特許第5770848号(P5770848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン電子株式会社の特許一覧

特許5770848重送検知装置、及びシート搬送装置、並びにシート処理装置
<>
  • 特許5770848-重送検知装置、及びシート搬送装置、並びにシート処理装置 図000002
  • 特許5770848-重送検知装置、及びシート搬送装置、並びにシート処理装置 図000003
  • 特許5770848-重送検知装置、及びシート搬送装置、並びにシート処理装置 図000004
  • 特許5770848-重送検知装置、及びシート搬送装置、並びにシート処理装置 図000005
  • 特許5770848-重送検知装置、及びシート搬送装置、並びにシート処理装置 図000006
  • 特許5770848-重送検知装置、及びシート搬送装置、並びにシート処理装置 図000007
  • 特許5770848-重送検知装置、及びシート搬送装置、並びにシート処理装置 図000008
  • 特許5770848-重送検知装置、及びシート搬送装置、並びにシート処理装置 図000009
  • 特許5770848-重送検知装置、及びシート搬送装置、並びにシート処理装置 図000010
  • 特許5770848-重送検知装置、及びシート搬送装置、並びにシート処理装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770848
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】重送検知装置、及びシート搬送装置、並びにシート処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/12 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   B65H7/12
【請求項の数】19
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-522738(P2013-522738)
(86)(22)【出願日】2012年6月22日
(86)【国際出願番号】JP2012004050
(87)【国際公開番号】WO2013001762
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2013年10月9日
(31)【優先権主張番号】特願2011-143761(P2011-143761)
(32)【優先日】2011年6月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】興津 克彦
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−173742(JP,A)
【文献】 特開2008−207885(JP,A)
【文献】 特開2005−162424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状部材が搬送される搬送路の一方側に設けられて当該搬送路に向けて超音波を送信する超音波送信手段と、
前記搬送路の他方側に設けられて前記超音波送信手段からの超音波を受信する超音波受信手段と、
前記超音波受信手段によって受信した超音波の受信結果に基づいてシート状部材が重送であるか否かを判定する重送判定手段とを備え、
前記超音波送信手段の超音波送信面は前記搬送路に対して傾斜して設けられ、前記超音波受信手段の超音波受信面は前記搬送路に対して略平行に設けられていることを特徴とする重送検知装置。
【請求項2】
前記超音波送信手段は、1つの前記超音波受信手段に対して複数設けられていることを特徴とする請求項1記載の重送検知装置。
【請求項3】
前記超音波送信手段の1つの超音波送信面は、前記搬送路に対する傾斜角度が他の超音波送信面よりも大きいことを特徴とする請求項2記載の重送検知装置。
【請求項4】
前記超音波送信手段は、超音波送信周波数が異なる複数の超音波送信手段からなり、
超音波送信周波数が高い超音波送信手段の超音波送信面は、超音波送信周波数が低い超音波送信手段の超音波送信面よりも前記搬送路に対する傾斜角度が大きいことを特徴とする請求項2記載の重送検知装置。
【請求項5】
前記超音波送信手段のそれぞれは、1つの前記超音波受信手段の超音波受信面に対する垂線方向から見た時に、当該超音波受信手段に対して、異なる超音波送信角度で配置されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の重送検知装置。
【請求項6】
前記超音波送信手段のそれぞれは、1つの前記超音波受信手段に対する各超音波送信方向が直交する位置関係で配置されていることを特徴とする請求項5記載の重送検知装置。
【請求項7】
前記超音波送信手段及び前記超音波受信手段のそれぞれは、前記搬送路に対する傾斜角度が異なることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の重送検知装置。
【請求項8】
前記超音波受信手段は、前記超音波送信手段よりも小さい外形で設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の重送検知装置。
【請求項9】
前記超音波受信手段の超音波受信面は、前記超音波送信手段の超音波送信面よりも小さいことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の重送検知装置。
