【文献】
Naveen Arulselvan et al.,Distributed Power Control Mechanisms for HSDPA Femtocells,Vehicular Technology Conference, 2009. VTC Spring 2009. IEEE 69th,2009年 4月26日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記推定された前記フェムトセルからのマクロレイヤのユーザの距離と、前記計算された最大の影響領域とに基づいて、前記フェムトセルにおけるダウンリンク電力を制御する工程は、前記フェムトセルがアイドルトラフィックだけを有する場合に実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記推定された前記フェムトセルからのマクロレイヤのユーザの距離と、前記計算された最大の影響領域とに基づいて、前記フェムトセルにおけるダウンリンク電力を制御する工程は、前記フェムトセルがトラフィックを搬送せず、そして、前記フェムトセルが近隣のマクロレイヤのユーザを検出する場合に実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記フェムトセルがトラフィックを搬送しておらず、アクティブなマクロセルのユーザが近くで検出されたと判断されるなら、前記フェムトセルにおける前記ダウンリンク電力を制御する工程をさらに有することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の方法。
前記フェムトセルがアイドルトラフィックのみを搬送しており、マクロセルのユーザからの複数の登録要求が検出されたと判断されるなら、前記フェムトセルにおける前記ダウンリンク電力を制御する工程をさらに有することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1はセルラ通信ネットワーク10の一部を示している。
図1は典型的なネットワークのごく小さな部分を表わしているに過ぎないが、本発明の理解には十分であることは明らかであろう。
【0010】
図1はセルラネットワーク10におけるマクロレイヤ基地局12を表わしている。従来のように、マクロレイヤ基地局12のカバレッジ領域にあるセルラ電話14のようなユーザ機器はその基地局と接続確立を行うことができる。マクロレイヤ基地局12はセルラネットワーク10のコアネットワーク16と接続され、データはセルラネットワーク10における複数の基地局と公衆電話ネットワークとの間ではコアネットワーク16を介して送信される。
【0011】
図1はまた、第1のフェムトセル基地局或いはアクセスポイント(AP)20が位置する第1の居住建造物18と、第2のフェムトセル基地局或いはアクセスポイント(AP)24が位置する第2の居住建造物22も示している。建造物18、22はマクロレイヤ基地局12のカバレッジ領域に位置しており、このことは建造物18、22の中、或いは、その近くにいるユーザ機器はマクロレイヤ基地局12からのカバレッジを受け入れることができることを意味している。しかしながら、カバレッジにはそれらの建造物内では、特に、地球的規模移動体通信システム(UMTS)のネットワークでしばしば用いられる周波数では問題があることが知られている。それ故に、建物内のフェムトセル基地局の存在はそこでのネットワークカバレッジを改善する。従って、建造物18内にいるセルラ電話26のようなユーザ機器は、第1のフェムトセル基地局20からのセルラカバレッジを受け入れる。
【0012】
図1はまた、セルラネットワーク10のコアネットワーク16内の管理システム28を示している。管理システム28は以下に詳細に説明するように、フェムトセル基地局20、24の動作のある側面を制御する。
【0013】
図2はより詳細に、第1のフェムトセル基地局或いはアクセスポイント(AP)20のようなフェムトセル基地局の構造を示している。アクセスポイント20は無線トランシーバ(TRX)回路30、アンテナ32を含み、エアインタフェースによりセルラ電話26のようなユーザ機器と通信を行う。アクセスポイント20はまた、ネットワークインタフェース32を含み、例えば、現存するブロードバンドIPネットワーク接続により、セルラネットワークのコアネットワーク16と通信を行う。
【0014】
アクセスポイント20の動作はプロセッサ34により制御される。例えば、アクセスポイント20は、他の近接する基地局から受信する信号の測定を行うことができ、接続されたユーザ機器からの測定レポートを受信することができ、そして、プロセッサ34は、どの測定が必要とされるのかを決定し、その測定結果を解釈する測定制御ブロック36を含む。さらに、アクセスポイントは、そのダウンリンク送信の電力を制御することができ、接続されたユーザ機器にコマンドを送信し、それらユーザ機器からのアップリンク送信の電力を制御することができ、そして、プロセッサ34は電力設定を決定するための電力設定ブロック36を含んでいる。
【0015】
フェムトセル基地局20、24が原因となる干渉の可能性を管理する処理が
