(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770852
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】ファインピッチ電気相互接続体を有する半導体ダイ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20150806BHJP
H01L 25/065 20060101ALI20150806BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20150806BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
H01L25/08 B
H01L25/08 Z
【請求項の数】22
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-533871(P2013-533871)
(86)(22)【出願日】2011年9月26日
(65)【公表番号】特表2013-539925(P2013-539925A)
(43)【公表日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】US2011053294
(87)【国際公開番号】WO2012050812
(87)【国際公開日】20120419
【審査請求日】2014年9月11日
(31)【優先権主張番号】13/243,877
(32)【優先日】2011年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/393,311
(32)【優先日】2010年10月14日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309034272
【氏名又は名称】インヴェンサス・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(72)【発明者】
【氏名】バリー,キース・レイク
(72)【発明者】
【氏名】パングル,シュゼット・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ビリャビセンシオ,グラント
(72)【発明者】
【氏名】リール,ジェフリー・エス
【審査官】
▲高▼須 甲斐
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−034119(JP,A)
【文献】
特開2006−196883(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/001054(WO,A2)
【文献】
特開2008−226878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 25/065
H01L 25/07
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互接続体エッジの近くの相互接続体側に、個々に導電性を有する複数の相互接続体パッドを有する半導体ダイを備え、上記相互接続体側の少なくとも一部が、相似誘電コーティングにより被覆され、
上記相似誘電コーティングは、半導体ダイと上記相互接続体パッドの少なくとも一部分上に重ねられ、上記相互接続体パッドの形状体に電気接続するための、上記相似誘電コーティングを通過する開口を有し、
上記相似誘電コーティングは、上記相互接続体パッドを上記開口が貫通するように上記相互接続体パッドの一部分を被覆し、
導電性を有する相互接続体トレースは、上記相似誘電コーティングと、上記開口を通じて導電性のある形状体とに接触し、上記相似誘電コーティング上に延びるとともに、上記誘電コーティングの表面と大きいインターフェース角を形成し、相互接続体材料から形成された上記相互接続体トレースはポリマーを含んで成り、
上記相互接続体トレースは、上記半導体ダイの上記相互接続体エッジを超えて、上記相互接続体トレースが接触する相互接続体パッドに関連して横方向に、上記相似誘電コーティング上に延びるとともに、別の導電要素を用いて上記相互接続体トレースが接触する上記相互接続体パッドに電気的に相互接続しているアセンブリ。
【請求項2】