【請求項10】
前記超音波受信手段の超音波受信面は、前記超音波送信手段の超音波送信面よりも小さく且つ当該超音波送信面に対向する領域内に位置していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の重送検知装置。
【請求項11】
前記超音波送信手段を前記搬送路から隔て且つ当該搬送路の少なくとも一部を形成する搬送路形成板を備えており、前記搬送路形成板の前記超音波送信手段に対向する部分には貫通穴が設けられ、当該貫通穴の開口は、前記超音波送信手段の超音波送信面よりも小さいことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の重送検知装置。
【請求項12】
前記超音波受信手段は、前記超音波受信面を有する超音波受信部と、当該超音波受信部を保持する保持部とを有し且つ基板に形成されたMEMS素子を備えたものであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の重送検知装置。
【請求項13】
前記超音波送信手段は前記搬送路の下側に配置される一方、前記超音波受信手段は、前記超音波送信手段に対向して前記搬送路の上側に配置されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の重送検知装置。
【請求項14】
前記超音波受信手段は、受信した受信信号を増幅する信号増幅手段に接続され、前記重送判定手段は、前記信号増幅手段から出力される信号波形に基づいて、シート状部材が重送であるか否かを判定することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の重送検知装置。
【請求項15】
前記超音波送信手段は、超音波送信周波数が異なる複数の超音波送信手段からなり、
前記複数の超音波発生手段の中から超音波を送信する少なくとも1つの超音波発生手段を選択する選択手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の重送検知装置。
【請求項16】
前記超音波送信手段は、超音波送信周波数が異なる複数の超音波送信手段からなり、
前記信号増幅手段は、前記複数の超音波送信手段の少なくとも1つから送信される周波数に基づいて、前記受信信号の増幅条件を変更することを特徴とする請求項14又は15記載の重送検知装置。
【請求項17】
シート状部材が搬送される搬送路の一方側に設けられて当該搬送路に向けて超音波を送信する送信面を有する超音波送信手段と、
前記搬送路の他方側に設けられて前記超音波送信手段からの超音波を受信する受信面を有する超音波受信手段と、
前記超音波受信手段によって受信した超音波の受信結果に基づいてシート状部材が重送であるか否かを判定する重送判定手段とを備え、
前記超音波送信手段の前記送信面及び前記超音波受信手段の前記受信面は、前記搬送路内のシート搬送方向に対して傾斜して設けられ、前記超音波受信手段の前記受信面は、前記送信面に対向する領域内に位置させ、前記搬送路に対する前記送信面及び前記受信面の各傾斜角度はそれぞれ異なること特徴とする重送検知装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の重送検知装置を、シート状部材を搬送路に沿って搬送する搬送装置本体に重送検知手段として設けたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項19】
請求項18に記載のシート搬送装置と、当該シート搬送装置によって搬送されるシート状部材に所定の処理を施すシート処理手段とを備えたことを特徴とするシート処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機、スキャナ、ファックス、プリンタ等の画像処理装置に搭載され、複数枚のシートが重送されたか否かを検知する重送検知装置、当該重送検知装置を備えたシート搬送装置、画像読取装置や画像形成装置等のシート処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ、プリンタ、複写機、印刷機、ATM(Automated Teller Machine)などにおいては、シート状部材を1枚づつ分離・搬送する機構が備えられている。しかし、シート状部材を1枚だけ搬送すべきところを、2枚以上のシート状部材の一部、あるいは全体が重なったまま搬送される重送が発生する可能性が考えられる。このため、シート状部材を搬送する装置には、シート状部材の重送を検知する機能が必要となる。シート状部材の重送を検知する機構として、超音波を利用した重送検知装置が普及している。
【0003】
ここで、このような重送検知装置においては、超音波がシート状部材に照射されると、その一部の超音波がシート面より反射し、その反射波がシート面と超音波送信器の間で乱反射することが知られている。この乱反射した反射波がノイズ成分として超音波受信器に受信される場合があり、乱反射によるノイズ成分がセンサ性能を低下させる一因になる。そのため、超音波をシート面に対して斜めに照射する構成が採用されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−276965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように超音波をシート面に対して斜めに照射するためには、超音波送信器と超音波受信器とを斜めに配置する必要がある。一方、シート搬送装置等においては、小型化が進んでいるため、小型のシート材搬送装置には超音波送信器及び超音波受信器をそれぞれ斜めに対向配置して導入するのが困難になりつつある。