図3に図示されている。その処理は第1のフェムトセル基地局20における性能を参照して説明しているが、同じ処理がネットワークの他のフェムトセル夫々でも実行されることが意図されている。この図示した実施例では、本発明は、ただ登録された加入者だけが使用できるものである、所謂、クローズドアクセスフェムトセルでの状況に関するものとなっている。しかしながら、原理的には同じ思想はオープンアクセスフェムトセルにも用いられる。
【0016】
ステップ60で処理を開始し、ステップ62でフェムトセルが何らかのアクティブトラフィックを搬送しているかどうかを判断する。ステップ62で、もしフェムトセルがアクティブトラフィックを搬送していると判断されたなら、処理はステップ64に進む。ステップ64では、通常の電力管理アルゴリズムが用いられる。このことは、もし、フェムトセルがアクティブトラフィックを搬送しているなら、マクロレイヤ基地局からのトラフィックを取り除いており、そのフェムトセルからの干渉が原因となる容量の減少がおそらくトラフィックの取り除きが原因となる容量の増加による補償よりも大きいであろうということに基づいている。
【0017】
ステップ62で、フェムトセルがアクティブトラフィックを搬送していないと判断されたなら、処理はステップ66に進み、ステップ66では、フェムトセルが何らかのアイドルトラフィックを搬送しているかどうかを判断する。
【0018】
フェムトセルが何らかのアイドルトラフィックを搬送していないなら、処理はステップ68に進む。ステップ68では、フェムトセルは周辺のマクロレイヤにおける何らかのアクティブユーザを検出することができるかどうかを判断する。
【0019】
ステップ68において、フェムトセルがローカルなアクティブマクロレイヤのユーザと干渉していると判断されたなら、それがマクロレイヤのユーザに対するネットワーク性能に影響を与えている限り、それはおそらく、マクロレイヤユーザが時間をかけてフェムトセル20を含む居住建造物18の近くを歩いている限り、フェムトセルの送信電力を、マクロネットワークの一定のキー性能指標(KPI)への許容される影響に基づいて設定された低下限界内の範囲まで低減すべきである。
【0020】
ステップ70では、フェムトセルはマクロレイヤユーザまでの距離を推定する。ステップ72では、フェムトセルはこの距離が干渉半径未満であるかどうかを判断する。マクロレイヤユーザまでの距離が干渉半径以上であれば、処理はステップ62に進む。しかしながら、マクロレイヤユーザまでの距離が干渉半径未満であれば、処理はステップ74に進む。ステップ74では、フェムトセルはその送信電力をリセット(或いは低減)し、それからステップ76に進む。ステップ76では、フェムトセルの所有者は通知を受け、フェムトセルを干渉を受ける場所ではなく、より適切な場所に移しかえることにより是正措置をとることができる。その後、ステップ70に戻り、ステップ70ではマクロレイヤユーザまでの距離が再び推定される。そして、このループ処理は、例えば、マクロレイヤユーザがフェムトセル20からはさらに離れた場所に置かれるために、マクロレイヤユーザに対する悪影響に対する可能性が取り除かれるまで継続する。ステップ70、72、74、76を含むループ処理については、後でさらに詳細に説明する。
【0021】
ステップ68で、アクティブなマクロレイヤユーザが近くにいないと判断されても、複数のフェムトセルが集団としてネットワークの容量に目に余る悪影響をもつという可能性は依然として存在する。従って、ステップ78では、時間閾値に達したかどうかが判断される。この閾値に達した場合、処理はステップ80に進む。ステップ80では、送信電力を休止電力レベルにまで低減し、ステップ82では、ユーザにはその状況を通知する。その後、処理はステップ62に戻る。ステップ78、80、82を含むループ処理については後でさらに詳細に説明する。
【0022】
ステップ66でフェムトセルがアイドルトラフィックを搬送していると判断した場合、処理はステップ84を通る。ステップ84では、フェムトセルがアイドル中のマクロレイヤユーザへの干渉の原因となっているかもしれないかどうかをテストする。具体的には、フェムトセルは、マクロレイヤのUEに対して発行する登録拒絶の数の統計を収集する。例えば、たった1人のマクロレイヤユーザがフェムトセルで登録を試みているなら、これは無視されるかもしれない。しかしながら、マクロレイヤユーザによる登録試行回数が所定の時間期間内に閾値の数nに達するなら(そして、nの値は例えば“2”に設定されるかもしれない)、特定のフェムトセルは付加的な干渉の原因となっていると結論されるかもしれない。その場合、処理はステップ86を通り、ステップ86では、そして以下に詳細に説明するように、最大ダウンリンク送信電力が上述の休止送信電力レベルにまで制限される。ステップ88では、ユーザに通知され、それから処理はステップ62に戻る。
【0023】
ステップ84において、拒絶された登録要求の数が閾値の数に達していないと判断されたなら、処理はステップ90を通る。ステップ90では、フェムトセルがローカルなアクティブマクロレイヤユーザと干渉しているかどうかが判断される。もし、干渉しているなら、それがマクロレイヤのユーザに対するネットワーク性能に影響を与えている限り、それはおそらく、マクロレイヤユーザが時間をかけてフェムトセル20を含む居住建造物18の近くを歩いている限り、フェムトセルの送信電力を、マクロネットワークの一定のキー性能指標(KPI)への許容される影響に基づいて設定された低下限界内の範囲まで低減すべきである。