上記開口は、レーザアブレーションにより形成する請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
上記複数の相互接続体トレースによって積層され電気接続された複数の上記ダイを備え、各相互接続体トレースは、上記複数の半導体ダイの少なくとも2つのダイの少なくとも1つの相互接続体パッドに電気的に相互接続された請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
上記半導体ダイが、ダイの積層体内の複数のダイのうちの1つであり、上記複数の相互接続体トレースによって支持体上の回路上に取り付けられかつ電気接続されており、
各相互接続体トレースは、上記複数の半導体ダイのうち1つのダイの少なくとも1つの相互接続体パッドと上記支持体上の回路に電気的に相互接続された請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
上記相似コーティングがポリマー材料を含んで成る請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
上記相似コーティングのポリマー材料が、非有機ポリマーを含んで成る請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
上記相似コーティングの上記ポリマー材料が、有機ポリマーを含んで成る請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項8】
上記相互接続体トレース形成の前にCF4を使用して相似誘電コーティング表面をプラズマ処理する請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項9】
上記相似コーティングの上記ポリマー材料が、パリレンを含んで成る請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
上記相似コーティングの上記ポリマー材料が、パリレンC、パリレンN、パリレンA、又はパリレンSRのうちの1つ又は組み合わせを含んで成る請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
上記相互接続体材料が、硬化性導電ポリマー又は導電インクを含んで成る請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
上記相互接続体材料が、粒子状の導電材料が充填されたポリマー、金属が充填されたポリマー、金属が充填されたエポキシ、金属が充填された熱硬化性ポリマー、金属が充填された熱可塑性ポリマー、有機ポリマー、無機ポリマー、ハイブリッド有機ー非有機ポリマー、導電インク、硬化性ポリマー、段階的に硬化性である硬化性ポリマーからなるグループから選択された材料を含んで成る請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項13】
上記相互接続体材料が、導電充填材を含む母材を含んで成る請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項14】
上記相互接続体材料が硬化性又は固化性材料を含んで成り、上記導電充填材が粒子状の導電金属を含んで成る請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
上記相互接続体材料が導電エポキシを含んで成る請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項16】
上記相互接続体材料が、60〜90重量%の銀を有する充填エポキシを含んで成る請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項17】
上記相互接続体材料が、80〜85重量%の銀を有する充填エポキシを含んで成る請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項18】
インターフェース角が約60゜と約120゜との間の範囲内にある請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項19】
インターフェース角が約75゜と約105゜との間の範囲内にある請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項20】
