特許第5770853号(P5770853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5770853負荷制限器(load−limiter)を備えるベルト引戻し器(beltretractor)のためのベルト引張り器(tensioner)と、シートベルトを引っ張り、続いて負荷を制限する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770853
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】負荷制限器(load−limiter)を備えるベルト引戻し器(beltretractor)のためのベルト引張り器(tensioner)と、シートベルトを引っ張り、続いて負荷を制限する方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/46 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   B60R22/46
【請求項の数】15
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-539146(P2013-539146)
(86)(22)【出願日】2011年8月11日
(65)【公表番号】特表2013-542879(P2013-542879A)
(43)【公表日】2013年11月28日
(86)【国際出願番号】EP2011004024
(87)【国際公開番号】WO2012065654
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2014年2月21日
(31)【優先権主張番号】102010051422.5
(32)【優先日】2010年11月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504122767
【氏名又は名称】ティーアールダブリュー・オートモーティブ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ゲントナー,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】モエディンガー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】プレギツァー,アンドレアス
【審査官】 水野 治彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−301331(JP,A)
【文献】 特開2000−062570(JP,A)
【文献】 特開2010−023754(JP,A)
【文献】 特開昭56−023972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷制限器を含むベルト引戻し器のためのベルト引張り器であって、
ベルトリール(12)に結合された枢動ピニオン(14)と、
駆動ユニットと、
前記ピニオン(14)に係合する前記駆動ユニットで動かされて前記ピニオン(14)を引っ張り方向Aに回転させる負荷伝達要素(20)とを備え、
前記負荷伝達要素(20)の一部位(20b)が、前記負荷伝達要素(20)による回転の後で前記ピニオン(14)によってとられる回転位置において前記ピニオン(14)に係合されるように、前記負荷伝達要素(20)が設計され、
負荷伝達要素が後方に移動中に弾性的または塑性的に変形され
前記負荷伝達要素(20)が少なくとも1つの所定の破断点(30)を有し、前記負荷伝達要素(20)が、前記駆動ユニットまたは前記ピニオン(14)によって前記負荷伝達要素(20)に加えられた負荷によって前記所定の破断点(30)において断裂するように、前記所定の破断点(30)が設計される、
ベルト引張り器。
【請求項2】
請求項に記載のベルト引張り器において、前記所定の破断点(30)が、凹部切欠きまたは材料脆弱化によって形成されることを特徴とするベルト引張り器。
【請求項3】
請求項に記載のベルト引張り器において、前記負荷伝達要素(20)が、結合部において結合または構成される少なくとも2つの部位から成り、前記結合部が前記所定の破断点(30)を構成するベルト引張り器。
【請求項4】
請求項1に記載のベルト引張り器において、部位(20b)が、引張り器チューブ(18)および/または引張り器ケーシング(22)に対して摩擦力により嵌合されるように、部位(20b)が設計されるベルト引張り器。
【請求項5】
請求項1に記載のベルト引張り器において、部位(20b)が、前記ピニオン(14)に対して形状嵌合されるように、部位(20b)が設計されるベルト引張り器
【請求項6】
ベルト引張り器によってシートベルトを引っ張り、続いて負荷制限器によって負荷を制限する方法であって、
負荷伝達要素(20)が、ベルトリール(12)と結合されたピニオン(14)に係合するように、前記負荷伝達要素(20)を駆動ユニットによって第1の方向に移動させるステップと、
