリ値はロジック値0を割り当てられる。乗算器オペレータ615は、一時的サブサンプラ609から(一時的にサブサンプルされていることがある)圧縮画像I
Cと、ドローイングモジュール612から縮小マスクM
Rとを受ける。オペレータ615は、縮小画像I
Rの対応するシーケンスを生成するように、ピクセル毎に、個々の圧縮画像I
Cに縮小マスクM
Rを乗じる。結果として、縮小画像I
Rは、(縮小マスクM
Rにより規定される)ROI内部にある圧縮画像I
Cのピクセル値のみを含み、他のピクセル値は0にリセットされる。
【0062】
個々の縮小画像I
Rは線形化オペレータ618に与えられ、該線形化オペレータ618は対応する線形化画像I
Lを出力する。特に、オペレータ618は、ピクセル毎に縮小画像I
Rを線形化し、その線形化画像I
Lの個々のピクセル値を局所のエコーパワーに直接比例させるように(即ち、解析段階の臓器内に存する造影剤の濃度に比例させるように)する。懸案の例では、この結果は、式(0.3)を縮小画像I
Rのあらゆるピクセル値に適用することで、到達される。
【0063】
それから線形化画像I
Lは、マスクジェネレータ621に渡されるが、該マスクジェネレータ621は閾値THにより制御される。マスクジェネレータ621は、対応する線形化マスクM
Lを生成する。個々のピクセルの値が閾値THを超えるならば(個々のピクセルに)論理値1を割り当て、そうでないならば論理値0を割り当てることで、線形化マスクM
Lは線形化画像I
Lから得られる。乗算器オペレータ624は、(線形化オペレータ618から)線形化画像I
Lを受け取り、(マスクジェネレータ621から)線形化マスクM
Lを受け取る。オペレータ624は、ピクセル毎に線形化画像I
Lに線形化マスクM
Lを乗じ、対応するマスク化された(線形化された)画像MI
Lを生成する。結果として、マスクされた画像MI
Lは、閾値THを超える線形化画像I
Lのピクセル値のみを含み、他のピクセル値は0にリセットされる。
【0064】
空間サブサンプラ627は、上記のように得られたマスクされた画像MI
Lを受け取る。モジュール627は、圧縮画像ICの一つの空間周波数成分に基づく因子に従って(例えば、超音波画像化で通常生じるスペックル粒子のサイズに従って、例えば2−6ピクセルと等価のものに従って)マスクされた画像MI
Lをサブサンプリングする。空間サブサンプリングは、サブサンプリングが後に続くローパスフィルタリングを含むことが好ましい。ローパスフィルタリングは、カットオフ周波数を有し、該カットオフ周波数は(例えば、フーリエ解析により決定される)圧縮画像I
Cのうちの選択されたものの内の顕著なエネルギを含む最も高い周波数コンポーネントとして選ばれ得る。サブサンプリングは、例えば、カットオフ周波数の2倍に等しい空間サブサンプリング周波数に結果的に成る値として、決定され得る因子に従って実施される。このように、マスクされた画像MI
Lは、対応するサブサンプルされたマスクされた画像SMI
Lに変換される。つまり、サブサンプルされたマスクされた画像SMI
Lの個々の値は、マスクされた画像MI
Lの近接ピクセルのグループに対応するセルを示す(該セルは、上述の空間分解能に従って形成されるサイズを有する)。このことによって、(例えば、圧縮画像I
Cのずれによる)記録された情報の不規則を平滑にできる。
【0065】
それから(サブサンプルされた)マスクされたSMI
Lは量子化器630に与えられる。量子化器630は、場合により利得係数を適用することによって、マスクされた画像SMI
Lのセル値を(例えば、0から最大のビデオ信号MAX
Vまで一様に分配された64若しくは128レベルから成る)対応する離散値に変換するように、調整される。量子化器630は色別(参照)テーブル633にもアクセスする。色別テーブル633は、全ての可能なレベルを(レベルが増加するとより明るくなるのが好ましい)対応する色の表示と結び付ける。例えば、個々の色は、実際の列挙を含むパレットの内部の位置にアクセスするためのインデクスにより規定される。量子化器630は、マスクされた画像SMI