インターフェース角が約75゜と約90゜との間の範囲内にある請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項21】
下重ねのダイの少なくも1つの相互接続体パッドは、該下重ねのダイ上の積層体内の別のダイの相互接続体エッジを超えて露出されている請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項22】
下重ねのダイの少なくも1つの相互接続体パッドは、該下重ねのダイの相互接続体エッジに沿って相互接続体縁部の一部を内に位置され、該相互接続体縁部の一部は、上記積層体内の別のダイの上記相互接続体エッジを超えて露出されている請求項3に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、「ファインピッチ電気相互接続体を有する半導体ダイ」との題名の2010年10月14日出願のK.L Barrieらの米国特許仮出願第61/393,311号からの優先権を主張し、本出願は、「ファインピッチ電気相互接続体を有する半導体ダイ」との題名の2011年9月23日出願のK.L Barrieらの米国特許仮出願第13/243,877号からの優先権を主張する。
【0002】
[発明の分野]
本出願は、「電気相互接続された積層ダイアセンブリ」との題名の2008年5月20日出願のS.J.S. McElreaらの米国特許出願第12/124,077号と、「パルスディスペンスにより形成された電気相互接続体」との題名の2009年3月12日出願のT. Caskeyらの米国特許出願第12/124,097号とに関連する。上記又は下記の各出願は、参照することにより本明細書に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
本出願は集積回路チップの電気相互接続に関し、とりわけ、1つ以上の集積回路チップを含むアセンブリの相互接続に関する。
【0004】
典型的半導体ダイは、集積回路が形成されている前(アクティブ)側、裏側、及び側壁を有する。側壁は、前側に前縁で出会い、裏側に裏縁で出会う。半導体ダイは典型的には、ダイ上の回路を、ダイが配置されている装置内の別の回路と電気相互接続するために前側に配置されている相互接続体パッド(ダイパッド)を備えている。提供されるいくつかのダイは、ダイ縁部のうちの1つ以上に沿って前側上にダイパッドを有し、これらは周辺パッドダイと呼ばれる。提供される別のダイは、ダイの中心の近辺の前側に1つ以上の列内に配置されたダイパッドを有し、これらは中心パッドダイと呼ばれる。ダイを「経路変更」して、ダイの縁部のうちの1つ以上に又はその近傍に相互接続体パッドを適切に配置することも可能である。相互接続体パッドが沿って配置されているダイ縁部は、「相互接続体縁部」と呼ばれ、隣接前部ダイエッジは「相互接続体エッジ」と呼ばれ、相互接続体ダイエッジに隣接するダイ側壁は、「相互接続体側壁」と呼ばれる。
【0005】
半導体ダイは、いくつかの手段のうちの任意の1つにより、例えば印刷回路基板、パッケージ基板又はリードフレーム、又は別のダイの中の別の回路と電気接続することも可能である。接続は、例えばワイヤボンド、フリップチップ相互接続体又はタブ相互接続体により行うことも可能である。
【0006】
参照することにより本願明細書に組み込まれるものとする「パルスディスペンスにより形成された電気相互接続体」との題名の2009年3月12日出願のT. Caskeyらの米国特許出願第12/124,097号は、接続する形状体の上に硬化性導電材料を配置し硬化性導電材料を硬化して、導電性トレースを形成することによりダイの電気相互接続を行うことを記載している。適切な材料は、導電ポリマー又は導電インクなどを含む。
【0007】
相互接続表面を形成する前にダイ表面上に形成された誘電コーティングは、例えばダイパッドが沿って配置されているダイ縁部及び隣接するダイエッジ及び側壁など、さもなければ導電性トレースと接触するが電気接触は望ましくない形状体を絶縁するとともに、その上をトレースが通過するが別の形状体との電気接続は意図されていないダイパッドも絶縁する役割を果たす。誘電体コーティングは、種々の材料のうちの任意の1つでよく、特定の材料に適切な種々の技術のうちの任意の1つにより形成できる。適切な材料は有機ポリマーを含み、特に適切な材料はパリレンを含み、パリレンは、蒸気形状での前駆体分子のその場(in situ)重合により形成される。コーティングは、電気接続が行われる領域を含む、コーティングプロセスの間に材料に露出されるすべての表面を覆う。したがって開口が、導電トレースとの接触が望まれる選択された領域上に例えば選択的レーザアブレーションにより形成される。