前記動かされた負荷伝達要素(20)によって前記ピニオン(14)を引っ張り方向Aに回転させるステップと、
前記ピニオン(14)の前記回転が完了すると、前記負荷伝達要素(20)の一部位(20b)が前記ピニオン(14)に係合することを確保するステップとを含み、前記負荷伝達要素(20)が、その移動の最中に断裂する、方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法において、前記ピニオン(14)が、前記引っ張り方向Aに回転された後、車両の乗員によって加えられたベルトストラップ力によってウェビングをほどく方向Bに回され、前記ピニオン(14)が、前記ピニオン(14)に係合された前記負荷伝達要素(20)の前記部位(20b)を前記第1の方向と反対の第2の方向に移動させる方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法において、前記負荷伝達要素(20)の前記部位(20b)の前記第2の方向への移動の間に、前記部位(20b)において仕事がなされる方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法において、前記部位(20b)が、引張り器チューブ(18)および/または引張り器ケーシング(22)に対して摩擦力により嵌合される方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法において、前記部位(20b)が、前記ピニオン(14)に対して形状嵌合される方法
【請求項11】
負荷制限器を含むベルト引戻し器のためのベルト引張り器であって、
ベルトリール(12)に結合された枢動ピニオン(14)と、
駆動ユニットと、
前記ピニオン(14)に係合する前記駆動ユニットで動かされて前記ピニオン(14)を引っ張り方向Aに回転させる負荷伝達要素(20)とを備え、
前記負荷伝達要素(20)の一部位(20b)が、前記負荷伝達要素(20)による回転の後で前記ピニオン(14)によってとられる回転位置において前記ピニオン(14)に係合されるように、前記負荷伝達要素(20)が設計され、
負荷伝達要素が後方に移動中に弾性的または塑性的に変形され、
前記負荷伝達要素(20)が少なくとも1つの所定の破断点(30)を有し、前記ベルト引張り器が組み立てられるときに前記負荷伝達要素(20)が断裂するように、前記所定の破断点(30)が設計される、ベルト引張り器。
【請求項12】
請求項11に記載のベルト引張り器において、前記所定の破断点(30)が、凹部、切欠き、または材料脆弱化によって形成されることを特徴とするベルト引張り器
【請求項13】
請求項11に記載のベルト引張り器において、前記負荷伝達要素(20)が、結合部において結合または構成される少なくとも2つの部位から成り、前記結合部が前記所定の破断点(30)を構成するベルト引張り器
【請求項14】
請求項11に記載のベルト引張り器において、部位(20b)が、引張り器チューブ(18)および/または引張り器ケーシング(22)に対して摩擦力により嵌合されるように、部位(20b)が設計されるベルト引張り器
【請求項15】
請求項11に記載のベルト引張り器において、部位(20b)が、前記ピニオン(14)に対して形状嵌合されるように、部位(20b)が設計されるベルト引張り器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は負荷制限器を備えるベルト引戻し器のためのベルト引張り器に関する。本発明はさらに、シートベルトの引っ張り、続いて負荷を制限する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルト引張り器は、衝突時にシートベルトを引っ張って、車両の乗員ができるだけ速やかに車両の全体的な減速に加わることを目的とする。シートベルトの引っ張りによって、特にフィルムスプールの衝撃が影響して(ベルトウェビング(belt webbing)はベルトリールにゆるく巻かれている)、車両の乗員を拘束することに悪影響を有する(車両の乗員に密着していないウェビングの)ベルトの緩みが低減される。
【0003】
負荷制限器は、引っ張った後に車両の乗員に作用するシートベルトの負荷が過度に増加しないように規定する。車両の乗員への締め付けを緩和するために、ベルトリールがロックした後でも、ベルトリールは、ウェビングをほどく方向(引っ張り方向の反対)に回転するのを許容するが、回転は、エネルギー変換によって、すなわち仕事をすること(たとえば、ねじりロッドをねじること)によって減速される。
【0004】
負荷制限器を備える最もよく知られているベルト引戻し器の場合、ベルトリールをロックするために、負荷を制限する前にロック爪(licking pawl)を調整することが必要である。しかしながら通常、調整は、引っ張り動作の終了と同時ではなく時間遅れを伴って実施される。この遅延が、負荷制限が始まる前に、ウェビング負荷の望ましくない減少を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ベルト引張り器と負荷制限器とを備えるベルト引戻し器において、シートベルトを引っ張ることと後続の負荷制限との間の遷移を最適化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を備えるベルト引張り器によって、ならびに請求項8の特徴を含む方法によって達成される。本発明によるベルト引張り器および本発明による方法の有利で好都合な構成が、関連する従属請求項に記載される。