L内の個々のセル値を対応する色の表示と置換する。
【0066】
マスクされた画像SMI
Lは、空間補間器636に与えられる。空間補間器636は、(最近傍、双一次、若しくは双三次技術などの)補間技術によって圧縮画像I
Cのサイズに対応するマスクされた画像SMI
Lのフルサイズ(即ち、M×N)を復元する。この目的のために、マスクされた画像SMI
L内の個々のセルの値が、対応するピクセルのグループのために複写され(最近傍補間方法)、任意に(ローパス2次元若しくは3次元の空間フィルタを用いる等して)空間フィルタが掛けられる。オペレーションにより、対応する(補間された)マスクされた画像IMI
Lが生成される。マスクされた画像IMI
Lは、単一画像バッファ639内にラッチされ(先の内容を置換す)る。このように、一時的サブサンプラ609により新しい圧縮画像I
Cが出力されると常に、バッファ639内のマスクされた画像IMI
Lは更新され、そうでないときは変更無いまま維持され(最後に計算された、マスクされた画像IMI
Lを維持す)る。
【0067】
同時に、線形化マスクM
Lは、マスクジェネレータ621からインバータ642へも供給され、該インバータ642は(論理値0と1を交換することによって)対応する反転(線形化)マスクM
Lを生成する。反転マスクM
Lは、同様に単一画像バッファ645内にラッチされ(先の内容を置換し)、バッファ639内のマスクされた画像IMI
Lと常時同期するようにする。乗算器オペレータ648は、(バッファ645内にラッチされた)反転マスクM
Lと(ビデオプロセッサ608からの)最新の圧縮画像I
Cを受け取る。オペレータ648は、ピクセル毎に圧縮画像I
Cに反転マスクM
Lを乗じて、対応するマスクされた(圧縮された)画像MI
Cを得る。結果として、マスクされた画像MI
Cは、ROI外部の、及びROI内部で閾値THより小さい、対応する圧縮画像I
Cのピクセル値を含み、ROI内部の他のピクセル値は0にリセットされる。
【0068】
加算器オペレータ651は、(バッファ639内にラッチされた)マスクされた画像IMI
Lと、(乗算器オペレータ648からの)マスクされた画像MI
Cを受け取る。オペレータ651は、ピクセル毎に(正確に同期して)マスクされた画像IMI
Lとマスクされた画像MI
Cとを加え、オーバレイ画像I
Oを得る。このように、ROI内部のオーバレイ画像I
Oの個々のピクセル値は、(同じ線形化画像I
Lの)そのピクセル値が閾値THより高いときは常に、線形化画像IL内として表示される。その代わりに、閾値THより低いROI内部の他のピクセル値、及びROI外部の全てのピクセル値は、圧縮画像I
C内として表示される。
【0069】
オーバレイ画像I
Oはモニタドライバ654に渡され、該モニタドライバ654はオーバレイ画像I
Oの視覚化を制御する。上述と同じオペレーションが、記録された個々の新しい圧縮画像I
Cに対して繰り返される。結果として、オーバレイI
Oが、超音波スキャナのモニタでリアルタイムで連続して表示される。このことは、対応する圧縮画像I
Cが取得されると略同時にオーバレイ画像I
Oが利用可能になることを意味する(若しくは、僅かな遅れはあるが、いずれにせよ、表示を開始するのに取得が完了するのを待つ必要はない)。
【0070】
更に、若しくは一方で、このように得られたオーバレイ画像I
Oのシーケンスは、リポジトリ657内にもセーブされ得る。リポジトリ657はプレーヤ660によりアクセスされる。プレーヤ660は、インデクスX
Sも受け取るが、該インデクスX
Sはオーバレイ画像I