【0006】
そこで、本発明は上述した事情に鑑み、重送検知の性能を低下させず、装置の小型化に有利な重送検知装置、及びシート搬送装置、並びにシート処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる本発明の重送検知装置は、シート状部材が搬送される搬送路の一方側に設けられて当該搬送路に向けて超音波を送信する超音波送信手段と、前記搬送路の他方側に設けられて前記超音波送信手段からの超音波を受信する超音波受信手段と、前記超音波受信手段によって受信した超音波の受信結果に基づいてシート状部材が重送であるか否かを判定する重送判定手段とを備え、前記超音波送信手段の超音波送信面は前記搬送路に対して傾斜して設けられ、前記超音波受信手段の超音波受信面は前記搬送路に対して略平行に設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の重送検知装置は、シート状部材が搬送される搬送路の一方側に設けられて当該搬送路に向けて超音波を送信する送信面を有する超音波送信手段と、前記搬送路の他方側に設けられて前記超音波送信手段からの超音波を受信する受信面を有する超音波受信手段と、前記超音波受信手段によって受信した超音波の受信結果に基づいてシート状部材が重送であるか否かを判定する重送判定手段とを備え、前記超音波送信手段の前記送信面及び前記超音波受信手段の前記受信面は、前記搬送路内のシート搬送方向に対して傾斜して設けられ、前記超音波受信手段の前記受信面は、前記送信面に対向する領域内に位置させ、前記搬送路に対する前記送信面及び前記受信面の各傾斜角度はそれぞれ異なること特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、上述した重送検知装置を、シート状部材を搬送路に沿って搬送する搬送装置本体に重送検知手段として設けたシート搬送装置の他、このシート搬送装置と当該シート搬送装置によって搬送されるシート状部材の画像を読み取る画像読取手段とを備えた画像読取装置や、シート搬送装置と当該シート搬送装置によって搬送されるシート状部材に画像を形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置等のシート処理装置であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、重送検知の性能を低下させず、装置の小型化を図ることができる。
【0011】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】本発明の実施形態1に係る重送検知装置を側面から見た概略構造図。
図2】本発明の実施形態1に係る重送検知装置の主要部の構成を示す概略模式図。
図3】本発明の実施形態1に係る重送検知装置の信号処理の構成を示すブロック図。
図4】本発明の実施形態1に係る重送検知装置の主要部の構成を示す概略模式図。
図5】本発明の実施形態2に係る重送検知装置を側面から見た概略構造図。
図6】本発明の実施形態2に係る重送検知装置の信号処理の構成を示すブロック図。
図7】本発明の実施形態2に係る重送検知装置を上面から見た概略構造図。
図8】本発明の他の実施形態に係る重送検知装置を側面から見た概略構成図。
図9】本発明の他の実施形態に係るシート処理装置の一例を示す概略構成図。
図10】本発明の他の実施形態に係るシート処理装置の一例を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を用いて詳細に説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る重送検知装置を側面から見た概略構造図である。また、図2は、本発明の実施形態1に係る重送検知装置の主要部の構成を示す概略模式図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、本実施形態の重送検知装置10は、シート状部材(以下、単にシート材と略す)が搬送される搬送路に配置され、複数枚のシート材が重なって搬送される重送を超音波方式で検知する装置である。
【0016】
具体的には、図1に示すように、シート搬送路中にシート材Pを水平方向に平面的に搬送する搬送路11が設けられている。この搬送路11は平面的な搬送空間11aを隔てて対向する上面側の上搬送ガイド板(搬送路形成部材)12と下面側の下搬送ガイド板(搬送路形成部材)13との両搬送ガイド板12,13間によって覆われている。このような構成の重送検知装置10は、搬送路11を挟んで対向する上方に超音波送信(発信)手段として超音波の送信器20を配設し、下方に超音波受信手段として超音波の受信器30を配設している。
【0017】
ここで、上記送信器20及び受信器30からなる超音波センサを利用してシート材の重送を検知する場合、超音波特有の次のような検知性能が得られる。
(1)シート材に接触しない非接触状態で検知する構成なのでシート材の搬送を妨害しない。
(2)シート材の厚さを選ばずに検知できる構成なので厚さの異なるシート材が混在しているような重送に対しても検知できる。
(3)シート材の色に影響されずに検知できる構成なのでシート材の色が変っても調整不要である。
【0018】