【0007】
本発明による負荷制限器を備えるベルト引戻し器のためのベルト引張り器は、ベルトリールに結合された枢動ピニオンと、駆動ユニットと、駆動ユニットによって動かされる負荷伝達要素とを備える。負荷伝達要素の一部位が、負荷伝達要素によって回された後でピニオンによってとられる回転位置においてピニオンに係合されるように、負荷伝達要素が設計される。
【0008】
本発明は、引っ張り動作の完了と負荷制限の開始との間で発生する負荷の低下は、この期間に、ベルトウェビングとベルトリールとの間の負荷の流れの中に配列された構成要素によって、または構成要素において仕事がなされる場合に回避され得ることを発見したことに基づく。この仕事の実施は、負荷の低下を完全にまたは少なくとも部分的に補正する。また、計画的な過剰補正が、増加した負荷レベルにおける負荷制限を意図的に起動するために提供され得る。
【0009】
本発明によるこの概念は、引っ張りが、その駆動方向と反対のピニオンから戻る方向に動かされた後、負荷伝達要素の一部位が依然としてピニオンに係合しているという事実によって、技術的に実現される。戻り方向に移動する間に、負荷の低下を補正するために必要な仕事は、特に、負荷伝達要素を摩擦によって加熱および/または弾性もしくは塑性変形によってなされる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、負荷伝達要素は、少なくとも1つの所定の破断点を有する。所定の破断点は、負荷伝達要素を複数の部位に分離し、それにより引っ張りの後、少なくとも1つの分離された部位がピニオンと係合する状態で保持され、仕事をなすために利用可能になることを可能にする。
【0011】
好ましくは、負荷伝達要素が、駆動ユニットまたはピニオンによって負荷伝達要素に加えられた負荷によって所定の破断点において断裂するように、所定の破断点が設計される。
【0012】
代替として、所定の破断点はまた、負荷伝達要素がベルト引張り器の組立ての間にすでに断裂するように設計されてもよい。したがって、負荷伝達要素は、引っ張り動作の前にすでに分離しているとはいえ、断片が直列に配列されているという点で、所望の効果が達成され得る。
【0013】
好ましくは、所定の破断点は、凹部によって、特に切欠きまたは材料脆弱化(material weakening)によって形成される。
【0014】
負荷伝達要素はまた、結合部において結合されるかまたは組み立てられた少なくとも2つの部位から成ることができる。この場合、結合部は所定の破断点を構成する。
【0015】
仕事が負荷の低下を補正するのに十分になされるために有利な構成は、引っ張り動作の後、ピニオンに係合する負荷伝達要素の部位が、引張り器チューブおよび/または引張り器ケーシングおよび/またはピニオンおよび/またはベルト引張り器の別の構成要素との摩擦嵌合(friction fit)および/または形状嵌合(form fit)を受けるように設計されるようなものである。したがって、部位が戻り方向に移動することは、摩擦嵌合および/または形状嵌合に打ち勝つ間にだけなされ得る。
【0016】
本発明はまた、ベルト引張り器によってシートベルトを引っ張り、続いて負荷制限器によって力を制限することによって負荷を制限する方法を提供する。本発明による方法は、
− 負荷伝達要素が、ベルトリールと結合されたピニオンに係合されるように、負荷伝達要素を駆動ユニットによって第1の方向に移動させるステップと、
− 動かされた負荷伝達要素によってピニオンを引っ張り方向Aに回転させるステップと、
− ピニオンの回転を完了した後、負荷伝達要素の一部位がピニオンに係合されることを保護するステップとを含む。
【0017】
好ましくは、負荷伝達要素は、その移動の最中に断裂する。また代替として、強制的な断裂は、ベルト引張り器が組み立てられるときにすでにもたらされていてもよい。
【0018】
本発明による方法の好ましい実施形態では、ピニオンは、引っ張り方向Aに回転された後、車両の乗員によって加えられたベルトウェビングの負荷によってウェビングをほどく方向Bに回され、ピニオンに係合された負荷伝達要素の部位を、第1の方向と反対の第2の方向に移動させる。
【0019】
この場合、発明性のある発想を簡単に技術的に実現することが、負荷伝達要素の部位を第2の方向に移動させる間に、仕事がその部位においてなされるという事実によってもたらされる。
【0020】
十分な仕事の実施を確保するために、部位は、引張り器チューブおよび/または引張り器ケーシングおよび/またはピニオンおよび/またはベルト引張り器の別の構成要素との摩擦嵌合および/または形状嵌合を受けるべきである。
【0021】