【0008】
パッケージサイズ(パッケージ設置面積、パッケージ厚さなど)を最小化しながら集積回路チップパッケージ内のアクティブ半導体回路の密度を高めるための多数のアプローチが提案されている。より小さい設置面積を有する高密度パッケージを製造するための1つのアプローチでは、同一又は異なる機能性の2つ以上の半導体ダイが互いに積み重ねられ、パッケージ基板に取り付けられる。
【0009】
参照することにより本明細書に組み込まれるものとする「電気相互接続された積層ダイアセンブリ」との題名の2008年5月20日出願のS.J.S. McElreaらの米国特許出願第12/124,077号は、電気相互接続が、例えば導電ポリマー又は導電インクを含む材料などの相互接続体材料を使用して行われる種々の積層形態を有する積層ダイアセンブリを記載している。いくつかの形態では、(とりわけ)例えば、各ダイが、相互接続体エッジにそって縁部内に位置する相互接続体パッドを有し、積層体内の後続のダイが、それらの其々の相互接続体エッジが積層体の同一の面に面するように配置され、相互接続体エッジが、この形態が階段ダイ積層体を表し、相互接続が階段を介して行われるようにオフセットされている。
【0010】
減じられたパッドピッチでは、隣接トレースは密接し、特定の相互接続体材料及び特定の下重なり誘電コーティングに依存して、相互接続体材料は横方向に「滲み」、これにより隣接トレースのエッジは出会うか重なって、隣接トレース間に電気漏洩を生じる。このような電気漏洩は許容できない。
【発明の概要】
【0011】
一般的形態では本発明は、相互接続体エッジの近くに相互接続体側に相互接続体パッドを有し、相似誘電コーティングにより被覆された相互接続体側の少なくとも一部を有するダイを含むアセンブリを提供し、誘電コーティング上の相互接続体トレースは、誘電コーティングの表面と大きいインターフェース角を形成する。トレースは大きいインターフェース角を有するので、相互接続体材料が横方向に「滲む」傾向が緩和され、隣接トレースの接触あるいは重なりを避けることができる。相互接続体トレースは、硬化性導電相互接続体材料を含む、すなわち相互接続体トレースは、流動性の状態で適用し、次いで硬化させるか又は硬化するのを許容して、導電トレースを形成する材料を含む。
【0012】
いくつかの実施の形態では相互接続体材料は、硬化性導電ポリマー又は導電インクを含む。特定の実施の形態では、例えば、相互接続体材料は導電ポリマーであり、適切な導電ポリマーは、例えば金属充填エポキシ、金属充填熱硬化性ポリマー、金属充填熱可塑性ポリマー又は導電インクなどの粒子状の導電材料により充填されたポリマーを含む。導電粒子はサイズ及び形状が広く変化し、導電粒子は、例えばナノ粒子又はより大きい粒子であることもある。いくつかの実施の形態では導電ポリマーは硬化性ポリマーであり、段階的に硬化性であることもある。相互接続体材料は、例えば導電充填材を含む母材を含むこともあり、母材は、硬化性又は固化性材料であることもあり、導電充填材は、例えば母材が固化したり硬化されたりすると材料自身が導電性となるような粒子状であることもある。いくつかの実施の形態では材料は、銀充填エポキシなどの導電エポキシを含むこともあり、例えば60〜90%(より通常には80〜85%)の銀を有する充填エポキシが適切であることもある。いくつかの実施の形態では材料は、エポキシは、計量分配の続いて硬化されて、いくつかの実施の形態では一連のドットが融合して連続相互接続ストランドが得られる。
【0013】
いくつかの実施の形態では、(例えばダイ上の相互接続体パッド又はサポート上の接続部位などの)電気接続する形状体の表面は、硬化条件下で相互接続体材料内の1つ又は複数の元素と一緒に相互接続体材料とパッド又は部位表面とのインターフェースで金属間化合物を形成する1つ又は複数の元素を含ませるという選択肢を有する。このような金属間化合物はトレースの導電性を改善し、パッド又は部位とトレースとの間の連続性を改善することも可能である。
【0014】