したがって、上記超音波センサを用いることでシート材の重送を高感度で検知することができる。その一方で、超音波がシート材に照射されると、その一部の該超音波がシート面より反射し、その反射波がシート面と送信器の間で乱反射することがある。このため、超音波の送信器及び受信器の配置によっては、乱反射した反射波がノイズ成分として受信器に受信される場合があり、乱反射によるノイズ成分がセンサ性能を低下させる一因になることがある。そのため、超音波の進行方向をシート材(搬送路)に対して傾斜させ(角度を持たせ)、反射波が送信器とは別方向に反射される構成を取る必要があった。また、指向性が高い超音波センサにおいては、送信器の送信面と受信器の受信面とを平行に正対させる必要があった。これらの事情から、装置の小型化は非常に不利であった。そこで、本実施形態の重送検知装置10では、詳細は後述するが、搬送路11に対する超音波の受信器30等の配置や構成を工夫している。
【0019】
具体的には、超音波の送信器20は、図示しない本体装置への固定部材及び駆動回路等を含む回路基板を持つ基板21とに取り付けられている。受信器30も図示しない本体装置への固定部材及び増幅回路等を含む回路基板を持つ基板31に取り付けられている。
【0020】
また、送信器20の超音波送信方向と交差する上搬送ガイド板12の交差位置には入射口(貫通穴)12aが開口している。この送信器20の超音波送信面20aからは、斜め下向きの送信方向に向けて超音波Uが照射される。この照射された超音波Uは、上搬送ガイド板12に開口されている入射口12aより搬送路11内の搬送空間11aに入射され、ここを通過するシート材Pに照射される。
【0021】
そして、送信器20は、送信方向をシート材Pに対して、θuの斜度で示すように超音波Uの送信に適した配置形態をとっている。送信器20の送信方向をシート材Pに斜めに設定することで、送信器20から送信した超音波Uがシート材P表面で反射し、反射した反射波Rが送信器20とは別方向に向かい、送信器20側に返らない。これによって、例えば、送信器20とシート材Pの間で、干渉音波や残響音波等のノイズ成分の発生を削減できる。
【0022】
これに対し、受信器30の超音波受信方向と交差する下搬送ガイド板13の交差位置には出射口13aが開口している。なお、下搬送ガイド板13の交差位置に開口する出射口13aは、受信器30の超音波受信面30aの面積とほぼ同じか、これより小さくしてゴミ等の侵入を防止する為に受信面30aの面積の半分より大きい面積にして受信性能を維持できる範囲にするのが適している。これにより、出射口13aから紙粉等の混入を抑制し、超音波受信への影響を小さくすることができる。
【0023】
また、受信器30は、搬送路11(シート材P)に対して略平行(平行を含む)に配置しており、本実施形態においてはθu'の角度はθu'≒90°としている。これはシート材Pを透過してきた超音波U'の音圧が十分に小さくなっており、受信器30とシート材Pの間で、大きな干渉が発生し難いためである。ここで、受信器30が搬送路11に対して略平行に配置されているとは、例えば、受信面30aが搬送路11に対向しつつ且つ当該搬送路11に対して平行な面又は僅かに傾いた面となっている状態を含むが、送信器20の送信面20aから見て、受信器30の受信面30aが実質的に対向している状態を含む。また、シート材Pを通過する時点で超音波U'の指向性が低下する。そのため、受信器30をシート材Pに対して、略平行側に角度を変更しても良い。即ち、θu<θu'≒90°の関係が成り立つように送信器20と受信器30とを配置する。加えて、このような受信器30は、MEMS(Micro Elecro Mechanical System)タイプの超小型で指向性の少ない超音波受信器を用いれば、好適である。なお、このような超小型の超音波受信器を用い、これに指向性が高い超音波送信器を組み合わせても、送信器20の送信面20aは、受信器30の受信面30aと実質的に向き合っているため、受信器30を小型化しても、送信器20からの超音波を受信器30(受信面30a)によって確実に受信することができる。
【0024】
ここで、このようなMEMSタイプの素子構造としては、特に限定されないが、例えば、超音波受信面を有する板形状等の超音波受信部と、この超音波受信部を保持する保持部とを有し且つシリコン基板等の基板に形成されたMEMS素子を備えたものであることが好ましい。シリコン材料等の基板に対する超微細加工技術を用いることによって所望の構造体を比較的容易に作ることができ、超小型の受信器を実現できるからである。
【0025】
このようなMEMSタイプのセンサーチップを受信器30に適用すれば、従来の超音波受信器と比べて受信面及び、実装基板が実質的に小さくなる。そのため、超音波受信面や実装基板面で反射される超音波が、従来の超音波受信器より相対的に少なくなる。それにより、シート材Pと受信器30との間で発生する反射波が少なくなるため、シート材Pと受信面30aとを略平行に配置しても、好適な検知性能を得ることができる。なお、MEMSタイプの受信器においては、周波数特性が滑らかで、広い周波数範囲に感度を持つものが好ましい。よって、受信器にMEMSセンサを用いることで、受信する超音波周波数が変化しても、後段のフィルタリング回路・増幅回路や、判定回路を変更することで、十分に対応でき、好適である。
【0026】
なお、受信器30は、上述したように、図示しない本体装置への固定部材及び増幅回路等を含む回路基板を持つ基板31に設けられている。このような受信器30を搬送路11と略平行に配置できるため、受信器30を基板31上に大きく傾けて配置しなくてもよく、受信器30を基板31上に実装し易く、また実装スペースを小さくできるという様々なメリットもある。
【0027】
