特許第5770854号(P5770854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5770854風力発電装置のロータブレード迎角を調整するための調整装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770854
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】風力発電装置のロータブレード迎角を調整するための調整装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 7/04 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   F03D7/04 H
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-540345(P2013-540345)
(86)(22)【出願日】2011年11月23日
(65)【公表番号】特表2014-500928(P2014-500928A)
(43)【公表日】2014年1月16日
(86)【国際出願番号】EP2011070800
(87)【国際公開番号】WO2012069532
(87)【国際公開日】20120531
【審査請求日】2013年7月19日
(31)【優先権主張番号】102010052272.4
(32)【優先日】2010年11月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】エデン、ゲオルク
【審査官】 尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0024227(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置のロータブレードの迎角を調整するための調整装置(1)であって、
・迎角を調整するために前記ロータブレードを運動させる調整モータ(2)と、
・前記調整モータ(2)を電流により制御し、かつ給電網に接続されており、直流変換器として動作することのできる制御ユニット(4)と、
・給電網が欠落した場合に前記調整モータ(2)に電流を給電し、制御するための非常給電装置と、を有し、
前記非常給電装置は、前記調整モータ(2)の制御のための電流を調達するために、電気エネルギーを蓄積する蓄電器(8)を有し、前記制御ユニット(4)は、前記非常給電装置の前記蓄電器(8)を電気エネルギーにより充電し、
切り替え手段(26,27)が設けられており、該切り替え手段は、前記直流変換器が前記調整モータ(2)に作動のために電気的に有効に接続されるように切り替え可能であり、かつ当該切り替え手段は、前記蓄電器(8)を充電するために、前記制御ユニット(4)を前記非常給電装置の当該蓄電器(8)に接続する、調整装置。
【請求項2】
漏れ電流もしくは自然放電、または漏れ電流および自然放電によって前記蓄電器(8)から放電されただけの電気エネルギーを当該蓄電器(8)に規則的に再充電するためのトリクル充電ユニット(10)が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の調整装置(1)。
【請求項3】
前記蓄電器(8)は、少なくとも1つのコンデンサ、鉛ゲル蓄電池、またはリチウムイオン電池を有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の調整装置(1)。
【請求項4】
誘導性構成素子(28)もしくは整流手段(30)または誘導性構成素子(28)および整流手段(28)が前記蓄電器(8)と前記制御ユニット(4)との間に直列に接続されており、これにより前記制御ユニット(4)による前記蓄電器(8)の充電の際に、充電電流が前記制御ユニット(4)から前記誘導性構成素子(28)もしくは前記整流手段、または前記誘導性構成素子(28)および前記整流手段を介して流れる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の調整装置(1)。
【請求項5】
風力発電装置のロータブレードの迎角を調整するための調整装置(1)の運転方法であって、
・迎角を調整するためにロータブレードを調整モータ(2)によって運動させる工程と、