適切な相互接続体材料の特定の例は、Cu、Bi及びSn又はCu、Bi、Sn及びAgの粒子を様々な割合で含む有機ポリマーを含む導電ペーストを含む。硬化の間、これらの材料はトレース自身の中に金属間化合物(特に例えばCuSn金属間化合物)を形成することも可能であり、相互接続体パッド又は接続部位の表面が例えば金を含む場合、これらの材料は、トレースとパッド又は部位の表面とのインターフェースでAuSn金属間化合物を形成することも可能である。
【0015】
適切な相互接続体材料の別の例は、銀充填エポキシを含む。
【0016】
いくつかの実施の形態では相似誘電コーティングの材料は、シリコンベースポリマーであることもある非有機(無機)ポリマーを含み、ゾルゲルガラス被覆物は適切な無機ポリマーであることもある。いくつかの実施の形態では相似コーティング材の材料は、例えばポリイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、エポキシ又はシアノアクリレートなどの有機ポリマーを含むこともある。いくつかの実施の形態では相似コーティング部の材料は、ハイブリドーマ(無機ー有機)ポリマーを含み、例えば有機ポリマーと組み合わせたシリコンベースポリマーが適切なこともある。特定の実施の形態では相似コーティングは、例えばパリレンC又はパリレンN又はパリレンA又はパリレンSR等のp−キシレンのポリマー又はその誘導体などのハロゲン化ポリマーを含む。いくつかの実施の形態では相似コーティングは、蒸着、液相堆積又は固相堆積などの付着により形成される。
【0017】
いくつかの実施の形態ではアセンブリはずれ(階段)形態で積み重ねられ電気接続された2つ以上のダイを含む。いくつかの実施の形態ではアセンブリは、基板などの支持体に取り付けられ電気接続された少なくとも1つのダイ又はダイ積層体を含む。
【0018】
液体/蒸気インターフェースが固体表面と出会う「接触角」と同様に測定されるインターフェース角は、約90゜に近づくか越え、種々の実施の形態では約60゜と約120゜の間の範囲内にあり、より通常には約75゜と105゜との間の範囲内にあり、特定の実施の形態では約75゜と約90゜との間の範囲内にある。
【0019】
別の一般的側面では本発明は、相似コーティング上に相互接続体材料を塗布する前に相似コーティング表面をCF
4プラズマにより処理することを含む、アセンブリを形成するための方法を提供する。明らかにこのプロシージャーは、相似コーティング表面上の相互接続体材料の相互接続体材料へのぬれ性を減じる。CF
4プラズマ処理は、選択された形状体上に(例えばレーザアブレーションにより)開口を形成することに続いて行われることもあり、通常このような実施の形態では、プラズマ洗浄(例えばArプラズマ処理)が、誘電コーティングの中に開口を形成するプロシージャーに続き、CF
4処理がプラズマ洗浄に続くこともある。
【0020】
本発明に係わるアセンブリは、任意の電子システムとりわけポータブル又は手持ち装置などの小型フォーマット用途で使用でき、例えばアセンブリは、パーソナルコンピュータ、通信装置及び消費者及び産業電子装置などのコンピュータを構築するのに使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2B】
図2Aの写真に現れる形状体を識別するスケッチである。
【
図3】改善された電気相互接続の概要を示す写真である。
【
図4A】改善された電気相互接続の断面図を示す写真である。
【
図4B】
図4Aの写真に現れる形状体を識別するスケッチである。
【
図5】改善された電気相互接続を形成するためのプロセスにおける段階を示すフローダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の代替的な実施の形態を示す図を参照してさらに詳細に本発明を説明する。図面は概略的であり、本発明の形状体と、他の形状体及び構造とのそれらの関係とを示し、縮尺は正確でない。描写の明瞭さを改善するために、本発明の実施の形態を示す図では、他の図面に示されている素子に対応する素子はすべて、新たに番号を付けないが、それらは容易に識別できる。描写の明瞭さのために、本発明の理解のために必要でない形状体は示されていない。
【0023】
図1は、電気相互接続されたダイの積層体の一部を示す写真である。図示のダイ積層体では上部ダイ10が、下重ねの下部ダイ10’の上に積層されている。相互接続体パッド15が、上部ダイ10の相互接続体エッジ11に沿って配置され、相互接続体パッド15’が、下部ダイ10’の(写真のフレームの外側の)相互接続体エッジに沿って配置されている。図示の例では積層体中のダイはずれている、すなわち、上部ダイ10の相互接続体エッジ11は、下部ダイ10’の相互接続体エッジに対してずれており、したがって相互接続体パッド15’が見えている。積層体中のダイは、導電トレース18により電気相互接続されている。