このように、本実施形態の重送検知装置10では、送信器20と受信器30のそれぞれが搬送路11に対する傾斜角度が異なる構成、即ち、送信器20の超音波送信面20aを搬送路11に対して傾斜して設け、受信器30の超音波受信面30aを搬送路11に対して略平行に設けたので、重送検知の性能が低下せず、受信器30の設置スペースの低減によって大幅な装置の小型化を図ることができる。また、装置本体に受信器30を実装する構造を検討するにあたり、設計の自由度を向上でき、製品又は製造コストを大幅に低減できる。
【0028】
ところで、上述した本実施形態においては、超音波の受信手段である受信器30の外形を、超音波の送信手段である送信器20の外形よりも小さくするのが好ましい。例えば、受信器30の超音波受信面30a(受信領域の面積)を、送信器20の超音波送信面20a(送信領域の面積)よりも小さくするのが望ましい。なお、受信器30として上記MEMS素子の超小型素子を用いると、装置の小型化に有利なだけでなく、受信側としての指向性が広く(超音波受信感度が高く)なるため、指向性の高い送信器20と組み合わせることで、所望の重送検知の性能を確保できる点でも優れている。また、このような構成の場合、受信器30の超音波受信面30aは、送信器20の超音波送信面20aに対向する領域内に位置させる。このような位置関係を実現することにより、装置の小型化に有利なだけでなく、送信器20に対する受信器30の位置決め(取り付け)が容易となり、この点で、設計の自由度が向上するだけでなく組み立て性も向上し、製造コストを低減できる。
【0029】
なお、更に本発明では、送信器の超音波送信面より、上搬送ガイド板の入射口の開口面積を小さくするのが好ましい。即ち、超音波送信面から搬送路に超音波を入射させる入射口の大きさ(開口面積)を、超音波送信面の面積よりも小さい条件(具体的には[超音波送信面の大きさ]>[発信側搬送路穴(開口部)の大きさ]≧[受信側搬送路穴(開口部)の大きさ]≧[超音波受信面の大きさ]の関係を満たす条件)とするのが好ましい。これにより、搬送路内部での超音波の反射波による重送検知性能の低下を有効に防止することができる。
【0030】
以下、図3を参照して、上述した重送検知装置10の制御構成について詳細に説明する。図3は、重送検知装置に組込まれる制御回路ブロック図を示している。本実施形態の重送検知装置10は、超音波送信側に所定周波数の信号(例えば300kHz)を発生する信号発生手段としての発振回路22と、この発振回路22からの信号を増幅させる信号増幅手段としての増幅回路23とを備えている。また、超音波の受信側には、ノイズを除去するフィルタ及び受信した信号を増幅する増幅回路32と、受信した信号と基準値とを比較して判定する重送判定手段としての判定回路33とが配置されている。
【0031】
そして、上述した発振回路22から出力された所定周波数の電気信号は、増幅回路23で所定値に増幅された後、送信器20に入力され、該送信器20内の超音波発生素子により超音波Uに変換される。この変換された超音波Uが搬送路11に搬送されるシート材Pを介して受信器30に向かって放射される。
【0032】
また、送信器20から照射された超音波Uは搬送路11内で搬送されるシート材Pに当り、一部が反射波Rとして外部に放射される。シート材Pを通過した超音波U'は受信器30により受信され、受信器30の圧電素子またはMEMS素子により電気信号に変換される。電気信号に変換された信号はノイズを除去するフィルタ機能と増幅機能を持つフィルタ回路及び増幅回路32で処理される。そして判定回路33によって一枚のシート材Pが搬送されたか、複数枚のシート材Pが搬送されたかを閾値と比較して判定し、その結果に基づいて、シート材Pの重送の有無を検知する。なお、この判定信号は、図示しないシート材搬送制御系(具体的にはCPU等の制御部)に送られる。
【0033】
このように、本実施形態の重送検知装置10においては、超音波の受信器30をシート材Pが搬送される搬送路11に対して略平行に配置することにより、従来よりも高さ方向のサイズを削減することができ、大幅な小型化を図ることができる。特に、図4に示すように、超音波受信器の構造をMEMS技術によって小型化した場合、MEMS受信器30'と基板31'は、搬送路11に略平行に近づけるにつれて、図中の上下方向対して、場所をとらずに配置することができるため、装置の小型化においては更に効果的である。なお、図4は、超音波の受信手段である受信器30'の外形を、超音波の送信手段である送信器20'の外形よりも小さくした構造例となる。また、図4の構造では、受信器30'の外形を小さくしているため、出射口13aの開口面積も小さくでき、紙粉等の混入が効果的に抑制され、超音波検知への影響をより効果的に小さくできる。
【0034】
ところで、圧電振動タイプの超音波センサにおいては、素子内部での超音波共振周波数が固定されており、別周波数の超音波を発することが難しい。これらの物理条件から、一対の超音波センサで使える超音波周波数は、一種類である。また、超音波による重送検知方式では、シート材に対して超音波を印加してシート材を透過した超音波の強度で、重送を判定する。ここで、300kHz付近の発振周波数が高い超音波重送検知手段では、非常に薄いシート材が重送した場合には、信号が適格に減衰し正常に重送を検知できるが、非常に厚いシート材では、シート材による減衰が大きく、重送だと誤検知することがある。逆に200kHz付近の発振周波数が低い超音波重送検知手段では、シート材による減衰が少なく薄いシート材で重送として誤検知することがある。なお、超音波発振手段と受信手段において圧電セラミックを用いると、超音波発振子、超音波受信子の共振周波数は使用する圧電セラミックと音響整合層の共振周波数に固定されてしまい、変更できない。また、この共振周波数から外れた周波数の駆動電圧を印加しても、十分な発振振幅が得られず、必要とする超音波周波数に応じて、共振周波数を合わせた個々の超音波発振子を用意しなければならない。