Oの所望の再生速度に従って選択される。例えば、速度インデクスX
Sは、リアルタイムの再生に対しては1に設定され、スローモーションの再生に対しては1より低い値に設定され、若しくは、加速モーションの再生に対しては1より高い値に設定される。プレーヤ660は、リポジトリ657から連続してオーバレイI
Oを抽出する。それから個々のオーバレイ画像I
Oは、(選択された速度インデクスX
Sに対応するフレームレートで)再生のためにモニタドライバ654に渡される。
【0071】
改良
【0072】
局所的な特定の要求を満足するために、当業者は上述の解決策に数多くの修正や代案を適用することは、当然のことである。特に、本発明は発明の好適な実施形態を参照して相当程度詳細に記載したが、別の実施形態に加えて、形式的に及び詳細に種々の削除、置換及び変更が可能であることが、理解されるべきである。更に、本発明の開示された実施形態に関連して記載した特定の要素及び/又は方法は、設計選択の一般事項として他のどの実施形態とも組み込まれ得ることが明確に意図されている。
【0073】
例えば、超音波スキャナが(線形の、コンベクスの、位相の、若しくはマトリクスの、アレイタイプの画像化プローブなどを伴う)種々の構造を有し、若しくは他のユニットを含むならば、同様の考察が適用される。同様に、本発明の解決策は、(動脈内など別の方法で投与されるのであっても)均等の造影剤で実現する場合にも役立つ。更に、かん流評価に関連しない適用例でも本発明の解決策は利用され得る。2006年11月9日の同時係属出願PCT/EP06/068305(特許文献7)に記載された、特定の生物学的標的で固定される造影剤の検出及び定量化が、典型例である(該出願の開示の全体は参照の上本明細書に組み込まれる)。
【0074】
更に、(例えば、Arditiらによる上記引用文献に記載されるアルゴリズムを適用することにより)エコー信号の組織の寄与分を縮小させるようなどんな他の技術も利用され得る。エコー信号の組織の寄与分縮小のための、提案の数値例は限定的に解釈されるべきではないことも、留意されるべきである。特に、エコー信号からの組織の寄与分の完全な除去は、本発明の範囲内にある。
【0075】
いずれにせよ、(一時的サブサンプリング以外の)全ての利用可能な画像に対して提案の処理の利用が妨げられるものではない。
【0076】
当然ながら、利用可能な画像を線形化するための対数圧縮及び式を規定する上述の伝達関数は単なる例示である。対数タイプの種々の伝達関数にも同様の考察が適用される。若しくは、より一般的に他の非線形圧縮にも同様の考察が適用される。
【0077】
更に、閾値THの数値例は限定的に解釈されてはならない。より一般的に、(組織の残余の寄与分と無関係な場合も含めて)別の方法で閾値THを設定することが、妨げられるものではない。いずれにせよ、種々の(最大の)閾値を利用することで、(ピクセル値がエコー信号の強度と共に減少する)ネガティブ画像に基づくシステムでも同様の結果は達せられ得る。
【0078】
本発明の技術は特に超音波利用例のために設計されているが、磁気共鳴画像(MRI)やX線コンピュータ断層撮影法(CT)等に基づく、他の医療用画像化例の利用が妨げられるものではない。
【0079】
一方で、超音波スキャナ及び別個のコンピュータ(若しくは均等なデータ処理エンティティ)から成るシステムでも、同じ解決策が利用され得る。この場合、記録された情報は、(例えば、リムーバブルディスク、メモリキー、若しくはネットワーク接続を介しての)処理のために超音波スキャナからコンピュータに伝達される。
【0080】
別の実施形態では、選択されたROI外部のピクセル値は、(ROI外部のオーバレイ画像の部分がブラックであるように)0にリセットされ得る。しかしながら、圧縮画像の全体コンテンツに対する提案の解決策の利用は想定される。
【0081】