ここで前記調整モータ(2)には、給電網に接続されていて、直流変換器として動作する制御ユニット(4)によって電流が給電され、
・非常給電装置の蓄電器(8)を電気エネルギーにより前記制御ユニット(4)によって充電する工程と、
・前記給電網が欠落した場合、前記非常給電装置の前記蓄電器(8)から当該非常給電装置によって前記調整モータ(2)に電流が給電され、制御される工程と、
を有し、
・切り替え手段(26,27)が第1の状態で、前記直流変換器を前記調整モータ(2)に作動のために電気的に有効に接続し、
・前記切り替え手段(26,27)は第2の状態で、前記制御ユニット(4)を前記非常給電装置の蓄電器(8)に接続する、運転方法。
【請求項6】
前記蓄電器(8)の充電は、風力発電装置の運転開始時、前記給電網が欠落した場合において前記非常給電装置による前記調整モータ(2)の制御後、または前記蓄電器(8)の意図的な放電後、または前記給電網が欠落した場合において前記蓄電器(8)の意図的な放電後に行われる、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記調整装置(1)が、風力発電装置のロータブレードの迎角を調整するため使用され、
・迎角を調整するために前記ロータブレードを運動させる調整モータ(2)と、
・前記調整モータ(2)を電流により制御し、かつ給電網に接続されており、直流変換器として動作することのできる制御ユニット(4)と、
・給電網が欠落した場合に前記調整モータ(2)に電流を給電し、制御するための非常給電装置と、を有し、
前記非常給電装置は、前記調整モータ(2)の制御のための電流を調達するために、電気エネルギーを蓄積する蓄電器(8)を有し、前記制御ユニット(4)は、前記非常給電装置の前記蓄電器(8)を電気エネルギーにより充電し、
前記切り替え手段は、前記直流変換器が前記調整モータ(2)に作動のために電気的に有効に接続されるように切り替え可能であり、かつ当該切り替え手段は、前記蓄電器(8)を充電するために、前記制御ユニット(4)を前記非常給電装置の当該蓄電器(8)に接続する、請求項またはに記載の方法。
【請求項8】
請求項1からまでのいずれか一項に記載の調整装置(1)を有する風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置のロータブレードの迎角を調整するための調整装置、およびこのような調整装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電装置は一般的に公知である。現在、最も普及している装置形式はいわゆる水平軸型風力発電装置であり、ここでは風により駆動される空気力学的ロータが実質的に水平軸を中心に回転する。ここで軸は規定どおりに運転する場合には風の方向を指し、ロータは少なくとも1つのロータブレード、通常は3つのロータブレードを有する。ロータブレードはロータ面に張り出しており、したがってロータ面は風に対して実質的に横方向に(横切って)配置されている。図3はこのような風力発電装置を示す。
【0003】
風速に依存して、風に対する各ロータブレードの迎角を変更することができる。すなわちロータブレードは実質的にその長手軸を中心に回転され、これによりこの迎角、すなわち流入角を変更する。迎角はしばしばピッチ角とも称され、迎角の調整はピッチ調整と称される。
【0004】
ピッチ調整を実施するために、通常は電気駆動部を使用する調整装置が使用される。本発明もこれを前提とする。電気駆動部は、給電網により電気エネルギーが供給される電力部によって運転される。
【0005】
調整駆動部に給電するための電力部は、ピッチ駆動部とも称することのできる調整駆動部に適合されている。直流モータをピッチ駆動部として使用する場合には、電力部はいわゆる直流変換器として動作する。すなわち電力部は、それぞれの調整運動を実施するのに必要なそれぞれの電流強度を備える直流を提供する。
【0006】
給電網が(給電)欠落した場合に対しては蓄電器が設けられている。この蓄電器は、ロータブレードをいわゆるセーリング位置に調整するのに十分なエネルギーを電気駆動部のために蓄電している。この蓄電器が、この相応の電気エネルギー量を備えていることを常に保証すべきであり、したがって蓄電器は使用後に再充電され、その他にも場合による自然放電がいわゆるトリクル充電によって補償されるようしている。
【0007】