【0024】
ステップ92では、フェムトセルはマクロレイヤユーザまでの距離を推定する。ステップ94では、フェムトセルはこの距離が干渉半径未満であるかどうかを判断する。マクロレイヤユーザまでの距離が干渉半径以上であれば、処理はステップ90に進む。しかしながら、マクロレイヤユーザまでの距離が干渉半径未満であれば、処理はステップ96に進む。ステップ96では、フェムトセルはその送信電力を干渉境界を定義する値にまでリセットし、それからステップ98に進む。ステップ98では、フェムトセルの所有者は通知を受け、その後、ステップ92に戻り、ステップ92ではマクロレイヤユーザまでの距離が再び推定される。そして、このループ処理は、例えば、マクロレイヤユーザがフェムトセル20からはさらに離れた場所に移動するために、マクロレイヤユーザに対する悪影響に対する可能性が取り除かれるまで継続する。ステップ92、94、96、98を含むループ処理については、後でさらに詳細に説明する。
【0025】
具体的には、ステップ92、94、96、98を含むループ処理は上述したステップ70、72、74、76を含むループ処理と効果的には同じもので良い。
【0026】
上述のように、ステップ70とステップ90の両方において、フェムトセルはそのフェムトセルからマクロレイヤユーザまでの距離を推定する。この推定は
図4と
図5に例示されており、それは後で詳細に説明する。
【0027】
図4は
図1に図示したネットワークの一部を、UE26がフェムトセル20と同じ建造物18に位置し、UE14がマクロレイヤ基地局12でアクティブでありフェムトセル20に近接している、例えば、建造物18のちょうど外側か、或いは、建造物18内の異なる居住区或いはビジネス施設にいるという状況で示している。フェムトセル20からマクロレイヤユーザ14までの距離は、マクロレイヤユーザ14とフェムトセル20との間のパス損失の推定に基づいて推定される。このことは、たとえマクロレイヤユーザ14とフェムトセル20との間に通信リンクがないとしても、同様に、他のパス損失の知識を用いて推定される。
【0028】
第1のパス損失PL1は、マクロレイヤ基地局12とフェムトセル20のカバレッジ領域との間のパス損失である。このパス損失は、後で詳細に説明するように、フェムトセル20のカバレッジ領域にわたって変化する。
【0029】
第2のパス損失PL2は、マクロレイヤ基地局12とフェムトセル20に近接しているマクロレイヤUE14との間の平均パス損失である。
【0030】
第3のパス損失PL3は、フェムトセル20とフェムトセル20のUE26との間のパス損失である。
【0031】
第4のパス損失PL4は、フェムトセル20と、フェムトセル20との間の距離を推定するのに用いられるマクロレイヤユーザ14との間のパス損失の推定である。
【0032】
通常のアクセスポイント動作の下では、アウタループ電力制御とインナループ電力制御とが作用していれば、フェムトセルは、自分のUEによる受信全広帯域電力(RTWP)を通常のノイズレベルより少し上のレベルで測定するであろう。この測定されたRTWPは、マクロレイヤUEが近くにある場合には増加するであろう。フェムトセル20は、同じ搬送周波数、即ち、近くにあるマクロレイヤ基地局12と同じUMTS陸上無線アクセス(UTRA)絶対無線周波数チャネル番号(UARFCN)を用いて展開されている。ネットワーク運用者が2つの搬送波をもっている場合、代わりとなるオプションは、これら2つの搬送波に跨るガードバンド領域においてフェムトセル20のようなフェムトセルを展開することであり、そして、その場合には、測定されたRTWPノイズの上昇はより小さいものであることが予想される。
【0033】
フェムトセル20が展開される周波数に係りなく、ユーザがフェムトセルに近づけば近づくほど、ユーザのマクロレイヤでの呼が中断したり、或いは、他のUMTS搬送波或いは2Gネットワークにハンドオーバされる地点である“フェムトセルのデッドゾーン”にそのユーザが入るまで、そのノイズは増加するであろう。
【0034】
図5はフェムトセル20からマクロレイヤユーザ14までの距離を推定する処理を図示するフローチャートである。マクロレイヤUEが原因となるフェムトセルにおけるアップリンクノイズの上昇を測定することにより、そして、フェムトセル聴取モードとフェムトセルUE測定とにより、(その呼が中断されたり、ハンドオーバされる前に)マクロレイヤUE送信電力を推定し、それ故に、たとえフェムトセルとマクロレイヤUEとの間の物理的通信リンクがなくても、これら2つの機器間のパス損失(パス損失4:PL4)を推定することが可能である。
【0035】
知られているように、フェムトセルは全てのマクロレイヤの隣接セルにより送信される信号を検出でき、特に、その処理のステップ120では、スクランブルコードと周辺のマクロレイヤのノードBにより送信されるシステム情報ブロック(SIB)情報からの共通パイロットチャネル(CPICH)送信電力値をデコードできる。また、アクティブモードにあるときには、フェムトセルのUEはまた、フェムトセルに対して、周辺のマクロレイヤのノードBの検出されたCPICHの受信信号コード電力(RSCP)レベルをレポートする。ステップ122では、フェムトセル20はこれら測定値を受信し、この処理はフェムトセル20が使用される全期間にわたって生じる。送信電力値とRSCP値とからパス損失PL1の即時的な値が決定され、ステップ124におけるマクロレイヤ基地局12とフェムトセル20のカバレッジ領域との間のパス損失の時間分布の作成を可能にしている。この分布は、例えば、一般には、より正確な結果が数多くの即時的な値を用いて取得されるであろうが、数10秒の時間で計算されるかもしれない。