【0035】
そこで、本発明では、シート材の材質に応じて複数の超音波周波数を用いる構成を実現した。以下、実施形態を挙げて、上述した実施形態1の構成に加えて、複数の超音波周波数を用いる構成について詳細に説明する。
【0036】
<実施形態2>
図5は、画像読取装置等に内蔵されるシート材の重送検知装置周辺の構成を示す概略図である。なお、図5では、上述した図1と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0037】
図5に示すように、重送検知装置10Aには、シート材Pを図中略水平方向に平面的に搬送する搬送路11が設けられている。この搬送路11は平面的な搬送空間11aを隔てて対向する上面側の上搬送ガイド板12と下面側の下搬送ガイド板13との両搬送ガイド板12,13間によって覆われている。
【0038】
この重送検知装置10Aは、搬送路11を挟んで対向する上方には複数の送信器20A,20Bをそれぞれ配設し、下方には1つの受信器30Aを配設している。ここで、送信器20Aはシート材に対して超音波U1を照射し、送信器20Bはシート材Pに対して超音波U2を照射する。この送信器20A,20Bのそれぞれは、夫々異なった周波数の超音波を送信するように構成されている。
【0039】
また、上記送信器20Aからの超音波U1と送信器20Bからの超音波U2とそれぞれ交差する上搬送ガイド板12の交差位置には入射口12aが開口している。超音波センサを構成する送信器20A,20Bは超音波の送信方向をシート材Pに対して、斜めに設定して、超音波U1及び超音波U2のそれぞれの送信に適した配置形態をとっている。特に、送信器20Aの超音波U1の周波数がf1、送信器20Bの超音波U2の周波数がf2とし、超音波U1とシート材Pによる内角をθ1、超音波U2とシート材Pによる内角をθ2とする。ここでも、実施形態1と同様に、送信器20A,20Bの超音波の各送信方向をシート材Pに斜めに設定し、反射や残響ノイズへの影響を削減している。なお、送信器20A,20Bから照射された各超音波U1,U2は、下搬送ガイド板13内で搬送されるシート材Pに当り、一部が反射される。
【0040】
ここで、θ1<θ2であり、θ1≠θ2である事から、シート材Pで反射した超音波は、対向する別の送信器の送信面垂線に対して、ずれた角度になる。これにより前述の別の送信器の送信面で再反射した超音波は、開口部である入射口12aとは違う方向に反射される。これにより超音波U1またはU2が多重反射しないため、ノイズ要因になることはない。
【0041】
このように、本実施形態では、2つの送信器20A,20Bについて、一方の送信器20Aの超音波送信面の搬送路11に対する傾斜角度を、他方の送信器20Bの超音波送信面よりも大きくした。これにより、各送信器20A,20Bから送信(発信)される超音波が多重反射することを有効に防止でき、ノイズ発生を防止できる。
【0042】
また、本実施形態においては、f1<f2であるならば、θ1<θ2の関係を持つのが望ましい。これは、超音波の周波数が高くなるにつれ、シート材を透過した際の減衰量が大きくなると同時に、指向性が増すため、減衰しやすい周波数の高い側の超音波信号が受信器30Aに対して受信しやすく配置するためである。
【0043】
即ち、本実施形態では、超音波送信手段を超音波送信の周波数が異なる複数の超音波送信手段(各送信器20A,20B)とし、超音波送信の周波数が高い送信器20Bの超音波送信面は、超音波送信の周波数が低い送信器20Aの超音波送信面よりも搬送路11に対する傾斜角度を大きくした(θ1<θ2の関係)配置ことにより、減衰しやすい周波数が高い側の超音波信号が、受信器30Aに対して受信しやすくなる。これにより、重送検知性能を向上することができる。
【0044】
本実施形態では、上述したように、超音波受信手段である受信器30Aの超音波受信面を搬送路11に対して略平行に設けて小型化を図り、1つの受信器30Aに対して複数の送信器20A,20Bを配置し、一方の送信器20Bの超音波送信面の搬送路11に対する傾斜角度を、他方の送信器20Aよりも大きくしたことにより、小型化を図りつつ重送検知性能を向上することができる。
【0045】
ここで、図6には、重送検知装置10Aに組込まれる超音波センサの制御回路ブロック図を示す。この構成では、送信側に所定周波数f1の信号(例えば200kHz)、f2の信号(例えば300kHz)を発生する発振回路22A,22B、該所定周波数の信号を増幅させる増幅回路23A,23Bをそれぞれ備えており、それぞれが、送信器20A,20Bに対応して接続されている。なお、これら発振回路22A,22Bは、外部からの信号で周波数を変更できる可変発信回路を用い、この可変発振信号を増幅し、最後に送信器20A,20Bのいずれか一方を選択する回路構成でも良い。このような回路構成には、送信器の選択手段が含まれる。
【0046】
シート材Pを透過してきた超音波は受信器30Aにより電気信号に変換される。電気信号に変換された信号はノイズを除去するフィルタ機能と増幅機能を持つフィルタ回路・増幅回路32a,32bで処理される。ここでフィルタ回路・増幅回路32a,32bはそれぞれ違った周波数フィルタと増幅率を持つ。例えば送信器20Aから送信される超音波U1に対しては、フィルタ回路・増幅回路32aが最適な調整になり、送信器20Bから送信される超音波U2に対しては、フィルタ回路・増幅回路32bが最適な調整になる。これは、複数の超音波送信手段である送信器20A、20Bの少なくとも1つから送信される超音波の周波数に基づいて、受信信号の増幅条件を変更することで実現できる。