蓄電器の充電は、出力電圧が蓄電器の電圧に適合された別個の電流源を介して行われる。付加的にトリクル充電装置が設けられており、この装置は前記のトリクル充電を実行する。この装置の出力電圧も蓄電器の電圧に適合されており、蓄電器の充電状態に依存して自立的にこの蓄電器の再充電を実行する。
【0008】
一般的な従来技術として、ドイツ実用新案DE202006018866U1が参照される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】ドイツ実用新案DE202006018866U1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このようなシステムは、前記のタスクを満たさなければならず、確実かつ冗長的に機能しなければならないので対応して複雑である。
【0011】
本発明の課題は、前記問題の少なくとも1つを除去または低減し、できるだけ簡単であり、かつ同時に確実で冗長的な解決手段をロータブレード調整に対して提供することである。少なくとも択一的な実施形態を見いだすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって本発明によれば、請求項1による調整装置が提案される。
すなわち本発明の第1の視点によれば、風力発電装置のロータブレードの迎角を調整するための調整装置であって、迎角を調整するために前記ロータブレードを運動させる調整モータと、前記調整モータを電流により制御し、かつ給電網に接続されており、直流変換器として動作することのできる制御ユニットと、給電網が欠落した場合に前記調整モータに電流を給電し、制御するための非常給電装置と、を有し、前記非常給電装置は、前記調整モータの制御のための電流を調達するために、電気エネルギーを蓄積する蓄電器を有し、前記制御ユニットは、前記非常給電装置の前記蓄電器を電気エネルギーにより充電し、切り替え手段(26,27)が設けられており、該切り替え手段は、前記直流変換器が前記調整モータ(2)に作動のために電気的に有効に接続されるように切り替え可能であり、かつ当該切り替え手段は、前記蓄電器(8)を充電するために、前記制御ユニット(4)を前記非常給電装置の当該蓄電器(8)に接続する、調整装置が提供される。(形態1)
本発明の第2の視点によれば、風力発電装置のロータブレードの迎角を調整するための調整装置の運転方法であって、迎角を調整するためにロータブレードを調整モータによって運動させる工程と、ここで前記調整モータには、給電網に接続されていて、直流変換器として動作する制御ユニットによって電流が給電され、非常給電装置の蓄電器を電気エネルギーにより前記制御ユニットによって充電する工程と、前記給電網が欠落した場合、前記非常給電装置の前記蓄電器から当該非常給電装置によって前記調整モータに電流が給電され、制御される工程と、を有し、切り替え手段が第1の状態で、前記直流変換器を前記調整モータに作動のために電気的に有効に接続し、前記切り替え手段(26,27)は第2の状態で、前記制御ユニットを前記非常給電装置の蓄電器(8)に接続する運転方法が提供される。(形態
本発明の第3の視点によれば、調整装置を有する風力発電装置が提供される。(形態
本発明においては、下記の形態が可能である。なお下記の各形態は、特許請求の範囲(当初)の各請求項に記載した構成要件に対応している。
(形態2)前記蓄電器を充電するために、前記制御ユニットを前記非常給電装置の当該蓄電器に接続する切り替え装置が設けられていることが好ましい。
(形態3)漏れ電流および/または自然放電によって前記蓄電器ら放電されただけの電気エネルギーを当該蓄電器に規則的に再充電するためのトリクル充電ユニットが設けられていることが好ましい。
(形態4)前記蓄電器は実質的にコンデンサおよび/または鉛ゲル蓄電池および/またはリチウムイオン電池から成ることが好ましい。
(形態5)誘導性構成素子および/または整流手段が前記蓄電器と前記制御ユニットとの間に直列に接続されており、これにより前記制御ユニットによる前記蓄電器の充電の際に、充電電流が前記制御ユニットから前記誘導性構成素子ないしは前記整流手段を介して流れることが好ましい。
(形態7)前記蓄電器の充電は、風力発電装置の運転開始時、前記給電網が欠落した場合において前記非常給電装置による前記調整モータの制御後、および/または前記蓄電器の意図的な放電後に行われることが好ましい。