【0036】
それから、フェムトセルUE26はおそらくはそれが使用中のいくつかの時点で建造物18の窓の近くを通るであろうし、建造物18の窓のちょうど内側にいるUEへのマクロレイヤ基地局からのパス損失が、建造物18のちょうど外側にいるUEへのマクロレイヤ基地局からのパス損失と実質的に同じであろうと仮定する。従って、この処理のステップ126では、近隣にいるマクロレイヤユーザ14によって経験する第2のパス損失PL2の平均値は、ただまれに発生するPL1の値とおおよそ同じ、例えば、第1のパス損失値の最低1或いは2%であろうと仮定される。
【0037】
第2のパス損失PL2の値は、フェムトセル20により用いられるのと同じ周波数、或いは、同じ手順を用いる代替搬送波(通常は、近接する周波数)で、全てのマクロネットワークの隣接局に対して計算される。
【0038】
マクロレイヤユーザ14に対するPL2の値が推定されたのであるから、そして、ノードB12の通常のノイズレベルを知っており、マクロレイヤユーザ14はノイズ電力に対するビット当りの知られたエネルギースペクトラム密度の比(Eb/No)をもつ12k2/音声サービスを用いていると仮定しているので、マクロレイヤUE14の平均送信(Tx)電力が、処理利得Gpに対して仮定された値が与えられれば、次のように推定される。即ち、
Average macro layer UE Tx power = PL2 + nodeB noise floor - Gp + EbNo
である。
【0039】
この推定はかなり正確なものである。なぜなら、マクロレイヤUE14はマクロレイヤノードB12の遠い場にあり、そこでは位置によるパス損失変動は少ないからである。
【0040】
UE14がこの計算において12k2サービスを用いていることを仮定することは、平均マクロレイヤUETx電力に対して可能な最低の結果を与えるであろう。それ故に、次の計算は、PL4分布において可能な最小の値を与えるであろう。これはPL4の値を過小評価する結果となり、それ故に、マクロレイヤUEの干渉の効果を過大評価してしまう。それで、この点からこの処理は安全なものである。さらに、マクロレイヤUEはパス損失が最小となるノードBに接続され、それ故に、可能な最小の電力で送信を行う。それ故に、これは、マクロレイヤの干渉の影響を過大評価する別のファクタである。
【0041】
一旦、平均マクロレイヤUETx電力が推定されると、ステップ128では、フェムトセル20は短い期間の受信信号強度指標(RSSI)分布を、UE14からの送信に関して測定する。このことは、同様に、マクロレイヤUE14からフェムトセル20への短期間でのパス損失分布がステップ130において次のように推定されるのを可能にする。即ち、
Path Loss4 distiribution = Average Macro Layer UE Tx power + RSSI distribution
である。
【0042】
ステップ128では、RSSI分布がフェムトセルが展開される搬送波での進行中のアップリンク動作として測定される。例えば、サンプルが10ミリ秒毎に1回とられるので、干渉の影響の可能性、とりわけ、建造物18の近くを歩いているマクロレイヤUEに対する高速な応答を可能にしている。
【0043】
もし、フェムトセルがマクロレイヤのノードBから別々の搬送波で展開されているなら、ネットワークKPIへの悪い影響の可能性は非常に小さくなるが、RSSIは依然として、フェムトセルの高速走査を用いて近接するチャネルで測定される。このモードでは、フェムトセルは通常、10〜60秒毎に約10ミリ秒の間、隣接する搬送波への走査を実行し、ULデータのフレームを捕捉する。そのサンプリングプロファイルは、フェムトセルのトラフィックプロファイルに依存して変化する。例えば、フェムトセルにトラフィックがなければ、その隣接する搬送波は5秒毎に10ミリ秒の間、走査される一方、そのフェムトセルにトラフィックがあれば、その隣接する搬送波は、例えば、30秒毎に10ミリ秒の間、走査される。それから、これらのデータスナップショットはRSSIを計算するのに用いられる。複数の走査が用いられて、隣接する周波数でのRSSI測定の短期間ヒストグラムを作成する。
【0044】
一旦フェムトセル20とマクロレイヤユーザ14との間のパス損失が推定されたなら、これはステップ132で用いられてフェムトセル20とマクロレイヤユーザ14との間の距離を推定する。この図示された実施例では、この推定は以下の表に示されているようなITU1238パス損失モデルを用いる。
【0045】
┌−−−−−−−−┬−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−┐
│パス損失(dB)│フェムトセルとマクロレイヤユーザとの間の距離(m)│