【0047】
加えて、上記の制御ブロック構成では、フィルタ回路・増幅回路32a,32bからの電気信号を受け、電気信号と基準値とを比較して判定する判定回路33a,33bを備えて構成される。この判定回路33a,33bにおいても、超音波の周波数によって、違った判定手法、基準を設定するのが望ましい。例えば、周波数が高い超音波U1用の判定回路では所定の閾値に対する電圧比較で行い、周波数が低い超音波U2用の判定回路では、所定の閾値に対する電圧比較に追加して、所定の位相に対する位相比較を行う。これらの判定結果を総合し、図示しないシート材搬送制御系に送る。なお、複数系統あるフィルタ回路・増幅回路と判定回路のどちらを用いるかは、複数有る送信器のいずれかを使用するかによって変更してもよい。
【0048】
また、別の例として、フィルタ回路・増幅回路において、フィルタリングする周波数と増幅率を可変出来る回路を用いて、一つの回路で構成しても良い。さらに、判定回路においても、判定回路をデジタル又は、CPU上のプログラムで構成し、適時判定手法や判定レベルを変更しても良い。なお、また、図6に示す様に、複数ある送信器(発振器)20A,20Bをシート材搬送面に対して平行な平面上において、受信器を軸中心にして超音波の発信方向に角度を付けて配置してもよい。
【0049】
ここで、図7には、他の重送検知装置をシート材搬送面に対して垂直方向から見た図を示す。上搬送ガイド板12側の上方から見て、送信器20A,20Bは入射口12aに対して、内角αを持って配置している。ここでα≠180°で有れば、前述のθ1、θ2がθ1=θ2と成っても、多重反射が発生しない。また、送信器の数に関しては、多重反射を防止するように配置するなら、2個以上配置しても良い。この様に、周波数の異なる超音波送信器を複数用い、搬送するシート材により、超音波周波数を変更することで、より的確なシート材重送判定を実施できる。このように、超音波送信手段である送信器20A,20Bのそれぞれを、1つの超音波受信手段である受信器30Aの超音波受信面に対する垂線方向から見た時に、その受信器30Aに対して、異なる超音波送信角度で配置することで、より的確なシート材の重送判定を実現することができる。とりわけ、複数の送信器20A,20Bのそれぞれは、1つの受信器30Aに対する各超音波送信方向が直交する位置関係で配置されていてもよい。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の重送検知装置10Aにおいては、シート状部材を透過して超音波の指向性が若干低下することと、受信器(受信側の素子構造)30Aの小型化による指向性の向上に鑑み、受信器側の角度を搬送路11に対して適切に変更(具体的には略平行配置)することで、重送検知センサの設置サイズを削減することができる。また、受信器30A側の角度を適切に変更することで、送信器20A,20B側に複数の素子を配置することが可能となり、複数の超音波周波数での重送検知を実施でき、多種類のシート材に対して重送検知が可能となる。具体的には、本実施例の構成により、複数の超音波周波数で重送検知を実施する事で、シート材の厚み変化および、シート材表面のコート状態、シート材材質の変化に対して、誤動作する事無く、正確な重送検知が可能となる。
【0051】
ここで、上述した実施形態1及び2の重送検知装置では、搬送路の上方側に送信器を配置し、搬送路の下側に受信器を配置して重送検知の構成を構築したが、本発明は勿論これに限定されず、例えば、超音波の送信器及び受信器の配置が逆の構成、即ち、図8に示すように、搬送路11の下側に超音波の送信器20を配置して上方側に向けて超音波を発信させるようにし、対向する受信器30を搬送路11の上側に配置してもよい。このとき、上述した実施形態1及び2と同様に、受信器30の超音波受信面は、搬送路11に対して略平行になるようにする。これにより、搬送路11に沿ってシート材が搬送されたことで発生する紙粉等の異物によって、重送検知が妨げられることを有効に防ぐことができる。特に、受信器30としてMEMS素子を用いた場合、送信器20(及び送信側の搬送路形成板の貫通穴)に比べて、受信器30(及び受信側の搬送路形成板の貫通穴)が相対的に小さくできるので、超音波受信面に対して紙粉等の異物が付着したときの影響を考慮すると、図8に示すように、受信器30を搬送路11の上側(例えば搬送路11を基準として重力方向の上側(図8中では鉛直方向上側))に配置するのが望ましい。これにより、重送検知装置としての小型化に寄与するだけでなく、重送検知性能をより安定的に維持することができる。
【0052】
図9は、本発明の重送検知装置を備えたシート状部材搬送装置の他の構成の一例を示す図である。
【0053】
図9において、801は、実施例1又は実施例2に示した重送検知装置10を備えたシート状部材搬送装置としての画像読取装置の本体(以下、シート状部材搬送装置本体)である。802は給送口、803は給紙トレー、804は操作部、805は排紙口、806は排紙トレーである。
【0054】
給紙トレー803に積載された被写体であるシート状部材(不図示)は、操作部804からスキャン指示情報が入力されると、給紙口802からシート状部材搬送装置本体801の内部に1枚づつ搬送される。シート状部材搬送装置本体801の内部に搬送されたシート状部材の画像情報は、不図示の画像読取センサによって読み取られる。その後、シート状部材は排出方向へと搬送され、排紙口805からシート状部材搬送装置本体801の外部へ排出される。そして、シート状部材搬送装置本体801の外部へ排出されたシート状部材は、排紙トレー806上に順次積載される。