【0024】
図2A及び2Bは、基板のダイ取り付け表面上に取り付けられ、相互接続体パッド上に形成された電気相互接続体
トレースを有するダイの一部の断面図を示す。
図2Aは写真であり、
図2Bは、ある形状体を識別するのを支援するために写真をトレースして作られたスケッチである。従来のように、ダイのアクティブ側にある集積回路は、ダイの相互接続表面上の相互接続体パッドに電気接続されている。(ダイの中及び上の回路のいくつかは写真フレームの外側にあり、ダイの中及び上の回路の詳細は、図に示されていない)。ダイの相互接続表面は従来通り、ダイ表面を露出するために(例えばマスク及び腐食プロシージャーにより)パターン化された不活性化層により被覆され、相互接続体パッド(及びそれらに通じる電気トレース)は従来通り、ダイの不活性化相互接続表面上に金属層を形成し、次いで(例えばマスク及び腐食プロシージャーにより)金属層をパターン化することにより形成されている。ダイは、ダイの相互接続表面が基板の取り付け表面から背いて面するように基板に対して配向されている。
【0025】
図2Bを参照すると、ダイ
10は、例えばダイ取り付けフィルムなどの生長剤12を使用して基板
20上に取り付けられる。従来通り、基板は、ダイを基板回路と電気接続するためにダイ取り付け表面で露出されているパッドを備える。(基板の中及び上の回路のいくつかは写真フレームの外側にあり、基板の中及び上の回路の詳細は、図に示されていない)。基板
20の図示の部分は、誘電材料の層と、パターン化金属層又は金属化物22とを含む。
【0026】
ダイ
10は、ダイ表面に形成された相互接続体パッド15を有する。パッド15間のダイ表面は、不活性化物14により被覆され、電気絶縁相似コーティング16が、パッド15及び不活性化物(passivation)14の上に形成されている。不活性化物14は例えば、例えばポリイミド又はパリレンなどの有機誘電ポリマーであることもある。電気絶縁相似コーティング16は例えば、パリレンなどの有機誘電ポリマーであることもある。特定の例では相似誘電コーティングはパリレンである。
【0027】
絶縁相似コーティングを通過する開口が、後に形成されるトレースとの電気接触が望まれる形状体を露出するために(例えばレーザアブレーションにより)形成される。(相似コーティングを通過する開口は、
図2Aに現れないので
図2Bに示されず、図示の特定のパッド内に開口は存在しないか、又はいかなる開口も写真フレームの外側にある)。相互接続体ダイパッドは例えば金属を含み、特定の例では、例えばアルミニウム、銅又は金などの1以上の金属を含む。特定の実施の形態では金又はパラジウム接触表面が好ましく、そのような実施の形態ではダイパッドは、金又はパラジウム接触表面を有するように(例えばメッキ又はスパッタリングプロシージャーにより)処理された金又は別の金属であることもある。いくつかの実施の形態ではパラジウム接触表面は、ニッケル及び次いでパラジウムによりパッドをめっき又はスパッタリングすることにより形成される。
【0028】
特定の例ではダイパッドは、接触表面に金を含む。
【0029】
図示の例では相互接続体トレース18は、流動性の状態で適用される導電材料から形成され、次いで硬化させる又は硬化するのを許容してトレースを完成する。
【0030】
このような材料は例えば、硬化性有機ポリマー母材(例えば導電(例えば充填)エポキシ又は導電インク)に含まれる導電粒子(例えば導電金属粒子)を含む導電ポリマーを含み、例えば液体キャリアで供給される導電粒子を含む。特定の実施の形態では相互接続体材料は、硬化性導電ポリマー又は導電インクなどの導電ポリマーである。
【0031】
例えば、導電材料は、硬化性ポリマー母材に含ませた状態の導電粒子を含むことも可能である。特定の例では導電材料は、エポキシ母材に含ませた状態のビスマス、銅及びスズを含む。
【0032】
図1及び2Bに示されているようにそして
図2Aに現れているように、トレースは概半円断面を有するにもかかわらず、これらの例でのパッド表面に隣接する相互接続体材料は、エッジで広がり、少なくともいくつかの例では隣接トレースのエッジは接触するか又は重なる。その結果、隣接トレースの間に電気漏洩が生じることもあり、これは許容できない状態である。