さらに、本発明の特徴および利点は、以下の説明および添付の図面からもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明によるベルト引張り器を備えるベルト引戻し器の分解組立図である。
図2】組み立てられたベルト引戻し器の断面図である。
図3】引っ張る前のベルト引張り器の概略的部分断面図である。
図4a】第1の実施形態によるベルト引張り器の負荷伝達要素の図である。
図4b】第2の実施形態によるベルト引張り器の負荷伝達要素の図である。
図5】引っ張った後のベルト引張り器の概略的部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1では、火薬駆動の(pyrotechnically driven)ベルト引張り器を備えるベルト引戻し器のかなりの構成要素を示す。図2では、ベルト引戻し器を組み立てられた状態で示す。
【0024】
引戻し器の枠10の中でベルトリール12が枢動軸上に取り付けられ、ベルトリール12の上にベルトストラップが巻かれ得、またはベルトリール12からベルトストラップがほどかれ得る。ベルトリール12に結合されたピニオン14が、枠10の上で枢動軸上に取り付けられる。
【0025】
ベルト引戻し器のベルト引張り器は、点火器16を備える火薬駆動ユニットならびに引張り器チューブ18内で移動可能に配列された負荷伝達要素20を含む。ベルト引張り器の構成要素は、引戻し器の枠10上に搭載された引張り器ケーシング22内に少なくとも部分的に収容される。
【0026】
さらに、停止ディスク24と、停止ディスク24内に配設されたつる巻きばね26と、カバー28とが、ピニオン14に取り付けられる。これらの構成要素が、その効果についてそれ自体知られているベルト引戻し器のばね側を形成するが、その効果は、ベルト引張り器の機能にとって重要ではない。
【0027】
図3は、引っ張り動作の前のベルト引張り器を簡素化された形態で示す。拘束の場合、火薬駆動ユニットが起動されてガスを発生し、ガスが負荷伝達要素20(ここではコンターなしで示す)を引張り器チューブ18の中で加圧する。したがって、負荷伝達要素20は、点火器16から離れる移動の第1の方向に動かされ、ピニオン14に係合し、ピニオン14を引っ張り方向Aに回転させる。
【0028】
図4aおよび図4bは、負荷伝達要素20(等しくコンターなし)であるが、切欠きで形成された1つまたは複数の所定の破断点30を有する2つの異なる実施形態を示す。所定の破断点30はまた、異なる形状の凹部または材料脆弱化で形成されてもよい。負荷伝達要素20はまた、複数の部位で結合されるかまたは複数の部位から構成されて、結合部が所定の破断点30を形成してもよい。
【0029】
引っ張り動作の最中に、負荷伝達要素20は、少なくとも1つの所定の破断点30において断裂する。断裂は、負荷伝達要素20を圧縮することによってすでに引き起こされている可能性があり、または負荷伝達要素20、特に所定の破断点がピニオン14に接触するときのみ引き起こされる可能性もある。負荷伝達要素20の少なくとも1つの前部20aは、ピニオン14から分離するまで動かされるが、負荷伝達要素20の少なくとも1つの後部20bは、引っ張り動作が完了した後でも、ピニオン14に係合されたままである。
【0030】
引っ張り動作が完了するとすぐに、車両の減速に起因して車両の乗員によってベルトウェビングに、ウェビングをほどく方向Bに加えられる負荷が卓越し、すなわち負荷変動が発生する。ベルトリール12に結合されたピニオン14がウェビングをほどく方向Bに移動することを許容するために、ピニオン14に依然として係合している負荷伝達要素20の少なくとも1つの後部20bを、移動の第1の方向と反対の移動の第2の方向、すなわち点火器16の方向に戻るように移動させる必要がある。
【0031】
負荷伝達要素20を引張り器チューブ18の中および引張り器ケーシング22の中に戻すこの移動に対して、仕事がなされなければならない。というのは、負荷伝達要素20は、引張り器チューブ18および/または引張り器ケーシング22および/またはピニオン14および/または別の構成要素、特にベルト引張り器のばね側における案内の一方と、摩擦嵌合および/または形状嵌合しているからである。なされた仕事は、負荷制限の前に負荷が低下するのを、完全にまたは少なくとも部分的に補正する。仕事の実施はまた、負荷制限の間の規定された負荷の増加として使用され得る。
【0032】
図5は、負荷伝達要素20が戻り方向に移動した後で、負荷伝達要素20の後部20bが再びピニオン14から完全に分離した状態にあるベルト引張り器を示す。
【0033】
代替の実施形態は、負荷伝達要素20が、その組み立て中にすでにそれぞれ断裂し、分離されることを提供する。引っ張りの後、負荷伝達要素20の少なくとも1つの分離された部位がピニオンに係合されたままであることが、負荷の低下を補正する機能にとって必須である。
【0034】
ウェビングの負荷の過程は、負荷伝達要素20における所定の破断点30の個別の配列および設計によって、負荷制限の前および開始時に調整され得る。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5