├−−−−−−−−┼−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−┤
│ 51 │ 3 │
├−−−−−−−−┼−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−┤
│ 60 │ 6 │
├−−−−−−−−┼−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−┤
│ 65 │ 9 │
├−−−−−−−−┼−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−┤
│ 69 │ 12 │
├−−−−−−−−┼−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−┤
│ 71 │ 15 │
└−−−−−−−−┴−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−┘
【0046】
異なるパス損失モデルが代替案で(例えば、自由空間で)適用されても良い。
【0047】
フェムトセルのユーザ26とフェムトセル20との間のパス損失である第3のパス損失PL3の値は正確にいつでも推定される。なぜなら、UE26は常に、そのUEで測定された検出されたRSCPレベルをフェムトセル20にレポートしているからである。フェムトセルはその送信された電力レベルを知っており、それ故に、フェムトセルのCPICH送信電力レベルと検出されたRSCPとの間の差が、フェムトセルのUE26とフェムトセル20との間のパス損失PL3となろう。ユーザは予想されるカバレッジ領域を動き回るであろうと仮定されるので、このパス損失の統計的な分布が決定される。特に、95%の屋内でのパス損失値に対して、90%である。
【0048】
さらに、PL4分布の95%の値に対する90%は、PL3分布の95%の値に対する90%よりもかなり小さいことが見出されたなら、フェムトセル20は建造物18内の良くない場所に設置されているとも結論される。これは、
図3のステップ80と86で述べたように、また、以下でも詳細に説明するように、休止最大送信電力に関する値の選択に影響を与えるために用いられる。従って、フェムトセルをまだ正しく展開していないユーザは、フェムトセルを正しく展開したユーザと比較して不利益を受ける。
【0049】
マクロレイヤRSCP値を(聴取モードとフェムトUEの測定から)計算したので、そのフェムトセルから特定の距離における一定のマクロレイヤ品質という結果をもたらすフェムトセル送信電力を計算することが可能である。以下に詳細に説明するように、これは、例えば、近隣のアパートにおける高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)スループットの低下や、マクロレイヤユーザに他の無線アクセス技術(RAT)へのハンドオーバの原因となるフェムトセル周辺のダウンリンクデッドゾーンの発生のような、マクロネットワークのキー性能指標(KPI)の低下を管理するために用いられる。これらは、中断される呼の百分率、ハンドオーバ増加の百分率、セル再選択の増加の百分率、HSDPAスループットの低下の百分率などにより測定される。中断された呼、セルの再選択、或いは、ハンドオーバは、夫々の機能がおそらくは異なるCPICH Ec/Io要求をもっているが、これらは全て、マクロレイヤの移動体がサービングセルのCPICH品質が一定のレベル未満に低下したことを検出する時が契機となる。
【0050】
図6はネットワーク運用者がフェムトセルの集合体からKPIへの許容される影響を定義する処理を示すフローチャートであり、
図7はさらに、これがどのように用いられてマクロネットワークへの影響をこれらの限界内に保持することを保証するのかを図示するフローチャートである。
【0051】
ステップ150では、運用者は、例えば、km
2当りのフェムトセルの数などの関係するフェムトセルの予想される密度を、人口統計データやフェムトセル市場の浸透度の予想値に基づいて判断する。例えば、単位領域当りの建造物の数は、居住地がプロットされる領域を推定することにより、或いは、都市計画ガイドラインから、或いは、土地の利用状況についての知識から決定されるが、これらの内のいくつかはクローズドアクセスフェムトセルに対しては不適切な場所であるとして無視しても良い。適切な住居の数は、認可された移動体通信運用者の間でいくつかの方法で分割されると仮定できる。十分な品質とバンド幅のブロードバンドアクセスをもち、フェムトセルの利用をサポートできる適切な住居の割合について、3G電話を所有し、フェムトセルについての潜在的な市場となりえるであろう居住者の建物の数について、特定のUARFCNで最終的にフェムトセルを展開するかもしれない住居の割合について仮定がなされる。
【0052】
ステップ150では、運用者は、例えば、都市の或いは密集した都市の人口統計のプロファイルを仮定して、全てのフェムトセルに対する単一の展開密度基準を用いる。或いは、加入者の郵便番号に基づいて、運用者は、彼らが都市の密集地帯、都市、或いは、田園地帯に居住しているかを判断し、各場合について異なる仮定のフェムトセル平均(或いは、典型的な)密度を用いる。