(形態8)調整装置が使用されることが好ましい。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照番号はもっぱら理解を助けるためであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この装置は、迎角分だけロータブレードを運動させるための、すなわちピッチ調整のための調整モータと、この調整モータを電流によって制御するための制御ユニットと、給電網が(給電)欠落した場合に調整モータに電流を給電し、制御するための非常給電装置とを有する。非常給電装置は、調整モータを制御する電流を供給するために電気エネルギーを蓄電する蓄電器を有する。また調整ユニットは、非常給電装置の蓄電器に電気エネルギーを充電するように構成されている。したがって調整ユニットは二重機能を実施するように構成されている。すなわち一方では調整モータに必要な電流を給電し、他方では非常給電装置の蓄電器を充電する。
【0014】
現代の風力発電装置のロータブレードには数トンの重量があり得ることに注意すべきである。現在知られている風力発電装置の最大のロータブレードは、ロータブレード根元の領域において、すなわちロータ軸に指向するロータブレードの部分に、5mを超える幅を有し、長さはほとんど60mである。それにも拘わらずとりわけ過負荷を阻止するために、強い突風の場合にはロータブレードを迅速に調整運動することが必要である。言い替えると大型で出力が大きく、同時にダイナミックな調整駆動部が必要になる。対応して制御ユニットにも当該要求がある。ここで制御ユニットは調整モータの電気的挙動(ないし特性)に適合されている。とりわけこのような調整モータは誘導性挙動を有し、電流と電圧との間の関係がモータの運動によっても影響を受け、とりわけ回転数に依存する逆起電圧が生じる。
【0015】
これに対してコンデンサまたはバッテリーのような蓄電器はまったく別の挙動を有する。このような蓄電器の電圧は、とりわけ充電状態(ないし条件)およびそれぞれ存在する内部抵抗に依存する。理想コンデンサはまったく内部抵抗を有しておらず、電圧は充電状態(ないし条件)だけに依存する。理想コンデンサはほぼ理想的な挙動(特性)に達することができるが、その点においてインダクタンス、とりわけモータの電気挙動(特性)とは基本的に異なる。
【0016】
本発明によれば、制御ユニットはそれぞれのタスク、すなわち一方では調整モータの制御に、他方では蓄電器の充電に適合することができ、ないしは対応する回路素子を設けることができることが認識された。これにより1つの別個の充電ユニットを省略することができる。
【0017】
好ましくは切り替え装置が設けられ、とりわけ蓄電器を充電するために制御ユニットを非常給電装置の蓄電器に接続する1つまたは2つのスイッチが設けられる。これにより簡単に通常運転に対しては、調整モータを制御するために制御ユニットを調整モータに接続することができる。ここで通常運転とは、調整モータを駆動するために給電網が制御ユニットに給電している運転であると理解すべきである。非常給電装置の蓄電器を充電するためには、この切り替え装置を対応して切り替えるだけで良く、これにより制御ユニットが充電に使用される。したがってこの切り替え装置は、モータの駆動のために制御ユニットをモータに接続するか、または蓄電器の充電のために制御ユニットを蓄電器に接続する。
【0018】
好ましくはトリクル充電ユニット(維持充電ユニット、Erhaltungsladeeinheit)は、蓄電器を規則的に再充電(後充電、Nachladen)するためと、漏れ電流および/または自然放電によって蓄電器から放電された電気エネルーを再充電するために設けられている。このようなトリクル充電ユニットは、制御ユニットと比較して比較的わずかな充電電流だけを提供すれば良い。なぜならトリクル充電ユニットは、蓄電器の全体充電容量のわずかな部分を再充電するためにだけ使用されるからである。したがってトリクル充電ユニットは比較的小さく構成することができ、制御ユニットと比較して格段に安価である。
【0019】
また蓄電器が実質的にコンデンサまたは鉛ゲル蓄電池から成ると有利である。これらの構成部材は、調整装置で使用するのに有利な構成素子であることが立証されている。なぜならこれらは比較的高い蓄電容量を提供することができ、とりわけ連続運転に適しているからである。またこれらは、風力発電装置のロータ内に配置し、これとともに常時回転するのにも適している。