【0033】
我々は、トレース形成の前にCF
4を使用して相似誘電コーティング表面をプラズマ処理すると、パッドに隣接する相互接続体材料がエッジで広がる傾向が緩和されることを発見した。その結果の構造の例が、
図3、4A及び4Bに示されている。材料は、
図1、2A及び2Bの例で使用される材料と実質的に同様であり、これらの例を実現するプロセスも、CF
4プラズマ処理がトレース形成処理の前に行われる以外は同様である。
【0034】
図3の写真に示されている概観で、トレース48は、エッジ47でわずかに「
羽毛状」になっている以外は良好に閉じ込められている。
図4Aの写真の断面図で見られるように、そして
図4Bにスケッチされているように、トレースは、トレース材料とパッド表面との交差箇所で大きいインターフェース角θを示し、パッド表面に隣接するエッジで相互接続体材料は非常にわずかしか「流出」あるいは「浸出」しない。これらの図では開口の例が、相似誘電コーティング内に示され、相互接続体材料がパッド表面と接触し、相互接続体材料とパッドとのインターフェースで金属間化合物42が形成される。
【0035】
図5は、改善された相互接続体を形成するためのプロセスにおける段階を示す。
【0036】
段階51では、相互接続体側で相互接続体パッドを有するダイが提供されるか、又は相互接続体側で相互接続体パッドを有するダイ積層体が提供される。種々のダイタイプのいかなるものも、本発明の実施の形態にしたがって処理でき、ダイ積層体が提供されるとダイは、種々の積層体形態のうちのいかなる形態にでも配置できる。
【0037】
種々の積層体形態の例が、例えば参照することにより本願明細書に組み込まれるものとする上述の米国特許出願番号第12/124,077号に記載されている。
【0038】
いくつかの積層体形態では各ダイが、少なくとも第1のダイエッジに沿って縁部内に位置する相互接続体パッドを有し、積層体内の後続のダイが、それらのそれぞれの第1のダイエッジ(「相互接続体ダイエッジ」)が積層体の同一の面(「相互接続体積層体面」)へ向かって面するように配置されることもある。いくつかの積層体配置では相互接続体エッジはすべて、互いの上に概垂直に配置されている、すなわち、相互接続体積層体面は、概平面状であり、頂部及び底部積層体表面の平面(「水平」な平面であってもよい)に対して垂直である。別のそのような積層体配置では積層体内の上記ダイは、下重ねのダイに対してずれており、これにより下重ねのダイの相互接続体縁部の一部が露出されている。この形態ではダイ積層体は「階段」状であり、相互接続は、「段」の上で行うことができる。別の実施の形態では例えば、各ダイは少なくとも第1のダイエッジに沿って相互接続体縁部を有するが、しかし積層体内の後続のダイは、それらのそれぞれの第1のダイエッジが積層体の異なる(例えば対向する)面へ向かって面するように配置されている。第1のダイエッジが対向積層体面へ向かって面していると、この形態は「食い違い」ダイ積層体の様相を呈し、(積層体の底部から順次のダイに番号を付けた場合)奇数のダイの第1のダイエッジがある1つの積層体面へ向かって面するとする、偶数のダイの第1のダイエッジは、対向する積層体面へ向かって面する。食い違い積層体では、奇数のダイの第1のダイエッジは、ある1つの積層体面は垂直に配置され、対応する上重ねのパッドは、別の垂直相互接続体により接続でき、偶数のダイは、対向する積層体面で垂直に配置され、対応する上重ねのパッドは、別の垂直相互接続体により接続できる。食い違い積層体形態では、偶数のダイは、奇数のダイの間のスペーサーとして働き、奇数のダイは、偶数のダイの間のスペーサーとして働く。ダイの間のスペースは比較的大きい(おおよそ中間ダイの厚さ)ので、相互接続体トレースは、相互接続体距離の一部を支持されずに横切るように形成される。別の実施の形態では例えば、Y寸法より大きいX寸法を有するダイが積層され、積層体内の後続のダイは、垂直に隣接する下又は上のダイに対して90゜に配向されている。このような実施の形態では各ダイは、少なくとも1つの狭幅のダイエッジに沿って(典型的には双方の狭幅のダイエッジに沿って)縁部内に位置する相互接続体パッドを有し、(積層体の底部から順次にダイに番号を付けた場合)偶数のダイの第1のダイエッジは、積層体のある1つの面へ向かって面するとすると、奇数のダイの第1のダイエッジは第1の積層体面に対して90゜で第1の積層体面へ向かって面する。これらの実施の形態のうちのいずれの実施の形態でも各ダイは、第1のダイエッジに加えて第2のダイエッジに沿って縁部内に位置する接続パッドを有し、第1のダイエッジは、対向するエッジ又は(90゜で)隣接するダイエッジであることもある。