【0053】
ステップ152では、運用者は一定のイベントがトリガされるパイロット強度(CPICH Ec/Io)の値に対する閾値を設定する。例えば、RAT間(3Gと2Gとの内の少なくともいずれか)ハンドオーバがトリガされるCPICH Ec/Io値は、3Gから3Gへのハンドオーバに対しては、おおよそ−14dB、3Gから2Gへのハンドオーバに対しては、おおよそ−16dB(或いはそれ以下)で設定されるかもしれない。その結果、これは、もし特定のカバレッジ領域内にあるフェムトセルがマクロレイヤを−14dB或いは−16dBのCPICH Ec/Io未満に低下させることがないなら、ハンドオーバや中断される呼を示すマクロネットワークKPIに影響を与えることはないであろうということが論じられているので、KPI境界として用いられる。同様に、特定のネットワークに対する運用試験の結果が、CPICH Ec/Ioが−7dB以上であるとき、平均的なHSDPAスループットが達成されることを示唆する。もし、フェムトセルが特定のカバレッジ領域の外側で−7dB未満にマクロネットワークのCPICH Ec/Ioを低下させることにならないなら、そのフェムトセルは平均的なマクロネットワークHSDPAスループットのKPIに影響は与えないであろう。
【0054】
これは、CPICH Ec/Ioの関数としてKPI影響領域を定義するために用いられる数多くの可能性のある方法を与えている。実用上、これらの測定の1つは、例えば、その時点でどのサービスが関係する搬送波で利用可能であるのかに基づいて、影響領域を決定するのに用いられる。例えば、もし、マクロレイヤの搬送波がHSDPAデータを搬送しないなら、HSDPAのスループットへの影響に基づいてKPI影響領域を設定することは適切ではないであろう。
【0055】
ステップ154では、運用者は一定の無線アクセスネットワーク(RAN)KPIでの適切な最大の影響を設定する。例えば、フェムトセルの熟慮した展開の場合、運用者は、これがマクロネットワークKPIに対して、以下のこと、即ち、
3Gから2Gへのハンドオーバの数が0.5%増加すること、
3Gから3Gへのハンドオーバの数が1%増加すること、
平均的なHSDPAスループットよりも小さいスループットしか達成しないマクロレイヤユーザの数が2%増加することの
原因となることにより、影響を及ぼすものであることに同意するかもしれない。
【0056】
ステップ156では、運用者は、許容されるデッドゾーンと個々のフェムトセルが創成するマクロネットワークの影響領域との内の少なくともいずれかを計算し、予想されるフェムトセルの予想される密度に基づいて、マクロネットワークKPIへの全体的な影響が上記基準によって限界が設けられるものであることが有効に保証されるようにしている。
【0057】
全領域Aがf個のフェムトセルを含み、そして、各フェムトセルが影響領域aを有する場合、マクロレイヤの効果的なカバレッジ領域における百分率での減少率、即ち、関係するKPIに合致する領域の減少率は、100・f・a/Aにより与えられる。
【0058】
計算の一例は、上述のように計算されたフェムトセル密度を用いて、4km×4kmの1つの典型的な郊外の領域が1020個のフェムトセルを含むかもしれないことを提示している。
【0059】
上記設定された最大の影響を用いるなら、3Gから2Gへのハンドオーバの数が0.5%増加することは、−16dB以上のCPICH Ec/Io品質に対してマクロレイヤカバレッジ領域において最大0.5%の低減があることを示唆しており、3Gから3Gへのハンドオーバの数が1%増加することは、−14dB以上のCPICH Ec/Io品質に対してマクロレイヤカバレッジ領域において最大1%の低減があることを示唆しており、そして、平均的なHSDPAスループット以上のものを達成しないマクロレイヤユーザの数が2%増加することは、−7dB以上のCPICH Ec/Io品質に対してマクロレイヤカバレッジ領域において最大2%の低減があることを示唆している。選択される基準に基づき、百分率での最大の減少率が決定され、全てのフェムトセルの全ての許容された“影響領域”は、全領域の最大百分率を超えることが許されてはならない。
【0060】
ステップ158では、この影響領域は各フェムトセルに対する最大干渉半径へと変換される。
【0061】
その具体的な計算は次の通りである。即ち、
フェムトセル干渉半径=
√{%領域減少(1/π)マクロレイヤ領域/当該領域でのフェムトセルの推定数}
である。
【0062】
干渉半径の結果は、4km×4kmの領域で1020個のフェムトセルがある場合、それからその2倍の密度である場合に対して、次の表で提示される。
【0063】
┌−−−−−−−−−┬−−−−−−−−−−−−┬−−−−−−−−−−−−┐
│ 全領域の%表現 │1020個のフェムトセル│2040個のフェムトセル|
│ での影響領域 │密度での境界半径(m) |密度での境界半径(m) |
├−−−−−−−−−┼−−−−−−−−−−−−┼−−−−−−−−−−−−┤
│ 2 │ 10 | 7.07 │
├−−−−−−−−−┼−−−−−−−−−−−−┼−−−−−−−−−−−−┤
│ 1 │ 7.07 | 5.0 │
├−−−−−−−−−┼−−−−−−−−−−−−┼−−−−−−−−−−−−┤
│ 0.5 │ 5.0 | 3.53 │