【0055】
図10は、図9に示したシート状部材搬送装置本体801の内部構造を示す断面図であり、同図において、図9と同一部分には同一符号が付してある。
【0056】
図10において、901はフィードローラ、902はリタードローラで、回転軸との間にトルクリミッタ903を備えている。フィードローラ901とリタードローラ902との作用により、給紙トレー803上に積載されたシート状部材201は1枚づつ分離されて、給紙口802からシート状部材搬送装置本体801内に図中矢印B方向に搬送される。904は搬送ローラで、フィードローラ901とリタードローラ902との作用により1枚づつ搬送されて来るシート状部材を、更に排紙口805方向へ搬送するものである。
【0057】
905は画像読取ユニット(裏面画像読取ユニット)で、シート状部材の裏面を読み取るものである。906は画像読取ユニット(表面画像読取ユニット)で、シート状部材の表面を読み取るものである。これは、両画像読取ユニットを構成している。裏画像読取ユニット905および表面画像読取ユニット906の内部には、シート状部材を照射する光源(不図示)と、シート状部材の画像情報を読み取る画像読取センサ(不図示)が組み込まれている。また、両画像読取ユニットは、図11中のAの読取位置でシート状部材の画像読み取りを行う。907は第1のプラテンローラで、搬送されて来るシート状部材を、裏面画像読取ユニット905の読取位置Aにおいて密着するように押さえるものである。また、908は第2のプラテンローラで、搬送されて来るシート状部材を、表面画像読取ユニット906の読取位置Aにおいて密着するように押さえるものである。
【0058】
909は排紙ローラで、搬送されて来たシート状部材を排紙口805からシート状部材搬送装置本体801の外部へ排出するものである。910は搬送駆動源で、一般的には搬送モータである。この搬送駆動源910は、不図示のギア機構やベルト機構によって前記各ローラの回転軸と接続されている。その結果、搬送駆動源910が回転すると前記各ローラが回転するために、シート状部材が所定速度にて所定方向へ搬送される。搬送駆動源910が図11において時計回り方向に回転すると、シート状部材は給紙口802から排紙口805へ搬送される。911は原稿検知センサで、給紙口802にシート状部材が有るか否かを検知するものである。912は給紙前検知センサで、搬送されて来たシート状部材の端部を検知するものである。
【0059】
搬送ローラ904の上流側には、給送されるシート状部材の重送状態を検知するための超音波発信部103及び超音波受信部104が配置されている。超音波発信部103と超音波受信部104は、超音波発信部103が発信した超音波が、重送検知対象であるシート状部材を透過して超音波受信部104で受信できるように、シート状部材の搬送路を挟んで対向するように設置されている。このような超音波発信部103及び超音波受信部104を含む重送検知手段を、上述した実施形態1又は2の重送検知装置を適用することができる。
【0060】
なお、超音波発信部103及び超音波受信部104は、搬送ローラ904より下流に設けられていてもよい。
【0061】
なお、本発明は、上述した実施形態の他、シート状部材が搬送される搬送路の一方側に設けられて当該搬送路に向けて超音波を送信する超音波送信手段と、前記搬送路の他方側に設けられて前記超音波送信手段からの超音波を受信する超音波受信手段と、前記超音波受信手段によって受信した超音波の受信結果に基づいてシート状部材が重送であるか否かを判定する重送判定手段とを備えた重送検知装置において、下記の少なくとも1つの構成を備える構成も広く対象とすることができる。
(1)前記超音波受信手段を前記超音波送信手段よりも小さい外形で設けた構造。
(2)前記超音波受信手段の超音波受信面が前記超音波送信手段の超音波送信面よりも小さい構造。
(3)前記超音波受信手段の超音波受信面が前記超音波送信手段の超音波送信面よりも小さく且つ当該超音波送信面に対向する領域内に位置している構造。
(4)前記超音波送信手段を前記搬送路から隔て且つ当該搬送路の少なくとも一部を形成する搬送路形成板を備え、前記搬送路形成板の前記超音波送信手段に対向する部分には貫通穴が設けられ、当該貫通穴の開口は、前記超音波送信手段の超音波送信面よりも小さい構造。
これら上記(1)〜(4)の少なくとも1つの構造を備えた重送検知装置によれば、超音波受信手段が超音波送信手段によりも相対的に小さくなり、装置の小型化だけでなく、これによって設計の自由度が向上し、装置の低コスト化を図ることができる。
【0062】
なお、ここでは、本発明の重送検知装置を備えたシート状部材搬送装置の構造例を示したが、これ以外の形態であっても、シート状部材を搬送する装置であれば、本発明の重送検知装置を適用可能である。例えば、スキャナ、プリンタ、複写機、ファクシミリ、印刷機、ATM(Automated Teller Machine)などにおいても、同様に、本発明の重送検知装置を設けることができる。
【0063】
本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。なお、上述した各実施形態及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0064】
本願は、2011年06月29日提出の日本国特許出願特願2011−143761号を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10