本発明の別の実施形態では、線形化値が閾値THより低いROI内部のピクセルに対する圧縮値と、ROI外部のピクセルに対する圧縮値が、別の信号から得られ得る。例えば、基本Bモード画像化などの、非コントラスト特定の画像化モダリティで得られる信号からの圧縮値は、進んで利用され得る。これらの値は、例えば、画像化プローブドライバのエコー信号から得られ得る。そのように得られた値は、例えば、解析段階の臓器の生体構造を示すためのオーバレイ画像内の圧縮値として利用され得る。同時に、閾値THを超えるROI内部のピクセルに割り当てられる線形化値は、組織の寄与分が造影剤の一つに関して縮小された信号から得られる。前述のように、線形化信号内の組織の寄与分が完全に除去されると、閾値THがゼロに設定され得る。
【0082】
本発明の原理から乖離することなく、(線形化値の代わりに)圧縮値に閾値を適用することも可能である。この場合、線形化値は、閾値を超える圧縮値に対してのみ計算される。更に、(非圧縮の)エコー信号が利用可能であるとき、閾値より上の個々のピクセル値を線形化することにより又は閾値より上ではない個々のピクセル値を圧縮することにより、オーバレイ画像は直接に構成され得る。
【0083】
ある実施形態では、線形化信号は(パラメータ解析技術が実施される場合などの)他の目的にも既に利用可能である。この場合、何らの付加的な線形化オペレーションをすることなく利用可能な情報を活用することが可能である。
【0084】
線形化画像が(例えば、所定のサブサンプリングファクタに従って)異なる手順で空間サブサンプルされるならば、又は空間サブサンプリングが事前に若しくは事後に実施されるならば、同様の考察が適用される。いずれにせよ、(上述の空間サブサンプリングにより規定されるピクセルのグループのレベルではなく)ピクセルのレベルでの提案の解決策の適用は、排除されない。
【0085】
線形化値に関して利得計数を適用するステップは、別途スケール化された色別参照テーブルを適用することに、置き換えられ得ることにも留意するべきである。いずれにせよ、線形化値のグレースケール表示は、本発明の範囲内である。
【0086】
上述のように、オーバレイ画像がリアルタイムで表示される場合に本発明の利点がより明確に認められるとしても、得られた結果をオフラインで解析するために本発明の解決策を適用することが、想定される。
【0087】
(本発明の個々の実施形態を実施するのに利用され得る)プログラムが別途構成されていても、又はモジュール若しくはファンクションが追加的に加えられていても、同様の考察が適用される。更に、メモリ構造は、別のタイプのものでもよく、(必ずしも物理記憶媒体で構成されない)均等物で置き換えられてもよい。更に、提案の解決策は、(同様の若しくは付加的なステップを有し、別の順序でもよい)均等の方法で実施されるのに役立つ。いずれにせよ、プログラムは、(オブジェクトコードでもソースコードでも)外部の若しくは常駐のソフトウエア、ファームウエア又はマイクロコードなどの、データ処理システムにより若しくはデータ処理システムに関連して、利用されるのに適切な形態を取り得る。更に、プログラムは、コンピュータが使えるどんな媒体に設けられてもよい。媒体は、プログラムを含み、格納し、通信し、伝搬し、又は伝達するのに適切などんな要素でもよい。そのような媒体の例は、(プログラムが予めロードされる)固定ディスク、リムーバブルディスク、テープ、カード、ワイヤ、ファイバ、ワイヤレス接続、ネットワーク、放送波などである。例えば、媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、若しくは半導体タイプのものよい。
【0088】
いずれにせよ、本発明に係る解決策は、本発明に係る解決策は、(例えば、半導体物質のチップ内に集積された)ハードウエア構造で、若しくはソフトウエアとハードウエアの組合せで実施するのに役立つものである。