└−−−−−−−−−┴−−−−−−−−−−−−┴−−−−−−−−−−−−┘
【0064】
要約すると、このアプローチは、その特定のUARFCNについてフェムトセルの展開に先立って100%のマクロレイヤのカバレッジがあり、カバレッジ領域における劣化はクロースドアクセスフェムトセルの展開だけによるものであることを仮定する。運用者が通常は、90%程度の戸外でのカバレッジだけを達成し、カバレッジを低減させる他のファクタ(例えば、他の運用者により展開された隣接搬送波での基地局が原因となるデッドゾーンなど)もあるので、これらは悲観的な仮定である。しかしながら、これらの仮定を用いることは、マクロレイヤのKPIへの影響の点から上限値を提供するものとなる。
【0065】
一旦、許容された干渉半径が移動体ネットワークの管理システム28により定義されるなら、これは個々のフェムトセル夫々に送信され、
図3において示した処理のステップ72とステップ94とにおいて、フェムトセルにより用いられ、フェムトセルからマクロレイヤユーザまでの距離の推定値と比較される。もし、マクロレイヤユーザがその干渉半径内にあるなら、
図3において示した処理のステップ74とステップ96とにおいて説明したように、KPIの境界条件を満たすためにさらに、フェムトセルの最大ダウンリンク送信電力を低減することが可能である。この低減は、マクロレイヤUEがフェムトセル20により近くにくるに従って徐々になされるものであっても良いが、或いは、マクロレイヤUEが干渉半径内に入るや否や、すぐになされても良い。
【0066】
マクロレイヤユーザがその領域の外にでてゆくとき、フェムトセルは、もはやデッドゾーンを作り出すとは考えられないので、その送信電力をもとの値へと戻すために増加させる。
【0067】
図3のステップ74と96においてフェムトセルにより適用されるリセット送信電力は、どのフェムトセルもトラフィックを搬送せず、それら全てが同時にアップリンク干渉を被るという最悪のケースを仮定して計算されている。そのリセット送信電力、即ち、フェムトセルが低下する最小送信電力レベルはそのとき、この最悪のケースの状況でも、マクロネットワークKPIへの影響が上述のように設定した境界内になるように設定される。マクロレイヤユーザが一旦、干渉境界の外に移動するなら、即ち、マクロレイヤユーザへの推定距離がステップ72或いはステップ94における干渉半径より大きくなるとき、フェムトセルはその送信電力レベルを干渉発生前のレベルへと回復させる。
【0068】
図7はこのリセット送信電力を計算する処理を示している。ステップ160では、フェムトセル20は干渉境界に対する、即ち、上述した計算された干渉半径におけるパス損失を推定する。このパス損失は以下では第5のパス損失PL5として言及される。従って、電源投入時、フェムトセルは周辺のマクロレイヤを走査して、それ自体は最大電力のマクロネットワークのマクロレイヤRSCPを測定できる。また、フェムトセルは引き続き、使用中のマクロネットワークRSCPレベルを測定する。これらのサンプルは平均がとられ、フェムトセルに非常に近くでの平均マクロレイヤRSCPレベルを取得する。これは、ローカルマクロレイヤRSCPとして知られている。上述のように、干渉境界半径を知ると、上記でも用いられたパス損失モデルを用いて、干渉境界に対するパス損失を推定することが可能である。
【0069】
干渉境界に対するパス損失PL5を推定し、その干渉境界における許容されるマクロレイヤCPICH Ec/Ioを知ったので、ステップ162ではフェムトセルのリセット送信電力を設定することが可能である。初めに、フェムトセルのCPICHリセット送信電力は次の式から決定される。即ち、
Femto CPICH Reset Power(フェムトCPICHリセット電力)
= Local Macro Layer RSCP (ローカルマクロレイヤRSCP)+PL5
−Femto Power Delta(フェムト電力デルタ)
である。
【0070】
ここで、フェムト電力デルタは、干渉境界におけるおおよそのマクロレイヤCPICH Ec/Ioである。従って、その絶対値が小さくなればなるほど、フェムトセルのリセット送信電力もより小さいものであることが許される。
【0071】
フェムトセルCPICH電力は通常、フェムトセル全電力の10%で設定されるので、それ故に、最大フェムト全送信電力を定義することが可能である。
【0072】
リセット送信電力計算の例示的なものとして、もし、干渉半径が7mであるなら、これは62dBのPL5の値を与える。もし、マクロレイヤCPICH Ec/Ioの境界が−14dBであり、平均のローカルマクロレイヤRSCPレベルが−100dBmであるなら、フェムトセルのCPICH Tx電力は次のように設定されるであろう。即ち、
Femto CPICH Reset Power (フェムトCPICHリセット電力)
=−100dBm+62dB+14dB
=−24dBm
であり、−14dBmのローカルセット全送信電力がある。
【0073】
従って、リセット送信電力を用いることで、マクロレイヤKPIへのフェムトセルの集合の影響を所定の限界内に保持することが可能である。
【0074】