【0039】
いくつかの積層体形態は、積層体内のダイが同一の長さ及び幅寸法を有する配置及び/又は積層体内のすべてのダイが同一の長さ又は同一の幅寸法を有するのではない配置を含む。いくつかのずれダイ積層体では少なくとも1つのダイが、下重ねのダイに比してより小さい長さ又は幅寸法を有し、それらは、積層体面の少なくとも2つの対向する積層体面へ向かって見て、「ピラミッド」の様相を呈する。
【0040】
相互接続体材料が、それが配置されている表面と実質的に相似であるかぎり、いかなるそのような表面も、表面が電気絶縁されている場合以外、導電トレースと電気接触できる。したがって、相互接続体トレースと接触するが電気接触が望まれないダイの表面は、電気絶縁されなければならない。これは例えば、段階52におけるように表面上に相似誘電フィルムを適用し、次いで、段階53におけるように電気接触が望まれるフィルム内に開口を形成することにより達成される。いくつかの実施の形態では相似コーティングの材料は、例えばパリレンC又はパリレンN又はパリレンA又はパリレンSRなどのポリキシレンポリマーなどのp−キシレンのポリマー又はその誘導体などの有機ポリマーのフィルムを含む。いくつかの実施の形態では相似コーティングは、例えば蒸着、液相堆積又は固相堆積などの付着により形成される。
【0041】
特に適切な誘電フィルムはパリレンフィルムであり、このフィルムは、積層体内での組み立て前にダイに適用するか、又は組み立て後しかし相互接続体トレースのうちの1つ以上を形成される前に適用することも可能である。
【0042】
誘電相似コーティングは、(ピンホールなしの)連続コーティングを提供するのに十分であり、下重ねの回路の要件に会うか越える誘電強度を有する電気絶縁を提供するのに十分である厚さに形成される。例えば約1μm〜約5μmの範囲内のパリレンコーティング厚さが適切である。パリレンコーティングは、標準のパリレン装置を使用して行うことも可能である。
【0043】
コーティングが完成すると、パリレンチャンバから水が除去され、レーザアブレーションを使用して、(例えば電気相互接続する相互接続体ダイパッドなどの)選択された形状体からコーティングを除去する。理解できるように、レーザは、パリレンが300〜800ナノメーターの可視範囲内で実質的に透明であることに鑑みてコーティング層内でかなりのエネルギー吸収が生じる波長で動作させなければならない。1つの選択肢として、パッドからのコーティング材料の除去は後の段階で、ダイの電気接続を行う時までのいずれかの時に行うことも可能である。
【0044】
レーザアブレーションプロシージャーには典型的には、従来採用されるようにArプラズマ処理などの段階54でのプラズマ洗浄が続く。
【0045】
続いて段階55でCF
4プラズマ処理が行われる。次のパラメータが適切である。
CF
4%:約5%〜約100%の範囲内、
電力:約100〜約800ワットの範囲内、
圧力:約50ミリトル〜約500ミリトルの範囲内、
時間:約10秒〜約30分の範囲内、
流量:約100sccm〜2000sccm。
【0046】
特定実施の形態でのパラメータは、100%CF
4、400ワット、200ミリトルの圧力、60秒間、250sccmの流量であった。
【0047】
CF
4処理は、次のようにステップで行うことができる。2ステッププロシージャーではArプラズマ洗浄にCF
4処理が続く。1つの選択肢として3ステッププロシージャーでArプラズマ洗浄にNプラズマ処理が続き、Nプラズマ処理にCF
4処理が続く。代替的な3ステッププロシージャーではArプラズマ洗浄にCF
4処理が続き、CF
4処理に(CF
4処理の結果をある程度減じるために)第2のArプラズマ処理が続く。
【0048】
理解できるように、パラメータが、特定の相互接続材料及び相似誘電材料のために最適化され、そのような最適化は、過度の実験を行わずに容易に行うことができる。
【0049】
CF
4処理に相互接続材料を配置するプロシージャー56が続き、次いで段階57で相互接続体材料は硬化させるか又は硬化するのを許容して相互接続体トレースを形成する。
【0050】
別の実施の形態が請求の範囲内にある。