【0020】
好ましくは、誘導性構成素子および/または直流整流手段(Gleichrichtermittel)が蓄電器と制御ユニットとの間に配置されることが提案される。直流整流手段によって、制御ユニットへの蓄電器の不所望な放電が回避される。誘導性構成素子によって、蓄電器の電気挙動を制御ユニットの観点から変更することができる。すなわち蓄電器の充電の際に、このような誘導性構成素子によって充電回路の充電特性全体が変化する。
【0021】
さらに請求項6によれば、風力発電装置のロータブレードの迎角を調整するための調整装置の運転方方法が提案される。これによれば、該当するロータブレードは調整モータによって運動される。すなわち迎角を調整するために実質的にローダブレードの長手軸を中心に運動される。この際調整モータには、制御ユニットによって電流が給電される。したがって調整モータは電気調整モータである。とりわけ調整ユニットは、調整モータの所望の運動を実行するために必要な電流を制御する。ここで制御ユニットは、実際値フィードバックによる制御を実施するために調整モータおよび/またはロータブレードの目下(実際)の位置を考慮することができる。
【0022】
さらにこの方法は、非常給電装置の蓄電器に電気エネルギーを充電することを含み、この充電は、調整モータに電流を供給する(特に電流を制御する)同じ制御ユニットにより行われる。制御ユニットは給電網に接続されており、そこから電気エネルギーが供給される。
【0023】
さらにこの方法は、給電網が(給電)欠落した場合に、非常給電装置によって電流を調整モータに給電し、かつ制御することを含む。非常給電装置は、電流を調達するためにエネルギーを非常給電装置の蓄電器から引き出す。したがってこの方法は、制御ユニットによって調整モータに電流を給電することと、非常給電装置の蓄電器を電流により充電することの両方を提案するものである。
【0024】
好ましくは蓄電器の充電は、以下の少なくとも1つの場合に行われる。1つの場合では、風力発電装置の運転開始時ないしその終了時、すなわち最初の運転開始時ないしはその終了時に行われる。別の場合では、給電網の欠落があった後に充電が行われる。すなわち電源欠落の後に1つまたは複数のロータブレードが非常給電装置によって風に向けて回転された後に行われる。さらに(それ以外に)エネルギー蓄積器の充電は、これが意図的に放電された後に行うことができる。このことは例えばエネルギー蓄積器または装置の他の部分のテスト目的でまたは保守目的で行うことができる。さらなる場合は、電源欠落または電源分離によりトリクル充電が長時間実施されていなかった場合である。
【0025】
好ましくは提案された方法は、上記調整装置の1つによって実施される。
【0026】
さらにこのような調整装置、すなわち本発明の調整装置を風力発電装置に装備することが提案される。これにより風力発電装置のコストが可能な限り低減され、および/またはその効率が高められる。
【0027】
以下本発明を、添付図面を参照して例として詳細に説明する。
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。


【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来技術によるロータブレードの迎角を調整するための調整装置に対する概略回路図である。
図2】本発明の実施形態によるロータブレードの迎角を調整するための調整装置の概略回路図である。
図3】本発明の風力発電装置を示す図である。
【実施例】
【0029】
調整装置101の回路は、迎角を調整するための調整モータ102を有する。調整モータ102は、一般的には電力部と称することのできる直流変換器104によって、それぞれの調整過程を実行するために制御される。直流変換器104には給電網からエネルギーが供給される。このことは分かりやすくするため図1には図示されていない。(切替)スイッチ106と107によって風力発電装置の通常運転時には直流変換器104と調整モータ102との間に電気的に有効な接続が形成され、したがって調整モータ102の制御を上記のように直流変換器104によって行うことができる。
【0030】
給電網の電源欠落の場合には、調整モータ102をバッファ蓄電器108によって駆動すべきである。このためにスイッチ106と107が、バッファ蓄電器108と調整モータ102との間に接続が形成される位置に切り替えられる。