2つのUMTS搬送波に跨るフェムトセルの場合には、試験結果は、集められた全ダウンリンク(DL)送信電力から約5dB程度のオーダの、フェムトセルのダウンリンク送信電力の変調(或いは削減)が、上述して定義したデッドゾーンの半径を達成するのに十分であることを示唆している。運用者がマクロネットワークと同じUARFCNでフェムトセルを展開する場合には、フェムトセルもダウンリンク送信電力の要求される変調(或いは削減)は、おそらく、上述して定義したデッドゾーンの半径の結果を達成するために、集められた全DL送信電力から、15〜20dB程度のオーダであろう。このことは明らかに、運用者のマクロネットワークKPIを満たす方法として、結合された搬送波を跨ぐことやアップリンクのノイズ監視の利点があることを示している。
【0075】
今まで説明したように、この方法はマクロレイヤユーザに影響を与えるキー性能指標を維持することに関するものであり、ネットワークにより測定可能なものである。同様に、フェムトセルも自分自身のKPIを測定し、レポートすることができる。ダウンリンク電力の制約の影響を繰り返し被るフェムトセルのユーザは、例えば、
図3の処理のステップ76と98で説明したように電子メールやSMSメッセージを介してそのユニットの設置場所を変更することが推奨される。例えば、窓の近くから数mだけ離してフェムトセルの設置場所を変更することが、マクロレイヤユーザの干渉の影響を正すのに要求されることの全てであるかもしれない。
【0076】
上述のように、本発明の方法はまた、例えば、フェムトセルがアイドルトラフィックのみを搬送し、マクロレイヤでのアクティブユーザと干渉するかもしれない場合、或いは、フェムトセルが何のトラフィックも搬送していない場合に、フェムトセル基地局の最大ダウンリンク送信電力を休止送信電力に低減するステップを含む。
【0077】
3GPP R4−071660で公開された“マクロHSDPA容量への固定出力電力でのHNBの影響(Impact of HNB with fixed output power on macro HSDPA capacity)”という1つの研究報告は、フェムトセルの展開が原因となるマクロネットワークでの容量の影響を分析している。休止送信電力を計算する際に、フェムトセルの集合体により何のトラフィックも搬送されず、それ故に、フェムトセルは単に干渉の発生源であるという最悪のケースを仮定することができる。人口統計データ、ネットワーク運用者の数、市場浸透度の可能性について上述の情報を用いて、マクロ(ノードB/セクタ)当りのフェムトセルのおそらくは最大数が、150〜200個程度のフェムトセルであると判断される。それから、運用者が平均的な屋内でのHSDPAスループット容量の影響を2〜3%未満に限定することを要求するなら、この研究報告では、もしフェムトセルの同一チャネルの全集合体が最大送信電力を−10dBmに設定するならば、このことは達成されるであろうと示唆している。もし、その代わりに、フェムトセルがネットワークの残りの部分で用いられる2つのUMTS搬送波の間の搬送波で展開されるなら、試験結果は約12〜15dBの干渉マージン利得があることを示唆している。それ故に、この展開のシナリオに対して、+5dBmの休止送信電力が適切であろう。
【0078】
図3の処理のステップ78と80で説明したように、送信電力は、時間閾値に達した時に休止電力レベルへと低減される。時間閾値は、フェムトセルを通してなされる呼の典型的な持続時間の知識、一日の内の発呼時刻、なされる呼の種類などのような、フェムトセルのトラフィックプロファイルについての情報に基づいて設定される。例えば、低いトラフィックレベルを搬送するフェムトセルは処理のステップ78で用いるために短い時間閾値(例えば、1分未満、おそらく20〜30秒)を設定するかもしれないし、全ての移動体がセルからいなくなった後にこの閾値時間が経過したとき、ステップ80では休止送信電力状態に移行するかもしれない。一方、かなりのトラフィックを搬送しているフェムトセルは、例えば、数10分のような長い時間閾値を設定しても良い。加えて、よりヘビーユーズのフェムトセルは、時間閾値に達した時にすぐに最大送信電力を休止電力に低下させるのではなく、徐々に、或いは、段階的にその最大送信電力を減少させるかもしれない。
【0079】
図8はフェムトセル20において実行される処理を示している。ステップ170では、フェムトセルはそのトラフィックパターンを監視し、ステップ172では、フェムトセルはその時間閾値をトラフィックパターンに基づいて設定する。例えば、その時間閾値は2つ以上の予め設定された値から選択しても良い。2つの可能性がある値がある場合には、フェムトセルは、そのフェムトセルを介して発呼したか、受信したかの内の少なくともいずれかである呼の数がアクティビティ閾値より多いかどうかを単に判断するだけであり、もし、トラフィックレベルがそのアクティビティ閾値より大きい場合にはより長い時間閾値を設定すると良い。或いは、その判断は一日の内の時刻に基づいてなされても良く、例えば、一日の内のある時刻にフェムトセルを介して通常に発呼したか、受信したかの内の少なくともいずれかである呼の数を反映しても良い。
【0080】
時間閾値についての非常に多くの数の利用可能なプリセット値を用いた他の構成も可能である。
【0081】
以上、マクロレイヤユーザに対してフェムトセルが原因となる干渉の影響を低減する方法を説明した。