【0031】
いわゆるトリクル充電を実施するために、対応するトリクル充電回路110が設けられている。このトリクル充電回路は、例えば漏れ電流および/または自然放電に起因するバッファ蓄電器108のわずかな放電が阻止ないしは補償されるようにする。したがってトリクル充電回路110は小さな電力に対してだけ設計すれば良い。トリクル充電回路110にも給電網によってエネルギーが供給される。バッファ蓄電器108の電圧は電圧測定機器112によって測定され、検査される。測定された電圧は、バッファ蓄電器108の充電状態についての分析を提供することもできる。
【0032】
トリクル充電回路110の能力を超える範囲においてバッファ蓄電器108を充電するために充電装置、とりわけ電流源114が設けられており、この電流源も同様に給電網から給電される。このことは分かりやすくするため図1には図示されていない。バッファ蓄電器108の充電を実行するために、充電スイッチ116および充電装置114が設けられている。充電スイッチ116が閉じられると、バッファ蓄電器108を充電することができる。
【0033】
本発明によればとりわけ、従来技術に対して簡素化された調整装置が設けられている。このために電流源114を省略することが提案される。
【0034】
対応する実施例を図2で説明する。調整装置1の図示の回路は調整モータ2を有し、この調整モータは直流変換器として動作する制御ユニット4を介して制御される。直流変換器として動作する制御ユニット4は、図示の実施例によれば制御すべき電流をパルス幅変調によって形成する。調整モータ2を制御するためには対応するスイッチ6と7および26と27を、直流変換器が調整モータ2と電気的に有効に接続されるよう切り替えるべきである。
【0035】
給電網が(給電)欠落する場合には、調整モータ2の制御をバッファ蓄電器8のエネルギーによって行うことができる。スイッチ6と7は対応してこの状況のために切り替えられる。トリクル充電を実行するためにトリクル充電回路10が設けられている。このようなトリクル充電回路10は通常、トリクル充電を越える充電を行うようには構成されていない。
【0036】
かくてバッファ蓄電器8を、トリクル充電を越えて完全にまたは部分的に充電するために、制御ユニット4、すなわち直流変換器4をバッファ蓄電器8の充電のために使用することが提案される。スイッチ26と27によって、制御ユニット4とバッファ蓄電器8との間に電気的に有効な接続を形成することができる。スイッチ26と27が対応するスイッチ位置にあるとき、誘導性構成素子、とりわけチョーク28と整流手段、とりわけダイオード30とが直列に配置された充電回路が形成される。さらに電流センサ32が設けられており、この電流センサはバッファ蓄電器8の充電のために制御される充電電流を測定することができる。制御ユニット4が調整モータ2を制御する通常運転では、電流センサをその場合の制御電流の測定のためにも使用することができる。
【0037】
制御ユニット4は、バッファ蓄電器8に対する充電電流を形成するために好ましくはパルス幅変調方法を使用する。ここでは、基本的に公知のようにまず多数の矩形パルスを備えるパルス信号が形成される。この信号を平滑化し、とりわけバッファ蓄電器の損傷を回避するためには誘導性構成素子28が適する。一方で調整モータ2と他方でバッファ蓄電器8は、基本的に異なる電気特性を有する。すなわち調整モータ2は実質的に誘導性特性を、バッファ蓄電器8は実質的に容量性特性を有する。誘導性構成素子28を前置接続することにより、それらの特性を少なくともわずかに適合することができる。このことは、制御ユニットを二重に使用するという提案された可能性を、初めて可能にしたのではないにしても少なくとも簡単にする。同様に好ましくは制御ユニット4は、種々の要求、すなわち一方で調整モータ4の制御と、他方でバッファ蓄電器8の充電とに適合すべきである。
【0038】
ダイオードとして図示され、そのように構成することのできる整流手段30は、例えば制御ユニット4を介するバッファ蓄電器の不所望の放電を阻止する。
【符号の説明】
【0039】
1 調整装置
2 調整モータ
4 制御ユニット
8 蓄電器
10 トリクル充電ユニット
26、27 切り替え装置
28 誘導性構成素子
30 整流手段
図1
図2
図3